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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

江間 治人 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2016

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 県民の負託に対する知事の考え方について             
2 観光人材の育成について                     
3 中東遠地域における防潮堤について                
 (1) ふじのくに森の防潮堤づくりの推進               
 (2) 盛り土材の確保に対する支援                  
4 全国学力・学習状況調査について                 
5 教員の長時間労働の是正について


○議長(鈴木洋佑君) 議事日程により、知事提出議案第百三十六号から第百七十一号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、九番 江間治人君。
       (九番 江間治人君登壇 拍手)
○九番(江間治人君) 私は自民改革会議の所属議員として通告に従い一括方式で、知事、副知事、関係部局長並びに教育長に当面する県政の諸課題についてお伺いします。
 まず最初に、県民の負託に対する知事の考え方についてお伺いします。
 けさは大分冷え込みましたが、すばらしい富士山の姿を県庁の窓から見ることができ、うれしく思います。昨年九月定例会の私の質問の際に富士山に登りますとお約束をしました。言った後にしまったと思いましたが、あえて議場で発言することでみずからを奮い立たせ、この夏五十六歳にして初めて富士宮口五合目より登り始め、足が何度もつりながらも幸運にも山頂からの景色を眺めることができました。今まで麓からしか見たことのない富士山の見方は一変しました。今は富士の高ねに降り積もる雪に覆われた浅間様の鳥居がはっきりと見えています。
 私は議員になって約一年半が過ぎました。就任以前見えなかったものが見えてきています。立場や経験が視界をつくると感じています。知事も就任以来、なって初めて見えたものが多々あると思います。しかし一方で見えなくなってきたものがあるのではないでしょうか。
 知事は、議会でたびたびお話しされているように国家の理念は富国有徳、国土のたたずまいは水と緑のガーデンアイランズ、日本を世界文明の博物館などなど海外からの憧れの的とならしめる、そうした国家的な見地をお持ちになっています。そして我が静岡県を総合計画においてポスト東京時代の日本の理想郷を目指すとしています。富士山、三保松原、韮山反射炉のユネスコ世界文化遺産登録、地域外交の展開、駿河湾の世界で最も美しい湾クラブ加盟、内陸フロンティアを拓く取り組み、ファルマバレープロジェクト、そして総合計画の前倒しでの実施など知事の頭の中では着々と理想郷に近づいているのではと推察します。
 しかし、本当に理想郷に近づいているのでしょうか。先ごろ県政世論調査の結果が公表され、昨年より生活が同じか、または苦しくなっていると答えた人が九〇・四%、将来に悩みや不安を感じている県民は七四・八%いらっしゃいます。県全体が不安感の増す中、国家的見地からの理想論ばかりを強調してもそれに県民や市民の声に寄り添った施策がしっかりと裏打ちされていなければ理解は得られないと思います。
 もちろん知事が就任以来一貫して現場主義を唱え、移動知事室や知事広聴などを通じてさまざまな現場の生の声を聞いてきたと主張されています。二千回を超える回数を重ね、多くの県民の声を聞くという姿勢を心がけてきたことは理解します。しかし知事が意見交換される方は地域の代表者や各分野の中心的な存在の方が多くなるのは必然、それをもって現場の声を聞いているとするのはいささか疑問であります。また知事は著名な有識者を集めた専門家会議をたびたび開催しておりますが、一部の有識者の方々の声、大きな声の人のお話、耳ざわりのいいお話ばかりをうのみにされ、結果県民の真に望むところを離れ、せっかくの崇高な理念が台なしとなってしまうのではと心配になります。
 県民は今、ここ、この静岡県で生活しています。その生活に不安を抱いている県民の声の届かないこと自体が不安を与えているのではと想像します。もう一度耳を澄ませ、声なき声に耳を傾けていただきたいと思います。また本当に大切なものは目に見えないので心の目で生活の現場を見ていただきたいと強く思います。
 これから本格化する平成二十九年度予算編成などを通じて新たな知事の考え方が次々と打ち出され、大型予算事業の計画も出されてくると思います。その中で知事は、多くの県民が抱いている生活への不安を払拭し皆が笑顔で明るい未来を展望できる、現世を忘れぬ真の理想郷を実現するために三百七十万オール県民の負託にどのように応えていこうと考えておられるのかお伺いします。
 次に、観光人材の育成についてお伺いします。
 ことし十月末に日本の外国人観光客の受け入れ数は二千万人を突破しました。国家戦略において観光立国の実現はGDP六百兆円達成に向けた成長戦略の柱として訪日外国人旅行者数を二〇二〇年に四千万人、訪日外国人旅行消費額を八兆円とするなどの目標を設定しています。さらにこうした流れを加速し観光を我が国の基幹産業へと成長させることとしており、首都圏においては羽田空港と成田空港はハブ機能の充実を図り交通網の整備も進めています。
 今後、日本が観光立国として確立していくためには地方への誘客は不可欠であり、静岡県も空港旅客ターミナルビルの増築及び改修、新幹線空港新駅の整備、クルーズ船寄港拠点の整備等の計画も進めています。また四十三を数える世界に誇る観光資源の魅力も高めております。
 ただ、外国人観光客四千万人の訪日は、今までとは全く違う景色が全国各地であらわれ、これまでにない多様な観光にかかわる業務が新たに出てきてそれらに対応する人材が求められる時代となることが予想されます。明日の日本を支える観光ビジョンにおいても観光の中核を担う人材、即戦力となる地域の実践的な観光人材の育成強化の重要性を説いております。観光業に身を投じている者として多くの人材が育ち、県内出身者が地元で起業したり県内観光事業所に従事することで県の大きな産業の芽となることに期待を寄せるところであります。
 しかし一方で、観光産業はテロや自然災害、経済不況等社会変化の中で不安定な業種でもあり、また不規則かつ長時間労働、低収益性の産業構造に安定を求める若者たちが関心を持ってくれるのか心配な点も多くあります。既に名所旧跡だけでは地域間競争を勝ち抜く時代ではありません。地域のさまざまな魅力の顕在化、つまり訪日客の市場を分析し世界に静岡県の魅力を発信する、静岡県の魅力を生かすも殺すも観光を担う人材次第と考えております。
 そこで、質、量両面での充実が必要である観光人材の育成について県はどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、中東遠地域における防潮堤についてのうち、ふじのくに森の防潮堤づくりの推進についてお伺いします。
 先月二日、レベルツーの津波による沿岸部の甚大な被害が想定される掛川市、袋井市、御前崎市、磐田市の四市長が、津波対策事業の推進についての要望書を知事宛てに提出しました。県も想定される津波被害の軽減を図る取り組みを急ぐ必要があるとの判断から枯損した海岸防災林において各市が防災林のかさ上げ、補強をし、そこに農山漁村地域交付金の一部を用いて客土や植栽を行い防災林を再整備するふじのくに森の防潮堤づくりを平成二十六年度から進めてきております。
 しかし、今年度磐田市もかさ上げを本格的に始めたこと、及び袋井市、掛川市のかさ上げが急速に進むことから平成二十九年度以降は当交付金だけでは不足することが予想されます。このため要望書第一項においてこの進捗に合わせてふじのくに森の防潮堤づくりが実施されるよう、中東遠四市は当交付金の予算確保とこれを補完する新たな事業の創設を県に要望しています。
 東日本大震災以降、中東遠沿岸域の住民や工場などを有する事業者にとって安心・安全の確保と地域経済の維持、活性化のためには防潮堤建設は重大な関心事となっており、市のかさ上げに連動したふじのくに森の防潮堤づくりは津波対策の一翼を担う重要な事業であると考えております。
 そこで、県としてふじのくに森の防潮堤づくりの推進に向け、今年度の取り組み状況と今後の推進方法についてお伺いします。
 次に、中東遠地域における防潮堤のうち、不足が見込まれている盛り土材の確保に対する支援についてお伺いします。
 レベルツー津波対策までのかさ上げ事業については、中東遠地域の静岡モデル推進検討会で方策を検討しながら県と市が一体となって整備を推進しています。しかし長い年月と多額の費用のかかる事業であり、厳しい財政の中、進めているのが現状であります。費用の多くの部分が盛り土に必要な土砂の購入及び運搬費です。ふじのくに森の防潮堤づくり事業においても土台となる土砂がないと前に進みません。磐田市においては太田川掘削土砂や民間開発等の発生土を利用していますが土砂の量は限られており、必要土砂三百十五万立米のうち約半分の搬入予定となっています。
 そこで、改めて中東遠地域の静岡モデルの進捗状況と盛り土に必要な土砂確保の現状について伺います。
 また、住民の不安の解消のために全区間が早期に整備できるように中東遠各市が費用を最小限に抑えた土砂の搬入を要望しています。
 そこで、県は各市の熱意を察していただき、盛り土材の確保についてどのように支援していただけるかお伺いします。
 次に、全国学力・学習状況調査についてお伺いします。
 九月二十九日、ことしも全国学力・学習状況調査の結果が公表されました。皆さんも覚えていらっしゃると思いますが平成二十五年度の本調査では本県の小学生が国語Aにおいて全国最下位となり、そのことが大きく報道されました。この非常事態に県及び市町の教育委員会、各小中学校がオール静岡で学力向上策に取り組み、その結果翌年の平成二十六年度は小学校国語Aが全国の平均正答率を若干下回ったものの全体的には回復し、さらに平成二十七年度は全ての教科において全国平均を上回るという結果につなげています。
 今年度も小中学校ともに全ての教科において全国の平均正答率を上回り、また平成二十五年度全国で最下位を経験した子供たちが今回中学校三年生となって全ての教科において全国の平均正答率を上回るとともに、全国でも上位となる好結果であると聞いております。こうしたここ数年の結果を見ますと県教育委員会による学力向上策は一定の成果が上がっていると私自身は評価をしております。しかし一方で学習指導において取り残されている子供たちや意識調査において学習意欲に課題を抱える子供たちの存在も見逃してはいけません。
 調査結果を見ますと、「家で自分で計画を立てて勉強していますか」の問いに「している」と答えた小学生児童は六〇・三%、中学生生徒は四五・三%と前年比、全国比を全て下回っています。昨年の十二月定例会において深澤議員より課題の指摘がありましたが、改善されていないことがうかがえます。また中学生生徒においては、「自分にはよいところがあると思いますか」の問いに「ある」と答えた割合が七二・八%で、残る約二七%の生徒がみずからを肯定できないところも大きな心配であります。
 本県の平均正答率がよければそれでいいではなく、教育格差が懸念される現代社会において一人一人の子供たち全てが安心して学校生活を送り、学ぶ意欲を高めるための環境づくりに取り組むことが大切だと考えます。
 そこで、県教育委員会として、この学力・学習状況調査を活用して全ての子供たち一人一人の学力や成長を支える環境づくりに今後どのように取り組んでいくのか教育長にお伺いします。
 最後に、教員の長時間労働の是正についてお伺いします。
 現在、政府の最重要課題の一つとして働き方改革が掲げられ、仕事の質を高め労働時間を短縮することが求められています。そのような折に昨年十二月に自殺した電通社員の労災認定から長時間勤務の実態が明らかになり社会問題となっています。学校現場においても取り巻く環境が複雑化、多様化し学校に求められている役割が拡大する中、教員の長時間労働等大きな負担を強いていることへの改善が課題となっています。
 長時間労働は、教員の心のゆとりや自己研さんの時間を奪い、健康被害や教育の質の低下を招くことになります。平成二十七年度において小学校、中学校合わせて百二十二名の教職員が精神疾患で休職などしている実態があります。
 教員の多忙と長時間労働についてはさまざまな原因があると考えられます。九月定例会で未来の学校「夢」プロジェクトについて質問がありました。四校のモデル校を対象に校務の洗い出し等多くの事項を調査研究することを三年計画で推進しています。また地域スポーツクラブについても質問がありましたが、磐田市をモデルにスポーツ部活を立ち上げ部活指導の負担軽減を図っています。それぞれ多忙化の解消には重要な施策と考えますが現在調査研究段階で、すぐに県下全域に実施というわけにはいきません。
 県教育委員会は、今までにさまざまな取り組みをしてきたと思いますが長時間労働の解消は喫緊の課題であり、早急に取り組まなくてはなりません。十月二十八日の政府教育再生実行会議で安倍首相は教員の長時間労働の実態について言及をしています。将来の静岡県そして日本を担う子供たちに対して先生たちには健康で明るい職場環境の中で授業をしてほしいと心から願います。
 そこで、多忙化の解消の重要なファクターである労働時間の短縮について県教育委員会として早々にすべき取り組み、今後の展開についてお伺いします。以上について答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 江間議員にお答えいたします。
 県民の負託に対する私の考えについてであります。
 御質問を富士山に言及することから始められました。まことに本日の富士山は、「心地よく 晴れたる秋の 青空に いよいよ映える 富士の白雪」といったところであります。
 また、その富士山にこの夏御登頂を成功されまして、おめでとうございました。富士の頂上における足元は石や岩でごろごろしておりますけれども、目を下界に転じますれば視野が大きく広がります。一方、きょうのような全く雲一つない空を見ますと、「あさみどり 澄みわたりたる 大空の 広きをおのが 心ともがな」という明治天皇の御製がありますが、私はそのような心持ちを常に持ちたいというふうに思っております。
 江間議員は同じ稲門の出で、「現世を忘れぬ」という校歌の一節を引かれました。この詩句は次に「現世を忘れぬ久遠の理想」というふうに続きます。明治の時代の青年たちも坂の上の雲を目指して、そして一生懸命働きました。しかしながらそこに全ての人が幸福になったわけではありません。「働けど 働けど なお暮らし 楽にならざり じっと手を見る」という明治時代の啄木の歌もございます。
 一方で、富士山が世界文化遺産になって今月に至るまで四十三カ月の間に四十三件もの地域資源、地域の人材が世界クラスと認定されたということは誰にとっても元気になることではないかというふうに思います。人を元気にする。このことはとても大切なことであるというふうに思っております。
 私の基本的な姿勢は、あらゆることを自分を勘定に入れずに、そしてよく見聞きし忘れずと、そして人のためになることをするということであります。決して人を差別しておりません。「国会議員 議員やめれば ただの人」という川柳がございましたけれども、もちろん議員としての職責に対しては礼を尽くしますけれども私はただの人になったその人を見ております。
 ですから、その人に対しましてその方がすぐれている人であるならばすぐれている人に接したほうがいいというふうに思っております。なるべく多くの県民がすぐれた人に接したほうがいい――けいがいに接したほうがいいという考えを持っているわけです。江間議員はスポーツマンとしての体をお持ちですけれども、同じ得意なスポーツを小学生と毎日しても小学生は強くなるかもしれませんが議員の力は落ちていきます。少しく自分の上の者と練習しなければ上に行かないということでございまして、常に上を見るというそういう姿勢を持たねばならないということでございます。
 私は、県民一人一人の声に耳を傾け、県民幸福度の最大化に向けて富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを着実に推進することが県民の皆様の負託に応える道であると考えております。このため知事就任以来現場に赴き、現場から学び、現場に即した政策を立てる現場主義を基本姿勢としてスピード感を持って県政運営に取り組んでまいりました。もう既に二千百回を超えております。いわゆる知事広聴というのも四十八回、意見をお聞きした人はもちろん限られた数ではありますけれども傍聴された人を含めれば八千人近くなっております。三百七十万全ての人の声を聞くことはできませんけれどもなるべくそのような姿勢を続けて、そして私の政策に偏りがないように努めているわけでございます。地域で頑張っておられる皆様方からさまざまな悩みや不安、行政への要望などまさに県民の生のお声をお聞きしようという姿勢を持っております。こうした声こそ県政を進める上での貴重な御提言と捉え、可能な限り具体的に対応するように努めております。
 例えば、こうした広聴会や地元への出張を通して児童養護施設からでも安心して大学に進学できるための生活支援、これはそこの現場で聞いたものを実現した政策です。また県東部地域における発達障害児に関する相談体制もその結果強化できました。B型肝炎予防接種にかかわる県の独自の助成も現場で聞いて、その問題に悩んでいる方からお聞きしてこれを政策に盛り込んだものであります。常にそうした県民の声をよく聞き寄り添う姿勢で施策を進めているつもりであります。
 また、多くの県民の皆様の抱える健康や老後、そして災害への不安に対しましては、不安は消えるものではないと思っております。権力を握る人が高い権力を持てばその分幸福感がふえるかというと、恐らく北朝鮮のトップの方は身辺の不安にさいなまれているのではないかと思います。お金持ちになったからといってそれで不安がなくなるというものでもありますまい。このコップに水が半分入っていたとします。半分しかないと思う人と半分はあるということで心持ちは違ってきます。
 やはり、いずれにおいても無限に金銭欲や権力欲を出すことはできません。足るを知るというそういう姿勢を持つことがどこかで大切ではないかと思います。いずれも何か失望したときに、「友が皆 自分よりも偉く 見えるとき 花を買い来て 妻と親しむ」というこれも啄木の歌がありますけれども、常におのれの心を平穏に保つということが幸せをつくる上での非常に大切な心構えであるとも考えております。
 そうは言いましても総合計画に掲げる健康寿命日本一の延伸や命を守る危機管理に関する取り組みを着実に推進せねばなりません。また内陸のフロンティアを拓く取り組み、これは経済成長と危機管理を両方つくり上げるという意味で極めて重要な施策であります。また新成長産業の育成と雇用創造、これも順調に今進んではおりますけれどまだ不十分ではあります。社会、経済に対する閉塞感を払拭し豊かさの実現を図る施策を推進しているところであります。
 私は、住まう人々が地元に対して誇りを持ち、日々生き生きと輝き、おのおのが持てる力を存分に発揮していくということが大切であるというふうに思っております。先ほど差別をしないというふうに言いましたけれども、例えばきょうこの議場に上がってこられるときお気づきになったでしょうか。本館を上がる大階段の前に愛知の時計があります。それから牧野先生の版画があります。その下にお花が生けられているのを御存じですか。この方は掃除をしてくださっている女性との交流から出てきたものであります。そしてまた柱と柱の間のへこんでいるところに観葉植物が置かれているのもその方との友情から生まれた施策であります。あるいはこちらに村松君という交通基盤部長がいらっしゃいますけれども、私は彼よりも私を二千回以上各地に連れて行ってくださっている公用車の運転手さんのほうを彼にまさるとも劣らず尊敬しています。ですから人はそれぞれ職業に貴賤はありませんし、責任の大小はあります。しかしそれぞれ皆十分に存在価値があるというそういう姿勢で臨んでいるわけで、決して何かこの特別な方を呼んでその方だけの意見を聞いているというわけではありません。
 私の知事公舎のメールボックスには記名、無記名のさまざまなものが入っております。一つとして無視したものはありません。聞こえてきたものはそれに対して誠実に対処すると。街角で会った人から聞いたことも同じです。そういう限られた力ではありますけれども、そうした形で三百七十万人の県民の負託に応えてまいりたいと思っております。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木洋佑君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 観光人材の育成についてお答えをいたします。
 国が、日本再興の切り札として観光先進国の実現に向け訪日外国人旅行者数の従来の目標を大幅に前倒しし、かつ質の高い観光交流を加速させようとしています。そのような中、静岡県が観光客の皆様から選ばれる観光地となるためには観光を担う人材の育成強化が大変重要です。
 このためには、まずマーケティングなどの専門知識を有し旅行者のニーズを、あるいは市場を的確に分析をして短期のみならず中長期的視点に立った戦略を立案することができる中核人材というものが必要になります。また二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技、あるいは二〇一九年のラグビーワールドカップが本県で開催をされますが、宿泊業などにおいて外国人旅行者に対応できる、即戦力となる実践的な人材の育成も急務です。
 このため県では、静岡県立大学において今月から新たに観光基礎講座を開催をいたします。この講座は観光事業者等を対象にして地域のブランドづくりなどを学ぶものです。また静岡県立大学及び静岡文化芸術大学では観光の中核を担う人材を育成するため、それぞれの特色を生かした観光に係る学科等の設置に向けた学内検討を鋭意進めております。特に静岡県立大学では先月教育研究組織等将来計画検討委員会を開催をし、観光に関する専門委員会を立ち上げたところです。
 また、来月静岡県観光協会内に静岡県全域を対象とする県域DMO静岡ツーリズムビューローを設置をいたします。このDMOはマーケティング、マネジメント等を行うわけですが、この活動自体が中核となる人材の育成につながると考えています。またこのDMOは研修会等を主催をいたします。観光に関する幅広い分野の方々を対象にして旅行者受け入れのための実践的なノウハウを学ぶような研修会を継続して開催する予定です。
 県といたしましては、これらの取り組みを通じて観光分野で必要とされる人材が期待される役割に応じて質、量ともに十分に育成されることにより、地域資源の磨き上げや外国人受け入れ体制が強化され、本県を目的地として国内外から多くの方々が訪れる観光地となるよう努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 若原農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 若原幸雄君登壇)
○農林水産戦略監(若原幸雄君) 中東遠地域における防潮堤についてのうち、ふじのくに森の防潮堤づくりの推進についてお答えいたします。
 本県では、東日本大震災を教訓にレベルワンを超える津波対策として静岡モデルが検討されまして、中東遠地域では塩害などで松が枯れてしまった海岸防災林におきまして各市がかさ上げ、補強を行っていらっしゃいます。県といたしましては、こちらと連携をいたしましてふじのくに森の防潮堤づくりとして防災林の再整備を進めております。平成二十六年度から今年度までの三年間で、うち延長一・二キロが完了する見込みとなっているところでございます。
 さて、この防災林の再整備の対象でございますけれども全体で約十六キロ弱といったようなところでございまして、先ほど申し上げたとおりうち一・二キロが完成ということで残る事業区間は十四キロ強といったところでございます。こちらにつきまして磐田市さんを初めまして袋井市様、掛川市様でも内陸フロンティア関連事業などで事業費や土砂の確保に皆様お努めいただきまして、かさ上げが急速に進むというふうに私どもも認識しております。
 今後数年間の見通しということで申し上げますと、先ほど申し上げたとおり約十四キロ強の残事業区間がございますけども、うち約十一キロはもう今後数年間で整備が進むような状況だというふうに認識しております。
 このふじのくに森の防潮堤づくりでございますけれども、津波に対する多重防御の一翼を担うべく進めておるものでございますので、静岡モデルの取り組みとして各市が進めますかさ上げ、こちらの進捗とは十分に連携を図っていく必要があるというふうに考えております。
 県といたしましても、農山漁村地域整備交付金の重点配分、コスト縮減工法、その他もろもろ早期事業施行のための検討を進めてまいりまして、防災林の早期再整備を図ってまいりたいと考えているところでございます。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 村松交通基盤部長。
       (交通基盤部長 村松 篤君登壇)
○交通基盤部長(村松 篤君) 中東遠地域における防潮堤についてのうち、盛り土材の確保に対する支援についてお答えいたします。
 中東遠地域における静岡モデルの防潮堤につきましては、県と市で構成する静岡モデル推進検討会において事業手法や整備上の諸課題について検討を重ねながら整備を推進しており、現在磐田市から御前崎市までの沿岸全市で工事が行われ袋井市や掛川市の一部区間が完成いたしました。防災林の再整備に必要な客土は県が調達することとしており、各市が施工する盛り土材につきましては費用負担が極力抑えられるよう静岡モデル推進検討会において情報共有や調整を行ってきたところであり、これまでに菊川や太田川の掘削など国や県、市の公共工事や民間工事からの発生土の活用により約四百万立方メートルを確保したところであります。
 今後さらに約百万立方メートルの確保が必要であることから、県では整備箇所周辺での土砂の確保に加え県外にも目を向け、現在首都圏における大型公共工事を対象に関係機関との調整を進めており、活用可能な土砂の量や質、運搬時期などについてできるだけ早く各市にお示しできるよう努めてまいります。
 県といたしましては、中東遠地域の各市と連携してレベルワンを超える津波から人命、財産を守り、沿岸部のリノベーションに寄与する静岡モデルの整備を推進し、地震・津波に強く安全で安心して暮らせる県土づくりに全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 全国学力・学習状況調査についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、全国学力・学習状況調査において計画的に家庭学習に取り組むと答える児童生徒の割合は例年全国平均を下回っており、本県の課題であると認識しております。学習意欲に課題を抱える児童生徒についてはその生活環境にも目を向けることが不可欠です。さらに教育格差の問題は決して見逃すことはできません。
 県教育委員会では、昨年度から家庭教育支援の取り組みの一つとして保護者向け動画チア・アップコンテンツを作成、開発しております。今年度は新たに、自分のよさや可能性を伸ばすために子供の褒め方をテーマとして動画を作成し十一月から配信しているところであります。各家庭が抱える事情も複雑多様化する中で、一人でも多くの保護者に活用していただけるようにわかりやすい情報を発信してまいります。
 また、学習がおくれがちな子供たちが主体的に学習に取り組む習慣を身につけられるよう、平成二十九年度からの新たな取り組みのスタートに向けて検討しているところであります。この取り組みでは学校支援地域本部を核として地域の方々や県内大学生の協力を得て放課後の学習支援を進め、地域全体で子供を育む体制の整備を図ってまいります。こうした取り組みを通し、子供たちの学ぶ意欲を高めるための環境づくりを積極的に行ってまいります。
 次に、教職員の長時間労働の是正についてであります。
 議員御指摘のとおり、学校を取り巻く環境は複雑化、多様化していることから、新たな教育改革への取り組みが求められております。教員の長時間勤務が常態化し大きな負担となっていることが指摘されております。そこで県教育委員会では学校の勤務環境の改善を目指して、本年度から未来の学校「夢」プロジェクト事業を立ち上げ、県内四カ所のモデル校において校務の整理と教職員の意識改革の二つの視点により調査研究を進めているところであります。
 特に、教員の長時間勤務の是正にはタイムマネジメントの発想が不可欠です。そこでプロジェクトでは教職員の意識改革における取り組みの一環として、一日の勤務時間に上限を設定してこれを厳守するという実証に取り組んでおります。既に八月に二週間試行し、現在十一月二十一日から二カ月間、小学校は十九時までに、中学校は十九時三十分までに全員退勤となるよう本格的な実証に着手しているところであります。八月の試行期間は夏季休業中でありましたので、また二週間という短期間ではありましたが教職員の時間に対する意識が変化したという結果が報告されております。今後本格的な実証を通して把握された成果と課題をプロジェクト委員会で検証し、次年度への取り組みにつなげてまいります。
 本プロジェクトは三年間の取り組みではありますが、今年度末の段階で中間的な取りまとめを行い、成果や取り組みの好事例などを紹介し広く県内の学校現場に普及してまいります。そして多忙化の解消によって生み出された時間をそれぞれが有効に活用し、各学校の教育活動の充実につなげていきたいと考えております。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 江間治人君。
       (九番 江間治人君登壇)
○九番(江間治人君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、再質問を二つさせていただきます。
 まず、県民の負託に対する知事の考え方の中で、先ほどの運転手さんのお話は感動いたしました。実はこの県政世論調査の報告書の行政機関への意見や要望、不満の項目というのがございますが、この県に要望や不満を伝える必要があると回答した人のうちですね、その中でも伝えなかったという方が八〇%いらっしゃいました。要は伝えたいけども伝えられないという方がたくさんいらっしゃるということで、つまりこれが声なき声があるのではないかというふうに思います。
 理由として、伝えても無駄だと思ったという方が六六・八%いらっしゃいました。伝える必要があると回答して約八割の人が伝えなかったというこの数値を見て、知事はやはり県民の声を積極的に聞くという姿勢はわかりますがまだまだ届いてない声があるのではないかというふうに思いますので、この八割の県民の声をどのようにこれから聞いていくのかお伺いしたいと思います。
 それと次に、全国学力・学習状況調査について再質問させていただきます。
 学校・家庭・地域の連携がですね、重要でありまして、調査結果を見ますと静岡県の子供たちは地域においては非常に積極的に取り組んでいるという結果が出ておりますが、先ほど御紹介いただきましたチア・アップコンテンツの中にもありますけれども、インターネットやゲーム、そしてスマートフォンをやっている時間の多い児童生徒は調査結果がよくないというデータも紹介されています。特にスマートフォンを手放せない生徒がふえていると予想される中で、これこそ家庭との連携で改善すべき重要な点というふうに考えています。
 いろんな働きかけをされているというお話をいただきましたが、さらに学校から家庭に、あるいは教育委員会がどのように今後働きかけていくのか、この二点を再質問させていただきます。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 白井知事戦略監。
○知事戦略監(白井 滿君) 県民の負託に対する知事の考え方についての再質問にお答えをいたします。
 県に対して御要望がありながら伝えなかった県民の数というのも県政世論調査の中で調査をしておりまして、それは私どもの広報でありましたり、そういうふうなものが実際に県民の皆さんに届いているのか、それから県の施策に対しての感覚というものを捉えるがために今調査をしております。
 その中で、議員御指摘のとおり、伝えなかった方の割合が高いことは承知をしておりまして、これを改善をしていくということが必要であるという認識を持っております。県の中では、例えば県に対しての伝え方がわからない方とかそういうふうな方がいらっしゃる場合もありますので、県民だよりでありますとか広報を通じまして県への御意見等を受け付けやすい、また受け付ける方法としてはこういうふうなものがあるということの広報を一生懸命進めております。
 御意見の中にはですね、県の施策であるのかどうかというところに疑問もあったりして伝えなかったというような方も結構いらっしゃいます。そういうふうなこともありますがいずれにしても県民の生の声をしっかり聞くということが大切でありますので、今後とも県民の皆様方が県に対しての御意見、御要望を伝えやすい環境づくりに努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 再質問ありがとうございます。
 一つにはですね、今までの統計によりますと朝の食事をちゃんととっているか、あるいは睡眠時間の長短、そういうようなものによって成績も違っているというようなのは静岡県のデータでもはっきり出ていますので、そういうような生活態度ももちろん直すこともそうなんですけれども、私たちとしては今いろいろと学習時間が確実にとれない、あるいはうちに帰っても御両親がいらっしゃらないとか、お仕事で。そういうことも含めて考えますと大学生の力もかりながらですけれどもできるだけそういうような子供たちが勉強できる空間というんですか、スペースづくりといいますかそういうような、僕は静岡型寺子屋方式と言っているんですけども来年度から始めようと思っています。そういうような形で生徒さんが勉強したいと、教えてほしいという場合にはできるだけお金をかけないでやれると、そういうようなものを考えております。以上です。
○議長(鈴木洋佑君) 江間治人君。
       (九番 江間治人君登壇)
○九番(江間治人君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、要望を五点申し上げます。
 家庭との今のお話の中で連携をとるということは大変難しいと、これは私もよくわかります。ただ子供は決して大人の予備軍ということではなく、数字に余りとらわれ過ぎずにですね、特に小学生のうちは子供らしさを尊重していいところをしっかり伸ばしていくということを家庭との連携の中で実は粘り強くやってほしいというふうに思います。それがいい結果に今後つながってくるのではないかなというふうに思います。
 それから二つ目でありますが、観光人材の育成についてでございます。
 御答弁ありがとうございました。若者たちがですね、観光業に本当に魅力を感じていただけるような、そういうやっぱり環境が本当に必要だというふうに思います。それがそのまま人材の育成につながっていくということも考えますのでぜひ観光の頭脳づくりを県としてしっかり支援していただきたいというふうに思っています。
○議長(鈴木洋佑君) 江間治人君に申し上げます。
 再質問に対する要望なら結構ですが、それ以外は受け付けられませんので御承知おきください。
○九番(江間治人君) はい。それではもう二つ申し上げます。これは再質問ではない要望でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 再質問以外の要望は受け付けられません。
○九番(江間治人君) はい、済みません。失礼いたしました。
 それでは最後に一つ、先ほどの県民の負託に対する知事の考え方についての再質問に対しての要望であります。
 いろんな声をこれから聞いていただくということで戦略監のお話をいただきました。十二月の定例会の提案説明を読ませていただいてもですね、やはりなかなか私が聞く地元の人たちの県に期待することとかなり離れているような感じもいたしました。
 磐田市には磐田学園という県立の福祉型障害児施設があります。九月定例会で野崎議員より質問がありましたが知事にはこの施設を一度ごらんになっていただきたいというふうに思います。建物の老朽化もさることながら入所している子供たちの人権すら脅かす環境の悪さは目を覆うものがあります。このように声なき声をしっかり聞いていただき、平成二十九年度予算編成に向けて県民の生活基盤である福祉、教育関連施設等の整備等にも御配慮いただきたいというふうに思います。以上で私の質問を終わります。(拍手)

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