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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成20年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

竹内 良訓 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2008

会派名:

自由民主党県議団


質疑・質問事項:

1 富士山静岡空港を活用した国際交流の推進について          
2 堀留川の治水対策について                     
3 多文化共生社会の実現について                   
 (1) 多文化共生推進基本計画の策定                  
 (2) 雇用適正化憲章の制定                      
 (3) 外国人の子供教育                        
  ア 公立小中学校における子供                   
  イ 公立高等学校を目指す子供                   
  ウ 外国人学校の子供                       
 (4) 外国人の犯罪被害防止と交通事故防止               
4 ALT (外国語指導助手) の民間活用について



    ○議長 (天野 一君)  ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、 知事提出議案第百四十二号から第百四十四号まで及び第百四十六号から第百八十二号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 十番 竹内良訓君。
            (十番 竹内良訓君登壇 拍手)
    ○十番 (竹内良訓君)  皆さん、 おはようございます。
     私は自由民主党所属議員として通告に従い、 当面する県政の諸課題に対し、 知事並びに関係部局長、 教育長、 警察本部長にお伺いします。
     初めに、 富士山静岡空港を活用した国際交流の推進について伺います。
     先月の臨時議会において、 さまざまな問題をはらみながら、 暫定運用とはいえ富士山静岡空港の開港への道が開けました。 予定より数カ月おくれはしますが、 静岡県の発展と県民の夢と希望を乗せた一番機が富士山静岡空港を飛び立ち、 大空に舞う日が一日も早く来ることを県民の一人として切望しております。
     その富士山静岡空港の国際線の就航先として既に韓国が決まっていますが、 中国についても中国東方航空が中国政府に上海路線の開設を申請中とのことであり、 大いに期待しております。 また台湾、 香港といった東アジアの地域にも新たな路線を開設すべく、 県当局はもちろん、 空港利活用促進議員連盟とも連携をとりながら積極的にエアポートセールスを行っております。
     本県は、 昭和五十七年に当時の山本敬三郎知事が中国の浙江省と友好提携を結びました。 以降、 経済、 農業、 文化を初め、 青少年交流や大学・学術交流など幅広い分野で積極的に相互交流を行ってきた結果、 静岡県の発展に多くの成果を上げていると認識しています。 来年の空港開港により、 これまで以上に海外の人と県民が互いに行き来できる環境が整うことになるこの機会に、 さまざまな活動を通じた国際交流をより充実したものにするために、 県として中国浙江省以外の東アジアの地域とも友好提携を結ぶことが必要と考えますが、 県の考えをお伺いします。
     また、 県内の市町において、 平成二十年九月現在、 二十五の市町が十一カ国の四十六都市と姉妹都市の提携をしていますが、 提携先はアメリカの都市が多く、 就航予定先の東アジアでは中国の六つの都市のみという状況です。 市町も富士山静岡空港の就航予定先である東アジアの都市と姉妹都市提携を結ぶようになれば、 本県の国際交流の機会がさらにふえ、 ひいては空港の利用促進にも資することから、 県で働きかけてはどうかと思いますが、 県の考えをお伺いします。
     次に、 堀留川の治水対策について伺います。
     県西部を流れる堀留川は浜松市の中心市街地にほど近く、 付近に住む方々にとっては貴重な水辺空間であり散策などの憩いの場として利用されています。 この堀留川は、 江戸時代末期に周辺の水田開発に伴うかんがい用の排水路として築造された後、 明治時代初期には浜名湖西岸と浜松市の中心部を結ぶ運河として利用されました。 さっぱと呼ばれる和船に加え、 蒸気船も就航していましたが、 明治十五年の弁天島を通る浜名橋の架橋、 明治二十二年の東海道線の開通に伴い、 舟運は廃止されたとの記録が残っています。
     運河の跡地は、 現在も堀留川に注ぐ菅原排水路として残されてはいますが、 今年度から浜松商工会議所が中心となり、 この堀留運河を再生して市街化が進む浜名湖東岸地区と浜名湖周辺の観光スポットを結ぶ水上交通ネットワークとして、 掘留川を利用しようとする舟運のまちづくりの研究に本格的に着手したところであります。
     しかし、 堀留川周辺の地域は地形的に台地と海岸砂丘に挟まれた低地となっていることから、 周辺に降った雨水が集中する上に水はけが悪いため、 これまで浸水被害が繰り返し発生し、 地域住民を悩ませてきたという大きな問題を抱えています。 遠くは昭和五十年十月の集中豪雨を初め、 近年において平成十年、 十六年に浸水被害が発生しています。 特に主要地方道の浜松雄踏線バイパスの開通に伴って、 堀留川周辺の市街化調整区域内で虫食い的な開発が進み、 水田などによる調整池機能が失われていることから、 今後、 浸水被害の拡大が懸念されています。 このため早期の河川改修が必要でありますが、 川沿いには多くの住宅があるため、 治水対策の実行には河川改修工事に伴う家屋の移転が不可欠など、 地域社会に与える負担が大きくなると考えます。
     そこで、 県は堀留川の治水対策について、 今後どのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、 多文化共生社会の実現について伺います。
     外国人登録者数は平成十九年末に全国で二百十五万人を超え、 この十年で約四五%の増加となっています。 また県内では十万一千人余りが居住し、 十年間の増加率は約八三%です。 雇用や景気の変化に影響はされるものの、 今後もこのまま推移していくと予想されます。
     これまでは、 短期的な滞在とみなされまちづくりへの参画が少なかった外国人でしたが、 長期滞在化が進むことで、 今や地域の経済を支える一員であるとともに地域社会における重要な構成員としての役割を担う存在になりつつあります。 しかしながら言葉の壁や文化、 習慣の違いから生じるさまざまな摩擦、 間接雇用などの不安定な就労形態、 子供の教育問題など取り組むべき多くの問題を抱えています。 日本で暮らす外国人がみずから日本語や日本の生活ルールを学ぶことが最も好ましいのではありますが、 県はもとより行政が積極的に学ぶ機会や場所の提供を行うことも重要だと考えます。
     今から百年前、 ブラジルの地で苦難を乗り越え世界最大の日系社会を築いた本県掛川市出身、 平野運平さんを初めとする先人たちに報いるためにも、 我が静岡県こそが、 日本人住民と外国人住民それぞれの文化や価値観に対する理解を深めながら互いに尊重し合い、 国籍にかかわらず健全な住民生活を営む権利の確保と義務の遂行が当たり前にできる、 真の多文化共生社会の実現のためのトップランナーであってほしい。 いえ、 そうあるべきだと考え、 以下の質問をいたします。
     まず、 多文化共生推進基本計画の策定について伺います。
     本県は、 全外国人登録者数に占めるブラジル国籍者の割合が全国で最も高い県となっています。 また中国、 フィリピン、 ペルー、 韓国及び朝鮮国籍の外国人も多く三万七千人余りが生活しています。 彼らは、 日常において日本人社会と大して接点を持たなくても毎日の生活が送れることから、 同じ地域に住む日本人と意思疎通をすることなく暮らしていることが多く、 そのためひとり暮らしの若年層における生活のルールやマナー違反、 例えばごみの扱いや騒音問題など迷惑行為が目立ちます。
     結果、 それが原因で日本人とのいさかいが発生し、 互いに相手をうがった見方をするようになり、 日本人側は困った人たちとの見方をし、 また外国人はさげすんで見られていると感じるなど、 互いの差別意識が潜在的に生まれてくるのです。 そして最終的には、 お互いかかわらないようにする、 すなわち無関心になるという姿勢をとり、 トラブルに発展しない状況を何とかつくり出しているのが地域社会の現状です。
     こうした外国人住民の実態を背景として、 県では、 平成十八年度から多文化共生を目指し、 生活、 労働、 教育などにおける課題に対処するため、 有識者などから成る静岡県多文化共生推進会議を設置して、 多文化共生に関する課題や施策の方向性について検討してきました。 そして推進会議が平成十九年三月に県へ提出した提言を踏まえ、 県では、 外国人労働実態調査や県民への啓発を目的とするシンポジウムの開催、 さらには地域の優良事例を自治会などに紹介する事業などに取り組んできたと伺っています。
     こうした中、 本年九月の推進会議では、 多文化共生社会の実現に向けて基本条例の制定や基本計画の策定を求める提言を取りまとめました。 これを受け、 県では今議会に多文化共生推進基本条例案を提出し、 この中で多文化共生施策を総合的かつ計画的に実施するための多文化共生推進基本計画を策定することとしておりますが、 どのような基本計画を策定されるのか伺います。
     あわせて、 多文化共生社会の実現のため、 県が中心となって推進していくためには、 県庁内に新たな組織が必要であると私は考えますが、 県の考えを伺います。
     次に、 雇用適正化憲章の制定について伺います。
     昨年度、 県では県内の外国人労働者の雇用環境について調査するため、 十六歳以上のブラジル人を対象に外国人労働実態調査を実施しました。 この調査結果から、 回答者の約六割が派遣・請負労働者であり、 肉体労働などブルーカラー系職種に約八割が従事しているという外国人労働者の就労実態が浮かび上がってきました。 また年金や健康保険、 雇用保険などの加入率は低く、 研修、 教育訓練での社会人、 職業人としてのスキルアップの機会も極端に少ない。 特に日本語習得の必要性を痛感しているものの日本語学習の機会に恵まれない実態が明らかになりました。 また金融危機による景気後退の影響で、 九月以降雇用情勢が悪化しています。 多くの日系外国人の期間労働や派遣労働を打ち切る雇いどめが県内でも急増し、 コミュニティーの混乱が始まっている現状があります。
     本年九月の多文化共生推進会議が県に提出した提言には、 外国人労働者の雇用適正化憲章の制定に向けた働きかけが含まれていましたが、 これを受け雇用情勢が悪化する中、 適正な雇用と日本社会への適応を促進するために、 県としてどのように取り組んでいくのかお伺いします。
     次に、 外国人の子供の教育について伺います。
     日本が批准した国際人権規約や児童の権利に関する条約に明記されているように、 国籍のいかんにかかわらず、 日本で暮らすすべての子供たちに教育を受ける権利が保障されなければなりません。 しかし外国人の子供の教育について、 国は明確な方針を示していません。 今こそ本県出身の塩谷立文部科学大臣に頑張っていただき、 ぜひとも外国人の子供の教育のあり方を根本的に見直していただきたいと思います。
     そこで、 三項目に分けて質問いたします。
     最初に、 公立小中学校における子供について質問いたします。
     平成二十年五月現在で県内には四千四百三十七人の外国人児童生徒が公立の小中学校に通っています。 日本の小中学校に就学した子供のほとんどは、 日本語の聞き取り、 読み書きができないため授業についていけない。 また親も日本語の教科書を読めないために勉強を見てあげられない。 その結果、 ただ学校に行っているだけの子供が多いというのが現実です。 子供が日本の友達となじむ場合は何とか登校が続けられるものの、 そうでない場合は自然に学校に行かなくなってしまい、 親もこれを改善できず、 結局、 不就学になってしまっているケースが少なくないと聞きます。
     日本語が話せず、 文化、 生活習慣の違いに戸惑う保護者に対しては、 外国人児童生徒相談員などによる通訳、 翻訳を通してカウンセリングを行い、 子供の教育に目が向けられるようにしてあげることが必要です。 また子供たちに対しては、 日本での進学や就職及びよき県民としての育成を目指して、 外国人児童生徒加配教員を中心とした学校体制を組むことが必要です。 さらに学校職員だけでなく地域の人たちと触れ合いながら、 日本語を学べる場を設けることが効果的です。
     外国人児童が急増し二割を超えた浜松市内のある小学校では、 かつてさまざな問題を抱えていたそうですが、 これらのことに取り組んだ結果、 外国人児童が安定した学校生活を送り、 落ち着いて学習に向かうようになってきたと聞いています。
     そこで、 国と連携して外国人児童生徒加配教員の配置をふやすことはもちろん、 通訳、 翻訳のできる外国人児童生徒相談員の増員や授業を担当できる支援員等の配置、 あわせて日本語や心の支援をするNPOや、 特に地域ボランティアの導入をより促進する必要があると考えますが、 教育長の所見を伺います。
     次に、 公立高等学校を目指す子供について伺います。
     平成二十年五月現在で、 県内の公立高等学校に在籍している外国人の生徒は、 全日制課程五十二校二百十人、 定時制課程二十校百五十一人の計三百六十一人です。 高等学校への進学率は、 中学校卒業者全体の進学率と比較すると依然として低い現状があります。 我が静岡県で育った外国人児童生徒の夢や希望をかなえるために、 高等学校の重要性は言うまでもありません。 既に県内公立高等学校の中には、 入学者選抜において外国人生徒選抜を実施している全日制県立高等学校が四校あると聞いています。
     そこで、 将来的に地域事情に合わせて外国人生徒選抜実施校を新規に増設したり、 定員を拡充するつもりはあるか、 また外国人生徒選抜の志願資格を、 現行の中学生段階に来日した生徒から小学校高学年段階に来日した児童にまで広げることは考えられるかを伺います。
     次に三つ目、 外国人学校の子供についてです。
     県の聞き取り調査では、 県内の外国人学校に通う子供の数は、 平成十九年十一月現在、 約二十校で二千五百人程度いるとのことです。 昨今の景気後退の影響で親が職を失い、 学校を退学せざるを得ない子供がふえているとも聞いています。
     外国人学校の大半は、 私塾扱いであり国や県からの助成を受けることができません。 本来あるべき本国政府からの支援もなく、 公立学校に比べ授業料が高い上に、 未就学の子供から十五歳ぐらいまでの子供たちが一つの教室で過ごし託児と学習が混在している学校もあり、 子供たちの就学環境は十分とは言えません。
     こうした外国人学校での教育を選択した子供たちの多くは、 入学時は本国へ帰ることを前提としていたと思われますが、 外国人居住者の定住化が進む中、 実際には多くの子供たちが県内にとどまる結果となっています。 日本で生活するためには日本語が必要であるにもかかわらず、 南米系外国人学校での日本語授業は週二時間以下が大半です。 日本での生活、 就学や就労のために必要な日本語力を身につけるには不十分な状況です。
     昨年八月、 静岡県ブラジル訪問団がブラジルを訪れた際、 石川知事がブラジル連邦共和国教育省副大臣に対し、 「日本の公立学校に教育を求めてくる児童には、 県、 市町でしっかり教育を行っていくが、 ブラジル人学校に通う児童に対しブラジル政府の責任で教育を行ってほしい」 と要請されています。 私も同感でありますが、 このままブラジル政府の教育責任を待っている間にも子供たちは日々成長しています。 中には、 日本社会に適応できずに十代の前半より社会からドロップアウトしてしまう子供が存在するのも事実です。
     そこで、 私塾と言われる外国人学校に通う子供たちについても、 日本語を初め日本で生活する際に必要な能力や知識を身につけることが必要であると考えますが、 県の取り組みをお伺いします。
     次に、 外国人犯罪被害防止と交通事故防止について伺います。
     合法的に我が国に来て定住している外国人たちは我々の隣人であり、 ともに地域社会を構成する存在です。 そうであれば彼らにも事件や事故の被害に遭わず、 平穏に暮らしていける安全・安心の社会環境が提供されなければなりません。
     県警では、 本県の外国人居住実態を見据えて、 先進的な施策として、 平成十八年度から日系定住外国人共生対策をスタートさせ、 昨年十一月には静岡県警察日系定住外国人共生対策推進要綱を定め、 共生を理念として総合対策を推進されていると聞いています。 これは静岡県に居住する外国人に対し、 我々日本人と同様に安全・安心に生活していくために、 防犯上注意すべきこと、 日本の交通ルールやマナーなどの知識を教えたり、 要望や相談に対応して犯罪被害や交通被害に遭わないようにするための施策であり、 外国人犯罪の徹底した取り締まりとともに県警の外国人に関する施策の重点事項と伺っています。
     そこで、 県警の日系定住外国人の犯罪被害防止と交通事故防止などの総括的取り組みである日系定住外国人共生対策におけるこれまでの具体的な取り組み状況と今後の展望について、 警察本部長に伺います。
     最後に、 ALT  外国語指導助手の民間活用についてお伺いします。
     国は、 話せる英語を身につけさせようと、 昭和六十二年から財団法人自治体国際化協会が運営するJETプログラム  外国人青年招致事業を通じて、 各地にALT  外国語指導助手を派遣してきました。 その数は平成十九年度に全国で一万二千四百八十三人です。 本県公立学校には二百九十五人が在籍しています。
     本県の小中高等学校で英語授業を補助するALTの採用状況を調べたところ、 JETプログラムを通じた採用を維持しつつも、 人材派遣会社などの民間に委託する県内の教育委員会がふえつつあることがわかりました。 その理由としては、 民間委託のメリットとして、 採用の手間が省ける、 人件費を低く抑えることができる、 引っ越しなどの生活の面倒を見る必要がない、 そして外国側カリキュラムの都合で二学期からしか頼めないJETプログラムより融通がきくなどが挙げられています。
     実際、 文部科学省の調査によると、 ALTの数は毎年ふえてはいるもののJETプログラムの出身者は減少傾向にあり、 平成十九年にはALT全体の約六二%がJET以外で占めているとの調査結果が出ています。 現在、 ALTの採用基準は各自治体の教育委員会に任されてはいますが、 JETプログラム以外は業者任せとなっているのが実情です。 今のところ民間業者がよい人材を安定して供給してくださっているようですが、 今後、 需要が拡大すれば質のばらつきも懸念されます。
     私は、 JETプログラムを先ほどのブラジル人児童生徒の教育問題に絡めて活用しながら、 一方で民間のよい人材もALTとして積極的に有効活用すべきだと考えますが、 教育委員会としてALTの民間活用についてどのような所見をお持ちか、 またALT採用の基準づくりを考えているのかを伺います。
     以上で私の質問を終わります。 ありがとうございました。 (拍手)
    ○議長 (天野 一君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  竹内議員にお答えいたします。
     初めに、 富士山静岡空港を活用した国際交流の推進についてであります。
     人口減少社会に入っている今日、 地球規模での人々の交流の活発化を受けて、 本県と国内外、 特に経済発展が著しいアジア諸国との良好な関係を構築することは、 本県の今後の躍進へのかぎとなります。
     富士山静岡空港の開港を機に、 本県では、 中国浙江省に加えて東アジア、 さらにはASEAN地域等との交流推進に取り組みたいと考えております。 昨年、 中国の温家宝首相が来日をされて国会で演説をされましたけども、 その際に中国の泰山、 そして日本の富士山、 これを取り上げて、 いろいろ両国の文化、 あるいは国民性についての言及がございまして、 それをきっかけにして泰山と富士山が友好山提携を結んだわけでございます。
     これまで、 実は本県、 日中友好協議会という組織はありますけれども、 その日中友好協議会が実際に重点を置いて取り組んでまいりましたのは、 中国浙江省との交流がもっぱらと言ってもいいぐらいの状態でございましたので、 今回のこの泰山と富士山との友好山提携を契機に、 もう少し組織の名前にふさわしいような中国の他の地域との交流についても視野を広げ交流の輪を広げていくと、 こういうことが必要ではないかということから、 実は日中友好協議会の理事長以下、 今年になって泰山・富士山友好山提携を一つのきっかけにして交流したいということで、 向こうの地域へ訪れまして、 今後、 具体化についてはこれからの課題になっておりますけれども、 いろいろ交流をしていこうというきっかけができつつあります。
     また、 富士山静岡空港と就航が決定をしております韓国内の自治体につきましても、 交流を拡大したいというふうに考えております。 従来、 本県は済州島との間でいろいろなやりとりがございましたけれども、 実は最近わかってまいりましたのは、 韓国の南西部にあります全羅南道というところが浙江省と友好提携をしているということがわかりまして、 しかもこの全羅南道は、 お茶の韓国一の産地であるということ、 それからまた桜の名所であるというようなことなど、 本県とのいろんな共通点も見出されるようになりました。 将来的にはその全羅南道にもある空港が国際化するという話もございますので、 そうすると浙江省との関係も視野に入れていきますと、 中日韓の地方レベルでの三点交流といいますか、 そういう余り今までに聞いたことのないような交流もできるかもしれないと、 こういう感じで今研究をしております。
     たまたま、 けさ、 浙江省の防災担当組織と本県の防災局が、 これからの防災に関する相互援助協定を結びまして、 その調印に来られた向こうの責任者にもけさお会いしたんですが、 実はこの静岡の訪問終わったら、 その足で全羅南道へ行って、 やはり同様なことについての話をしてくるというようなお話がございました。 そうなりますといろいろな面での接点が全羅南道ともできそうでありますので、 こういうところもこれから交流をしていく価値があるんじゃないかというふうにも考えて、 いろいろ調査をさせております。
     このほか、 この国際交流は県が先頭に立ってやるばかりではなくて、 市民レベルとか市町村段階での交流も非常に意味がございます。 既に本県内の市町村は、 アジア地域に限らずかなり広範な外国の自治体との交流をしておりますけれども、 特にアジア地域については、 これまで比較的交流対象が少ないというようなこともございますので、 市町村、 あるいは民間団体にも積極的な情報提供、 あるいは橋渡し役も務めていきたい。 それによっていろんなレベルでの交流の拡大を実現していきたいと思っております。
     手始めと言ったら何でありますけども、 現在、 そのような橋渡し役を務めて話が進みつつありますのは、 浙江省の紹興県と菊川市が、 今、 提携をしたらどうかという前提のもとに、 相互にいろいろ調査などをしておるという状態が出ております。
     今後、 東アジア地域から本県内の市町村との交流を望む同様の要請も受けておりますので、 交流の実現可能な分野や地域を十分調査検討して、 その成果が上がるように市町村等に対して支援に取り組むつもりでございます。
     次に、 多文化共生社会の実現についてのうち、 多文化共生推進基本計画の策定についてであります。
     ことし九月の静岡県多文化共生推進会議の提言を踏まえて、 多文化共生社会の実現に向けた県の取り組みを一層推進するために、 基本計画の策定などを内容とする条例案を本議会にお諮りをしているところであります。
     外国人住民との共生をめぐっては、 言葉や文化の相違、 あるいは日本語能力の不足などから発生する生活面での摩擦や誤解など多くの課題が指摘をされております。 この点は竹内議員御指摘のとおりであります。 基本計画は、 こうした課題に対応して多文化共生の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、 施策を推進する体制の整備を初め、 日本人と外国人住民がお互いに理解を深めながら防災訓練など自治会活動を一緒に行う多文化共生の地域づくり、 また外国人児童生徒に対する日本語学習の支援など、 課題ごとの取り組みについて、 市町村や関係団体を含め多くの県民の御意見を伺いながら取りまとめていきたいと考えております。
     多文化共生社会を実現するためには、 国や県、 市町村、 関係団体がそれぞれ役割分担の上、 連携して取り組む必要があります。 県といたしましては、 知事部局を初め教育委員会や警察本部の関係部局が、 さらに連携を強化して、 総合的、 一体的に取り組みを進めていく必要があると考えておりますので、 それを円滑かつ効果的に実施、 そういう体制をうまく取りまとめられるような全庁的な推進体制、 これを検討してまいりたいと考えております。
     また、 そのほか多文化共生社会を実現していく上では、 最近ふえる傾向にあります外国人留学生、 これにも着目する必要があると思います。 最近、 日本全体もそうでありますし、 本県にも外国人留学生がふえる傾向にあります。 この背景には、 日本に留学して、 日本企業、 日系企業を中心に日本もしくはそれぞれの母国において就職のチャンスが広がりつつあると、 日本企業もしくは日系企業がそういう卒業生を採用する、 そういう傾向が以前よりも顕著になってきたということが原因しているのではないかと思われる節があります。
     その人たちは、 日本に留学した成果を生かして、 日本とのかかわりを極端に言ったら生涯持ち続ける可能性もありますし、 あるいは日本に定住するとか、 あるいは日本国籍を取るとか、 あるいは日本と母国とのいろんな形でかけ橋になると、 こういうことが期待されますし、 現にそのような存在が県内でもあちらこちらに見えてくるようになりました。 したがって今後は、 県内の大学や大学院へいかに留学生をふやしていくか、 各大学ともこの面に力を注ぎつつありますので、 その面への県としてのいろいろ支援あるいは協力ですね、 これも必要ではないかというふうに思います。 多文化共生社会を円滑に実現していく上での一つのポイントではないかというふうに注目し、 これにも取り組んでいく必要があると考えております。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長 (天野 一君)  衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  堀留川の治水対策についてお答えいたします。
     堀留川流域は、 緩い勾配の川沿いに人家が連なる浸水常襲地帯であることから、 下流で合流する新川の川幅を広げ堀留川の洪水を流れやすくする対策や、 雨水を一時的に貯留する調整池などの整備を浜松市とともに進めてまいりましたが、 治水安全度はいまだに低い状況にあります。
     このため、 堀留川の改修を進めてまいりますが、 議員御指摘のとおり、 当流域は市街化の進展が著しく川幅を広げる改修では多くの家屋移転が生じるなど、 地域社会に与える影響が大きいと考えられるため、 ことしの五月に流域の住民の方々などから成る堀留川を考える住民会議を設置し、 これまでに会議や現地調査など計八回開催したところであります。
     この会議において、 河道拡幅の難しさやこれにかわる放水路や遊水地の設置、 潤いのある水辺づくりなど、 多岐にわたる貴重な御意見をいただいておりますことから、 これらの意見も参考にしながら、 改修計画の取りまとめを行い、 平成二十一年度を目途に策定を進めております河川法に基づく都田川水系河川整備計画に位置づけてまいりたいというふうに考えております。
     県といたしましては、 河川整備計画に基づきまして河川改修を着実に実施するとともに、 適正な土地利用の誘導や雨水流出を抑制する施策などを浜松市と連携して展開するなど、 まちづくりと一体となった総合的な治水対策に取り組み、 堀留川流域の治水安全度の向上に努めてまいります。
    ○議長 (天野 一君)  稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長 (稲津成孝君)  多文化共生社会の実現についてのうち、 初めに雇用適正化憲章の制定についてお答えいたします。
     平成二年の入管法の改正により在留資格が緩和され、 一定の在留期間の制限はあるものの就労制限がないことから、 派遣や請負労働者としての日系外国人が県西部地域を中心として増加してまいりました。 昨年度実施いたしました調査において、 外国人労働者の雇用の実態が明らかになってきたところであり、 県といたしましては、 本年度、 この調査結果とともに外国人の労働環境の実態とその改善の必要性について、 企業の理解の促進を図っているところであります。
     さらに、 個々の企業が外国人労働者の適正な雇用と日本社会への適応の促進を自主的に実施していただく上で、 その趣旨をうたった憲章の制定が有効な策の一つと考えられますことから、 今後、 経済団体や商工団体とも調整の上、 雇用適正化憲章の制定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
     次に、 外国人の子供教育についてのうち、 外国人学校の子供についてであります。
     県内の外国人の滞在が家族を伴い長期化する定住型へ移行することにより、 外国人学校の児童生徒につきましても、 日本の生活習慣や文化への理解とともに日本語の習得が必要になってきております。 こうしたことから、 県では、 平成十九年度から外国人学校三校に日本語指導ボランティアを派遣するモデル事業を実施するとともに、 本年度からブラジル人国際交流員を一名増員して二名体制とし、 県内の南米系外国人学校の実態把握や教育制度の比較研究など課題解決に向けた取り組みを進めているところであります。
     今後、 外国人学校における日本語指導ボランティアの派遣について、 関係の市町村や団体との連携を強化しながら進めてまいりますとともに、 子供たちが日本で生活する際に必要な能力や知識を身につけられるよう、 ブラジル人国際交流員を通じて、 子供たちの親に対して日本の教育制度や生活習慣についての理解を促すなどの取り組みを行ってまいりたいと考えております。
    ○議長 (天野 一君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  多文化共生社会の実現についてのうち、 外国人の子供教育についてお答えいたします。
     まず、 公立小中学校における子供についてでありますが、 外国人児童生徒が増加し続けている現状を踏まえ、 外国人児童生徒のための支援加配教員の配置につきまして、 来年度に向け、 国に対し加配をふやすよう要求を行ったところであります。
     相談員や支援員の人的配置及びNPOや地域ボランティアの導入等の人的支援につきましては、 本来的には設置者である市町村が対応すべきことではありますが、 現在、 県が行っている外国人児童生徒教育支援モデル事業の成果の共有化に努めるとともに、 生涯学習審議会での審議結果を踏まえ、 具体的な対応を進めてまいりたいと考えております。
     次に、 公立高等学校を目指す子供についてであります。
     外国人生徒選抜は、 当該高等学校の教育を受けるに足る学力は有しながらも、 来日後間もないために日本語能力が十分身についていない外国人生徒への配慮から実施している制度で、 学力検査のかわりに日本語基礎力検査を実施することによって合格者を決定しております。
     県立高等学校四校の全日制で実施している外国人生徒選抜においては、 各校若干名の募集のところ、 最近の三年間では制度を導入した当初の約二倍に当たる三十人が合格しており、 また公立高等学校全体においても、 外国人生徒数はこの五年間で約一・七倍に増加しております。
     今後は、 中学校において日本語指導が必要な外国人生徒数が増加していることも考慮し、 地域の状況や生徒及び保護者の希望を把握した上で、 外国人生徒選抜実施校の拡大について、 できるだけ早い時期に実施できるよう取り組んでまいります。 また志願資格における条件の緩和についても、 第六期県生涯学習審議会中間提言での報告等を踏まえ、 検討してまいりたいと考えております。
     次に、 ALT  外国語指導助手の民間活用についてであります。
     県教育委員会のALTの雇用については、 平成十七年度に民間活用の可能性を模索し検討いたしましたが、 JETプログラムの場合には、 確かな人材を採用できるという面や地方交付税措置があり財源が確保されていることなどから、 現時点では民間活用を行っておりません。
     市町村のALTの雇用につきましては、 当該市町村が地方交付税交付団体であるか否か、 また外国との姉妹都市であることを利用して個人契約を行えるかどうかなど、 市町村の置かれている状況に違いがあるため、 質の確保も含めて市町村の実情に応じた方法で雇用を進める必要がありますので、 県としての基準づくりは現段階では難しいと考えております。
     議員御指摘のJETプログラムをブラジル人児童生徒の教育問題に絡めて活用することにつきましては、 ブラジルは英語圏ではないためブラジル人青年をALTとしては雇用できませんが、 ブラジル人であっても招聘できるCIRと呼ばれる国際交流員の活用について今後検討してまいります。
    ○議長 (天野 一君)  原田警察本部長。
            (警察本部長 原田宗宏君登壇)
    ○警察本部長 (原田宗宏君)  多文化共生社会の実現のうち、 外国人の犯罪被害防止と交通事故防止についてお答えいたします。
     県警察では、 将来にわたって良好な治安環境を確保していくとの目的のもとに、 日系定住外国人との共生対策を推進しておりますが、 これらの外国人が犯罪被害や交通事故に遭わないようにするための施策も重点の一つであります。
     具体的な取り組みといたしましては、 例えば外国人世帯に対しまして、 通訳人を同行して日本人世帯と同様の巡回連絡を実施し、 防犯指導などを行いながら外国人住民からも困りごとや要望などを聴取しております。 また日系ブラジル人女性を外国人交通安全教育指導員として任用し、 外国人学校や外国人が働いている企業に出向いて交通安全教室を開催するなどの活動を進めております。
     さらには、 外国人少年の健全育成のため、 外国人少年補導員などと協力し、 外国人学校において非行防止教室や薬物乱用防止教室を開催するなどの活動も進めているところであります。 このほかにも、 警察活動を正しく理解してもらうため、 県警ホームページのポルトガル語コーナーの充実や外国メディアへの広報素材の提供、 さらには外国人児童にエスピー広場や一一〇番センターを見学してもらうなどの活動も行っております。
     今年度は、 大学教授、 自治体関係者、 日系ブラジル人など多文化共生に精通した六人を日系定住外国人共生対策アドバイザーとして委嘱し、 県警察が行う共生対策の取り組みなど視察していただき、 さまざまなアドバイスを受け、 より外国人の立場を考慮した共生対策の推進に努めているところであります。
     また、 犯罪で検挙された外国人について、 日本語能力などさまざまな観点から分析し、 外国人が非行や犯罪に陥らないための施策を講ずる参考にしていただくなど、 他機関との情報共有と協働にもより一層努めてまいります。 さらに当面の問題として、 雇用情勢とその影響について他の機関とともに注意深く見守っていく必要があると考えております。
     日系定住外国人共生対策の推進は本県における安全・安心まちづくりを実現していく上で重要な警察活動の一つであると位置づけ、 今後も関係機関・団体と緊密な連携を図りながら各種施策を推進してまいる所存であります。

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