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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

植田 徹 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/25/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 富士山の世界遺産登録を受けての今後の取り組みについて      
 (1) 富士地域の内陸フロンティアの振興               
 (2) 新富士駅と富士駅との接続                   
 (3) 田子の浦港を活用した地域振興                 
2 富士地域におけるファルマバレープロジェクトの推進について                               
3 健康長寿日本一に向けた生活習慣病対策について          
4 岳南地域の工業用水について 


○副議長(渥美泰一君) これで曳田卓君の質問は終わりました。
 次に、五十五番 植田 徹君。
       (五十五番 植田 徹君登壇 拍手)
○五十五番(植田 徹君) 私は自民改革会議の所属議員として通告に従い、知事、関係部局長並びに企業局長に当面する県政の諸課題について伺います。
 まず初めに、富士山の世界遺産登録を受けての今後の取り組みについてのうち、富士地域の内陸フロンティアの振興について伺います。
 六月二十二日待望の富士山世界文化遺産登録が決定をいたしました。私自身、地域の一人としてまた県民の一人として長年の思いが現実のものとなり、大変うれしく思います。日本の宝から世界の宝として認められた富士山は、四季折々にその美しい姿を見せ日本人のみならず世界の人々の憧れとなることは間違いありません。
 この世界遺産となった日本のシンボル霊峰富士を仰ぎ見ることができる富士地域には、大渕のお茶、シラスを初めとするさまざまな地域資源があります。さらに昨年新東名高速道路が開通し、またことしの二月十五日には内陸フロンティアの総合特区が富士地域を含め指定をされましたことにより、富士地域のポテンシャルは飛躍的に向上しました。
 新東名の新富士インターチェンジ周辺は、富士山への本県の新たな玄関口であり、また田子の浦港など駿河湾港に直結する物流の拠点となり得る地域であります。まさに防災・減災と地域成長を両立させる内陸のフロンティアを拓く取り組みのモデルそのものであります。また個人的には、交通アクセスの点からも現在選定が進められている富士山世界遺産センターの候補地としても富士市から推薦があってしかるべき、魅力ある地域と考えているところであります。
 しかしながら新富士インターチェンジ周辺を取り巻く環境の大きな変化と実際の動きには、大きな差があるように思えてなりません。確かに地域主導で進められているインターチェンジ周辺の区画整理事業は着実に整備が進んでいるものの、企業の新規立地が進んでいるとは言えません。
 また、世界文化遺産に登録された富士山への観光客の増加が見込まれるものの、新東名には富士山を間近に望む休憩施設はありません。インターチェンジをおりた車の大半は西富士道路を通って山梨方面へ向かっており、新東名開通の恩恵は感じられません。潜在的な力があるだけでは地域の発展につながりません。その潜在的な力を開花させていかなければならないのであります。
 そこで、これら富士地域の資源を生かし地域成長を実現する内陸フロンティアのさらなる推進には県の強力なリーダーシップが必要だと考えます。知事の所見をお伺いいたします。
 次に、新富士駅と富士駅の接続について伺います。
 富士山が世界文化遺産に登録されたことで富士山を訪れる観光客は既に増加をしておりますが、今後さらに国内外から多くの来訪者が見込まれます。将来にわたりより多くの人に富士山を見てもらうためには、静岡県の空の玄関口となる富士山静岡空港から富士山までスムーズに移動できるような交通手段を提供していく必要があります。その重要な役割の一つが新幹線新駅であります。私は本会議でこの新幹線新駅の質問を延べ五回させていただきましたが、先日の知事答弁でもある程度理解をいたしました。難しい問題であるということであります。
 空港と直結した新駅から世界に誇る高速鉄道の新幹線で富士山の麓、新富士まで短時間に移動ができるようになります。またこの間、空港や新幹線の車窓からも美しい富士山を堪能することができるのであります。このような空港と新幹線駅の結節は、ほかの空港にない優位性を備え来訪者の利便性向上に大いに寄与するものであります。例えば愛知県側が新幹線上りであります。神奈川県の方々は下り線であります。新幹線に乗りさえすればおりた駅の真上が空港。最高であります。類を見ない空港になります。私の夢は膨らむばかりであります。
 さて一方、新幹線で富士山を訪れる際、利用する新富士駅ですが在来線とつながっておりません。先ほどの例えばの話でありますが、私の夢の中に、各それぞれの新幹線の駅がございます。それぞれ新幹線の駅には改札口があります。例えば一番改札は空港専用改札であります。空港専用改札を通過する。そこで既に搭乗手続開始。一番閉口しているのは国際線。短くても二時間前に空港に着かなければならない。この問題を解消させるのがこの新幹線新改札であります。特殊改札を通過した段階で搭乗手続開始。これは待ち時間の大いなる解消につながるものと私は思います。
 そして、ここでお尋ねをしたいのが私の地元富士市の新幹線新富士駅と東海道線富士駅の結節、接続の問題であります。このことも何度も県議会において質問をさせていただいているところであります。この駅は昭和六十三年三月に開業をいたしました。新幹線新富士駅の整備には地元の富士市はもとより富士宮市、旧芝川町、山梨県の峡南地域、そして西伊豆の皆様からも寄附金をいただいております。身延線の延伸等によるアクセス整備が期待されておりましたがいまだ実現をしておりません。多くの観光客が来静することが想定される中、現在の新幹線新富士駅と東海道線富士駅との交通アクセスは、路線バスやタクシーによるものであり輸送能力の点からも問題があり、交通アクセスの利便性向上は観光産業を初めとする産業振興の観点からも重要な課題と考えております。
 これまでも富士市を中心にDMV、いわゆるデュアル・モード・ビークルシステムなどが検討されております。私は新富士駅と富士駅の連結手法として身延線の延伸が最もよいのではないかと考えておりますが、これ以外にもバス専用道路を用いて通常の路線バスよりも高速に運行して定時性を確保できるBRT――バス高速輸送システム――や東京大学に実験線が整備されており、整備費用や運転にかかるコストが安く輸送能力も高い省エネ型公共交通システムであるエコライドシステムも視野に入れて検討すべきと考えております。
 地元富士市が主体となって検討する課題ではありますが国際的な観光圏域を形成するためにも、また富士山の裾野である岳南地域全体の活性化の観点から県のリーダーシップを期待されるところであり、県の所見をお伺いいたします。
 次に、田子の浦港を活用した地域振興について伺います。
 日本一の富士山を望むビューポイントは県内外に数多くあり、富士見坂や富士見台などの地名も各地にあります。しかし富士山はただ眺めるだけのものでなく日本人の心のよりどころであり、日本人の文化の源泉であると言っても言い過ぎではありません。
 海岸から仰ぎ見る富士山の雄大さを実感できるビューポイントが田子の浦港にあります。田子の浦港では、ふじのくに田子の浦みなと公園の整備が進められており、平成二十四年三月には公園のシンボルとして山部赤人の万葉歌碑が富士埠頭から移設をされました。山部赤人が富士山を望んで歌った「田子の浦ゆうち出でてみればま白にぞ富士の高嶺に雪は降りける」。この歌は多くの日本人の心に刻まれており、田子の浦港の地を富士山の絶好の展望地として全国に知らしめる上で大きなセールスポイントとなっております。この公園は、先日も田子の浦みなと祭りのメーン会場となるなど地域の憩いの場としてだけでなく、観光拠点としても十分にアピールできるものとなっており、完成を心待ちにしているところであります。
 田子の浦港は、製紙、紙パルプや食品加工などの地域産業の物流拠点として重要な役割を果たしておりますが富士山が世界文化遺産として登録された今日、観光客を受け入れる玄関口としての活用も図っていく必要があります。港の周辺には、東海道五十三次の名所としても有名な左富士や宿場町の吉原商店街、名物料理として人気のシラス丼などの観光資源があり富士山世界文化遺産の構成資産を組み込んだ観光ルートの形成も期待ができます。
 今後は富士山と駿河湾を一体的に眺望できる観光船の誘致を図っていくべきであります。観光船の誘致は地元の市や観光関係者の取り組みが重要でありますが、田子の浦港には大型客船の入港ができないということで、これまでは地元の盛り上がりが見られませんでした。しかし大型客船でなくとも観光船を誘致することで、これまでなかった新たな観光ルートが開設されることは大きな意義があると考えます。
 そこで観光船の誘致による田子の浦港を活用した地域振興について、県の考え方をお伺いいたします。
 次に、富士地域におけるファルマバレープロジェクトの推進について伺います。
 国では現在、アベノミクス三本の矢と呼ばれる金融政策、財政政策、成長戦略を推進することとし、ことしの六月には成長戦略として日本再興戦略、これを閣議決定いたしました。この戦略では、健康長寿産業を戦略的分野の一つに位置づけ健康寿命延伸産業や医薬品・医療機器産業の発展に向けた政策が掲げられております。
 一方静岡県では、早くから医療健康産業の成長性に着目し、平成十四年度には県東部地域を中心に産学官が連携して医療健康産業の集積を目指すファルマバレープロジェクトをスタートし、文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業の採択を受け、がん等の診療法や診断薬の開発に大きな成果を上げ十年を経過した現在、金融機関の参加も得て医療健康産業への地域企業の参入による事業化、製品化が着実に進んでおります。
 また、平成二十三年度にはふじのくに先端医療総合特区の指定を受け、国から医療機器等の研究開発に係る財政支援や地域企業が機器開発等を目的に融資を受ける際の利子補給への支援、さらには医療産業分野へ参入する際の薬事法の規制緩和が受けられることとなり、地域企業はもとより関係する商工団体、金融機関、市町等によるプロジェクトへの意識と期待はさらに高まっているところであります。
 こうした中にあって富士地域は、製造業許可施設数が医薬品については県全体の二六%、医療機器については一三%と県下においても医療関連企業が多く立地している地域であります。また富士市と商工団体とが連携して、医療ニーズや技術情報の提供及び関係者同士の交流を目的とする富士山麓医療関連機器製造業者等交流会を開催しております。交流会には医療健康産業へ参入を希望する企業が多数参加するなど活発な活動を展開しております。このようなことからファルマバレープロジェクトは、今後の富士地域の地域経済を牽引する原動力になると確信するものであります。
 そこで、富士地域におけるファルマバレープロジェクト推進のために今後どのような取り組みを行っていくのか知事の所見をお伺いいたします。
 次に、健康長寿日本一に向けた生活習慣病対策について伺います。
 厚生労働省がことし二月二十八日に発表しました二〇一〇年の都道府県別生命表によりますと、男女とも平均寿命では長野県がナンバーワンとなっております。長野県は公衆衛生の先進県の一つであり、地域医療にも大変力を入れていると聞いております。また高齢者の就業率が高く、さらに公民館活動が盛んで生涯学習に力を入れているということもその理由であると言われております。
 一方で厚生労働省では、平均寿命とは別に介護を受けたり、病気で寝たきりになったりせずに自立して健康に生活できる期間を指す健康寿命を重視しており、昨年厚生労働省が公表しましたデータをもとに県が算出した結果では、本県は男女計で全国一位となっております。そして国が進める健康日本二十一第二次計画においては、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加を目標としていることから、健康づくり施策を強力に進め健康寿命の延伸を図ることが重要と考えております。
 このような状況で東部地域の玄関口である富士市においては、平成二十二年度特定健診のデータ分析によりますとメタボリックシンドローム該当者、肥満者、高血圧有病者の割合が男女とも県平均と比べて有意に高いことが判明しており、県内各地域の実情に合わせた具体的な健康づくり対策が必要であると考えるところであります。
 県では、生活習慣病の発症を防ぐためにこれまでも県民に望ましい生活習慣の確立を促してきていることは承知をしているところでありますが、県の生活習慣病対策は、現在どのような取り組みを進められており今後どのように展開をしていくのかをお伺いいたします。
 最後に、岳南地域の工業用水について伺います。
 富士市の基幹産業であります製紙業は、世界遺産に登録された富士山の恵みであります豊かな地下水に支えられ大きく発展してきたところであります。また産業としての裾野は富士山のごとく広く運輸、物流などの関連産業の発展を促し岳南地域の振興に大きく寄与してまいりました。
 しかしながら近年の製紙業を取り巻く状況を見ますと景気の低迷や紙需要の減退、海外からの安い紙製品の輸入増加等により国内の紙製品の生産は減少傾向にあります。輸入増加に押され厳しい経営を余儀なくされた製紙業界では、より一層コストダウンにしのぎを削り激しい価格競争が進む中で最近では円安に伴う原材料、燃料コストの上昇も重なり我が富士市における製紙業もかつてない経営危機に直面しております。
 国内に複数の工場を持つ大手製紙企業では、工業用水料金等の費用が少しでも安い工場へと生産の拠点を移すなど生産体制の再構築により生き残りをかけております。富士市内でも一昨年に大手企業の生産規模が大幅に縮小され、私も地域の活気が日に日にうせていくのを目の当たりにしてまいりました。またさらなる事業規模の縮小や撤退を懸念する声もあり、関連産業への影響を考えますと地域経済の先行きに大きな不安を覚えます。
 このような状況を打開する一つの方策として工業用水道料金の低廉化により製紙企業の経費負担が軽減できれば、岳南地域での事業継続を促す一因となるのではないでしょうか。昨年六月定例会でも提案をいたしました工業用水道料金の低廉化策の一つとして、例えば大深度の地下水を利用してはどうか。従来の井戸に比べ深い深度五百メートル程度の地点の地下水を利用するもので、これを既存の工業用水の配管を活用して安価に供給することができれば、富士山の伏流水で栄えた岳南地域の製紙業の復活にもつながるものと考えられ、私としてはぜひ研究をして実現してほしいと考えております。
 さて、富士川工業用水道及び東駿河湾工業用水道の二つの工業用水については、昨年度から二部料金制度を導入したことにより受水企業の実質的な費用負担が軽減され工業用水道協力会からも感謝の言葉が聞かれておりますが、一方でより一層の料金値下げを望む声があるのも事実であります。また工業用水道の多くは昭和四十年代に給水を開始しており、今後老朽化に伴う施設の全面的な更新が必要となります。富士川を渡る大きな水管橋や管の直径が二・二メートルもある巨大な管路など大規模な施設の更新ともなればその費用も莫大でそうした更新費用を賄う十分な資金が確保されなければ、将来の工業用水道料金にはね返ることが懸念されます。
 今、富士市において重要なことは、製紙業を初めとする企業が事業を継続できる魅力のある地域づくりを進めることであり、既存企業の流出を食いとめるためにも現行の工業用水道料金の見直しとともに将来的にもより安価な料金となるよう施設の更新整備を行う必要があると考えます。
 そこで、富士市の基幹産業である製紙業を市内にとどめ、岳南地域の活性化に資する安価な工業用水の安定的な供給を図るために料金見直しや施設更新についてどのように取り組んでいくのか、企業局長の所見を伺い、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 植田議員にお答えいたします。
 初めに、富士山の世界遺産登録を受けての今後の取り組みについてのうち、富士地域の内陸フロンティアの振興についてであります。
 富士山が世界遺産登録いたしまして富士山は、日本の宝から世界の宝になったわけでございます。その富士の名を冠する富士市は、いわば日本の富士市から世界の富士市になり得るとも言えます。新東名高速道路も開通いたしました。富士山の美しい景観と恵まれた産業、観光の資源を有する富士市は、極めて高い発展の可能性を有していると認識しております。
 こうした中、内陸のフロンティアを拓く取り組みにおきまして富士市では、いち早く新富士インターチェンジ周辺の物流拠点の創出と富士山を眺望する観光拠点の整備をモデル地区として取りまとめられ、特区に指定されたところでございます。新富士インターチェンジの周辺事業につきましては近々、土地区画整理事業の土地管理組織が設立され、企業の引き合いも厳しいという御認識を植田議員お持ちのようですけれども、それなりにあるというふうに承知しております。県といたしましては、企業立地の助成制度などを活用して富士市と連携をしながら積極的に支援をしてまいりたいと思っております。
 観光面についてでありますけれども高速道路というのは名前のとおり、高い速度で速く移動するというための道路であります。しかしながら新東名の渋滞がない中、SA、PAなどが混雑しているという状況に照らして、やはりこの高速道路におきましても観光という観点が重要であるということでございます。議員御指摘のとおり新東名高速道路には、富士山を眺望できるサービスエリア、パーキングエリアがありません。やはり時代のニーズというものを建設当時には把握していなかったのではないかと思います。
 一方、東名におきまして富士川楽座がにぎわっているのは、眼下に富士川がそして富士山を眺望できるというその利点が多くのドライバーたち、またドライブを一緒に楽しんでいる方たちに愛されているからだと思います。そうしたことで私どもも、地元の方々またはNEXCO中日本に働きかけまして、今、観光拠点を計画中でございます。富士山を間近に一望できるすばらしい立地環境、これを利用して多くの方の利用を期待したいということで、現在ニーズ調査や交通アクセスの改善の検討などに積極的に取り組んでいるところです。
 さらに、富士市や関係団体により設立が予定されている総合特区推進協議会におきまして、整備手法の検討など計画の具体化を進めてまいりたいと。そう遠くない将来にどういうものかということを御発表できるのではないかと思っております。特に観光施設につきまして。
 特区に指定された二つの地域以外にも富士市は、防災・減災と地域成長を両立させる内陸のフロンティアを拓く取り組みを進めるにふさわしい環境と資源に恵まれています。内陸フロンティアのトップランナーとして、さらなる事業展開が図られますように県としてもこれまで以上に地元と十分に連携しながら全力で取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、富士地域におけるファルマバレープロジェクトの推進についてであります。
 ファルマバレープロジェクトは、平成二十三年のふじのくに先端医療総合特区の指定に加え国に申請しておりました地域イノベーション戦略推進地域が今月国際競争力強化地域に選定されました。高い評価が得られているのであります。これまでプロジェクト推進地域内では、二十九社が医療健康分野へ参入し五十五件の製品が生まれております。富士地域におきましては、大手医療機器メーカーと地元企業とのマッチング、地域企業の参入事例を紹介するセミナーの開催などを支援しております。また富士山麓医療関連機器製造業者等交流会におきましては、六十社を超える企業が参加され富士工業技術支援センターなどと連携を図りながら医療機器等の新製品・新技術の開発などに取り組んでいます。
 こうした取り組みの中から新規に七社が医療健康分野に参入することとなりました。そして点滴の注入速度を自動的に管理する機器や見守りセンサーと言われるベッド上での要介護者の急変を検知する機器が製品化されております。今年度は、富士工業技術支援センターによる先ほどの見守りセンサーの改良版の開発や国の総合特区制度を活用した支援によりまして、地域企業が皮膚がんの診断装置や注射器からの注入量や速度を精密に検査する装置の開発を進めるなど富士地域における取り組みは着実に進展しております。
 私どもといたしましては、地域イノベーション戦略推進地域に対する国の支援制度を活用いたしましてファルマバレーセンターによるコーディネート活動をより一層活発化させてまいります。また富士市が主催される交流会との連携を強化いたしまして、富士地域の企業の製品化や販路拡大等の支援を積極的に行うつもりでございます。
 平成二十三年の本県の医薬品・医療機器生産額は、前年から一千二十八億円ふえまして九千三百四十四億円であります。一千億円以上になりました。平成二十二年も日本一、平成二十三年も日本一であります。間もなく平成二十四年の数値が出てくると存じます。すなわちこれを一兆円産業に拡大させ本県が世界に誇る医療健康産業の集積地域となるように取り組んでまいります。
 この健康産業というのを我々は新成長産業の重要な分野だというふうにみなしておりまして、本県にございます二十万余りの事業所の持っておられる技術力、これをこうした新成長産業に転用していく、そのような支援を積極的に行っているところでございます。
 その他の御質問につきましては関係部局長から御答弁申し上げますが、一点議員がすばらしい夢をお語りいただきまして、それに触発されて一言私も申し上げます。
 新富士駅と在来線の富士駅との接続にかかわることでございますが、これは昭和六十三年に新富士駅ができて以来懸案になって、もう既に四半世紀が経過しております。この間いろいろな提案が出されました。先生からも先ほど新しい提言も承りましたが、それにかかる費用はどれぐらいになるのかということもあわせて考えねばなりません。
 さて、新富士駅ができる前後におきまして、やはり在来線と新幹線とが交差するところが候補地になったと承知しております。それはかなり東側に、現在の新富士駅より東側にございますけれども、田子の浦にも近いということでございます。仮にそこに新駅ができるかどうか、その場合のコストがどのぐらいかかるか。それと現行の新富士並びに富士駅との接続とのコストを比較をしてみる価値はあると思っております。
 これはもちろんJR東海との友好関係がなければ一切できません。つい二週間ほど前のことですけれどもJR東海の最高責任者から電話がありまして、リニア新幹線――正式には中央新幹線ですが、その件に対する県の協力に対して大変感謝しているという言葉がありました。つまり我々は今、貸しをつくることができる状況になっているのです。そうしたことが富士山空港駅をつくるということを可能にするわけですが、場合によっては新富士駅と富士駅の間を接続することだけでなくて、例えば仮称富士見駅とか、新しく富士山が世界文化遺産になったということを踏まえまして、そうした方々を念頭に置いたそういう新駅のことも構想はしておいていいだろうと。
 これはリニア新幹線ができてからの話になりますから。ですから今の状況で新駅のことを言っても全く相手にされません。しかしできてからやるとなるとまた大変でございますから、まだ恩義を感じていらっしゃる間に我々としては考えることはできるというふうに思っておりまして、私もあそこを視察いたしまして可能性を感じたところでございます。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(渥美泰一君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 富士山の世界遺産登録を受けての今後の取り組みについてのうち、新富士駅と富士駅との接続についてお答えをいたします。
 富士山の世界遺産登録により来訪者の増加が見込まれる中、新幹線新富士駅と東海道線富士駅の接続は、富士地域の観光産業や地域経済の活性化ばかりでなく県全体の交通体系を考える上でも大変重要な課題であります。
 身延線の新富士駅までの延伸については、これまでも富士市を初めとする沿線市町がJR東海に要望していますが、用地取得や多額の建設費負担、利用客の確保など多くの課題があるとして実現に至っておりません。
 一方富士市は、平成二十一年度に富士市総合都市交通戦略を策定し、新富士駅・富士駅間を含む新しい交通システムの導入を検討しておりますが、今年度改めて都市交通戦略における交通の軸の設定や交通手段のあり方について再検討すると伺っております。
 県では富士市が設置する公共交通協議会などの場におきまして、BRT――バス高速輸送システム――やエコライドシステムなどに関する情報提供や広域交通体系の観点からの助言をするなど新たな交通システムの導入などの検討に積極的に参画し、協力をしてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 富士山の世界遺産登録を受けての今後の取り組みについてのうち、田子の浦港を活用した地域振興についてお答えいたします。
 富士山が世界文化遺産に登録されたことにより、今後国内外を問わずより多くの観光客が静岡県に訪れることが期待されているところであります。田子の浦港は富士山の全景を海から眺めることができ、その美しさを世界へ発信する絶好の富士見の地であります。県では港内のしゅんせつ等、田子の浦港の整備を進めてきており、全長がおおむね二百メートルまでの観光船の入港が可能となっております。また現在、富士山を仰ぐ風光明媚な港内にふじのくに田子の浦みなと公園を整備し、地域のにぎわいづくりを図っているところであります。
 観光船の誘致は地域振興につながる有効な手段であり、その実現には地域の多様な観光資源と港とを結ぶ新たな観光ルートを形成するなど地元における地域の魅力づくりや情報発信などが大変重要であります。
 県といたしましては、富士市が今後地元観光団体等と連携して、田子の浦港への観光船誘致に取り組む意向であることから、その活動を積極的に支援してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 健康長寿日本一に向けた生活習慣病対策についてお答えいたします。
 生活習慣病の発症予防対策においては、県民一人一人が主体的に食生活や運動などの生活習慣を見詰め直し、改善すべき点は改めそれを継続することが基本であります。しかしながら個人の力だけでは限界があることから、地域や企業、民間団体等の多様な主体が発症予防対策に取り組むことが重要であります。
 そこで県では、市町や医療保険者の協力を得て昨年度までに県内四十九万人の特定健診データを分析し、保険者別地域別に高血圧有病者や習慣的喫煙者等の健康課題の見える化を行い、その結果を市町等にフィードバックしそれぞれが個別の課題を把握し、解決へつなげるように支援を行っております。
 特に富士市など東部地域では肥満者や高血圧有病者の多い状況に危機感を持ち、多くの市町や企業が本県独自の健康長寿プログラムふじ三三プログラムを取り入れた健康づくり事業や県民の自発的な健康づくりを促す健康マイレージ事業に積極的に取り組むなど生活習慣病の発症予防対策を開始しております。
 県といたしましては、事業説明会や研修会等の開催を通して市町や企業等との連携を一層強化し、ふじ三三プログラムや健康マイレージを柱とするふじのくに健康長寿プロジェクトを県内全域に展開していくことで一人でも多くの県民の皆様が、みずからの手で望ましい生活習慣を実践していただけるよう働きかけてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 白井企業局長。
       (企業局長 白井 滿君登壇)
○企業局長(白井 滿君) 岳南地域の工業用水についてお答えいたします。
 富士川及び東駿河湾の両工業用水道事業におきましては、製紙業を初めとする受水企業の皆様からの強い要望を受け、昨年度から節水努力が経費節減に反映される二部料金制を導入したところでありますが、この影響もありまして平成二十四年度決算の損益は、黒字は確保できるものの、前年度に比べ約三億円減少する見込みであります。
 また、今後十年から十五年の間に管路等の多くの施設が耐用年数を迎え全面更新が必要となりますが、現状と同規模の施設を維持しようとする場合、莫大な更新費用が見込まれます。このため今年度から二年間をかけまして受水企業の皆様の将来的な水需要予測に基づき、効率的な水の運用や需要に見合った施設規模への転換を図るための水道施設更新マスタープランを策定し、更新費用の最適化と支出の平準化を目指すこととしております。
 こうしたことから両工業用水道事業の料金見直しにつきましては、二部料金制の導入に伴う今後数年間の収支への影響を分析するとともにマスタープランに基づく将来的な施設の更新費用も見据えた上で、できる限り安価な工業用水を安定的に供給できる料金体系を構築してまいりたいと考えております。
 なお、議員御提案の大深度の地下水の利用につきましては、井戸の掘削費用や既存の配水池までのポンプアップ費用なども見込まれますことから事業としての効率性や採算性などについて、引き続き慎重に検討してまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) これで植田徹君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 七月二十六日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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