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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

木内 満 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/01/2017

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
   現場主義
2 脳卒中対策について
3 発達障害者支援のあり方について
4 農林業の振興について
 (1) 認証材及び認証林の普及促進
 (2) 富士山麓地域における鳥獣害対策
 (3) 富士山麓地域の畜産業における防疫対策
5 富士山世界遺産センター(仮称)について


○議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第一号から第八十一号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、五番 木内 満君。
       (五番 木内 満君登壇 拍手)
○五番(木内 満君) おはようございます。私は自民改革会議の所属議員として、通告に従い分割質問方式にて質問いたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、現場主義について伺います。
 知事は、初当選後の最初の知事所信の冒頭に現場主義をみずからの基本姿勢とすると宣言されました。知事の現場主義とはその後の議会などでの発言から拾い上げれば現場に出る、現場に聞く、現場で学ぶ、現場でできれば解決するということだそうで、たびたび県内出張の回数をその根拠に知事の現場主義の姿勢を述べてこられました。
 今年度九月議会の我が会派の代表質問で宮城県議が事前調整のない唐突ともとれる知事発言が目立つという問題意識から、知事は個別事案に対する説明責任をもっと果たすべきではとの趣旨の質問をしたところ、任期までに二千回を優に超える現場に足を運んだ結果であり、それぞれの背景を踏まえれば決して唐突ではないという趣旨の答弁がありました。
 これらの経緯を踏まえ、知事の二千回の現場こそがまさに知事の政治姿勢のあらわれであろうと考え、知事の県内出張に関する資料をいただきました。知事は確かに平成二十一年七月の就任以来、平成二十八年十月までで二千百三十一回の県内出張を行っておられます。恐らくこれが知事のおっしゃる二千回を優に超えて現場に足を運ぶの根拠の数字であろうかと思いますが、その内訳を市町別に見てみると二千百三十一回のうち半数以上の千百五十四回が静岡市、次いで多いのが二百一回の浜松市であり、それ以外の全ての地域は全体の三六%にすぎません。
 ちなみに、去る九月議会で我が会派の野崎県議の質問に知事が答え、野崎議員と会うのは議場よりむしろ磐田のほうが多いのではないでしょうかとおっしゃいましたが、資料によれば知事が磐田を訪れたのは直近では二十八年度が二回、二十七年度が二回ですので知事の全くの勘違いかと思われます。
 地域ではなく、どのような機会を現場としてカウントしているかとリストを眺めると式典、セレモニー、総会といった内容がかなりの部分を占めることがわかります。また移動知事室や知事公聴の機会を捉え、多くの場所を視察し多くの方とお話しになっておられると思いますが、そこが本当に現場と呼べるか私には疑問があります。移動知事室に参加した私の知人は参加に際し、こういうことは発言しないでほしい、こういうことを発言してほしいと事前に職員から言い含められたとのことで、知事が来るとなれば職員によいものを見せたいというバイアスがかかるのは当然なこと、知事の目に入る段階では相当なフィルターがかかっていることを知事はどこまで御認識されておられるでしょうか。
 現場主義を貫くとおっしゃってこられた知事の現場の根拠たる二千回の中身を見ると、極めて残念な印象を拭えません。呼ばれた会合、セレモニーの壇上に上がり、入念に準備された移動知事室、知事公聴で地域をめぐることが知事の言う現場主義であるなら、知事に本当の県民の声が届いているのか心配になります。
 二千百三十一回の県内出張という数字が知事の政治姿勢の根幹たる現場主義の根拠であることの説明を求めます。
 次に、脳卒中対策について伺います。
 静岡県の健康寿命は平成二十七年十二月の調査において男女計七十三・九〇歳と全国二位となり、一位の座を山梨県に譲ったものの依然として全国トップクラスの健康寿命長寿県であります。しかしさらなる健康寿命の延伸、健康寿命日本一の奪還は本県の健康福祉政策の使命でもあります。
 そのために静岡県として取り組むべき最重要課題の一つが、このたび質問で取り上げます脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患いわゆる脳卒中の対策であると考えます。全国的な死因の順位は悪性腫瘍いわゆるがんが一位、心疾患が二位、肺炎が三位と続き、脳卒中が死因の四位となっております。対して静岡県は脳卒中による死亡率が男女とも全国平均を上回っており、死因順位は肺炎を抑えて三位となるなど脳卒中による死亡率の高さが静岡県の健康寿命延伸を妨げる一因であることがうかがえます。
 さらに、県内の医療圏域ごとの状況を見ますと圏域ごとにばらつきがあり、賀茂圏域、熱海伊東圏域において県内の他の圏域に比べて統計的に有意に脳卒中による死亡率が高いという傾向が明らかになっています。この傾向を生み出している背景を厳密に論ずることが難しいことは承知しておりますが、脳卒中に関する各種医療がその医療圏域内でどれほど賄えているかを示す自己完結率が最も低い賀茂、熱海伊東の二圏域において死亡率が明確に高くなっており、発症後二時間以内に搬送され病院到着後一時間以内に専門的治療が開始されることが望ましいとされる脳卒中の特性を踏まえれば、県内における医療格差が死亡率に直結している可能性を否定できません。
 そこで伺います。私は静岡県が全国と比べて相対的に高い脳卒中による死亡率を下げる努力に注力することが健康寿命延伸のための最重要取り組みの一つと考えますが、静岡県として脳卒中対策を今後どのように位置づけ、対策を強化していく考えがあるのかを伺います。
 また、県内における医療格差が特定地域における脳卒中の高い死亡率を生み出している可能性を踏まえ、今後どのように脳卒中による死亡率の低減を図っていくのか、県の考えを伺います。
 次に、発達障害者支援のあり方について伺います。
 発達障害とは、いわゆる空気が読めないなどに象徴される社会的コミュニケーションが取りづらい自閉症スペクトラム障害、計算や読み書きなど特定の能力の習得に困難を伴う学習障害、じっとしていられない、衝動的に行動せずにいられないなどのADHD――注意欠陥多動性障害といった、明確な知能のおくれはないものの発達において困難を伴う障害を総称したものとして定義されています。というような定義を聞いてもわかりづらい、見えづらいのが発達障害の最大の特徴とも言えますが、その社会的影響は極めて大きいものがあります。
 周囲とうまくコミュニケーションをとることができず大人になっても生きづらさを抱えているケースや、保護者から育てづらいと認識され児童虐待につながり、さらに深刻な二次障害を抱えてしまうケースなど、ひきこもりや児童虐待といった社会問題も分解していくと発達障害に対する理解と支援の不足が遠因であるとする説もあり、その課題の深刻さと同時に支援を強化していくことの社会的意義は大変に大きなものがあると考えています。
 発達障害を抱える人の割合は、国内の医療機関の調査では一・七%から七・七%とされていますが米国の調査では約一七%の子供が何らかの発達障害を抱えているという結果もあり、今後の診断技術の進展などにより求められる支援の幅も広がっていく可能性があります。
 発達障害に対する支援は早期発見に始まります。これは乳幼児健診の精度向上など医療・保健分野の努力が求められます。乳幼児期の早期発達支援段階では保育園、幼稚園、地域、家庭などへの支援が必要になります。学齢期には小中高における教育現場での支援体制の強化や放課後等デイサービスなどの福祉分野での強化も欠かせません。成人後は就労支援や職場や家庭での理解促進など、発達障害者の支援はライフステージを通じ多岐にわたる連携が必要不可欠です。
 静岡県は、平成二十七年十一月に医療、福祉、教育、労働、親の会等の代表者で構成する静岡県発達障害者支援体制整備検討委員会を設置し、今後の発達障害者支援のあり方をまとめましたが、ライフステージを通じさまざまな分野で横断的な支援を市町や関係団体等と連携して行うためには静岡県として強力なリーダーシップを発揮していく必要があるかと考えますが、発達障害者支援のあり方を実行に移すために、県としてどのようにリーダーシップを発揮していくつもりなのかお考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 木内議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてであります。
 現場主義についてでありますけれども、議員の統計ですと十月までということですが、平成二十九年一月三十一日まで私が就任しまして七年半の間に二千二百十二回、県内における公務出張をしております。県議も御案内のとおり向こう三軒両隣という言葉があります。近所づき合いは大事だということですね。ですからこの県都である静岡市内が多いのは当たり前です。次に人口が多いのはどこでしょうか。浜松です。八十万人いるんですから。したがって浜松にも足を運ぶのは当たり前です。
 磐田にはことし二回ということですが、県議の富士宮には一回しか行っていません、ことしはですね。しかし県議の富士宮には平成二十一年度には六回、二十二年度には七回、二十三年度には六回、二十四年度には四回、二十五年度には十回、二十六年度には三回、二十七年度には三回行っておりますので合計四十回行っています。同じように磐田も平成二十一年度には二回、平成二十二年度には八回、平成二十三年度に四回、平成二十四年度に十回、平成二十五年度に六回、平成二十六年度に五回、平成二十七年度に二回と、そしてこの一月にも行っていますので合計同じように四十回です。それからまた富士市、お隣ですけれども五十回、三島市には四十三回、沼津市にはほかの問題もございますので八十七回です。七年半に八十七回というのは二月に一回強行っていると、一カ月強で一回行っているという計算です。
 そして、これがその既定の全てルートに載っているかというとそういう面もあると思いますよ。あなたも子供のときに修学旅行に行かれたでしょう。奈良とか京都とかあるいは鎌倉とか。そのことを覚えておられると思います。教科書で奈良のことを学ぶ、京都のことを学ぶ、そのときに十分に準備されたそのルートを覚えていることがやがて百聞は一見にしかずで見たものについての知識が生きたものになるわけですね。
 それから、例えば美術館もあります。県立の美術館は一つしかありません。そこに例えば私がぶらっと行くというのと、例えば群青富士がそこにございますが群青富士を誰が描いたかと、大観が描いたと。大観は富士山の絵を何枚描いたかと、二千枚描いたと。富士山を描くことは自分の心を映すことだというふうに言っていると。こういう説明を受けますと断然理解が深まります。同じように現場というのは現場の人に会いに行くわけでございまして、ですからこれは時間をかけていろいろな機会、ありとあらゆる機会を大切にそれを生かしていくというのが現場主義であって、現場に学ぶ、現場がフィールド、現場がテキストです。現場を学ぶだけでなくて現場はいろいろな問題を抱えていますからその問題を抱えている人に、あるいは伸ばしてほしいというPRをするべき項目について共有してそれを一緒に解決したりPRをしていくという仕事をしているわけですね。ですからこれはただ行って学ぶということではありません。
 例えば、知事広聴というのは五十回を数えます。これは大体各広聴において六人来られますけれどもそれからフロアからの意見もあります。言われた意見を一つとして聞き流すことはありません。何か課題があれば全てそれに対して誠実に、大小にかかわらず回答しています。フロアからの要望についても同じです。例外はありません。
 そしてまた、いわゆる移動知事室も、これは平成二十三年に一回始めまして行ったところで泊まって食事をすると。食事をするときに戦略監とそれから企画広報の部長とそれからそれぞれの地域の局長が同席をしてそれぞれの方々のお話を真面目に聞いているわけですね。そして皆様方も初めて会われる方もあります。有力者ですからそれぞれの役に立つということもあるわけですね。
 そういったことを通じまして私は全体出張日数がこれまで千七百八十八日、出張のない日数が九百七十六日ですから出張の率は六四・六%です。三日のうち二日ぐらいはどこかに行って誰かと会っているという仕事をしているわけです。
 これを逆に何もしないということと比べてみてください。土地カンもない、誰がどこにいるかも知らない。しかし本当に知らない人だけでしょうか。例えば松崎町に蔵らというところがありますが、そこは依田勉三さんのおじさんの家です。そこは民芸品が今飾られています。そこを女性たちが食事をしています。そこに行きます。そのお話を聞きます。これは予定されたものではありません。そこで隣の隣に、あそこに桑の葉っぱをお茶にするお店がすばらしいものができました。ついでに寄ります。それが体にいいということなどを聞きます。そうしたことがございます。さらにまた春に行けば、「君知るやころは弥生の松崎の大島桜の花の白さを」といったようなぴったりの歌の場面に出くわしたりします。
 こうしたことを通じまして、自分のことを勘定に入れずによく見聞きし、わかりそして忘れないで、できれば人の役に立つということでチームを挙げてやっていくというのが現場主義であります。これはいわば有言実行ということもございますけれども、陽明学的な態度ですね。いわゆる子のたまわく云々かんぬんというのではなくて、その現場に行ってそれをテキストとし、そのテキストをよりよいものに変えていくと。そのためには勉強しなくちゃいけないと。その勉強の中身が現場主義と言っているわけです。
 従来、私がやってまいりましたいわゆるその寝食を忘れて勉強するということをやってきたわけですが、あなたもなかなかいい体格をされておられますが早寝早起き、朝昼晩御飯というのはしっかりとるという時間がありますので、そのときに現場に出ておりますとその現場の人とお話ができるわけですね。夜はお米の固形のものは腹にたまりますので液体のものを楽しんでおりますが、それも花の舞だ、喜久酔だ、あるいは磯自慢だというふうなことが話題になりますとその現場に行くことになります。例えば喜久酔のことを知ったと。そうすると喜久酔に行ったら三十歳でディーラーから転じてお父上の杜氏の仕事をみずから一からやり直して、もう数十年間それにかけている方に出くわすと。その方が水で洗うあるいは仕込みをする、それを徹底的にその現場で学ぶというふうなことはここでいればわからないわけです。
 それを何かでき合いのことをたまたま学んでいると思われるのは、そういうふうな形でやっている人もいるかもしれませんが私は現場で学びそして現場のために何かできることを考えると、そしてそれをするという態度で臨んでいるということです。それが私の現場主義でありましてこの立場は全く変わりません。これからも同じであります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 脳卒中対策についてお答えいたします。
 県では、脳卒中による死亡率を低減することは本県の健康寿命のさらなる延伸に資するものと考えております。医療データを活用し要因をしっかりと分析し、地域の実情に応じた発症予防の取り組みを進めるほか、急性期から慢性期を通じてリハビリテーションなども含めた一貫した医療提供体制を構築し重度障害化や再発を防ぐことで、死亡率の低減に取り組んでおります。
 脳卒中による死亡率が高い医療圏域では、他の圏域と比較して急性期医療を担う医療機関が少ないほか高血圧症有病者や習慣的喫煙者が多いことが高い死亡率につながっているものと考えられます。県といたしましては医療機関への医師派遣や機器整備の支援に加え健康づくりについても重点地域として位置づけ、市町や医療保険者等とも連携して働き盛り世代からの食生活の見直しを推進するなど医療体制確保と発症予防の両面で脳卒中対策の強化に努めております。
 今後とも、全ての圏域において脳卒中についての正しい知識の啓発に努めるとともに、減塩に注目した発症予防の取り組みや急性期から慢性期における効率的で質の高い医療提供体制の整備を進めるなど脳卒中対策を最重要施策の一つと位置づけ、本県のさらなる健康寿命の延伸に取り組んでまいります。
 次に、発達障害者支援のあり方についてであります。
 県では、今後の施策展開の指針となる静岡県における今後の発達障害者支援のあり方を取りまとめ、各分野の支援機関が密接に連携し身近な地域でライフステージを通じた切れ目のない支援を行うこととしております。市町や地域の支援機関の取り組みに対しまして、県が広域的、専門的な立場から積極的に指導していくこととしております。
 まずは各分野の連携につきましては、県と静岡市、浜松市がそれぞれが医療や福祉、教育、労働などの関係機関から構成される発達障害者支援地域協議会を設置し、必要とされる支援の具体化に向けて単独では解決が困難な課題の共有や対応策の検討を行う体制を整え、さまざまな支援機関が分野横断的に支援ができる仕組みを構築していきます。その上で県といたしましては、身近な地域で切れ目のない支援を確保するため発達障害者支援センターが市町や地域の支援機関に対して専門的な研修や助言と指導などを行うこととしております。また各障害保健福祉圏域に発達障害者支援コーディネーターを配置し地域の相談支援機関相互の連携強化を図り、相談ニーズに合った支援機関につなぐなど発達障害者に対する質の高い支援ができるように努めております。
 今後も、県がリーダーシップを持って市町、関係機関と一体となって早期発見から成人期までの一貫した支援に取り組み、発達障害者の方々がその人らしく自立した生活を送ることのできる共生社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木内 満君。
       (五番 木内 満君登壇)
○五番(木内 満君) 今回、初めて知事の政治姿勢をただすという質問項目を入れさせていただきましたが、そのときの気持ちを一言で言えば、単純に言えば大変怖いということです。知事と独立した対等な立場を有する我々であっても、知事に何か意見を申し上げる、またその政治姿勢をただすということは大変な緊張が伴います。なぜなら知事はそれだけの権力がおありになり、影響力がおありになるからであります。常人とは異なるお立場にあるということをどれほど自覚されておられるのか少し疑問が生じました。と申しますのもそれだけの権力、それだけの影響力をお持ちであるがゆえに知事の周辺にはよい声は多く上がっても、その立場と反する声、批判の声というのは届きづらくなるということをどこまで承知しておられるのか、その点を指摘して質問をしたつもりではありましたがその点については明確なお答えがいただけなかったことが残念であります。
 知事のおっしゃる現場主義、知事のお考えになる現場主義は、もちろん尊敬できる部分も多々あります。現場に行ってごらんになり、背景にある豊富な知識と合わせれば多くのものがお気づきになることかと思います。ただ、みずから現場で解決したいという態度は小学生のような無邪気なヒロイズムに根差した出しゃばりではないかなと私は感じる部分も多々あります。先ほどさまざまな事例を挙げ県内出張の回数が根拠たり得るとお話しされておられましたが、私はそれ以前の姿勢において知事の現場主義は私の理想とする現場主義とはかけ離れていると言わざるを得ません。
 本来の現場主義とは、現場に権限を与え現場の本当の意味を探ろうとし、現場の力を引き出し現場主導の解決を引き出すことなのではないかと私は考えています。そのために最も必要なことはトップみずからがどんな声でもありのまま聞くという姿勢を言葉ならず常に発信し続けるということにあるのではないかと思いますが、去る二月二十一日の定例記者会見で知事は横山大観の富士を描くということは富士に映る自分の心を描くことだという言葉に絡め、低い評価には低い心があらわれているのではと我が会派の県政検証について所感を述べられました。これは静岡県の権力者たる知事みずから御自身が御自身を富士山にたとえ、その美しさを理解できない者は心が低いとおっしゃったのであり、言いかえれば私はばかには見えない服を着ている裸の王様であると公共の電波で宣言されたと私は受けとめました。心から恥ずかしいと私は感じました。
 多くの県民や職員や我々議員に、知事に意見をすれば何を言われるかわからないという恐怖を与え、現場主義から最も遠いところに御自身を置かれ、追いやる言動、態度であると私は考えます。発言を促し意見とさせていただきます。
 また、脳卒中対策、発達障害者支援について御答弁いただき、健康福祉部長、ありがとうございました。
 両事案とも根本的な解決のためには、私は何より医療人材の充実ということが欠かせないと感じております。そのために県としてバーチャルメディカルカレッジを通じて現在百四十五人の勤務者が県内に在籍しておられると承っております。富士宮市といたしましては危機的医療状況にあった市立病院に現在バーチャルメディカルカレッジから六名の勤務者を派遣していただき、そのおかげで何とか医療が回せているということに関しては県の御努力、成果を心から感謝すると同時に、百四十五名の内訳を見れば西部が六十五名、中部が六十一名、東部が十九名とその格差縮小への貢献はまだいま一歩というところがあります。脳卒中、発達障害ともより力強い支援のために医療圏ごとの格差解消に向けて引き続きの御努力をお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 それでは、農林業の振興についてのうち、認証材及び認証林の普及促進について伺います。
 私のふるさと富士宮市は市域の六六%が森林であり、富士山麓の美しい景観を形成する上で美しい森林はなくてはならない資源であります。しかし富士宮市の林地の多くを占める民有林の七七%は杉、ヒノキを主体とする人工林であり、世界遺産富士山にふさわしい富士山美林を守り育てていくためには適切な森林施業の継続が必要不可欠です。適切な森林施業の継続のためには林業の活力を取り戻すことが必要ですが、そのために期待が高まっているのが森林認証です。
 森林認証は環境に配慮した持続可能な森林を第三者が認証する制度であり、東京オリンピック・パラリンピックでも森林認証を取得した森林から出された認証材の使用増加が見込まれることから、国産材の新たな需要拡大につながるとして注目を集めています。富士山周辺の取り組みとしては富士ひのきや富士山檜輝などのブランド木材が認証材であることを消費者にPRし木材の差別化につなげようと努力をしています。県としても富士山世界遺産センター――仮称――の外壁に富士山周辺の認証材を使用するなどの需要拡大に努めていますが、公共施設での利用も大事ですが最終消費者に認知されて初めて販売促進効果があります。
 そこで伺います。県として最終消費者に訴えかける認証材の需要拡大をどのように進めていく考えがあるか伺います。
 また、需要拡大と同時に森林認証を取得した認証林の普及を進めていく必要があります。県では県営林の森林認証取得にあわせて近隣林地の森林認証取得を推進するなどの普及活動を進めておりますが、富士宮市のように県営林がない地域にも認証林の普及を進めていくための県の支援の取り組みを伺います。
 次に、富士山麓地域における鳥獣害対策について伺います。
 富士山麓地域において鳥獣害の深刻さはいまだに目を覆わんばかりです。山が迫る地域ではシカやイノシシを防ぎきれず、かじられるに任せた畑を前に来年はこの畑には植えられんなとつぶやく地域にお住まいの方の諦めの声が耳から離れません。
 同時に深刻なのが林業分野での鳥獣害です。森林の再生には間伐などで手を入れると同時に新たな木を植える植林が必要となりますが、せっかく植えた苗がかじられ根づかず裸のままになっている山林も多く見かけます。
 林業分野での鳥獣害対策は山裾における鳥獣害対策とはまた違った対策が必要かと思われますが、県として林業分野の鳥獣害対策をどのように支援していくのかお考えを伺います。
 また、来年度富士宮市に野生獣肉を加工する食肉センターが開設される見通しです。県内では伊豆市のイズシカ問屋などの先行事例もありますが、富士宮市においても市と青年会議所が共催でジビエの普及を目指したイベントなどが開催されてきました。野生鳥獣の頭数削減のために、ジビエなどの獣肉流通はそれを生業とする若い世代の猟師を育成するためにも有効な施策と考えますが、県としてどのような支援が可能かを、考えを伺います。
 次に、富士山麓地域の畜産業における防疫対策について伺います。
 富士宮市の富士山麓地域は静岡県内最大の畜産・酪農地域です。乳用牛、肉用牛・豚、卵をとる採卵鶏、ブロイラーなどいずれも県内トップクラスの飼養数を誇ります。一大産地であるがゆえにその最大のリスクは家畜の感染症です。
 平成二十二年に宮崎県南部を中心に流行した口蹄疫は地域に甚大な経済損失をもたらしました。また直近では平成二十八年十一月以降国内で高病原性鳥インフルエンザの発生が相次いでおり、県には緊張感を持って対応していただきたいと思っています。
 お聞きするのはまずいかにして家畜の伝染病発生を防ぐのか、県としての対応を伺います。また万が一家畜の伝染病が発生した場合、流行を最小限にとどめると同時にいかに産地、生産者の被害を最小限に抑えるのかという点からも県の考えを伺います。
 最後に、富士山世界遺産センター――仮称――について伺います。
 平成二十五年六月に富士山が世界文化遺産に登録され、同年八月にセンター建設地が富士宮市に決定、翌年三月には建築のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞した坂茂氏によるいわゆる逆さ富士のデザインが決定しました。工事費の増額などをめぐっては県議会において厳しい議論が展開される局面もありましたが、昨年四月から建設工事に着手し本年十月に完成する予定となっております。
 私は、昨年度二月議会でも富士山世界遺産センターに関する質問を取り上げさせていただき、県として責任を持って直営での運営をいただく旨を表明していただきました。ことし十二月二十三日の開館を目指し鋭意準備を進めていただいているところではありますが、いま一つ開館に向けた熱気が高まっていない現状に不安を感じる声も上がっており、私も不安を感じている一人であります。
 総合計画指標である富士山に関心のある人の割合の調査結果を見ると、目標値は一〇〇%と設定されておりますが二十四年度の七九・六%の調査結果から始まり直近二十七年度では七二・〇%と下降の一途をたどっており、富士山への熱気が全県で薄れていることを数字でも肌でも感じています。また富士山世界遺産センター――仮称――のフェイスブックページなども開設し広報に努めておられるようですが、投稿のたびに三十件ほどの「いいね」がつくばかりで関心が高まっていかない状況に焦りを感じています。
 富士宮市には富士山世界遺産構成資産の中核的な資産とも言える富士山本宮浅間大社を初め六つの重要な構成資産が点在し、北部には白糸の滝や朝霧高原の体験型牧場、緑豊かな芝川地区での自然体験や富士川でのラフティングなどポテンシャルの高いさまざまな観光資源は富士宮市の大きな自慢でもあります。しかしながら富士宮市の観光交流客数は富士山世界遺産効果への期待とは裏腹に、直近の数字となる平成二十七年度では県平均全体では微増となる前年比一〇〇・八%となる中、富士宮市は前年比九九・八%と微減に転じております。市町別に見ても数少ない減少している市が富士宮市なのです。
 富士山登山者数についても、今年度山梨県側が一一%増となる十五万二千人となる中、静岡県側は一・二%減の九・六万人と富士山登山者数も回復をしておりません。早期開通が望まれる中部横断自動車道に関しても中央高速と東名高速をつなぐ周遊ルートが中部横断自動車道に移り、富士宮市をルートに含む観光客数が減少するのではないかといったマイナス面を心配する声もあります。だからこそセンター開館に寄せる富士宮市民の期待は非常に高いものがあるのです。
 そこでお伺いします。富士山世界遺産センター――仮称――の開館がことし十二月二十三日に迫る中で、富士山に関する関心や世界遺産登録の感動が薄れてきている実感は富士山のお膝元に暮らす私にも如実に感じられます。県としてどのように開館に向けた機運を地域と連携して醸成していくのか、県の考えを伺います。
 また、富士山世界遺産センター――仮称――が富士山麓地域の観光振興に与える影響、地域の期待は大変に大きいものがあるかと思いますが、いかに地域と連携して観光交流拠点としての機能を発揮するのか、あわせて考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 富士山世界遺産センター――仮称――についてお答えをいたします。
 富士山世界遺産センターは、まずは浅間大社まで徒歩数分という恵まれた場所にあります。そして外観ですけれども、逆円錐形の形が前面の水盤に富士山の形で映し出されるということで大変存在感があるものというふうに思っております。そして中に入りますと最新の映像技術を活用した展示室や疑似登山を体験できるようならせんスロープなどがあります。そして最上階に行きますと雄大な富士山を望むことができると。このように大変に魅力的な施設になるということを確信をしております。
 本年十二月の開館に向けまして、このような魅力を早い段階から新聞やテレビなどのメディアを通じて発信をしてまいりたいというふうに思っております。また開館後ですけれども、企画旅行や教育旅行を主なターゲットとして富士宮市を初め関係市町や地元観光事業者と連携をしてその他の世界遺産の構成資産や博物館あるいは議員のお話のありました多数の魅力ある観光施設、これらをめぐる周遊コースを設定をしたいと思っております。そして観光商談会への参加や教育機関への訪問など人口集積地に重点を置いて誘客促進を図ってまいります。
 さらには海外からも多くの方々に訪れていただきたいと思っております。海外事務所とも連携をしたプロモーション活動や富士山静岡空港の定期便、清水港に寄港するクルーズ船の利用者等の来館促進にも積極的に取り組んでまいります。
 センターが世界遺産富士山を後世に守り伝える拠点施設であるとともに地域と連携をした観光交流の拠点となるよう、開館に向けて機運の醸成と誘客のための広報営業活動に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 若原農林水産戦略監。
○農林水産戦略監(若原幸雄君) 農林業の振興についてのうち、認証材及び認証林の普及促進についてお答えいたします。
 認証材の最終消費者への普及促進につきましては、その最終消費者に近い市場でビジネスを実際にやっていらっしゃるそういった木材商社やメーカー、こういった方々と連携していくということが効果的であるというふうに考えておるところでございます。とりわけ東京オリンピック・パラリンピック関連施設、こちらに本県の認証材が採用されますればそれは非常にPR効果が高いというふうに考えておりますので、オリパラ関連施設の木材調達にかかわるバイヤーを招聘した商談会を開催し生産者とのマッチングを図ってまいります。
 また、県内では浜松信用金庫於呂支店、御案内かもしれませんけれども日本の戸建ての民間事業者の建築物を初めてプロジェクト認証を取得したものでございますけれども、こういった認証材を使用した優良事例が生まれてきております。こうした模範となる建築物を表彰することで認証材を最終消費者である県民の方々にとっても少しでも身近なものと感じていただきまして、また認証材を活用しようと考えていらっしゃる事業者の方々にとってそういった手本、模範例として広く認知していただく、そういったような形で民間での利用の機運を高めてまいりたいと考えているところでございます。
 認証林の普及につきましては地域の特性に応じまして県内を七地域に分けて取り組んでいるところでございます。富士地域の例でございますと、御指摘のとおり富士宮市には県営林がございませんけれども、市有林――市の保有している林ですとか財産区有林などによる森林認証取得の取り組みが進んでいる、そういった特性が富士地域の特性かというふうに認識しております。したがいまして富士地域では、こうした特性に応じまして既に認証を取得していらっしゃる市有林等の周辺、こういったところから認証林の拡大を図っていくということで取り組んでおります。該当する地域の森林所有者を対象といたしまして、森林組合とともに森林認証の意義などを説明して拡大を促進しておるところでございます。
 県といたしましては、本県の豊かな森林を次世代につなげるため、世界基準の森林認証を普及することで林業の成長産業化と持続可能な森林管理を図ってまいります。
 次に、富士山麓地域における鳥獣害対策についてであります。
 防護柵で隔離をする一方でわなにより鳥獣を捕獲をする、そういう基本は農業、林業のいずれでも共通しているところでございますけれども、林業特有の状況といたしましてはシカを捕獲するわなの設置場所が居住地、人里から離れたところにあるという特性がございますので、毎日の見回りには非常に多くの労力を皆様お使いになられているというふうに認識をしております。
 このため、今年度はICT技術を用いまして囲いわなに侵入するシカの状況を監視しながら遠隔操作でゲートを閉鎖する捕獲の実証事業を富士宮市で着手したところでございます。さらに現在県のほうで研究開発を進めております成長の早いエリートツリー、こちらですとシカによる食害の危険にさらされる期間が短くなるという効果も期待できますのでその検証作業に取り組んでおるところでございます。
 また、野生鳥獣の食肉利用でございますけれども、こちらは捕獲個体の供給が不安定であるとか家畜と比べますと肉として使用可能な部分の歩どまりが悪い、そういった点で経営上なかなか難しいというところがございますけれども、人の素朴な宗教感情としての生命を奪ったということに対する畏敬とか感謝の念、そういったものに即したものでございますし、また地場の産物としての地域振興への寄与といったことも考えられますので、県としてはそういった苦しい環境の中でも利活用をしていただくよう支援を進めているところでございます。
 具体的には、衛生的な食肉処理に必要な知識や技術を学ぶための研修会を開催させていただくこと等によって人材の育成を図り、また食肉加工施設の整備支援でございますとかジビエの消費拡大に係る情報提供を実施しているところでございます。
 県といたしましては、林業分野の防除対策を一層強化するとともに、ジビエなどの利活用を支援しながら富士山麓地域における鳥獣害の軽減を図ってまいります。
 次に、富士山麓地域の畜産業における防疫対策についてであります。
 口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザは、病原体に汚染された野鳥や人、物を介して畜舎に侵入するというものでございますので、予防対策としてはまずはそこの水際で防御するということが最も重要と考えております。家畜保健衛生所が全ての農場に立ち入りまして、畜舎の出入り口での消毒、野生動物の侵入防止対策等こういった実施状況を確認してきているところでございます。
 また、農場の管理者及び獣医師は、国の指針のほうに基づきまして死亡数の増加等の異常が見つかった場合には昼夜を問わず家畜保健衛生所に通報するよう指導しております。通報があった場合には家畜保健衛生所は二十四時間体制で診断をすることとしておりますので、口蹄疫でございますとか鳥インフルエンザ、こういったものが疑われる場合におきましては極めて早期の段階でその有無を確認することといたしております。
 仮にそういったものが感染したということは、これはそういった体制のもとで通報からおよそ十二時間後に確定ということを見込んでおります。仮に確定いたしました場合、こちらも昼夜を問わず直ちに知事を本部長とする対策本部を立ち上げるとともに、現場に関係職員が向かいまして家畜伝染病予防法に基づきまして発生確定後原則二十四時間以内に家畜の殺処分、七十二時間以内に埋却を完了するということとしております。
 これを実際に実現させるために平時から防疫資材を備蓄するとともに、埋却作業等につきまして二十一の関係団体と協力協定を結びまして、毎年これらの団体と連携して演習を実施しております。今年度も昨年十月にそうした演習を実施したところでございます。
 今後も、国内外の伝染病発生状況の情報収集に一層努めますとともに、防疫演習で抽出された課題を防疫作業マニュアルに反映することによりまして防疫体制を充実させまして、発生予防と蔓延防止に万全を期してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木内 満君。
       (五番 木内 満君登壇)
○五番(木内 満君) 意見のみ申し上げます。
 まずは、認証材の静岡県産材がオリンピック・パラリンピックに採用されることを期待しておりますので、一層の努力をお願いいたします。また防疫対策についてはとにかく緊張感を持った対応をこれからも継続していただきたいと思っております。
 富士山世界遺産センターにつきましては、まずは今一歩進めていただきたいのは周辺地域、地元地域との連携をもう少し強化していただきたいということであります。フェイスブックの「いいね」数に象徴されるのは、そこに富士宮市民の、私も顔を見ておりますとほとんどいないと。私も頑張って「いいね」をつけておりますけれども、まずは草の根から広げていくということも頭に置いて頑張っていっていただきたいなということを要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。質問は以上となります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木洋佑君) これで木内満君の質問は終わりました。
 次に、三十八番 中沢公彦君。
       (三十八番 中沢公彦君登壇 拍手)
○三十八番(中沢公彦君) 自民改革会議の所属議員として、通告に従い一問一答方式で質問いたします。
 初めに、重度障害者・障害児医療費助成の現物給付の実現について伺います。
 この問題で私は、平成二十三年二月定例会、平成二十四年二月定例会でも取り上げております。しかし一向に対応される気配がみじんもなく、福祉行政に疎い静岡県という有名な話がございます。そのため今回も取り上げさせていただきたいと思います。
 この問題は、障害児・障害者の医療費の立てかえ負担の解消をすべきという問題と、これを実施することによって国民健康保険の市町に対するペナルティーが発生するという問題のせめぎ合いということでありますが、それに対し静岡県が広域行政体としてどういう対策を講じるかということであります。
 例えば、子供の場合一般的に健常児より障害児のほうが医療費や薬剤費は多くかかると言われています。こども医療費助成は患者の負担額は一回につき五百円、月四回まで、これが県の助成となっております。各市町ではそのベースに対してさらに医療費助成制度をプラスしているのが現状であります。
 一方、重度障害児の場合医療費自己負担分は全額負担を窓口で強いられております。いわゆる立てかえ負担であります。その後数カ月たった後に精算されるとはいえ立てかえの負担額は決して少なくはありません。障害児の保護者がどちらの医療費助成制度を選択しているか、その数値等は静岡県は把握しているのでしょうか。
 この結果、二つの問題が発生しています。一つは障害児・者医療費助成が存分に制度機能を発揮していないこと、二つ目は市町の財政負担が増大してしまうことであります。社会的弱者が最も行政の支援を必要としているのは言うまでもありません。それがこんなおかしな制度で支援が受けられないのであるのはまことに不条理なのであります。これは障害施策にいかに意識が低く見識がないかの証左であります。市町への国民健康保険のペナルティー問題も当事者である市町が対応できないのですから、三十五市町を束ねる広域行政体である静岡県が対応するのが役割ではないかと思っております。
 そこで、今回の問題について改めて伺いますが、厚生労働省に対してこの十年間でたった一度しかこの問題の陳情をしていないという静岡県の現状は本当なのか伺います。それと障害福祉施策に意識が低い行政として障害児・障害者の方に申しわけないと思っているのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 中沢公彦議員にお答えいたします。
 重度障害者・児医療費助成の現物給付の実現についてであります。
 重度障害者や重度障害児の医療費助成は、障害のある方々の命と健康を支える重要な施策であり、これまでも市町と連携し制度の改善や対象の拡大に努めてまいりました。現物給付方式への変更につきましては、導入した場合国が国民健康保険の国庫負担金を減額することから市町の大きな財政負担につながっております。
 このため、平成二十四年六月より本県独自で毎年度減額措置の廃止を強く要望するほか、全国知事会等とも連携し国への働きかけを繰り返し行ってまいりました。現時点でも減額措置が継続していることは非常に残念でありますが、未就学児までを対象としたこども医療費助成については国が平成三十年四月から減額措置を行わない方針を示すなど改善の動きも見えてきたことから、これを足がかりとして減額措置の全廃を目指してさらに粘り強く何度も要求してまいります。
 今後も、実施主体である市町の意向を踏まえつつ、重度障害者や重度障害児に対する医療費助成制度が将来にわたって障害のある皆様に安心をもたらすよりよい制度となるように最善を尽くしてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 中沢公彦君。
       (三十八番 中沢公彦君登壇)
○三十八番(中沢公彦君) 相変わらずの柳にのれん押しのような答弁ありがとうございます。
 私がいただいた資料は、平成二十五年三月二十五日、厚生労働省保健局長宛に要望活動を行ったというのが県の独自の要望活動としての記録が残っているものをいただいております。それの前もそれの後もその記録はございません。だから十年に一度しか行っていないのかということを聞いておるわけです。
 全国知事会等の要望というのは、全国の障害児・障害者の方々が全国的に困っている現状を踏まえて全国知事会が共通認識として厚生労働省に訴えていく、これは当然の活動であり今後も強く訴えていかなきゃいけないことであるのは明白であります。静岡県としてどうなのかということを聞いておるので、まず私が尋ねたいのはこの二十五年の三月二十五日一度のみという記録に対して本当かうそかということを明確にお答えください。
 それと、こうした現状が問題視されているということを認識しているのであれば例えばペナルティー負担と言われている相当分は幾らが想定されているかというような予算の概略ぐらいの金額を把握しているかどうか、それを伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 重度障害者・児医療費助成の現物給付の実現についての再質問についてお答えいたします。
 まず、厚労省に対しての要望でございますが、県では二十四年六月から静岡県の提案により毎年厚生労働省を訪問し、こちらの現物給付の実現について要望を行っているところでございます。またこれとは別に平成二十五年三月、議員がおっしゃったとおり県内の市町から国庫負担金減額措置の廃止を国へ要望するよう求められたことを踏まえ、県理事が厚労省に出向き直接保健局長に申し入れたことでございます。
 かように県では、先ほども答弁で申し上げましたとおり全国知事会また厚労省に行きましても県としてこの減額措置の撤廃を強く要望しているところでございます。
 続きまして、市町のこの現物給付の制度を行った場合、市町の負担金額についてですが、現在うちのほうで計算把握しているところ、政令市を除く市町合計で試算したところ平成二十七年度の実績ベースで約二億六千七百万円が新たにこの現物給付をやった場合、市町の負担になると数字を推計しているところでございます。以上です。
○議長(鈴木洋佑君) 中沢公彦君。
       (三十八番 中沢公彦君登壇)
○三十八番(中沢公彦君) 要望、意見を申し上げます。
 今般静岡県においては静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例というものが出されるということになっております。国においても略称の障害者差別解消法というものが国でも成立しております。そういう観点から見ても今の立てかえ負担が問題だということを行政が認識しているとするならば、こういった法律、条例も加味すればもっと積極的な訴え、または県としての独自の施策のあり方、こういったことを練り込んでもおかしくないんではないかなと思います。これを要望いたします。
 さらに、二億幾らという政令市を除いた予算の金額が推計上出ているという話でありますが、わけのわからん施設をつくるぐらいだったら全然それぐらいの予算は出るんじゃないかなと思いますが、その辺の必要な金をどこに使うのか、そしてどこを節約するのか、使うべきところにはどんどん使おうというめり張りのあるものをつくって、改めて静岡県にお住まいの皆さんにとって安心・安全が訪れる県行政をつくっていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 福祉避難所について伺います。
 昨年四月に発生した熊本地震において熊本市の事前想定では、福祉避難所は百七十六カ所を開設し受け入れ人数は千七百人を想定したとのことでありますが、実際の地震発生で七十三カ所三百六十六人しか受け入ることができなかったとのことであります。最大の原因は福祉避難所そのものに対する想定の甘さと福祉避難所自体の役割が理解しない、または理解されていないことにあると思います。
 福祉避難所に一般の避難者が押し寄せ混乱し、結果そこにいづらくなった障害児・障害者やその保護者の方々が福祉避難所を出て倒壊寸前の自宅に戻ったり、車の中で暮らしたりしていたのです。静岡県は平成二十八年四月時点で七百十六カ所の福祉避難所が指定されていますが、その内容を公表する自治体もあれば公表を控えている自治体もあると聞いております。何のための福祉避難所なのか、いま一度静岡県を初めとする各自治体は想定力と柔軟性をもっと高めて考えていただきたいものであります。口だけ防災先進県静岡ではお恥ずかしい限りであります。
 そこで、実際の災害時に混乱を来さないために、どのように想定し福祉避難所開設、運営をしていくつもりか伺います。避難計画上どのように組み込み、地域住民に周知していくのかもあわせて伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 福祉避難所についてお答えいたします。
 県では、要配慮者が災害時に確実に避難でき避難所での生活に支障を来さない体制を構築するため、福祉避難所の指定の拡大を積極的に進めております。福祉避難所の開設につきましては市町が緊急地震・津波対策等交付金を活用して避難所生活に必要な物資や資機材の整備ができるよう支援をしております。運営につきましては福祉避難所設置・運営マニュアルのひな形を提示することで市町における運営マニュアルの整備を促進するなど、指定された福祉避難所が発災時に有効に機能するように取り組んでおります。
 要配慮者が確実に福祉避難所に避難できるようにするため、市町において消防機関や民生委員等の避難支援者に要配慮者の介護や障害の程度など支援に必要な情報を提供し、災害時における具体的な避難先や避難方法を定める個別計画を策定することとしております。市町が行う避難訓練においては要配慮者も参加して実施できるよう市町に指導や助言を行い、一般の避難者の理解と協力のもと災害時に混乱を来すことがなく要配慮者の避難が円滑に行われるようにしております。
 また、福祉避難所の一層の指定の拡大と円滑な運営を図るため、今年度は賀茂地域において宿泊施設を活用した福祉避難所の設置や運営を担う人材の確保等に取り組んでおります。また東部地域では一般の避難所の中に要配慮者が安心して避難生活を送ることのできる場所を確保するなど、地域特性に応じた新たな視点で福祉避難所の設置を推進することとしております。
 今後も、福祉避難所の指定の拡大や災害時における受け入れ体制の整備を図るとともに、地域住民の理解をさらに深めるために福祉避難所の周知に取り組むよう市町への働きかけを一層強化し、要配慮者が災害時でも安心して避難所生活が送れるように努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 中沢公彦君。
       (三十八番 中沢公彦君登壇)
○三十八番(中沢公彦君) 要望いたします。
 福祉避難所の拡大というのは重要な出来事だと思いますのでそれは市町とじっくり話し合ってやっていただきたいと思いますが、要望としましては例えば福祉避難所はさまざまな施設が指定されることがあります。その中でも県にかかわる部分としては県立の特別支援学校が福祉避難所として指定されるケースがあります。中には県立特別支援学校そのものが福祉避難所ではなくて一般の避難所として指定されているケースもあります。両方の指定を受けるというようなケースもあります。
 何を言いたいかというと、県立特別支援学校に子供たち、児童生徒が在校中に災害があった場合、そこに地元住民の皆さんが避難に訪れた場合これは大変な混乱が想定されます。また逆に児童生徒が休日で学校にいない間に災害が起きた場合、地元の人たちが先に避難をしてきた結果、福祉避難所として指定してあったけれどももう普通の一般の方々の避難で福祉避難所としては機能が果たすことができないということも想定されます。
 私が先ほど言った柔軟性を持ってほしいとか想像力、想定力を高めてほしいというのは、まさにそこの問題であります。在校中に起きた場合の災害のときの避難所の運営の仕方、子供たちがいないときに起きた場合の特別支援学校での地元住民の皆さんの避難のあり方、例えば校舎が二棟あるのであれば一つの棟は福祉避難所、もう一つの棟が一般の地元の方用とかあらゆるシミュレーションの中でそういうものが想定されないと、熊本のように結果いづらくなった障害を持った方、またその保護者の方そういった方々が倒壊する家屋に戻らざるを得なかったとか、そこに行くのを断念して車の中で過ごすことになったとか、これは起こり得る問題です。その想定力と柔軟性を持てるかが健康福祉部がどれくらいそういう優秀な人間がいるかにかかっておりますが、部長は優秀な人間だと私は信じておりますので、ぜひそれをお願いしたいと思います。以上要望です。
 次に、内陸フロンティアについて伺います。
 昨年十一月の第六次指定において内陸フロンティア推進区域は七十八区域、国の総合特区の六事業と合わせて八十四となっています。県のみずからの評価ではその約九割が順調であるとしていますが、全くの自己満足そしてあまあまの査定でありげんなりしてしまいます。果たしてしっかり現場に赴いて評価しているのでしょうか。現場主義を標榜していますが欺瞞に見えてしまいます。やはりみずからに対して厳しい行政であってほしいものであります。
 ここでは具体的事案に触れることは行政の皆さんの名誉のために控えますが、まこと不安になるばかりであります。しかも新年度からは内陸フロンティアにかかわる課での人員が削減されると聞いております。むしろ人員をふやすべきところであるという部分ではないかと思いますが減らす意味もよくわかりません。そもそも内陸フロンティアは東日本大震災以降、地震・津波発生時の不安と疲弊したままの民主党政権下での経済政策を危惧して取り組まれたものと記憶しております。
 静岡県の経済状況の回復は、製造品出荷額を見ると全国と比較してもおくれており、取り組みに対する県民生活寄与度は低いものとなっています。加えて本年一月の国の発表では人口流出は全国ワースト四位、人口流出のワーストの常連のままであります。
 私が見ている現場の状況と県の評価とは大きな乖離があり、特に二十余りの区域では二十九年度実際に事業が着手がされ、この先完了するのか不透明のものがあります。言葉遊びの失敗例となってしまった内陸フロンティアでありますが、審査、調査の甘さと直接的効果があらわれない区域への責任についてどう考えるか伺います。
 また、今後内陸フロンティアの区域指定はこれで終わると聞いておりますが、うまくいかない区域は取り消しもあり得るのか、あるとすればどのようなスケジュールや管理体制のもと実施されるのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 吉林副知事。
○副知事(吉林章仁君) 内陸フロンティアについてお答えをいたします。
 内陸フロンティア推進区域は、みずからこの考えに賛同し積極的な推進に意欲のある市町からの申請を受けまして、具体的な構想を有し地元関係者による推進体制が整っている取り組みを県が指定をいたしまして積極的に支援をするものでございます。現在全県下にまたがる推進区域と総合特区を合わせた八十四の取り組みのうち約九割の取り組みが事業化や事業の推進に向けて順調に進捗をしております。そうした状況に加えまして取り組み手法や支援体制などが総合的な観点から内閣府の総合特別区域のまちづくり等の分野で全国第一位と高い評価を受けております。
 これまでに事業が完了した十四の取り組みの成果といたしましては、有事の際の防災機能を備えた工業団地への企業進出や地場産品を活用した六次産業化施設の整備が進みまして千四百人を超える雇用が創出されております。また自然と調和したゆとりある空間を有する住宅団地の整備も進みまして、既に整備された百五十七区画のうち百十八区画が契約されるなど県内の人口増加に向けた環境も整いつつあります。さらに県庁全体で取り組んできた企業誘致活動が実りまして、平成二十八年上期の企業立地件数は二十九件と全国第一位に返り咲きました。
 一方で、地域開発を進める取り組みは地元調整に始まり事業用地の確保、造成、事業者の進出など一定の時間を要するものでございます。本格的な実施段階に入りまして課題を一つ一つ解決をし確実に事業着手ができますよう、地元市町と一体となって県外の事業者の誘致に向けた関係部局が連携した企業訪問や立地環境の優位性を実感できる現地見学会の実施、首都圏、愛知県等における県外展示会でのPRなどを強化をいたします。また地元の円滑な合意形成に向けましては課題解決への提案、助言を行うアドバイザーの派遣や地元説明会への県職員の積極的な参画など、全部局一丸となって市町をより一層支援してまいります。
 平成二十九年度中に事業着手が困難な取り組みにつきましては、課題解決に向けて県と市町で十分協議をした上で計画の内容の見直しや区域の変更、指定解除も含め、市町や地元関係者の意向を最大限に尊重し、対応を図ってまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 中沢公彦君。
       (三十八番 中沢公彦君登壇)
○三十八番(中沢公彦君) 再質問いたします。
 意欲的な部分はわかりました。そして、いいとこだけアピールもわかりました。私が聞いているのは、実際に指定はされたけれども事実上効果があらわれない、もしくはそういったことが実施が厳しいであろうというものに対してどうかという話を聞いたわけです。そしたら市町ともう一回話し合ってそういうことも考えて踏まえるという話はありましたが、例えばじゃあそれはいつまで待つという最大の年限の想定はありますか。例えば平成何年ぐらいまではそれは頑張りたいけど、ここまでは待てないというその年限の最終。
 つまり、何を言いたいかというと先ほども言いました人口流出の問題、雇用の問題、製品出荷額の問題、全てにおいて皆さんがおっしゃっていることと実態が伴っていない、このペース感の乖離がすごいあるわけですよ。このペース感の乖離を埋めていく努力というのとそれに伴う結果というのはもっと必要なはずなんです。そういう意味では実施が不可能であるとされるようなものが想定される区域があるとするならば、そこはきちっと年限を見定めてでも次のステップまたは次の展開というものを考えなきゃいけないと思いますよ。それについて伺います。以上です。
○議長(鈴木洋佑君) 吉林副知事。
○副知事(吉林章仁君) 再質問にお答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、一つは平成二十九年中に事業着手が困難な取り組みにつきましては、課題解決に向けて市町や地元関係者の意向を最大限に尊重いたしまして、先ほども計画の見直しあるいは区域の変更、指定解除も含めて検討してまいりたいというふうに考えておりますけれども、県といたしましては八十四の指定区域につきましては全力を挙げて支援をしてまいりたいと思います。特に事業の中身によりましては時間が多少かかるものもございますし、事業者の確保の問題、すぐにはできるものばかりじゃございませんので年限をいつまでというのはちょっと私にもお答えできないんですけれども、できるだけ市町の取り組みを尊重して可及的速やかにそういうものが実現できるような形で内陸フロンティアの推進が進みますように、県全体を挙げて市町と一体となって内陸フロンティアの取り組みを推進してまいりたいというふうに考えております。以上であります。

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