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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

伊丹 雅治 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2022

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
(1)本県のイメージを悪化させる知事の政治手法
(2)令和5年度当初予算の編成方針
2 中小企業者等物価高騰緊急対策事業費補助金の申請時の混乱に対する今後の対応について
3 台風15号による水害発生を踏まえた今後の治水対策について
4 災害時の情報収集・集約体制の強化について
5 次期地震・津波対策アクションプログラムの策定について
6 静岡県盛土等の規制に関する条例の課題への対応について
7 函南太陽光発電事業計画における不適切な林地開発許可手続について
8 静岡県総合健康センターの今後について
9 ファルマバレープロジェクトを基盤としたまちづくりについて
10 2023年東アジア文化都市の開催に伴う効果について
11 遠州灘海浜公園(篠原地区)基本計画の策定について
12 伊豆湘南道路の整備促進について
13 農業の担い手確保対策について
14 里親委託の推進について
15 教育委員会における障害者雇用の推進について
16 韓国雑踏事故を契機とした警備体制について


○議長(藪田宏行君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十一番 伊丹雅治君。
       (十一番 伊丹雅治君登壇 拍手)
○十一番(伊丹雅治君) 質問に入る前に一言申し上げます。
 裾野市の私立保育園の園児虐待による保育士三名の逮捕は、九月の牧之原市認定こども園の送迎バス置き去り事件に続き全国トップニュースとなり大切な我が子を預ける保護者に不信感を与える事態となっています。まずは被害に遭われた子供の心のケアと事件の原因究明、再発防止に全力で取り組むよう当局の皆様にお願い申し上げます。
 日頃より熱心に保育の質の向上のため真面目に取り組まれている多くの保育関係者の皆様が報われるよう静岡県としても汚名返上に努めようではありませんか。
 それでは質問に入ります。
 私は、自民改革会議を代表し通告に従い一括質問方式で質問いたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、本県のイメージを悪化させる知事の政治手法について伺います。
 七月十四日、かねてから申請してきたリニア中央新幹線建設促進期成同盟会への本県の加盟が認められました。期成同盟会加盟後、知事は神奈川県や山梨県の工事現場を積極的に視察し神奈川県に建設される車両基地予定地の用地買収が進んでいないとの発言をされました。その後の定例記者会見でも、二〇二七年のリニア中央新幹線の名古屋開業に間に合わないのは神奈川県の責任であると気色ばんで発言するなどその言動をエスカレートさせていきました。これに対して神奈川県の黒岩知事は、建設予定地の住宅は八割が用地売却を了承しており二〇二七年の開業に向け着実に進んでいると冷静に反論し、開業の遅れへの責任の押しつけ合いの様相となりました。
 静岡県と神奈川県の間に対立が生まれてしまうのではないかと私は肝を冷やしていましたが、その後知事は関東知事会の際に黒岩知事に対し、木を伐採するのも非常に難しいと言っているのであり神奈川県が悪いと言っているわけではないと発言したとされ、黒岩知事の大人な対応により一旦は矛を収めた形となりました。しかしながら改めて知事の政治手法に不安を感じると同時に本県のイメージにまた傷がついたのではと心配になりました。
 知事はこれまで御自分と異なる考えを持つ相手に対して容赦なく暴言を浴びせ極論を主張し敵をつくることで、自分の考えが正しいと主張するという政治手法を旨とされてきました。このようないわゆる川勝劇場とも呼ばれる政治手法は、要らぬ対立を呼び県民の分断を招くおそれがあることから我が会派はその政治姿勢に対して警笛を鳴らしてきたのであります。
 知事の政治手法が県民の分断を招いた事例の最たるものが一年前の御殿場コシヒカリ発言であります。県のトップである公人としての知事の発言を問題視して我々県議会から辞職勧告決議が突きつけられていることを知事はお忘れではないでしょうか。我々議会としては、県政史上初となる知事に対する辞職勧告決議の可決に至った知事の不適切な発言と不要な対立を呼ぶ知事の政治手法について改めて警笛を鳴らすとともに、静岡県民の利益とならない本県の品位を落とす発言については厳に謹んでいただくよう改めてここに忠言いたします。
 知事の数多くの問題発言は報道やインターネットで全国に発信されたことにより静岡県政に対する不信感が募り、ひいては静岡県に対するイメージ悪化につながっている現状を踏まえれば、辞職勧告可決の原因となった人を傷つけるような発言はもとより知事の政治手法自体を抜本的に改めることが不可欠であると考えます。知事は、御自身の政治手法についてどのように改めていくのか伺います。
 次に、知事の政治姿勢についてのうち、令和五年度当初予算の編成方針について伺います。
 十月十七日、静岡県の新ビジョン後期アクションプランの着実な推進と将来にわたって安心な財政運営の堅持を基本目標とする令和五年度当初予算の編成要領を通知するとともに、あわせて来年度の収支試算を公表しました。これによりますと来年度当初予算編成時の財源不足は四百四十三億円と引き続き厳しい財政状況が続くことが見込まれております。一方、長期化する物価高騰対策や新型コロナウイルス感染症への対応に加え激甚化する自然災害への備えや人口減少社会の克服、カーボンニュートラルへの対応など新たに取り組む必要のある課題も多く県財政への影響が懸念されます。
 編成方針では新ビジョンの着実な推進に向けて重点的に取り組む必要のある課題について指定テーマを設定し、これに該当する経費については必要額での予算要求を認めるものとしていますが、設定された指定テーマは県民生活の不安解消や人口減少社会の克服に向けたさらなる取組など幅広く解釈できるテーマが多く、本当に重点的に取り組む課題の解決につながるのか疑問を感じます。
 国際情勢の不安定化や歴史的な円安を背景に物価高騰の先行きは見通せず、コロナ禍で落ち込んだ本県経済の回復に影響を与え今後の県税収入への影響も懸念されます。
 そこで、令和五年度当初予算編成に当たりどのような考えで臨んでいくのか、また今後どのような方針で総合計画の的確な展開と持続可能な財政基盤の構築の両立に取り組んでいくのか、知事のお考えを伺います。
 次に、中小企業者等物価高騰緊急対策事業費補助金の申請時の混乱に対する今後の対応について伺います。
 物価高騰により大きな影響を受ける県内の中小企業の皆様を支えるため、県は九月補正予算により中小企業者等物価高騰緊急対策事業費補助金を創設しました。我々議員の元にも申請開始前から制度に対する多くの問合せを頂き、中小企業者の皆様の期待の大きさを実感したところであります。
 ところが、先月二十八日からオンラインによる申請が開始されたものの、システムの不具合により数時間で受付が停止される事態となり現時点も再開の見込みが示されていない状況にあります。また受付が停止するまでの数時間で予算額を大きく上回る申請が殺到したことが明らかになっており、申請が間に合った方からは補助金の交付対象から漏れるのではないかとの不安の声が寄せられているほか、これから申請しようと準備されていた方からはこのまま申請が打ち切られるのではないかと不安が広がっています。本補助金は本県経済の根幹となる県内中小企業の事業継続を確実に支援していくことが目的であり、予算上の問題により支援の対象が限定されるということはあってはならないと考えます。今議会に提案された補正予算案にはこの補助金を増額するための経費として十億円が計上されていますが、現在の申請状況を踏まえれば予算額のさらなる増額を含めた検討が不可欠であります。
 このような状況を踏まえ、我が会派はこの問題への速やかな対応について知事へ要請をしたところでありますが、今回の混乱を真摯に受け止め中小企業の皆様の不安を解消していただきますようぜひともお願いいたします。
 そこで、二点伺います。
 多数の申請が見込まれる本補助金の事業費について今度どのように対応していくのか、また申請再開はいつ頃となる見通しであるかについて県の見解を求めます。
 次に、台風十五号による水害発生を踏まえた今後の治水対策について伺います。
 近年、気候変動の影響による水害のリスクが増大していると言われており、本県においても毎年のように県内各地で甚大な被害に見舞われています。昨年七月の豪雨では県東部を中心に土砂災害や浸水被害が発生し、本年九月の台風十五号に伴う豪雨では線状降水帯によって大量の降雨がもたらされ中西部を中心に河川の増水に伴う堤防からの越水氾濫や河川への排水不良による内水氾濫が発生しました。特に本年九月の豪雨は近年本県では経験したことのない豪雨となり、本県においても大水害の発生は決して他人事ではないことが改めて思い知らされることとなりました。
 水害を目の当たりにして、多くの県民の方々から今後の気候変動によるこれまでにない雨の降り方により自宅や事業所が水害に見舞われることがないかと心配しているとの声が届いております。
 こうした豪雨の頻発化、激甚化に対し、県ではこれまでも国による防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策や五か年加速化対策、それらの活用やこれに呼応した県の単独事業である県土強靱化対策事業などを用いて河川改修など積極的に取り組んでいるものと承知しております。今後豪雨の発生頻度がますます高まることが予想され多くの県民が豪雨のたびに浸水被害を心配しなければいけない状況になることから、その不安を少しでも払拭することができるよう気候変動の影響を踏まえた治水対策を推進するために最も被害軽減の効果が見込まれる河川改修や河川施設の整備など、そういったものによる浸水対策をより一層強めていく必要があるのではないでしょうか。
 そこで、今回の台風十五号による水害の発生を踏まえ今後の治水対策をどのように進めていくのか伺います。
 次に、災害時の情報収集・集約体制の強化について伺います。
 九月二十三日から二十四日にかけて、台風十五号による災害では県と市町の間の情報収集・集約などにおいて連携不足を感じさせる場面が目立ちました。これまで知事は危機管理を全てに優先すると、その考えにより防災先進県を標榜してきました。
 一方で今回の一連の災害対応を振り返ると、静岡市清水区では大規模な断水が発生し住民生活に大きな影響が出ているにもかかわらず知事は、市からの自衛隊の派遣要請をじりじり待っていたと述べるなど危機に際して主体的な意思が感じられない対応に終始していたことが明らかとなりました。世間では田辺静岡市長と知事の個人的な関係が悪いため県と市の担当者がこれを忖度し適切な対応が取れなかったためとも言われています。言うまでもないことではありますが、自治体の長は住民の生命と財産を守ることを最優先すべきであります。個人的な感情により住民の生命と財産を危険にさらすことは決してあってはなりません。
 さて、災害対応の現場となる市町においては発災直後の混乱により十分な対応ができなくなる場合があります。東日本大震災では沿岸市町で庁舎そのものが被災したり首長や幹部職員が死亡するなどの著しい被害があり県へその状況を報告することさえできなくなりました。この教訓を踏まえ平成二十四年に災害対策基本法が改正され、都道府県は広域自治体として市町が報告を行うことができなくなったとき情報収集に特に意を用いることとなりました。今回の災害のように多くの死傷者を伴わないものの情報収集・集約に遅れが生じる場合、県が市町の防災を助けるという本来の責務を果たすため、そのためには被害の状況や必要となる支援について市町からの情報が上がってくるのを待つのではなく、県として積極的に情報を取りに行き現場の状況を把握できる体制の構築が必要であると考えます。
 今回の災害時の混乱を踏まえ、災害時の情報収集・集約体制について改めて見直す必要があると考えますが、県の見解を伺います。
 次に、次期地震・津波対策アクションプログラムの策定について伺います。
 南海トラフ巨大地震に対しましては、平成二十五年度に策定した地震・津波対策アクションプログラム二〇一三が今年度で最終年度を迎えることから、県当局ではさらなる減災に向け新たなアクションプログラムを今年度中に策定すると伺っております。
 現在のアクションプログラムでは今年度末までに想定最大犠牲者十万五千人を八割減少させることを目標としておりますが、計画どおり八割減少が達成できたとしても犠牲者は東日本大震災をもしのぐ二万人が残っています。当然ながら八割減少で満足することなく、この犠牲者を限りなくゼロにすることを目指して引き続き地震・津波対策に取り組んでいく必要があると考えております。
 しかしながら、ここ三年間は新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により様々な活動が制限され自主防災組織の活動、避難訓練などが軒並み中止や縮小に追い込まれており、飲料水や食料などの家庭内備蓄率や自主防災組織の活動の低下など自助の力、共助の力が相当下がっていると思われます。このたびの台風十五号による被害においてもこうした弱点が露呈してしまったと感じているところであり、さらなる犠牲者の減少に当たってはこれまでの取組成果や課題を整理し行政、地域、県民の果たす役割を明確に示すことが重要であると考えております。
 そこで、新しい地震・津波対策アクションプログラムの策定に当たり県の基本方針について所見を伺います。
 次に、静岡県盛土等の規制に関する条例の課題への対応について伺います。
 今年七月に施行された静岡県盛土等の規制に関する条例、いわゆる盛土条例についてはこれまでの土採取等規制条例から大幅に規制が強化されたことから、その運用に当たって多くの県民の皆様から様々な御意見を頂いております。
 これを踏まえ我が会派では、盛土条例の見直しに関するプロジェクトチームを設置し盛土に対する規制の課題について検証してきました。検証に当たっては関係する団体を中心にヒアリングを行い土壌分析調査への負担、残土処理施設の不足、許可業務の遅延への懸念など二十二項目に及ぶ課題が浮き彫りになったところであります。特に県下一律で規制が適用されている盛土条例に対し地域性や危険性などを考慮すべきではないかとの声が多く上がっています。
 来年五月に施行される宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法において、都道府県知事や政令指定都市の市長が人家に被害を与えるおそれのある区域を盛土の規制区域として指定し区域内の盛土は許可が必要となります。県や政令市では今後地形や地質等の調査を踏まえ盛土規制法による規制区域を指定することとされていますが、区域指定までには時間がかかることも想定されます。法に基づく区域指定までの間、本県の盛土に対する規制手段は盛土条例に限られることから条例の課題への対応を急ぐことが必要と考えます。
 県全体で同一の基準により規制が適用されている盛土条例と県と政令市のそれぞれが区域を指定し規制を適用する盛土規制法との間で規制の適用範囲が異なる可能性もあります。そのため現行の盛土条例に対する県民からの意見も踏まえ規制の在り方について改めて整理することが必要と考えます。
 これらを踏まえ、今回明らかとなった盛土条例に対する課題についてどのように対応していくのか、盛土規制法の施行を見据えた盛土に対する規制の在り方も踏まえ県の所見を伺います。
 次に、函南太陽光発電事業計画における不適切な林地開発許可手続について伺います。
 函南町軽井沢地区における大規模太陽光発電所の建設に対しては、函南町の町民の皆様から多くの不安の声が寄せられてきました。県当局はこれらの声に十分寄り添うことなく森林法の要件を満たすとして林地開発許可を行いましたが、許可に当たっての手続上の瑕疵が問題となっています。
 我が会派では、函南町太陽光発電事業計画に対する林地開発許可手続について、九月定例会における鈴木啓嗣議員の代表質問や産業委員会においてこの問題を検証してきました。
 産業委員会では林地開発許可の要件とされる河川管理者との協議の経緯を中心に質疑を行ったほか、開発に伴い発生する残土処分について林地開発調書に記載された処分量が全体の百分の一にとどまっていたことや地元住民からの意見同意が取れていないことなど新たな問題点が明らかになりました。当局は事業者に対して計画の修正を求めており修正が終わるまで工事に着手しないよう指導していると繰り返し答弁されましたが、許可要件を満たしていない計画を許可しているというこの現状が問題であると考えます。仮に事業者が開発予定地を売却しようとした場合、林地開発許可を得ている土地として第三者に売却が可能となります。土地を取得した第三者が県の指導に従わず開発に着手する可能性も否定できません。
 今回の事例が示すように、行政が一旦許可を行えばこれを取り消し撤回するのは相当に困難です。それであるからこそ許可に当たっては県として責任を持った対応が必要であります。許認可権は行政に与えられた大きな権限であり、これを公正に運用することが行政に対する信頼につながることは言うまでもありません。
 今回明らかになった新たな問題点を踏まえ、函南太陽光発電事業計画における不適切な林地開発許可手続について今後どのように対応していくのか、県の見解を伺います。
 次に、県総合健康センターの今後について伺います。
 私の地元である三島市には、毎日多くの県民がフットサルやバレーボール、フィットネスマシンを利用したトレーニングなど健康づくりに利用している県総合健康センターがあります。県ではこの施設を感染症の専門施設として活用することとし、本年三月には感染症管理センターに関する基本構想が示されました。この基本構想によると感染症の拡大などの有事には建物全てを感染症対策に利用することがあるものの、平時には一階部分を県民利用を可能にすることが示されております。しかしながら県として具体的にどのような施設になり県民がどのように利用できる施設になるのかにつきましては詳細はいまだ示されておりません。
 三島市の住民からも、総合健康センターは県民の健康維持に大変貢献しており静岡県東部にはこれに代わる施設はどこにもないといった声や、こうした施設の機能が継続されないこととなると健康増進や維持に困ってしまうといった声が届けられているところであります。また文化、芸術、コミュニティーの拠点としても非常に重要な役割を果たしています。
 そこで、感染症管理センターが開設された後どのように現在の総合健康センターの機能を引き継いでいくのか、県の考えを伺います。
 次に、ファルマバレープロジェクトを基盤としたまちづくりについて伺います。
 二〇〇二年九月の静岡がんセンターの開院を契機に開始したファルマバレープロジェクトは今年で二十周年を迎えました。先端医療の提供、高度な研究開発と医療健康産業の振興、集積が図られ、現在では静岡がんセンターやファルマバレーセンターを中心とした医療城下町がほぼ完成しております。
 また、東部地域では裾野市においてトヨタ自動車の次世代技術実証都市「ウーブン・シティ」の建築本体工事が先月から始まり、二〇二四年から二〇二五年には一部供用開始されると発表されており世界的にも東部地域の魅力を高める拠点となるものと考えます。全国的に高齢化率の上昇や現役世代の減少が進行している中、東部地域においてもこうした動きに連動し今後は子育て世代を幅広く受け入れ活気あるまちづくりを進めるとともに、超高齢社会をまち全体で支える取組も必要であります。
 このような中、医療城下町を発展させ質の高い医療と住環境が整った医療田園都市を目指す構想を進めていくことが先月のサンフロント21の懇話会の場において明らかになりました。医療田園都市構想は、これまでの産業主体の取組を住民にまで広げ十分な医療や住居、雇用などの暮らしを確保し超高齢化時代にも対応することができる意欲的な取組であると考えます。この構想の実現により東部地域はこれらの課題を解消し超高齢社会にも対応できる先進的なまちに変貌していくことが期待されます。
 そこで、ファルマバレープロジェクト二十年の成果として築き上げた医療城下町を基盤としながら、県として医療田園都市の実現に向けてどのように取り組み、東部地域の特色を生かしたまちづくりをどのように進めていく考えであるのか、県の見解を伺います。
 次に、二〇二三年東アジア文化都市の開催に伴う効果について伺います。
 今年になってようやく三年ぶりに各地のお祭りやイベントが再開し地元の人々が外出して文化を楽しむ姿を見かける機会も増えてきました。まだ感染対策の制限のない形で文化芸術を楽しめる状況ではありませんが、以前のように文化行事で地域が盛り上がることを期待してやみません。
 こうした中、本県は今後のアフターコロナを見越して来年の東アジア文化都市に手を挙げ、この八月に選定されたとのことです。東アジア文化都市は、日本、中国、韓国の三か国において文化芸術による発展を目指す都市が毎年選定され、都市間の交流と様々な文化芸術イベントを集中的に実施するものと伺っています。また知事からは、来年は日本の文化首都として東アジアや世界に日本の魅力を発信すると説明がありました。
 日本を代表する都市に認定されたことは喜ばしいことだとは思いますが、私にはまだ東アジア文化都市の意義や全体像、事業展開が見えず、その効果もはかりかねております。もう二〇二三年は間近に迫っており、本事業を実施するからにはしっかりと県の意図や事業内容を明らかにし県民への周知と理解を進めるべきだと考えます。
 そこで、県では今後どのように東アジア文化都市をPRし文化事業の計画や発信を図っていくのか、また開催による効果をどのように見込んでいるのか伺います。
 次に、遠州灘海浜公園基本計画の策定について伺います。
 遠州灘海浜公園基本計画については、九月の定例会において県から野球場と公園のプランごとの概算事業費や経済波及効果等、それに併せアカウミガメの子亀に対する照明施設の影響に関する調査結果が示されました。
 これを受けて建設委員会では審査初日にアカウミガメの専門家二人をお招きし調査結果について御意見や評価を頂くとともに、当局側とも調査結果や概算事業等の妥当性について集中的な議論を行いました。その際に専門家から、人工的な照明が子亀に影響を及ぼすことは間違いないが県のデータにはばらつきがあり今回の結果では評価し切れないとの御指摘があったことから、当局側が調査結果をさらに分析するとともに文献調査等も追加し改めて十一月一日の閉会中審査にて議論を行いました。その結果ナイター照明などの人工光は子亀の生態に影響を与えること、またこれにより照明施設のない野球場を候補案に加え検討の対象としていくことを委員会として確認いたしました。
 九月定例会では我が会派の鈴木啓嗣議員の代表質問に、十二月定例会で野球場及び公園のプランを一案に絞り込み年度内に基本計画として取りまとめていくとの御答弁がありましたが、その後検討すべき内容は増えており状況は変化しております。
 知事は、十月十一日の定例記者会見で、スケジュールありきではない、なるべく多くの人にことほがれるようにやらなければならない、万機公論に決して前に進めたいと発言しています。また十一月二十九日の会見では、足踏みはやむを得ない、拙速である必要はないと述べています。私もより多くの県民の皆様に御理解頂ける形で結論を出すことが非常に大切なことではないかと考えます。
 そこで、基本計画策定に向けた今後の見通しについて改めて伺います。
 次に、伊豆湘南道路の整備促進について伺います。
 平成三十年七月の台風十二号の越波や昨年七月に熱海市伊豆山地区で発生した土石流により、国道百三十五号や有料道路熱海ビーチラインが通行止めになるなど住民生活だけでなく伊豆半島の観光や経済に大打撃を与え道路の重要性を再確認しました。平成二十四年四月に新東名高速道路が開通して以来東名と新東名のダブルネットワークとなり、この二つが離れていることから同時に通行止めになることも少なくなり東西交通が寸断される回数は激減していますが、東名と新東名が接近している北駿地域では激甚化していく災害時に本当に通行できるのかという不安を感じることがあります。
 私は、このような様々な課題を解決するのが伊豆湘南道路ではないかと考えます。伊豆湘南道路は静岡県伊豆地域と神奈川県西部地域を結ぶ道路構想であり、海岸線を通過する国道百三十五号のバイパスという位置づけだけでなく積雪や凍結に加え東名や新東名からも離れた位置にある新たな高規格道路、言わば第三の東名としても極めて重要な役割を担うのではないでしょうか。
 令和二年十二月定例会の一般質問では、静岡・神奈川両県は国の補助を得て伊豆湘南道路の調査に着手し安全・安心で規格の高い道路の実現に向け新たな一歩を踏み出したところですとの強い答弁がありました。
 地元の悲願でもあり、国土軸としても大きな意味のある伊豆湘南道路の実現への機運が高まっている今、本道路の検討を推し進めていくべきだと考えますが、県の取組について伺います。
 次に、農業の担い手確保対策について伺います。
 農林業センサスによれば令和二年の県内の販売農家数はこの十年間で約四割減少し、六十五歳以上の割合が約七割を占めるなど農家数の減少と高齢化の進展に歯止めがかからない状況であり、農業の新たな担い手の確保が喫緊の課題となっています。令和三年度の新規就農者数三百三十人の内訳について見ると、その六割に当たる百九十二人は農業法人へ就職し自立就農者数も九十八人に上るなど農業外から新たに参入してくる新規就農者数は堅調に増加しているものと思われます。
 一方、農家の後継者について見てみると令和三年度は十七人と十年前の三分の一程度まで落ち込んできており、子供の頃から農業を身近で見てきた農家の後継者が農業を離れている現状がうかがわれます。農家後継者は農地や農機具などが親元にそろっており、家族などが一定の技術を持つなど就農の際のハードルは低い状況にあるのかもしれませんが、農業外からの新規就農者に比べ支援が少ないのではないかとの声も聞かれています。農家後継者においても自らが親元に入ることから経営全体の所得を上げていかなければなりません。そのためには規模拡大や収益力強化、自社製品のブランディングなど新たな挑戦に取り組んでいくことが大切であり、こうした動きに支援の手を差し伸べていくべきであります。
 そこで、農家後継者の就農、いわゆる親元就農者の確保と支援に向け県はどのような取組を行っていくのか伺います。
 次に、里親委託の推進について伺います。
 保護者のいない子供や被虐待児など家庭で養育できない子供は令和二年度末現在で全国で四万二千人を超え、これらの子供たちを社会全体で養育していくとの考えに基づき社会的養護が行われております。本県では令和二年三月に社会的養育推進計画を策定し、家庭と同じような環境で生活し適切な大人との関わりを学ぶことができる家庭的養育を進めてきたと承知しています。
 家庭的養育を進める上では里親への委託推進が大きなポイントであり、本県の平成三十年と令和三年度末の里親委託率を比較しますと全ての年齢区分で増加しております。内訳を見ますと三歳から六歳の就学前期の里親委託率は四一・八%であり令和六年度の目標値の四〇%を上回っている一方、三歳未満と学童期以降の里親委託率は徐々に増加しているものの令和六年度の目標値を達成するためにはさらなる取組の強化が必要な状況にあります。
 里親は養子縁組と違って戸籍上の親子にはなりませんが、子供にとっては実の両親のほかに頼れる大人がいる、巣立った後も強い絆が生まれるなどといったプラス面がたくさんあり、子供だけでなく大人にとっても人生が豊かになる選択肢の一つとも言えるのではないでしょうか。
 全ての子供たちが健やかに育ち温かく安定して成長していく環境を整えることは私たち大人の責務であります。里親委託の推進に向けて、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、教育委員会における障害者雇用の推進について伺います。
 本年六月から九月に実施された定期監査の報告によると、県教育委員会の障害者雇用については働きやすい職場環境づくりを進めるとともに、障害がある人を対象とした教員採用試験の実施や非常勤障害者枠の職の設置を進めるなど積極的な雇用に努めているものの、令和四年六月一日時点で法定雇用率二・五%に対して一・八三%と基準を満たしていない状況だということです。
 消防隊員や警察官が雇用率算定の対象外であるのとは異なり、教育委員会では大半を占める教員が算定対象とされているため達成が非常に困難であるということは承知していますが、一方で全国では二十三もの県の教育委員会がこの法定雇用率を達成しているのも事実であります。
 言うまでもなく法定雇用率を満たしていないということは法律に違反しているということであり、民間企業や私立学校であれば障害者雇用納付金が徴収される状況であります。障害者雇用を率先して推進していくべき立場にある県がこのような状態を何年も続けていることはとても残念であります。県に対しこの状況を深刻に受け止めるとともに、一刻も早く法定数以上の雇用を達成することを強く求めたいと思います。
 そこで、多くの県が法定雇用率を達成している中で本県が達成できていない原因を県教育委員会としてどのように捉え、法定雇用率達成に向け今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 最後に、韓国の雑踏事故を契機とした警備体制について伺います。
 十月二十九日、韓国ソウルの繁華街梨泰院でハロウィンを前に集まった群衆の中で起きた雑踏事故が発生しました。狭い坂道に密集した人々が立っていることができなくなり群衆雪崩が起きたものと見られており、日本人二人を含む百五十人以上の若者の貴い命が一瞬で奪われてしまったことに大変衝撃を受けました。
 日本では平成十三年に発生した兵庫県明石市の花火大会で起きた歩道橋での雑踏事故などを教訓に雑踏警備の基本的な方針として、イベント等の主催者に対し警備計画を策定させるなど自主警備による対策を促した上で主催者に対して必要な助言をするほか、必要に応じて警察部隊を現場に配置するなどの対応を取っています。しかしながら今回の韓国における雑踏事故では明確な主催者は存在しておらず、新型コロナウイルス対策による行動制限の緩和とハロウィン時期が重なったことで言わば自然発生的に多くの若者が集まっています。
 日本でもハロウィン当日には東京都渋谷区の繁華街に多くの若者が集まり、DJポリスや交通整理をする警察官の姿がニュースで大きく報じられました。県内でも静岡市内の繁華街やJR浜松駅前に多くの若者が集まりましたが、これについても明確な主催者は存在せず雑踏警備は県警察単独で行ったものと伺っています。幸い今回のハロウィンでは全国的に大きな事故はなかったものの、雑踏事故防止を徹底するため多くの人出が事前に予想される場合には自治体などと連携して対応することも必要と考えます。
 そこで、韓国における大規模な雑踏事故の発生を受け今後の雑踏警備に対する取組方針について警察本部長に伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 伊丹議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、本県のイメージを悪化させると感じられました私の政治手法についてであります。
 私の政治手法は、問題を解決するために現場主義に立つということに尽きます。知事就任以来県民の皆様の公益、福祉、利益を最優先に考えまして現場主義の姿勢で県政運営に取り組んでまいりました。神奈川県や山梨県などのリニア中央新幹線の工事現場の視察について御心配の趣よく分かりましたけれども、これは本県の諸課題解決のための参考にするとともにリニア中央新幹線建設促進期成同盟会の規約に基づいて行っているものであります。
 リニア中央新幹線建設期成同盟会の規約、事業、第四条には本会は目的を達成するために次の事業を行うと。一つ、国会、関係政府機関、政党その他関係機関に対する請願、陳情と。二つ、建設促進に関する調査研究及び広報啓発と。三はその他ということでございます。ですからこの規約に明記された建設促進に関する調査研究及び広報啓発に基づきまして現場の現状や課題等を確認するために行ったものであります。
 私は、一九九〇年代から国土審議会の委員を務めておりまして、その間二十年間このリニアの促進のために様々な経験を積んでまいりました。そうした中で期成同盟会の規約にのっとりまして、また期成同盟会の副会長として調査研究それに従事したということでございます。
 私が直接この目で見聞きしたことを公表されている関連資料とも照らし合わせまして、その客観的事実を述べたものでございまして無用な対立をもたらしたとは考えておりません。黒岩さんとは彼がキャスターの時代からの友人です。また長崎山梨県知事さん含め私が知事になりましてから歴代三代の山梨県知事さん代わっておられますけれどもいずれも良好な関係を結んでおりまして、したがいまして険悪な対立関係に転じることはありませんでしたからどうぞ御安心ください。
 リニア中央新幹線に関する問題に限らず県政における全ての諸課題に対しましては、私は本県のさらなる発展のために真摯に取り組んでおります。その際言葉遣いには十分に留意しなければなりません。しかしながら言うべきことは言い議論するべきことは堂々と議論した上で県民の皆様にとって最善の結論を導き出すことが必要であるというように考えております。
 今後も常に初心を忘れることなく全身全霊を傾けて取り組んでまいりますので、伊丹議員をはじめ県議会議員の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、令和五年度当初予算の編成方針についてであります。
 来年度当初予算編成の基本方針では、まず第一に本年三月に策定した後期アクションプランの着実な推進を掲げました。霊峰富士から導き出される価値に立脚した人づくり並びに富づくりによって県民幸福度の最大化を図るというものであります。後期アクションプランの位置づけに十二の政策を計画的に進めてまいります。
 一方、世界的に社会経済状況の先行きが不透明であります。県税収入への影響も懸念される中、県が直面する様々な課題に対しまして迅速かつ的確に対応していくためには安定した財政基盤の構築が不可欠です。このため基本方針の第二として将来にわたって安心な財政運営の堅持を掲げておりまして、財源不足額の圧縮に取り組むことにしております。
 この二つの方針を両立させるためには、選択と集中を徹底し限られた財源を有効に活用していくことが不可欠です。このためまずは喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症や物価高騰対策、激甚化する自然災害への備えなどに対応することとしております。これに加え脱炭素社会の構築、デジタルの力を活用した地域づくり、人口減少対策、経済の再生等々新しい時代を切り開くための真に必要となる事業に集中的に財源を投入してまいります。
 加えて、本県は来年の東アジア文化都市に選ばれました。静岡をはじめ日本の文化を国内外に発信する言わば日本の文化首都として、文化芸術、武道、スポーツ、食、ファッション、芸能、温泉、旅、花、庭等々幅広い分野にわたる事業を一年を通じて展開することにより関係人口並びに交流人口の拡大を図り地域経済の活性化に寄与したいと考えております。
 さらに、厳しい財政状況を踏まえ事業のビルド・アンド・スクラップによる歳出のスリム化を徹底してまいります。また歳入面におきましては税収の確保に向けて地域主導の経済政策フジノミクスの展開などに重点的に取り組むほか、幅広い財源の確保についてもより一層強化を図ってまいります。
 これらの取組を着実に進めまして、後期アクションプランの的確な展開と持続可能な財政基盤の構築を両立する予算を編成し富国有徳の美しいふじのくにを実現してまいります。
 次に、静岡県総合健康センターの今後についてであります。
 静岡県総合健康センターにつきましては、令和五年四月、来年の四月に本県の感染症対策の司令塔となるべく  仮称でございますが  ふじのくに感染症管理センターとして設置することといたしまして、建物の三階を執務室とし二階をウイルスや細菌の検査専用のフロアとして利用することとしております。
 建物の一階につきましては、有事の際にはワクチン接種会場や物資の集積スペースなど感染症対策として活用することを想定しておりますが、平時には体育館やトレーニングルームをこれまでと同様に県民の皆様に開放するとともに、スポーツや身体に対して科学的にアプローチする県民の健康づくりに資する取組などを進めてまいります。
 また、今回の施設の機能見直しに併せまして、これまでの総合健康センターで行われていた健康づくりに加え県民の社会参加による地域福祉、障害者福祉の増進を図るなど健康寿命のさらなる延伸と分け隔てられることのない共生社会の形成に寄与する施設として位置づけてまいりたいと考えています。そのため施設の名称につきまして、これまでの静岡県総合健康センターから  仮称ですが  静岡県健康福祉交流プラザに改め、二月定例会に設置管理条例を提出するよう準備を進めているところです。
 なお、今後施設をより多くの皆様に長く御利用頂くために来年二月から一時的に利用を休止いたしまして改修工事を予定しております。施設内に多目的トイレを増設し体育館にも冷暖房設備、車椅子用のスロープやひさしを設置するなど高齢者、障害者をはじめ誰もが利用しやすい施設としてまいります。
 県といたしましては、健康づくりや社会参加を含めた健康福祉活動のために多くの県民の皆様が集う施設となるように万全の準備を進めてまいります。
 次に、ファルマバレープロジェクトを基盤としたまちづくりについてであります。
 静岡がんセンターは全国屈指のがん治療の高度専門機関であります。多くの知見が集積されてまいりました。また隣接するファルマバレーセンターでは医療健康産業の集積を目指しており、これまで約五十社の地域企業が高度な知見を必要とする医療機器等開発分野への新規参入を果たしているほか、百六十件の医療・健康に関わる事業化が実現しております。こうした背景を基に本県の医薬品、医療機器の合計生産金額は十一年連続で全国第一位をキープしております。
 ファルマバレープロジェクトの開始以降、長泉町では企業立地に加え居住地としての人気も高まり、直近の国勢調査では人口増加率が県内第一位、地価調査では十年以上連続で上昇を続けるなど奇跡の自治体と全国で注目される発展を遂げており、まさに医療城下町と呼ぶにふさわしい地域となりました。
 この東部地域は、首都圏からのアクセスも良く富士山をはじめとした豊かな自然環境、また温泉などの観光資源、多彩な食材を有するとともに、国立遺伝学研究所に代表されるように高度な研究機関が集積しております。御殿場市のエコガーデンシティ、三島市の「スマートウエルネスみしま」など市町においても環境、自然、健康を組み合わせた先進的な取組が進んでいる中、裾野市内で「ウーブン・シティ」という世界に発信するプロジェクトである実証実験も行われることとなっております。
 今後はファルマバレープロジェクトを進化させまして、これまでの患者さん、企業主体の医療城下町の実績、これを基盤にして住民主体の医療田園都市――メディカルガーデンシティの実現を目指します。まずは最先端の医療と福祉・介護の提供や田園のゆとりを味わえる住環境の整備、高付加価値型産業の集積による就労の場の確保、さらには高い文化と教育水準を提供できる地域づくりのため基本構想の策定に取り組んでまいります。
 私どもといたしましては、超高齢社会においても誰もが安心してかつ豊かな生活が実感できる住んでよし、学んでよし、働いてよし、老いてよしの超高齢社会の理想郷の実現に向けて地元市町、産業界、関係者の皆様と一体となって全力で推進してまいります。
 次に、二〇二三年東アジア文化都市の開催に伴う効果についてであります。
 東アジア文化都市事業は、中国と韓国の選定都市との文化交流を通じて東アジア域内の相互理解や連帯感の形成を促進し文化の力によって平和に貢献するとともに、東アジア文化都市のブランドの下で、日本の文化首都として年間を通じて本県の多彩な文化を国際的に発信することで文化による地域の活性化を目指すものであります。形式的には本県が立候補して選ばれたという形になっておりますが、実質的には文化庁、文科省のほうから本県に委嘱があってそして立候補しそして選定されたというのが事実です。
 これは二〇一四年に始まっておりますけれども、現在東アジア文化都市が大分県であることをどれぐらいの方が御存じでしょうか。もう既に九年間この事業をされてこられましたけれども認知度が極めて低いというのが現実です。しかも八月の末に選定されて来年一月一日から十二月三十一日まで日本の文化の顔になりなさいということでございますからこれはもう、動中の工夫は静中に勝ること百千億倍という文字どおり白隠禅師の教えに従ってやる以外ないという、そういう実態で準備が厳しいというのは議員御指摘のとおりでございます。
 そうした中、先月二十九日には東アジア文化都市二〇二三静岡県実行委員会を立ち上げまして基本コンセプトや来年一月から三月までの広報活動を含む本年度の事業計画をまず決定したところであります。本事業の意義を十分に発揮するには、県民の皆様をはじめ市町や関係団体など多くの方々に積極的に参画していただき県を挙げて、県民を挙げて事業を展開することが重要ですので今後来年一月からの事業開始に向けて情報発信に重点的に取り組んでまいります。
 本事業の意義や事業内容につきまして県民だよりあるいはSNS等々、様々なメディアを通じて周知に努めるとともに、都市装飾や主要駅での広告を通じて事業のPRを積極的に行ってまいります。また専用ホームページを設けイベント情報を掲載することで多くの方が参加できる環境の整備に努めてまいります。
 私は本県が選定された背景には本県の持つ場の力といいますか、富士山が世界文化遺産になって世界クラスの地域資源また人材が、二〇一三年六月二十二日富士山が世界遺産になりまして現在九年と六か月という月日がたちました。この間月日に直しますと百十四か月ということになりますが、百十四か月で百三十三件の世界クラスの地域資源、人材群となっております。言い換えると一か月に一件以上世界クラスが降ってくると言っているような、そういうこの静岡県の場の力が顕在化していると、こうしたことが背景にあるというふうに思っております。したがって皆自信を持ってですね、この本県の魅力の発信によるブランド力の向上、交流を通じた多様な価値観を認め合う環境の構築、県民の方お一人お一人がですね、何らかの表現者としてですね、文化活動に親しむことによって創造的な地域社会づくりに資することになるだろうと期待しております。
 さらに、アフターコロナ時代に向けまして狭義の文化芸術にとどまらず広義の武道あるいはスポーツ、食、ファッション、温泉、旅、花、庭づくり等々幅広い分野にわたりまして文化活動を再び活性化しまして、その魅力を国内外に発信することにより観光的な価値の向上やインバウンドの需要の拡大、国際競争力の強化につなげてまいりたいと思います。防災についても防災文化というようにして、これも本県の魅力の一つというふうに考えております。
 現在、本格的な展開となる来年度の事業計画につきまして開催効果の最大化に向けた具体的検討を進めているところでありますが、東アジア文化都市二〇二三静岡県が県民の豊かな生活の実現と経済活動の再興に大きな成果を上げられるように全力で取り組んでまいろうと考えております。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(藪田宏行君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) 台風十五号による水害発生を踏まえた今後の治水対策についてお答えいたします。
 本年九月の台風十五号の豪雨は、昭和四十九年七月に県内に未曽有の水害をもたらした七夕豪雨以来とも言われ主に県の中西部地域で浸水被害が多発いたしました。その一方で河川整備計画に基づく河川改修や防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策等を活用して進めております河道掘削などの効果を高く評価する地域の声も寄せられており、事前防災の重要性を改めて認識したところであります。
 近年河川の整備水準をはるかに上回る豪雨による水害が全国各地で多発している状況を踏まえ、国は河川施設の能力を上回る大洪水は必ず発生するとの認識に立ち流域のあらゆる関係者が協働して流域全体で洪水氾濫に備える流域治水を進めていることとしております。本県におきましても堤防整備や雨水貯留施設の設置などのハード対策やハザードマップによる水害リスク情報の活用などのソフト対策を関係市町と連携し地域一体となって推進しているところであります。
 今回の台風による浸水被害を受け県では、これまで浸水被害が頻発する地域におきまして対策を進めてきた十流域に今回浸水被害が発生した五流域を加えた県内十五流域を重点対策流域に位置づけ流域治水を強力に推進してまいります。
 また、治水対策の根幹をなす河川整備につきましてはこれまで以上に計画区間の早期完成が求められることから、国土強靱化を推進する国の予算や県土強靱化などの県予算を積極的に活用することにより事業の進を加速化し事前防災を着実に進めてまいります。さらに河川整備の基本的な事項を示す河川整備基本方針において国は気候変動による降水量や流量の増加を踏まえた見直しに着手しており、県におきましても今後国が示す技術基準や国直轄河川における取組事例等を踏まえ方針の見直しを進めてまいります。
 県といたしましては、豪雨災害から県民の皆様の生命と財産を守るため頻発化、激甚化する豪雨にも対応した治水対策により安全で安心な水害に強い地域づくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 増田経済産業部長。
○経済産業部長(増田始己君) 中小企業者等物価高騰緊急対策事業費補助金の申請時の混乱に対する今後の対応についてお答えいたします。
 当該補助金につきましては、オンラインによる受付開始後想定を大きく上回る申請を頂く中システムの不具合により二時間足らずで受付を停止する事態となりました。中小企業の皆様に対し大変な御心配や御迷惑をおかけしていることを深くおわび申し上げます。
 本補助金の事業費につきましては今議会に既に十億円の追加補正予算をお諮りしているところでありますが、事前登録数が一万件余とさらなる申請が予想されることから事業者の皆様の御要望にお応えできる十分な予算の確保に努めてまいります。
 また、申請再開の見通しにつきましてはできる限り早期の再開を目指しシステム改修や申請方法の見直しなどについて現在受託事業者と調整を進めているところであります。既に受け付けた申請につきましては順次審査を進めるとともに、これから申請を予定している皆様に対しましては必要な情報をホームページやメールを通じてきめ細かく発信してまいります。コールセンターにおきましても丁寧な説明を行うなど事業者の皆様の不安解消に努めてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 石野危機管理部長。
○危機管理部長(石野好彦君) 災害時の情報収集・集約体制の強化についてお答えいたします。
 このたびの台風第十五号による災害は夜間に発生し被害が広域にわたり大規模停電なども発生したことから、各市町において孤立集落など被害情報の収集に時間を要する結果となりました。そこで県では市町との連絡調整に全力を挙げるとともに防災ヘリや河川ライブカメラなどにより情報収集に注力いたしましたが、被害情報の収集、集約に改善すべき課題があることが明らかになりました。
 今後の情報収集・集約体制の強化につきましては、市町と県の情報共有の円滑化を図るため発災後市町の情報を収集するリエゾンを速やかに派遣いたします。また市町災害対策本部の災害対応を支援し県本部との調整役を担う市町支援機動班を新たに設置するとともに、災害時に必要に応じて派遣してまいります。さらに県が直接現場情報を把握する手段を多様化するため関係機関や小売り、流通業者等の協力による情報収集を拡充するほか、市町支援機動班による孤立集落等の現場情報の集約も実施してまいります。
 県といたしましては、今回の災害の教訓を生かし情報収集・集約体制を見直すとともに市町支援体制の強化に取り組んでまいります。
 次に、次期地震・津波対策アクションプログラムの策定についてであります。
 現行のプログラムの取組成果につきましては、構成する個別アクションの九五%が順調に進しており、想定犠牲者の八割減災の目標に対し令和元年度末時点で七割減災を達成したと試算しております。
 一方で、発災時の県民の早期避難意識が六八%にとどまることや被災後の体調悪化の原因となる避難所の不十分な生活環境、コロナ禍等による自主防災活動の停滞などが課題となっております。
 そこで、次期プログラムでは想定犠牲者の一層の減少を図るため、まずは総合計画の最終年度に当たる令和七年度末までの三年間で九割減災を達成し、その後も維持することを目標といたします。また発災時の量的な減災に加え被災後の避難環境の質の確保に資する取組を強化することで健康被害等の最小化も目指してまいります。
 これらの目標の具体化に向け、自助では早期避難意識の向上や家庭内における食料等の備蓄の徹底、共助では要配慮者の支援体制の確保や自主防災組織の活性化、公助では引き続き防潮堤等のハード整備の推進と併せて避難所の環境改善など質の向上に取り組むことで行政、地域、県民総がかりによる災害対応力の底上げを図ってまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) 静岡県盛土等の規制に関する条例の課題への対応についてお答えいたします。
 盛土条例につきましては、条例施行後関係団体の皆様などから多くの御意見や御要望が寄せられており、自民改革会議の皆様からはそれらを踏まえた課題の御指摘を頂きました。条例の円滑な施行のため、頂いた御指摘を踏まえ条例の運用などについて必要な見直しを進めてまいります。
 具体的には、土壌分析調査につきましては調査するサンプル数を減らすなど環境上の基準への適合を確認する手続を見直してまいります。また残土処理施設につきましては建設発生土の処理に関する基本方針の策定に着手しましたので、その中で県内における残土処理施設等の必要性や県の支援の在り方などについて検討を進めてまいります。さらに許可業務が遅延することなく進むよう出先機関も含めた組織体制の拡充を検討してまいります。
 盛土条例による県内一律の規制に関する御要望につきましては、盛土規制法では区域を指定して規制を行うことになり法と条例の整合を図る必要が生じますので、今後国から示されます法の詳細を確認しながら条例の見直しについて検討してまいります。
 県といたしましては、県民の皆様の御意見をお聞きし盛土規制法の施行も見据えながら盛土条例を適切に運用することにより県民の皆様の生命及び財産の保護に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 函南太陽光発電事業計画における不適切な林地開発許可手続についてお答えいたします。
 本事業計画につきましては、県が森林法や県審査基準等に基づき一連の審査を行い妥当と判断した上で、地域住民の皆様の災害に対する不安や懸念を真摯に受け止め土砂流出の防止対策に万全を期すことなど十五項目の条件を付して許可を行っており、事業者に対してはこの遵守を厳正に指導しております。また許可後事業者から集水区域の誤り等の報告があったことから、計画内容が審査基準に適合することを確認できるまで工事に着手しないよう指導を徹底しているところであります。
 御指摘のありました河川管理者との調整につきましては、現在事業者が計画内容に関する訂正書類を順次提出をし改めて河川管理者との調整を進めております。今年度調整手続を明確化するために策定した林地開発許可申請に伴う河川管理者の同意取得に係る運用に基づき、事業者が管理者から書面で同意を得るよう厳正に指導してまいります。
 残土の処分につきましては、熱海の災害発生による住民の皆様の懸念も踏まえ、事業者に対して工事の着手前に全ての残土について適法な処分先を確保することや残土処分の防災計画等について住民等に対して丁寧に説明するよう引き続き指導を徹底してまいります。
 また、地域住民の同意取得につきましては森林法の許可要件ではございませんが、説明会の開催などを通じて地域住民等の理解を得ることができるよう努めることを許可条件に付しており、事業者に対して引き続き許可条件の遵守を指導してまいります。
 なお、仮に事業者が開発地を第三者に売却した場合につきましても、新たな事業者に対して法令の遵守を指導してまいります。
 県といたしましては、住民の皆様の不安や懸念を重く受け止め、引き続き法令等に基づき厳正かつ慎重に対応してまいります。
 次に、農業の担い手確保対策についてであります。
 担い手の減少や高齢化が進む中、本県農業の持続的な発展を支えるためには新規就農者の確保が重要であり、とりわけ農家後継者は農地や農業機械、栽培ノウハウなどの経営資源を親世代が有していることから農業に挑戦する環境に恵まれた貴重な人材と認識をしております。
 このため、県では農家後継者の確保に向けて市町やJA等と連携しながら農業経営士をはじめ担い手農家の子弟の方々を訪問し就農の実態や魅力を分かりやすく伝えるとともに、青年農業者セミナーの受講や実践的な就農プランづくりなどソフト面での伴走支援を行っております。またハード面につきましては、本年度から新たに国の補助事業を活用した経営発展支援事業を創設をし機械設備や加工施設の導入、果樹やお茶の改植など農家後継者の経営戦略に沿った設備投資への支援策をスタートしたところであります。
 これまでに、規模拡大を目指す露地野菜農家の移植機購入や生産を効率化するミカン農家の肥料散布機導入など三件の事業計画が採択されております。引き続き付加価値の高い作物の導入や農産物加工による六次産業化への取組など意欲的な経営を目指す農家後継者の支援を強化してまいります。
 県といたしましては、こうしたソフト・ハード両面からの対策を重層的に展開し地域農業を牽引する農家後継者の確保と経営発展の支援に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 遠州灘海浜公園篠原地区基本計画の策定についてお答えいたします。
 県では、遠州灘海浜公園篠原地区を多くの皆様に親しまれ利用される公園とするため、積極的に情報を公開し広く丁寧に御意見を伺いながら基本計画の策定を進めております。
 本公園の中心施設となる野球場につきましては、九月定例会及び十一月の建設委員会閉会中審査で御議論頂いた結果、照明施設がアカウミガメの生態に影響を与えることが明らかとなったことから照明施設のないタイプを新たな選択肢として加えました。このため現在施設の利用者となる県高等学校野球連盟などの関係団体等に対し改めて検討状況を御説明し御意見を伺っております。基本計画の策定に向けた公園及び野球場プランの絞り込みに当たっては、これまでにお示しした概算事業費や経済波及効果等に加え現在進めている費用対効果の分析結果や関係団体の皆様から頂いている御意見も評価に反映させるため、本議会で予定しておりました評価案の公表は先送りせざるを得ない状況となりました。次回二月定例会に評価案をお示しできるよう引き続き全力で取り組んでまいります。
 県といたしましては、遠州灘海浜公園篠原地区が県西部のスポーツの拠点としてふさわしい地元に愛される公園となるよう、県議会の皆様、県民の皆様との対話を重ねながら基本計画の策定を着実に進めてまいります。
 次に、伊豆湘南道路の整備促進についてであります。
 本県と神奈川県の県境を通過する東名、新東名などの幹線道路は富士山麓の限られたエリアに集中しております。このため大規模災害が発生した場合複数の道路が同時に通行止めとなるリスクが高いことから、伊豆湘南道路に求められる機能やルートなどにつきまして学識経験者から成る委員会を立ち上げ多様な視点から検討を進めております。昨年開催した委員会では委員の方々から災害に強い道路網とすべきとの御意見や整備手法についても検討していく必要があるとの御助言を受けております。また昨年の夏に行ったアンケート調査では三万通を超える回答のうち約九割の方から本道路により防災力の強化や移動時間の短縮、地域活性化などを期待するという御意見を頂いたところであります。
 これらの御意見を踏まえ、今年度からルート選定に必要な地形、地質及び周辺環境に関する現地調査を行うとともに、道路交通の現状と課題、広域災害リスクへの対応などを取りまとめてまいります。あわせて本道路に求められる機能、新幹線と交差する箇所の技術的な課題への対応、整備効果を早期に発揮するための整備手法などにつきましても検討を進めてまいります。
 県といたしましては、国や神奈川県、関係市町と連携し防災、観光、物流など多面的な機能を有し広域道路ネットワークの一翼を担う国土軸となる伊豆湘南道路の実現に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 里親委託の推進についてお答えいたします。
 本県の令和三年度里親委託率につきましては、議員御指摘のとおり就学前の年齢区分が既に令和六年度の目標値を上回っておりますが、全ての年齢区分の目標を達成するためには里親登録の促進、子育て経験がない里親の養育力向上、里親委託後のきめ細かな支援など里親委託率の向上に向けてさらなる取組の強化が必要であります。
 このため、これまでは里親制度に関する市町広報誌への掲載やイベント会場における啓発動画の放映、里親希望者に対する説明会の開催等を行ってまいりました。今年度からは新たに不妊治療に関わる医療機関の御協力の下、里親制度のリーフレットを配布するとともに、治療を受ける御夫妻の心情に配慮しながら医師等から情報提供を行っていただくなど不妊に悩む方に対して里親制度への理解促進を図り里親登録者の増加に向けた取組を進めてまいります。
 また、子育て経験のない里親に対しましては、児童養護施設に入所している子供が家庭生活を体験するため週末等を利用して里親宅に宿泊するショートルフラン制度を今後は里親が子育て経験を積む機会としても積極的に活用し、子供を適切に受け入れることができるよう養育力の向上を進めてまいります。さらに里親委託後の支援体制については、児童相談所が中心となり市町や学校、医療機関等を含めた地域の関係機関を構成員として個々の里親に対する支援チームを新たに設置し機関ごとの役割分担を図りながら、重層的かつきめ細かな相談支援により里親を支えてまいります。
 県といたしましては、今後とも里親が孤立することなく安心して養育に臨める環境を整備し里親委託を一層推進してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 水口教育部長。
○教育部長(水口秀樹君) 教育委員会における障害者雇用の推進についてお答えいたします。
 障害者雇用を推進していく立場にある県教育委員会が法定雇用率に達していないことは、大変申し訳なく深刻に受け止めております。
 県教育委員会は、令和二年度に障害者活躍推進計画を策定し令和六年度中の法定雇用率達成に向け取組を進めております。この間雇用率は増加傾向にありますが免許職種である教員を短期的に増やすことが難しい中にありまして、近年改善が進んだ先進県等と比べますと教員以外が担う業務の創出と職の設置が進んでいないことから、これらを拡大させる必要があります。
 このため、昨年度から特別支援学校において卒業生を授業準備等に従事する会計年度任用職員として積極的に採用しております。今後は事務室の補助員やスクール・サポート・スタッフへの登用拡大に加え、教育委員会事務局内に障害のある職員が支援を受けながら働くワークステーションを設置するなど学校以外での雇用も進めてまいります。またプロジェクトチームを設置し中長期的視点で障害のある方が教育現場で活躍したいと思える提案や改善を進めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、法定雇用率の早期達成に向けて雇用を加速するとともに、障害のある職員にとって働きやすく能力を発揮できる職場環境づくりに全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 大原警察本部長。
○警察本部長(大原光博君) 韓国雑踏事故を契機とした警備体制についてお答えします。
 韓国におけるハロウィンに伴う雑踏事故の発生を受け、県警察においてもハロウィン当日に向けSNS等の情報収集に努めるとともに、多くの若者が集まることが予想された静岡市内の繁華街やJR浜松駅前における円滑な交通流及び通行人の安全確保のため万全の体制で臨んだところであります。
 しかしながら、ハロウィンを含め多数の人出が見込まれるにもかかわらず明確な主催者が存在しない行事の雑踏警備に当たっては、自主警備による対策を期し難いという問題があることから地元自治体、関連施設管理者などにも適切な形で関与をお願いすることが大変重要になってくると認識しております。
 このため県警察といたしましては、今後この種の雑踏警備に際しては事前の情報収集から広報、当日における緊急事態発生対応などについて前広に地元自治体、関連施設管理者などとの間で意識共有及び情報共有を図るとともに、必要に応じて警備体制の支援もお願いするなどの連携を図ってまいる所存であります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 伊丹雅治君。
○十一番(伊丹雅治君) それでは、要望を二点、再質問を一点させていただきます。
 まず、要望の一点目でありますけれども県総合健康センターの今後についてであります。
 先ほど知事のほうから健康福祉交流プラザというふうに名前を変えてバリアフリー化をしたり多目的トイレを造ったり、さらにはですね、体育館の空調設備もしっかりと整えていくということで地域の福祉、障害者福祉に対応した、そういった施設にリニューアルされていくということであります。せっかくすばらしいものに改修していくのでありますからぜひともですね、その施設に併設された陸上の百メートルの全天候型のレーンがあるんですけれども、それ非常に重宝してまして三島市から下田の先までにかけていわゆるスパイクの履けるレーンというのはありませんのでぜひですね、この改修をチャンスにそういったさらなるリニューアルをしていただけたらありがたいなというふうに思っていますのでよろしくお願いいたします。
 要望の二点目でありますけれども、農業の担い手確保対策について要望です。
 御答弁の中で貴重な人材ということで御認識をされています。私もまさにそのとおりだと思います。ぜひこの農業のいわゆる親元就農ですね。新規就農は結果出てきてますので、この親元就農に関していま一度ですね、貴重な人材でありますので光を当てていただきたいというふうに思います。彼らは言うまでもなく地域で消防団をやったりPTAをやったりということでまさに地域の担い手でもあるんですね。ぜひとも特に若手のやる気のある若手農家にですね、農家後継者に光を当てていただきますようお願い申し上げます。
 それでは、再質問に移ります。
 本県のイメージを悪化させる知事の政治手法についてであります。
 また自民党はまだコシヒカリ発言のことを言っているのかというようなことを思う方がいるかもしれませんけれども、私は逆にですね、またコシヒカリ発言を思い出させないでくださいという思いであります。
 今回の神奈川県知事とのやり取りというのは非常に私はですね、ひやひやして見ていました。期成同盟会の先ほど御紹介があった第四条でしたっけ、規約にあった調査と広報に基づいて現場の確認に行ったということであります。そこまでは私いいと思うんですよね。でもその後になぜ二〇二七年の名古屋開業に間に合わないのは神奈川県のせいだという発言をしてしまったのか、それは私理解できないなというふうに思います。
 逆に他県の知事が静岡県にお見えになって同じようなことを言われたら、知事はどんなことを考えるのかなというふうに思います。
 知事は、黒岩知事との対立にはならないということで御答弁ありましたけれども、私はですね、そのお二人の仲をどうのこうのというつもりはなくて、知事のその分断を招くような政治手法について改めたらいかがですかということを問うているわけであります。知事の、もっと具体的に言うと今回その政治手法というのは必ずしも県民の利益にはなってないと、それどころかイメージダウンにつながっているのではないかというふうに思います。
 改めて伺いますが、今回の神奈川県に対する発言は本当に静岡県民にとってプラスの発言だったかどうか知事にお伺いします。以上、答弁求めます。
○議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 期成同盟会の副会長というのは規約に基づいて堂々と行動ができるわけであります。それでリニア新幹線は東京から大阪まで完成して初めてその機能が発揮できるというふうに中央新幹線小委員会でうたわれております。したがって静岡県にとりましても他の地域ではどのようになっているかということについては、調査研究してその事実を共有する必要があるということです。
 それで、車両基地がなければ実は東京と名古屋間も運転ができません。車両基地は偶々そこの場を通ってまたその土地の取得ができていないということが文字どおりはっきりしたわけです。それによってですね、それが誰の仕事かとなりますと二〇一五年だったと思いますが、神奈川県とJR東海さんで神奈川県が土地の取得を受託すると、そういう契約をされているわけですね。その事実は誰も知りませんでした。それからですね、土地の取得が全部終わってから、JR東海の公的な資料によりますと、造成それから路盤整備、それからガイドウエー、それから建屋の建設、それから機械、電気設備に十一年を要すると明記されているわけです。土地の取得が終わってからの工事が十一年を要する。
 したがってですね、これは極めて重大な事実であると。土地の取得もできていない、十一年もかかると。二〇二七年はもう五年後でありますからできないと。その事実は共有するべきであるということを申し上げたということでございまして、それが静岡県にとって即利益かどうかということよりもですね、静岡県を含むこのリニアに関わる全ての地域にとっての共有すべき事実であるということで申し上げたということでございます。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 伊丹雅治君。
       (十一番 伊丹雅治君登壇)
○十一番(伊丹雅治君) 今回ですね、周りの方が知事に御助言しなかったのかなというふうに思います。ぜひ裸の王様にならないようにですね、いろんな方の意見に耳を傾けていただきたいと思います。ぜひ県民目線に立って県民のための行政運営をしていただきますようお願いを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(藪田宏行君) これで伊丹雅治君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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