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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/04/2016

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 物流を生かした中山間地域の活性化への取り組みについて
2 ニホンジカ捕獲対策の強化について
3 地域医療構想に基づく今後の地域医療の確保について
4 ひきこもり対策について
5 認証森林の拡大と県産材の利用拡大について
6 農業利用が困難な耕作放棄地対策について
7 浜岡原発について


○議長(吉川雄二君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十三番 小長井由雄君。
       (三十三番 小長井由雄君登壇 拍手)
○三十三番(小長井由雄君) 私はふじのくに県民クラブ所属議員として当面する県政の諸課題について、知事及び関係部局長に一括質問方式でお伺いします。
 初めに、物流を生かした中山間地域の活性化への取り組みについて伺います。
 少子高齢化を背景として、過疎化が進む中山間地域では商店の撤退、廃業や車を運転しない方の増加などに伴い買い物難民と言われる住民が増加し、移動販売や日用品の宅配などによる買い物支援サービスのニーズが高まっています。また中山間地域では在来作物などの魅力的な地域特産品があるものの物流網が整っていないなどの問題で販路拡大が困難な場合が見受けられます。
 このような現状を踏まえて、物流・交通事業者とNPO法人などとの協働による取り組みが実験的に行われました。それは宅配サービスの維持改善や買い物弱者支援にも役立つ新たな物流システムの構築に向けた国土交通省の地域を支える持続可能な物流ネットワークの構築に関するモデル事業として全国で五カ所選定されたものです。静岡市葵区玉川地区においてもきこりと花屋で切り拓く里山の未来といった事業名で路線バス事業者や地元の関係者が取り組んだと伺っております。
 玉川地区は、静岡市街地から車で約四十分と都市部から比較的近い立地でありながら平成十五年から平成二十七年で人口が約三割減少するとともに、高齢化率が四五%を超えるなど過疎化、高齢化が進行している地区であります。この玉川地区を対象とする取り組みは路線バスを活用し、ひとり暮らしやバス停から離れて居住している高齢者世帯を対象とした買い物支援として御用聞きにより注文のあった米や牛乳などの日用品を都市部から玉川地区に運ぶとともに、玉川地区でとれた緑茶や紅茶などの農産物や華道で用いる枝物やコケ類などを都市部へ運ぶという試みです。このような輸送の効率化による取り組みは中山間地域の活性化や生活の向上に結びつける新たな仕組みとして期待できるものであり、あわせて高齢者や空き家の見守りも実施できるものです。
 人口減少社会が進展する中、これまでの買い物支援サービスだけでなく今回のように効率的な物流ネットワークを活用した取り組みも必要と考えられますが、県はこれを今後どのように進めていくつもりか伺います。
 次に、ニホンジカ捕獲対策の強化について伺います。
 農山村における野生鳥獣による被害は、生産者の生産意欲を奪ってしまうほどの深刻な状況にありそれにより耕作放棄地の拡大に拍車がかかることにもなっています。三十年から四十年前はハクビシンによる農作物被害が大きな問題となっていました。その後里山にはあまりあらわれなかったイノシシの被害が拡大し、伊豆の波勝崎の野猿公園や大分の高崎山自然動物園で目にするくらいだと思っていたニホンザルが集落へ出現し、奈良公園に行かなければ見られなかったニホンジカや南アルプスへ登ってもまれにしか見ることができないと言われていたニホンカモシカが今では身近に生息し珍しいものではなくなるとともに、農林産物の被害は急拡大してきました。
 県内の野生鳥獣による農林産物の被害額は、平成二十一年度の約七億円をピークとして平成二十六年度には約四億八千万円となるなど減少傾向にあります。しかし内訳を見るとニホンジカによる被害は毎年一億四千万円程度で推移しており、これまで被害が大きかった伊豆地域や富士地域だけでなく県内全域に広がっております。
 私の地元である静岡市でも、ミカンやお茶が食べられて収穫量が減ったり杉やヒノキの苗木も食べられてだめになり丹精込めて育てたヒノキの皮が?がされて価値が著しく低下したりとニホンカモシカによる食害とあわせて農林業に大きな被害を与えております。
 また、これに加えてニホンジカはユネスコエコパークに登録された南アルプスの高山植物を食害により衰退させるなど生態系への脅威にもなっており、近年市街地へも出没して市民に不安を与えるなどその被害は年々深刻な状況にあります。
 県はこれまで、特に被害の大きい伊豆地域や富士地域を中心にニホンジカの生息数管理を進めておりますが、こうした状況を鑑みるとより一層の捕獲の強化を図りつつ県内全域に対策を広げていく必要があると考えます。またそうした管理を継続的に実施していくためには狩猟や獲物の利活用によりビジネスが成り立つような方策を進めることも肝要と思われますが、喫緊の課題としては何としても早急にニホンジカの生息数を減らし被害を抑えることが求められています。
 そこで、来年度は県として具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、地域医療構想に基づく今後の地域医療の確保について伺います。
 日本の高齢化は急速に進行しており、十年先の二〇二五年には国民の三人に一人が六十五歳以上になると推計されています。本県においても平成二十七年四月一日現在の六十五歳以上の高齢者人口は百万人を超え、さらに二〇二五年には百十万人をも超え高齢化率は三一・六%になると推計されております。高齢化が進行する日本において将来地域で必要となる医療の確保は重要な課題であります。課題解決に向けて国は昨年六月、二〇二五年に向けた医療提供体制等の改革を進めることを目的に医療介護総合確保推進法を制定し各都道府県は同法に基づき地域医療構想の策定が求められました。この構想はいわゆる団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向けて必要となる地域医療の確保を目的にしたもので、本県も本年度中の策定を目指して現在検討を重ねていると伺っております。
 今回の構想の策定に当たっては、国が二〇一三年の全国の医療需要いわゆるナショナルデータベースを分析、都道府県ごとの需要量を示し各都道府県はこのデータをもとに各地域の事情や特性を考慮して将来の需要量を推計するといった画期的な手法を取り入れて進めていると伺っております。これまでにも増して詳細な分析による、より本来あるべき姿に近い構想となるものと期待しているところであります。
 しかしながら、構想は策定すれば終了ではありません。むしろスタートであります。この構想をどのように推進していくのかが最も重要です。また構想の実現のために行政が強制的に民間の医療機関の活動に影響を与えることはできないことは言うまでもありません。
 そこで、今回の地域医療構想により必要となる医療機能の確保に向けた方針と取り組みについて、県の所見を伺います。
 次に、ひきこもり対策について伺います。
 ひきこもりに特化した第一次相談窓口としての機能を有するひきこもり地域支援センターについては、平成二十一年度から国の補助事業として整備が始まり現時点で都道府県と指定都市において六十四カ所が設置されていると伺っております。
 県内の状況を見ても、平成二十一年の浜松市、平成二十五年の静岡県に続き昨年四月には静岡市がひきこもり地域支援センター「DanDanしずおか」を開設し、ひきこもり者への支援体制が整ってきました。静岡県ひきこもり支援センターにおける相談や支援の件数はセンターを設置する前と比べ約二・五倍以上となっています。本人からの相談も多く寄せられており相談や面接を継続していくことでひきこもり状態の改善が見られる方もいらっしゃると伺っております。特にひきこもり状態が長期化している場合などその改善には時間がかかるため改善状況に応じた適切な支援を継続して提供していく必要があります。
 このことから、ひきこもり支援センターに求められる役割としてセンターだけで支援を続けるのではなく相談者の状況を的確に把握した上で相談内容等に応じて医療、保健、福祉、教育、就労等の適切な関係機関へつなぐなど市町や地域で活動するNPO法人などとも連携して身近な地域において切れ目のない支援を提供できる体制が必要です。
 そこで、ひきこもり当事者や家族が身近な地域で継続した支援を受ける体制を整えるために地域で活動するNPO法人などとどのように連携してひきこもり対策を進めていくのか、県の考えを伺います。
 次に、認証森林の拡大と県産材の利用拡大について伺います。
 東京オリンピック・パラリンピックにおける新国立競技場の建設などを契機として、全国で森林認証材の活用への期待がにわかに膨らんでいるところです。東京オリンピック・パラリンピックは本県においても森林認証の推進や県産材の利用拡大を図る絶好の機会となるものです。県内では昨年十一月に業界と行政が一体となりオール静岡で森林認証を推進するための組織である静岡県森林認証推進協議会が設立されました。また十二月には県と協議会が協力して“ふじのくに”森林認証シンポジウムが開催され「あざれあ」大ホールが満員となる三百三十人の関係者が集まるなど県内での関心の高さがあらわれています。私もこのシンポジウムに参加しましたが基調講演で示された県産材の販路拡大に向けた森林認証の重要さやパネリストの環境と経済を両立させた森林経営に関する高い意識、会場の熱気などを肌で感じ大変感銘を受けたところです。
 さらに県では、先月十日から知事のトップセールスで幕をあけた本県独自の静岡県産材の見本市森林の都しずおか物語ショーTOKYO×静岡の木を新宿で開催し首都圏に向けて森林認証材を含めた県産材の品質や供給力、豊富な品ぞろえについてアピールしております。
 私も参加したところ、東京オリンピック・パラリンピックの施設建設に携わるであろう建築設計事務所の設計士や木材を調達する商社のバイヤーなどが多数参加しており本県の森林認証材に対する関心の高さを目の当たりにしました。こうしたことから東京オリンピック・パラリンピックを契機として見込まれる森林認証材の需要拡大の流れを絶好の機会と捉え、森林認証材の供給力を高めていくことが必要です。
 そのためには、オール静岡で環境と経済を両立させた国際基準の森林認証の取得拡大を図ることが急務であります。また森林認証の推進とともに静岡県産木材の利用拡大を目指すために県内の木材関係団体と県の連携により供給体制を整えることも必要です。そうしたことをあわせて世界水準の森林経営と森林・林業・木材産業の再生につながるものと考えます。
 そこで、九月議会の本会議で答弁されている森林認証の取得拡大に関する仕組みづくりについて県はどのように進めていくのか。また他県においては東京オリンピック・パラリンピックの施設の関連業者が県の木材を優先して調達できる制度を導入するなどの取り組みが始まっていると聞きます。本県においても県産材の利用拡大に向け早急に供給体制の強化を図るべきと考えますが本県の取り組みについて伺います。
 次に、農業利用が困難な耕作放棄地対策について伺います。
 耕作放棄地は、病害虫、鳥獣被害の発生、県土保全機能の低下、農村景観の悪化などの影響を周辺農地や集落環境に及ぼすため地域農業の存続や、ひいては地域そのものの存続を危うくするものであります。このため荒廃した支障物の解消整備を行い適切な保全管理を行うことが地域の課題となっております。
 こうした中、県では耕作放棄地対策に積極的に取り組みこれまでに約二千六百ヘクタールの再生実績を上げてきました。しかしこのような努力にもかかわらず二〇一五年農林業センサスの結果速報によれば二〇一〇年に比べ耕作放棄地は三百七十五ヘクタール増加しております。
 私の住む静岡市北部の中山間地域では、農家の皆さんが先祖伝来引き継がれてきた傾斜地の農地を荒らさないよう丹精込めて耕作してきました。中には高収益作物であったお茶の生産拡大を図るため開墾により経営面積を増加しながら茶業を続けてきた方もおります。しかし近年のお茶の価格低迷で茶業の継続が厳しくなり、他の高収益作物への転換も見当たらず、高齢化とともに跡継ぎもいない状況の中、断腸の思いで耕作を断念せざるを得ない農家も出てきております。また傾斜地のため作業効率が悪いことから担い手が借り受けての耕作もままならない状況となっております。
 私は、こうしたことが本県における耕作放棄地の増加要因ではないかと考えております。耕作放棄地対策として平たん地など営農が可能なところでは従来どおりの農業利用を進めていくことが重要でありますが、一方で急傾斜地等により耕作条件が悪く営農の継続が困難なところではもとの山に返すなど別の利用を図っていくことも必要ではないかと思っております。
 そこで、農業利用が困難な耕作放棄地対策に対する県の取り組みについて伺います。
 次に、浜岡原発について伺います。
 去る二月九日に開催された静岡県防災・原子力学術会議平成二十七年度第二回原子力分科会で、浜岡原発において過酷事故が発生し放射性物質及び放射線が放出される事態に備えた住民等の避難、一時移転及び屋内避難の判断基準、避難先、避難経路、避難手段などを定めた浜岡地域原子力災害広域避難計画案が発表され、三月中に確定されるとの報告がありました。この避難計画はPAZ・UPZ圏に係る十一市町の住民九十四万二千人余を対象としており、避難先の設定においては原子力災害が単独で発生した場合の避難先と大規模地震との複合災害などで単独で発生した場合に設定された避難先に避難できない場合の避難先が設定されています。
 福島では、五年を経過した現在でも十万人が仮設住宅や他市、他県で避難生活を余儀なくされている状況です。静岡県の避難計画では避難者の受け入れ期間は一カ月程度としております。それ以降は静岡県、国により調整するとしていますが複合災害の中での調整は困難が予想され、一カ月程度というのは余りにも短く非現実的ではないかと考えますが御所見を伺います。
 さらに、県の計画案では避難経路への障害の発生が想定されていません。最高の技術で最強の強度に建設された原子炉に支障が出るほどの震災に見舞われたとき既存の道路や橋が無傷で済むことは考えられません。PAZ・UPZ圏内市町人口九十四万人余のうちの大勢の人たちが何日にもわたって放射性物質で汚染された地域から避難できない状況にあることも想定されるのではないかと考えますが御所見を伺います。
 私の住む静岡市はPAZ・UPZ圏外となりますが、昨年度県が公表した浜岡原発事故時の放射性物質拡散シミュレーションによると気象条件等によっては静岡市にも放射性物質の影響が及び住民が被曝の危険にさらされる事態も想定されます。PAZ圏、UPZ圏に限定しないで県民に被害の及ぶおそれのある範囲を含めた対策が必要と思いますが御所見を伺います。
 次に、浜岡原発廃炉の可能性について伺います。
 知事は、かねてから浜岡原発の最良のあり方として廃炉転用で試験研究施設にすることを提言されてきました。一、二号炉の廃炉に引き続く三、四、五号炉の研究施設への転用で長期間にわたり地元は国家的な大型プロジェクトによる雇用の確保等や何よりも大地震、大津波による原発災害の恐怖から解放されます。川勝知事にはこれまで以上に積極的な提言を期待しますが、考えをお聞かせください。
 以上で私の質問は終わりますが、結びにふじのくに県民クラブを代表してこの三月末をもって退職されます職員の皆様に一言お礼を申し上げます。
 本年度末で退職されます職員の皆様は、白井企画広報部長、池谷くらし・環境部長、野知交通基盤部長、山ア人事委員会事務局長、鈴木監査委員会事務局長を初め知事部局で二百二十七名、教育委員会で七百三十一名、警察本部で百八十四名、合わせて現時点で千百四十二名と伺っております。最も早い方で昭和四十九年に入庁され、以来今日まで県民の福祉向上を初め本県の発展のために御尽力されたことに改めて敬意を表します。入庁から今日まで必ずしも平たんな道のりばかりではなかったとも存じますがそれらも全て乗り越えみずからの仕事をなし遂げた達成感を今はお持ちになっているのではないでしょうか。
 このたび定年とはいえ心身ともにまだまだ若い皆さんです。今日までの豊富な経験と見識を生かし新たな人生を歩まれますよう御祈念を申し上げますと同時に、折に触れ後輩に対しまして御指導賜れば幸いに存じます。皆様の御多幸を心より御祈念申し上げまして私の質問を終わります。
○議長(吉川雄二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 小長井議員におかれましては、この三月末で退職する部長以下職員に対しまして温かいねぎらいの言葉とお励ましの言葉を頂戴いたしましてありがたく、彼らにかわりまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 小長井議員にお答えいたします。
 物流を生かした中山間地域の活性化への取り組みについてであります。
 少子高齢化の進展により人口減少・超高齢社会の到来が確実に見込まれる中、人口が減少しても快適で安全な暮らしを維持するには持続可能な社会システムの構築が必要であります。特に過疎化、高齢化が著しい中山間地域におきましては物流網の脆弱化に伴う課題の解決が求められております。このため県庁内に物流に関する課題解決を図るプロジェクトチームを立ち上げまして地域を支える持続可能な物流システムの構築をテーマの一つとして取り組んでまいりました。国土交通省のモデル事業の採択を受け、静岡市玉川地区でその実証実験を行ったところでございます。
 この実験の結果、玉川地区では個々の家庭への御用聞きや農産物加工所を立ち上げる地元住民の活動が生まれますとともに、新たな特産品の開発や御用聞きの高齢者への見守りにつながるなどの効果がありました。その中には私のすぐそばで働いている好青年がおりまして、知事公室なんですが、土日にそこに行って汗を流しておりましてこれもその成果の一つであります。玉川の雑誌も出しておりましてまことに立派なものでございまして私も愛読をしております。そうした効果が出ました。
 一方、この取り組みを持続可能なものとするためには中山間地域と都市部の双方向での物流量の拡大や都市部で販売する特産品の魅力の向上と供給量の確保などの課題も明らかになりました。来年度は玉川地区における地域主体のこの取り組みが課題を克服して経済性の高い持続可能な物流システムとなるよう支援するとともに、他の地域においても取り組みを促進してまいります。
 県といたしましては、地域の実情や既存の交通体系を考慮して持続可能で効率的な物流ネットワークを構築し、地元特産品の販路拡大と生活支援サービスの提供を両立する取り組みを広め、中山間地域を初めとした人口減少の著しい地域におきましても快適で安全な生活を営むことができる地域づくりを進めます。
 といいますよりも、私は近代百五十年間都市化あるいは都市に住むことがハイカラであると言われてまいりましたけれどもそうではなくて、これからの新しい魅力的な生活スタイルは中山間地域においてこそ営まれ得ると。こういう大きなパラダイムシフトといいますか価値転換をつくり上げたいというふうに思っております。内陸のフロンティアを拓く取り組みの中には新しいライフスタイルの確立というのも入っておりますがこうしたものをいきなり個人がやるのは難しゅうございますので、内浦であるとか阿蔵山であるとかそうした県が関与しております――内浦は沼津でございますがそうしたところを中心にやりまして、議員のいらっしゃるようなこのすばらしい伝統と歴史と、また静岡県にとっては恩人でございます聖一国師のふるさとでもございますので、そういうところこそ実は本当の桃源郷であると。こういう価値観を日本中でやっていくことが地方創生の柱の一つでもあろうかというふうに考えている次第でございます。
 次に、認証森林の拡大と県産材の利用拡大についてであります。
 東京オリンピック・パラリンピックを契機に、森林認証材の利用の拡大が見込まれることから認証森林のさらなる拡大と供給体制の整備により県産材全体の利用拡大につなげてまいりたいと考えております。
 本県におきましても、認証材を促進するための関係者の全体の会合が中谷先生を会長として今進んでおります。これからのオリンピック、既に東京オリンピックの前のこのリオデジャネイロ、さらにロンドンオリンピックにおきまして認証材しか使っちゃいけないというそういうのが国際的な潮流でございます。本県は国際的な認証でありますFSCが四万五千ヘクタールございます。これは全国で二位です。首都圏に一番近いところ、山梨県と静岡県がその一位、二位を占めております。
 もう一つ、日本の認証でございますSGECというのは本県はたしか十位だと思いますけれども一位は北海道、二位が熊本、宮崎、鳥取、大分、徳島といったところで首都圏から遠うございますので順位は十位というところでございますけれどもメリットはあると。したがって、本県はSGEC――これは日本の認証ですけれどもことし中にヨーロッパの認証とともに国際認証になるということでございますので、首都圏のものでお使いになるならばふじのくにのものをお使いくださいと。こういう運動を御一緒に推進してまいりたいと思っております。
 この認証森林の拡大につきましては、認証に必要な審査等の経費を縮減する仕組みづくりが重要であります。既に天竜地域では約四万ヘクタール、八千人の森林所有者が一つのグループとなって認証を取得し個人の負担軽減を図っている事例がございます。こうしたことからこれを参考にしまして県内全域でグループ化による認証取得を進めることとしております。
 このため、先月県内二カ所で市町や森林組合などを対象に森林認証取得の必要性とあわせ、グループで取得した場合の経費負担や事務手続に関する研修会を開催いたしました。今後は県営林が中心となって周辺の森林を取り込むなどのグループ化を進めてまいります。あわせて静岡県森林認証推進協議会、これが中谷会長さんの会でございますが審査手続のマニュアルの作成や認証グループへの参加を促すポータルサイトの開設を支援いたします。
 県産材の利用拡大につきましては、多様なニーズに応じて木材を適切に供給する体制の構築が極めて重要です。今年度はまず認証森林の多い天竜、大井川、静岡地域を対象に個々の製材工場が得意とする分野の専門性を生かしながらも相互に連携して木材製品を安定的に供給する共同体制の構築に向けた取り組みを支援しているところでございます。来年度からはこれを全県に拡大してまいります。
 県としましては、環境と経済を両立させた世界レベルの森林管理の実現と、静岡ブランドの県産材、その供給力の強化を図り、本県の森林・林業の再生を加速し、もりの都として名実ともに確立してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(吉川雄二君) 池谷くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 池谷 廣君登壇)
○くらし・環境部長(池谷 廣君) ニホンジカ捕獲対策の強化についてお答えいたします。
 ニホンジカにつきましては、第二種特定鳥獣管理計画に基づき被害が甚大な伊豆及び富士地域を中心に管理捕獲を実施し、両地域の昨年度の捕獲数は約一万三千頭で五年前の二倍に達していますが依然として個体数は減少せず危機的状況にあります。
 このため、平成二十八年度は大型囲いわなによる一斉捕獲を拡大するとともに、新たに農作物等の被害の深刻な伊豆地域の里山においてわなを使った集中捕獲を導入するなど捕獲の強化に努めてまいります。また本年度から開始した南アルプスにおける試験捕獲につきましては本格実施に向けて範囲を拡大して実施する予定であります。
 さらに、天竜川や大井川などの上流域でも有害鳥獣の生息密度や捕獲数が増加していること、管理捕獲実施地域以外のまさに県内全域において有害鳥獣の被害が拡大、深刻化し一層の対応を求める声が高まっていることから平成二十九年度からの次期管理計画におきましては管理捕獲地域の拡大を視野に入れて検討を進めてまいります。
 また、捕獲のインセンティブを高める方策として捕獲した獣肉を市場に流通させることが効果的であることから経営が順調な南伊豆町の民活による獣肉処理施設の成功事例の他地域への紹介などビジネス化の取り組みの拡大も促進し、官民一体となって捕獲強化に努めてまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 地域医療構想に基づく今後の地域医療の確保についてお答えいたします。
 県では、地域医療構想により示す二〇二五年に必要な医療機能を確保していくため地域での関係者による協議に基づく医療機関の自主的な取り組みを促していくことを基本的な方針としております。このため構想策定後は医師会や歯科医師会を初め病院団体や市町と医療保険者などから成る地域医療構想調整会議を構想区域ごとに設け、病床機能の分化連携を初め在宅医療の確保や医療と介護の連携など各地域にふさわしい医療提供体制について協議を進めることとしております。
 また、県ではこの調整会議での議論を通じて明らかとなる医療機関における病床機能の転換や在宅医療の充実、医療人材の確保といった自主的な取り組みを地域医療介護総合確保基金などを活用して積極的に支援していくとともに、県全域の課題である医師確保や医療と介護の連携などに取り組み、地域医療機能の充実と強化に努めてまいります。
 県といたしましては、地域医療構想に基づき効率的で質の高い地域医療を確保していくため、医療機関はもとより市町や関係団体等とも協力しながら全力を挙げて県民が将来にわたり安心して暮らせるふじのくにの実現を目指してまいります。
 次に、ひきこもり対策についてであります。
 ひきこもりが長期化している方の改善には長い時間を要することから、県ひきこもり支援センターによる支援だけではなく市町やNPO法人などと連携して身近な地域において継続した支援を提供していくことが重要であります。
 このため、ひきこもり支援センターでは福祉や教育、就労などの支援を行うNPO法人や行政機関の職員による互いの活動内容を発表する情報交換会を開催することで、さまざまな分野の立場から相談者の状況に応じた支援の提供ができる協力関係を構築しております。また困難事例に対応するための具体的な支援方法を学ぶ研修会などを開催して支援に携わる職員の資質向上にも努め、一人一人に合わせた適切な支援を提供することとしております。
 来年度からは、NPO法人などに委託してひきこもり支援センターの相談により改善が見られ社会とかかわる意欲を持ち始めた方々が集まり自宅以外で安心して過ごせる居場所を身近な地域に設置し、ひきこもりの方が社会参加の第一歩を踏み出すための支援としてまいります。
 県といたしましては、ひきこもり支援を行う市町やNPO法人など関係団体と連携を強化し、身近な地域において本人や家族の気持ちに寄り添い継続した支援ができる体制づくりに取り組んでまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 農業利用が困難な耕作放棄地対策についてお答えいたします。
 農地は、食料の安定供給にとって不可欠な資源であり有効に利用される農地の確保が重要でありますことから本県ではこれまで農業利用を目的とした耕作放棄地の再生を支援してまいりました。耕作放棄地の中には急傾斜地や排水不良等の不利な条件のために借り手がなくみずからの力では保全管理が困難な農地も存在しており、この解消が課題となっております。
 このような耕作放棄地のうち、既に森林の様相を呈しているなど農地への復元が困難で周辺の営農や景観等に支障を及ぼさない耕作放棄地については農業委員会による非農地化の手続を促進してまいります。
 一方、周辺の営農や景観等に支障を及ぼす耕作放棄地については地域住民の皆様や農業者等が協力して景観作物の植栽や林地化等により適正に管理をしていくことが有効であります。このため来年度の新規事業により現場条件の異なるモデル地区を抽出して、例えば茶園で放棄された茶の木を除去して景観作物への転換などを実施し、具体的な支障物の除去方法や保全管理等のあり方などの適切な対策方法を検討してまいります。
 県といたしましては、農業利用が困難な耕作放棄地の解消を促進するとともに、良好な耕作条件を確保する農業生産基盤整備や多面的機能支払制度等の活用による耕作放棄地の発生抑制や再生利用を促進し、豊かで美しい農山村の創造に努めてまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 浜岡原発についてお答えいたします。
 現在策定中の浜岡地域原子力災害広域避難計画に示す避難は、住民の避難を迅速確実に実施するための緊急的なものであり滞在期間は原則一カ月程度としております。避難が長期化する場合には国の支援を受け、できるだけ速やかにホテル、旅館、公営住宅へ移転していただくなどの対応を検討してまいります。
 避難経路の確保に当たっては、緊急輸送路等の整備や橋梁の耐震対策を進めるとともに、新たにスマートフォン等を活用し避難経路の状況を住民へ提供するシステムを整備するなど的確に情報を伝達し、円滑な避難の実施に努めてまいります。
 三十一キロメートル圏内である原子力災害対策重点区域を越えて放射能の影響が及ぶおそれがある場合には、国がモニタリングを行い必要に応じ屋内退避等を指示することから県は市町と連携し防災行政無線等のさまざまな手段を用いて住民への迅速な情報伝達等を行ってまいります。
 中部電力は、浜岡原子力発電所に原子力安全技術研究所を設置し廃炉技術等の公募研究に取り組んでおり、国際的にも注目される原子力の安全技術のメッカとなる可能性を有しております。県といたしましてはこの取り組みに注目するとともに、引き続き安全の確保を求めてまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 小長井由雄君。
       (三十三番 小長井由雄君登壇)
○三十三番(小長井由雄君) それぞれ御答弁をいただきました。
 三点にわたって再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、ひきこもりの問題でございます。
 ひきこもりにつきましては今議会でも大石裕之議員からの質問がございました。非常に複雑な問題、しかも長期間にわたる、高齢化すると大きな問題になっていくというようなことでありましたがこの非常に時間のかかるですね、解決するのに、このひきこもりの問題。これは行政がかかわるという点はもちろんあると思いますが先ほどもお話がありましたとおり地域で活動するNPO法人、こういったところにですね、比重を移してやっていただくというようなことは必要ではないかなというふうに考えますがこのNPO法人のですね、育成支援。これをですね、強力に進めていく必要があると思いますがその辺についての考えをお聞かせください。
 それから、浜岡原発についてでございます。
 避難計画についての御答弁をいただきました。難しい計画作成だと思います。これは本来は国のやるべき仕事ではないかなと思います。大地震と原発事故が重なって発生する複合災害時には果たして短時間で避難ができるのかは非常に疑問であります。特に東海地震の予想震源域はPAZ・UPZ圏の直下でありますからこの直下型地震に襲われたら交通インフラ等に大きな被害発生が予想されます。そうなると車での避難は大変難しいことになります。つまり地震と原発事故が重なった複合災害の場合の実効性のある避難計画というのは難しいんじゃないかなというふうに思いますが御所見を伺います。
 三点目。知事はですね、今議会で憲法の第二章として、第一章天皇、第二章戦争の放棄の前に二章として国土を大切にして後世に継承していかなければならないと、こんなふうにおっしゃっておりました。我々日本人にとってですね、このかけがえのない日本の自然と国土。これを守っていく。とりわけ霊峰富士を何万年にもわたってですね、放射能という有害物質によって汚染するということは許されないことだと思います。
 知事はこれまでですね、この浜岡原発の再稼働については自分は再稼働させないということをこの本議会でもおっしゃってまいりました。その知事の言葉を受けて当局はですね、この知事の意思をどのように政策に反映し展開していくのかその辺を伺います。
○議長(吉川雄二君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 小長井議員のひきこもり対策についての再質問についてお答えいたします。
 ひきこもり支援に取り組むNPO法人の育成支援について、いかがなものかということだと思いますが、確かに先生御指摘のとおりNPO法人というのは地域の特色、地域の状況等を十分把握しているところでございますので今後ともこのNPO法人をしっかり県としても連携して育て、育成していくことが非常に大事だと考えております。
 そのため、県におきましては県ひきこもり支援センターが開催している情報交換会や研修会をやっているわけですがそこには多くのNPO法人の方が参加をしていただいておりまして、非常に団体間の協力関係がわかるようになったとか支援の仕方がわかるようになったと非常に好評でございましたので、この情報交換会や研修会を来年度はさらに充実して取り組むことによってこのNPO法人をしっかり支援育成していきたいと思っております。
 また、先ほど答弁でも答えましたが来年度新たに取り組む居場所の設置に当たりましてはこのNPO法人に運営を委託するというような形で地域のNPO法人をしっかり育成支援に役立てていきたいと考えております。以上でございます。
○議長(吉川雄二君) 外岡危機管理監。
○危機管理監(外岡達朗君) 浜岡原発についての再質問にお答えいたします。
 複合災害時の避難の実効性の確保についてでございますが、避難経路の確保に当たりましては緊急輸送路等の整備や橋梁の耐震対策を平素から進めますとともに、発災時には迅速に被害状況を把握し、早期の警戒に努め、確実な避難の実施を図ってまいりたいと考えてございます。
 二点目の、再稼働に関する御質問でございますが浜岡原子力発電所については原子力規制委員会が新規制基準への適合性を審査中であること、安全対策の工事を実施中であることなどの課題がございますので再稼働できる状況にはないと考えてございます。
 県では、防災・原子力学術会議を中心に浜岡原子力発電所の安全性について独自に検証をしてまいります。また国には厳格な審査というものを求めてまいります。県といたしましては引き続き中部電力に対し浜岡原子力発電所の安全確保を求めてまいります。
 なお、避難計画については再稼働の有無にかかわらずしっかり策定していく必要があると思いますので策定を進めてまいります。以上でございます。

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