本会議会議録
質問文書
令和3年9月静岡県議会定例会 質問
質問者: | 相坂 摂治 議員 | |
質問分類 | 一般質問 | |
質問日: | 10/05/2021 | |
会派名: | 自民改革会議 | |
質疑・質問事項: | 1 知事の政治姿勢について 県内各地域の将来構想 2 新型コロナウイルス感染症対策について 感染経路不明者の行動履歴の類型化 保健所体制の見直し 3 コロナ禍における教育活動の安全確保について 4 コロナ危機における経済対策について 経済対策の実効性向上 新たな雇用先の確保 5 産業基盤の整備について 6 東静岡駅南口県有地における新県立中央図書館の整備について |
○副議長 (竹内良訓君) ただいまから会議を開きます。
議事日程により、 知事提出議案第百号から第百二十四号まで及び令和二年度静岡県一般会計、 特別会計、 公営企業決算全部を一括して議題とします。
ここで後半グループの議員が退出するため休憩します。
○副議長 (竹内良訓君) ただいまから会議を再開します。
質疑及び一般質問を行います。
通告により三十九番 相坂摂治君。
(三十九番 相坂摂治君登壇 拍手)
○三十九番 (相坂摂治君) おはようございます。
知事や行政が何を伝えるかということよりも、 県民が何を必要としているかということのほうがはるかに大事です。 誰もが発信者となり得る今日、 為政者からもたらされる情報に過不足はないか、 そして正確さや適切さはもはやごまかしようがありません。
緊急事態措置の解除に当たり、 知事は記者会見で経済活動をそろりスタートさせるという表現を用いました。 何を言おうとしていたか知事らしさがよく分かる表現です。 しかし四十日にも及んだ行動制限によって経済的な打撃を受けてきた飲食業、 観光業、 サービス業、 そしてその取引業者の方々にとっては解除によっても再び保証のない厳しい局面に立たされることを連想させ、 期待していた消費行動は限定的だと受け止められています。 大事なのはどんな行動であればコロナの危険を回避して社会経済に関与できるのか、 その具体性であります。 そしてそのために県は安全・安心認証制度を導入し実践しているはずです。 分かりにくい抽象的な表現や情報は、 むしろコロナに対する警戒感や緊張感を弛緩させる一方、 経済活動からの回避にもつながってしまいます。
知事、 副知事、 関係部局長、 教育長にはより具体的な御答弁を示してくださるよう期待をしながら通告に従って一括して質問を行います。
初めに、 知事の政治姿勢について伺います。
時代は常に変化するということは政治の世界でもよく語られることです。 次期総合計画の策定作業には社会の変化を的確に政策体系に反映することが期待されます。
コロナ危機は、 かねてから求められてきた東京一極集中の是正と分散型の国土利用への機運を高め人々の地方への流れを加速するようになりました。 人口減少に直面した地域社会では外国人技能実習生や特定技能の業態範囲の拡大によって労働力の不足に現実的な対応が図られる結果となり、 職場や地域では外国人との共生を実現することが急速に求められるようになりました。
二〇一五年に国連が示したSDGsは、 脱炭素への取組を製造業におけるサプライチェーンに求めると同時にまちづくりや住環境においても地球環境へ配慮したサステーナブルな都市形成が注目を集め、 今後の成長産業を大きく変えていくことが指摘されています。 そして情報分野におけるデータの一元化やAIを活用した技術革新は省力化、 無人化を急速に進め労働を集約してきた業種、 業態、 働き方、 時間など労働の定義さえも変えようとしています。
こうした社会の変化は県庁や市役所のサービスにも変化を求めるでしょう。 産業政策や中小企業への支援策、 庁内のデータ管理の方法、 災害情報の収集、 県土の強靱化やインフラ整備など手法やツールの迅速な転換を求めるはずです。
さてこうした情勢の中、 六月二十一日県はレイクハマナ未来都市構想を打ち出しました。 浜松市、 中東遠地区を舞台に新しい静岡時代を牽引する地域循環共生圏の形成という将来像をスローガンに市町のあらゆる官民プロジェクトを集約し、 こうした時代の変化への対応を広域的に進めようとする試みのようであります。
しかし、 こうしたビジョン設定は医療系産業を集積してきた東部、 オリンピック会場となってスポーツの聖地としての期待を集めてきた伊豆地域、 さらに陸上、 海上、 航空の交通結節点が集中している中部地域などでもふじのくにのフロンティアを拓く取組が実施されてきており、 浜名湖周辺と同様に一つの政策目標に集約させることが必要であり、 均衡ある県土利用とビジョンを統一して広域連携をより効率化することによって本県を分散型国土利用の中心エリアへと成長、 進化させることが重要であります。
そこで伺いますが、 知事が捉えるこれからの時代、 県土活用のエリア構想、 次期総合計画に搭載する事業の方向性と将来ビジョンについて知事のお考えをお示しください。
次に、 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、 感染経路不明者の行動履歴の類型化について伺います。
今年七月に発生したコロナ第五波は、 これまでの感染者数を大きく上回る爆発的な感染規模となりました。 この背景には終わりのない行動自粛への我慢の限界、 次第に進むワクチン接種への安心感、 政治への不信感等があったと指摘されてきましたが四十日間にも及ぶ全国的な緊急事態措置によってようやく感染拡大を押さえ込んだという結果になりました。
感染予防を行いながら経済を両立させるというウイズコロナが我が国の方針です。 ではウイズコロナの定義とは何か。 どのような状態の社会を指すのか。 政府は具体的に言及しておりませんが、 少なくとも感染者の増加によって医療が逼迫し自宅療養中に亡くなったり、 一年半を超えて雇用調整助成金を支給するという社会ではなく、 医療的にはたとえ感染しても入院しなくても済む程度に症状が抑えられる状態の実現であり、 社会的には国民の自らの行動自粛によって緊急事態措置を発令しなくても感染拡大が抑制される状態を目指すべきだと私は考えます。
であるならば、 コロナ全般に有効なワクチンの開発と重症化を防ぐ治療法が確立されるまではあらゆる方法、 考え方を駆使して感染拡大につながる私たち自身の行動、 行為についてより確かな見解を追求しなくてはならず、 同時に医療人材、 ワクチン、 治療薬が十分に用意されその提供体制が維持されていなくてはなりません。 こうした視点で考えるとコロナの克服にはまだまだ課題があることを痛感します。
不要不急の外出を控えようという抽象的な呼びかけだけでは人の動きを止めることはできませんでした。 社会経済と関わり合って活力を維持するために感染につながりやすい危険な行動とは実際のところ何なのか、 責任を持ってはっきりと県民に示すことです。
そこで、 私は今までに感染経路不明者として分類された方々の行動パターンを類型化する作業を提案いたします。 全ての感染者に感染経路があるのです。 不明とされた方々の行動パターンには類似したある一定の行動法則があるのではないか、 県内には既に累積約二万六千人分の行動データがあります。
まず、 累積感染者のうち感染経路不明者はどのくらいの割合なのか。 また感染者を減らすにはこうした感染経路不明者を含めて感染者の行動パターンを分析し、 どういうケースで感染が広がっていったのかを整理してできる限り詳細な公表と注意喚起を行うべきだと考えますが、 県のお考えをお答えください。
次に、 コロナ危機における保健所の体制について伺います。
マスクをしていれば感染者と同じ空間にいても濃厚接触者ではない。 保健所のマンパワーの不足によってこうした対応へと変化しました。 これによって感染者の家族、 同僚、 クラスメイトにすら保健所によるPCR検査は実施されないケースが増えました。 心配なら家族で、 職場で、 学校で自ら実施するようにと指導されたようであります。
本県で保健所が実施したPCR検査数は、 公表された陽性者一人当たりで換算した場合第五波と呼ばれる七月から八月の二か月では約一・六回、 昨年十二月から一月までは約四・九回、 四月から五月では約四・五回、 今回大幅に減っていることが分かります。 濃厚接触者の検査数の比較に使うのは適当ではないかもしれませんが、 どこかにボトルネックが生じているのではないかと懸念します。
保健所の検査が行われなかった現場で当事者自らの検査で陽性が判明する事例も少なくなく、 専門家の中には濃厚接触者を絞り込んでしまう行為が結果的に隠れ感染者を生み出し、 さらなる感染経路不明者を引き起こしているおそれがあると指摘する意見もあります。
保健所にしかできない業務と他の部署や民間の機関に任せられる業務とを早急に仕分けし、 保健所本来の機能を維持して県民の不安を払拭することが必要だと考えます。
そこで伺いますが、 体調不良を訴える県民への対応、 自宅で療養する陽性者の容体把握、 医療機関との連携、 そして濃厚接触者への検査の実施など保健所の専門性が特に必要とされる業務にどのように人材を集中していこうとお考えなのか、 コロナ第五波における保健所業務での課題とその方針を伺います。
次は、 コロナ禍における教育活動の安全確保についてです。
今回の緊急事態措置は夏休みが終わって学校が再開される時期と重なり、 学校の感染症対策をめぐっては様々な議論がなされました。 再開時期を延期した市町、 全ての授業をオンラインで実施した私立の学校、 午前と午後に授業を分けたり給食を取りやめるなど自治体や学校によって対応が分かれましたが、 県内では学校での感染拡大が広く認められることはなく学校現場の教員の皆さん、 児童生徒の真面目な取組が学校の安全を守ってくれたわけであり深く感謝したいと思います。
長男が持ち帰った学校からのお便りには、 感染予防のために一日中子供たちに口うるさく注意しており、 学校生活を楽しんでくれているか心配していますとの記載を読み、 先生方や児童生徒、 保護者の皆さんに過重な負担を強いている現状に改めて気がつきました。 マスクの着用や三密の回避などの基本的な感染症防止策が推奨されてきましたが、 学校生活においては体育や音楽の授業、 給食の時間などどうしてもマスクを外さなければならない場面もあり、 マスクを外すことへの不安や罪悪感、 保護者の学校への信頼感なども考慮すると感染拡大につながりやすい学習内容については一定のルールが必要ではないかと思うところであります。
そこで伺いますが、 緊急事態措置や蔓延防止措置が適用されている期間中も含め、 県教育委員会はどのような基準で教育活動の安全を確保するよう現場に指導されているのかお答えください。
また、 今回の爆発的な感染拡大を教訓に安全な教育現場を実現して教育機会を堅持するために最悪の事態をも予測して今後どのような手だてが必要だとお考えなのか学校の設備、 教員に必要となる新たなスキル等にも触れながら県教育委員会の方針を伺いたいと思います。
次に、 コロナ危機における経済対策についてのうち、 経済対策の実効性について伺います。
今回の蔓延防止及び緊急事態措置では、 本県が対象地域とされたことから飲食店をはじめ各種サービス業の方々に協力金や応援金が支給されました。 今年一月に国が緊急事態措置を実施した際には国の財源による協力金の支給が措置圏域に限定されたため本県では売上減少への支援が実行されず、 関東圏からの観光客やビジネス客の利用によって売上げを確保していた伊豆や東部、 さらに商圏である静岡市では大きなダメージを受けました。
この際、 我が会派からは各種業界代表者からの要請を受けたびたび県当局に経済活動を下支えする支援策の実行を求めましたが国の財政支援が得られないことを理由に実施が見送られ、 毎日のように業界から伝えられる苦境に悔しい思いを重ねておりました。
こうした経過を考えると、 経済産業部が実施した今回の中小企業等応援金は国の制度への上乗せ、 横出しを含む手厚い内容となっており、 業界の皆さんにとっては決して十分とは言えないかもしれませんが改めて評価をしたいと思います。
さて、 大切なのはこの制度の適切な運用です。 まず応援金の申請手続の簡素化のための工夫、 申請受付から給付実施までの期間短縮への取組について伺います。
また、 コロナ危機は感染拡大期と感染抑制期とを繰り返しており、 感染が緩やかになった限定的で短い間に可能な限り消費を喚起し企業活動と県民生活の活性化を実現することが飲食店を含むサービス業の経営を助け、 結果的に県内全域の活力を維持することにつながります。
そこで、 コロナ危機における消費喚起策について県の御所見を伺います。
次に、 新たな雇用先の確保について伺います。
国の雇用調整助成金の特例措置が継続されてきたことによって、 今までのところ急激な失業者の増加は防がれています。 八月末時点の雇調金の支給は製造業、 サービス業、 宿泊・飲食業などを中心に全国で四百三十四万件、 県内では十三万件で決定された支給額は全国で四兆二千八百六十一億円とのことであります。 既に支給期間は一年六か月に及んでいます。
この状況で最も懸念されるのは、 地域経済が十分に動き始める前に感染状況の収束や財政状況の逼迫を理由に国が雇調金の特例措置延長を終了してしまうことであり、 このタイミングによっては雇調金受給事業者から大量の失業者が発生するおそれがあることです。 県はこのことを常に労働行政の念頭に置いて情報収集に努めるとともに、 従前から慢性的な人材不足に直面している業界や雇用の拡大が期待されるこれからの成長産業へ求職のトレンドを促す支援策を用意することが重要であります。
そこで伺いますが、 本県で人材を必要としている業界への就労を促進する取組、 職業技術や資格取得を支援する取組、 さらに求人を必要としている業界の慢性的な課題解決など雇用調整助成金の特例措置終了後の失業者対策に関する考え方を伺います。
次に、 産業基盤の整備について伺います。
カーボンニュートラル、 デジタルトランスフォーメーション、 CASEなどの社会変容によって本県の製造業を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。 長引くコロナ危機によって景気状況は依然厳しいものの設備投資は増加に転じ、 本県企業局が進める地域振興整備事業によって企業投資を促す環境整備は近年順調に推移しています。
例えば、 レディーメード方式で用地造成した富士山麓フロンティアパーク小山は造成完了から二年四か月の短期間で完売し、 県内外から成長産業を誘致することに成功しました。 企業局が造成した用地を市町に一括で売却するセミ・オーダーメード方式の第一号となった藤枝高田工業団地も計画を上回るスピードで事業が進みました。 さらに今後は現在造成工事を進めている富士大淵工業団地の早期完成を目指すとともに、 今年二月の我が会派の代表質問の際に明らかとなった湖西市の新たな造成候補地の選定も着々と準備されていると伺っております。
さて、 企業局が手がけるこれらの産業基盤の整備は県内各市町が取り組むビジョンの達成に対して企業を誘致して産業創出につなげていくという側面的な支援であり、 県が次期総合計画骨子案に示した地域構想やこれまで進めてきたフロンティアを拓く取組を具体的に推し進める施策でもあります。 企業局の近年の経営革新への取組は若手職員が提案した様々な創意工夫によってコスト削減や事業の効率化を実現してきました。 こうした企業局の先進的な取組や蓄積されたノウハウを生かし、 地域振興整備事業を通じて市町のまちづくりの実現を加速していくことが今の企業局に最も期待されていることです。
そこで伺いますが、 中長期的な視点に立った今後の産業基盤整備の方針についてお答えください。
最後に、 東静岡駅南口県有地における新県立図書館の整備について伺います。
平成二十九年九月に図書館の移転新築が正式決定され、 令和三年三月には県立中央図書館整備計画が策定、 今年度はいよいよ基本・実施設計に着手する段階となりました。
駅周辺の地元地区でも新図書館に対する期待は次第に高まりつつあり、 先月二十二日には地元自治会の関係者とも意見交換を行い、 図書館の整備と運営に地元としてどのように関わりどのように応援していけるのか期待が寄せられたところであります。 そして十月一日から設計者選定の公募が始まりました。
御承知のとおり、 東静岡駅周辺の土地利用については本当に長い間議論が続き紆余曲折を経て今日を迎えました。 この際ですから以下の点について改めてお伝えしたいと思います。
まず、 図書館としての建物の在り方についてです。
建築に際しては今の時代の文化的な特徴が反映され、 何年か何十年か経た後にその文化的価値が評価されるよう英知を集約するものであってほしいと願っています。 私たちが本会議で使用しているこの県庁本館も昭和十二年に建造され平成十三年四月に文化財に指定されたものです。 今なお当時の建築文化を思い知ることができその威厳を感じることができます。 厳しい経済状況が続き行政においても採算性が重視される風潮ではありますが、 官にしかできない建造物への文化的な試みがあると私は信じております。 世界に残された人類の文化的な歩みを伝える歴史的建造物は採算性以上の無償の価値があります。 図書館は機能だけが備わればいいという種類の建物ではないと広く県民の皆さんの理解を得ながら実現していただけることを切に願います。
今回の図書館整備は、 東静岡地区の右往左往してきた議論に終止符を打ってこの地区の在り方を再定義する取組であります。 世代を超えた人の集まり、 技術と図書を融合させた産業創出への挑戦、 地元の方々の力をふんだんに発揮していただいてのリテラシー教育や空間利用の実現など将来ビジョンは希望を持ってどんどん広がっていきます。
最後の質問ですが、 今回の公募では静岡型とも言える工夫された公募型の新たなプロポーザル方式が採用されたと伺いましたがそこにはどんな狙いがあるのか、 またこれまでの方法との違いはどういった点にあるのか、 設計者決定までのプロセスを含めて今回の選定について伺いたいと思います。 以上、 答弁を求めます。
○副議長 (竹内良訓君) 川勝知事。
○知事 (川勝平太君) 相坂議員にお答えいたします。
私の政治姿勢についてであります。
県内各地域の将来構想についてでありますが、 コロナ禍を契機に時代は大きな転換点を迎えております。 大都市の過密構造そのものが感染リスクを高めていることは日々発表される感染者数の最大地域が大都市圏であり、 その中でも突出しているのが東京であるということによって明らかでございます。 それゆえ東京一極集中の是正が不可避なものとなっております。 これからの時代、 分散型の国土形成が強く求められておりまして、 私ども地域がイニシアチブを取って変革の主体となる時代が到来しているという認識を持っております。
また、 気候変動危機の深刻化により世界は脱炭素社会に向けて大きくかじを切りました。 こうした中、 国は二〇一八年四月に策定した第五次環境基本計画の中で循環経済、 サーキュラーエコノミーと訳されておりますけれどもこの循環経済による環境と経済社会の調和を目指す地域循環共生圏の考え方を打ち出しております。
レイクハマナ未来都市構想はこの考え方を地域づくりに取り入れたものであります。 ものづくりのメッカとも言われる県西部地域におきまして国際社会の目標とする脱炭素社会の形成に向け資源循環、 次世代モビリティーの開発、 再生可能エネルギーの導入などのSDGsの取組を推進し環境に配慮した世界的なモデルとなることを目指すものであります。
このレイクハマナ未来都市構想をふじのくにのフロンティアを拓く取組に位置づけるとともに、 伊豆、 東部、 中部地域におきましても地域循環共生圏の形成を推進するべく本年中、 今年末までに全体構想を見直す予定でおります。
脱炭素社会の実現に向けて、 各地域のポテンシャルを最大限に生かした取組を市町、 関係団体、 産業界などと推進してまいります。 これらの構想や計画は現在策定中の次期総合計画との整合を図らねばなりません。 一貫した政策目標の下で効果的な施策を推進していくつもりでございます。
次期総合計画では、 将来ビジョンとして富国有徳の美しいふじのくにづくりを基本理念にして継続し、 東京一極集中の時代から地方活躍の静岡時代へと本県の進むべき方向を明らかにするつもりでございます。
また、 世界から見た静岡県の視点で、 ドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点づくりを進め、 SDGsのモデル県として誰一人取り残さない社会の実現を目指してまいります。
さらに将来ビジョンの下、 県民幸福度の最大化を目指し、 疫病から県民を守る防疫体制の強化、 医療・福祉の一層の充実等を図るとともに、 新たな経済政策フジノミクスによる利他と自利が一体になって幸福感を高める経済社会の実現並びに社会全体のDXの推進、 カーボンニュートラルの実現に向けた地域循環共生圏の形成など着実に進める考えでございます。
県といたしましては、 将来ビジョンに基づき県内全体が豊かで将来にわたって持続的発展を遂げられるよう柔軟で効果の実感できる政策の推進に全力で取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、 副知事、 関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長 (竹内良訓君) 出野副知事。
○副知事 (出野 勉君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、 保健所体制の見直しについてお答えいたします。
保健所の業務は発生届の受理から始まり、 積極的疫学調査の実施、 医療機関への受診調整、 入院・療養先の調整、 そしてこの間の健康観察や自宅療養者の急変対応など多岐にわたります。 今回の第五波においては一日当たりの新規感染者数が最大で六百人を超え、 保健所で全ての業務に対応することは厳しい状況となりました。 このため濃厚接触者の特定を含む積極的疫学調査につきましては国の通知に基づき感染の発生した事業所等で実施していただくこととし、 入院調整や自宅療養者への対応、 クラスター発生リスクの高い高齢者・障害者施設等での疫学調査など命に関わる業務を優先いたしました。 このように第五波における保健所業務の最大の課題は患者急増時における人材の確保であったと考えております。
今後の対応につきましては、 専門性が特に必要とされる業務へ保健所の人材を集中することが必要であります。 これまでも自宅療養者の健康観察、 患者情報のシステムへの入力、 患者搬送業務につきましては県看護協会や民間企業へ委託することで業務の軽減を図ったところでありますが、 引き続き外部委託が可能な業務を洗い出し一層のアウトソーシングを進めてまいります。
また、 複数の市町から支援のお申出を頂きましたので、 今後市町ごとに自宅療養者への訪問や日常生活用品の配付など連携事業の実施に向けた覚書の締結を速やかに進め、 市町との協力体制を構築してまいります。 さらに医療職が行っていた積極的疫学調査につきましてもチェックリストを活用した研修を行うことで医療職以外でも対応できる体制とし、 専門知識の必要な入院調整など医療職が集中できるようにしてまいります。
なお、 根本的な保健所体制の強化のため今年度から来年度にかけて、 保健所の感染症対策に従事する保健師に対する地方財政措置による人員体制が全国で令和二年度約千八百名に対して令和四年度は一・五倍の約二千七百名に増員されますことから、 本県といたしましても積極的な増員を進めるとともに感染症に関する研修を実施するなど専門職員の人材育成に努めてまいります。
県といたしましては、 第六波に備え少し状況が落ち着いているこの時期に第五波までの経験を踏まえて体制の検証を行い、 地域の医療機関や医療関係団体、 市町とも連携を密にし感染対策の最前線である保健所の機能の強化を図ってまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君) 石田健康福祉部長。
○健康福祉部長 (石田 貴君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、 感染経路不明者の行動履歴の類型化についてお答えいたします。
これまでの県内の新型コロナウイルス感染者数は、 十月四日の時点で累計二万六千六百四十七人となりました。 このうち行動歴の聞き取り調査をする中で感染が想定される行動パターンを確認できなかった方が感染経路不明者であり、 全体のうち四割弱を占めております。
県民の皆様への情報発信につきましてはどのような行動が感染を招くのかを理解していただくことが重要であり、 そのためにはデータを分析した上で感染リスクのある行動を分かりやすい形で県民の皆様にお届けすることが必要であります。
このため、 感染者への聞き取りから明らかになった行動として飲食を伴う懇親会、 マスクなしでの会話やカラオケのほか休憩室や喫煙所、 更衣室での気の緩みなど具体的な事例を示し、 どのような対策を取るべきかを報道機関を通じて県民の皆様にお伝えしてまいりました。 またSNSを活用し、 毎日感染状況に関する現状分析やそれに基づく現在の感染対策のポイント等について県民の皆様への周知に取り組んでいるところであります。
県といたしましては、 今後もデータを整理分析した上で分かりやすく公表するとともに、 実例を取り上げるなど県民の皆様の具体的な行動につながるよう様々な工夫をしながら注意喚起に取り組んでまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君) 木苗教育長。
○教育長 (木苗直秀君) コロナ禍における教育活動の安全確保についてお答えいたします。
コロナ禍にあっても児童生徒が安心して学校生活を送るためには、 学校における感染及びその拡大のリスクを低減し最大限の注意を払った上で教育活動を継続していくことが重要であります。
このため、 県教育委員会ではマスクの着用を含め文部科学省の学校衛生管理マニュアルに沿った感染症防止対策及び学習内容の実施を基本とした上で、 ふじのくにシステムの警戒レベルに応じて学習指導や文化祭、 体育祭の学校行事、 部活動の実施に関する基準を定め運用してまいりました。
また、 児童生徒や教職員に新型コロナウイルスへの感染が確認された場合の対応について静岡県版の学校における休業等に関するガイドラインを作成し臨時休業の判断や濃厚接触者の特定等の考え方を示したほか、 感染事例を通じた注意喚起により学校における感染拡大の防止に努めてきたところであります。
さらに、 これまで実施してきたオンライン学習や時差登校等の検証を行い改善を図ってまいります。 特にICTの活用は密を回避する上で有効な手段であることから、 通信環境の見直しやICT支援員等外部人材による機器活用への支援、 各種研修や授業動画の共有などを通して教員のICT活用指導力のさらなる向上に努めてまいります。
県教育委員会といたしましては、 引き続き基本的な感染症防止対策と学習機会の保障の両立を図り、 今後感染が拡大した場合においても迅速かつ適切な対応が取れるよう教育活動の安全確保に全力で取り組んでまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君) 三須経済産業部長。
○経済産業部長 (三須敏郎君) コロナ危機における経済対策についてのうち、 経済対策の実効性向上についてお答えいたします。
まず、 九月から受付を開始した中小企業等応援金につきましては添付書類を絞り込み、 申請手続を簡素化いたしました。 また最新のAI―OCR技術を活用した申請者情報の電子化に加え、 コールセンターや審査体制の充実により支給作業の効率化、 短縮化を図っております。
次に、 消費喚起策につきましては今後も感染の拡大と抑制を繰り返すウイズコロナを前提とした対応が必要と考えております。 具体的には飲食宿泊関係の消費喚起に向けてふじのくに安全・安心認証制度により感染防止対策の徹底を図りつつ、 一定期間感染状況の落ち着きが見られた段階で県民の皆様を対象とした県内観光促進事業を行うほか、 商工団体が取り組むゴー・トゥー・イートキャンペーン事業を後押ししてまいります。
また、 飲食店等の利用低迷に伴い影響を受けている県産農林水産物の消費喚起に向けて県民の皆様が買い支え合うバイ・シズオカの取組を継続するとともに、 中部横断自動車道の静岡―山梨間の全線開通を好機として山梨県内での物産展開催や長野県内の食品バイヤーとのオンライン商談会等を通じた消費拡大を進めてまいります。
県といたしましては、 これら消費喚起の取組を着実に進めていくとともに今後想定される国の追加経済対策の動きも注視しながら企業活動と県民生活の活性化に努めてまいります。
次に、 新たな雇用先の確保についてであります。
コロナ禍で多くの産業が影響を受ける中、 介護や建設など一部の業界を中心に人手不足の状態が続いております。 県ではこうした人材を必要としている業界への就労を促進するため静岡労働局と連携して求職者向けの説明会や面談会を開催しているほか、 一時的に雇用過剰になった企業と人手不足が生じている企業との間の在籍型出向を促進するため経済団体や金融機関等で構成する静岡在籍型出向等支援協議会に参画し、 こうした制度の導入が進んでいない中小企業に対する周知に努めているところであります。
また、 求職者の職業技術の習得等を支援するため介護事業所で短期間勤務をしながら資格の取得を促し、 雇用につなげるなどの取組も進めております。 離職者を対象とした職業訓練では就職先の選択肢が広がるよう基礎的なITリテラシー習得のための訓練を実施し、 早期の就職につなげているところであります。
求人を必要としている業界の課題として求職者の中には労働時間や休暇制度などを重視する方も多くおり、 採用する側の企業の職場環境の改善が必要となっております。 このため県では企業にアドバイザーを派遣し多様な勤務時間制度等の導入を支援するとともに、 人材の採用、 定着に向けたサポートにも取り組んでおります。
雇用調整助成金の特例措置終了後の失業者対策につきましては、 人材不足業界への労働移動を促すマッチング支援や職業訓練が必要になってまいります。 デジタル化などの急速な進展に伴い求められるスキルも変化しており、 それに対応した職業訓練の充実も図る必要があります。
県といたしましては、 人材不足業界や成長産業における労働力の需給動向の把握に努めながら労働力の円滑な移動につながるよう対策を強化してまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君) 松下企業局長。
○企業局長 (松下育蔵君) 産業基盤の整備についてお答えいたします。
企業局では、 経済効果の最大化、 SDGsの達成への貢献を最も重要な柱と位置づけ市町のまちづくりに呼応した地域のブランド化につながる産業基盤の整備をスピード感を持って推進しております。
先月末に事業が完了した藤枝高田工業団地では、 これまでの経験とノウハウを生かした独自の創意工夫により用地引渡しの五か月前倒しと大幅な事業費縮減を実現いたしました。 また進出企業六社で五百人を超える雇用、 経済効果は直接投資で百四十億円、 操業による企業活動で今後毎年百億円が見込まれるなど地域の大いなる飛躍をもたらす基盤になるものと確信しております。
次の開発候補地につきましては、 成長産業の誘致とカーボンニュートラルの実現を見据え最大の経済効果が期待できる東西の県際地域をターゲットに湖西市、 裾野市などで全国のモデルとなる工業用地造成を進めてまいります。
さらに、 用地供給スピードを一・四倍に加速させるセミ・レディーメード方式の県内への全面展開により今後十年間で百ヘクタールの工業用地を造成し、 一千億円の直接投資を確実に獲得できるよう産業基盤の整備に取り組んでまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君) 長澤教育部長。
○教育部長 (長澤由哉君) 東静岡駅南口県有地における新県立中央図書館の整備についてお答えいたします。
将来にわたり県民の誇りとなる質の高い図書館の整備を確実に実現するためには、 建設に先立つ設計が極めて重要となります。 このため設計者の公募に当たっては既成概念にとらわれずよりよいアイデアを幅広く募集するとともに、 高い性能を有する施設を予算内に収めることができるよう本県独自の新しい発注方式を導入いたしました。
具体的には、 参加資格要件をできるだけ緩和し若手や新進気鋭の設計者などが挑戦しやすく提案に専念できるプロポーザル方式を採用しております。 また公募に先立ち県において求める規模や空間の配置、 性能などを検討し、 それらが既定の予算の枠内に収まるかどうかを確認した上で要求水準書として提示したところであります。 こうした手続により提案者が発注者である県の基本的認識を十分に理解して自由に創造性を発揮することができ、 手戻りの防止や確実なコスト管理が可能になると考えております。
設計者の選定に当たりましては、 図書館の整備に優れた見識を持つ有識者による審査委員会を組織し審査を進めてまいります。 今月一日に公募を開始し十二月の第一次審査で五者程度に絞り込み、 最終的には二月の第二次審査で優先交渉権者を特定する予定であります。
県教育委員会といたしましては、 求める図書館像を共に実現するパートナーとなる優れた設計者を選定し、 新県立中央図書館が全ての人に利用しやすく文化的価値の高い施設となるよう万全の体制で整備を進めてまいります。 以上であります。
○副議長 (竹内良訓君) 三十九番 相坂摂治君。
(三十九番 相坂摂治君登壇)
○三十九番 (相坂摂治君) 御答弁を頂きました。
要望を行います。
まず、 知事の政治姿勢について知事に御要望申し上げますが、 分散型国土利用というものがこれから現実的に全国的に進んでいくと思います。 我が県は山梨県、 長野県そして新潟県と四県に連携しながらというフジノミクスが描かれているわけでありますが、 例えばリニア中央新幹線が本当に開通をした暁には東海道を移動する人口のおよそ半分以上が中日本を移動する動線に変わっていくということも指摘されています。 そのときに静岡県がどれだけの特徴のある県でありどれだけ時代を引っ張っていく産業を持っているか、 あるいはどれだけの活力を持っているかということがこれから十年後あるいは二十年後の静岡県の存在感あるいは人口規模こうしたことを大きく左右していくと私は思っています。
先ほどは、 レイクハマナ以外にも年内にはその方針を示されるということでありましたが、 SDGsはこうした国土利用の中でここでSDGsに、 あるいは脱炭素――カーボンニュートラルを実現していくための産業はあらゆる産業で求められていくはずです。 そしてこれから県庁では総合計画にこれを登載していく中でどういう支援策を講じていくかということが具体的につくられていくはずなんです。 これをどれだけ汎用性の高い制度として構築をして、 加速を県土全体でさせていくかということが必要になろうかと思います。 浜名湖周辺だけではなくて、 先ほど知事もおっしゃったようにできる限り同じスピードで県土全体の発展を目指してきめ細かい制度づくりをしていただきたいと御要望申し上げます。
それから、 二つ目の要望は経済対策についてであります。
まず協力金、 応援金の申請や問合せについては、 私ども議員のところにもやはり不明な点であったり情報不足等についての問合せ、 声が少なからず届いています。 大変お忙しい中だと思いますけれども手続の簡素化や、 先ほど申し上げましたが処理に必要な人材の確保など絶えず自ら点検してその手法の高度化に挑戦をしていただきたいと思います。
それから労働移動の話。 労働移動というと大変なそんな言い方のような気もいたしますけれども、 やはり例えば経済対策を打ってもですね、 ガードマンがいないから工事ができなかったり、 あるいは物流の現場や公共交通の現場でもドライバーが足りなくてそれを回せなかったりということが現実的に起こっているわけであります。 ですからこうした業界の資格取得をできる限り行政で支援をして、 希望される方々が速やかにこうした現場の即戦力になるような働きかけを介護業界に限らず取組をつくって経済政策と一致させながらですね、 進めていただきたいと思います。
そして最後に、 県立図書館についてであります。
先ほども御紹介しましたように、 文化財の指定を受けていけるような建設事業というのは財政規模の大きなこの静岡県政の中でもやはり百年に一回なんです。 百年に一回しかこうした官の事業をやることはできないと思います。
ですから、 今のこの時代のことを今のこの建築技術を通じて後世に残すと、 そしてそのことも私たちの大事な歩みだと私は思っています。 自信を持って、 ぜひいろんな声が無駄遣いじゃないかとか、 いろんな声が多分教育委員会にも寄せられると思うんですが、 ぜひ自信を持ってこの図書館整備を進めていただきたいと思います。
御要望を以上申し上げて、 質問を終わります。 ありがとうございました。 (拍手)
○副議長 (竹内良訓君) これで相坂摂治君の質問は終わりました。
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