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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

天野 一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/10/2015

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 県営住宅再生計画について                    
2 浜岡地域原子力災害広域避難計画について             
3 茶どころ静岡の再生について                   
4 農業高校のあり方について                    
5 特別支援教育について


○議長(吉川雄二君) これで岡本護君の質問は終わりました。
 次に、六十二番 天野 一君。
       (六十二番 天野 一君登壇 拍手)
○六十二番(天野 一君) 私は自民改革会議所属議員として通告に従い、当面する県政の諸課題に対して知事、関係部局長及び教育長に一括質問方式でお伺いします。
 初めに、県営住宅再生計画についてお伺いします。
 私は、平成二十二年の県議会においてこれからの住まいは基本的人権という福祉と住宅政策を統合する居住福祉の視点が不可欠になると指摘いたしました。その思いは今も変わることなく一層強くなっております。しかし住居を取り巻く環境は少子高齢化の進展と右肩上がりの経済成長の終えんによって大きく変化しました。かつての公営住宅は戦後復興期から住宅不足の解消と良質なストック形成の誘導に一定の役割を担ってきました。現在はみずから市場で住宅を確保できない方に対するセーフティーネットとしての役割を多く担うようになってきております。
 今、県では県営住宅再生計画を進めておりますが公営住宅建設に多額の税金を投入する時代は終わったと思います。法律の改正で耐用年数に達した住宅については用途廃止できること、民間の賃貸住宅を借り上げることが可能になりました。郊外の老朽化した団地を処分して既存入居者をもっと便利な地区に移住させることや民間賃貸住宅を公営住宅として借り上げて供給することもできます。同時に私はこれからの公営住宅は福祉世帯の増加を想定し福祉施策との一層の連携を図るとともに、地域の活性化やコミュニティー形成の方策を検討する必要があると考えます。具体的には障害者であれば知的障害者のグループホームや授産施設と併用した職住近接集合住宅、若年ファミリー世帯の居住によるソーシャルミックスを促進することが必要になります。
 一方、県では平成十八年に住宅建設計画法が廃止され住生活基本法が制定されたことに伴い静岡県住生活基本計画を策定するとともに、県営住宅再生計画を策定しました。その後平成二十三年度の中間見直しから五年経過し、来年度再度の見直しを行うと聞いております。
 日本は、これから人口減少社会へと向かい民間住宅の空室率も高くなっております。こうした状況において公営住宅の役割の変化に伴う本県の新しい再生計画の取り組みについて、県のお考えをお伺いします。
 次に、浜岡地域原子力災害広域避難計画についてお伺いいたします。
 現在、県は浜岡原発の重大事故を想定した広域避難計画を策定中です。この避難計画は原発から半径三十一キロ圏――UPZに係る十一市町の住民約九十四万人について圏内各市町の具体的な避難先を示しています。原発事故の単独災害では原発三十一キロ圏外への県内避難を優先し、大地震との複合災害では主に関東甲信地方へ、また北陸地方に避難を目指しています。
 放射能汚染の有無を測定するスクリーニングは静岡市と浜松市で行うこととしており、静岡市には吉田町、島田市、牧之原市、藤枝市、焼津市から四十七万人が向かい、残り四十七万人は浜松市へ向かいます。原発事故で最も大きな課題となるのは放射能物質からいかに住民を守るかであります。被災者には速やかにスクリーニングを行い汚染の有無そしてその程度を把握し、必要があれば除染をしなければなりません。しかし実際に事故が起きたとき誰が検査を行いどこで検査を行うのでしょう。四年前の福島原発事故でもスクリーニングは大きな問題となりました。避難する人を漏れなく検査する体制は本当に整えられるのでしょうか。
 加えて、県の方針では原発事故後住民は各市町一時間に三千台ずつ自家用車で圏外への避難を始めるという多段階避難が前提になっております。当然のことながら自家用車での避難には渋滞や無秩序な混乱が予想されます。さらには東海道、東海道新幹線、東名高速道路、静岡空港などの幹線が分断されれば自動車での避難は不可能になります。この場合は自衛隊のヘリコプターなど輸送を要請するとして、仮に百台のヘリコプターをかき集め各三十人乗りとしても一度に運べるのは三千人であります。このほかにも避難指示は事故が進展しないと出されない、屋外が集合場所にされている、大勢の避難の受け入れができない、災害弱者への配慮がなされていないなど多くの問題を抱えていますが、まずこれらについてどのように考えているかお伺いします。
 中部電力は、二〇一四年二月浜岡原発の再稼働を申請し今審査が着々と進んでおります。原子力発電所で一たび過酷事故が発生すれば地域住民への影響ははかり知れないものがあります。そのため浜岡原子力発電所の再稼働については安全性の確保が大前提です。私には再稼働の前提で避難計画の作成が安全とセットでなく進んでいるように思われます。そもそも原発の安全性と避難計画はセットで考えるべきものです。米国では避難計画とセットで原発が認可されています。かつてアメリカのショーラム原発は電力会社の避難計画の不備を住民に裁判で訴えられ一度も稼働することなく廃炉になっております。
 また、先月私は静岡県議会エネルギー・環境等海外事情調査団に参加しオーストリアにおけるツベンテンドルフ原子力発電所を訪れました。この原発は一九七八年に稼働開始に関する国民投票が行われ賛成四九・五三%、反対五〇・四七%の結果となり同原発は完成しましたが稼働されず、現在は見学施設になっておりました。賛成、反対の差は一%もありませんでしたが私は何よりもみずからが考えみずから決めるという民主主義の原点を尊重したこの決断に敬意を表したいと思います。
 私たちも、実際には機能しない机上の計画である避難計画を認めて再稼働にゴーサインを出すのではなく、県民の声を反映し実際に避難が可能な計画であるべきと考えますが、県の御所見をお伺いします。
 次に、茶どころ静岡の再生について伺います。
 私は、静岡県茶業会議所の理事として長年お茶の応援をしてきました。しかし今日急須で入れるリーフ茶――緑茶に対する需要は低迷し多くの茶生産者、茶卸売業者そして茶専門店は停滞もしくは衰退という業況にあることは御存じのことと思います。静岡県民はお茶といえば静岡と思っていますが、このままの状況でいけば日本一の座を譲るのはそう遠くありません。
 県内の中山間地を歩くと荒廃茶園が目につきます。荒廃茶園とは土壌管理や栽培管理を行わず放任して生産に供しなくなった茶園のことをいいます。茶園減少に歯どめがかからないのは農家の高齢化も大きな原因です。茶園は水田などと違って傾斜地にあることが多く機械化することが困難であり、農業者の高齢化が進むにつれてつくり手のいなくなった耕作放棄地はふえる一方であります。
 先般、お茶飲料の最大手伊藤園の経営陣がまだまだ緑茶は伸びると自信を持って話すのを聞きました。実際伊藤園では宮崎県、大分県、鹿児島県、長崎県の九州四県六地区で静岡県以外の新産地の育成事業に取り組んでおります。逆に静岡県のお茶の栽培面積は平成七年には二万二千ヘクタールありましたが平成二十六年には一万八千ヘクタールと減少しております。一年に平均二百ヘクタールの減少があります。当然のことながら荒茶生産量もこの十年で四万トンから三万三千トンに減少しております。
 さて、なぜ静岡県がお茶の日本一の座を維持してきたか。その背景には一つは気候がお茶に適していた。二つ目は大量消費都市である東京が近かった。三つ目は明治維新後、旧幕臣たちのお茶畑の開墾等の地理的要因、地政学的な要因があったということ。いいお茶が集まるところには製茶問屋が集まり、製茶問屋が集まるところには茶袋、茶缶そして茶箱などをつくる茶関連業者が集まり製茶機械、冷蔵冷凍庫のメーカーなども集まってきました。こうしたよい循環が静岡県をお茶の日本一に仕立てました。
 このように、生産地かつ集散地であることで日本一になった静岡茶は茶道に代表される茶の文化に育まれたものではないことははっきりしています。私は静岡茶には京都のお茶とは対照的な土と緑とお日様のにおいを感じています。そこにこそ茶どころ静岡再生の鍵があると思いますが、県のお考えをお伺いします。
 次に、農業高校のあり方について伺います。
 農業こそ国の礎。そんな当たり前のことを知らない人が多くなっています。食べる、生きる、生み出す。全ての始まりは農であります。おくればせながら国は日本再興戦略の柱の一つに農業を据える方針を打ち出しました。安倍内閣は今後十年間で農業・農村全体の所得倍増を目指すこととしております。所得倍増のためには同様に今後十年間で全農地面積の八割が担い手によって利用されることを想定しています。ここでの担い手とは農業経営への意欲や能力のある農業者のうち一定規模の農地を持つ認定農業者や集落営農を指しますが、いずれにせよ実現のためには言うまでもなく一番大切なことは人材の育成であります。
 静岡県の農業就業構造を予測してみますと、農業従事者が高齢化していく中で農業後継者不足問題が顕在化し、集落営農や農業法人等のリーダーとなって地域農業を担う人材の育成が強く求められております。農業人材育成の最前線は農業高校であります。現在の課題について考えてみたいと思います。県内には六つの農業科を有する高校と五つの農業関係系列のある総合学科高等学校があります。農業高校の現場では地場産食材を生かした食品を地域イベントなどで販売するなど体験学習を行い、勤労と生産の喜びを実感し流通や販売への関心を高める絶好の機会になっています。生徒が地域の方々と触れ合い生産や販売実習を通して実学体験の場とするなど時代に即した教育に取り組んでいることは認めます。
 しかし、こうした取り組みが生涯の仕事として農業に一生をかける人材を育てているか私には少し疑問に思うのです。小中学校に対して、さらには県民に対してもっと農業の重要性を強くアピールすることが大切だと考えます。小中学校、特別支援学校、高等学校さらには一般県民を巻き込んで農業教育について新しい仕組みを検討すべきだと考えます。なぜなら戦後七十年、日本は農業以外の産業育成に力を入れ農業をおろそかにしてきた結果、農業を軽んじ誇りを持って農業に取り組む若者が少ないのが現状です。だからこそ農業高校の教育に新しい視点や考え方を全県に広めていくことこそ地域農業に若者の目を向けさせ地域の一員としての自覚を深めることにつながっていき、人口流出に歯どめをかけることになるのではないでしょうか。
 既存の概念にとらわれず、大胆な発想による農業経営を実行できる自立した人材を育成するためには、本県農業高校の現状を再検討し、普通高校から大学進学とは全く違う魅力や特色ある高校としてのあるべき姿について、県のお考えをお伺いいたします。
 最後に、特別支援教育についてお伺いします。
 学校教育法施行規則の一部改正により、特殊教育から特別支援教育に移行してからことしで九年目になります。少子化にもかかわらず特別支援教育を受ける児童生徒は増加しており、さきの県議会においても特別支援学校の新設や教室増について質問がありました。事実、平成十九年特別支援学校と特別支援学級の児童生徒数は六千四百三十九人でありましたが今年度は九千五百五人となり、児童生徒数においては一・五倍の増加となっております。これは障害のある児童生徒の増加というだけでなく特別支援教育への転換によって理解が進み、きめ細かな対応が得られる特別支援学校・支援学級を選ぶ保護者がふえていることだと推測しておりますが、通常の学級の数は少なくなっているのにどうしてこういう奇妙な数字になっているのでしょうか。
 ところで、各学校、市町及び県教育委員会には就学支援委員会があります。平成二十五年の学校教育法施行令の一部改正により、学校教育法施行令第二十二の三に該当するお子さんは原則特別支援学校に入学するシステムから市町教育委員会が障害の状態などを勘案して特別支援学校への就学を認めるシステムへと変わりました。インクルーシブな社会を目指す上で大きな改正であったと承知しております。発達に応じてその子の能力を最大限に伸長できる教育という言葉が就学支援委員会の中で大いに大事にされていると思いました。
 ただ、昔は少しゆっくりした子供として同じクラスで勉強していた障害があると診断はされないと思われる子供たちまで障害というくくりにしていないか心配になります。障害の有無ではなく暗黙のうちにいかにして教室を静かな状況に保てるか、どうしたら効率よく学習が進められているかという視点が判断の基準になっているのではないでしょうか。また特別支援学校は本人が生活する地域にないことも多く、そのことが幼少のころから地域社会における同年齢の子供と一緒に生活する機会が少なくなり地域とのつながりが弱くなってしまうことも心配されます。
 過日、私は「みんなの学校」という映画を見ました。舞台となる大阪市立大空小学校が目指すのは不登校ゼロ。ここでは特別支援教育の対象となる発達障害がある子も自分の気持ちをうまくコントロールできない子もみんな同じ教室で学び、普通の公立小学校ですが開校から六年間、児童と教職員だけでなく保護者や地域の人も一緒になって誰もが通い続けることができる学校をつくり上げてきました。この取り組みは支援が必要な児童のためだけのものではありません。経験の浅い先生をベテランの先生たちが見守る。子供たちのどんな状態もそれぞれの個性だと捉える。そのことが周りの子供たちにはもちろん、地域にとっても自分とは違う隣人が抱える問題を一人一人思いやる力を養っています。
 現在、障害のある子もない子も地域の学校でともに学ぶそんなインクルーシブ教育の理念が注目されています。障害認定を受けていなくてもさまざまな困難を抱える子供は多く、インクルーシブ教育でそうした子供も含めお互いが同じクラス、学校、社会のメンバーなのだという考え方が社会のあり方、人間の生き方にかかわっていきます。他者との関係が希薄になりつつある現代では他者を尊重し他者とつながりを深めていくことこそ必要で、今の時代に欠かせない教育だと考えます。
 私は、障害に応じ必要な教育の場として通常の学級、特別支援学級、特別支援学校はそれぞれ今以上に充実させつつも、その間にある敷居を低くし、発達段階やニーズに応じて柔軟に学びの場を行き来できるようになることが、できるだけ地域の中で互いに子供たちが接する機会が多くなるような形が望ましいと考えておりますが、県の教育委員会のお考えをお伺いします。
 以上について答弁をお願いします。どうもありがとうございました。
○議長(吉川雄二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 十二月議会の最後の質問にふさわしい思いやりの心にあふれた御提言と御質問、謹んで拝聴した次第であります。
 天野一議員にお答えいたします。
 県営住宅再生計画についてであります。
 この公営住宅は、県議の御説明のとおり時代とともにその役割を変えてまいりました。戦後日本は焼け野原となり、また人口が急増するという中で戦争が終わって五年目の一九五〇年にいわゆる金融公庫が設立されまして低利で長期の融資をするということが最初でございました。その翌年にはやはり低所得者層の住宅に配慮するために公営住宅という制度ができまして、そして一九五五年――昭和三十年、まさに戦後は終わったとかいうふうに言われたころから高度経済成長に入るわけですが、一方で人々が都市に集中することになりまして日本住宅公団ができました。そして2DKと称される画一的な同じ間取りの住宅を大量に供給するということで住宅不足に応えるという時代が続きました。そしてそれから二十年余りがたちますといわゆる最低基準の住宅、それ以下の人たちが住むという住宅が一割以下になりましてほぼ量は満たされたと。そうしたところから住宅の質というものが考えられるようになりました。そうした中で今おっしゃったような福祉やコミュニティーということを考えるべき時期に来ているというふうに思うわけでございます。
 公営住宅の役割は、そうした変遷を踏まえまして住宅困窮者のセーフティーネットあるいは時々の社会経済情勢を反映しながら現在では単身高齢者や外国人世帯の住居として、あるいはまたDV――ドメスティック・バイオレンスの被害者や大規模災害の被災者等のシェルターとしての役割も担っております。
 こうした現状を踏まえまして、これからの県営住宅再生計画ではまず供給量につきましては住宅困窮者など真に必要なニーズを的確に把握しなければなりません。しかし総量としては抑制する方向で考えるべきに来ていると認識しております。その際一律に供給量を削減するのではなく、郊外の大規模団地など比較的人気がないあるいは利便性が低いといったところは戸数を徐々に削減し、一方交通が至便で人気が高い団地はふやすなど、いわゆるコンパクトシティーの形成に資するように選択と集中を徹底しようと考えております。また住居につきましてはユニバーサルデザイン化に一層努めます。それとともに建てかえなどの再整備におきましては団地内に地域包括ケアの核となる社会福祉施設を誘致することも視野に入れております。また単身高齢者向けの住まいの整備に加えまして単身高齢者の共同生活ができるようなリフォームをするということも視野に入れております。増加が予想される高齢者への配慮に努めるというのがその背景にございます。
 さらに、再整備の過程で用途廃止となる建物をどうするかということですが、要らないから取り壊すというのではなくて民間に払い下げることで公営住宅法の枠組みから外れますのでさまざまな試みができます。例えば複数の住戸を合体して例えばマンションの壁を取っ払って一方は勝手口にする、他方は玄関にするとか、あるいはワンフロア全部どなたかがお借りになるとかいうようなことですね。そうした二世帯あるいは複世帯が住宅をシェアできるハウスとして活用もできます。あるいはどこかのフロアをクリエーターといいますか、芸術家のような方たちの移住者の受け皿とするという考えも一部で実践されています。あるいはさらに私は可能性が高いと思いますのは一階に商業施設を集中すると。コンビニであるとか薬局であるとかそうしたものがありますと便利ですし、二階以上を住居にするといったようなことでこれまで役割を持ってきた公営住宅の新しい役割をつくり上げていくということでございます。さまざまな利用に供することで知恵を絞り団地内の居住者に多様性を提供していくと。そしてまた団地全体が街のにぎわいに寄与するということも期待しているところでございます。
 人口減少、高齢化さらに大量の空き家が現在発生しております。そうした中で県営住宅を取り巻く状況も激変すると言っていいでしょう。新しい全国のモデルとなるような再整備と活用ができないか、前例にとらわれることなく旧来の陋習を脱して福祉の精神、天地の公道に基づくということで大胆かつ柔軟な発想で検討を行ってまいりたいと考えているところであります。
 次に、茶どころ静岡の再生についてであります。
 本県は、お茶の生産に適した自然環境とすぐれた栽培や加工の技術に加えお茶に関連する幅広い産業が集積しておりまして、日本一の茶産地を築いてまいりました。またお茶が生活に深く根づいており、緑茶の消費量が全国平均の二倍と多いことが健康寿命日本一につながっているということで、まさに本県は茶の都と称して自他ともに許されるところであろうと思います。一方で県議御指摘のとおり茶を取り巻く環境は極めて厳しいと。
 なるほど、宇治、京都のお茶と比べると本県のお茶は土と緑とお日様のにおいがすると言われました。京都に私は生まれ育ったんですが京都の日常は富裕層も普通の方々も基本的には番茶です。もちろんいわゆる茶道が盛んでございましてそこでは抹茶をたしなまれるということですね。土と緑とお日様だけでなくてやはり静岡県は緑茶の楽しみ方として煎茶道を見事に発達させてきたところだと思います。その観点でいいますと新しく茶産地として出てきました鹿児島は土と緑と太陽しかないというふうにさえ言えます。ですからやはり本県には独自の茶の文化があると。これは京都とは違うというふうに思います。煎茶の文化だということでございます。
 そういうことで、本県の世界のお茶に占める位置づけをしようということで二十一世紀になりまして世界お茶まつりを三年に一回やってきまして、もう最近は春と秋と二回開催するまでになり十万人以上の方が来られると。二十カ国以上の方も来られるというふうになりまして、世界お茶まつりという名称にふさわしいそういうイベントになっているんでありますが、これは三つの柱があります。お茶の文化を広める、お茶の産業を育成する、そしてもう一つはお茶の学術研究をするということでございます。こうした一見地味なことをしてまいりましたが、実はお茶について世界的にいろいろの健康学者やあるいは味の学者がいらっしゃいまして、発表の場というのが案外ないのです。そうした方々を吸収するといいますかそうした知の場を提供するということで、これは極めて重要でありましてそして今やお茶の科学的な効能を研究するということがブームになりました。
 そうした中で、榛村先生などを中心にいたしまして十年前に編まれたものを「新版茶の機能」としてこんな大きな本――四、五センチの本にまとめられました。なかなか読むのは大変でありますが、この簡略版もおつくりになり、さらに英語版もつくられました。私読んでみましたが「新版茶の機能」といってもなかなかわかりにくいですが、英語の表現は「サイエンティフィック・エビデンス・フォー・ザ・ヘルス・ベネフィッツ・オブ・グリーンティー」となっておりまして、実に明快な読んで何が書かれているかがわかると。要するに健康にいい、その科学的な証拠がここにありますよという本にしているわけですね。ですから私は静岡県のこれからのお茶の生きる道は健康ということと深く結びついたそういう飲料だということですね。健康ということは食とも結びつきますし、また美しい景観ということもあわせて、何ていいましょうか、組み合わせることができるということで、まだまだ捨てたものではないと。したがってしっかりとした科学的研究をしつつお茶の栽培を新生させるといいますか、新しい時代に即応した形でやっていかなくちゃならんということでございます。
 こうした中、海外においてお茶の健康に関する効用の認識がほうはいとして高まっております。特に抹茶を初めとする緑茶の需要が急激に拡大しております。このため本県では緑茶の輸出拡大に向けまして相手国の農薬基準に適合する栽培体系を導入すること、また抹茶の原料となるてん茶の加工施設や省力化に結びつく新しい被覆資材の導入を進めることなどを始めました。今後は冷涼な気候で害虫の発生が少ない山間地を中心に特に海外で人気の高い有機栽培茶の生産拡大を図ろうと考えております。
 また、国内においてもお茶に対する消費者のニーズが多様化しているのは御案内のとおりでありまして新しいお茶の需要が生まれておりますことから、うまみを凝縮させた白葉茶や花の香りがする発酵茶、パーティーなどで提供される冷茶の高級ボトルティー、スイーツやラテに使用する抹茶等々新しい商品の開発を今支援しているところでございます。
 さらに、中山間地域におきまして地元の皆様が主体となって新しい茶園景観を形成すると。韓国などは済州島でまさに景観を売り物にしているということです。私どもも山間のいわゆる段々畑といいますか、何ていいましたっけ、田んぼでは。(発言する者あり)ああ棚田ですね。ああいう不便なものが何しろ観光対象になっているわけです。そうしたところに対してお茶の景観というのは静岡のこれは売りでございますのでこれをもっと上手にPRしていく知恵を絞らんといかんということでございます。
 それから、一方で名人がたくさんいらっしゃいますので、名人がつくられているお茶は大変高品質なものでこれをブランド化しPRするということもあわせて考えねばなりません。そして地域の特色ある食材などの資源に結びつけ、また組み合わせをよく考えるということを通しまして国内外から多くの方々に訪れていただきまして茶業の振興や地域の活性化を図る、美しい茶園でつながるプロジェクトというものを立ち上げました。今後は県内にモデル地区を設けまして各地域の取り組みを支援していこうと思っております。
 さらに、島田にございますお茶の郷でございますがここもついこの間関係者と一緒に見てまいりましてそこを茶の都ミュージアムとして、空港とそう遠くないところにありますし牧之原にも関連の施設がございますからそうしたところをネットワークで結びつけるように知恵を絞っていこうという動きもございます。
 県といたしましては、こうした取り組みに加えまして茶園の基盤整備や担い手への農地集積、茶工場の再編統合などにより生産体制を強化して、今後とも本県が日本の茶業のトップランナーであり続けるように関係の皆様と一丸となって取り組み、県内茶業の振興また茶文化の振興を図ってまいろうと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(吉川雄二君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 浜岡地域原子力災害広域避難計画についてお答えいたします。
 現在県では、浜岡原子力発電所から三十一キロメートル圏内の十一市町の九十万人を超える方々を対象に南海トラフ地震などとの複合災害にも備えた広域避難計画の策定に取り組んでおります。スクリーニングについては県が東西の避難経路上にそれぞれ五カ所以上の検査場所を設け、短時間での放射能測定が可能となる車両用ゲートモニターや体表面汚染モニターなどの最新の測定器を活用するなど確実かつ効率的な実施体制を構築してまいります。道路の渋滞や交通網の寸断、避難指示の時期や集合場所、支援が必要な方々への配慮等の課題については緊急輸送路等の整備や橋梁の耐震対策、スマートフォンや携帯電話を利用し避難指示や避難経路などの情報を住民へ伝達するシステムの整備、病院、社会福祉施設、防災拠点の放射線防護対策などを進めてまいります。
 避難計画は、再稼働の有無にかかわりなく必要であります。策定に当たっては県内各市町のほか国、防災関係機関などから公開の場で御意見を伺うとともに、静岡県防災・原子力学術会議原子力分科会においても御指導と御助言を受けております。今後関係市町と連携し計画内容を住民の方々に丁寧に説明するとともに、原子力防災訓練による検証などを通じ実効性を高めてまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 私は、実は兼業農家の次男坊でして田んぼや畑もありましたので米、麦、お茶それから野菜も二十年ぐらいお手伝いしました。その後大学でお茶の研究、ワサビの研究もしていましたし、さらにフーズ・サイエンスセンターのセンター長も五年ほど務めましたので天野先生のいろいろなお話、十分理解させていただきました。ありがとうございました。
 それでは、農業高校のあり方についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、農業経営に新たなビジネスの視点が必要となる中で不足する農業後継者の育成を担う農業系高校には時代に即して教育内容を改善し魅力化を図ることが求められています。
 近年、本県の農業系高校は生産技法中心の教育からマーケティング、食品加工、六次産業といったアグリビジネスを意識した取り組みを積極的に導入してまいりました。そうした中で農業クラブの全国大会や食品、園芸分野などの競技会で全国トップクラスの賞を数多くとっており、その活躍は頼もしいものであります。本年度は田方農業高校が全国農業鑑定競技生活科学部門最優秀賞、それから富岳館高校が地球温暖化防止活動環境大臣賞を受けております。
 また、本年八月の静岡県産業教育審議会の農業教育に関する答申では農家や農業生産法人等へのインターンシップの推進、農林大学校との連携の強化、農業技術の資格取得の促進など将来の就農を意識した取り組みや農家経営を実体験から学ぶ科目及び六次産業化に対応した科目の新設など新しい教育内容への提言をいただき、現在早期の具体化に向けて検討を進めているところであります。
 今後は、一人でも多くの生徒が農業に従事し将来地域農業の中核的担い手として活躍できるよう、就農に向けたキャリア教育やビジネスの要素を取り入れた実践的な教育を一層充実させるなど農業系高校の魅力化、特色化に積極的に取り組んでまいります。
 次に、特別支援教育についてであります。
 障害のある人もない人も積極的に社会に参加、貢献できる共生社会の構築を目指したインクルーシブ教育システムにおいては、通常の学級でできるだけともに学ぶことを追求するとともに、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校が連続性がある多様な学びの場として充実するという二つの要素が大事であると考えております。通常の学級においては可能な範囲で教育環境の整備充実を図るとともに、教員の特別支援教育に関する一層の専門性の向上を図り、特別な支援の必要な子供とともに効果的な学習ができるよう努めてまいります。
 また、子供たちが地域でともに生活しともに育つという共生・共育の考え方をもとに、特別支援学校の分校を小学校や高等学校に併設しております。さらに特別支援学校と小中学校などとの学校間交流や特別支援学校の児童生徒が自分の住んでいる地区の学校で学ぶ居住地校交流など交流及び共同学習を通して子供たちがともに学ぶ機会を大切にしております。
 県教育委員会といたしましては、今後とも共生・共育の考え方をもとに早期からの就学支援の充実を図り、特別な支援が必要な子供に対し多様な学びの場が提供できるよう積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 天野 一君。
       (六十二番 天野 一君登壇)
○六十二番(天野 一君) 一点再質問したいと思います。
 広域避難計画。スクリーニングはどういう人がやるのか。それから九十万人以上が避難をしなきゃならない原子力発電所は日本国内にほかにあるのか。物理的に九十四万人が避難して、例えば静岡市に避難してくるんですけれどもどこへ避難するのですか。体育館ですか、どこですか。そういったことが具体的に県民にこれからそういうことが話される、明らかにされるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
 もう一点要望したいと思います。
 特別支援学校とか、そういった充実はしてほしいんですけど、できるだけ地域の子供たちとして障害を持っているいないにかかわらず、たくさんの子供たちが地域の中で学べて地域の人たちが育まれるような環境づくりにぜひ教育委員会は取り組んでほしいと思います。
○議長(吉川雄二君) 外岡危機管理監。
○危機管理監(外岡達朗君) 浜岡地域原子力災害広域避難計画についての再質問にお答えいたします。
 まず、スクリーニングでございますけれども東西の避難経路上に五カ所以上の検査場所を設けまして実施をいたします。スクリーニングポイントでは車両の放射能測定及び除染と避難者の放射能測定及び除染を行います。開設と運営は県が行い市町の職員のほか放射線技師会、自衛隊、消防等にも運営体制支援を依頼する予定でございます。
 それから九十万人、こういうような大勢の避難があるところがあるかと。茨城で九十万人というようなことがございますけれども、本県の場合はそういう九十万人の方々を想定してどこに、どういう地域へ避難していただくのか、あるいは複合災害ということも視野に入れて計画を策定しているというそういうところはほかには現状ではないかなと思っております。そういった点で各県との調整であるとか各機関との調整、いろいろ困難になっている部分もありますけれども、そういったことを克服して計画をつくってまいりたいなと考えてございます。
 そういったものが詰まりましたらば、住民の方々にも御説明をして実効があるものにしていきたいと考えてございます。以上でございます。

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