• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

植田 徹 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/03/2022

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 富士山観光の振興について
2 食料の安定供給に向けた農業経営継続への支援について
3 水素関連産業の育成について
4 次代を担う若年層の投票率向上に向けた戦略的施策について
5 健康寿命延伸に向けたシニアクラブの活性化について
6 高齢者の犬・猫飼育について
7 富士大淵工業団地の評価と今後の取組方針について


○議長(藪田宏行君) 次に、五十八番 植田 徹君。
       (五十八番 植田 徹君登壇 拍手)
○五十八番(植田 徹君) 今議会最後の質問者となりました。もうしばらくの御清聴をお願いをいたします。
 私は、自民改革会議の所属議員として県政の諸課題について通告に従い知事、副知事、関係部局長及び企業局長に一括質問方式にてお伺いをいたします。
 まず初めに、富士山観光の振興について伺います。
 依然として新型コロナウイルス感染症の終息は見えない状況ではありますが、今年の夏は三年ぶりに行動制限のない夏となり富士登山においても感染症拡大以前には及ばないものの一定の観光客が戻ってまいりました。今後感染症が終息していけば、日本人にとって心のよりどころであり世界遺産として海外の人々にも愛される富士山の山頂を目指して再び国内外から大勢の観光客が登山に訪れることでしょう。
 一方で、広く周辺の観光まで含め一年を通じた富士山観光という視点からはどうでしょうか。これまでも私は何度も本会議で関連する質問をしてまいりましたが、富士山観光の課題は誰もが注目する富士登山だけではなくいかに富士山周辺の地域が持つ魅力を生かして山麓地域、さらには本県全体の観光振興につなげていくかが課題であると認識をしております。
 昨年の答弁では富士山観光の振興について、中部横断自動車道の全線開通により中央日本四県のアクセスが向上した好機を逃さず富士山の美しい眺望や多彩な観光資源を生かした取組を積極的に進めていくとの答弁がありました。アクセスの向上という視点で言えば来年度には富士川かりがね橋が開通する見通しであります。富士川かりがね橋が開通すれば地元の誇りである岩本山実相寺などへのアクセスも飛躍的に向上することから、より多くの方を呼び込みそのすばらしさを知ってもらえるようになるものと地元の期待も膨らんでおります。
 県では、昨年度の後半にSNSを活用した富士山の魅力発信や富士山周辺四市一町の構成資産や観光施設等観光スポットを生かしたスタンプラリー等の誘客促進事業を実施したところであります。残念ながら新型コロナウイルス感染症が再拡大した時期と重なったため現地における誘客事業の実施において制約があったとは思いますが、取組の成果や今後の課題も多少なりとも見えてきたのではないでしょうか。
 今後、新型コロナ感染症の脅威が去った後に観光やインバウンドの本格的な回復が期待されるところですが、登山だけではない富士山観光の振興について県としてどのように施策を展開していこうと考えているのかお伺いをいたします。
 次に、食料の安定供給に向けた農業経営継続への支援について伺います。
 令和三年度の日本の食料自給率はカロリーベースで三八%と前年を一ポイント上回ったものの、生産額では六三%と過去十年間で最低となり我が国の食料及び食料生産に必要な資材、飼料の多くを輸入に頼っているのが現状であります。世界的な人口の増加や新興国の経済発展、所得の向上などにより食料需要の増大が見込まれる中、地球温暖化や気象災害による農作物の不作などにより食料の生産量が不安定となり輸入国間の競合が高まるなど、我が国への食料供給への影響が懸念されていることから有事に備え国内生産をしっかりと維持拡大していくことが重要であります。
 そのような中、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うサプライチェーンの混乱やウクライナ侵攻など世界情勢の悪化による輸出制限や輸送コストの増大の影響により令和四年七月の農業生産資材価格の物価指数は令和二年と比べ光熱電力は二九ポイント、肥料は四二ポイント、家畜用の飼料は四六ポイント上昇しております。今年六月に我が国が公表した食料の安定供給に関するリスク検証においても、多くの品目で労働力や後継者の不足に加え燃油や肥料の価格高騰のリスクが高まっており近年に例を見ないほどの厳しい環境下にあるとされております。本県の農業に当てはめてみますと、本県の特産品には施設園芸における暖房や荒茶製造における燃油の使用など昨今の物価高騰の影響を受けやすい品目が多く食料の安定供給に関する大きなリスクにさらされていると考えられます。
 本県は茶、ミカン、イチゴ、メロン、レタスなどカロリーが低いものの人々の食卓や暮らしを豊かにする品目を主に生産していることから食料自給率はカロリーベースで一五%、生産額ベースで五四%と米や畜産物を主体に生産する県に比べると低い状況にありますが、農業者は燃油など生産資材の価格高騰による生産コストの増大に苦しんでおり、このまま続けば生産意欲の減退や離農などにより食料自給率がさらに下がってしまうことが懸念されます。
 本県においても燃油、肥料、飼料などの農業生産に必要な資材の価格高騰が長期化することが見込まれる中、食料の安定生産を実現していくためには物価高騰リスクに対応し農業者が意欲を持って経営を継続していけるよう緊急的な視点と中長期的な視点の両面からしっかりと支援をしていくことが必要だと考えますが、県の取組についてお伺いをいたします。
 次に、水素関連産業の育成について伺います。
 これもまたロシアのウクライナ侵攻などにより原油や天然ガスの価格が高騰し世界的にエネルギー問題も頻発しています。日本においても三月に電力需給迫警報が、六月には同じく注意報が発令されるなど電力の需給バランスが崩れ健全な社会生活の継続が懸念される状態であります。
 このような時代において最も注目されているエネルギーの一つが水素であります。水素は地球上に非常に多く存在し化学反応の過程でエネルギーを生み出しますが、二酸化炭素の排出を伴わないため化石燃料の代替となり得ると目されております。我が国はいち早くこの水素に着目し、世界に先駆け二〇一七年に水素基本戦略を策定し水素社会実現に向けた取組を実施してまいりましたが、近年は多くの国や地域が水素をカーボンニュートラル達成に不可欠なエネルギー源として位置づけ取組を強化しております。
 水素は、その利活用を通じ発電、輸送、産業など様々な分野の脱炭素化が期待され地域特性に応じた水素社会実現のためのモデル構築が進んでおります。本県においても静岡市内でENEOSにより水素や再生可能エネルギーを活用した自立分散型エネルギーシステムの構築が進められるとともに、裾野市の「ウーブン・シティ」においてはトヨタ自動車とENEOSが水素の製造と利活用の実証の検討を進めるなど大企業における水素関連のプロジェクトが進行しております。
 県では、昨年度末にふじのくにエネルギー総合戦略を策定しカーボンニュートラルの実現による環境と経済が両立した社会を目指した取組を進めているとも伺っております。この戦略の中でもカーボンニュートラル実現に欠かせない二次エネルギーとして水素エネルギーに着目し、その活用に向けた技術開発や水素ステーション等のインフラ整備、水素関連ビジネスへの県内企業の参入を促進することとしております。
 しかし、水素エネルギーの産業化には技術的、財政的観点から課題も多く現段階で水素関連産業に参入する県内企業は数少ないのが実態です。セルロースナノファイバーも当初は様々な課題がありながら、現在は富士地域を中心に開発や産業化が進み県を中心とした地道な取組が今、実を結ぼうとしております。
 そこで、今後県内においてどのように水素関連産業を育成していくのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、次代を担う若年層の投票率向上に向けた戦略的施策について伺います。
 去る七月十日参議院議員通常選挙が執行されました。この選挙は選挙権年齢が十八歳以上となった平成二十八年の選挙から三度目の参議院議員選挙であり、またこの四月に成人年齢が十八歳に引き下げられてから初めての国政選挙でありました。少子高齢化がさらに進む今後の日本を生きていく世代である若者がその未来の在り方を決める政治に関与できるようにとの制度導入の趣旨でしたが、実際の選挙の投票率は全年代の投票率が五二・〇五%であったのに対して十八歳、十九歳の投票率は三五・四二%にとどまりました。また今回の選挙の若年層の年代別投票率を見ると二十代が三三・九九、三十代が四四・八〇、全年代の五二・〇五と比較し低水準となっております。同選挙では県内でも十代が三四・四三、二十代が三三・八八、三十代が四六・三五であり全年代の五二・九七%と比較して低水準と同様の傾向であり、近年選挙のたびに若年層の投票率の低さが指摘されていることには強い危機感を感じておりますが、幼い頃から様々なメディアを通じて多様な情報に接し自分の考えを育んできた世代である若者が政治に参加しないことは社会全体の損失であるばかりでなく、若者自身にとっても若年層に向けた支援政策の比重が落ちていくなどのデメリットにつながります。
 ある報道によれば、投票率が低い要因として十から二十代はほかの年代と比べて社会との接点が少ないことやなじみの薄い選挙に対する心理的抵抗感などがあるとのことが挙げられております。また選挙権を得た後の最初の選挙で投票した人はそれ以降も継続して投票に行く傾向にあり、逆に投票に行ったことがない人はずっと行かない傾向にあるとのことでした。こうした若者を取り巻く環境や投票行動なども考慮して、一人でも多くの若者が選挙権を得てから初めて行われる選挙の投票に行くように働きかけることなどが大事だと考えております。
 次代を担う若年層が政治に関心を持ち選挙に行くことはこの国の将来のために非常に重要なことと考えますが、若年層の投票率向上に向けた戦略的施策についてお伺いをいたします。
 次に、健康寿命延伸に向けたシニアクラブの活性化について伺います。
 去る五月に、本県の令和四年四月一日の六十五歳以上の人口は百十万千九百七十八人と過去最高を更新し六十五歳以上の割合を示す高齢化率が初めて三割を超えたと発表がありました。七十五歳以上の割合を示す後期高齢化率も過去最高を更新しており、今後も高齢化率は当面上昇傾向が続くものと思われます。
 高齢化が続く中、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間である健康寿命は本県では全国トップクラスとなっております。一方で健康寿命と平均寿命の差は依然として開きがありこの差を縮小していくために健康寿命をさらに延ばしていくことが求められております。これは高齢者がいつまでも健康で自立した生活ができることにつながるものであります。
 こうした健康寿命を延ばすためには高齢者の地域活動の参加が重要と考えております。そして地域の自主的な高齢者活動グループとして老人クラブ、愛称シニアクラブが挙げられます。
 シニアクラブは老人福祉法において老人福祉を増進するための事業を行うものとして位置づけられており、本県におきましても健康づくりや友愛活動、ボランティア活動など様々な活動を実施しております。高齢者が生きがいを持って健康で自立し身近な仲間と支え合いながら生活を送ることに大きく寄与をしております。
 その一方でシニアクラブは全国的に会員の減少傾向が続いております。県内のシニアクラブの会員数は平成元年度がピークで約二十四万人が加入しておりました。しかし平成元年度以降県内のクラブ数、会員数及び加入率ともに下降しており、令和四年度の会員数は約七万七千人、加入率は五・九%となっております。また新型コロナウイルスの感染拡大により社会活動の自粛による身体・認知機能の低下が懸念されシニアクラブ活動も大きな影響を受けております。このような時期だからこそ仲間同士で声をかけ合い知恵を出し合い、つながりを途絶えさせないように交流や社会参加を工夫して進めることが求められております。
 人生百年時代を迎え、高齢者が生き生きと健康に暮らせる社会を目指してこのシニアクラブを活性化させることは地域づくりや高齢者の健康寿命を延ばすことにもつながるものと考えますが、シニアクラブの活性化について県はこれまでどのような取組をしてきたのか、また今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、高齢者の犬・猫飼育について伺います。
 ただいま健康寿命延伸に向けたシニアクラブの活性化の質問でもお話ししましたとおり、日本は世界に先んじる高齢化社会を迎えており、高齢化率は今後も当面上昇傾向が続くものと思われます。こうした高齢化の進行により老後の医療や介護について不安に思う高齢者が増えております。
 そのような中、国立環境研究所と東京都健康長寿医療センターの研究チーム等の共同研究では、犬を飼っている高齢者は一度も飼ったことがない高齢者と比較して介護が必要な状態になるリスクや死亡するリスクが約半分になり、飼い犬と散歩や飼い主同士の交流が社会的、心理的な面から高齢者の健康維持に役立つとの報告がされました。またペットと暮らす高齢者は日常生活に満足している人が多く不満な人はほとんどいないというアンケート結果を報告した論文もあり、犬や猫の飼育が高齢者の心の安らぎや生きがいにもなっていることがうかがえます。
 一方で、一般社団法人ペットフード協会の調査によれば犬の平均寿命が十四・七歳、猫で十五・七歳と犬も猫も以前より寿命が延びているため若齢なペットの場合飼い主よりも長生きすることも考えねばならず自分が亡くなった後のペットの処遇を不安に思う独居の高齢飼い主もおられます。
 こうした中、近年では飼い主が亡くなった後も犬や猫が安心して暮らせることをうたうペット信託や老犬ホーム、飼育しているペットと一緒に入居できる介護有料老人ホーム等のペットビジネスが広がりを見せております。今後さらに高齢飼い主が飼い続けられなくなったペットの受皿が増え万が一のときにすぐに預けられるようになるなど、老後も安心して犬や猫を飼える環境が民間により整備されていくであろうと思われます。
 県では、静岡県動物愛護管理推進計画二〇二一を策定しかつての犬や猫の保護及び処分から動物愛護の推進に重点を移し犬や猫の殺処分ゼロに向けて取り組んでおります。また今般動物愛護管理行政の拠点である動物管理指導センターについて浜松市から富士市に移転するに当たり、時代に合った施設にするため動物愛護機能を大幅に強化する計画であると承知をしております。
 その上で、今後県は高齢者の犬・猫飼育についてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 最後に、富士大淵工業団地の評価と今後の取組方針について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の影響により一時は企業の投資意欲に停滞が見られたものの、経済社会活動の正常化が進む中で企業の設備投資は持ち直してきているとの分析結果も出ております。本県経済を持続的に発展させるためには関東圏と中京圏のどちらも見据えることができる地理的優位性や高速道路、高規格道路などの交通インフラを最大限活用して積極的に企業誘致を図ることが必要と考えております。
 新東名高速道路の県内供用開始から今年でちょうど十年が経過いたしました。東名高速道路とのダブルネットワーク化により渋滞緩和や利便性、信頼性が大きく向上したことでインターチェンジ周辺を含む沿線には県内外から企業の立地が進んでいる状況にあり、県が長年にわたり戦略的に取り組んできたふじのくにのフロンティアを拓く取組の成果が現れてきたものと考えております。
 一方で、県内で新たな設備投資をしたい企業から希望するような土地がなかなか見つからないとの声を聞くこともあり心配しているところであります。また近年物流業界を取り巻く環境は急速に変化し、電子商取引の市場拡大に反して人手不足やトラックドライバーの働き方改革への対応など大きな課題を抱えており、今後DXの推進による業界全体での効率化の動きが加速していくと予想され交通アクセスのよいインターチェンジ周辺への着目度がさらに向上すると考えられます。
 企業の事業用地を整備する手法は様々であり民間の自発的な投資を誘導していく取組ももちろん必要でありますが、行政が主体となって社会状況の変化に臨機に対応しながら用地を整備し企業を誘致していく取組が重要であると考えております。
 こうした中、市町と緊密な連携の下で進める企業局地域振興整備事業は工業用地の供給における最も有効な手段の一つであると考えており、県勢発展の一翼を担っていると認識しております。
 私の地元である富士市に企業局が整備中の富士大淵工業団地につきましても、整備途中にもかかわらず多くの企業から応募があり既に全ての区画の進出が決定しており、今後地元経済にますますの発展をもたらすものと大いに期待しております。
 企業局では、本年三月に経営戦略の見直しを行い今後十年間で百ヘクタールの用地造成を進めていくことなどの方針を示しておりますが、目標達成には様々な課題を乗り越えなければならないと推察しております。
 そこで、事業完了が迫っている富士大淵工業団地における企業局としての評価と今後新たな用地造成を進めていくに当たっての取組方針についてお伺いをいたします。以上、答弁を求めます。
○議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 本議会最後になります植田議員の七つの御質問、いずれも傾聴させていただきました。特に高齢者の健康と犬・猫の飼育、ペットの飼育との関係についての新しい情報につきましては身にしみるところがございました。
 私の答弁はそれ以外の二つにさせていただきます。
 まず、富士山観光の振興についてであります。
 今年の夏も、コロナ禍にもかかわらず多くの皆様が富士山を訪れ富士登山の人気の高さを改めて認識いたしました。一方富士山の魅力は議員御指摘のとおり登山だけではありません。各地からの美しい眺望、山麓の歴史ある文化資源やレジャー施設、豊富な食文化等々、一年を通じ国内外の多くの方々に体験していただきたい魅力にあふれております。
 このため、本県では昨年度山麓地域四市一町の観光協会が設置したしずおか富士山利活用推進協議会と連携いたしまして、デジタル技術も積極的に活用しながら富士山地域の魅力発信に取り組んだところであります。秋から春にかけましては首都圏の写真ファンが富士山や駿河湾、伊豆半島を一望できる岩本山公園をはじめ様々なスポットで写真や動画を撮影し、体験記事でモデルコースを紹介する取組とかインスタグラムに写真を投稿するキャンペーンを実施いたしました。
 あわせて、富士山ぐるっトリップと題するスタンプラリーを実施いたしまして参加者に地元のグルメ商品をプレゼントすることで若者をはじめ新たな層の関心を開拓できたと評価しております。
 今後も、富士山麓への関心を高める取組を引き続き行っていくことが重要です。
 中部横断自動車道の開通、富士川かりがね橋の整備によりまして交通の利便性向上が期待される中、地元では富士山麓を自転車で楽しむ富士エリアサイクリングガイドのホームページを開設するなどウイズコロナ時代に人気が高まっているアウトドアの魅力を生かして幅広い層が楽しめる誘客事業にも取り組んでいるところであります。
 現在、国において全国を対象とした旅行促進事業の今月十一日からの実施が予定されており、インバウンドの水際対策が大幅に緩和されるなど観光への機運が高まっております。
 県といたしましては、地元市町や関係団体等と連携し歴史、食、スポーツなど富士山や周辺地域が持つ魅力を効果的に発信することで誘客につなげてまいります。
 来年は富士山の世界遺産登録十周年という大きな節目の年を迎えます。同時に東アジア文化都市に本県が選定されました。一年限りではございますけれども、来年は静岡県が日本の言わば文化首都となります。またこの東アジア文化都市も来年がちょうど十周年という節目でもございます。世界の宝である富士山を中心に本県の多彩な魅力を国内外に発信する大きなチャンスの年になると思います。この機会を最大限活用し富士山が一年を通じにぎわうよう国内、海外からの来訪を積極的に促進してまいります。
 次に、水素関連産業の育成についてであります。
 地球規模での課題であるカーボンニュートラルの考え方を背景として、脱炭素化への対応は本県におきましても産業界はもとより全ての分野で喫緊の課題であると考えます。
 こうした中、水素が新しいエネルギー源として世界中で注目を集めており、国内では福島県と山梨県に研究施設あるいは実用をほとんど可能とするような研究施設がございますが、福島県におきましては世界でも最大級の水素製造能力を持つ施設が建設されています。また山梨県におきましても太陽光発電による電気でグリーン水素を製造する実証実験が行われております。福島のほうは旭化成さんが、そして山梨県のほうは東レさんがそれぞれ独自の技術で水の電気分解をしながら水素を取り出しているということでございまして、私は両施設とも訪れて、かつその施設の責任者に丁寧な御説明を承りまして水素エネルギーの重要性を改めて認識しているところであります。
 次世代エネルギーとして重要度が増す水素に関わる産業の育成は本県にとっても最重要施策の一つです。これまで県内企業の水素利活用に関する意向調査や水素エネルギー関連分野への参入を支援するセミナー等を実施してまいりました。今後さらに水素エネルギーの利活用への参入を拡大するためには産学官金が連携し技術開発や製品開発に取り組む体制の整備が必要です。
 そこで、今年度関係機関の参画を得てエネルギー関連企業等で構成する創エネ・蓄エネ技術開発推進協議会の中に水素関連の取組を専門に行う部会を立ち上げました。七月には水素研究の第一人者である東京工業大学の柏木孝夫特命教授などによる講演会を開催し全県で取り組む機運を醸成するとともに、静岡の場の力を最大限に活用し水素関連技術の研究開発を実証的に進めていく方向性を市町、大学、研究機関、企業などと共有いたしました。
 水素の利活用につきましては現状では技術的に全てが確立されているわけではありません。製造、貯蔵、輸送、利用といったそれぞれの分野で研究開発や普及への支援を進める必要があります。
 議員から御紹介のありましたCNFの取組のように、今回この創エネ・蓄エネ技術開発推進協議会の中に設けました水素部会の設立を契機としまして手始めに会員相互の情報交換や勉強会、先進地への視察等により水素関連の技術や情報の共有を図ってまいります。さらに大学や民間企業などが進める技術開発や実証試験などを支援し県内産業界が中心となった新しい水素エネルギー関連産業の発展につなげてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(藪田宏行君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 食料の安定供給に向けた農業経営継続への支援についてお答えいたします。
 国際情勢の不安定化などにより農業資材の価格が急激に高騰し農業経営が迫する中、農業者が意欲を持って経営を継続するためには緊急的に経営支援する短期的な対策と省エネ低コスト型の営農体系に転換する中長期的な対策の両面から施策を進める必要があります。
 このため、県は緊急的な対策として燃油や飼料の価格高騰分の一部を県独自に支援し国のセーフティーネット事業への加入を促進してまいりました。加えて肥料につきましても国の新たな支援制度に呼応し上乗せ助成する経費を九月補正予算案に盛り込み、本議会にお諮りしているところであります。
 また、土壌診断に基づく施肥量の削減や自給飼料の生産技術などをマニュアル化し農業者自らがコスト削減に取り組めるよう営農指導を強化してまいります。さらに本年六月にJAグループと連携して品目別の価格高騰対策チームを立ち上げたところであり、堆肥の循環活用や省エネ設備の導入、生産コストを価格転嫁する仕組みづくりなどを中長期的な対策として取りまとめ速やかに実行に移してまいります。
 県といたしましては、こうした取組により農業者の持続的な経営を支援し食料の安定供給を実現してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 土村経営管理部長。
○経営管理部長(土村暁文君) 次代を担う若年層の投票率向上に向けた戦略的施策についてお答えいたします。
 今回の参議院議員通常選挙では、若者選挙パートナーに任命された高校生や大学生が街頭や県内の大学キャンパスで投票を呼びかけたほかSNSを活用して若者が選挙への思いを積極的に発信するなど若年層の投票率向上に向けた啓発に取り組みました。こうした取組の結果、今回の選挙における若年層の投票率は前回より上昇し改善の兆しは見えるものの、依然として六割以上の若者が投票に行っていない状況にあり強い危機感を抱いております。若者の投票率向上のためには選挙時の啓発だけでなく日頃から政治を身近に感じてもらうための施策が重要であると考えております。
 高等学校では、現代の諸課題を追及する活動を通じて社会参画に必要な力を養成するため本年度から必修科目として公共が新設されたことから現在実施している選挙出前授業について学校と連携し公共での学習段階に応じて効果的に実施できるよう工夫するとともに、実際に地域社会で起こっている身近な問題を取り入れた模擬選挙を行うことにより若者に投票参加の重要性を訴えてまいります。
 県といたしましては、選挙時における若年層向けの啓発の強化と併せて高校生世代への主権者教育の一層の充実を図り、選挙権を得てから初めて行われる選挙での投票を促すなど若年層の投票率向上に向けた施策に戦略的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 健康寿命延伸に向けたシニアクラブの活性化についてお答えいたします。
 健康、友愛、奉仕の活動を進めるシニアクラブは地域福祉の担い手として大変重要な役割を果たしており、県ではその活性化に向けて活動の場の拡大とともにシニアクラブ活動に対する県民の皆様の理解を促進しております。
 活動の場の拡大につきましては、市町との協働により壮年熟期の方の社会参加を支援するふじのくに壮年熟期活躍プロジェクトにおいて生活支援ボランティア等へのシニアクラブの参加を促進するほか、シニアクラブが行う昔遊びや文化の伝承を通じた子供たちとの世代間交流活動に助成し活動を支援しております。また地域の交流の拠点である通いの場においてLINEの使い方講座を開催するなどICTを活用した新しい生活様式への対応を支援をしております。
 県民の理解促進につきましては、シニアクラブ静岡県との協働によりホームページ等で活動事例を紹介するほか地域文化の次世代への伝承や芸能・文化活動に取り組む県内のシニアクラブが一堂に会しその成果を披露する機会を設けるなど活動の周知に取り組んでおります。なお今後は特徴的なシニアクラブの活動や会員増加の取組などについて広く情報発信するとともに、市町や社会福祉協議会等も交えてシニアクラブの皆様と定期的に意見交換を行い時代に合ったクラブの在り方について検討を進めてまいります。
 県といたしましては、高齢者が元気に生きがいを感じながら暮らすことのできる社会の実現に向けて市町や関係団体と連携を図りながらシニアクラブの活性化を支援してまいります。
 次に、高齢者の犬・猫飼育についてであります。
 高齢の方に限らず犬や猫等のペットを飼育することは人にとって身体的、精神的効果のほか人的交流を広げる等の社会的効果が明らかにされております。一方で自身の不測の事態に備えペットが生涯安心して暮らせる環境を準備することも飼い主の主要な責務であります。
 このため、県では高齢の飼い主に対してペットの世話が困難になった場合には老いた犬や猫を預かるサービスの紹介やポッチとニャンチの愛の伝言板の名称で市町の庁舎に設置されている飼い主探しの伝言板の周知と幅広いネットワークを持つ動物愛護ボランティアとの橋渡しを行ってまいりました。さらに今年度からは市町の福祉部門等と連携して高齢の飼い主を見守り、飼育困難になる前に相談できる窓口を明確化し問題の発生を未然に防止することとしております。
 一方で施設に入居する高齢の方には動物ふれあい訪問活動を通じて入居者への癒やしの提供や生活の質の向上を図ってまいりました。さらに今後富士市に整備を予定している仮称動物愛護センターにおいては高齢の方が動物とふれあう場や若い動物愛護ボランティアと交流する機会を提供するとともに、長年飼育経験のある高齢の方には自宅で預かりボランティアとして参加していただくなど生きがいづくりに取り組んでまいります。
 今後も、高齢の方をはじめとする県民全体で動物愛護の意識を一層高め動物の命を大切にする環境をつくり犬猫の殺処分ゼロを目指してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 小野田企業局長。
○企業局長(小野田裕之君) 富士大淵工業団地の評価と今後の取組方針についてお答えをいたします。
 企業局では、市町のまちづくりに呼応し富をつくり地域の価値を高める工業用地の整備にスピード感を持って取り組んでおります。
 新富士インターチェンジ付近で事業化した富士大淵工業団地につきましては、企業局に蓄積されたノウハウを駆使した結果三か月の前倒しとなる用地の引渡しと大幅な事業費の縮減が実現できる見通しとなっております。また今回進出を予定している企業六社で百八十人を超える新規雇用と直接投資額約七十億円、さらに操業による生産活動効果で毎年百七十億円が見込まれるなど地域経済の発展に大きく寄与するものと評価をしております。
 今後も、インターチェンジ周辺や地理的に優位性の高い東西の県際地域などエビデンスを重視した候補地の選定を行うとともに、製造業におけますアフターコロナに向けての動き、カーボンニュートラルへの対応、さらには変革期を迎えている物流業の動向など社会経済情勢の変化を的確に捉えながら多彩な造成方式を活用して戦略的に事業を展開してまいります。
 企業局といたしましては、経営戦略に掲げる目標の達成に向けて市町と緊密に連携し地域に大いなる飛躍をもたらす産業基盤であります工業用地の整備に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) これで植田徹君の質問は終わりました。(拍手)

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp