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本会議会議録

質問文書

平成24年２月静岡県議会定例会 質問

質問者：
髙田　好浩 議員

質問分類
代表質問

質問日：
02/28/2012

会派名：
公明党静岡県議団

質疑・質問事項：
1　平成二十四年度当初予算編成について
2　自然史資料を活用するための拠点整備について
3　さくや姫プロジェクトの今後の活用について
4　悪質商法に対する高齢者保護の取り組みについて
5　移住・定住の促進について
6　災害時における患者の医療情報の把握について
　　お薬手帳の普及
7　受動喫煙防止対策の推進について
8　新卒者に対する就職支援について
9　ふじのくに美しく品格のある邑づくりの推進について
10　自助・共助における発災後七十二時間以内の対応について
11　地震防災センターの機能強化について
　(1)　人と防災未来センターとの連携
　(2)　防災用品等の展示
12　読書県しずおかづくりについて
13　学校における防災対策の推進について
　(1)　公立学校の防災体制
　(2)　教職員の防災力の向上
　(3)　児童生徒の主体的な防災への取り組み
14　高齢者の交通事故防止対策について

○議長（植田　徹君）　ただいまから会議を開きます。

　議事日程により、知事提出議案第一号から第九十号までを一括して議題とします。

　質疑及び一般質問を行います。

　通告により、二十五番　髙田好浩君。

　　　　　　　（二十五番　髙田好浩君登壇　拍手）

○二十五番（髙田好浩君）　皆さんおはようございます。

　きょうから十二日後の三月十一日、東日本大震災が発生してから一年になります。私たち公明党県議団は震災直後から数回にわたり現地を訪問、私も昨年四月下旬から四回にわたり延べ十二日間被災地を訪問し、ボランティア活動に参加したり、被災された方々から実情や要望を聞くために仮設住宅に伺ったり、支援物資を被災地に届けに行ってまいりました。まだまだ復興の勢いが見えない被災地で、例年にない厳しい寒さと豪雪の中を懸命に前を向いて進んでいらっしゃる被災者の皆様の生活が一日も早く復興できるように、まず国が先頭になってより確実、迅速に復旧・復興のための支援を尽くす必要がありますが、あわせて我が県においても、被災された皆様の声をしっかり受けとめ、今何ができるのか具体的に考え行動する必要があります。今まで以上の県のさらなる支援活動の推進を要望いたします。そして改めて犠牲になられた多くの方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。

　それでは、公明党を代表して県民の生命と財産を守るため安心と安全を築くため当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問いたします。

　初めに、平成二十四年度当初予算編成についてであります。

　東日本大震災、そしてそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の災害の影響、また欧州の政府債務危機を背景とした金融不安や円高、さらにタイの洪水など世界で起こった甚大な自然災害等の影響を受け、日本経済を取り巻く厳しい経済状況は改善の見通しが弱く、その結果企業活動や雇用情勢は厳しい状況が続いております。

　本県の予算編成においては、十二月の部局調整案の提出状況の公表時点では四百四十九億円の財源不足額が見込まれておりました。この状況を克服するためには、これまで以上に行財政改革に取り組み、あらゆる歳入の確保と選択と集中による歳出の重点化を図る必要があります。

　そこで、まず今回の予算編成において、財源不足額の解消に向けて具体的にどのように取り組んできたのか伺います。

　財源不足額の解消をした上で、厳しい環境に置かれている県民生活の向上のために、医療、福祉、教育、雇用など県民に身近な施策のさらなる充実が必要であり、県民幸福度の最大化に向けた取り組みに邁進しなければなりません。

　我が会派では、昨年重点要望二十五項目、各部施策別要望百六十二項目と、多岐にわたる内容から成る平成二十四年度当初予算編成に向けた要望を知事に対して行いました。そこには日ごろから県民の皆様にいただいているさまざまな御意見、御要望や、会派として静岡県のあるべき姿の提言等を盛り込みましたが、公明党県議団の要望に対して、知事はこの予算編成にどのように対応されたのか、知事の所見を伺います。

　次に、自然史資料を活用するための拠点整備についてであります。

　静岡県は、富士山、伊豆半島、駿河湾、南アルプス、浜名湖など、多彩な自然環境にはぐくまれた全国屈指の自然の宝庫であります。本県の豊かな自然の象徴である貴重な自然史資料が散逸や消失することなく次世代へ継承されるよう県では資料の収集、保管に取り組んでおり、熱心な研究者を初めとした県民の協力により、これまでに二十七万点余の資料が収集されてきました。

　先日、私も清水区辻の県自然学習支援資料センターに伺い、ＮＰＯ法人静岡県自然史博物館ネットワークの理事の皆様や学芸員など、多くの方々にセンター内を御案内いただき、貴重な資料や標本などを見てまいりました。二〇〇五年から現在の場所を仮の住みかとし、渾身の活動を行い、全国から多くの標本等を寄贈してくださっている方々に早く報いたい、全国に流出している貴重な資料を一日も早く静岡県に呼び戻し県民のために展示したいとの強い志をお聞きいたしました。現在のセンターにある収集資料の中には、絶滅が危惧されている昆虫なども含まれており、質、量とも、他県が所有する自然史資料と比べて決して遜色がないことを確認いたしましたが、単に資料を収集、保管するだけでは、本当の意味で県民に共有の財産とはならず、本県が持つ多様な自然を身近に体感でき自然への関心を高めるためには、資料を有効に活用して県民へ還元する取り組みが重要であると考えます。

　現在、県自然学習資料センターでは、収集した自然史資料の保管や資料を活用した学習支援活動に取り組んでくださっていますが、これからもふえるであろう新たな資料の収集、保管や活用、また見やすくわかりやすい展示をするためのスペースが必要であり、そのための新たな拠点施設の整備が必要であると考えます。現在、県立静岡南高等学校の転用による拠点整備が計画されていると伺っております。確かに資料収集や保管、研究活動には使い勝手のよい施設になると想像できますが、展示施設としては、今回の整備だけでは十分にその機能を有しているとは思えません。

　そこで、県立静岡南高等学校を活用してどのような施設の整備をしていくのか、県の方針を伺います。

　また、県民の生涯学習の機会を一層充実していくためには、施設の整備だけではなく今まで以上の自然史資料の有効な活用が重要であると考えますが、今後どのような取り組みを進めていくのかあわせて伺います。

　次に、さくや姫プロジェクトの今後の活用についてであります。

　我が国では、少子高齢化の進展と本格的な人口減少時代の到来により、社会の活力の低下が懸念されています。経済のグローバル化や人々のさまざまなニーズに対応し、国民が暮らしやすい活力ある社会を築いていくためには、男女の性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に生かせる社会の実現が強く求められております。私たち公明党は、「人道の先進国」を目指し、これからの社会の進むべき方向を、男女の特性を最大に生かしながら真のパートナーシップを築くために、女性の役割がますます重要になり、女性が伸び伸びと活躍できる社会、思う存分に力を発揮できる社会の実現のために、女性の人権確立や女性の健康や子育て支援などさまざまに女性を支える政策の重要性を訴え、その実現のために取り組んでまいりました。

　昨年行った静岡県の男女共同参画に関する意識調査によると、女性が職業を持つことについて、「ずっと職業を続けたほうがよい」と答えた方は、平成十三年の二三・五％から三二・一％に八・六ポイント上がり、男女共同参画の意識は向上していると考えますが、一方災害に関連した問いでは、東日本大震災における避難所運営で、女性の視点が生かされていないためにさまざまな不都合が生じたことを受け、日ごろから地域における男女共同参画を進めておくことが大事であると思う人は九一・五％に上り、さらに意識向上のための施策を講じる必要があると考えます。

　県では、あらゆる分野における女性の参画の拡大や男女共同参画への理解の促進に向けた取り組みとして、県内の企業や地域でリーダーとして活躍している女性や男女共同参画を推進している男性などを発掘し、ウエブサイトで県民にわかりやすく紹介するさくや姫プロジェクトを展開しています。県によると、このサイトの閲覧者から、本県のシンボルである富士山の女神として名高いコノハナサクヤ姫にちなみ、活躍する女性をさくや姫、男性をさくやな人々と名づけたネーミングがユニークであり、一人一人の記事が充実していて読みごたえのある内容であることや、イラストや写真が多く見た目も美しい魅力的なサイトであるといった感想が寄せられているとのことです。このサイトを閲覧した方々が、多方面にわたる男女の生き方を参考にしながら、男女共同参画に向けた意識や関心を高めていくことを大いに期待するものですが、今後はこうした男女の活躍事例を発信するだけにとどまらず、このプロジェクトで得た成果を市町、産業界、教育界、さらには地域、家庭など県内のさまざまな分野における施策や活動に生かしていくことが非常に重要であると考えます。

　そこで、このさくや姫プロジェクトを今後どのように活用されていくのか伺います。

　次に、悪質商法に対する高齢者保護の取り組みについてであります。

　悪質商法による消費者被害が後を絶ちません。本来は実体のない株を近く上場され高値で取り引きされるなどとうたい、お金をだまし取る利殖商法や、東日本大震災の不安につけ込み、不必要な住宅リフォームを勧誘する点検商法、さらには早い者勝ちだよと競争心をあおり高額な健康食品を売りつける催眠商法など悪質商法は手を変え品を変え巧妙化しております。特に問題なのは、これらの被害が高齢者に集中していることです。貴重な生活資金を奪われた高齢者は今後の生活への不安を抱えることになるとともに、だまされたことにより大きな精神的苦痛を受けることになります。自分の周りにはあまり悪い人はいないと思い込み、相手に悪いので人の話を一生懸命聞いてしまう善良な高齢者ほど、悪質商法による被害に遭いやすいと言われております。

　本県の県民生活センターにおける消費生活相談の総件数は年々減少してきていますが、高齢者からの相談が占める割合は増加しております。今後も高齢化が進行するとともに、核家族世代の増加などを背景として高齢者のみで構成される世帯数の増加が見込まれることから、高齢者の消費者被害がさらにふえることが危惧されております。

　このような中、昨年末に県と県警の間で消費生活侵害事犯の被害拡大防止等に向けた連携に関する協定が締結されました。これは悪質商法による被害が疑われる相談情報の迅速な提供、共有により、県と県警が連携して被害拡大防止と被害回復の支援を図るものであり、都道府県としては全国初の協定であると伺い、高齢者をねらった悪質商法は許さないという県と県警の強い熱意を感じます。

　そこで、年々巧妙化する悪質商法の被害から高齢者を守るため、県警との連携強化を含め県としてどのように取り組みを進めていくのか伺います。

　次に、移住・定住の促進についてであります。

　先般、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が、長期的な人口動向を予測した将来推計人口を公表いたしました。これによると五十年後の二〇六〇年の我が国の人口は八千六百七十四万人で、二〇一〇年に比べて三割以上減少すると予測されております。今回は都道府県別のデータは公表されておりませんが、平成二十年の同研究所の推計によると、本県の人口についても、二〇三五年には三百二十四万人で、一昨年実施した国勢調査の人口より五十二万人、十三・八％の減少が見込まれ、また県内では、二〇〇五年から二〇三五年までに人口の二割以上減少する市町が伊豆半島南部を中心に十六市町に上ると予測がされております。

　こうした人口減少による弊害は多岐にわたり、例えば労働力の減少による企業の生産性の弱体化や農山漁村における限界集落の増加、また自治体財政の悪化の進行に伴い、地域経済の停滞やコミュニティー機能の衰退など地域活力の低下が懸念されます。一方ゆとりや豊かさ志向、食と農、自然と調和し環境に配慮した生活への関心の高まりなどを背景に、地方への回帰を望む人は着実に増加しております。またいわゆる団塊の世代の中には、次の人生を歩むステージを地方に求める志向の高まりが見られることに加え、東日本大震災を機にふるさとや人とのきずなの重要性が再認識され、この傾向がますます強まるものと思われます。

　このような中で、全国では我が自治体に人を呼び込もうという動きが活発になり、島根県や山梨県では、財団法人が、あるいは民間企業と協働で移住促進に係る事業を積極的に展開しているほか、県内でも移住希望者に対して空き家情報の提供やセミナーなどを実施する自治体があり、特に中山間地域を抱える市町において積極的に施策が展開されております。いよいよ四月十四日には、新東名高速道路の県内全区間の開通を迎えます。内陸を貫くこの新東名により、豊かな自然環境を持つ本県の中山間地域への交通アクセスが飛躍的に向上し、その活力に力を傾注することにより地域活力の向上が大いに期待されます。

　このような状況を踏まえ、今こそ地域の活性化のためふじのくにの理想郷に人を呼び込むことが重要であります。このため県では、昨年三月にふじのくに移住・定住促進戦略を策定しましたが、この戦略に基づきどのように取り組んでいくのか所見を伺います。

　次に、災害時における患者の医療情報の把握についてであります。

　東日本大震災では、沿岸部の多くの病院、診療所、薬局等の医療機関において、大規模な津波により、紙のカルテの流失や電子カルテが使用できなくなったことにより患者の医療情報が滅失し、病歴や処方されている薬がわからないまま診療を行わざるを得ないという状況が発生し、さらに建物に被害がなくてもライフライン、特に電気の停止により検査を行えず、患者の状況を正しく把握できない中での処置をせざるを得ないという過酷な状況のもと、的確な医療サービスが提供できないという事態が発生しました。

　このような中で、お薬手帳を患者が持参した場合には、過去の服薬履歴から何の病気でどの薬が必要かがすぐわかり、非常に有用であったとの医療現場からの声を知りました。これらのことから災害時等において医療情報が滅失した場合の対策の必要性が広く認識され始めました。政府はこれまで医療機関の中でのみ使用されていた医療情報を、医療サービスの受益者たる国民本人がみずからの医療・健康記録として保有し、管理、活用することを可能にするどこでもＭＹ病院構想の実現を目指し、さまざまな検討を重ねております。その中で患者の医療情報や服薬情報が入力され、カードリーダーとノートパソコンがあればその情報を見ることができる電子版のお薬手帳・カードの創設が検討されております。しかし実現には時間がかかり、全国的な運用は平成二十五年度が目途とされております。また発災時には広域にわたり停電する状況が確実に考えられ、その中でパソコン等を起動させるための電源が必要となるこの手法には限界があると言わざるを得ません。現在のお薬手帳には、薬の服用履歴を初め既往症、アレルギーなど医療関係者に必要な情報が収められ、どこでもいつでも見ることができます。

　平常時の医療機関での活用はもとより、あす発生してもおかしくない東海地震への対応として、被災した患者に適切な薬を提供したり処置ができるようにするため、お薬手帳の県民への普及は防災対策上も大変重要であると考えますが、東日本大震災を踏まえて県としてはどのように取り組んでいくのか伺います。

　次に、受動喫煙防止対策の推進についてであります。

　平成二十二年度の県の事業仕分けにより、受動喫煙防止対策の方向性が大きく変わり、県民の自発的な受動喫煙防止活動を顕彰、支援する事業を三年間実施するなどの方向に転換しました。この事業内容は県がリーダーシップを発揮するというよりは、県民の運動のサポート役になりながら受動喫煙防止を達成していこうという考えのように思えますが、果たしてそれで防止対策は進んだのでしょうか。今月の三日に伊東市において、県政さわやかタウンミーティング「多くの人が利用する施設での受動喫煙防止について」が開催され、伊東市内の飲食店や理美容店、宿泊施設等の方々が参加され、事例報告、意見交換が行われました。観光地にあるこれらの施設は、どの地域よりも受動喫煙の影響があり、かつ防止対策が実行しにくい施設であり、かなり厳しい意見が出たのではないかと想像しておりましたが、「個人経営の小規模店舗では常連も多く店側から禁煙することが困難。他の客や従業員が受動喫煙を受けているので禁煙にしたいとは思う。行政がリードしてほしい」との意見や、「神奈川県では条例制定後に反対の声も多かったが、客の苦情はほとんどなく売り上げにも影響はない」、さらに「条例について神奈川県でできたことが静岡県でできないのはなぜか。行政がリードすればできると思う」等の建設的な意見が続出したとのことです。横浜中華街重慶飯店の現状報告では、「多くのお店も禁煙になったので、条例を盾に御理解をいただくことができた。禁煙をきっかけにお客さんが離れていった例は一件もなかった。行政が条例などで一斉に規制する力はとても強く、条例がなかったら重慶飯店もここまで禁煙に踏み切れなかった」と発言されております。

　知事は、マニフェストにおいて受動喫煙の機会を大幅に減少させる取り組みを実施するとの宣言をされており、また総合計画には「喫煙による健康被害を防止するため、禁煙、受動喫煙防止活動の支援や青少年への教育を充実する」と明記されていますが、進捗状況はどうでしょうか。二〇一〇年の成人の喫煙率は一九・五％で、前年と比べて三・九ポイント低下し過去最低となる一方、禁煙したいと考えている喫煙者が過去最高の三七・六％に上ったとの報告が、先日厚生労働省からありました。加えて厚生労働省から受動喫煙者の減少目標を設定し二〇一三年度から取り組む案が示されました。

　このように、今好機到来、千載一遇のチャンスを迎えたさまざまな状況を背景として、県は速やかに、また積極果敢に多くの県民が望む受動喫煙防止対策に取り組む必要があると考えますが、知事の所見と決意を伺います。

　次に、新卒者に対する就職支援についてであります。

　昨年度の大学生の就職環境は、超就職氷河期とまで言われた厳しいもので、県内大学生の三月末の就職内定率は八六・九％と統計開始以来、平成九年度の八六・三％に次ぎ過去二番目に低く、県内で六百七十五人もの大学生が未就職のまま卒業を迎えました。さらに短大生、専門学校生、首都圏などで就職活動をして未内定のままＵターンしてくる学生も含めれば、正社員として社会に飛び出すことがかなわなかった学生は県内で優に一千人以上になると思われます。今年度も学生の皆さんは卒業を直前に控えておりますが、静岡労働局の発表によると、今年度卒業する学生の十一月末時点での就職内定率は、県内大学生で六〇・二％と前年を四・八ポイント上回ったものの、リーマンショックが起こる三年前と比べると一二・三ポイントも低く、今年度も超就職氷河期と言わざるを得ない状況となっております。このままでは平成二十二年度末と同様、多くの学生が正社員になれずに卒業を迎えてしまう可能性が十分考えられます。今までに未就職のまま卒業した学生の多くは、アルバイトなどをしながら就職活動を続けていますが、その状況に甘んじて、いわゆるフリーターになってしまえば正社員の就職はますます遠のいてしまいます。本来ならその若さを遺憾なく発揮して、将来の夢に向かって大きく羽ばたくことをだれもが望むところですが、そのスタートラインになるはずの正規の職につけず低所得者層になってしまう状況は、御本人の人生設計において、また社会保障問題や少子化問題を抱える日本において大変憂慮すべき状況です。今年度必死で就職活動をしても、たまたま厳しい時代に就職時期を迎えたがゆえに就職がかなわなかった若者たちの働きたいという意欲を消してはなりません。彼らが意欲に満ちた社会人としての第一歩を踏み出すことができるよう何としても支援すべきだと考えます。

　そこで、今後県としていまだ内定を得ていない新卒者の就職支援にどのように取り組んでいくのか伺います。

　次に、ふじのくに美しく品格のある邑づくりの推進についてであります。

　昨年六月、岩手県において平泉が新たに世界文化遺産として登録されたことは、東日本大震災で被害を受けられた方々にとって復興に向けた希望の光となるもので、被災地復興に精力的に支援してきた本県にとっても大変喜ばしいことであります。また北陸地方では、石川県の能登の里山里海、新潟県のトキと共生する佐渡の里山が、我が国初の世界農業遺産として登録され、日本の里地里山を世界に情報発信するとともに、次世代へ引き継ぐべき世界の資産として注目を浴びました。こうした評価、認定を受けることは、かけがえのない農山村の資源の保全活用の大きな転機となって、新たな資源の発掘にもつながり、集落や地域の維持に懸命に取り組まれている人々の大きな励みとなったのではないかと考えます。農山村地域は、先祖代々受け継がれてきた生活の知恵と農業技術を生かして、豊かな自然と地域ならではの食文化をはぐくんできました。また東日本大震災の復興において、農林漁業に携わる集落や地域の人々が、助け合い、寄り添って暮らす姿を見て、都会では見られなくなったきずなやコミュニティーの大切さを痛感いたしました。

　本県の農山村に目を向けてみますと、特産の茶、ミカン、ワサビを初めとする多彩な農産物の生産活動を通じて、地域特有の美しい景観や伝統文化、豊かな生態系が守られ、暮らし、自然、農作物のすばらしさなど農業農村の魅力は十分過ぎるほどでありますが、過疎、高齢化の急速な進展による耕作放棄地の拡大や限界集落化の危惧などさまざまな課題を抱えております。

　県では、これまでの取り組みに加え、地域の将来像を考えみずから行動する自立した地域を顕彰し、地域ブランド化を進めるふじのくに美しく品格のある邑づくりに取り組んでいくと聞いておりますが、この取り組みはどのようなねらいを持ち具体的にどのように推進していくのか伺います。

　次に、自助・共助における発災後七十二時間以内の対応についてであります。

　日本は今までに繰り返し大きな災害に見舞われ、特に近年の大震災においては、建物の倒壊や火災、津波により多数の犠牲者を出してしまいました。防災対策が進む中で特に言われ続けているのは、災害時において人命救助の限界は発災後七十二時間以内であるということです。このことから自衛隊、警察、消防を初め県、市町等の行政機関は初動体制を強化し、七十二時間以内の災害対応に全力を挙げて取り組むことになっていますが、阪神・淡路大震災、東日本大震災等の大きな地震では、さまざまな原因により行政による迅速な救援、救護が計画どおりに行われなかったという現実があります。

　阪神・淡路大震災においては、旧北淡町では、日常的な近隣同士の人間関係が深く築かれていたため、朝五時四十六分に発生した地震で三百人余りの人が生き埋めになりましたが、どこに寝ているかまで近隣の方が掌握していたため、消防団に的確な指示を住民が出すことでき、午後四時五十二分には町内全域の救出作業を終了し行方不明者ゼロを確認しました。命をつなぐために地域コミュニティーの重要性を再確認できたとともに、我が地域を見たときに同じような対応ができるのか大変不安になります。

　防災システム研究所所長の山村武彦氏は、「これまでの防災は自助、共助、公助の三本柱が主に言われてきたが、それに加え近助――近くの助け合いの重要性を指摘したい。阪神・淡路大震災では自力脱出が困難な人が三万五千人もいたが、そのうち七七％もの人を救ったのが近所の住民だった。町内会単位というコミュニティーも大事であるが、向こう三軒両隣という小さなコミュニティーをまず大事にすべき。近助――近くの助け合いは、地域に限ることではなく、会社にいるときは勤務先のデスクの隣同士、オフィスの隣同士、駅や公共機関にいるときは、その場にいる隣同士が近隣になるのである」と言われています。

　先日、平成二十三年度東海地震県民意識調査の結果が発表されましたが、みずから行うべき防災対策が進んでいないことがわかりました。例えば非常持ち出し用として三日分以上の食料を用意している人が三九・六％、全く用意していない人が二一・二％。また三日分以上の飲料水の備蓄は三七・二％、家具を大部分固定してある世帯は一四・四％にとどまっております。さらに「家の一部が壊れると思う」、「ほとんど壊れると思う」の合計は六九％に達し、プロジェクト「ＴＯＵＫＡＩ―０」の「名前だけしか知らない」、「全く知らない」の合計は何と六二・一％で、年々増加していることがわかりました。みずからが住む住宅を補強し、自助のスタートラインに着くことができなければ、想定を超える人が被災し命を落としたり、助かったとしても避難所に行かなければなりません。また共助の根本になる自主防災組織については、「入っていない」、「自主防がない」、「わからない」の合計が二九・二％になり、この数値も年々増加していることがわかりました。県の掌握している結成率からは考えられない数値であり、地域における課題が浮き彫りにされました。

　過酷な生活を余儀なくされる避難所に行かなくて済むように、また仮設住宅での長期の不自由な生活を送ることがないようにするためにも、県は三十五年を超える長期間にわたり、県民に対して自助、共助の必要性を訴えてきたと思いますが、現実は厳しくそれぞれの備えが十分であるとはとても考えられません。七十二時間の命をつなぐための自助、共助の対策をさらに強化し、県民みずからが公助を待つことができる防災対策を行う必要があると考えますが、県として住民や自主防災組織、企業等にこの七十二時間についてどのように意識向上を図り、自助、共助の対策を推進していくのか伺います。

　次に、地震防災センターの機能強化についてであります。

　本県の地震防災センターは、平成元年のオープン後、これまでの来館者が九十八万四千人に達し、防災の意識啓発や知識の向上に貢献してきました。また近年は中国人など外国人来館者も増加している上、今年度は東日本大震災の影響を受け、前年度の約二倍の推移で来館者が激増しております。今年中には百万人の来館者を達成することは確実であり、そのときには地震防災センターに全国から多くの人が訪れるような仕掛けをつくることも検討したらどうかと思っております。さらに現在しずおか防災コンソーシアムの活動拠点として、学術研究的な活動施設としても機能し、毎月一度行われているふじのくに防災学講座への参加者も確実に増加しております。私も都合がつく限りこの講座に参加しておりますが、多岐にわたる講座を著名な講師がわかりやすく解説するこの講座に、さらに多くの県民が参加できればと考えます。

　我が公明党においても、視察と避難所運営ゲームＨＵＧの体験を目的に、昨年十一月に三十四名、今年二月に二十七名の議員が全国から訪れ、さらに三月にも多くの議員がＨＵＧの体験をする予定になっております。この地震防災センターのさらなる機能強化を図るため、兵庫県の人と防災未来センターと連携し、相互の情報交換などに取り組むとのことですが、具体的に何を目標にしどのような取り組みをしていくのか伺います。

　また、センターの二階には防災資機材、防災用品等の展示コーナーがありますが、自主防災組織において資機材の現物を見る機会はあまりなく、この展示コーナーでまとめて多くのものを見比べることができ、また個人としても使い勝手のいい、そして確実に命を守るために工夫された新たな防災用具の購入を検討するための情報収集の場にもなっており、この展示コーナーは自助、共助のスタートラインに着くための重要な役割を担っております。

　防災資機材等を開発する企業は、東日本大震災を受け、東海地震に備えるため新たな視点で迅速な商品開発に取り組んでおります。そこで工夫された最新の資機材等をリアルタイムで展示することが求められますが、防災センターに展示するためには半年に一回の審査を待たなければなりません。

　そこで、いい商品をいち早く県民に知らせることができるように、展示のための審査のあり方や、手狭になった展示スペースの改善を検討する必要があると考えますが、県の所見を伺います。

　次に、読書県しずおかづくりについてであります。

　「よき書物を読むことは、過去の最もすぐれた人々と会話を交わすようなものである」、フランスの哲学者ルネ・デカルトは読書のすばらしさをこう語りました。本に出会い本を知った子供たちが、やがて本の楽しみを覚えて生活の中に生かし、本とともに生きる生涯を過ごしながら後輩にも伝えていくというような読書を生涯の友とする豊かで充実した人生を送るためには、それぞれのライフステージにふさわしい読書環境づくりが非常に重要であると考えます。

　公明党も幼いころから読書に親しむことができる環境づくりのために、さまざまな取り組みを提唱し推進してきました。例えば学校現場での朝の十分間読書を推進し、全国で現在二万七千校が実践、静岡県においても小中学校のほとんど全校で実施され、遅刻が減った、集中力がつき授業中も静かになったなどの読書による効果が認められております。一方、学校図書館図書標準を達成している学校の割合は県内の小学校で六割、中学校で四割程度しかないこと、また司書教諭の発令はされても専任でないことなど学校の読書環境の充実に向けて今後の課題もあり、関係機関のますますの努力を期待するところです。

　学校以外に目を向けると、ゼロ歳児健診時などで絵本を渡すブックスタートの推進についても、公明党が積極的に取り組んできましたが、県内では二十五市町が実施し類似の方法で八市町が取り組んでおります。さらに家庭、地域での本の読み聞かせ運動を推進し、静岡県においては読み聞かせネットワークが組織され、さまざまな活動を展開しております。このように静岡県においても、読書県しずおかの構築に向けて、静岡県子ども読書活動推進計画に基づいたさまざまな施策が展開されており、「本を読むことが好き」と答えた小学生が八〇％を超すなど一定の成果を上げております。今後はこれらの学童期の読書活動の取り組みだけではなく、就学前の乳幼児期への読書啓発や学校卒業後における読書習慣の継続など、生涯を通じて読書を楽しむ習慣を確立することが重要と考えます。

　そこで、さらなる読書県しずおかづくりのために、県としてどのように読書活動を子供から県民全体に拡大し推進していくのか、その方向性と具体策を伺います。

　次に、学校における防災対策の推進のうち、公立学校の防災体制についてであります。

　我が県においては、学校施設本体の耐震化や天井、照明器具、窓ガラス等の非構造部材の耐震化、津波対策のための避難経路、避難場所の確保が課題になっております。また地域の避難所になる公立学校にあっては、食料、水、防寒具、毛布、携帯トイレ、可搬式発電機などの備蓄、防災無線等の通信手段の確保も早急に、確実に推進する必要があります。さらに東日本大震災が発生した三月十一日、交通が麻痺したため帰宅できずに学校で一夜を過ごした小中高校生が、関東の一都六県で五万三千人を超えたことを検証すると、遠距離通学の児童生徒の安全確保を学校ごとに構築する必要があり、そのための食料や毛布の備蓄など宿泊を想定した対策が求められます。

　県として、このような状況を想定しどのような対策を構築していくのか教育長に伺います。

　さらに、地震が発生する可能性は学校休業日や夜間にも当然ありますが、教職員が全く不在のときの学校の避難所としての運営においては、地元地域が主体者になってその運営に当たらなければならない状況も予測されます。あらゆるケースを想定して、日常的に学校、地域、行政が具体的に連携をとりお互いに顔の見える状況を築いていくことが、いざというときの運営を想定どおりに進めることができる基本となり、その連携がとれない場合には、避難所の機能は停止し混乱の中で時間だけが過ぎていく最悪の状況が発生する可能性があります。年末に仙台市に行き現場の声を聞いてきましたが、ある学校では学校長が三日三晩陣頭指揮をとらざるを得なかった、また学校と町内会が連携して避難所を運営するためには、まず責任者をしっかり決め定期的に訓練を行う必要がある、今回はどこに何があるのかさえわからない状況が発生したとの報告がありました。そうならないためにも、日常的な学校、地域、行政の三者会議の必要性があると考えますが、教育長の所見を伺います。

　次に、教職員の防災力の向上についてであります。

　東日本大震災では、大変に残念なことに東北地方で六百人以上の児童生徒が亡くなりました。宮城県では、この大震災を受け防災教育を推進する教職員を全公立学校に配置することを決定、昨年十月から研修をスタートし二〇一二年度の配置を目指しております。地震や津波など災害時の危機管理をめぐり、防災計画の役割や被災者ケア、避難所運営のポイント等を研修するとのことです。静岡県においても、教職員の防災力を向上させ、児童生徒が発災時に的確な行動をとることができるように、また避難所運営においても率先垂範の行動がとれるような研修を確実に行い、各学校に防災のエキスパートを配置する必要があると考えますが教育長の所見を伺います。

　次に、児童生徒の主体的な防災への取り組みについてであります。

　児童生徒にあっては、受動的に年数回の地域での防災訓練に参加するだけでは、防災に対する意識が深まることはなく、いざというときにみずからの命を守るために役立つ防災教育を早急に進める必要があります。そのためにはみずからが考え行動する児童生徒の主体性のある防災活動、すなわち自助、共助への取り組みをみずからが考えることができるように、県は全力で取り組むべきであると考えます。例えば学校やクラス単位での取り組み、部活、委員会活動、サークル活動、ボランティア活動、地域活動などさまざまな取り組みが考えられます。文部科学省の有識者会議においては、災害時に児童生徒が危険を予測し回避する能力を高める必要性を指摘し、地域に残る震災の教訓や知恵を学ぶことも有用とし、学校教育に防災という科目があってもいいのではないかとの意見も出たと聞いております。

　また、毎年、毎日新聞社、兵庫県、ひょうご震災記念二十一世紀研究機構が主催する小学生、中学生、高校生、大学生の防災教育のコンテストぼうさい甲子園が開催され、昨年度には牧之原市立相良中学校が奨励賞を受賞。毎年一年生が実際の避難所生活を想定した一泊二日の体験学習を行い、昨年は避難所での食事体験も盛り込んだとのことです。

　このような取り組みをすべての学校で取り入れ、児童生徒の主体的な防災への取り組みを強化していく必要があると考えますが、教育長のお考えはいかがでしょうか、所見を伺います。

　最後に、高齢者の交通事故防止対策についてであります。

　本県において、昨年一年間に交通事故で死亡した人は三年連続で減少し、記録をとり始めて以来最少の百六十四人になりました。また全国的にも交通事故による死者は十一年連続の減少となり、高齢者への交通安全対策などが一定の成果を上げた結果と考えます。本県においても高齢者の死者は九人減少しております。昨年の本県の全死者数は前年比一人減少し、高齢者の死亡の減少が全体死者の減少に結びつきました。この結果は警察や県、市町、関係団体、各種ボランティアの御尽力によるものであり、関係者の皆様には深く敬意を表します。

　しかし一方で、交通事故の総件数と負傷者数は二年連続で増加し、高齢者の事故の件数も年々増加し負傷者も増加しております。また四月十四日に新東名高速道路が開通することにより、周辺の一般道路の交通量の増加も予想され、交通事故の増加がますます危惧されます。交通事故による死者に占める高齢者の割合は四七％で、死者の約半数が高齢者で、今年に入ってからは死亡事故が多発し、一月中の死者は昨年より九人多い十六人で、このうち十一人は六十五歳以上の高齢者でした。今後日本社会は高齢化が一層進むことは明らかで、高齢者に係る交通事故の割合は今後さらに増大するおそれがあります。これまでも高齢者被害の交通事故を防止するためにさまざまな対策をされてこられたと思いますが、さらなる取り組みの強化が必要と考えます。

　そこで、高齢者被害の交通事故の特徴と、その特徴を踏まえて今後高齢者被害の交通事故防止対策にどのように取り組んでいくのか警察本部長に伺い、ひとまず私の質問を終わります。ありがとうございました。（拍手）

○議長（植田　徹君）　川勝知事。

　　　　　　　（知事　川勝平太君登壇）

○知事（川勝平太君）　髙田好浩議員にお答えいたします。

　初めに、平成二十四年度当初予算編成についてであります。

　財源不足解消に向けた取り組みでございますが、行財政改革大綱等に基づきまして、徹底した歳出のスリム化と歳入の確保に取り組みました。

　具体的には、まず平成二十三年度の予算の執行におきまして、事業の効率的な執行や節約、特定目的基金の活用等により、財政調整用の基金を増額いたしまして、翌年度に活用できる財源を確保いたしました。平成二十四年度当初予算の編成過程におきまして、歳出のスリム化では、サンセット方式の導入、県単独の補助金の見直し、公用車運用適正化五カ年計画を踏まえた更新経費を削減すること、あるいは旅費等事務経費削減、一般行政部門のスリム化などでございます。また歳入の確保につきましては、市町との協働等による徴収の強化、これは本気で取り組みます。現在個人住民税は全国四十七都道府県の中で最下位でございまして、この徴収率を向上させてまいります。そして県有施設における自動販売機設置場所の公募による貸し付けなど小さくても、しかし一つ一つ丁寧に取り組むこととしております。

　この結果、ふじのくにづくりの早期実現に必要な新規事業等の財源を捻出した上で、財源不足額を十二月公表時の四百四十九億円から三百九十二億円と圧縮いたしまして、最終的には財政調整用の基金を取り崩して対応することにいたしました。

　次に、公明党議員団の皆様方からの御要望への対応についてでございます。御要望は二十五の重点項目がございまして、それを百六十二の個別の項目に絞られました。これらの項目はすべて本県の部局別に整理されたものでございましたので、大変取り組みやすい形になったことをまず申し上げたく存じます。

　そして、その中で主なものを申し上げますと、県民に身近な施策につきまして、まず医療福祉関係におきましては、妊娠出産期から母親を支える体制を構築するため、助産師等の専門職を活用した相談支援体制を充実するほか、不育症につきまして新しく相談窓口を設置いたします。また発達障害のあるお子様等の支援につきましても、四月には東部総合庁舎へ相談室を設置し、現在までのところ週一回でございましたが、これからは毎日にすると。こうした拡充強化に取り組みます。

　教育関係におきましては、新しく中学校のモデル校へキャリアコンサルタントを派遣いたしまして、職場体験活動の支援を通じて児童生徒のキャリア教育を推進するほか、中堅職員の資質向上等を目指して教員研修の充実も図ってまいります。

　雇用関係におきましては、厳しい就職活動を余儀なくされている新卒者に対する就職支援を初め、不足している介護福祉人材の確保対策の強化、障害者雇用アドバイザーの派遣による障害のある方への就労支援など、さまざまなきめ細かい雇用対策を行ってまいります。

　このほか、たくさんいただきました御要望につきましては、五つの重点分野の中に取り込みました。また総合計画を着実に実施するためのふじのくにづくり推進事業を中心に当初予算の中に反映したところでございます。来年度は、これらの施策を前倒しで、すなわち加速して実施いたしまして、富国有徳の理想郷“ふじのくに”を目指します。

　次に、さくや姫プロジェクトの今後の活用についてであります。

　県内の男女共同参画の現状は富士山でいうと五合目であると。すなわちようやく登山口に着いたというところで、まだ発展途上であると認識しております。日本におきましては、近代の産業化、都市化とともに、それまで家族経営で、お父さん、お母さんの背中を見ながら、お父さん、お母さんがともに働いているという現状でありましたものが、明治以降、特に大正期以降、男性は会社でサラリーマンとして働き、女性は良妻賢母型で家で家庭を守り育てるというような役割分担が浸透いたしました。しかしながら現在では人々の意識も変わってまいりまして、女性の雇用者数もふえてきております。平成二十二年の雇用者数は女性が二千三百二十九万人、これは過去最高です。と同時に全体の割合、雇用者総数に占める女性の割合は四三％になっております。これも過去最高でございます。その背景には、平成元年から女性の大学・短大の進学率が大変高まりまして、例えば平成二十二年ですと女子も男子も五七％前後です。女性の大学進学率のほうが平成元年から高いわけですから、平成元年に十八歳であった子は、現在平成二十四年には二十四足しますと四十二歳になっておりまして、したがって中堅どころになりつつある働き手の中で、男女のいわゆる学歴差というものはなくなっています。これから十年、二十年たちますと、すべての労働者、働き手の中で男女において従来の学歴がある人が特に男性が上につくというような傾向は確実になくなっていくと思います。

　その意味で、男女共同参画社会が実現すると確信しておりますが、課題はその実現に向けてのスピードです。少しでも早めていくための手だてを講じなければなりません。さくや姫プロジェクトのウエブサイトは、男女共同参画を加速させるための事業の一つでございまして、これを富士山の日、二月二十三日に総勢二百二十三人の本県の男女共同参画人材データベースとして完成したところでございます。このデータベースは、さまざまな分野で活躍いただいております静岡県ゆかりの女性や男女共同参画に貢献している男性が、それぞれの考え方やキャリア形成の過程を本人が直接に語りかけて、男女が等しく活躍することの大切さを読んだ方に気づかせるものとなっています。このデータベースをもとに、審議会委員や企業・団体等のアドバイザーが選任されるなど徐々に成果が出ております。今後より多くの方々にこのデータベースを活用していただけるよう広報誌やパネル等を作成して、積極的に広報してまいります。

　現在このプロジェクト、さくや姫が百六十名、さくやな人々が六十三名、合計二百二十三名なんですが、やはりコノハナサクヤ姫、富士山にゆかりですから二百二十三名ではまだ少ないと。やはり三千七百七十六名いなければならないというふうに思っておりまして、そうしたことからまだ入り口に立ったばかりだと。登山口に立ったばかりだということで、今後こうしたデータベースを拡充する中で県民との交流の場を設け、だれもが個性を生かして能力を発揮できる理想郷ふじのくにを実現する人材のネットワークを富士山のすそ野のごとく広くしてまいりたいと考えております。

　次に、移住・定住の促進についてであります。

　人口の減少や少子高齢化の進行に伴い、地域社会の活力の低下が懸念されています。地域の活性化のためには、交流人口を拡大し移住・定住を促進することが大変重要です。このため静岡県では、ポスト東京時代にふさわしい多様な交流を拡大・深化させて、「住んでよし」といわれるふじのくにに人々を呼び込んで、地域社会の活性化を図るということを目的にして、昨年度ふじのくに移住・定住促進戦略を策定いたし、その施策を展開しているところでございます。

　具体的には、市町や地域団体などが参加するふじのくに移住・定住パートナーシップ推進会議を立ち上げまして、取り組み機運の醸成や施策の連携強化を図っています。加えて移住希望者からの相談を一元的に受けるふじのくに移住・定住相談センターや、市町の空き家情報を取りまとめた静岡県空き家バンクを設置いたしまして、相談体制の充実を図っています。

　また、先進的な取り組みとして、浜松市や南伊豆町と協力し、都市住民を中山間地域に派遣しまして、農林業への支援などを行いながら、田舎の暮らしぶりを情報発信するふじのくに暮らし推進隊を実施しています。しかし移住・定住促進の取り組みは、まだ緒についたばかりと言わねばなりません。移住・定住者数は、平成二十二年度末で累計わずか百二十人というところでございます。すべての市町において、まだ十分に取り組まれていない状況でございます。

　一方、議員御指摘のとおり、東日本大震災以降ふるさとへの回帰志向というものが高まっています。人とのきずなの重要性が再認識されているということでございます。加えて本年四月本県におきましては、百六十二キロの新東名高速道路が開通し、県内の内陸部に人を呼び込むインフラが整備され、まさに内陸フロンティアの時代を迎えております。こうした機会をとらえまして、その国土軸の周辺は大半が農地でございますから、これをそうした人々が住みやすくなるような環境に変えていくための制度変更をしなくちゃなりません。そのためには特区というものが一番いいということで、東日本大震災の復興のための復興特区、これを活用いたしまして、そこに特区をつくりながら、人々が来やすく訪れやすくかつ住みやすくなるような、そして住みやすいというのは、何といってもお金がかかりますから住まいには。したがいまして定期借地権、あるいは定期借家権などを本格的に活用して、内陸フロンティアの活用に資してまいりたいと存じます。また市町などにも働きかけて、空き家バンクの充実など受け皿のさらなる整備を図らねばなりません。田舎暮らしツアーなどの地域の取り組みに対する支援も行いたいと思います。また特に移住先として、本県の人気が高いのは首都圏です。ですからその首都圏に向けて、ふじのくにの魅力を発信する田舎暮らしフェアや相談会の開催など、積極的にプロモーション活動を展開しようとしております。このような取り組みを通して本県の移住・定住人口の拡大を図り、「住んでよし」の理想郷ふじのくにの実現を目指してまいります。

　次に、ふじのくに美しく品格のある邑づくりの推進についてであります。

　この取り組みは、農山漁村地域の持続的な発展を目指しまして地域みずからが将来像を描き、さまざまな立場の人々が協働して、それぞれの地域が持っている場の潜在力、場の力を最大限に活用した多様な活動を展開する、自立した地域経営の実現を目標としております。

　去る二月二十三日の富士山の日には、この趣旨に県内の三十五の市町すべてが御賛同いただきまして、それらの方々が新東名高速道路の清水パーキングエリアに集いまして、ふじのくに美しく品格のある邑づくり宣言を、松崎町長齋藤文彦氏が高らかに読み上げられ、そして新東名などの交通ネットワークを生かしたふじのくに美しく品格のある邑づくり連合を設立いたしました。

　当日はどしゃ降りでございました。松崎町の方々は、最も美しく富士山が見える地域の宣言を朝六時前になさった後、バスを連ねて来られていましたけれども、どしゃ降りの中、しかしその高らかな気力が富士山に届いたのか、午後には美しい富士山が姿を見せられて、大変縁起のいいまた思い出深い会になりました。これからこの連合は歴史のある棚田とか用水路などを文化遺産として大切にして、次世代に継承していく人々の営みを守り育て、国内外からもあこがれられる邑づくりを進めるためにともに行動してまいりたいと思っております。

　県では、この連合の取り組みを支援するために、環境、景観、文化等幅広い分野の有識者で構成するふじのくに美しく品格のある邑づくり推進委員会を立ち上げました。この委員会では、さまざまな邑づくりの活動に対して助言するとともに、特にすぐれた活動に対しては顕彰を行いまして、切磋琢磨を促していく制度を設けたところでございます。

　さらに、新東名高速道路、また伊豆縦貫自動車道を初めとする高規格幹線道路等の一層の整備をいたしまして、これらを地域連携軸として多自然地域の居住空間をつくり上げる。そして一方、都市におきましては、緑に囲まれたといいますか、緑とともに生活できるような都市環境をつくって、そういう方向に向けての都市の刷新を図るというふうにいたしまして、それぞれの地域が多彩な魅力と豊かな個性を備えて、産業や観光の面からもなるほど来て美しいと、この地域の個性がこういうものかということがわかるような、そうした価値を創出する交流圏域の形成を進め、「訪れてよし　住んでよし」の理想郷の実現に努めてまいります。

　次に、静岡県防災センターの機能強化についてのうち、兵庫県の人と防災未来センターとの連携についてであります。

　兵庫県の人と防災未来センターは阪神・淡路大震災の教訓を未来に生かすことを目指して設立された施設です。したがってそのときの知事さんでいらした貝原さんが理事長を務められています。大規模な展示施設を有するほか、独自に研究員を持ち関西方面の大学や国内外の防災関係機関との幅広い交流ネットワーク機能を持っていまして、今後は三連動地震に関する研究も担っていく予定であると伺っています。

　本県では、今年度から三連動地震を想定した静岡県第四次地震被害想定の策定に取り組んでいます。今後はこれまで静岡県地震防災センターが担ってきた人材育成や県民への普及啓発などにつきましても、三連動地震に対応できるものへとその機能を強化していくことが求められています。

　昨年三月十一日に発生いたしました東日本大震災を踏まえまして、本県がこの三連動地震を想定した取り組みをしていくためには、これまでの東海地震が単独で発生する場合の想定を改めて、三連動地震を前提とした対策に大きく転換しなければなりません。そうした背景のもとに、なるべく早い時期に兵庫県の人と防災未来センターと連携協定を締結いたしまして、人的交流や情報交換などを進めることで、三連動地震に対応した人材育成や県民への普及啓発機能を高めてまいります。もう既に次期理事長になる見込みの方も、県の幹部職員会議にお呼びいたしまして講演もしていただいております。

　さらに、県内の六大学などと設置したしずおか防災コンソーシアムを活用して、三連動地震に関する共同研究などの取り組みについても検討してまいります。長年にわたり、それぞれの特性を生かして地震防災対策に取り組んできた兵庫県人と防災未来センターと本県の地震防災センターとが、新しく三連動地震を切り口として連携を深めることは、両者の機能を強化するだけでなく、その日本における拠点性をより一層高めることになるものと確信しております。

　その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げますが、一点、読書県しずおかに関してでございます。先生は子供から全県民、すなわち生涯にわたって読書をするという習慣を植えつけるべきだと言われました。先生もきっと読書をされることと存じます。

　本県は、統計によりますと人口当たりの本屋の数が一番低い部類のグループです。本をお買いにならないという統計が出ております。まことに残念なことでございまして、読書県しずおかはこれまでのところ失敗していると私は認識しております。

　先般、セノバに立派な本屋ができました。その向こうには戸田書店がございます。浜松も谷島屋さんが立派な本屋をつくられております。子供に本を読めと言っても、お父さんやお母さんが、特に県の職員が、特に教育長や教育次長が家の中に本箱が三つ、四つしかないということでは、それは本を読んでいないということのあかしでしかありませんから、本当にみずから読書県にしたいということであれば、少なくともお小遣いの一端は本に充てる。そして本箱を家に持つという、そういう文化を育ててほしいと思っております。

　こういう私ではありますが、私今公舎に住んでおりますが公舎の本箱は全部一杯です。足らなくなったので八段の本箱を五つ買いそろえて、それももう一杯です。ですからみずから読書をしながらでないと、子供たちに「読書しなさい」、「朝読しなさい」などと言っても、これはこれまでどおり言いっ放しに終わるというふうに憂えておりまして、ぜひ今回の御提言を機に恐らく立派な答弁が教育長からなされるものと期待しております。以上でございます。

○議長（植田　徹君）　大須賀企画広報部長。

　　　　　　　（企画広報部長　大須賀淑郎君登壇）

○企画広報部長（大須賀淑郎君）　自然史資料を活用するための拠点整備について、お答えいたします。

　本県では、平成十五年度以降収集、保管した自然史資料を活用するため、旧清水保健所に自然学習資料センターを設置し、ＮＰＯ法人静岡県自然史博物館ネットワークの御協力をいただき、資料の整理、保管や展示を行うとともに、県内の公共施設や民間施設と連携して資料の紹介や体験学習を行うなど多くの方々にふじのくにの美しさやすばらしさを実感していただいております。しかしながら現在の施設は既存の資料の保管で満杯の状態にあり、資料の適切な整理と利活用のためのスペースなどが十分に確保できず、新たな活動拠点の確保が課題となっております。

　このため、県といたしましては、保管スペース確保への迅速な対応を図ることに加え、大学や他の文化施設との連携、整備コストなどを考慮し、高校再編により平成二十五年度以降利用が可能となる県立静岡南高等学校の校舎の一部を新たな活動拠点として整備する方針を決定したところであります。施設整備に当たりましては、県民の皆様の自然や環境への関心を高め、子供から大人まで生涯にわたり学び続ける環境づくりに役立てるよう、今後の資料収集も見通した十分な収蔵スペースや県民学習を行うための研修室なども備えた施設としてまいります。

　また、資料の利活用を重視した施設とするため、県内大学や関係団体、公共施設等との連携を深め、自然科学を志す人材育成への支援や本県の多様な自然を満喫できる展示や体験学習の実施、県民の知的関心に応じることのできる情報発信などにも取り組んでまいります。

　来年度当初予算におきましては、施設の設計費等を計上したところでありますが、本県の自然をしっかりと学ぶことのできる施設運営についても十分に検討を行い、学びの王国しずおかにふさわしい、新たな自然史資料の拠点施設を開設してまいりたいと考えております。以上であります。

○議長（植田　徹君）　松浦くらし・環境部長。

　　　　　　　　（くらし・環境部長　松浦敏明君登壇）

○くらし・環境部長（松浦敏明君）　悪質商法に対する高齢者保護の取り組みについてお答えいたします。

　巧妙化する悪質商法から高齢者を守るためには、まずは高齢者自身が自分がいつ被害に遭ってもおかしくないという意識を持っていただくことが必要でありますので、今年度は消費者団体等の協力を得まして、高齢者宅への個別訪問や地域における説明会により一万人以上の高齢者へ直接語りかける啓発活動を実施いたしました。

　特に悪質な消費者被害の救済と拡大防止を図るためには、県と県警の連携を一層強化することが不可欠であるとの考えから、昨年末協定を締結し、悪質商法に関する相談情報について相談者の同意を得て相互に提供することとしております。この結果、県警からの情報提供を受け事業者指導に活用しているとともに、県から県警への情報提供によって事業者の預金口座の速やかな凍結につながっております。

　また、県と県警ではこの協定を各市町と警察署との間においても締結するよう働きかけており、昨日になりますけれども、二月二十七日現在十市七町において実施されています。今年度内には県内すべての市町と警察署との間で協定が締結される見込みであり、関係機関一体となって悪質事業者への対応を強化してまいります。

　また、この一月からは、高齢者の御家族や御近所の方に、気づきや声かけを呼びかける消費者被害防止キャンペーン「ほっとけない！プロジェクト」を、テレビやラジオ、新聞等多様なメディアを活用して展開しており、悪質商法から高齢者を守るための取り組みを一層推進してまいります。以上であります。

○議長（植田　徹君）　池谷健康福祉部長。

　　　　　　　（健康福祉部長　池谷享士君登壇）

○健康福祉部長（池谷享士君）　災害時における患者の医療情報の把握について、お答えをいたします。

　お薬手帳の普及についてでありますが、本県の災害医療チームの医師の皆さんからも、発災当初の医療現場において、停電等の状況下では手書きのお薬手帳が最も役に立ったと伺っております。こうしたことから県といたしましては、県医師会、県歯科医師会及び県薬剤師会と、昨年八月にお薬手帳企画・制作協議会を設置し、県内の医療機関で活用できるお薬手帳の検討を進めてきたところであります。今回作成するお薬手帳は、薬局のみならず病院、診療所等においても記載しやすく、診療に活用できる情報を見やすく提供できるものであり、災害時において医療チームや避難場所の変更があった場合でも受診の継続がスムーズになります。また非常持ち出し品や東海地震に関する備えなどの防災関係情報も盛り込むとともに、表紙は防水紙、暗闇でも発光する印刷を施すなど全国初の防災型お薬手帳といたしました。

　お薬手帳を常時携帯することは、災害時はもとより外出時の急な事故に遭ったときにも適切な治療につながることから、今後さまざまな広報メディアを活用し関係団体と連携してお薬手帳の普及啓発に努めてまいります。

　次に、受動喫煙防止対策の推進についてであります。

　平成二十二年度にスタートした神奈川県の受動喫煙防止条例では、飲食店などは禁煙または分煙の措置を講じなければならないとしていますが、約四万軒のうち七割を占める小規模飲食店が努力義務にとどまり、規制の対象外となったことからこれらの施設への啓発が課題と聞いております。

　このような状況の中、本県といたしましては、まずは条例による規制でなく県民がみずから考え行動することが重要であると考え、本年度から新たな取り組みとして、受動喫煙防止活動を行う民間団体への活動費助成や分煙支援アドバイザーの派遣制度を設けるとともに、子供たちがたばこについて考える機会としてこどもサミットを開催をいたしました。

　さらに、県教育委員会と連携し、十一校の小学校からの要請におこたえをし、延べ千六十二名の児童を対象とした受動喫煙防止教育を実施したところであり、未来を担う子供たちによる受動喫煙のない社会の形成に向けてスタートを切ったところであります。

　県といたしましては、本年度から実施しているさまざまな取り組みの効果検証を行いながら、行政と県民が一体となった静岡型の受動喫煙防止対策を着実に進めてまいります。以上であります。

○議長（植田　徹君）　吉林経済産業部長。

　　　　　　　（経済産業部長　吉林章仁君登壇）

○経済産業部長（吉林章仁君）　新卒者に対する就職支援についてお答えいたします。

　新卒者の就職状況は昨年度に引き続き厳しい状況にありますことから、県といたしましては、年度内ぎりぎりまで、働く意欲の高い新卒者を就職に導くための支援に積極的に取り組んでまいります。

　具体的には、二月に富士、静岡、浜松の三カ所で就職面接会を開催いたしまして、企業は百八十三社、新卒者は七百十六人と、昨年を大幅に上回る参加を得たところであります。さらに三月には沼津を加えた四カ所で新卒者等を対象に就職面接会を開催し、就職につなげてまいります。

　また、未内定のまま新年度を迎える新卒者に対しましては、今年度九割以上の内定率を得た研修や企業実習を行い、内定まで支援する就職応援事業を県内六カ所で合計百八十人に拡充して実施をいたします。さらに県庁においてインターン臨時職員として三十人を任用し、働きながら就職活動を行うことができるよう支援してまいります。

　今後も、こうした取り組みに加えまして、ヤングジョブステーションや新卒応援ハローワークにおきましてもマンツーマンの相談支援を続けるなど、本県の将来を担う若者が一人でも多く早期に正社員として就職できますよう、静岡労働局や関係団体と連携し全力で就職支援に取り組んでまいります。以上であります。

○議長（植田　徹君）　小林危機管理監。

　　　　　　　（危機管理監　小林佐登志君登壇）

○危機管理監（小林佐登志君）　自助・共助における発災後七十二時間以内の対応についてお答えをいたします。

　防災の基本は、自助、共助であり、住宅の耐震化や家具の固定などの自助と公の支援が地域に行き届かない地震発生後七十二時間以内の早い段階での自主防災組織などの共助による素早い救出・救援が数多くの命を守ることになります。阪神・淡路大震災では、生き埋めになった方のうち、約八割の方が家族や近隣の方々により救助されております。また東日本大震災におきましても、日ごろから地域を挙げて避難訓練などの防災対策に熱心に取り組んでいた地域の住民が、より多く津波による被災から免れたと伺っております。これらの事実から議員御指摘の隣近所の助け合い、近所を含めた隣近所の助け合い、近助を含めた共助の重要性を改めて強く認識したところであります。

　本県では、これまで自主防災組織を中心とする共助に重点を置いて、防災リーダーの育成や防災資機材の整備、地域防災訓練などに取り組むとともに、地域にある事業所との連携を促進することを呼びかけるなど地域の防災力の向上を図ってまいりました。しかしながら自主防災組織の基本となる地域コミュニティーにつきましては、地域によって差異はございますが、隣同士お互いの事情がわからないままに暮らしている例もあるなど極めて希薄となっている地域も増加しており、いざというときの助け合いにも不安があります。そこで自主防災組織を構成する隣近所の災害発生時などの緊急の場合における助け合いの仕組みづくりについても検討していかなければならないと考えております。

　このため、新年度からは自主防災組織の強化対策に新たな視点を盛り込み、それぞれの地域性を考慮した上で、プライバシーなどに十分配慮した隣近所とのコミュニケーションを向上させる、議員御提案の近助の仕組みづくりを、市町の協力を得まして複数の地域でモデル的に実施してまいりたいと考えております。今後とも近助や共助による地域防災力の向上を図りますとともに、それをきっかけとしまして、いま一つ伸び悩んでいる住宅の耐震化や、家具の固定などの自助の取り組みについてもさらに前進させるよう努めてまいります。

　次に、地震防災センターの機能強化についてのうち、防災用品等の展示についてでございます。

　防災用品や防災資機材につきましては、平成十八年度から地震防災センターに公募防災用品展示コーナーを設置しまして、民間の知恵と技術で開発されたさまざまな防災用品などを半年ごとに公募し、利用者の代表などから成るモニター会員の御意見を参考に選考をしまして、広く県民や自主防災組織等へ紹介をしております。

　議員御指摘のとおり、最近は次々と新しい防災用品が開発されておりますことから、今後につきましては、新しい製品をできるだけ早く県民に紹介することができるよう展示スペースの改善を含めまして、展示方法についても工夫をしてまいります。具体的には、家庭や自主防災組織、避難所の備蓄品など幅広く普及させたい用品のコーナーと新製品のコーナーを区分して展示する方法や、選考方法についても、例えば静岡県防災用品普及促進協議会の協力を得まして、協議会の推薦を受けた製品は簡易な手続で展示を可能とする方法を検討するなど防災用品等の展示の充実を図ってまいります。以上であります。

○議長（植田　徹君）　安倍教育長。

　　　　　　　（教育長　安倍　徹君登壇）

○教育長（安倍　徹君）　読書県しずおかづくりについてお答えいたします。

　県教育委員会では、静岡県子ども読書活動推進計画を策定し、読書県しずおかづくりに向けてさまざまな施策に取り組んでまいりました。

　具体的には、地域の読書活動のリーダーとなる静岡県子ども読書アドバイザーの養成を初め、学校における朝読書、図書館における読み聞かせ活動、市町におけるブックスタート事業などを推進し、その結果子供の読書習慣が浸透してまいりました。

　今後は、議員御指摘の生涯を通じて読書を楽しむ習慣の確立に向け、これまでの学童期中心の施策に加え、乳幼児期並びに大人の読書活動の充実に取り組む必要があると考えております。このため来年度は、乳児向けのブックリストを掲載した「本とともだち」赤ちゃん版を母子手帳の交付時期に配布するなど、乳幼児期からの親子読書の一層の充実に努めてまいります。また大人の読書活動を啓発していくために、広く県民から読書に関するメッセージを募る、仮称でありますけれども、「大切な人に贈るこの一冊」県民メッセージコンテストを新たに開催したいと考えております。

　県教育委員会といたしましては、市町教育委員会との連携による学校の読書環境の充実はもとより、ライフステージに応じた読書活動の推進を図り、県民一人一人が生涯を通じて読書を楽しむ読書県しずおかの確立を目指してまいります。

　次に、学校における防災対策の推進についてのうち、初めに公立学校の防災体制についてであります。

　昨年三月十一日の東日本大震災の発生時には、本県におきましても沿岸部に大津波警報が発表され、安全に帰宅できない生徒が学校に宿泊するという事態が生じました。このことから県教育委員会では、学校の津波対策マニュアルを作成し、各学校に対して毛布等の備蓄を初め非常事態に備えた対策の強化を指導しているところであります。

　さらに来年度は、学校防災アドバイザー事業により、沿岸部にあります学校を重点として専門家による立地条件等を踏まえた指導を取り入れ、避難訓練を初め防災計画の見直し等を行うほか、その結果を取りまとめ各学校に周知し防災対策の強化を図ってまいります。

　また、議員から御提案のありました三者会議につきましては、学校、自主防災組織及び市町の防災担当者によります連絡会議の開催を推進しており、今年度は九七％の公立学校において開催されておりますが、今後は全校実施を目指して引き続き指導してまいります。

　県教育委員会といたしましては、この連絡会議を一層充実し、緊急時に学校と地域とが連携して円滑な避難所運営を行うことができるよう努めてまいります。

　次に、教職員の防災力の向上についてであります。

　県教育委員会では、毎年学校防災にかかわる教員を対象に防災研修会を開催しております。また各学校におきましては、参加した教員の研修成果等を踏まえ、自校の避難訓練等の実施計画を定めた防災教育に関する指導計画を作成しているところであります。

　平成二十一年度からは、この研修会におきまして、危機管理部が自主防災組織向けに開発いたしました避難所運営ゲームＨＵＧを教材とし、学校が避難所となった場合の混乱状況を疑似体験し、その対応を考えるなど必要な事前対策等を研究協議しております。

　なお、今年度は東日本大震災の発生が下校時であったことを受けて、学校周辺に起こり得る被害を把握し、登下校中の生徒の安全を確保するために、研修プログラムとして災害図上訓練ＤＩＧを実施したところであります。

　県教育委員会といたしましては、防災関係機関等とも連携を密にとりながら、来年度は地震・津波に関する専門家からの指導を研修会に取り入れるなど内容を一層充実させ、各学校の実情に応じた防災対策や防災教育を推進できる教職員を育成してまいります。

　次に、児童生徒の主体的な防災への取り組みについてであります。

　県教育委員会では、学校防災推進協力校として小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校を指定しております。協力校におきましては、各学校の教育目標を踏まえた特色ある防災教育が実践されており、防災に対する知識、理解が深まり、地域防災に積極的にかかわりたいという意識を持った生徒が多くなったなどの成果が見られております。

　また、昨年八月には、危機管理部の協力を得て児童生徒を対象とした次世代防災リーダー育成研修会を県地震防災センターにおきまして開催し、発達段階に応じた研修会を行いました。特に高校生には、避難所運営のあり方も考えさせ、将来の地域の防災リーダーとなるための人材育成に努めているところであります。

　来年度は、小中学生が避難所体験を通してみずからの果たす役割を学ぶ活動や、本年度に引き続きまして高校生の被災地ボランティア活動を実施するとともに、先進的な防災教育の実践を県内の学校に広めてまいります。

　県教育委員会といたしましては、子供たち一人一人の防災対応能力を向上させ、いつどこで災害に遭ってもみずからの命をみずから守るとともに、地域の防災活動に積極的に貢献できる人づくりを推進してまいります。以上であります。

○議長（植田　徹君）　繁田警察本部長。

　　　　　　　（警察本部長　繁田　誠君登壇）

○警察本部長（繁田　誠君）　高齢者の交通事故防止対策についてお答えいたします。

　初めに、高齢者被害の交通事故の特徴でありますが、高齢の歩行者が被害に遭う事故は夕暮れどきから夜間にかけて多く発生しております。また歩行中の死者は道路横断中の事故が七割、かつその七割は横断歩道以外の横断中に事故に遭ってございます。

　また、ドライバーから見ますと右から左へ横断中、歩行者から見ますと右しか見ずに横断をしていると、その途中でひかれているということが、非常に比率が多いということであります。それから三つ目のポイントは、目立たない服装をしておるということでありまして、また反射材も身につけていないといったところが挙げられます。

　次に、この高齢者被害の交通事故防止対策でありますが、今後ますます高齢化が進展することから、高齢者の事故防止対策を最重要課題に位置づけ、これまで交通安全教育機器を活用しました参加・体験・実践型の交通安全教育を行います。

　また、運転免許を保有していないなど、交通安全教育を受ける機会の少ない高齢者を対象とした家庭訪問によるきめ細やかな個別指導推進などを進めてまいりましたが、今回さらに、高齢歩行者が被害に遭う時間帯であります夕暮れどきから夜間における、今申しました横断時等に多い交通事故を防止する対策として、通常の反射材以上に揺れるだけで光る自発光式の反射材の普及促進を図っているところであります。ねらいは地味な服装が多い高齢者につき、自動車のライトの明かりが当たる前からみずからぴかぴか光り視認性を高めるということで、ドライバーに対しその存在をいち早く伝えることにより安全性を確保しようとするものであります。

　現在、高齢者の多い静岡市宮ヶ崎地区を皮切りに急速に普及活動を進めております。近く地元の商店街や大手スーパー等も強力な支援を打ち出す見込みであります。

　今後も、官民協働の取り組みを重視し、高齢者に対する事故実態に即した継続的な交通事故防止対策を推進してまいります。以上であります。

○議長（植田　徹君）　二十五番　髙田君。

　　　　　　　（二十五番　髙田好浩君登壇）

○二十五番（髙田好浩君）　御丁寧な御答弁ありがとうございました。四点ほど再質問させていただきます。

　お薬手帳でありますけれども、これは今お聞きしますところ、モデル地区九市五町で展開をするということで十万部つくったというお話でございますが、静岡県の人口は十万人じゃございませんのでここをどうしていくのか。早急にこれは拡大をしていく必要があると思いますけれども、ここについて部長のほうでどのように今計画を立てられているのか。これをちょっとお聞きしたいと思います。

　それから、受動喫煙防止でありますが、あと二年間今の事業を続けていくということで、それではもどかしいという声も聞こえてまいります。知事みずからが受動喫煙防止対策をしっかり推進するという話でございましたので、やはりきちっとした形で行うためにも、条例というものをひとつ視野に入れてしっかり検討していただきたい、このように思いますけれども、知事の決意を伺いたいと思っております。

　それから、学校における防災対策でございますけれども、リーダーをつくるということが非常に大事で、教職員の中でのリーダーですね、これもぜひ、当然でありますが男女の差別なくどちらからもリーダーが誕生できるような、そういう形をぜひとっていただきたい。そういう人選をまずしていただきたい。このように思いますけれども、教育長のお考えをお聞きしたいと思います。

　それから最後に、子供たちの積極的な取り組みの中で、協力校というお話もございましたけれども、やはりそれも大事ですがより広く多くの学校で取り組めるように、そしてそれがまた発表し合う場を設けることが大事だと思います。静岡県版の防災甲子園のような、そういうところをつくって、子供たちがしっかり発表をしお互いにそこで切磋琢磨していく。それをまた見聞きして、大人が今まで気づいてこなかったことに気づいていくということも私は大事なことだと思いますけれども、そのような防災甲子園的なもの、そういうものの発足とか、そういうものについて教育長、お考えをいただきたいと思います。以上でございます。よろしくお願いいたします。

○議長（植田　徹君）　池谷健康福祉部長。

　　　　　　　（健康福祉部長　池谷享士君登壇）

○健康福祉部長（池谷享士君）　初めに、お薬手帳の増刷についてお答えをいたします。

　お薬手帳をつくりまして、どこで配布をしていただきますかといいますと、主に医療機関と調剤薬局になりまして、分けていただくことも相談をしながらやっていかなければなりませんので、今後モデル地区でやらせていただいて、医師会とか薬剤師会の皆さんと相談をしながら、将来的には県民全部の手に渡るようにしていきたいというように考えております。

　それと、受動喫煙防止対策の推進についてでございますけれども、現在国において労働衛生法の改正法案が出ていることと、もう一つ神奈川県の条例の成果をもう少し検証をしたいこと。それと我々が今年から取り組みました静岡県方式について、先ほど議員からもお話がありましたように、いろいろな形で活動されている団体もふえておりますし、正直に言いまして教育委員会、小学校十一校の方からの要請は非常にありがたいと思っています。今後こういう取り組みを少し我々として頑張らせていただいて、そうした上で条例の制定について検討させていただきたいというように思っております。以上であります。

○議長（植田　徹君）　安倍教育長。

　　　　　　　（教育長　安倍　徹君登壇）

○教育長（安倍　徹君）　二つ再質問があったかなというふうに思います。

　一点目の防災担当の者につきましては、男女区別なくというか、人選をしたらどうかということですけれども、これは私たちも今回東日本大震災の中で、例えば避難所運営等で学校がその任に当たったときに、やはり男性特有、女性特有のいろいろな課題が多く生じたということは認識しておりますので、来年度以降の防災担当者の選出に当たりましても、その辺の視点を踏まえて各学校のほうには指導してまいりたいなというふうに思っております。

　それから、二点目の防災甲子園ですけれども、実は本年度から、これは高校生対象ですけれども、科学甲子園というのが始まりまして、これについては県大会を行いまして、全国大会、これも兵庫の甲子園球場の近くで科学甲子園が行われるわけですけれども、今回は榛原高校が県の代表になりましたけれども、これと同じように全国の防災甲子園のために県の予選をやるということも一つ考えられますし、あるいは全国につながらない大会であっても、静岡県ですから防災草薙とか防災エコパという名前になるのかどうかわかりませんけれども、そういうような形で、防災についてはやはり本県の場合には最重要課題でありますので、小中高のそういう実践につきましては、発表し合う場、情報共有し合う場というのは、これから設けていきたいなというふうに思っております。以上であります。

○議長（植田　徹君）　これで髙田好浩君の質問は終わりました。

　議事の都合により休憩します。

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	質問者：	髙田　好浩議員
	質問分類	代表質問
	質問日：	02/28/2012
	会派名：	公明党静岡県議団
	質疑・質問事項：	1　平成二十四年度当初予算編成について 2　自然史資料を活用するための拠点整備について 3　さくや姫プロジェクトの今後の活用について 4　悪質商法に対する高齢者保護の取り組みについて 5　移住・定住の促進について 6　災害時における患者の医療情報の把握について　　お薬手帳の普及 7　受動喫煙防止対策の推進について 8　新卒者に対する就職支援について 9　ふじのくに美しく品格のある邑づくりの推進について 10　自助・共助における発災後七十二時間以内の対応について 11　地震防災センターの機能強化について　(1)　人と防災未来センターとの連携　(2)　防災用品等の展示 12　読書県しずおかづくりについて 13　学校における防災対策の推進について　(1)　公立学校の防災体制　(2)　教職員の防災力の向上　(3)　児童生徒の主体的な防災への取り組み 14　高齢者の交通事故防止対策について