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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

多家 一彦 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/02/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1) モンゴルからの石炭輸入
 (2) 富士地域への石炭火力発電所建設計画
2 長泉沼津インターチェンジ周辺地域の内陸フロンティアの取り組みについて
3 沼津駅付近鉄道高架事業について
 (1) 高架事業の推進
 (2) 石炭火力発電所建設計画と沼津貨物駅移転計画との関連
4 沼川新放水路の整備計画について
5 大規模建築物の耐震化の促進について
6 特別支援学校の今後の整備方針について


○副議長(渥美泰一君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、五十八番 多家一彦君。
       (五十八番 多家一彦君登壇 拍手)
○五十八番(多家一彦君) 私は自民改革会議所属議員として知事の政治姿勢並びに県政の諸課題について、通告に基づく質問をいたします。
 去る六月十六日の選挙を経て、川勝知事は二期目のスタートを切りました。選挙における圧倒的とも言える得票は一期四年間の知事への評価でもありますが、それ以上に知事から直接語られる県の未来に対する夢や思いに県民の期待のあらわれであると思うのであります。知事がかねて言われた、「一期四年でできなければ何もできない」という言葉とともに知事から語られる構想、施策は、多くの県民が希望を感じております。その実現を信じている県民の期待の重さは私が申すまでもなく、知事自身が最も強く感じられていることだと思います。
 六月二十六日に富士山が世界文化遺産に登録され、さらには二〇二〇年の東京オリンピック開催が決定されるという本県にとっても大きな追い風が吹く中で知事には着実に県政の懸案に取り組み、県民の期待を裏切ることなく、その負託に応えていただきたいと強く思うものであります。こうした観点から改めて知事の政治姿勢と県政の諸課題に対する取り組みについて、お尋ねしてまいります。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうちモンゴルからの石炭輸入について伺います。
 知事は八月、モンゴルを訪問され、県がモンゴル産の石炭の輸入の仲介受け入れをする用意がある旨表明されました。知事はこの構想の実現に大変強い意欲を示されております。しかしながら実現には多くの課題が山積しているのも事実であります。
 そもそもこれまでに県の仲介で五つのモンゴル産の石炭サンプルが中電に提供され、愛知県碧南の火力発電所において使用できるかどうか検査が行われましたが、品質などの問題で不適当との結果が出ております。今回の訪問を機に再度サンプルが送られるとのことでありますが、その品質結果に合格が出るのかどうか、見通しは大変暗いと言わざるを得ません。さらに輸送路の問題もあります。内陸にあるモンゴルから日本へ輸出する港までどのようなルートで運ぶのか、中国との関係もありルートの決定、調整にはまだまだ時間がかかるものと思われます。
 今回のモンゴル訪問に同行した中部電力静岡支店長のコメントによれば、火力発電所で使用する石炭は、品質だけではなく総合的にコスト判断して決めるとのことであります。石炭火力の発電コストは、石油に比べて安価とはいえモンゴルからの輸入ともなればどれくらいのコストがかかるのでしょうか。石炭の品質だけでなく採算面も含めて早急に事業を検証することが必要であります。これだけの課題を抱える中でこのまま事業を進めていくことについて、大変心配をしております。
 そこで、モンゴルからの石炭輸入の取り組みの必要性、今後の進め方について知事の考え方を伺います。
 次に、富士地域への石炭火力発電所建設計画について伺います。
 東日本大震災以降、原子力発電から火力発電へのシフトが進み全国的に火力発電所の稼働、建設が進んでおります。本県でも先ごろ、中部電力などによる富士市の日本製紙富士工場鈴川事業所への石炭火力発電所建設計画が公表されました。石炭火力発電所ともなれば二酸化炭素が排出されるとともに、石炭から出る粉じん、有害物質の飛散など周辺住民に与える環境問題が懸念されるところであります。
 また、今回の計画を聞いて思い浮かぶのは、かつての中部電力による清水への石炭火力発電所建設計画であります。当時の斉藤滋与史知事が、景観は文化であり金では買えない、家の玄関口にかまどをつくる人などいないと計画に反対し実現には至りませんでした。今回の建設予定地は、このたび世界遺産に登録された富士山を目の前に仰ぎ歌にも詠まれた景勝地、田子の浦であります。富士山の玄関口に石炭火力発電所はふさわしいのでしょうか。
 知事は、今回の石炭火力発電所の建設計画について心から歓迎しているとコメントされていますが、環境、景観上、課題の残るこの建設計画に対して、改めて知事の考え方を伺います。
 次に、長泉沼津インターチェンジ周辺地域の内陸フロンティアの取り組みについて伺います。
 昨年四月に開通した新東名高速道路の長泉沼津インターチェンジを中心とする地域は、東駿河湾環状道路も一部開通し東名高速道路と合わせて本県の東の玄関口となる交通結節点として、まさに内陸フロンティア構想の先導的モデルの創出にふさわしい地域であると考えます。
 今さら紹介するまでもなく、このエリアは静岡がんセンターや整備が予定されている旧長泉高校跡地を活用した新たな拠点施設を含むファルマバレープロジェクトの拠点エリアでもあります。交通網の優位性を生かし、県内外の大学、研究機関や企業との連携交流の加速化や伊豆地域の産業活性化にも大いに期待ができる環境が整ってきております。
 しかしながら、この地域は長泉町と沼津市の境に位置し、これまで両市町とも問題意識は持ちつつもエリア全体の利活用構想が描けていない状況であります。さきの移動知事室において、この地域を視察された川勝知事も長泉町や沼津市など周辺市町が連携した対応が必要と指摘されたと聞いております。
 二〇二〇年の東京オリンピック開催が決まり、ヒト、モノの流れが大きく変化することは確実となってきました。首都圏では圏央道などの整備も着々と進んでおります。これは私の予想でありますけれども平成三十二年度を目途とされている新東名高速道路の東京―神奈川側の区間の整備にも、大きく弾みがつくのではないでしょうか。
 内陸フロンティア構想については、県は本年二月に指定された総合特区への推進を初め市町の取り組み支援を図ることにより県内全域で地域づくりを進めるとしていますが、この地域のように複数の市町がかかわる地域づくりでは、県のリーダーシップも不可欠と考えます。地域のグランドデザインの策定が急務となっているこの地域の取り組みをどのように進めていくのか、県の考えを伺います。
 次に、沼津駅付近鉄道高架事業についてのうち、高架事業の推進について伺います。
 沼津駅北口において、県と沼津市が共同で建設を進めている総合コンベンション施設ふじのくに千本松フォーラム、愛称「プラサ ヴェルデ」のうち、市の展示イベント施設「キラメッセぬまづ」が、ことし六月末に先行オープンしました。オープニングイベントに七月に開催された鉄道博とサーカス公演の二つのイベントを加えると来場者数は約一カ月間で八万七千人にも上り、これらのイベント期間中、駅北側の駐車場などは混雑しましたが、南側までの波及効果はありませんでした。これは鉄道で南北市街地が分断され南北間の移動が不便である沼津駅付近の課題が顕著にあらわれたものだと思います。
 鉄道高架は進めるが、収用はしない。これは川勝知事が三年半前に示した方針です。時期を同じくして知事は、沼津に貨物駅は要らないという貨物駅不要論を打ち出し、JR貨物に対し執拗に沼津からの撤退を迫りましたが、結局は合意に至ることはできませんでした。また生産停止を発表した富士市の吉原駅北側にある日本製紙富士工場鈴川事業所のところに貨物駅を移転するという代替案を示されたこともありましたが、工場側は紙の製造は停止したが製品の加工は継続し、倉庫としても活用していくと撤退する考えのないことを示しました。また先ほど申し上げましたが、この製紙工場に石炭火力発電所が建設されるという新たな計画も公表されました。
 このように、知事の示した代替案は行き詰まった状態になっております。本気で鉄道高架を進めるのであれば、三年半前に示した方針を勇気を持って変えるしかないように思います。「一期四年でできなければ何もできない」。これは冒頭でも触れましたが、四年前川勝知事が初めて知事選に立候補を表明したときの言葉であります。一期目四年間を振り返って踏み込めなかったあるいはできなかったことは、沼津の高架の問題であり非常に悔しい。これもまたことし四月に知事選への立候補表明後、テレビに出演したときの知事の言葉であります。
 地元からは、このままでは沼津の街はどんどん衰退するばかり。早く決めてくれという声や区画整理区域内に住む方からは、行政が説明した鉄道高架事業の完成予定時期を信じ、生活設計をしてきたが、鉄道高架事業の停滞により区画整理事業も滞り家屋の移転時期も不明となってしまった。今となっては老朽化した家を建てかえすることもできず、地震でいつ家が壊れてしまうか怖い思いをしている。一日も早く鉄道高架事業を進めてほしいといった悲痛な声が多く聞かれます。
 知事は、今回の選挙で知事選史上最多の得票数を得て再選されました。一期目にできなかったことをさらに先延ばしにするといった県民の期待に反することはできないと思います。現在県では、考え得る案を予断なく検討し、互恵的解決を目指す取り組みとして沼津高架PI――パブリックインボルブメントプロジェクトを進めております。この取り組みにおける勉強会では、鉄道高架事業に賛成あるいは反対などさまざまな考えを持つ人たちが一堂に会し、将来の沼津のあるべき姿などについて前向きな議論ができるようになっております。このような状況は以前は考えられないことであり、これまでの関係者の努力は評価をしてよいものと考えております。PIの進め方などを定めた実施計画を見てみますとこの取り組みにおける検討結果を判断材料にして事業の方向づけを行うのは、意思決定者だと書かれています。このPIの取り組みも鉄道高架事業もともに県の取り組みであり事業でありますので、この意思決定者というのは当然知事ということになります。つまりPIは、さまざまな立場の人から広く意見を聞くなどして知事が判断するための材料をそろえる取り組みなのです。しかし先月沼津市長らと静岡市内で会談した後に知事は、PIの結果を県の担当者が関係機関に働きかけ、その上で自分も協議に入ると述べたという新聞報道がありましたが、知事の意思がないような印象を受けました。
 そこで、知事にお尋ねします。間もなくPIは終了すると聞いています。終了した暁には、その結果を踏まえ県民の期待に応えて知事御自身が判断し、明確な方向性を示した上で本気で事業を進めるおつもりはあるのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
 次に、石炭火力発電所建設計画と沼津貨物駅移転計画との関連について伺います。
 さきにも述べましたが、平成二十三年に日本製紙富士工場鈴川事業所の生産縮小が発表された後、知事は沼津駅鉄道高架事業に伴う貨物駅移転候補地として、沼津市原地区以外にこの地について言及をしております。現在貨物駅の移転先については、PIにより住民の合意形成が図られているところでありますが、今回の日本製紙富士工場鈴川事業所への石炭火力発電所建設計画により、今後の貨物駅移転の論議にも影響があるのでしょうか。
 今回の石炭火力発電所建設計画と沼津貨物駅移転計画との関連について伺います。
 次に、沼川新放水路の整備計画について伺います。
 沼津市西部を流れる一級河川沼川に流れ込む高橋川の流域にある沼津市青野地区は、毎年のように床上・床下浸水の被害が発生し、地域住民は常に不安を抱えながら暮らしており沼川流域の抜本的な治水対策として、新放水路の建設を待ち望んでおります。
 平成二十四年五月に一級河川富士川水系富士山麓沼川ブロック河川整備計画が策定、公表され、沼川新放水路の建設が現実のものとなり地元では大きな期待を持っておりますが、今後二十年間で整備するとの説明を受け、かなりの時間がかかることに対して少しでも早く効果を見せてほしいとの声も聞こえてきています。
 沼川新放水路の建設は、大規模な工事で莫大な事業費と長い期間が必要であることは理解しております。しかし放水路を完成するまで効果が発揮されないことから、できる限り建設を急いでいただくことは当然でありますが、既に用地を取得した箇所に設置されている暫定調整池のように部分的にも効果が発揮される施設を建設することが、地元へ安心感を与えるものと考えております。
 県では、新放水路建設計画が具体的になる以前の平成二十年度に沼川(高橋川)流域豪雨災害対策アクションプランを策定し、流域と一体となった総合的な治水対策による床上浸水被害の減少に取り組んでおり、高橋川の拡幅や内水排除ポンプの整備により浸水被害の頻度が減るなどの効果は目に見えてあらわれてきており、地元も一定の評価をしていると思います。
 しかし一方で既存の沼川第二放水路は、たびたび海岸の暗渠部で閉塞を起こし、この影響により沼川流域の排水不良が生じて一部地域で豪雨時に道路冠水を起こしており、今後も新放水路が完成するまでの間は閉塞を解消するしゅんせつなどを継続的に実施していただくことも必要であります。
 県は、事業効果の高い沼川本川から海岸までを先行して事業を実施していくとのことでありますが、新放水路完成までの予定と完成するまでの浸水防止の取り組みについて、どのように考えているのか、県の所見を伺います。
 次に、大規模建築物の耐震化の促進について伺います。
 このたび建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正され、旧耐震基準の建築物のうち病院、百貨店、ホテル・旅館など多くの方が利用する大規模な建築物については耐震診断を実施し、その結果を平成二十七年末までに所管行政庁に報告することが義務づけられるとともに、その耐震診断の結果が公表されることになりました。この法改正により耐震診断が義務化される建築物のうち、約半数がホテル・旅館などの宿泊施設であると聞いておりますが、数多くのホテル・旅館を有する観光県の本県にとりまして、今回の法改正は大変影響の大きい内容であると考えます。
 私は改正法の公布後、県内のホテル・旅館の関係団体と改正法に関して懇談する機会を何度となく持ってまいりました。そこで話される意見や思いは建築物の耐震化の促進を図るという法律の趣旨は理解できるが、ここ十数年来大変厳しい経営環境にあるホテル・旅館業界としては、わずか数年の期間で耐震診断や耐震補強を実施することは困難なことであり、今後将来が心配で非常に不安を感じているとのことでありました。
 法律の求めに応じて耐震診断を実施し耐震結果が悪い場合には、結果的には耐震補強まで行わなければなりません。その場合耐震診断では数百万円、耐震補強に至っては数千万円から数億円という多額の費用が必要となり、ホテル・旅館業の現在の厳しい経営環境を考え合わせますと至極当然の意見であると思います。
 先般、長年の悲願でありました富士山の世界遺産登録が実現し本県の観光業界といたしましては、久々の明るい話題に沸き上がりました。さらにはそれらの効果による観光客の増加が期待され、胸を膨らませているところであります。富士山世界遺産の効果を最大限に活用して本県観光産業の復活、発展のためにも、これら観光客の受け皿となるホテル・旅館の耐震化については避けて通ることができない喫緊の最重点課題として対応していかなければならないものと考えております。
 県に対しましては、県市長会や県ホテル旅館生活衛生同業組合から事業者の負担を最大限軽減するための制度の確立や耐震診断結果の公表に当たっての事業者への実情の配慮についての要望書が提出されております。
 私といたしましてもホテル・旅館の耐震化を確実に実施していくためには、国、県、市町が最大限の支援を行っていくべきだと考えますが、今後県はどのように対応していくのか伺います。
 最後に、特別支援学校の今後の整備方針について伺います。
 特別支援学校で学習する児童生徒の数は、全体の子供たちが減少する中、昭和五十四年の養護学校義務化以来増加の一途をたどっております。知的障害のある高等部の生徒の受け入れ拡大をした平成十年度に小中学部で一千八百八十三人、高等部で八百十四人だった児童生徒の数ですが、本年度には小中学部で二千七百三十人と一・四倍に高等部に至っては千九百八人と二・三倍にも増加している現状であります。
 この状況を受けて特別支援学校の整備も進められ、当初盲学校三校、聾学校三校に養護学校が知的障害三校、肢体不自由三校、病弱一校、分校二校の十五校でスタートしたものが特別支援学校本校八校、分校十二校が整備され、さらに本校二校が現在整備中で合計すると三十七校にもふえております。
 これだけの整備を行ってもなお特別支援学校の施設的には狭隘化、大規模化が進んでおり、普通教室に児童が納まり切れず特別教室を普通教室に転換して使用しているなどの状況は、大規模化することにより一校当たりの教師の数が増加し、職員室がとても狭くなっている状況もあると聞いています。また特別支援学校に通学するにも一時間以上の時間をかけて小学校一年生が通学している状況があるなどの通学の困難さもいまだ解消されていない状況もあるとのことであります。
 こうした状況を見ると私は特別支援学校の整備は、際限のないもののように感じてしまいます。一体どこまで整備をすれば完了と言えるのか。ゴールを見通した大きな視点を持って整備をされているのでしょうか。確かにおのおのの学校の整備は、その地区の障害のあるお子さんや保護者の皆さんにとって念願であり私も否定するものでは全くありませんが、全体の整備を考えたときに県としてどのような考えで進めてきたのか。また今後の見通しについて所見をお伺いします。
 また、増加の著しい高等部の生徒のために県は高等学校内に分校を整備する手法で対応してきていますが、近年の整備ではこうした分校は障害が軽度の生徒を対象とした学校としています。高等部の面的整備の不足部分について今後どのような対応をしていく考えか、あわせて伺います。以上について答弁を求めます。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) ここで、あらかじめ会議時間を延長します。
 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 多家議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、モンゴルからの石炭輸入についてであります。
 モンゴル国は、豊かな地下資源を有しておりまして、それをもとにして無限の可能性を今目指されている国でございます。そしてその豊かな地下資源に対して、隣国のみならず海を隔てた大国もまた熱い関心を示しているものでございます。日本政府も総理じきじきに御訪問になり、戦略的互恵・互助の関係を確かめられました。またこのたびモンゴルの首相もお越しになり、それを確認されたということでございます。
 そうした中、本県はドルノゴビ県と友好協定を結んでおりまして、その互恵・互助の関係を国に先駆けて築き上げるということは、本県は言うまでもありませんけれども日本の発展またモンゴルの発展にも大きく寄与するということで、地域外交の意義を示すものであるというふうに考えます。
 モンゴルの石炭の輸入の仲介、受け入れの構想の実現に私が大変強い意欲を示しているという御指摘ですけれども、意欲ではありませんで実際に動いているということでございます。石炭の日本への輸出につきましては、もう既に三年前になりますけれどもモンゴル政府の日本の国交大臣に当たるバトトルガ大臣から直接私のほうにその希望を託されました。私はそれを受け入れましてそして中部電力のほうに働きかけ、そうしたらばサンプルを必要とするということになりまして、そしてまた二年前――友好協定を結んだその年にやっぱりバトトルガ大臣から直接にサンプルを五つ送るのでそれを品質検査してほしいということであったわけです。
 そして、品質検査五点のうち唯一確実に使えるというシャリンゴルの石炭であったわけですが、これがどうもなかなかに購入ができる手続がとれないということであったわけですが、その理由がこのたび訪問してわかったわけです。このシャリンゴルの石炭というのは、大変品質の高いものでウランバートルの電力の火力発電の原料になってきたもので、実はほとんど掘り尽くされたということで民間会社に売り渡されていたということでございます。民間会社のほうは、新たに鉱脈が見つかるならばそれを利用してさらに発展を遂げるということだったわけですけれども、それが見つからないまま品質だけ検査をしてシャリンゴル社との交渉に臨まれていたのが、これまでの中部電力であったということでございます。
 そこで、このたびドルノゴビの近くの石炭を、これまでも、実はモンゴルは非常に大きい国です。ですから各地から送られてきていたわけですけれども、ドルノゴビ県の近くにある、すなわちゴビ砂漠の近くにある、そこのところのサンプルをもう一回送るということで、この間バトトルガ――現在は日本における経産大臣、正確には工業・農牧業大臣から約束をいただきまして、ドルノゴビ県のガンホヤグ知事からもお約束いただき、今その石炭の搬入を中部電力は待っているということでございます。中部電力のほうもその石炭の品質検査をするということです。碧南に行かれますとおわかりでしょうけれども、一つの石炭ではなくていろいろな石炭を混焼することによって火力発電に使えるということなのでまずは品質と。そしてどこの地域のものを持ってくるのがよいかということを確かめることを抜きにしては、地下資源の活用というのはできないわけですね。それを既に過去三年間やってきて、今それの受け入れを待っているということでございます。
 そして、当然この石炭の輸入に対して日本は何を払うかということでございますけれども、中部電力のほうは技術を提供するということでございました。中部電力のほうは、そのために技術を提供して向こうで仮にそうですね、十万キロワットぐらいの火力発電所をつくるにつきましても、それを動かす力が要りますので中部電力のほうは御親切にも数人の技術研究者をモンゴル国から受け入れると御表明をいただきました。そしてそれを受けまして、現在バトトルガ大臣とそしてフレルバートル大使等を通じ本県と、それぞれ大使や大臣ですから、偉い方ですから間を取り持ってくださる方。これは皆様方と親しい向こうの政界、経済界に大変大きな影響を持っておられるハスバートルさんが、その仲介をしてくださるということになりまして、これから向こうから技術者が選ばれてこちらに来て、そしてしかるべく研修を経て、そして向こうに発電所をつくる、そして石炭をいただくと。こういう段取りが現在の状況ということでございます。
 これは必要性ということでございますけれども、もちろん中部電力の側にとってはビジネスの観点からしなくちゃいけないと。現在ほとんどがオーストラリア炭ですから一方的にオーストラリア炭を買わざるを得ない状況ですけれども、もしいい品質であれば競争関係に立たせることができるのでそういう優位性があるわけですね。言うまでもなくモンゴルのほうは、石炭を輸出するだけでなくて中部電力からの技術を入れてそれを今度は、石炭のほうではなくて電気にして海外、特に中国に売ることができるということで、発展につながるということで、そういう意味での大きな必要性というのは、はっきりしております。
 ただ、すぐに本県にとってどういう必要があるかということではなくてこれは友好的互恵・互助で人のために役に立つことであれば、本県としてその仲介をしようと。こういうことでございます。
 また、このモンゴル政府、中部電力と十分連携をとり合い、これからの支援の受け入れまた技術の提供などにつきまして、逐次御報告申し上げて地域外交の中味について、特にモンゴルとの関係を充実させる方向で取り組んでまいりたいということでございます。
 次に、大規模建築物の耐震化の促進についてであります。
 ことしの十一月下旬に見込まれる建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正法の施行に向けまして、県ではこれまで関係市町やホテル・旅館関係団体等に対し、改正法にかかわる説明会や意見交換会を実施いたしまして、御意見、御要望を承ってまいりました。厳しい経営環境の中で改正法の求める耐震診断や耐震補強を円滑に進め安全・安心な観光地をつくり上げるためには、対象建築物所有者の経費負担の軽減を図ることがとても大切です。
 このため、県といたしましては法改正に合わせて大幅に拡充された国の補助制度、これを有効に活用して県の補助制度を拡充いたしまして、耐震診断に必要な経費を九月補正予算に盛り込み、本議会にお諮りしております。この制度拡充に当たりましては、市町の協力が不可欠でありますので市町に対しましては補助制度の創設、拡充を積極的に働きかけ、耐震診断及び計画策定につきましては対象建築物所有者の負担をゼロに、また耐震補強についても最大三分の二の補助率としてまいります。
 今後は、市町とともに対象建築物の所有者を戸別訪問いたし多数の建物利用者の命を守るという法改正の趣旨を御理解いただいて、今回拡充する補助制度等についてきめ細かな御説明を行うことで耐震診断のみならず、耐震補強に早急に取り組んでいただけるように努めるものでございます。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。以上です。
○副議長(渥美泰一君) 森山副知事。
       (副知事 森山誠二君登壇)
○副知事(森山誠二君) 沼津駅付近鉄道高架事業についてのうち、まず高架事業の推進につきましてお答えいたします。
 私は、平成二十二年の四月に静岡に参りまして二十二年度、二十三年度、交通基盤部長といたしまして、この事業に関与しておりますし、また昨年四月から副知事になっておりますが一貫してこの事業について担当している者でございます。
 当時平成二十二年四月以降でございますが、この沼津駅付近の鉄道高架事業につきましては事業化をして時間も経過をしているということもございましたので、そもそもその事業の必要性につきましてこれは検討しようということで平成二十二年九月に沼津駅付近鉄道高架事業に関する有識者会議を設置しました。二十三年六月には報告書を取りまとめいただいております。その中で鉄道高架事業は、これは有効――効果的であるということ。一方では貨物駅の移転先につきまして、関係者間の徹底した合意形成が必要であるだろうと。そういった指摘をいただいているところでございます。
 この報告を受けまして、県では同月に推進方針を決定しまして、本事業を県東部の地域の発展を支える核となる事業であるというふうに位置づけるとともに、市民参加型の計画策定手法でありますパブリックインボルブメント方式、いわゆるPIを導入しまして徹底した合意形成を図っていこうと。こういうこととして方針を決めたわけでございます。
 沼津高架PIの実施に当たりましては、公平公正を期すためにPI委員の選考委員会におきまして委員の選定を行いまして、その上でPI委員会を設置してございます。沼津高架PIは幅広く意見を聞くとともに、議論を深化させることによりましてこれまで単に事業に対する賛成、反対の立場でしか議論されていなかった課題を掘り下げまして、互恵的な解決を目指す。こういった取り組みでございます。議論の過程におきましては、さまざまな選択肢の議論を否定しない。こういった方針で進めているところでございます。
 これまで、オープンハウスや車座談義の開催、広報紙の発行などこれまでの取り組みにより既に多くの方から意見が寄せられております。深い議論を担う勉強会におきましては、現在市民から提案されました幾つかの案につきまして、さまざまな視点からの比較評価を進めております。このような状況からこのPIの取り組みにつきましては、あと一カ月程度で終了できる見込みとなっております。
 沼津市の置かれている現状や抱えている課題につきましては十分承知しております。これまで有識者会議から始まりまして丁寧かつ精力的に全力を挙げまして取り組んでまいりました。この一連の取り組みの終了後には、これまでの検討の結果を踏まえ地元沼津市とも協議を行い早急に事業の方向づけを行ってまいります。
 次に、石炭火力発電所建設計画と沼津貨物駅移転計画との関連についてであります。
 平成二十三年に生産縮小を発表しました日本製紙富士川工場鈴川事業所を沼津貨物駅の移転候補地とすることにつきましては、近傍貨物駅の統合の一つの例として示したものであります。また現在進めております沼津高架PIでは、考え得る案を予断なく検討することとしており、近傍貨物駅への統合などにつきましても議論の対象としておりますが、具体的な移転先は特定しておらず沼津のまちづくりを中心に議論が進んでおります。
 このため、今回の石炭火力発電所建設計画がPIにおいて貨物駅移転の議論に与える影響はないものと考えております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 池谷静岡県理事。
      (静岡県理事 池谷 廣君登壇)
○静岡県理事(池谷 廣君登壇) 知事の政治姿勢についてのうち、富士地域への石炭火力発電所建設計画についてお答えいたします。
 二酸化炭素排出量を削減し、後世の人々に美しく豊かな地球を残すためには、化石燃料の使用を極力減らし再生可能エネルギーを拡大していくことが重要であります。しかしながら電力を安定的に供給するためには、当分の間は発電コストが低い石炭火力に一定程度依存することもやむを得ない選択であると考えております。
 日本製紙富士工場鈴川構内における石炭火力発電所の建設は、碧南火力など百万キロワットを超える大型の発電所ではなく、同社がこれまで培った発電事業の経験や技術を生かした出力十一万二千キロワットのコンパクトな設備であります。こうした小規模エネルギーの分散立地は本県のエネルギーの安定供給と県民生活の向上につながります。特にかつて計画停電が実施された地域内に安定した電源が新設されることは、地域に安心感をもたらします。
 懸念される硫黄酸化物などの有害物質の除去技術は近年格段に向上しております。平成十二年に運転を開始した愛知県内にある同規模の石炭火力発電所では、近隣住民からの苦情は寄せられていないとのことでした。また日本製紙では自主的に環境影響評価を実施し、これまでの工場設備が稼働していたときと比べて環境負荷を減少するよう対策を講じるとともに、景観に配慮した排気筒を新設する一方で既存の排気筒の一部を撤去するなど景観対策を行うこととしております。
 もとより事業の推進に当たりましては、地元住民の皆様の理解と合意が大前提となります。県といたしましては、富士市とも連携し事業者に対し地域の皆様の意向に十二分に配慮するとともに、環境負荷の低減や景観の保全に最大限努めるように要請してまいります。
 次に、長泉沼津インターチェンジ周辺地域の内陸フロンティアの取り組みについてであります。
 新東名高速道路の長泉沼津インターチェンジ周辺地域は、富士山の眺望と豊かな自然を生かした災害に強い交通インフラと美しい景観を有する内陸のフロンティアを拓く取り組み、なかんずくガーデンシティーのモデルとなり得る地域であります。
 こうした中、長泉町においては総合特区制度を活用して物流産業の集積によるインターチェンジ周辺の地域づくりを進め、県も周辺道路を前倒しして整備するなどの支援を行ってまいりました。先週には総合特区事業の第一号となる――仮称でございますけれども――イオン長泉物流加工センターの進出が決まり、今後の取り組みへの大きな弾みになるものと期待をしております。
 さらに、今回の動きを長泉町はもとより東部地域全体の発展へとつなげていくためには、議員御指摘のとおり魅力的な地域づくりを長泉町だけではなく沼津市も含め、点から面へと広げるプランの策定が急務であります。
 このため、県では長泉町、沼津市とともに、インターチェンジ周辺の広域的な地域づくりの構想の策定に着手したところであります。今後は有事の際への備えはもとより、美しい景観を生かした地域のグランドデザインを描くことにより、地域の防災・減災と地域成長を両立する魅力ある地域づくりを着実に進めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 沼川新放水路の整備計画についてお答えいたします。
 沼川新放水路の整備につきましては、最も事業効果の高い沼川から海岸までの九百メートル区間を先行することとしており、早期の工事着手を目指し現在この区間にある大型工場の移転について、年内に契約できるよう交渉を続けているところであります。また本年四月には学識経験者等で構成される沼川新放水路構造・環境検討会を設立し、河口部における閉塞や海岸侵食、漁業への影響など技術的課題について検討を進めており、今年度末を目途に最適なはけ口の位置や形状を決定していく予定です。
 放水路が完成するまでは、豪雨災害対策アクションプランに基づき、沼津市が実施する下水道や雨水貯留浸透施設の整備など関係機関と協力して総合的な治水対策を進めるとともに、沼川第二放水路における排砂水門の機械設備の更新やしゅんせつなど既設の施設につきましても効果が十分に発揮されるよう維持管理に努めてまいります。
 県といたしましては沼川新放水路を本県治水事業の重要施策の一つと捉え、積極的な予算確保に努めるとともに、用地取得済み箇所の暫定調整池への活用により整備効果を段階的に発揮させることで、この地域の治水安全度の早期向上に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 特別支援学校の今後の整備方針についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、知的障害者を対象とする特別支援学校の児童生徒数の増加による大規模化、施設狭隘化への対応が大きな懸案となっており、増加の傾向は現時点でも続いております。
 県教育委員会では、平成十八年十月に策定いたしました特別支援教育を推進するための盲学校、聾学校及び養護学校基本計画及び平成二十三年三月に策定いたしました静岡県立特別支援学校施設整備計画に基づき、学校の大規模化、施設狭隘化や通学負担の大きい地区への対応、肢体不自由者を対象とする特別支援学校の施設整備、そして共生・共育の推進という基本方針のもとに整備充実を図っているところであります。
 特に、生徒数の増加の顕著な知的障害の高等部につきましては、全国に約六十校あります高等学校を敷地内に併置する分校等のうち、本県では本年度開校いたしました二校を含め、これまで十校を整備し生徒数の増加及び通学困難地区への対応を図るとともに、本県が進めております共生・共育の推進に努めております。
 県教育委員会といたしましては、今後県内の幼児、児童生徒数の推移や各地域の状況を把握、分析しながら、平成二十七年度に静岡県立特別支援学校施設整備計画の中間見直しを行い、さらなる教育環境の整備改善、充実を図ってまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 多家一彦君。
(五十八番 多家一彦君登壇)
○五十八番(多家一彦君) 答弁ありがとうございました。
 高架事業の推進について再質問をします。
 私は、できる限り早く事業の方向づけを行い、それに沿って鉄道事業者など関係機関との協議に入り早急に問題解決を図るべきだと考えておりますが、知事はみずからJR貨物などとの交渉を再開するおつもりがあるかどうか、その点をお聞きします。
 次に、知事は高架を進める、収用はしない、貨物駅は沼津に要らないとこういう考えで今日まで来ていると思います。しかし現実に高架事業を進めるには、貨物駅の問題を解決しなければならないと、私はそう思います。知事は貨物駅移転に反対する五十名の方の地権者のことを思い、収用はしない、つらい思いはさせない、こうおっしゃった。貨物駅移転のために買収に応じてくれた方は百二十人いらっしゃる。地権者が。そのことも忘れないでほしいし、貨車ヤードで百人の地権者が、もう既に用地の提供をしている。そのこともお考えいただきたいと思います。
 さらに、沼津市発展のために沼津駅周辺総合整備事業、南北の駅前の人たちが土地区画整理事業、街路整備事業、市街地再開発事業、このことに協力している。万を超える市民、県民がこのことに協力しているんです。そして高架事業の停滞に伴って区画整理事業が進展しないことから移転先が見つからない、換地先が示されない、生活設計が描けない。そういう不安を抱えている方が二百四十人、今沼津市内にいるということです。この方々につらい思いをさせないではなくてどんなふうにお答えになるのか、知事のお考えを伺いたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(渥美泰一君) 森山副知事。(発言する者あり)
○副知事(森山誠二君) 多家議員の再質問についてお答えいたします。
 まず一つ目のJR貨物等との協議の関係でございますが、PIが終了しまして事業の方向づけを行うと。その後には当然鉄道事業者との関係機関の協議が必要になります。この協議につきましては相当な困難なものになるかもしれませんが、県としては組織を挙げてオール県庁として、全力で取り組んでまいろうというふうに考えているところでございます。
 それから二つ目の関連する事業とかそういった協力している方もいらっしゃるということの件でございますが、高架事業につきましては、土地区画整理事業ですとか街路事業そういった事業にも影響を与え関係する皆様に不安を抱かせているということにつきましては、申しわけなく感じているところでございます。
 現在、県が進めておりますPIにつきましては、原地区、駅周辺を含めて多くの方に参加いただき協力をいただいております。その中で間もなく終了できる見通しでございます。PI終了後には、PIの研究を踏まえまして早急に事業の方向づけを行い、お仕事を進めていくと。そういったふうな考えでございます。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) これで多家一彦君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 十月三日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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