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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

池谷 晴一 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/27/2013

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
2 平成二十五年度当初予算編成について
3 地域主権改革の推進について
4 内陸のフロンティアを拓く取り組みについて
 (1) 構想の推進
 (2) 土地利用計画の見直し
5 再生可能エネルギーの導入促進について
6 富士山に係る諸課題について
 (1) 登山者の安全確保対策
 (2) 遭難事故対策
 (3) マイカー規制
7 富士山世界文化遺産登録について
8 少子化対策の推進について
 (1) 官民一体となった少子化対策の推進
 (2) 待機児童の解消
9 求職者への実効性ある就職支援策について
10 ふじのくにの都づくりの推進について
 (1) 食の都づくり
 (2) 茶の都づくり
11 公共土木施設の点検について
12 災害対策について
 (1) 第四次地震被害想定の中間報告に伴う地震対策の見直し
 (2) 富士山の噴火対策
13 教育行政について
 (1) 静岡式三十五人学級編制
 (2) 学校部活動の課題
 (3) 学校における体罰
 (4) 高等学校における発達障害等の生徒支援
14 サイバー犯罪対策について


○副議長(大石哲司君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十六番 池谷晴一君。
       (三十六番 池谷晴一君登壇 拍手)
○三十六番(池谷晴一君) まず、先月発生したアルジェリア人質事件で高度な技術を有し発展途上国の振興のために情熱を注いでいた日本人技術者十人が、また今月に入りグアム島で無差別殺傷事件が発生し三人の日本人が犠牲となりました。国外で続く日本人を巻き込んだ卑劣、残虐な行為に強い憤りを覚えます。テロ等の根絶を祈るとともに、犠牲になられた皆様の御冥福をお祈りいたします。
 それでは、民主党・ふじのくに県議団を代表いたしまして知事及び関係部局長、教育長、警察本部長に質問いたします。
 まず、知事の政治姿勢についてでありますが、知事は三年八カ月前、本県が有する豊かな場の力を活用して静岡に日本の理想をつくるため、行政改革、教育改革、食と農の改革の改革の三本柱と、未来の暮らし、未来のものづくりと地域づくり、未来のインフラという未来創出の三本柱を提言したマニフェストを掲げ、多くの県民の支持を得て当選されました。そして就任九カ月後の平成二十二年四月には初年度におけるマニフェストの進捗状況を取りまとめ、提言項目の九五%について「実施」または「進行中」とし、そこで「進行中」とされたマニフェスト項目の着実な推進を図るとともに危機管理など県として取り組むべき施策を網羅し、あわせて県内各界各層の意見を取り入れ、さらに県議会各常任委員会の審議を経て平成二十三年二月に新しい総合計画を策定したところであります。さらに知事は、総合計画を実現するためには不断に施策の成果をはかり見直しを行っていく必要があるとして、総合計画全施策の実績評価と今後の施策展開の方向性を“ふじのくに”づくり白書にまとめ公表しました。
 今年度の白書では、数値の確定している百四十七の数値目標のうち三分の二が達成度AないしB、そして三百六十七の主な取り組みのうち九八%が順調に推移していると総括し、学識経験者や外部有識者、パブリックコメント、県議会各常任委員会等の外部評価を受け公表したところであります。
 また、昨年十一月にはこうしたマニフェスト、総合計画、“ふじのくに”づくり白書を軸に職員や県民と一体となって施策を推進する行政運営の手法に加え、現場主義と透明化を徹底して施策の前倒しを追求する知事の姿勢が専門家から高い評価を得て第七回マニフェスト大賞首長部門グランプリを受賞されました。
 そして、我が会派が行った知事マニフェストに係る取り組みの進捗状況検証では、九十五項目中「実現」が二十九項目、「一部実現・実施中」が六十一項目、「未実現」が五項目という結果になりました。この「一部実現・実施中」という評価は部分的あるいは継続的に取り組んでいるものであり、総体としては大いに評価するところであります。なお進捗がおくれている項目については、次善の策を講ずるなどさらなる取り組みを進めてほしいと思います。間もなく就任から一期四年間が終わろうとしていますが、静岡県の発展と県民の幸せの創出にかける知事の理念・意識は非常に高く、またそのための実行力、行動力は十二分に発揮され県民の期待に応えていると考えます。
 これからの日本そして静岡県を考えるとき、少子高齢化の進行や社会保障費等義務的経費の増大を初め教育問題、地震・津波対策、経済・雇用対策等々さまざまな課題が山積しており、県民は的確な施策の構築とその迅速な実行、前倒しができるリーダーを求めていると思いますが、一期四年間の総括と今後の静岡県、県民への思いを知事に伺います。
 次に、平成二十五年度当初予算編成について伺います。
 平成二十五年度の当初予算案は、任期四年の最後の年となる川勝知事にとってはみずから策定した総合計画の総仕上げ、集大成の予算編成でありました。足元の経済は世界景気の減速等を背景に弱い動きとなっており、雇用面でも本県の有効求人倍率が昨年夏以降全国値を下回って推移するなど先行きが見通しにくい経済社会情勢となっていますが、その中にあって富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを推し進めるという高い理想を掲げ、その理想郷の実現のために邁進する知事の姿には多くの県民がエールを送り、また期待していると思います。
 こうした中で編成された当初予算は、昨年十二月に公表された財政の収支見通しでは四百四十億円を超える多額の財源不足が見込まれ、事業の重点化や歳入の確保、歳出のスリム化などが欠かせない大変厳しい状況下での編成となりました。このため我が会派は昨年末当初予算編成に対する要望として、限られた財源を効率的かつ効果的に活用するため事業の選択と集中をこれまで以上に進め、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを実現するための予算編成となるよう地震・津波対策や経済・雇用対策、教育などを重点に置くことを申し入れたところであります。
 そこで、知事はこうした我が会派の要望を踏まえて御自身の集大成となる平成二十五年度当初予算編成をどのようになされたのか伺います。
 次に、地域主権改革の推進について伺います。
 地域主権改革は、住民に身近な行政は地方自治体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民がみずからの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようこの国のあり方を大きく転換するものであり、政府においては地方分権改革推進法に始まる第二期地方分権改革の流れを受け推進してきました。この三年間の取り組みとしましては、まず平成二十二年六月に地域主権戦略大綱を閣議決定し、この大綱に基づき義務づけ・枠づけの見直しを推進するための一括法を二度にわたり制定し、そして基礎自治体への二百条項余の権限移譲や八府省十八事業に及ぶひもつき補助金の一括交付金化を実現したところであります。また国の出先機関改革では地方移管のための法案を閣議決定したほか、ハローワークの地方移管に向けて移管と同じ状況をつくり出して課題を検証するハローワーク特区を埼玉県と佐賀県で実施するなど改革の推進に取り組み、さらに地方に関する国の政策について制度の企画段階から国と地方が協議するための国と地方の協議の場を地方との協議を経て法制化し、社会保障・税一体改革においては国と地方の福祉サービスの役割分担について協議するなど、これまでには見られなかった成果を上げてきました。
 一方、現政府の改革では、一括交付金を次年度から廃止することが既に決定され、いわゆるひもつき補助金が復活されるなど地方自治体の自由度や自主性の面で後退するのではないかと危惧する声が上がり始めています。政権がかわっても国の役割を安全保障などの国家の存立に係る業務に限定し、地方にできることは地方に任せるという地方分権の必要性は変わりません。
 そこで、これまで進めてきた地域主権改革に対する評価と今後の改革のあるべき姿について知事の所見を伺います。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みについて伺います。
 まず、構想の推進ですが、内陸のフロンティアを拓く取り組みは昨年九月に全体構想が策定され、あわせて構想の速やかな実現を目指した総合特区の申請が行われ、その後関係団体などへの説明会の開催や新聞報道等を通じて構想の目指す姿や理念が紹介され、県民や企業の皆様の関心も徐々に高まってきています。防災・減災の取り組みは待ったなしであり、県民が待ち望む災害に強い魅力ある地域づくりを早期に実現できるよう構想段階から実行段階へと進めていく必要があります。
 こうした中、今月十五日には本県の取り組みが総合特区に指定されました。これは取り組みの意義や提案が国の進めようとしている防災・減災の取り組みのモデルになり得ると評価されたものであり、今後の取り組みに大きな弾みがついたものと考えます。総合特区を初め構想の考え方に沿った先導的なモデル事業が県内各地に展開されてくれば、より地域づくりの具体的な印象が湧くこととなり取り組みの一層の浸透が図れます。そうした意味からも今後は沿岸部から他市町への移転など課題への対応を図りつつ、地域が具体的に動いていく上での後押しが大変重要であると思います。県では本取り組みを来年度の重要施策に位置づけ、構想の早期実現に向けて全庁的に施策、事業の検討を行い来年度予算に反映してきたと承知していますが、構想を実行段階に移すために今後どのように本取り組みを進めていこうとしているのか伺います。
 次に、土地利用計画の見直しですが、東日本大震災以降沿岸部に立地している企業や住民の内陸部への移動が起きているほか、沿岸部の地価が下落するなど企業活動や県民生活にさまざまな影響が生じています。しかし沿岸部は、防災・減災対策を最優先に進めた上で低未利用地を活用した避難地と緑地を兼ねた空間の配置等により、災害に強く豊かで潤いのある地域へ発展していく可能性があり、一方内陸部、新東名高速道路のインターチェンジ周辺の地域は、物流企業などの進出に伴う工業団地の整備やゆとりある住宅地の整備を初めとして地域活性化へのさまざまな期待があります。企業の移転などの影響は極力抑え、新東名開通による効果は適切に受けとめ、沿岸部の再生と内陸部の革新、防災・減災と地域成長をうたう本構想を推進するためには、活動の場となる土地の利用のあり方を見直していく必要があります。そして限りある資源である県土を有効に利用するに当たっては自然環境などに配慮し、よりよい状態で次の世代につなげていくことをおろそかにしてはならず、また都市計画法等法令に基づくさまざまな土地利用に関する計画との調整も必要になってきます。沿岸部と内陸部が均衡ある発展を目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みを確実にそして円滑に進めるためには、土地利用についての方針や基準の見直し等を行い広く県民に示していくことが必要と考えますが、県の方針を伺います。
 次に、再生可能エネルギーの導入促進について伺います。
 一昨年の福島第一原子力発電所の事故を発端として、一時は国内の全ての原発の運転を停止し、安全性が確保されるまでは再稼働できない状況にあることから、今後も特に電力需要が高まる夏季や冬季において電力需給の逼迫が危惧されています。
 こうした中、我が国では、新たな電力供給源として自然資源を生かした再生可能エネルギーの利活用を進める機運が高まっています。再生可能エネルギーは発電時に二酸化炭素を排出しないことから、これまで地球温暖化対策の一環として導入促進が図られてきましたが、環境に優しいことに加え地域の資源を活用できること、農業や観光振興などに利用できることなど地域の活性化にもつながるため、さらなる導入が期待されています。
 このような状況の中、昨年七月から始まった再生可能エネルギー固定価格買い取り制度を契機として県内でもメガソーラーを初めとする発電事業者が急増しており、今後も日照環境に恵まれた本県の地域特性を生かして太陽光発電の導入を加速していく必要があると考えますが、県では一昨年ふじのくに新エネルギー等導入倍増プランを策定し、平成三十二年度までに新エネルギー等の導入率を一〇%以上とする目標を掲げて取り組みを進め、その成果として太陽光発電については今年度中に三十万キロワットの目標を達成する見込みであり、さらに九十万キロワットに目標を大幅に引き上げ、引き続き導入促進に努めるとのことであります。
 新しい数値目標の実現に向けて来年度以降どのように取り組むのか伺います。
 また、本県は、水や温泉なども豊富ですが温泉熱発電の導入実績はゼロとのことであります。小水力や温泉、地下水、さらに海洋エネルギーも近年脚光を浴びていますが、これらの再生可能エネルギーの導入について県の方針を伺います。
 次に、富士山に係る諸課題について伺います。
 まず、登山者の安全確保対策ですが、昨年夏の富士山登山者数は静岡県側の三登山口で約十二万九千人に上り、これに伴い平成七年度までは年間十件以下であった遭難件数が昨年は五十六件、遭難者数七十人、死亡者七人と大変深刻な状況になっています。こうした状況を受け地元の市町や警察、消防、観光関係者で組織する静岡県山岳遭難防止対策協議会の各支部からは、県に対して夏山シーズンを除く期間の登山届の義務化を柱とした県条例の制定要望が出されており、県の対応に期待を寄せています。富士山は気温の変化が激しく、高山病を発症する危険性も高く、登山者にとっては条件の厳しい山であるにもかかわらず、五合目までは車で行ける気軽さから無計画な上に軽装で十分な装備も持たない観光気分の登山者が安易に登山を行い、その結果救助を求めるケースも見受けられます。
 近年の登山ブームで山ガールや中高年の登山者が増加しており、特に外国人は言葉や案内標識、情報不足等の問題もあり、遭難事故の多発も危惧されている中、登山者の安全確保について一層の対策が必要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか対応を伺います。
 次に、遭難事故対策ですが、一たび富士山で遭難事故が発生すれば冬期の非常に厳しい現場においても県警の山岳遭難救助隊が出動し人命救助作業に当たっています。この山岳救助隊は、ことし発足四十周年を迎える記念すべき節目の年であると聞いており、山岳経験の豊富な警察官を選抜し日々厳しい訓練を繰り返しながら、たび重なる遭難事故に迅速的確に対応していただいている精鋭部隊であると承知しています。私の地元の御殿場警察署にも山岳遭難救助隊員が配備されており、大変心強く感じるとともにその活躍に心から敬意を表する次第ですが、登山者の安全確保対策の推進とあわせ、万が一遭難してしまった登山者を一人でも多く救助するための対策についても万全を期してほしいと願うところでもあります。
 富士山における遭難事故の現状を踏まえつつ、今後のさらなる取り組みについて警察本部長に伺います。
 次に、マイカー規制ですが、富士山のマイカー規制については富士宮口で平成六年度から、須走口では平成十九年度から、また山梨県の吉田口では平成六年度から実施しており、規制期間も当初の三日間から七日間、十日間と拡大し、今年度は富士宮口及び須走口で三十四日間、吉田口で十五日間実施しました。その結果規制期間中の渋滞緩和や公共交通を利用した計画的な登山ができるようになってきましたが、その一方で規制期間外における渋滞や路上駐車は解消されていません。規制を実施していない期間に渋滞に巻き込まれた登山者が山小屋の宿泊をキャンセルしたり、観光ツアーバスがコースを変更したケースもあったと聞いており、さらなる渋滞対策が必要と考えます。また須走口では五合目に通じる県道百五十号線通称ふじあざみラインが急勾配で急カーブが連続しているため、団体ツアーバスが敬遠し他の登山口に回ることがありました。このため大型観光バスが安心して通行できるような道路改良も望まれております。さらに同じ登山道を上り下りするのではなく、例えば富士宮口から登山した人が吉田口に下山するといった新たな登山のニーズにも対応するため、各登山口を結ぶ連絡道路建設やシャトルバス運行などの課題もあります。マイカー規制の結果、効果と来年度以降の対応を伺います。
 次に、富士山世界文化遺産登録について伺います。
 富士山の世界文化遺産登録については、ユネスコの諮問機関であるイコモスの審査が行われていますが、このたびイコモスから追加情報の要請がありました。その内容は、一つ目は保存管理関係において富士山と各構成資産との強い結びつきを尊重し、個別に管理を行うのではなく全体を広く面的に管理していくことについてであり、二つ目は構成資産関係において三保の松原の除外、そして三つ目は例えば富士山及びその関連巡礼遺産群といった資産の名称変更についてでありました。
 この要請については、明日二十八日が提出期限であり、文化庁では地元自治体及び環境省や林野庁と協議の上回答を作成、提出することとしており、これを受け本年五月上旬にイコモスによる評価結果の公表が行われ、六月にカンボジアで開催される第三十七回世界遺産委員会で登録の可否が審議されるというスケジュールとなります。今回のイコモスの追加情報の要請は、評価の上で必要な情報を得るためのものと思われますが、追加情報のうち三保の松原の除外について、文化庁は是認できないと回答する対応方針とのことであり、イコモスの要請に対する否定回答が及ぼす富士山の世界文化遺産登録の可否そのものへの影響について心配されるところであります。
 そこで、今回のイコモスの要請について県としてはどのように考えているのか、所見を伺います。
 次に、少子化対策の推進について伺います。
 まず、官民一体となった少子化対策の推進ですが、県では全庁を挙げて少子化対策を積極的に推進しているものと認識していますが、安心して子供を産み育てられる環境を実現するためには、県のみならず社会全体で子供や子育て家庭を支える仕組みづくりに取り組むことが今後の重要なポイントになってくると考えます。特に子育てと仕事の両立のためには企業の役割も非常に重要であり、従業員の子育てへの応援が本県の出生率の向上に寄与することも期待できると思います。
 このような中、県においては、平成二十三年十月に従業員に対する子育て支援等への取り組みを積極的に応援するこうのとりカンパニー認証制度を創設し、事業主を中心として従業員の子育て応援への関心が高まることを目指していますが、現状の認証状況と今後の事業の進め方について伺います。
 また、県内には既に高い意識を持って子育てと仕事の両立に主体的に取り組み実践している企業も少なからずあり、そうした企業では子供を持つ従業員の方々が生き生きと働いておられます。こうした企業の先進的な取り組みを他の企業に広げていくことも有意義だと思います。
 官民一体となった子育てを応援する仕組みづくりに県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、待機児童の解消であります。
 待機児童数は、近年の施設整備の効果もあり、ピーク時の五百人を超える水準から平成二十三年四月には三百六十六人まで減少しましたが、昨年四月は前年比四割、百四十八人の増加で五百十四人となり過去三番目の水準となりました。こうした傾向に転じた要因の一つとして子育て世帯の所得の低下が指摘されています。国の調査によれば、子育て世代の所得分布は平成九年から平成十九年までの十年間に、そのピークが二十代で年収三百万円台から二百万円台前半に、三十代で年収六百万円前後から三百万円台に、軒並み低い所得層にシフトしており、この若い世代の所得の低下に伴い働く女性がふえ、共働き世帯が増加していることが保育ニーズの押し上げにつながっていると考えられています。
 一方、待機児童の内訳では、出産後一、二年の間に働き始める女性がふえていることを背景にして三歳未満の低年齢児が多く、昨年四月時点では約八割を占めていました。また例えば私の地元御殿場市では、昨年四月には待機児童は発生していなかったものが十月時点で十五人となり、そのうちゼロ歳児は八人と、ゼロ歳児の保育ニーズが増加しています。その背景には、女性に労働力不足への対応が求められていることや女性の視点に立った製品の開発やサービスの提供など新たな需要や価値の創出が求められていることがあります。女性の活躍の場が拡大すれば保育ニーズはさらに前倒しで発生することになりますので、これに対応するためには保育サービスの一層の量的拡充を図るとともに、保育を希望する時間にリアルタイムで保育サービスを享受できる環境を整えるべきと考えます。
 喫緊の課題である待機児童の解消に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、求職者への実効性ある就職支援策について伺います。
 本県の有効求人倍率は、昨年五月には〇・八三倍まで回復しましたが、それ以降は下落を続け昨年十二月には〇・七三倍と平成二十四年当初のレベルにまで逆戻りし、全国平均を六カ月連続で下回っています。また今春卒業予定の県内大学生及び高校生の就職内定率についても改善に至っていません。さらに高齢者については、高年齢者雇用安定法が改正され本年四月から希望者全員の六十五歳までの継続雇用が義務づけられましたが、一方で離職された方の就職環境は厳しく、五十五歳から六十四歳までの昨年十二月の完全失業率は全労働力人口の完全失業率を上回っています。失業中の方はやむなく生活保護を受給したり、就職がないまま卒業した若者はフリーターやニート化したりする状況にも陥ります。
 この状況に対応するため、県では緊急雇用創出事業の実施に加え昨年一月には雇用創造アクションプランを策定し雇用の創出に努めていますが、こうした求人をふやす取り組みに加え求職者に就職を働きかけマッチングを促進して実際に就職へ導いてこそ、アクションプランが目指す失業者の減少や生活保護の増加、就職できない若者の増加といった社会問題の解決につながるのではないかと思います。
 そこで、仕事につきたいと願うさまざまな求職者の方々が一日でも早く就職できるよう、今後県として実効性ある求職者への就職支援策にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、ふじのくにの都づくりの推進について伺います。
 県では、食、茶、花、もり、水、そして太陽の六つの都づくりを目指していますが、今回は食と茶について伺います。
 まず食の都づくりですが、県では平成二十二年度から食の都づくりに取り組んでおり、この三年間で三百二十七人の料理人、菓子職人をふじのくに食の都づくり仕事人として表彰したほか、本県の高品質な農林水産物等の中からえりすぐりの商品をブランド認定するしずおか食セレクションも七十五品となるなど、着実にふじのくに食の都が形づくられてきたと思います。そして昨年四月に開通した新東名を初め県内五つの高規格幹線道路を食の都大路と名づけ、また清水パーキングエリアで軽トラ市を開催するなど新たな取り組みを進めたことで、これまで以上にふじのくに食の都が県民に浸透してきていると思いますが、次年度は食の都づくり四年目の区切りの年となります。
 そこで、これまでの成果と今後の事業展開について伺います。
 一方、農産物百六十七品目、水産物を入れると二百十九品目に恵まれた本県は日本一の食材の王国であり、この紹介と販路開拓は大変重要でありますが、県外、特に日本の人口の約三割が集中している首都圏における本県の食の知名度はまだまだであり、首都圏での情報発信が喫緊の課題であると考えます。有楽町にある本県の東京案内所にも、静岡県の産品を都内のどこで買うことができるのかといった問い合わせも多くあると聞く中、県では秋葉原にアンテナショップを開設するとのことですが、どのようなコンセプトでどのように県産品の情報発信や市場開拓を進めるのか伺います。
 さらに、海外に目を向ければ最近特に話題をさらっているのは、スペイン・バスク地方にある人口十八万人の町サン・セバスチャンで、ここでは世界に誇れる食材やレストランなどを育成し、食材の宝庫、美食世界一のまちと言われており、食の都を目指す本県にとっても参考になるのではないかと思います。B級グルメが全国的な話題になっていますが、本県の食材の王国を生かしA級、特A級グルメ、四つ星、五つ星レストランを抱えた世界の食の都として全世界に発信することも考えられます。
 このような事例を踏まえ、今後海外にどのようにアピールしていくのか伺います。
 次に、茶の都づくりであります。
 本県の茶業は、恵まれた自然環境と先人たちのたゆまぬ努力に支えられ、また伝統と歴史に裏打ちされ国内生産の四〇%、流通の六〇%を占める日本一の大産地であり、名実ともに日本の茶業を牽引する地位を築いてきました。また茶は明治から大正時代には生糸と並ぶ重要な輸出品目で、ピーク時の大正六年には国内生産の八割に当たる約三万トンがアメリカを中心に輸出され、まさに日本の輸出を担うグローバルな花形産業であり、本県においては昭和三十年以降の高度経済成長期に首都圏の嗜好に合った深蒸し茶を開発するなど環境の変化にも的確に対応し、常に日本の茶業界をリードしてきました。
 また、本県は、家庭での緑茶の消費量が全国平均の二倍であることに象徴されるように生活の中にお茶が深く根づいており、子供から高齢者までお茶を楽しむ、まさに日常茶飯が生きていると言っても過言ではないと思います。昨年の第六十六回全国お茶まつりにはお茶についての新しい情報や魅力を求めて五万人近い方が来場しましたが、これも静岡にはお茶を楽しむ人々が多いことのあかしと言えると思います。
 一方、中国の茶の都として高い品格を備えた浙江省の杭州市と比較したとき、茶文化をいかに充実させるかも重要な課題であり、本県がこれから日本一の茶の都としての地位を確立しつつ世界に発信していくためには、茶に係る本県の環境を背景に多面的な取り組みが必要と考えますが対応を伺います。
 次に、公共土木施設の点検について伺います。
 昨年十二月二日に、中央高速笹子トンネルで天井板崩落事故が発生いたしました。犠牲となられた九名の皆様の御冥福をお祈りいたします。
 この原因は、天井板を支えるつり金具をトンネル内側最上部にとめるアンカーボルトが落下したためと見られています。同トンネルは一九七七年の開通以降大規模な改修工事がなくアンカーボルトも交換されていなかったため、中日本高速道路では老朽化が事故につながった可能性があるとし、全国の道路管理者においては、笹子トンネルと同様の天井構造を持つトンネルと、トンネル上部からつり下げられているジェットファンと呼ばれる換気排煙設備などの附属物について緊急点検を行いました。この結果、幸い本県が管理するトンネルにおいては笹子トンネルのような天井構造を持つトンネルはなく、換気排煙設備本体及びつり金具についても異常はなかったと聞いていますが、本県では高度経済成長期に多くの公共土木施設が集中的に整備され、建設後既に五十年以上経過しているものも数多く存在しており、今後さらに老朽化し事故が起きる危険性が高くなっていくことが危惧されています。そして今回の事故はトンネル施設だけにとどまらず、公共土木施設等全般に対する安全性が確実に保たれているのか県民に不安を抱かせることとなりました。
 今回の事故を受け、今後公共土木施設の点検についてどのように行っていくのか、県の考えを伺います。
 一方、国土交通省の調査により、国内の全ての市町村でトンネルの管理方法等を定めたマニュアルがなく、また土木技術職員も不足しトンネル維持管理の責任を有するものの十分な保守点検ができていない現状が明らかとなりました。公共土木施設の老朽化は大事故に直結する危険性を有しています。県として市町の支援についてどう考えているのか伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 まず、第四次地震被害想定の中間報告に伴う地震対策の見直しですが、平成十三年に出された第三次地震被害想定では、県内における死者数五千八百五十一人中、津波による死者数は二百二十七人と全体の三・九%程度でしたが、国が昨年三月末に出した南海トラフ巨大地震が起きた場合の全国の震度分布、津波高、そして八月末に出したさらに詳しい津波高、浸水域、人的・物的被害想定では、最悪で十万人余の方が津波で亡くなるというショッキングな数字が示されました。しかしながら本県は昭和五十一年に発表された東海地震説以来三十五年以上にわたりさまざまな地震対策を官民挙げて行ってきており、この想定は太平洋沿岸の西日本各県に緊急対応を迫ることとなりましたが、本県は他県に比べ地震対策の経験や蓄えがあると思います。
 このような中、今月十三日、県は第四次地震被害想定の中間報告を行いました。発生頻度が比較的高く発生すれば大きな被害をもたらすレベルワンの地震・津波と、発生する頻度は極めて低いものの発生すれば甚大な被害をもたらすあらゆる可能性を考慮した最大クラスのレベルツーの地震・津波の被害想定について、六月ごろに出されるということであります。
 そこで、南海トラフ巨大地震対策についてこれまで行ってきた東海地震対策の蓄積がどのような点に生かされるのか、そして今回の第四次地震被害想定の中間報告を受けどのような点を変えていくべきなのか、県の考えを伺います。
 次に、富士山の噴火対策であります。
 今回の第四次地震被害想定中間報告において、新たに富士山噴火等が重複した場合の対応が追加されました。世界文化遺産登録の期待が高まる富士山ですが、その日本一の高さと世界に誇る美しい山容が形成されたのは火山活動によるものであります。富士山の噴火対策については、これまで国が主体となって平成十六年度に噴火危険区域を示したハザードマップを作成し、平成十九年度には火山活動の状況に応じた防災対策を示した噴火警戒レベルの導入を進め、昨年六月には静岡、山梨、神奈川の三県と関係機関から成る富士山火山防災対策協議会を設立するなど、綿密な防災対策を検討していると承知していますが、今回の大地震の発生により一七〇七年の宝永の噴火以来三百年以上休眠していた富士山の火山活動が近い将来現実のものとなるのではないかという声も聞かれるようになってきました。
 このような中、先日の静岡県防災・原子力学術会議の地震・火山対策分科会と津波対策分科会の合同会議において、本県側の避難対象となる人口が五十六万人と提示されましたが、富士山の噴火は近隣だけでなく関東圏と中部、近畿圏を結ぶ交通大動脈の分断により日本の経済活動に与える影響なども大きく、噴火を想定した対策の実行は大変重要なことと考えます。
 本年九月に予定する県総合防災訓練は、津波対策に加え富士山の火山災害も想定して行うと聞いていますが、県として富士山噴火対策をどのように検討しているのか、また今後どのように進めていくのか伺います。
 次に、教育行政について伺います。
 まず、静岡式三十五人学級編制ですが、政府は次年度からの五カ年間で公立小中学校の教職員定数を二万六千七百人増加する計画の実施を見送る方針を決めました。このため文部科学省が計画していた三十五人学級の小学校三年生から中学校三年生までの計画的な拡大は困難となりました。しかしながら本県では国の施策を先取りし静岡式三十五人学級編制を実施しており、次年度予定していた小学校三年生へ拡充するための国による教員の加配措置が実現不可能となったものの、県単独の加配定数を措置するという大きな一歩を踏み出し、平成二十五年度に静岡式三十五人学級編制が完成するめどが立ったことは大いに評価するものであります。しかし静岡式三十五人学級編制については子供たちや保護者からおおむね好評であるものの、一部では教員の負担増や多忙化につながっていると指摘する声もあります。
 平成二十五年度以降の静岡式三十五人学級編制をさらによいものとするためにどのような方向に展開していくのか、教育長の所見を伺います。
 次に、学校部活動の課題であります。
 学校部活動は、生徒の人格形成や人間性を高める場として重要であり、心身の発達においても重要な役割を果たし、また部活動における生徒の活躍は、同窓生や地域の方々に明るい話題を提供するなど県民の元気創出という観点からも注目されています。今回の学習指導要領の改訂では、部活動の意義について「スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するもの」と明記され、学校教育活動の一環として位置づけられましたが、他方生徒の希望する種目の部が学校になかったり、専門的な知識・技能等を有する顧問の異動など生徒、保護者のニーズに十分対応できない状況も生じており、このため部員数が減少、部廃止という状況に陥る学校も生じるなど課題もあります。
 そこで、部活動顧問の資質向上や専門講師の配置等環境を整えることが必要と考えますが、どのように対応していくのか伺います。
 次に、学校における体罰であります。
 最近、柔道日本女子代表選手が暴力を伴う指導を受けていたことが判明し、スポーツ指導のあり方がクローズアップされています。学校部活動においても昨年十二月に大阪の市立高校でバスケット部の主将が部活動の顧問から体罰を受け自殺するという事件が起きました。亡くなられた生徒の御冥福をお祈り申し上げます。当該顧問による体罰は常態化しており、「生徒を発奮させるためであった」と述べているようであります。また報道によれば学校側の対応も閉鎖的で隠蔽体質であったようです。
 本県においても、県立高校で複数の部活顧問が部員に対し体罰等を行ったということが判明しました。部活動においては時により厳しい指導も必要であると思いますが、行き過ぎた指導は子供たちの体だけでなく心を傷つけることもあります。児童生徒の基本的人権を侵害するような教職員による体罰は断じて許されるものではありません。全教職員が子供を一人の人格を持った人間として尊重することが重要だと思います。
 県においては、これまで学校における体罰に対してどのような認識でどう指導してきたのか、またこのような事態を再発させないため今後どのように対応するのか伺います。
 次に、高等学校における発達障害等の生徒支援であります。
 文部科学省の調査によれば、全国の公立小中学校の通常学級においてADHDなどの発達障害を持つ児童生徒が六・五%在籍しているということであり、三十五人学級一クラスでは二、三人いるということになります。本県においても発達障害等の児童生徒は増加傾向にあり、特別支援教育推進体制の充実を図ることが求められています。発達障害への支援は、できるだけ早い段階から始めて幼稚園、小学校、中学校、高校へとつないでいくことが重要です。小中学校においては体制整備が進んでいると思いますが、一方中学校において支援が必要であるとされた生徒が高校に進学する場合、高校段階でも一貫した教育支援を継続して行い、生徒の自立と社会参加を図ることは極めて重要であると考えます。
 このような中、昨年度から旧周智高校においてコミュニケーションスキルを身につけるための講座を開設するなどモデル事業として新たな試みが実施されてきました。また本年度はモデル事業に加えて高等学校教職員を対象とした啓発リーフレットの配付や各学校で活用できる教材の開発にも取り組んでいると聞いていますが、これまでのモデル事業の課題や成果等を踏まえ来年度以降高校生段階における発達障害等の生徒の支援にどのように取り組んでいくのか、教育長の所見を伺います。
 最後に、サイバー犯罪対策について伺います。
 昨年、東京、神奈川、三重、大阪の四都府県で、他人のパソコンをウイルス感染させ遠隔操作を可能とすることにより、他人になりすまして脅迫メールや殺人予告のメールを送りつける前代未聞の事件が発生しました。しかもこの事件の犯人は、その後も捜査当局を挑発するかのような内容のメールを報道機関に何回も送りつけるなど、難航する捜査をあざ笑うかのような挑発的なメッセージを発信し続けました。今月中旬になって事件は急展開し容疑者が逮捕されたものの、この事件で警察は四人の何も罪のない人たちを誤認逮捕する失態を起こす結果となったところであります。
 警察庁が公表した平成二十四年度上半期のサイバー犯罪の検挙状況によると、サイバー犯罪の検挙件数は前年同期比で三〇%増の三千二百六十八件であり、ネットワークを利用した犯罪は二千九百三十件と過去最高の件数に上っています。とりわけコンピューターウイルスに関する相談件数は二百八十五件で約八〇%増加している状況から、今後同様の第二、第三の悪質なウイルス感染事件が県内で発生することが危惧されます。県警は昨年度サイバー犯罪対策室を新設し、サイバー犯罪への取り締まりを強化し大きな成果を上げていると承知していますが、今回の事件は国境なきサイバー空間上における前例のない悪質、巧妙な事件であったことから、本県ユーザーにとっても大きな脅威となっていることは事実であります。さらに万が一本県で同様な誤認逮捕が発生するようなこととなれば、県警に対し県民の信頼を著しく損なうこととなります。
 県警には、今回の事件の真相究明を図るとともに、その反省、教訓を生かしサイバー犯罪対処能力のさらなる向上に努め、サイバー犯罪捜査そのものに対する県民の信頼を高めていただきたいと思います。
 そこで、本県におけるサイバー犯罪の現状とあわせ、今回の事件捜査の反省、教訓を踏まえた今後のサイバー犯罪対策への取り組みについて警察本部長に伺い、質問を終わります。(拍手)
○副議長(大石哲司君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 池谷議員にお答えいたします。
 初めに、私の政治姿勢についてであります。
 マニフェストにつきましては、その経緯は議員が簡潔におまとめいただいたとおりでございます。知事候補者として提示いたしましたマニフェストは、九カ月たちましてちょうど年度の締めの三月ということでございまして、その折に総合計画室のほうで独自に評価されまして、「実施」、「進行中」というものが九五%ということになりました。
 当時進行中でございました総合計画でございますが、この総合計画にそれを全て落とし込むということを含めつつ、総合計画審議会におきまして県内有識者の御意見、さらに県民の皆様、県議会から頂戴いたしました御提言を加えまして、総合計画富国有徳の理想郷“ふじのくに”のグランドデザインを策定したものでございます。その経緯からいたしまして、これは県民の県民によってつくられた県民のためのマニフェストというふうに表現することができるものでございます。
 その計画を前倒しで実現するべく、これまで私は全力を傾注してまいりました。先ごろ公表いたしました二度目の“ふじのくに”づくり白書すなわち評価書におきましては、その一部に「目標達成に向け、より一層の推進を要する」と評価せられました目標がございました。しかし全体としておおむね順調に推移しているとの評を得ております。これは県民の皆様を初め学識経験者や県議会による御評価を踏まえ、PDCAサイクルを通じて不断の見直しを行った成果であると考えております。
 議員御指摘の県政の諸課題につきましては、総合計画すなわち県民の県民による県民のためのマニフェストの評価も踏まえまして施策の改善や重点化を図り、この基本計画の総仕上げに向けて取り組んでまいります。
 地震・津波対策につきましては、南海トラフの巨大地震による被害想定等を踏まえて新たな地震・津波対策アクションプログラムの策定と着実な対策の推進に取り組んでまいります。防災・減災と地域成長を両立した地域づくりを目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みにつきましても、先ごろ国の総合特区に指定されたところでございます。
 少子化対策ですけれども、今年度健康福祉部に一体的な施策推進体制を整備いたしました。その成果を踏まえて取り組みの強化を図ります。また本県教育の一層の充実を図るため、教育行政のあり方検討会での御意見を踏まえまして教育委員会と連携した取り組みを進めてまいります。
 ちまた、指導主事の先生方を現場に戻すということが平の教員に戻すというように誤解されている向きがございますけれども、指導主事というのは先生の先生でございます。先生を大事にするためには、そうした先生の先生を先生がいらっしゃる場所、すなわち職員室に移すと。あすなろであるとかこういう本庁ではなくて、教育の現場にお移しすると。指導主事室の場所は職員室であるということでございます。そうしたあり方を我々は今検討をお願いしているところでございます。
 小中学校全学年での三十五人学級につきましても県単独の措置等により実施してまいります。
 経済・雇用対策につきましては、日本一を誇る食材を生かした食の都づくり、医療・健康、食品、環境エネルギーなど新産業の育成や雇用創造アクションプランの推進に官民一体となって取り組んでいるところでございます。富士山の世界文化遺産登録や伊豆半島の世界ジオパーク認定に向けた取り組みも着実に進めております。
 今後とも、現場に赴き、現場から学び、現場で解決することを原則にした現場主義を基本姿勢といたしまして、県民誰もが誇りと希望を持って暮らすことのできる富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの実現に、より一層のスピード感を持って全身全霊で取り組んでまいります。
 次に、平成二十五年度当初予算編成についてであります。
 平成二十五年度当初予算は、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを目指す県民の県民による県民のためのマニフェスト、すなわち総合計画の基本計画が最終年度を迎えますことから、その総仕上げとなる予算として御要望を踏まえ三つの方針に基づいて編成したところでございます。方針一、これは“ふじのくに”づくりを総仕上げする重点施策の展開であります。方針二は、総合計画目標達成に向けた取り組みの推進であります。方針三は、自立を支える行政運営の実現でございます。具体的には民主党・ふじのくに県議団からの要望を踏まえ六つの重点施策に沿って予算を編成しています。
 重点施策の第一の内陸のフロンティアを拓く取り組みでは、予防防災と経済成長モデルの両立を図る、そうした地域づくりを進めてまいります。市町の地域づくりを支援するアドバイザー派遣制度を創設いたしまして全体構想を推進するほか、先導的モデルとなる事業の着実な推進に取り組みます。
 第二の重点施策、エネルギーの地産地消の推進におきましては、太陽光発電設備等の導入を引き続き支援します。また天然ガスコージェネレーションなどを活用した域内のエネルギーを有効利用する取り組みを推進するほか、海洋再生エネルギーのポテンシャル調査を行ってまいります。
 重点施策第三の地震・津波対策の推進におきましては、防潮堤、河川堤防の整備、水門への避難用階段の設置、津波対策を県内全域で進めるほか大規模地震対策等総合支援事業費の補助限度額撤廃の延長、平成二十七年度まで、また第四次地震被害想定の啓発などハード・ソフト両面から対策を進めてまいります。
 重点施策第四の富士山の後世への継承におきましては、富士山の世界文化遺産登録を見据えて富士山周辺施設を活用した情報発信を行ってまいります。また富士山の眺望を楽しむ観光ルートの活性化などにより交流人口の拡大を目指します。
 重点施策第五の雇用・経済対策の機動的な実施につきましては、静岡県雇用創造アクションプランに掲げる三万人の雇用創出の達成に向けて、新エネルギーなどの成長分野への参入を目指す地域企業への支援、また介護分野での雇用のミスマッチの解消、広く人材の育成に取り組んでまいります。
 重点施策第六の少子化対策の充実では、保育所待機児童を解消するため保育所等の施設整備や保育士確保のための支援をいたします。またひとり親家庭の保育サービスの利用料金に対する助成制度を創設いたします。安心して子供を産み育てやすい環境の整備を進めてまいります。
 このほか、御要望にございました教育環境条件の整備につきましては、小学校、中学校の全学年で静岡式三十五人学級編制を完成させるため必要となる教員を県独自で増員いたします。コミュニケーションスキルの指導を行うなど発達障害のある児童生徒等に対する支援の充実にも努めます。これらの施策に全庁を挙げてスピード感を持って取り組みまして、県民幸福度の最大化に向けて全力を傾注してまいる決意でございます。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みについてのうち、構想の推進についてであります。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進に当たりましては、早期に先導的な地域モデルを具体化させたいと考えております。有事に備えた地域づくりであるとともに地域の経済成長モデルとなる、これを実証していく必要がございます。このため平成二十五年度当初予算におきましては、市町の先導的な取り組みを支援することに加えまして、本構想を県全域に広げるためアドバイスチームを派遣する経費などを盛り込みました。また全部局を通じて二百億円を超す関連予算を計上したところでございます。さらに企画広報部に内陸フロンティア推進室長及び内陸フロンティア推進班を設置いたしまして、取り組み全体の司令塔としての機能を強化します。庁内関係部局はもとより市町や民間とも連携協力し、スピード感を持って着実に取り組みを進めてまいります。
 今月十五日の総合特区指定に当たり、国からも次のような文言が届きました。引用いたしますと、「南海トラフ大地震対策は、日本の経済活動の維持のために不可欠であり、防災と地域経済振興を結びつけた本提案の意義は大きいと考えられる。また震災復興地域に対する機能モデルを提供することが期待される点も評価できる」と、以上引用いたしました。このような国の御評価をいただいたところでございますので、これはまことに本構想の意義を全面的に支持されたものだと受けとめております。今後とも沿岸部における活力の維持向上に努めつつ、防災・減災と地域成長の両立を目指してまいります。そのためには関係市町や企業と連携し、県民そして日本全体のため、総合特区制度を初め国の関連制度も活用いたしまして本県全域で安全・安心で魅力のある地域づくりに邁進してまいります。
 次に、富士山世界文化遺産登録についてであります。
 富士山は、五月上旬のイコモスの勧告を経て六月にカンボジアのプノンペンで開催される第三十七回世界遺産委員会におきまして、いよいよ世界文化遺産登録の可否が決定されます。登録への道はまさに九合目といったところでございます。
 イコモスの勧告は、世界遺産委員会の重要な判断材料となります。今回追加情報がございました。この追加情報につきましては、富士山の顕著な普遍的価値や保存管理についてイコモスの委員の先生方の御理解を深めるための説明の機会をいただいたものというふうに受けとめております。三保の松原を外すようにとの勧告もございましたけれども、駿河湾越しに見える富士山の姿を借景とした文化的景観と言うべきものでありまして、三保の松原と富士山とは一体のものであると考えております。偶々見本として刷り上がりました「富士山百画」、これを一月末に横内山梨県知事とともにユネスコ、ラオ所長にお届けいたしました。その絵には、まだイコモスのこの追加情報の要請に接する前でございましたけれども、そこには三保の松原と富士山とが一体になった絵が幾つも含まれております。こうしたことは参考資料として極めて重要な判断材料になるものと思っております。
 日本人に最も愛されてまいりました景観である三保の松原は、芸術の源泉としての代表的な展望地点であることは疑いありません。それとともに富士宮本宮浅間大社に「富士曼荼羅図」というのがございますけれども、これは三保の松原から参詣曼荼羅として富士山の頂上に至る、それを描いたものでございます。まさに信仰の対象としても重要な場所であることが、これを通してもわかります。こうしたことを丁寧に御説明申し上げることで、富士山の顕著な普遍的価値を証明する上で三保の松原もまた不可欠な構成資産であることを御理解いただけるものと確信しております。
 資産の名称につきましては、信仰の対象及び芸術の源泉の両面を表現する富士山にふさわしい名称を文化庁のほうで御検討していただいております。我々といたしましては引き続き文化庁を中心に関係機関と連携を申し上げ、三保の松原を含めた富士山の世界文化遺産登録に向けて万全を期してまいります。
 次に、少子化対策の推進についてのうち、待機児童の解消についてでございます。
 女性の社会進出や共働き世帯の増加に伴いまして、本県におきましても予測を上回る保育需要が生じておりまして、一旦減少しました待機児童も残念ながら政令市を中心に増加しております。これを受けて浜松市のほうは二年をめどに待機児童ゼロを目指されている。静岡市もそれを受けた形での対応をされるものと期待しております。残り三十三市町のうち、平成二十四年四月におきまして二十一の市町で待機児童ゼロでございます。残り十二の市町の待機児童ゼロを目指すということでございますが、昨年度から各市町に働きかけまして保育所等の定員増加に懸命に取り組んでまいりました。その結果保育所で八百十五人、認定こども園で百四十五人、認証保育所等二百七十四人などことしの四月には合計一千二百三十四人の定員増となる見通しであります。
 さらに昨年十月には、待機児童の発生している市町から成る待機児童解消推進会議を開催いたしましてさらなる保育所等の整備を促すとともに、グループ型小規模保育事業や保育ママの活用などきめ細かな待機児童対策を強く働きかけているところでございます。来年度は新しい取り組みとして施設整備に伴い必要となる人材を確保するために、まずはやはり保育士の処遇の改善を図るということを軸にいたしまして、それに加え年度途中におけるゼロ歳児の保育需要の増加にも対応できるように民間保育所に対する支援制度を創設することにいたしました。待機児童の解消は少子化対策の最重要課題というように考えております。今後とも市町とともに全力で取り組み待機児童ゼロを目指してまいります。
 次に、ふじのくにの都づくりの推進についてのうち、茶の都づくりについてであります。
 議員も御指摘のとおり、茶の文化の起源地でございます中国における唯一茶都と称しているのは、本県と友好提携関係のある浙江省の省都杭州であります。そこで茶都、訓読みすれば茶の都というコンセプトを知りました。静岡県を含んで、日本には狭山の茶どころ、宇治の茶どころ等がございます。本県も茶どころの一つというように自称してきたわけでございますけれども、狭山茶をもって埼玉県が茶どころとは言いません。あるいは宇治が茶どころであるからといって京都全体が茶どころであるというふうには言いません。しかしながら本県は、西は浜松から東は御殿場に至るまで、また北は川根本町から南は御前崎に至るまで、県全域でお茶を生産しております。生産量四割、生産額四割五分、流通量全国の六割、さらに議員御指摘のとおり平均消費量は日本全体の平均の二倍でございます。文字どおり、先ほどのお茶の産業におけるリーダーシップも含めて茶都と、茶の都と称してふさわしい、そうした場の力を持っているわけでございます。
 さらに、東部地区には茶畑と富士山のすばらしい景観もございます。大正期に既に「山は富士 お茶は静岡 日本一」と言われるような標語もこうした景観から生まれたものであります。本県一の茶産地牧之原地域には県茶業研究センター、国、民間の研究機関、茶の文化施設が集積しておりまして、川根から御前崎に至るティーロードというふうに言っておりましたところは、今茶の都大路というふうに称しておりますが、そうした茶の都大路が縦断するなど本県はまさに茶の都としてふさわしい多彩なお茶にかかわる資源を有しております。
 また、掛川市周辺では、茶園にススキやササなどを投入し茶の生産と生物の多様性が一体的に保全されている茶草場農法として知られ、これを昨年十二月に世界農業遺産登録に向け国連食糧農業機関へ申請したところでございます。先週には現地調査が実施されました。私自身もFAOから派遣されました研究員の方々、また国連大学の副学長以下関係者とお目にかかり親しく意見を申し上げたところでございます。本年五月に石川県におきまして今回の現地調査を踏まえて開催される国際会議で審査が行われる予定でございます。
 さらに、昨年開催された全国お茶まつりにおきまして、お茶の機能性、効用に関する調査研究や情報を全国に発信いたしました。また本年四月から県内の大学、茶業団体、県が一体となって静岡県立大学に茶学総合講座が開設されます。茶の機能性、疫学に関する研究、新しい茶と素材開発に関する研究などに取り組まれることになっています。
 これらの取り組みに加えまして、県では、静岡文化芸術大学学長の熊倉先生を座長とした茶の都しずおか構想検討会をことし一月に立ち上げました。県内のお茶の歴史、文化、産業に関する資源の調査結果などとあわせて茶の都のイメージなどについて議論を進めていただいております。今後さらに御議論をいただき、来年度には茶の都構想を策定したいと考えています。
 五月二日から開催される第五回世界お茶まつり春の祭典におきましては、新緑の茶園を眺めながらの茶会や茶畑の散策、茶産地を訪ねるツアーなどを実施し、お茶を楽しむスタイルを提案してまいります。秋の祭典には秋の祭典のプログラムが用意されております。これらの取り組みを通じて関連団体と連携をしながら静岡茶のブランド力の向上を図りまして、国内外に向けまして茶の都しずおかの魅力を情報発信してまいります。
 次に、災害対策についてのうち、第四次地震被害想定の中間報告に伴う地震対策の見直しについてであります。
 本県では、三十五年余にわたり東海地震対策を県政の最重要課題に位置づけて、戦略的に地震・津波対策を推進してまいりましたのは御案内のとおりでございます。
 東日本大震災を機に、新たに千年から数千年に一度、まれながら発生が想定され得るレベルツーの地震・津波対策を対象に加えざるを得なくなりました。これを加えた地震被害想定を今策定中でございます。津波の浸水域の拡大による大幅な被害の増加や西日本全域が被災する超広域災害が想定されます。それへの対策が必要になるということでございます。本県のこれまで推進してまいりました建築物の耐震化や津波からの迅速な避難体制の確保、各御家庭における自助の取り組み、地域防災を担う共助のかなめとなる自主防災組織の強化など、東海地震対策は地震・津波対策の基本でございます。レベルツーの地震・津波対策にも有効であると確信しております。
 今後は、こうした対策の着実な推進に加えまして、津波から避難するための施設の一層の確保や津波が乗り越えても壊れずに粘り強く機能を発揮する防潮堤への改良、津波からの早期避難の意識を徹底すること、さらに食料等の家庭内備蓄の強化などハード・ソフト両面の対策を実施してまいります。こうした対策を講じることによりまして、レベルツーの地震・津波が発生した場合であってもでき得る限り被害を軽減し、一人でも多くの県民の方々の命を守るように取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(大石哲司君) 伊藤静岡県理事。
       (静岡県理事 伊藤秀治君登壇)
○静岡県理事(伊藤秀治君) 地域主権改革の推進についてお答えいたします。
 民主党政権が進めた地域主権改革においては、例えば義務づけ・枠づけの見直しでは公の施設の設置管理の基準を都道府県が条例で規定することが可能になりました。またひもつき補助金の一括交付金化では地域自主戦略交付金を創設して一定程度地方公共団体の裁量に委ねるなど、地域がみずからの判断と責任で地域の諸課題に取り組むことができるよう個別の取り組みを推進してきたことは一定の評価がされるものと考えております。
 しかしながら、一方で改革を推進するに当たりましては、国出先機関の地方移管に向けた取り組みに代表されますように、将来の国と地方のあるべき姿を描き役割分担についても見直した上で大局的な見地から個別の具体的な政策を進めるべきものであると考えられますが、こうした見地をやや欠いていた感がございます。
 今後の改革のあるべき姿につきましては、まず国がこの国の形をしっかりと描いた上で、住民に身近な行政は地方公共団体が自主的かつ総合的に担うという改革の理念を明確にして取り組んでいくことが望まれると考えております。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みについてのうち、土地利用計画の見直しについてであります。
 都市計画法などの土地利用に関する個別規制に対しまして、総合的な見地から土地利用の基本方針を示す静岡県土地利用基本計画は、平成二十三年三月に策定されたものであり、新東名の開通や南海トラフ巨大地震の影響等を反映しておりません。東日本大震災以降の状況変化を反映し、内陸のフロンティアを拓く取り組みも踏まえ沿岸部と内陸部それぞれの土地利用のあり方を明確にした基本計画にしていくことが必要と考えております。このため二月一日に開催した県国土利用計画審議会におきまして、安心して生活しなりわいを継続できる魅力ある沿岸部の再生と新たな成長を担う内陸部の形成に向けまして、自然環境と景観との調和、緑地空間の創出による防災・減災機能や居住環境の向上を図ることなどを盛り込んだ基本計画の改正案を示し、御審議いただいたところであります。
 今後、審議会での御意見も踏まえまして市町との調整や国との協議を実施し、さらにパブリックコメントにより広く県民の皆様の御意見もお聞きしながら土地利用基本計画を改正しまして、県土の計画的かつ良好な土地利用を図りつつ内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進に努めてまいります。
 次に、再生可能エネルギーの導入促進についてであります。
 本県では、東日本大震災以降太陽光発電の導入促進に積極的に取り組み、平成三十二年度までの目標である三十万キロワットを八年前倒しで今年度に達成する見込みでありますことから、目標をこれまでの三倍の九十万キロワットに大幅に引き上げ、引き続き強力に導入を促進してまいります。来年度におきましては住宅用の助成件数を一万一千件から一万三千件に拡大するとともに、導入を進める中小企業に対しましては県の制度融資による利子補給率を従来より〇・二%上乗せして支援を行ってまいります。また農業現場への太陽光発電設備の導入を促進する助成制度を新たに創設するほか県民ファンドの活用などにより広く太陽光発電の導入機運を高めてまいります。
 一方、小水力発電では奥野ダムや農業用水への率先導入に取り組むほか、温泉熱発電につきましても東伊豆町と協働して観光地における小型発電設備の実証実験を行ってまいります。富士山麓の豊富な地下水を活用した熱交換システムのモデル設置や洋上風力発電、波力発電の導入可能性調査等にも取り組み、太陽や水、温泉、海洋など本県が有する豊かな自然資源を活用した再生可能エネルギーの導入を促進して、安全・安心で持続可能なエネルギーの地産地消を目指してまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 富士山に係る諸課題についてのうち、登山者の安全確保対策についてお答えいたします。
 県では、多発する遭難事故や登山届の義務化の要望などを踏まえて昨年七月に庁内関係各課で構成する富士登山安全対策会議を立ち上げ対策を検討するとともに、地元市町及び関係者を初め国や山梨県とも協議してまいりました。その結果、従来から行っている夏の登山シーズンの登山道、標識等の整備や富士登山ナビゲーターの配置などに加え、総合的な富士登山の指針となる仮称富士登山ガイドラインを策定することといたしました。ガイドラインでは、十分な装備を持たない登山者に対して一層の注意喚起を促すなど安全な富士登山のための必要事項を明記するほか、特に夏山シーズン以外の遭難リスクと登山の自粛を強く訴える内容とする予定であります。登山道が閉鎖されている期間の登山届については条例で義務づけることはできないものの、遭難事故が相次ぐ深刻な状況であり、登山届が迅速な救助活動に資することを踏まえガイドラインの中で提出を義務づけることとしております。
 今後は、国、山梨県、地元市町、観光事業者などを構成員とする富士山における適正利用推進協議会でガイドラインを決定し、ことしの山開きまでには四カ国語のリーフレットやホームページで国内外の登山者に周知するとともに、登山ツアーを実施する旅行会社向けのガイダンスを行うなど登山者の安全確保に努めてまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 繁田警察本部長。
       (警察本部長 繁田 誠君登壇)
○警察本部長(繁田 誠君) 富士山に係る諸問題についてのうち、遭難事故対策についてお答えいたします。
 初めに、遭難事故の現状でありますが、平成二十四年中、富士山では五十六件、七十人が遭難し対前年比九件、十四人の増加で、件数・遭難者とも十年前の約三倍に増加し過去最悪の状況になっております。
 主な遭難原因は、装備品や情報収集などの準備不足と天候などを無視した強行登山や体調管理不足であり、遭難者の大半は県外者または外国人であります。いずれも登山計画書を提出せず多くは単独登山者であり、七月と八月の夏山登山シーズンは観光気分で登山し道に迷い遭難するケースが多く見られます。
 次に、今後の取り組みでありますが、遭難事故を未然防止するため静岡県や環境省の富士山適正利用協議会と連携した広報活動の強化であります。
 具体的には、昨年夏でありますが、在京アメリカ大使館など十九大使館に登山情報を発信いたしましたが、ことしも関係機関と連携し登山者の耳に届く広報に努めます。また夏山登山シーズンには臨時警備派出所の設置などにより登山指導やパトロールを計画的に行い、夜間の単独登山や事故に遭いやすい登山者への直接指導等を効果的に展開していくこととしております。さらに最近冬期においては裾野市側の登山者が多いことから、裾野警察署の新設にあわせて山岳遭難救助隊員を五人増強し二十七人体制とし、隊員を航空隊に配置するなど空陸一体となった迅速的確な対応ができるよう体制の充実を図ってまいります。
 次に、遠隔操作ウイルスの事件を踏まえたサイバー犯罪対策についてであります。
 御指摘のように、本県における平成二十四年中のサイバー犯罪の検挙件数も前年比九三%増の百八十五件と増加しておりますが、現在まで問題になっております遠隔操作ウイルス等による悪質なサイバー犯罪の発生は認知しておりません。
 今後のサイバー犯罪対策への取り組みといたしましては、対処能力を強化するため、平成二十四年に七人増員いたしましたサイバー犯罪対策室を二十五年度も所要の増員を行うなど体制の強化を図っていく予定であります。また即戦力となる情報処理に関する国家資格を有する者やシステムエンジニア経験者等優秀な人材を採用しサイバー犯罪対策室に配置するとともに、今回のような事件の発生を見越して複雑、困難な事件経験の豊富な警視庁へ常時捜査員二人を長期派遣するほか、複数の県警と合同捜査を組み、先般も首都圏を中心に発生したフィッシングサイトによりクレジットカード情報を盗用した事件を解決するなど、全国のリーディングケースとなる事件の経験を積むことでサイバー犯罪に対する捜査員の実力の向上に努めているところであります。
 その他、静岡県インターネットプロバイダー生活安全協議会及び静岡県インターネットカフェ協議会等民間事業者との連携も図り、サイバー犯罪対処能力を強化してまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 富士山に係る諸問題についてのうち、マイカー規制についてお答えいたします。
 県では、平成六年度に富士宮口でマイカー規制を実施して以来、規制期間の拡大や須走口への導入、乗りかえ駐車場の有料化等、取り組みを充実しながら安全で快適な富士登山と環境保全の実現に努めてまいりました。今年度は両登山口ともマイカー規制を旧盆前の平日を加えた三十四日間に拡大して実施した結果、交通渋滞の原因となる路上駐車の発生日数は昨年度に比べ減少させることができました。また利用者へのアンケートからは規制期間の拡大や乗りかえ駐車場の有料化についても理解が得られたものと考えております。しかしながら規制期間外の平均路上駐車台数が富士宮口で倍増したことに加え来年度は世界文化遺産登録に伴う来訪者の増加も予想されることから、富士宮口では海の日の連休以降連続五十二日間に、須走口では来訪者の少ない平日を除く三十七日間に、それぞれ拡大し実施してまいります。県といたしましては、富士宮口と須走口のそれぞれの登山口ごとに設置している協議会におきまして合意形成を図りながら、マイカー規制の適正な運営に取り組むとともにアクセス道路の整備等にも努め、周辺の自然と調和した安全で快適な富士山観光を支援してまいります。
 次に、公共土木施設の点検についてであります。
 県ではこれまで道路、河川、港湾など工種ごとの点検要領等に基づき、パトロールを含む日常点検や定期点検により施設の適切な維持管理に努めてまいりましたが、笹子トンネルの事故を受け、県管理トンネルの換気設備の緊急点検を実施し、現在その他の照明や標識等の附属物についても点検を行っているところであります。さらに国の緊急経済対策による予算を活用し橋梁や道路ののり面、河川の水門など県民の安全・安心に直接かかわる施設について総点検を前倒しして行う予定であり、点検の結果、緊急に補修が必要な箇所が発見された場合には速やかに対策を講じてまいります。
 また、市町に対しましては、土木技術職員不足への支援を行うため今月二十日に社会資本長寿命化・市町サポート窓口を設置するとともに、民間の専門家等で構成するふじのくに建設技術エキスパートによる技術支援や社会資本の長寿命化計画の策定などの支援を行ってまいります。
 県といたしましては、公共土木施設の点検の重要性を踏まえ今後も市町と連携し社会資本の確実かつ適切な管理を行い、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 池谷健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
○健康福祉部長(池谷享士君) 少子化対策の推進についてのうち、官民一体となった少子化対策の推進についてお答えをいたします。
 核家族化が進行し夫婦共働き世帯が半数を超える中、これまで進めてきた保育所の整備や子育て支援団体の育成に加え企業による子育て環境の整備推進が少子化対策を進める上で大変重要であると考え、議員から御紹介いただいたこうのとりカンパニー制度を創設し、この一年余で二十七社を認証したところでございます。認証を受けた企業からは、従業員の仕事に対するモチベーションが上がった、子育てをしている社員同士が助け合う雰囲気が広まったなど企業活動にも好影響を与えているとの御意見ををいただいており、今後とも制度の普及と認証企業の増加を図ってまいります。
 さらに来年度からは、中小企業団体中央会、商工会連合会、経営者協会、商工会議所連合会の経済四団体と連携して、従業員のライフスタイルに合った働き方や子育てにも配慮した企業経営を推し進める企業を発掘し県内外に発信するとともに、こうした企業をできる限りふやしてまいりたいと考えております。
 また、企業版の合計特殊出生率である企業子宝率という新たな指標を用いて、その数値が高い企業を子育て応援企業として評価したたえることにより、その取り組みを促進してまいります。
 県といたしましては、市町や子育て支援団体に加え企業とも積極的に連携し、官民一体となった少子化対策の推進に努めてまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 吉林経済産業部長。
       (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
○経済産業部長(吉林章仁君) 求職者への実効性ある就職支援策についてお答えいたします。
 県では、来年度離職者を対象とした求職者総合支援センター、新卒者・若者などを対象としたヤングジョブステーションなど現在分散しております就労支援機関の施設と機能を一カ所に集約したしずおかジョブステーションを沼津、静岡、浜松の県内三カ所に新設をいたします。ハローワークの求人検索機と職業照会機能も併設し、ワンストップで相談から就職までの一貫した就労支援を行ってまいります。この機関では、最初に総合案内で相談内容を把握し、若年者、高齢者等の世代や生活環境など個々の事情に応じヤングジョブ相談、シニア応援相談などを実施する体制を整備しており、きめ細やかなカウンセリングを行ってまいります。
 また、個々の就労支援機関が独自に実施してまいりました就職セミナーを一つの体系にまとめることによりまして求職者が自分のレベルに合ったセミナーを受講できますよう工夫をするなど、求職者にとって利便性が高く就職に直結する多様な支援を展開してまいります。
 これに加えまして、さまざまな世代を対象に就職面接会を二十回開催いたしますほか求人の多い福祉介護の仕事について講義形式で学びまして、その後現場を見学するセミナーを二十一回開催いたしますなど労働局、関係機関と連携いたしまして、一人でも多くの求職者が就職できますよう実効性ある就職支援に全力で取り組んでまいります。
 次に、ふじのくにの都づくりの推進についてのうち、食の都づくりについてであります。
 県では、平成二十二年度から食の都づくりに積極的に取り組んでおり、しずおか食セレクションを初め食の都仕事人ウイークは、これまで九回、延べ千百十八人の仕事人の参加を得て四季を彩る食のイベントとして県民の皆様に定着をしつつあります。
 また、仕事人の食を味わうツアーを首都圏の観光業者が商品開発いたしますなど新たな観光資源としても注目を集めております。
 今後は、こうした取り組みを一層加速することとし、先日グランシップで開催した農芸品フェアを来年度は浜松市の開催を予定いたしますとともに、五つの大路ごとに仕事人や直売所に関する情報を掲載したマップを活用したポイントラリーを開催いたしますなど食の都大路を訪れた方々を地域へといざないまして、食の魅力を県内外の皆様に伝えてまいります。
 また、来年度は、新たな取り組みといたしまして生産者団体と連携をしながら東京の秋葉原に県産品のアンテナコーナーを設置することとしており、本県が誇るブランド商品などの試食やテスト販売を行いますとともに本県のお茶の魅力を伝える有楽町の東京観光案内所とも連携をいたしまして、食の都の情報発信と県産品の市場開拓を進めてまいります。
 海外へのアピールにつきましては、静岡市内に料理店を開店したフランスで修行し東京で活躍をされていたシェフや、東京の椿山荘で行った県のトップセールスの際に講師としてお招きをいたしましたスペインで修行されたシェフなど本県出身で世界的にも有名な皆様の力をお借りし、ふじのくに食の都を海外に向け情報発信してまいります。さらに政府において日本食文化をユネスコ無形文化遺産に申請したことから、こうした動きに合わせまして米、茶、魚などの食材が多彩で豊富な本県特有の和食文化の創造にも新たに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 小川危機管理監。
       (危機管理監 小川英雄君登壇)
○危機管理監(小川英雄君) 災害対策についてのうち、富士山の噴火対策についてお答えをいたします。
 昨年六月に富士山火山防災対策協議会を設置し、富士山が噴火した場合に備えまして、市町村や県を超える広域的な避難計画を山梨・神奈川の両県と連携して検討しております。これまでの検討では、溶岩流などから住民を避難させるため地形を参考に富士山を十七の流域に区分し、富士山ハザードマップや気象庁が発表します噴火警戒レベルを組み合わせて溶岩流などの到達時間に応じて避難区域を拡大するとの基本的な方針を固めまして、本県内で合計約五十六万人となる避難対象者数を明らかにいたしました。
 今後は、三県や関係市町村による避難対象者の受け入れ先の調整を行い、本年夏をめどに開催をいたします第二回の協議会におきまして広域避難計画を策定し県民の皆様に公表してまいります。さらに来年度には輸送手段やルートについて広域避難の図上訓練を行いますほか、九月に富士市、富士宮市で開催される総合防災訓練で実際に避難を行い計画を検証した上で二十六年度には三県合同の避難訓練を実施するなど、三県、国、関係市町村等が連携し広域避難計画の実効性を高めますとともに、火山灰対策や砂防対策などを含めました総合的な富士山の噴火対策を進めてまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、初めに静岡式三十五人学級編制についてお答えいたします。
 文部科学省の少人数学級の推進計画は実施が見送られましたが、本県が重要施策として平成二十一年度から取り組んでまいりました静岡式三十五人学級編制は、県単独の加配教員を新たに措置することにより平成二十五年度に完成いたします。少人数学級となったことにより授業で積極的に発言する子供がふえ一人一人の存在感が大きくなったなど、そのよさを実感する学校現場からの声が届いております。一方議員から御指摘のありました教員の負担増や多忙化につきましては、担任外の教員が少ない小規模の小学校を支援するために非常勤講師を増員するなど解消を図ってまいります。
 今後は、市町教育委員会や学校と連携して成果の検証を一層進めるとともに、少人数学級における学習指導の充実のための教員配置や各学校にとって有効となる支援策について検討を進め、静岡式三十五人学級編制の充実を目指してまいります。また国の三十五人学級編制が義務教育全学年で実施されるよう引き続き文部科学省に対して要望してまいります。
 次に、学校部活動の課題についてであります。
 県教育委員会では、部活動は生徒の人格形成に資する重要な学校教育活動であると認識しており、生徒の興味関心、適正等に応じて指導に必要な知識、技能を有する教職員等から適切な指導を受けることができる部活動の推進が重要であると考えております。
 現在、スポーツエキスパート及び文化の匠派遣事業による専門的外部指導者の派遣や大学生ボランティアの活用の取り組みに加え、今年度から高等学校へ部活動指導の非常勤講師を配置するなど指導体制の充実に努めております。さらに指導経験の浅い顧問を対象に効率的で科学的な指導方法や安全、人権に関する研修を実施しているところであります。
 今後も、外部指導者などの活用を推進するとともに、県中学校・高等学校体育連盟や地域のスポーツクラブ等と連携し部活動顧問研修の充実を図るなど、生徒が資質能力を十分伸長し充実感を味わえる部活動の体制づくりに一層努めてまいります。
 次に、学校における体罰についてであります。
 議員御指摘のとおり、教職員による体罰は児童生徒の人権及び人間としての尊厳を損なう行為であり、断じて許されるものではありません。県教育委員会では主催する研修会や校長会など、これまで機会あるごとに体罰の根絶、児童生徒の人権尊重について指導をしてまいりました。
 また、体罰の根絶に係る留意点や部活動指導における留意点を学校に通知し、生徒指導時における体罰防止の具体的な指針を示してまいりました。さらに研修資料「信頼にこたえる〜不祥事根絶のために〜」におきましても体罰問題を取り上げ、教職員としての行動規範や根絶に向けてのチェックポイントを示し、学校現場における体罰根絶に向けた取り組みを継続的に進めております。
 しかしながら、このような取り組みの中、先日浜松商業高等学校におきまして複数の部活動顧問による体罰の事実が判明したことはまことに遺憾であり、生徒、保護者の皆様、県民の皆様に深くおわびを申し上げます。
 現在、文部科学省からの体罰禁止の徹底及び体罰に係る実態把握についての通知を受け、全ての教職員、児童生徒、保護者を対象に調査を実施しているところであり、今後この調査結果を踏まえ教育現場における体罰の根絶を一層徹底してまいります。
 次に、高等学校における発達障害等の生徒支援についてであります。
 旧周智高等学校におけるモデル事業では、受講生徒の満足度が高く、教員や保護者からは学校や家庭での生活に改善が見られたとの意見も多数あり、一定の成果をおさめたものと考えております。発達障害等の生徒は県内のほとんどの高等学校に在籍している現状から、来年度はモデル事業の成果を踏まえ対象生徒を集めて行う専門的な支援とともに各高等学校における支援を充実してまいります。
 専門的な支援といたしましては、旧周智高等学校で行ってきましたコミュニケーションスキルを習得する講座を静岡中央高等学校の通信制課程のシステムを活用して開講するほか、静岡中央高等学校東部キャンパスにおきましても同様の取り組みを開始いたします。
 また、各高等学校における支援に関しましては、巡回相談の充実による学校支援、教職員の意識の啓発、生徒向け支援教材活用の推進役となる教員の養成研修などに取り組んでまいります。
 本県の高等学校における発達障害等の生徒支援の取り組みは、全国に先駆けたものでありますが、県内全域での支援実施や進学・就職に向けた円滑な接続等の課題も認識しておりますので、県教育委員会といたしましては今後も取り組みの検証、改善に努め一層の充実を図ってまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) これで池谷晴一君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 二月二十八日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会いたします。

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