本会議会議録


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令和6年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

天野 一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/27/2024

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 地域振興について
 (1) 農村地域における関係人口拡大
 (2) 東部・伊豆地域の振興に向けた体制
2 浜岡原発に関する知事の姿勢について
3 ものづくり県としての本県経済の活性化について
4 静岡茶の再興について
5 太陽光発電設備の適切な導入について
6 今後の医療、保健、福祉行政の方向性について


○議長(落合愼悟君) 次に六十三番 天野 一君。
       (六十三番 天野 一君登壇 拍手)
○六十三番(天野 一君) 私は、自民改革会議所属議員として通告に基づき知事、副知事及び関係部局長に一括質問方式で質問いたします。
 初めに、地域振興のうち、農村地域における関係人口拡大について伺います。
 先月、県は令和五年度に行政の支援制度を利用して県外から県内へ移住した人が二千八百九十人と四年連続で過去最多を更新したと発表しました。行政の努力に敬意を表します。
 が、私が懸念するのは近隣自治体との人口の奪い合いでは意味がないと思います。少子化の傾向が一定程度抑制できても長期的な人口減少は避けられません。現在より小さい人口規模でも地方の経済や活力を持続させる方針を同時に並行して検討することが必要であると思います。
 最近、関係人口という言葉をよく耳にします。移住した定住人口でもなく観光に来た交流人口でもない、地域と多様に関係する人々を指す言葉であると言われております。変化を生み出す人材は地域に入り始めてきていることも一つの例であります。人口減少でこのような地域外との人材が地域づくりの担い手となることが期待されます。特に農村地域においては都市部と比べて人口減少や高齢化が進み、生産現場でおける農地はもとより農村の環境の保全機能が低下して、このために地域の活力の保全をするためには多様な主体との連携が必要だと思います。
 そこで、農村地域における関係人口拡大について県の取組について伺います。
 次に、東部・伊豆地域の振興に向けた体制について伺います。
 東部・伊豆地域は首都圏に近い立地条件、美しい自然、食、温泉など豊かな観光資源がたくさんあり、私たちはその強みを生かして、知事は柔軟な人材登用をこの東部・伊豆地域に進めてほしいと思いますが、なぜならば川勝県政においては東部・伊豆地域において中部・西部地域に比べて取組が弱かったような感じが私はしております。東部・伊豆地域の振興を推し進めるためにはまず市町との信頼関係の構築が必要だと思います。そのためには東部・伊豆地域に副知事や担当部長を設置するよりも知事自ら陣頭指揮を執るべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いします。
 次に、浜岡原発に関する知事の姿勢について伺います。
 世界で原発を新設、開発する動きが再び活発になってきました。ロシアによるウクライナ侵攻によるエネルギー危機が長期化していることが要因だと思います。国は再稼働を加速することに、原子力の活用を続けるための運転期間の延長そして増設、そのめぐる方針を変更し原子力政策は原発事故が起こって以来最も大きな変化をしようとしております。
 私は、浜岡原発の廃炉を終始一貫して主張してまいりました。それには二つの理由があるからです。
 一つ目は浜岡原発の立地場所であります。浜岡原発は近い将来起こる南海トラフ地震の震源地の想定地域にあります。もし福島原発と同じような事故が起こったとき、近くには日本経済の大動脈である東海道新幹線、東名、新東名が走っており、大規模地震の発生による原発事故が日本の経済を大きく影響する可能性があるからです。
 二つ目は、福島原発のような事故が発生したとき、本県では三十一キロ圏内の十一市町に約九十二万人の人口があることであります。社会的に弱い立場の人もたくさんおります。多くの人が原発事故に巻き込まれます。このことを考えただけでも原発事故が発生すれば静岡県にとって致命的な損害を与えることになります。また原子力発電所を再稼働するには地元の同意が必要です。十一市町の同意も必要とします。つまり世界の原発は止められなくても、私たちは浜岡原発を止めることはできるんです。
 国際社会の一員として、脱炭素化の実現に反対することはできません。しかし福島の苛酷な事故を経験した私たちはその方策として浜岡原発を推進する選択すべきでしょうか。浜岡原発について、知事の所見を伺います。
 次に、ものづくり県としての本県経済の活性化について伺いたいと思います。
 静岡県は、愛知県、神奈川県、大阪府、兵庫県と並ぶものづくり県の上位五県であります。ところが県の製造品出荷額はリーマン・ショックと東日本大震災で大きく落ち込んでおります。リーマン・ショック前の水準まで回復しておりません。
 また、県内市町別に見てみますと二〇一六年から静岡市が浜松市を抜いて出荷額トップになり、その傾向は今日まで続いております。一方浜松市はリーマン・ショック前の水準を大きく割り込み、磐田市も同じようになっております。これは車の完成車メーカーの生産体制が見直しや大手部品メーカーの撤退、生産縮小など幾つかの要因があったと思います。特に輸送機械の比重が高い西部地域に対して電気、科学、多様な産業構造を持っている静岡市が安定的に成長してきたことと要因が考えられます。
 知事は、浜松市長時代三百四十三社の企業を誘致したと言われております。それらが浜松市の製造品出荷額にはあまり寄与しておりません。このことに私は不安を感じます。ものづくりとしての県内経済の活力を維持していくためにも新たな成長産業の誘致、集積に取組が、輸送機械頼みの産業構造から転機を図る必要があります。また県内企業には、従来のビジネスモデルを根本的に見直し、リスクを負っても新製品や技術開発、高付加価値化の挑戦をしていく姿勢が大変これから重要だと思いますが、県の所見をお伺いします。
 次に、静岡茶の再興について伺います。
 今年の新茶の初取引、御祝儀相場で最高値一キロ当たり百十一万円余の高額な単価が示されました。平均単価は大幅に上がって一キロ当たり七万七千六百三十七円、過去最高になりました。
 私は、このことをこれは幸先よしと思いましたが、ただその後の下落幅は連日異例なほど大きく終盤の五月十三日には一キロ当たり千六百十二円にまで落ち込みました。一番茶の生産量は過去最低だった昨年を若干上回りますが、平均単価は十五%程度下落すると見られています。記録的な軟調相場に日本一の茶産地を支える生産者からは悲痛な声が聞こえてきます。
 二〇一九年には、全国お茶産出額一位の座が静岡県から鹿児島県に移りました。現在は辛うじて首位を守っていますが、百年余り続いた静岡県一位という絶対的な地位が崩れてしまったのです。既にお茶は静岡県の基幹産業ではないと断じるJA幹部職員がおります。特産物の一つという見方も出てきました。後継者不足、天候不順、価格低迷との要因もあるでしょう。これで本当によいのでしょうか。
 この十五年間県は「山は富士、お茶は静岡 日本一」と呼ばれるにふさわしい茶の都づくりを推進してきました。その結果、生産・流通の現場より文化事業に多く投資しました。その一つはふじのくに茶の都ミュージアム、第二は世界お茶まつり、第三が世界緑茶協会、三者とも静岡の生産・流通業者を二の次にした文化的なイベントばかりで静岡茶の振興にはつながってきませんでした。またお茶ツーリズムや海外輸出など新たな付加価値を求める動きもありますが、今こそ静岡茶再興に取り組むことが重要ではないでしょうか。
 私は、もう一度原点に返ってお茶の効能についてももっとアピールすることも必要だと思います。中国では古くからお茶は薬、解毒剤として用いられてきました。今から千二百年ほど前日本に伝えられた際もお茶は飲料物ではなく薬として輸入され、お茶を一服という言葉はこれに由来すると言われております。
 新しいところで、コロナ禍の中お茶には新型コロナウイルスを不活性化すると研究成果が複数報告されました。県からお茶とコロナについて研究成果を言ってほしいと小売業者から何度も要望がありました。静岡県立大学では日本の大学では初めて創設した茶業総合研究センターがあります。県内の他大学や公設試験研究機関などをはじめ行政・茶業界共々連携して、新型コロナウイルスはもちろんさらなるお茶の機能を確認しPRするなど消費拡大につなげてほしいと思います。
 そこで、現在の静岡茶について県の考えを伺います。
 次に、太陽光発電の適切な導入について伺います。
 再生可能エネルギーが柱、太陽光発電所の建設を規制する条例を設ける自治体が増えています。その背景には発電規模が大きいメガソーラーをはじめ太陽光発電をめぐるトラブルが各地で起きていることにもあります。加えて近年多発する自然災害で太陽光パネルが強風に吹き飛ばされ発電建設がある斜面が豪雨で崩落したり多くの事例が相次ぎ、二次災害や環境破壊につながったと懸念することが幾つか上がってきました。
 そして、この五月には県内各地の太陽光発電施設の遠隔監視機械が約八百台サイバー攻撃を受け、一部がインターネットバンキングによる預金の不正送金が悪用された事件が明るみに出ました。サイバー攻撃は日々進化し巧妙化し、電気事業を所管する経済産業省も現状を何とかしなければ十分ではないと言っております。
 本県では、市町による地域の特性を踏まえた太陽光発電設備導入の支援のために平成三十年に太陽光発電設備の適正化導入に向けたモデルガイドラインを策定しました。その後伊東市、下田市、函南町など二十三市町で太陽光発電設置規制する条例が制定されました。しかしながら建設に伴う環境破壊や二次災害などといった従来からの問題に加え、昨今はセキュリティの脆弱性が露呈するなど新たな問題も生じてきております。このような大規模な発電設備をめぐるトラブルは全国的に発生していることから国においても状況を把握した結果、方策の充実に取り組んでいるようでありますが、県としても地域の現状を踏まえ状況改善、どのように取り組むか、自然や地域社会との調和など様々な観点を踏まえて太陽光発電設備の適切な導入について、県の所見を伺います。
 最後に、今後の医療、保健、福祉の政策行政について、その方向性について伺います。
 我が国では、高齢化や人口減少が進み地域、家庭、職場という私たちの生活における支え合いの基盤が弱まってきています。人生において様々な困難に直面した場合でも誰もが役割を持ち、お互いの存在を認め合い、そして時に支え合うことで孤立せずにその人らしい生活を送ることができる社会が求められております。これは経済効率、経営感覚だけでないものであります。
 鈴木知事は、五月に「市長は社長だ」という本を出版しました。私も読ませていただきました。その中で自治体経営を企業経営になぞらえ、民間経営の視点のみで行政を語っているような感じをしました。その著書の中では社会的弱者を守る福祉や医療については全く触れられておりませんでした。
 では、著書で触れられていない医療、保健や福祉分野で知事はどのような行政を行っていくのでしょうか。私は社会的に弱い立場にあるものに寄り添い、権利を擁護し社会で支えるような行政が医療、保健や福祉分野では必要であると考えます。
 私の政治信条は「政治はいのちを守るためにある」です。そしてその先に、社会的な弱者を守るために国や県、市町があると考えております。努力が足りない、自己責任だと言って弱者を追い詰めることになりかねない静岡県株式会社という考え方には、私は断固反対します。
 そこで、誰一人取り残さないようにするために、多様化する地域社会のニーズを見合う形でどのように医療、保健や福祉のサービスを維持していくのか。それは企業経営的な感覚ではそれは困難であると考えます。今後の県の医療、保健、福祉の方向について、知事の所見を求めます。以上、答弁を求めます。
○議長(落合愼悟君) 鈴木知事。
○知事(鈴木康友君) 天野一議員にお答えをいたします。
 浜岡原発に関する私の姿勢についてでございます。
 東日本大震災から十三年が経過しましたが、福島第一原子力発電所の事故とその後の経過を見ますと、一たび苛酷事故が起こればその影響は計り知れないものがあります。いまだに帰還困難な区域が残り、数万人の福島県民の方々が地元から離れた生活を送られているという現実がございます。
 また、今年の能登半島地震において志賀原子力発電所が立地する志賀町では震度七が観測され発電所敷地前面に津波が到達するなど、改めて原子力発電所の安全対策の重要性を認識したところでございます。
 一方で、国際エネルギー市場は混乱し国内において電力需給は逼迫をしております。こうした背景の下、国のエネルギー基本計画やGX脱炭素電源法では、脱炭素社会の実現に向け脱炭素電源の利用を図りつつ、電気の安定供給確保のため安全確保を大前提に原子力を活用していくとされております。
 浜岡原子力発電所については、現在原子力規制委員会による世界一厳しいと言われる新規制基準への適合性審査が継続をしており、この結果を踏まえた安全対策工事が必要となります。また燃料プールの空き容量は千八体分しかなく持続的な運転には使用済燃料の保管や処理等の課題があります。
 今後、国の審査が進み新規制基準への適合が認められ再稼働の是非について県の判断が求められた場合には、県としても安全性の確保や諸課題への対応について検証するとともに、関係市町の御意見を伺い総合的に判断してまいりたいと考えております。
 原子力発電所は安全の確保が大前提であります。県といたしましては、県民の皆様の安全・安心のため国に対し厳正な審査を求めるとともに、中部電力に対し徹底した安全確保を引き続き求めてまいります。
 次に、今後の医療、保健、福祉行政の方向性についてでございます。
 高齢者人口のピークと生産年齢人口の急速な減少が見込まれる二〇四〇年頃を見据えると、将来にわたって安定的に医療、保健、福祉サービスを維持していくことは喫緊の課題であります。
 医療分野におきましては、人口構造の変化による医療需要の変化に対応することが重要であります。そのため総合的に患者の病状に対応する医師の養成や地域の実情に応じた病院の機能分化等を推進するとともに、医師の地域間、診療科間の偏在解消に取り組んでまいります。
 福祉分野におきましては、介護需要が引き続き増加する中、地域包括ケアを支える人材確保や認知症に対する正しい理解の促進、在宅医療提供体制の強化等に取り組んでまいります。また生産年齢人口が減少する中、現場へのロボットの導入、ケアプラン作成を支援するAIシステムの導入などDXを支援し、労働生産性を高めてまいります。
 他方、医療や福祉に頼らず過ごすためには健康分野の役割もとても大切であります。予防活動、健康づくり活動や静岡社会健康医学大学院大学と連携した科学的知見に基づく健康増進施策に取り組むことで健康寿命の延伸を図り、将来の医療費、介護費の負担抑制にもつなげてまいります。
 また、近年高齢者の孤立や大人のひきこもりなど地域の生活課題が多様化、複合化しております。高齢者、障害のある方、子供、生活困窮者などに対し包括的に支援する取組や、声を上げることが難しい孤立している方へのアウトリーチ型支援等弱い立場にある方の自立や地域社会への参加を後押ししてまいります。
 議員御指摘のとおり、過疎や高齢化が進む中、弱い立場にある方々にしっかりと手を差し伸べるためには、私がお示しした五つの経営方針に基づき効率的な行政運営を推進することで生み出される人や財源を医療、保健、福祉分野に配分することが肝要です。社会的弱者を守り誰一人取り残さない持続可能な地域社会の実現に向け、将来にわたって質の高い医療、保健、福祉サービスが提供できるよう全力で取り組んでまいります。
 なお、その他の御質問につきましては関係部局長から答弁を申し上げます。
○議長(落合愼悟君) 田保農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(田保 豪君) 地域振興についてのうち、農村地域における関係人口拡大についてお答えいたします。
 人口減少や高齢化が進む農村地域においては、農地等の地域資源を保全する集落機能の低下が危惧されており、農村地域の活力保持には地域外の人材や組織等との連携強化により持続可能な体制づくりが必要であります。
 これまで県では、農村での活動を希望する企業等と地域において五十二件の協定を締結し、企業の持つ資源や人材を活用して荒廃農地解消や特産品開発など地域の課題を解決しております。昨年度からは両者の参画を促進するため、ニーズをオンライン上で共有できるサイト「むらマッチ」を開設し、これまでに十一件のマッチングが成立するなど取組が拡大しております。
 また、農村にフィールドワークの場を求める大学と地域を結びつける取組も進めており、現在十五地域で大学生が棚田や茶園等の保全活動を行っております。さらに本年度からは新たに四地域で協働活動が開始され、地域の担い手として期待されております。
 県といたしましては、人口減少という困難な環境下であっても企業や大学等が参画する協働活動を支援することにより、農村地域における関係人口の拡大を進めてまいります。
 次に、静岡茶の再興についてであります。
 荒茶価格が過去最安値になるなど転換期に直面している本県茶業を再興していくためには、原点に返ってお茶の持つ様々な特徴を再確認しアピールすることで消費拡大につなげていくことが必要であります。とりわけお茶の機能性は消費者の関心が高いことから、県ではその機能を科学的に明らかにするため大学や研究機関と連携してお茶の成分研究に取り組んでおります。これまでに緑茶のカテキンがインフルエンザウイルスの感染を防ぐ効果やテアニンやGABAがリラックス効果を持つことを確認しており、今後も生活に役立つお茶の機能性について研究を継続してまいります。
 また、これらの研究成果から、ChaOIプロジェクトではお茶の機能性を特徴としたお茶関連製品が開発されるなどの成果も現れております。さらに確認された免疫機能の調整やストレス緩和などの効能について県民の皆様に広く周知するため県では活用シーンごとの動画を制作し、今年度SNSやホームページ等で積極的に配信することとしており消費拡大に活用してまいります。
 県といたしましては、お茶の様々な魅力を発信し健康に欠くことのできないものとしてPRすることで国内外の消費を促し静岡茶を再興してまいります。以上であります。
○議長(落合愼悟君) 鈴木経営管理部長。
○経営管理部長(鈴木 学君) 地域振興についてのうち、東部・伊豆地域の振興に向けた体制についてお答えいたします。
 東部・伊豆地域は、首都圏に隣接する地理的な優位性や数多くの観光資源など高いポテンシャルを有している地域であります。この強みを最大限生かしつつ、観光交流人口の拡大やスタートアップをはじめとする企業誘致、移住・定住の促進など人・物・金を呼び込む施策をスピード感を持って展開する必要があります。そのためには県と市町とが双方向のコミュニケーションを一層深め連携を密にしていくことが重要であります。
 そこで、地域サミット等における知事と各市町長との対話に加え、東部、賀茂の地域局長から直接知事に地域の課題を報告する場を新たに設けるなど丁寧に地域の声を受け止める体制を構築してまいります。また東部・伊豆担当の職設置については、今後できる限り早い時期に関係の皆様の御意見を伺いながら最適な体制について検討してまいります。
 県といたしましては、東部・伊豆地域に限らず県内全ての地域の振興のため、知事のリーダーシップの下、県、市町が一丸となりオール静岡で県民幸福度日本一の静岡県の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(落合愼悟君) 村松経済産業部長。
○経済産業部長(村松毅彦君) ものづくり県としての本県経済の活性化についてお答えいたします。
 本県経済が将来にわたり活力を維持し持続的に発展していくためには、本県の県内総生産の約四割を占め成長の原動力となる製造業の活性化を図ることが不可欠であります。特に多くの雇用と付加価値を創出する自動車関連産業はEV化や自動運転など百年に一度と言われる大転換期を迎え、直面する課題に迅速に対応する必要があります。このため県では、次世代自動車センター浜松や県産業振興財団などと連携して中小企業の次世代自動分野への参入や航空機、医療機器など新分野への挑戦を積極的に支援しております。
 また、こうした取組と並行して将来の県内経済を牽引する新しい産業を創出するため、GXやDXの視点も取り入れオープンイノベーションによるプロジェクトを展開しております。
 例えば、来月清水港で海洋関連分野における技術開発や新事業展開を支援するBLUE ECONOMY EXPOを初開催するほか、県内企業とスタートアップとの協業を促進するTECH BEAT Shizuokaを継続実施いたします。
 社会の変容や新たなニーズに的確に対応できるよう、地域経済の基盤となる中小企業の底上げや企業誘致の一層の推進、革新的な技術を有するスタートアップと県内企業との融合によるイノベーションの創出などを通じてものづくり産業の活性化に取り組んでまいります。
 次に、太陽光発電設備の適切な導入についてであります。
 本県では、全国トップクラスの日照環境を生かし自然環境への負荷が少ない住宅や遊休地等への太陽光発電設備の導入を促進しております。一方、森林開発等を伴う大規模設備については防災や環境への影響などに対する地域住民の懸念も大きいことから、平成三十年に県がモデルガイドラインを策定し住民との事前協議や事業各段階における届出などの基準、手続を定めた市町独自の条例の制定等を支援しているところであります。
 こうした中、経済産業省では地域と共生した設備導入の規律を強化するため、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法を改正し本年四月に施行しました。改正法では事業計画の認定要件として周辺地域に対して事業内容を事前周知することを追加したほか、森林法や砂防法などの許可を認定申請前に取得することを義務づけました。
 また、二次災害防止につきましては設置する太陽光パネルの傾斜度に応じた適切な防災措置や降雨量、地質等を考慮した排水対策などの技術的基準の考え方が整理されたほか、電力分野のサイバーセキュリティ対策についても現在国が設置した有識者会議で議論されております。
 県といたしましては、改めて法改正の内容について市町への周知を徹底するとともに、市町と連携し事業者に対して法律等の遵守を求めるなど地域と調和した太陽光発電の適切な導入を推進してまいります。以上であります。(拍手)
○議長(落合愼悟君) これで、天野一君の質問は終わりました。
 以上で質疑及び一般質問を終わります。

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