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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成21年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

岡本 護 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/10/2009

会派名:

平成21


質疑・質問事項:

1 危機管理について                         
   災害同時発生時の体制                      
2 限界集落対策について                       
3 耕作放棄地の活用について                     
4 次世代エネルギーパークについて                  
5 企業の森づくりの促進について                   
6 競技力向上について



    ○副議長 (堀江龍一君)  これで宮沢正美君の質問は終わりました。
     次に、 六十九番 岡本 護君。
            (六十九番 岡本 護君登壇 拍手)
    ○六十九番 (岡本 護君)  私は平成21所属議員として当面する県政の諸課題について、 知事並びに関係部局長、 教育長にお伺いいたします。
     初めに、 災害同時発生時の県の体制についてお伺いをいたします。
     県は、 本年度より一元的な危機管理体制を構築し、 北朝鮮からのミサイル発射や新型インフルエンザなど危機事案への対応を行っています。 特に新型インフルエンザにつきましては、 対策本部を設置し部局を越え一元的な危機管理を行っているところです。
     新型インフルエンザの対策が、 感染の封じ込めから重症患者に対する医療提供体制の整備を中心とする対策に方針転換され、 また県内では感染の勢いが落ち着きを見せていたやさきの八月十一日の早朝、 駿河湾を震源とするかなり強い地震が発生しました。 県は遅滞なく災害対策本部を設置し、 本部員会議や対策会議を開催、 被害情報の収集や情報発信を行うなど万一の事態に備えてきましたが、 幸い大きな被害は少なく短期間で災害対策本部を閉じることができました。 こうした迅速な対応をとることができたのは地震の規模によるものだけでなく、 これまで県が進めてきた体制整備や訓練のたまものではないかと考えております。
     今回の地震で建物の耐震性への県民の関心は高くなってきたと言われるものの、 食料や水などの備蓄をしないで避難所に行けば行政が何とかしてくれるなど、 安易な気持ちでいる家庭がまだまだ多いのではないかと心配するところであります。 また事業継続計画いわゆるBCPを知らないという中小の事業所も多いとの報道もありましたが、 災害対応が他人事のように受けとめられている感があり懸念するところであります。 行政だけで災害対策のすべてを行えるわけではないことは明白で、 家庭や事業所それぞれが日ごろからの対策、 備えをするという意識を持つことが防災対策として最も大切であると考えます。
     さて、 本格的な冬の季節を迎え新型インフルエンザの感染者はますます増加しております。 本県においても十一月下旬には一週間で約四万七千人の方が感染していると推計されております。 ワクチン接種は始まりましたが副反応等を心配する方もあり、 不安を募らせているところです。 一方県の職員は日ごろから健康管理に留意していると思いますが、 今後職員の家族や職員自身が感染するケースがふえるのではないかと心配をしております。 県内において新型インフルエンザの感染者が急増し職員も同様の状態になったとき、 東海地震等自然災害が発生した場合、 同時に複数の対策を果たして講じられるのか心配でなりません。
     過日、 新型インフルエンザ対策特別委員会で神戸、 大阪、 京都を視察した折、 災害が重複して発生したときの対策をお聞きしましたが、 いずれも明確な答えはありませんでした。 往々にして災害などは重なるものであります。 ですから大地震が予想される本県こそ、 そのお手本となるような体制を災害同時発生時にどのようにとり、 対応するつもりかをお伺いいたします。
     次に、 限界集落についてお伺いいたします。
     過疎地域や中山間地域などに所在する集落は、 居住の場であることはもとより地域の伝統文化を維持しつつ、 農地の管理や森林の保全を通じて自然環境を守り水源の涵養、 下流域における土砂災害の防止、 さらには地球温暖化の防止など多面的、 公益的に大きな役割を果たしております。 しかしながら、 これらの集落においては若年層の流出に歯どめがかからず人口減少や高齢化が急速に進み、 空き家の増加、 森林の荒廃、 耕作放棄地の増加などさまざまな問題を抱えております。
     県内の過疎地域における三百六十五集落のうち六十五歳以上の方が五〇%以上を占める集落が九十一集落あると承知しておりますが、 今後さらなる人口減少、 高齢化の進展によりこうした集落がさらに増加するとともに、 社会的共同生活の維持が困難な状況にある、 いわゆる限界集落となることを危惧しております。
     そこでまず、 過疎地域等における集落のこうした現状に対して県としてどのように考えているのか所見をお伺いいたします。
     また、 限界集落を再生することは現実的には非常に難しいことであると感じておりますが、 こうした集落が安心・安全に暮らせる地域として健全に維持されるよう、 住民の方々の暮らしを支えていくことが限界集落対策の基本中の基本であります。
     私はこの夏、 予算ヒアリングのため浜松市内のある限界集落を訪ねました。 そこは住民約六十人の集落でした。 出席くださった皆さんから多くの意見、 要望をお聞きすることができました。 高齢者のひとり暮らしでごみ捨てもままならず、 隣に頼もうにも同様で無理なこと。 買い物も困難を極め物資はリフトで搬送している家庭もあるとのことでした。 そして出席者が一様に口にしたことは、 このままでは将来の生活が立ち行かなくなってしまうという心配でした。 加えていっそのこと、 町なかに集合住宅を建ててもらい集落みんなで暮らすことも考えているとのことでした。 返す言葉がすぐには見つかりませんでした。 まさに長年この地に住み郷土を守り続けてこられた皆さんですが、 文字どおりその限界を感じている様子でした。
     以上のように住民の皆さんの意向を踏まえ、 基幹的な集落などに移転していただくことも一つの方法と考えますが、 県の御所見をお伺いいたします。
     次に、 耕作放棄地の活用についてお伺いをいたします。
     農林業センサスによると県内には約一万一千八百ヘクタールの耕作放棄地があると聞いております。 私の住む浜松市は昔から野菜や花などの農業が盛んな地域でありますが、 同センサスによると県全体の二割に当たる約二千四百ヘクタールが耕作放棄されているとのことであり、 事実市内各地には草が生え荒れ地となっている農地を目にすることが多くなりました。 タマネギの産地である南部地域でも高齢化による担い手不足により耕作放棄地が増加しており、 このままでは産地として維持できなくなるのではないかと危惧しております。
     このようなことから、 耕作放棄地の解消はもとより解消しても再び耕作放棄地が生まれないようにすることが緊急の課題であると考えます。 このためには、 担い手が新たな技術の導入や規模拡大を図るなどによって収益性の高い農業を営むことはもちろんのこと、 市民農園、 学校教育への利用など多様な担い手による多様な活用を推進し、 継続的な活用が図られる仕組みをつくることも最も重要と思われます。
     また、 耕作放棄地を活用し米の新たな用途として注目を集める米粉用の稲を作付し、 加工技術等を高めることにより米粉を活用した商品を創造していくことも必要であります。
     さて、 ここで自給率について少し触れます。 今さら申すまでもなく、 日本の食料自給率はカロリーベースで少し上昇したものの四一%と言われています。 そもそも自給率をカロリーベースであらわすのは日本独特のものと承知しており、 数値がひとり歩きしている感があると指摘されているのも事実です。 また家畜など国内で生まれ育てられても飼料が輸入ならば、 それは自給率の計算に参入されませんし、 日本のきめ細かな労働による付加価値も評価の対象ではありません。 我が国では自給率一〇〇%を超すのは主食用の米だけです。 ですから米をもっともっと有効に使うべきです。 酒田市のある牧場では純粋金華豚を 「こめ育ち豚」 として市場に出荷し、 スーパーなどで売られている価格より六倍から八倍の高値でもすぐに売り切れるほどの人気商品と聞いております。 その牧場も、 当初は米は人間の食べる物だとの認識から、 豚のえさにするとはとんでもないと後ろ指を指されたこともあったようであります。
     その他、 米粉にしてパンやめんをつくるなど、 工夫によって十分米を生かす道はあろうと思います。 しかし私たちの静岡県は米の生産量よりも消費量が多い県であることを忘れてはなりません。 加えて、 多くの食料を海外から輸入している事実と、 その一方で大量の残飯をごみにしている現実を見逃してはなりません。
     ここで耕作放棄地対策に話を戻しますが、 磐田市にある農産物直売施設では地元産の農産物にこだわった販売をしており、 直売所の多様なニーズに対応した農産物の生産などを推進することにより、 耕作放棄地の解消や抑制に役立っていると感じております。 県内の耕作放棄地が活用されれば食料自給率の向上につながり、 県民への農産物供給がふえ地産地消にもつながるものと思われます。
     そこで、 県は耕作放棄地の活用にどのように取り組むのか知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、 次世代エネルギーパークについてお伺いいたします。
     国連気候変動サミットにおいて、 鳩山首相が表明いたしました温室効果ガスの排出量を二〇二〇年までに一九九〇年比二五%削減する目標と、 鳩山イニシアチブは世界から高い評価を受け日本のリーダーシップに期待が高まっています。 加えて、 過日アメリカ、 中国が相次いで具体的な目標数値を示すなど環境への取り組み機運は高まっております。 一方国内では、 家計負担の増加への不安や経済界からは戸惑いと反発の声も上がっていますが、 地球環境の保全は人類共通の課題であり地球温暖化防止は待ったなしの状況に追い込まれていることを忘れてはなりません。 削減が困難と言う前に今からできることは何か、 どのようにすれば実現できるか、 政府、 自治体、 国民、 県民それぞれが考え一体となって取り組むことが必要であると考えます。
     経済産業省では、 新エネルギーを初めとした次世代のエネルギーについて、 小学生から高齢者までの国民各層が実際に見て触れる機会をふやすことを通じてエネルギー問題の理解の増進を図るため、 太陽光等の次世代エネルギー設備や体験施設等を整備した次世代エネルギーパークを推進しております。 平成十九年度に六件が初めて認定されてから現在まで二十五件、 既に一道二十二県を数えるに至っております。 運営主体は自治体単独や民間が加わる協議会方式などさまざまで、 パークの考え方も県全体を一つの公園として見立てる例や、 佐世保市ではハウステンボス、 札幌市では円山公園を区域とするなど多様な形態があり新たなモデルとして全国的な広がりを見せております。
     県内には、 この次世代エネルギーパークに早くから注目し視察や研究を重ねるNPO法人があり、 静岡らしい新しいパーク構想の検討を進めております。 県は新エネルギー導入に向け、 太陽光発電や風力発電施設などの率先導入や普及啓発に努めていることは承知しておりますが、 今後一層の温室効果ガスの排出削減が求められる中、 県民の取り組みの促進と理解を得るため次世代エネルギーパークは有効な方法であり、 行政と民間が連携して取り組めばより効果が上がると考えます。
     そこで、 地球温暖化防止のかなめとなる再生可能エネルギーの普及に向けて次世代エネルギーパークに取り組むべきと思いますが、 県のお考えをお伺いいたします。
     次に、 企業の森づくりの促進についてお伺いいたします。
     本県には、 日本を代表する富士山を初め大井川源流に広がる三千メートル級の山々が連なる南アルプス、 天竜美林など表情豊かな森林資源があります。 県土の約六四%を占める森林は、 木材の提供のほか二酸化炭素吸収機能、 山地災害防止機能、 保健休養機能など数多くの恵みを我々に与えてくれます。 その一方で、 木材価格の低迷などから間伐を行っても搬出する経費が不足するなどの理由で、 一部の質の高い間伐材を除いて、 ほとんどが利用されずに林内に放置されている状況を目にすることが多くなりました。 本来なら森林整備を通じて供給される木材は十分に生かされるべきであります。
     森林資源は大きな価値を生み出す宝であるということを考えると、 非常にもったいない状況だと感じております。 日本人は古くから建築資材やエネルギー源などとして木材を活用する中で、 森林と上手につき合い森林を愛する文化を持っていました。 私は森林資源を最大限に活用していくことが豊かな森づくりにつながるものと考えております。 県内の森林資源の循環を促し元気な森を育てるために間伐材の有効活用が必要だと考えております。
     一方、 世界各国で環境エネルギー分野への投資により景気の浮揚と雇用の創出を図るグリーンニューディール政策が注目され、 地球温暖化防止を初めとした環境問題への関心がますます高まりを見せております。 こうした中、 企業活動において独自に温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みが進められておりますが、 こうした取り組みとあわせ企業は社会的責任を果たすため二酸化炭素吸収源としての森林にも注目し、 植林や下刈りといった作業や地域に根づいた森づくりなど、 さまざまな企業の参加による森づくり活動が各地で広がりを見せているところであります。
     そこで、 企業による社会貢献活動を活用して森林内に放置された間伐材の利用を促進することができるのではないかと考えますが、 県として今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
     最後に、 競技力向上についてお伺いいたします。
     昨年八月の北京オリンピックやことし三月のWBCでの日本選手の活躍は、 国民に夢や希望、 感動を与え、 明るく活力ある社会を築く基盤となっています。 国内においては、 都道府県対抗で競う国民体育大会やインターハイ、 全国高等学校野球選手権大会等の全国大会での本県選手の活躍は県民やマスコミの注目度も高く、 県を代表して戦う選手を応援することで郷土愛が生まれ活力ある県土づくりに大変寄与しております。
     近年の高校野球における本県代表の活躍は野球王国の復活を感じさせてくれますが、 国体の成績は思わしくありません。 平成十五年の静岡国体での男女総合優勝以来、 男女総合成績は十三位、 十九位、 二十一位、 十五位、 十九位、 二十一位と低迷傾向にあり、 スポーツ王国しずおかの実現を目指す本県としては、 いま一歩の成績と言わざるを得ません。
     それでもことしの新潟国体では、 陸上競技少年女子千五百メートルで中学三年の木村選手が高校生を抑えて優勝し、 また少年男子百メートルでインターハイ二位と苦杯をなめた飯塚選手が雪辱を果たして優勝、 さらにボートでは少年女子選抜チームが四十五年ぶりに優勝を果たすなど、 次世代を担うジュニア選手の活躍が県民に明るい話題を提供してくれました。 今後の競技力向上が期待されます。 また入賞には届かなかった選手も頂点を目指して日々努力精進しており、 こうした競技に取り組む真摯な姿勢や言動、 立ち居振る舞いは仲間や後輩たちの手本ともなっています。 このようにスポーツはただ単に勝敗を競うだけでなく、 協調性や社会性を身につけるといった人づくりの一つであると考えます。
     さて、 知事は所信表明の中で 「文武両道は言うに及ばず、 文武芸三道の鼎立を目指す」 として、 「学問、 スポーツ、 芸術いずれの分野においても、 すぐれた人材を県内各地から輩出することを理想とする」 と述べており、 私としては文武芸の武に当たるスポーツの振興のうち特に競技力向上についてさらに充実してほしいと考えますが、 御所見をお伺いいたします。
     私の質問は以上ですが、 最後に申し上げます。
     知事は、 我が静岡県を 「住んでよし、 訪れてよし、 働いてよし、 学んでよし」 の理想郷にしたいと述べておられます。 知事と同じように理想郷を掲げた人物がおります。 あの 「雨ニモマケズ、 風ニモマケズ」 の作者宮沢賢治であります。 彼は詩人のみならず地質学の科学者でもありました。 さらに世界の共通語としてエスペラント語の普及に情熱を注ぎました。 その彼は郷土岩手県をイーハトーブと呼んでおりました。 エスペラント語で理想郷の意味があると言われております。
     もう一人おります。 アメリカの詩人で実業家のサミュエル・ウルマンであります。 彼が八十歳の記念に出版した詩の 「青春」 にこうあります。 「青春とは、 人生の一時期のことではなく心の持ち方を言う。 青春は時には二十の青年よりも六十の人に青春がある、 年を重ねただけで人は老いない。 理想を失ったとき初めて老いる」 とあります。
     そしてもう一人は申すまでもなく我が静岡県知事川勝平太氏、 あなたであります。 学者であり政治家の知事は前述の誰よりも理想郷の実現に一番近いところにおられます。 ですから持てる情熱とスピードで県民の要望に一日も早くこたえられるよう期待するところであります。 この部分は質問ではありませんが恐らくコメントをいただけるものと思っております。
     加えて最後の最後になりますが会派を代表して一言申し述べさせていただきます。
     このたび川口正俊副知事、 花森憲一副知事の両氏は本年末をもって御勇退されることになりました。 両氏は三十有余年の長期にわたり静岡県職員として御活躍をされ、 平成十九年四月からは副知事として前知事の片腕となり県政を支えてこられました。 この御功績は多くが認めるところであります。 加えて本年七月からは川勝平太新知事のもと、 従来の経験を生かしつつ知事を支え脇役に徹したその姿勢は改めて評価するものであります。 このたび惜しまれながらも御勇退される両氏に改めて敬意を表し、 今後一層の御活躍を御祈念申し上げ感謝の意を表するものであります。
     以上で私の質問を終わります。 (拍手)
    ○副議長 (堀江龍一君)  川勝知事。
            (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事 (川勝平太君)  岡本護議員にお答えいたします。
     初めに、 耕作放棄地の活用についてであります。
     農産物を生み出す農地は、 長い年月をかけ先祖代々の農家の方々により耕作され維持されてきた貴重な資源でありますことから、 耕作放棄地は農地本来の機能が発揮できるよう一刻も早く再生し活用すべきものであります。 日本の耕作放棄地の割合は一〇%弱、 しかし本県における耕作放棄地の割合は二〇%弱ということで、 これは決して誇れることではありません。 そのためにこの耕作放棄地の解消というのは喫緊の課題であると存じます。
     県では比較的解消しやすい二千ヘクタールの耕作放棄地を早急に再生することを決めました。 これらの農地を継続して活用していくためには、 積極的な農業経営に取り組もうとしている農家に集積していくということが一つの重要な方法になると存じます。
     例えば浜松市の酪農業の協同組合が、 三十ヘクタールの農地で  旧来の遊休農地で家畜飼料用のトウモロコシを栽培し始めたという事例もございます。 また同じ浜松では、 JAが仲介いたしまして数十ヘクタールの耕作放棄地を再生し、 機械化による大規模なタマネギ栽培を行いまして産地の再興に取り組む計画もあると伺っております。 あるいは藤枝市におきましては、 中山間地域の農業者が製薬会社と契約して、 大規模な薬草の栽培を行うという計画をされているというようなことでございます。
     こうした経営規模を拡大し専業農家を育成していくということのほかに、 例えば島田市におかれまして、 信用金庫が新しい定期預金を組まれる方に対して、 信用金庫のほうでお借りになった土地を定期預金者にお貸しするという、 これもすばらしい一つの企業の耕作放棄地に対する解消の試みであるというふうに評価しております。
     本県では二〇%弱という平均ですけれども地域差があります。 この地域差をしっかり認識していただきたいと存じます。 農林事務所が管轄している地域では  七つに分かれておりますが  あえて数字を申し上げますと、 賀茂地域におきましては耕作放棄地が四九%です。 まことに恥ずかしい。 東部地域におきましては二〇%、 富士地域一八%、 静岡を中心にした中部地域は三〇%、 浜松を中心にいたします西部では二四%、 中遠地域では一三%、 そして志太榛原は九・三%でございます。
     県として初年度におきましては五十ヘクタールの耕作放棄地の解消に乗り出しますけれども、 三十七市町それぞれ耕作放棄地を抱えられていますので競争していただきたい。 この減少率におきまして来年これを発表申し上げたいというふうに思います。 県におきましては、 このような取り組みを各地で実施し耕作放棄地が本来の農産物の生産に活用されるように、 農地集積、 大規模化のための技術支援、 高性能農業機械の導入支援などにより、 耕作放棄地の解消と有効活用に向け関係団体と連携して積極的に取り組んでまいります。
     こういうつくり手側の試みというものが大事であると同時に、 一方で地産地消と言われるときに、 どちらに力点が置かれているかとお考えくださいますればすぐにわかりますように、 土地の物を土地で消費するということに力点があるわけでございます。 地産の物を地消するというところに力点があるということでございまして、 いかにこのふじのくにで楽しくかつそれが結果的に経済力を上げる形で消費されるかと。 それが結果的には供給者側に、 地産側に励みになるということでございますので、 地消におきましてもう少しいろいろな御提言も賜りまして、 我々と協力しながら地消の実を上げてまいりたいというふうに思う次第でございます。
     なかんずく、 最近の健康志向というのは和食文化の流行と相まっております。 和食の一番の基礎になりますのは言うまでもなく米であります。 そしてお茶でありますからこの和食文化を世界に通ずるような静岡風健康長寿の食文化として、 我々が工夫してその楽しみ方を提供するということが求められているのではないかと思います。
     先ほど、 この農業にかかわるところで宮沢賢治のお名前を岡本先生が挙げられました。 宮沢賢治は学校の先生をやめまして羅須地人協会というものを立ち上げました。 この名前の由来はよくわかってはいませんけれども、 その羅須地人協会を立ち上げましたときに 「農民芸術概論綱要」 というものを発表しております。 これは私はマルクスのいわゆる 「ゴータ綱領」 と言われるものにもまさる人類の、 あるいは二十一世紀の人類の指針を示した綱領としてもっと広く知られるべきものであると存じます。 マルクスのあの 「ゴータ綱領」 におきましては、 「これまで哲学者は世界を解釈してきたにすぎない。 大切なことはこれを変革することである」 というふうに言いました。 私はこれは解釈しながら変革しないと、 むやみやたらに変革しても単に破壊になるだけだと思って限界があると思っておりますが、 宮沢賢治はその 「芸術概論綱要」 の中ですべての人が幸福にならない限りはみずからは幸福になれないということを言っております。 あるいはみずから 「微塵となりて無方の空にちらばろう」 と、 宇宙の透明な意思をみずからの中に感じて、 そしてこの世界を美しくしようと、 その中でイーハトーブの理想を語っているわけでございます。
     私は日本の皇太子殿下をお教えになったイギリスの碩学王が日本にお越しになったときに、 日本では京都、 東京、 鎌倉、 日光、 奈良等修学旅行コースは行ったので、 本物の日本を見たいと言われましたときにいろいろ考えましたが  今ならふじのくにに連れてくるわけですけれども  イーハトーブすなわち岩手県に連れてまいりました。 そこに日本の里山といいますか、 農の最も美しい景観があるということでお連れしたわけです。 そしてもう一つは日本海側の福井県。 これはちょうどカニの季節だったものですから日本の海産物の美しさ。 それからもう一つは瀬戸内海。 日本の島国としての海の日本の美しさを示したわけでありますが、 一番最初にイーハトーブ  岩手県というところにお連れしたときに、 やはりそこには大地にはそういう理念というものを生み出す力があるということを感じ、 御本人も大層感激されておられました。 やはり人間の理想というのは、 もちろん都市化してそこで恒産を持つということは大事ですが、 今度それをどう人生の中で総括するかといったときに、 都会で産をなしてカントリーサイドに戻ってカントリージェントルマンとして美しい人生を送ると。 そのためにはしかしインフラ整備がなくては、 つまりいつでも都会に出てこれるということがなくてはなりません。
     そういう意味におきまして、 真の理想がいわば 「帰りなん、 いざ田園へ」 というそこにあるのだと、 そのことを私はもう既に二十世紀の前半期に宮沢賢治は示していたのだというふうに思いまして、 これを今、 日本全体として東の人たちも西の人たちも出会うことのできるこのふじのくににおいて実現するということが大切でありますから、 したがいまして耕作放棄地は二千ヘクタールというふうに  当初は五百ヘクタールと言ったわけですからそれを二千ヘクタールというふうに伸ばしたのはいいですけれども、 それでもまだ一万ヘクタールも遊休地があるということはこれはゆゆしき事態でございまして、 これに対しましては全力をもってこの解消に取り組んでまいりたいと考えております。
     続きまして、 企業の森づくりの促進についてでございます。
     森林は県民総参加で守り育て生かしていくべき緑の社会資本であります。 県では森づくりへの企業の参加を促すしずおか未来の森サポーター制度というのを設けておりまして、 現在十五の企業に間伐や植栽など直接的なサポート活動に取り組んでいただいております。
     このしずおか未来の森サポーター制度というのは、 複数のサポートメニューを企業に御紹介する、 そのサポートメニューに応じた協定の締結を行う、 そして企業の取り組み内容に応じた認定ラベルを付与いたします。 そして整備量に応じたCO2 の吸収量を算出し、 認定書を発行するということにおきまして企業の森づくりへのサポートをするものでありますが、 十五の企業というのはまだ微少であると思います。
     私は各企業がいわば一社一山、 日本における山というのは森でございますから、 そのような志を持っていただきまして、 どこかの森とあるいはどこかの森林組合と締結いただいてどの地域も森林に関与すると。 その関与の仕方は間伐材を使うとか、 あるいはレクリエーションとして使うとかいろいろなやり方があると存じますが、 これはまた学校におきましては一学一山というところにも広げてまいりたいと考えているところでございますが、 企業に関しましては今のこのサポーター制度に加えまして、 企業の事業活動の中で使われる紙の購入を通じまして、 間接的に森づくりに貢献していただく 「ふじのくに森の町内会 『間伐に寄与する紙』」 という新しい取り組みを、 本年十月県内の製紙会社の御協力を賜りまして創設し、 サポーター制度の一層の充実を図ることにしております。
     この新しい仕掛けは、 間伐時に森林内で放置されます木材を紙パルプ資源として御活用いただくために、 通常価格に搬出費用を上乗せした紙を企業に購入していただくことで、 町内会のように皆で御協力し合って森づくりの輪を広げていこうとするものであります。 間伐で得たその材料を、 チラシであるとかパンフレットなどに企業が使っていただくということでございます。
     県といたしましては、 地球温暖化防止を進める上で森林の機能を高めていくことがますます重要となっておりますので、 引き続き森林を愛する多くの企業にサポーターとして御参加賜り県民の皆様とともに、 ふじのくにの森づくりを進めてまいりたいと存じます。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長 (堀江龍一君)  小林危機管理監。
            (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監 (小林佐登志君)  危機管理についてお答えいたします。
     災害同時発生時の体制についてでございますが、 県では現在危機管理センターにおける災害対策本部の要員として約三百五十人を指名しており、 八月十一日の地震の際には比較的被害が少なかったこともあって、 必要な要員をスムーズに確保することができました。 しかしながら、 東海地震などの大規模災害が発生した場合には、 発災初期における要員の確保が極めて困難になることが予想されます。 このため少人数でも機能する体制の検討と、 それに必要な要員数の見直しを開始し、 発災初期に限られた人員で災害対策本部を運営するためには、 災害応急対策として必要な業務にどのように優先順位をつけ、 それをどの程度の人員で対応できるかなどといったことを実践的な訓練を通じて検証しているところでございます。
     今後このような訓練を積み重ね、 その結果をなるべく早い時期にマニュアル化して、 四カ所の方面本部での対応を含め職員に徹底することで、 御懸念の新型インフルエンザと東海地震などの大規模災害が同時発生し要員の確保が困難となる最悪の条件下でも、 少人数で迅速かつ的確な災害応急対策ができる体制を構築してまいりたいと考えております。
    ○副議長 (堀江龍一君)  大村総務部長。
            (総務部長 大村慎一君登壇)
    ○総務部長 (大村慎一君)  限界集落対策についてお答えいたします。
     県では、 過疎地域や中山間地域に対しまして、 市町と連携を図りながら生活基盤整備や産業振興施策を進めてまいりましたが、 過疎地域等の集落は人口減少や高齢化の進行が著しく、 高齢単身世帯の増加やコミュニティー機能の低下など深刻な問題に直面していると受けとめております。
     一方、 集落を取り巻く里山や棚田に象徴される美しい風景や自然の恵みを生かした豊富な農林水産物、 また水源林などは、 都市部を含む県民全体の安心・安全な暮らしを支える源であり、 豊かな水と緑をはぐくむ過疎地域や中山間地域の振興は、 今や県民総意として取り組まければならない課題と認識をいたしております。
     また、 いわゆる限界集落ですが、 六十五歳以上の高齢の方が五〇%以上という点だけで調べますと、 過疎地域の本県の集落三百六十五のうち約二五%  四分の一が該当するようであります。 この限界集落につきましては、 それぞれの置かれている環境や条件が異なりますので、 こうした集落を抱える市町と協力をしながら、 集落の実態や課題を把握し地域の実情や住民ニーズを踏まえた上で取り組む必要があると考えております。  
     このため県としては、 財団法人静岡総合研究機構と共同いたしまして、 人口・世帯動向や医療・福祉、 教育、 購買環境など集落の実態と課題を調査するとともに、 静岡市と浜松市が共同で設置をしている中山間地対策共同研究会に県としても参加をいたしまして、 集落支援員の設置、 集落点検、 さらには議員御指摘の集落移転を含めた集落再編整備などメニューはそろっておりますので、 市町の対応、 各集落の実情、 御意見を踏まえまして、 実効性のある集落対策の具体化に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。 もちろんセーフティーネットとしての現行過疎法の延長につきましても国に求めてまいりたいと考えております。 以上です。
    ○副議長 (堀江龍一君)  丸山県民部長。
            (県民部長 丸山康至君登壇)
    ○県民部長 (丸山康至君)  次世代エネルギーパークについてお答えいたします。
     全国の次世代エネルギーパークの先進事例を見ますと、 太陽光や原子力などの発電施設や科学教育施設を中核とした集約型から、 県内全域にわたる次世代エネルギー施設をネットワーク化した広域型までさまざまな形態がございます。 またその目的も新エネルギーの普及啓発や環境教育にとどまらず、 バイオマスによる農林業の振興やクリーンエネルギーを取り入れた環境に優しい地域を前面に打ち出した観光振興など、 地域の活性化につなげようという試みも見受けられます。
     本県におきましても、 しずおか新エネルギー大賞や全国新エネ百選に選ばれた先進的な施設や取り組みが多数存在し、 次世代エネルギーパークの設置は十分に可能であると考えておりますので、 今後新エネルギーの普及に関心の高い市町や民間事業者、 NPOなどと連携いたしまして、 設置範囲や目的、 運営主体などについて検討をしてまいります。
    ○副議長 (堀江龍一君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  競技力向上についてお答えいたします。
     議員御指摘のとおり、 スポーツは心身の調和した徳のある人の育成に通ずることはもとより、 県民に夢と感動を与えるとともに、 健康で明るい生活を支えることを通して活力ある県土づくりに寄与するものであります。
     県では、 競技力向上事業の三本柱として、 指導者養成、 選手強化、 環境整備を掲げ継続して実施してきておりますが、 中でも優秀な指導者を養成しジュニア期から一貫した指導を行うことが重要であると考えております。 そうしたことから今まで、 一流のコーチを招聘して指導を受ける指導者養成実技講習会や、 中央競技団体の研修会に指導者を派遣する優秀指導者特別強化事業を実施してまいりました。 さらに、 本年度より新たに県内十地区で、 中学校体育連盟と高等学校体育連盟が主催する中・高連携による運動部活動顧問研修会を開催し、 中学校と高等学校の指導者が指導技術の共有化を図るなど部活動顧問の資質向上に努めております。
     また、 今後は国体選手強化合宿等において、 県内の多くの指導者に向けてトップレベルの指導法を学ぶ機会をつくり出すことにより、 指導者の資質や指導技術のさらなる向上を図ってまいりたいと考えております。
     結果として、 これらのことが本県手づくりのトップアスリートの育成につながり、 総合的な競技力が向上していくものと確信しております。
    ○副議長 (堀江龍一君)  これで岡本護君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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