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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

植田 徹 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2016

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 富士山における岳南地域の観光振興について            
2 富士山のごみ対策について
3 富士山周辺地域における生涯活躍のまち構想の展開について     
4 県立静岡がんセンターにおける重粒子線治療の導入について     
5 「ディアナ号」を活用したロシアとの交流について         
6 高速道路の高架下の有効活用について


○五十四番(植田 徹君) この神聖な議場での質問は何回経験しても緊張をいたします。
 さて、午後のひととき、最も睡魔の訪れる時間帯ではありますが、しばしの御清聴をお願いを申し上げます。
 私は自民改革会議の所属議員として通告に従い一括質問方式で、知事、副知事並びに関係部局長、がんセンター局長に当面する県政の諸課題についてお伺いをいたします。
 まず初めに、富士山における岳南地域の観光振興について伺います。
 我が国の観光を取り巻く状況につきましては、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定などによる我が国への国際的注目度の高まりや、ビザの大幅緩和や外国人向け消費税免税制度の拡充を初めとした訪日外国人旅行者の拡大に向けた施策展開が功を奏したことにより明るい状況となっており視界は良好であります。
 このことを示すように、昨年度二千万人に迫った訪日客の勢いは今年度に入ってとまることなく、十月の段階で本年一月からの累計が我が国初となる二千万人を超えたところであります。しかしながら夏は富士山観光でにぎわうはずであろう岳南地域の富士市に住む私といたしましては、この夏の地元の状況を肌身で感じておりますが観光が好調であるとの実感が得られないというのが偽らざる思いであります。
 国の宿泊統計を見ますと、八月の外国人延べ宿泊者数は本県におきましては前年比で一三・七%減となる約十四万八千人、一方で山梨県は前年比五一・四%増となる約十三万八千人と本県に急接近しております。本年七月には富士急行バスが成田空港から外国人観光客を富士山、河口湖へ一直線で送客する高速バスの運行を開始し、富士山のゲートウエーとしての山梨県の位置づけが一層高まりました。また山梨県の浅倉山浅間公園からの富士山が世界有数の旅行情報誌であるミシュランガイドの表紙を飾るなど観光に関する山梨県の動きが大変際立って目立つと感じているのは私だけではないと思うわけであります。
 私の住む富士市は、明治期以降の近代製紙業の発展とともに製紙産業が集積し、全国でも有数な紙のまちとして知られるようになりました。また戦後から高度経済成長期には化学工場を初めとした多くの工場が進出し、静岡県内有数の工業都市として発展してまいりました。一見観光に縁遠いかといえばそうでもなく、その一端をお話ししますと日本最古の物語「竹取物語」発祥の地の一つとなっておりますし、日本三大あだ討ちの一つで一一九三年に源頼朝の家来であった工藤祐経によって親を殺された曽我十郎、五郎兄弟ゆかりの地となる曽我寺、五郎の首洗い井戸、虎御前の腰掛石、玉渡神社のほか、武田信玄の名軍師山本勘助の供養塔もある医王寺など歴史的にも価値がある観光資源も豊富にあります。また富士山の眺望にもすぐれ、市内にビューポイントが多数点在いたします。中でも田子の浦は古くは奈良時代の歌人山部赤人が東国へ着く途中、雄大で神秘的な富士山を見て歌を詠んだところであります。
 将来を展望した際、リニア新幹線が完成し東西交通の大動脈である東海道の存在価値の低下も心配されますが、一方で甲府市に仮称山梨新駅が設置されますことからこの新駅と富士駅、新富士駅を結ぶ南北軸の価値が高まると考えております。そうなれば身延線が間違いなく注目されることとなり、身延線沿線に居住する私としては大いに期待を寄せているところであります。
 今後は、交通事業者を初め多様な主体と連携した地域素材を生かした持続可能な観光地づくりが求められており、そこが富士市の課題であると考えております。さらには来年完成が予定されている仮称富士山世界遺産センターがある富士宮市を初めとした周辺地域との広域連携も不可欠なのではないでしょうか。
 観光地としての魅力を高めていくため、県として岳南地域の観光振興をどのように図ろうと考えているのか、県の所見を伺います。
 次に、富士山のごみ対策について伺います。
 本年七月中旬にトルコ・イスタンブールで開催されたユネスコの世界遺産委員会において富士山の保全状況報告書が審査され、委員から地元自治体と連携し専門家や地域コミュニティーの参画を得て策定された保全管理計画は他の世界遺産の模範になるとの極めて高い評価を受けたことは大変喜ばしいことであり、県民の一人として誇りに思います。
 今後は、報告書に記載された各種の取り組みを着実に実施することが求められることになります。とりわけ富士山の普遍的価値の基礎となる豊かな自然環境を守り、後世に引き継いでいくことが最も重要であると考えます。
 富士山は、かつてごみの山と言われ、昭和五十四年六月に行われた静岡・山梨両県等による大規模な清掃活動ではボランティアなど二万四千人以上の参加を得て一日で約百九十七トンものごみを回収した記録が残っております。その後地元の自治体や地域の関係者による清掃活動、登山者のマナーの向上などにより五合目以上の登山道沿いではほとんどごみが見られない状態まで改善されましたが、国道四六九号線等の富士山周辺の道路沿いでは道路脇の山林内や駐車場等の一部に車から投げ捨てられた空き缶や食料品の空き容器といったごみが後を絶たず、美観を損なうばかりかせっかく訪れていただいた観光客にとっても印象を悪くしております。
 このため、私の地元富士市の大淵地区では大淵地区まちづくり協議会の主催により地域住民挙げてのクリーン作戦が平成十八年から十年以上にわたって続けられております。ことしはあいにくの天候により中止となりましたが、来年以降も続けられると伺っております。昨年までの参加者は延べ八千六百人以上、ごみの回収量は三十七トンにも及んでおり、お住まいの皆様の地元の誇りである富士山に対する愛着の深さには頭が下がる思いであります。この活動によるごみの回収量は昨年も二トンを超えており、クリーン作戦の必要性は変わっておりません。
 また、富士山周辺地域で見られる産業廃棄物の不法投棄も大変な問題であると考えます。県内において毎年三十件から五十件程度産業廃棄物の不法投棄が発見され後を絶たない状況であり、その多くが富士山周辺の地域で行われていると聞いております。富士山周辺はなだらかで広大な山林原野が広がり、幹線道路から外れると人目につきにくく不法投棄がされやすい環境にあります。加えて高速道路等が整備され交通アクセスがよいことから、県外から持ち込まれた廃棄物が捨てられているということも容易に想像できます。
 平成三十二年には東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されており、それに向けたインフラ関連工事に伴う建設廃棄物の増加が予想され、富士山周辺における不法投棄の増加が懸念されます。過去には県外から持ち込まれた硫酸ピッチが富士山麓に不法投棄され、多額の費用をかけ撤去したという苦い経験があります。
 県においては、こうした経験も踏まえパトロールを強化するなど不法投棄対策に取り組んでいることは承知をしております。しかしながら産業廃棄物の不法投棄を根絶していくためには県だけの努力、またさきに紹介したような住民だけの努力では限界があります。関係機関がより一層の連携を深め一丸となって取り組んでいかなければなりません。
 今後、世界文化遺産として世界中の人々を魅了する富士山の貴重な自然環境を美しいまま後世に引き継いでいくためには富士山のごみ対策を総合的に進めていく必要があると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、富士山周辺地域における生涯活躍のまち構想の展開について伺います。
 国は、中高年齢者の地方に移住したいという希望の実現や地方への人の流れの推進、東京圏の高齢化問題への対応などを背景に生涯活躍のまち――日本版CCRC構想を打ち出し、これを進めております。県ではこうした国の動きを踏まえ十月に伊豆半島生涯活躍のまちづくりビジョンを策定しました。このビジョンをもとに来年度は伊豆半島地域でモデル事業を実施し、その後全県に展開していく予定であると聞いております。
 さて、私の地元富士市は、浜松市、静岡市に次いで県内で三番目に人口が多いまちであります。しかしながら全国的な動向と同様に人口減少が進んでおり、国勢調査の結果を見ますとこの五年間で約五千六百人の人口が減少したということであります。豊富な水源をもとに富士市は多くの製紙会社が栄えておりましたが、一九九〇年代の安価な海外製品の輸入などによる紙価低迷で中小製紙会社が経営難となり、二〇〇〇年代前半には製紙業界全体の再編により大手製紙会社も淘汰されるなどここ数十年でまちの状況は大きく変化しました。こうした状況の中でこれまでもまちを元気にするための取り組みを進めてきましたが、今後もあらゆる方策を検討し富士市の再興を図っていく必要があると考えております。
 そこで、CCRC構想について考えてみますと、富士山周辺には美しい富士山の眺望や豊かな海の幸と山の幸、恵まれた自然環境があります。また新幹線で東京まで約一時間という立地に加え周辺都市と比べて土地が安く、大きな病院や介護施設、図書館や文化センターがあるなどCCRC構想の実現に必要な地域資源がそろっているこの地域は、若い世代、働き盛りの世代の暮らしの場としてはもとより第二の人生を送るのにも最適な地域であり、他の都市と比べても優位性が高いと思っております。
 富士市を初めとする富士山周辺地域での生涯活躍のまち構想の展開について、県の所見を伺います。
 次に、県立静岡がんセンターにおける重粒子線治療の導入について伺います。
 県立静岡がんセンターは平成十四年九月に開院し十五年目を迎えております。この間に週刊誌等で行われるがん治療のランキングで常に上位に位置づけられるなど高度な診療体制は高く評価されるところであります。
 この静岡がんセンターでは、開院時より取り組んできた先進的な医療として陽子線治療というものがあります。陽子線治療は従来の放射線治療に比べ、体の奥にあるがん細胞を集中的に攻撃し周辺の正常な細胞への障害を抑えることができるなどの利点があります。静岡がんセンターは国内四番目の陽子線治療施設として診療を開始しましたが、その後陽子線治療は全国的に普及が進み、現在国内では十一施設が運営されているところであります。
 一方で、陽子線治療と同様にがん細胞を集中的に攻撃できる治療法として重粒子線治療がございます。陽子線治療は陽子、すなわち水素イオン原子を光速の七〇%程度まで加速した陽子線により治療を行いますが、重粒子線治療は主に炭素イオン原子を加速した重粒子線を用いて陽子線に比べ大きな粒子を加速することで、がん細胞を破壊する力が大きいと聞いております。重粒子線治療は世界に先駆けて日本で初めて実運用に成功した技術であり、昨年度神奈川県立がんセンターが国内五番目の治療施設として運営を開始したとのことで、今後のさらなる普及が期待されるところであります。
 これらの先進的な治療法は、ことし四月の診療報酬の改正において陽子線治療が小児がんの治療、重粒子線治療が骨軟部腫瘍に保険適用がなされたところでもあります。陽子線治療、重粒子線治療はそれぞれに効果が期待できるがんの種類等に違いがあると考えられることから、陽子線、重粒子線ともに治療できる環境が望ましいのではないのでしょうか。実際に兵庫県立粒子線医療センターでは陽子線、重粒子線治療の両方の施設を備えております。
 静岡がんセンターにおいても陽子線治療に加え重粒子線治療が可能になれば県民にとって大変心強いと思いますが、導入へのお考えを伺います。
 また、粒子線治療においては、放射線治療と同様に通院による治療が可能な場合が多いことから数週間の間に二十回を超える通院が必要な場合もあり、患者にとっては交通至便であることが望ましいと思われます。仮に重粒子線治療施設を増設するのであれば現有地では駐車場などの増築を行ってきたことから手狭な印象があります。
 そこで、静岡がんセンターから新東名高速道路を使い十五分程度で行き来のできる新富士インターチェンジ周辺に宿泊施設を伴った治療施設を新設すれば、患者の利便性にあわせ富士地域の活性化にもつながると思われます。県の所見を伺います。
 次に、「ディアナ号」を活用したロシアとの交流について伺います。
 このことにつきましては、私、平成二十一年九月議会で同様の質問をしておりますが、再度お伺いをいたします。
 くしくも本日十二月八日は七十五年前、太平洋戦争の開戦の日でもあります。旧ソ連との戦争状態終了と外交関係回復を定めた日ソ共同宣言が署名されてからことしで六十年を迎え、今月十五日には山口県でロシアのプーチン大統領と安倍首相の首脳会談が予定されるなど北方領土の返還交渉が注目されているところであります。
 私は本日、北方領土返還運動推進のこの記章をつけて登壇をしております。本年七月に発足しました我が会派の自由民主党北方領土を考える議員連盟の一員として九月に北海道を訪問して、独立行政法人北方領土問題対策協会や北海道議会北方領土対策特別委員会の皆様と意見交換を行ってまいりました。北方領土問題について国家のみならず地域レベルでも認識を深める必要性を改めて感じたところであります。
 特に本県は、一八五五年――安政元年二月七日に現在の下田市において日露和親条約が締結され、両国の国境が択捉島からウルップ島の間に定められるなど歴史的にも大きくかかわっているところであります。このいわゆる下田条約におけるロシア側の使節はプチャーチン提督であり、提督が率いる軍艦「ディアナ号」は一八五四年――嘉永七年十月に下田港へ入港しましたが安政の大地震に遭遇して大きな損傷を受け、修理のために戸田港へ向かう途中大しけに遭い西側に流され富士市宮島沖で沈没をしてしまいました。このとき地元の漁民が総出で救助活動を行い、プチャーチン提督を初め約五百人の乗組員全員が無事救助救出されたとの記録があります。
 さらに、「ディアナ号」の沈没により代替船の建造が必要となったため、戸田の船大工と住民が協力をして天城山の木材を利用して突貫工事で帆船をつくり上げました。プチャーチン提督は人々への感謝の意を込めてこの船を「ヘダ号」と命名するなど本県の先人によるロシアへの貢献は大きなものであったと言えます。
 私の地元である富士市でもこの先人の勇気と献身的な行動に対してロシアから友好の像、プチャーチン提督と日本の漁夫が寄贈され、富士山かぐや姫ミュージアムのある広見公園に屋外展示されております。また最近では沼津市においても「ヘダ号」再建造の動きもあると聞いております。
 そこで、これら「ディアナ号」や「ヘダ号」を通じた歴史的な交流を活用し、今後ロシアとの交流を進めていくべきと考えます。県としての所見をお伺いいたします。
 最後に、高速道路の高架下の有効活用について伺います。
 新東名高速道路の県内区間の開通から四年半余りが経過し、本年二月には浜松いなさジャンクション以西の愛知県区間も開通したことから約二百キロにわたる東名との高速道路ダブルネットワークが構築され、県内では企業立地件数や観光交流客数の増加を初めとするさまざまなストック効果が各地で拡大しております。
 私の地元富士市では、新東名の新富士インターチェンジ付近におきまして来年七月の完成に向け物流団地の建設が進むなど新東名を最大限に活用した取り組みが推進されております。また富士市入山瀬地区におきましては新東名の新富士高架橋の高架下の道路空間を富士市が占有し消防署鷹岡分署や富士西公園を整備したことから、地域住民の安全・安心が確保されるとともにレクリエーションや憩いの場として多くの市民に利用されております。このうち富士西公園には道路高架下という利点を最大限に生かし雨の日でも楽しめるスポーツコートや駐車場等が整備され、併設されている多目的広場などの施設とあわせ老若男女を問わず多くの利用者でにぎわっております。
 このように、高架下が有効に活用されることは、新東名がもたらすストック効果の一つとして今後各地に広がっていくことが期待されますが、富士市内では先ほど紹介した新東名の入山瀬地区のほか東名の岩淵高架橋の下に整備された児童公園や運動場の計二カ所にとどまっている状況であります。高速道路の高架道路を適切に管理し、必要に応じて保全していくことを考えますと、高架下の活用は一定の基準や条件のもとで適否が判断されるべきものと理解はしております。
 しかしながら、県内を東西に横切る東名、新東名には有効活用の可能な高架下が富士市内に限らずまだまだ残されており、広場や公園、駐車場といったにぎわいの場に加え想定される南海トラフ大地震や頻発する集中豪雨等への備えとして防災倉庫や避難所など地域に密着した高架下の活用を求める声が強くなっております。
 このような地域の思いを実現につなげていくためには、地元自治体が中心となって高架下の有効活用を積極的に検討すべきと考えます。県の所見を伺います。以上、終わります。(拍手)
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 植田議員にお答えいたします。
 伝統ある静岡県議会におきまして第百四代議長をお務めになられた植田議員、このたびは自治功労賞おめでとうございました。議場にふさわしい品格ある御質問、謹んで拝聴した次第でございます。
 富士山における岳南地域の観光振興についてお答えいたします。
 岳南地域は、日本の国土のシンボルである世界遺産富士山とその裾野に広がる茶畑の景観を初め富士山に育まれた自然や文化、食などに恵まれ、最近では田子の浦港の名産であるシラスや日本夜景遺産に登録された岳南電車から見る工場夜景など地域の魅力ある観光資源の磨き上げと商品化も活発となってきております。来年二月二十三日の富士山の日には東名高速道路エクスパーサ富士川に富士山、駿河湾、伊豆半島を一望できる約六十メートルの高さの観覧車が開業をされます。同じく来年開館する富士山世界遺産センターと相まってこの地域の観光資源がさらに充実したものとなります。
 岳南地域の観光振興における課題としては、こうした魅力ある観光資源を有機的に結びつけ周遊促進を図っていくことが挙げられます。具体的には今後個人の外国人旅行者の増加が見込まれる中、JR新富士駅等の鉄道各駅から観光地の間の二次交通の充実、裾野市、御殿場市などを含めた観光施設間の連携、さらには山梨県の富士山北麓地域、伊豆や箱根地域との広域連携が重要となっております。
 県議は、リニア新幹線との絡みにおきまして、仮称新山梨駅から身延線に乗って富士、新富士を結ぶ、この観光の可能性に言及されました。思いは同じであります。二〇二〇年のオリンピックの前にリニア新幹線を第一期工事は山梨までとし、そして身延線あるいは中部横断自動車道などを通して南北軸を結ぶということが間違いなく大きな観光資源になるというように思っておりまして、全国知事会ほか折に触れて機会あるごとにこの点を申し上げているところであります。
 県といたしましては、静岡県観光協会内に設置する県域DMO静岡ツーリズムビューローと協働し、外国人観光客のニーズや行動ルートなどの分析を行い、地域の行政、観光団体、観光施設や交通事業者とともに効果的な二次交通のネットワーク化を図るほか、山梨、神奈川両県を含む富士山周辺地域の連携による広域誘客戦略の策定及び誘客活動を展開してまいります。
 さらに、富士市と富士宮市が連携し日本版DMO設立に向けた検討を始めておりますことからDMO勉強会などの機会での助言やマーケティングに精通した人材の派遣等の支援を通じて観光地域づくりを促進し、岳南地域が世界遺産富士山の懐に抱かれる地にふさわしい、国内外から多くの観光客が訪れる世界水準の観光地となるよう努めてまいります。
 次に、「ディアナ号」を活用したロシアとの交流についてであります。
 ロシアとの交流につきましては、これまでの歴史的交流に加え、下田市では平成十二年以降毎年地元とロシアの小中学生が参加する国際友好コンサートが開催されております。また沼津市戸田地区では毎年恒例の港まつりにおきまして「ディアナ号」のプチャーチン提督にちなみましたプチャーチンロードでのパレードや戸田で亡くなった「ディアナ号」乗組員の供養祭が行われるなど県内各地でロシアとの交流を深める事業が続けられております。
 このプチャーチン提督の像が広見公園に屋外展示されていることを今議員の御質問で初めて知りました。その広見公園内にございます富士山かぐや姫ミュージアム、先般、去る八月に秋篠宮殿下と眞子様が来られましたが、私もし知っていればそこにもあわせて御案内できたかとちょっと悔やんでいるところがございます。
 いずれにしましても、本年四月には県東部の有志の方々により「ヘダ号」再建プロジェクト会が発足し、「ディアナ号」の代替船として建造された「ヘダ号」の復元を目指した民間レベルの取り組みも始まっております。県におきましても県立大学とモスクワ国立国際関係大学との間で教員や学生の相互派遣を実施しているほか、SPACがモスクワ国際演劇協会と舞台芸術の相互公演を行うなど学術文化分野を中心に交流を進めてまいりました。
 また、現在田子の浦港にあるふじのくに田子の浦みなと公園におきまして「ディアナ号」を模した歴史的教育施設の整備を進めており、本年度末の完成を目指しております。この田子の浦みなと公園は三十七・七六メートルの展望台、そして山部赤人の歌碑、そして最近船山啓次郎さんがかつて村長でいらしたときに田子の浦の修築に尽力されたわけですが、きょう御欠席の遠藤榮先生の御尽力によりましてこのたび本県の知事もお務めになられました斎藤寿夫先生の胸像も船山さんと相並ぶ形で見事にこの公園内にできまして、先般見に行った次第でございます。
 「ディアナ号」のこの歴史的教育施設は本年度末の完成を目指しており、魅力を高めるものと確信しております。これは現在の富士市田子の浦に当たる地域の人々による「ディアナ号」乗組員の決死の救助活動が地元の方々にとっても誇りとなる国際貢献であり、この史実を後世に伝えたいという強い要望を受けてのものでございます。この施設は実物の三分の一の規模で、内部の展示室には「ディアナ号」の歴史が学べるパネル等を設置いたしまして子供たちに「ディアナ号」の乗組員と当時の人々とのかかわりなどを伝える学習の場として活用することとしており、両国の友好にもつながることを期待しているところであります。
 山口県での、プチャーチンならぬプーチン大統領と安倍首相の首脳会談を一週間後に控えロシアに対する関心が高まる中、経済、文化など多方面にわたる交流が拡大し、両国民の友好と相互理解がより一層深まることは国家間のみならず地域レベルにおいても重要であると考えております。
 県といたしましては、引き続き関係市町と連携し、さまざまな分野におきまして地域外交を積極的に展開し、ロシアとの交流を一層深めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(藪田宏行君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 富士山のごみ対策についてお答えいたします。
 世界文化遺産である富士山では、植田議員地元の富士市大淵地区の一千名を超えますクリーン作戦を初め年間を通じて自治会や学校、民間企業などの多くの方々による自主的な清掃が数多く行われごみの削減に大きく貢献いただいており、大変感謝しております。広大な富士山からごみをなくし訪れた方々に美しい富士山を実感していただくためには、行政はもとよりこうした民間の団体との協働が不可欠であります。
 これまでに、富士山の環境美化を進めるため県ではマナーガイドブックや持ち帰り用のごみ袋の配布による登山者への意識啓発、周辺道路沿いの清掃活動に取り組んでいるほか、地元五市町や企業、団体は閉山日を控えました八月下旬に富士山一斉清掃を実施しております。また県内の不法投棄の発見件数の約五割を富士山周辺地域が占めている状況に対処するため、国、県、市町、民間団体などで構成されます富士山麓不法投棄防止ネットワーク推進会議によるパトロールや街頭キャンペーンの実施、不法投棄された産業廃棄物の撤去活動を行いますNPOや県産業廃棄物協会などへの支援などの取り組みも積極的に進めております。
 今後も、県や地元市町の取り組みに加え、富士山の環境保全に取り組んでいますふじさんネットワークと協力して会員による清掃活動の拡充を図るほか、民間企業と不法投棄の監視活動に関する協定を締結するなど地域の住民や団体との協働により富士山からごみを一掃し、世界文化遺産としてふさわしい美しさを後世に引き継いでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 森政策企画部長。
       (政策企画部長 森 貴志君登壇)
○政策企画部長(森 貴志君) 富士山周辺地域における生涯活躍のまち構想の展開についてお答えいたします。
 人々を引きつける美しい霊峰を仰ぎ見る富士山周辺地域は、医療健康関連産業の集積による魅力ある健康交流都市圏を目指しております。当地域は豊かな自然や温泉、食など多彩な資源を有し、首都圏に近接する恵まれた立地環境から中高年齢者が希望する移住先として大変魅力のある地域であります。
 議員の地元富士市につきましても、富士山や先月世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾、日本三大急流で知られます富士川に囲まれ、新幹線や東名高速道路、田子の浦港などの広域交通網が整うなど移住・定住の促進に適した環境であります。富士市は総合戦略にアクティブシニアの移住促進を掲げており、アクティブシニアが活躍する活気ある未来型のまちづくりが期待されているところであります。
 県では、生涯活躍のまち構想の推進に意欲的な伊豆半島地域の皆様と連携して、ことし生涯活躍のまちづくりビジョンを策定しその実現に向けた取り組みを進めているところです。まずは県内市町の範となる先導的モデルを伊豆半島で構築し、全県への普及を図ることとしております。来月にはこれまでの検討成果を発表し構想への理解を促進するためキックオフミーティングの開催を予定しており、そこには富士市を初め全ての市町に参画を呼びかけ機運を高めてまいります。
 県といたしましては、人口減少を克服し活力ある地域の創造に向け、富士山周辺地域など伊豆半島地域以外の意欲ある市町に対しても制度設計や課題解決に向けた実践ノウハウの情報提供など積極的な連携、支援を行うことにより、生涯活躍のまちづくりの全県への展開を図ってまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 石野がんセンター局長。
       (がんセンター局長 石野眞澄君登壇)
○がんセンター局長(石野眞澄君) 県立静岡がんセンターにおける重粒子線治療の導入についてお答えいたします。
 陽子線治療、重粒子線治療は、ともにすぐれた線量集中性を有し、体の奥にあるがん細胞に集中的にダメージを与えることができることが最大の利点でございます。重粒子線のほうが細胞を攻撃する力が強いという特徴がありますが、がん周辺の細胞に障害を起こす可能性も大きくなります。また、がんにピンポイントに照射するコントロール性は陽子線のほうがすぐれていると言われております。
 陽子線治療、重粒子線治療ともにことしの診療報酬改定において特定のがんに対する保険適用が認められましたが、いずれの治療もより多くのがんへの臨床応用に向けて従来の放射線治療との優劣が検討されている状況であります。また欧米、特に米国では施設設置の費用面から陽子線治療に一本化されつつあると伺っております。
 静岡がんセンターでは、現存する陽子線治療施設により保険適応が認められた小児がん治療――これは筑波大学及び静岡がんセンターが中心となってやっておりますが――これらの治療に積極的に取り組むとともに、他のがん種への適応の拡大を目指した研究をさらに進め一人でも多くの患者さんの治療を行ってまいります。
 静岡がんセンターにおきましては、重粒子線治療を行っている施設の情報を集めながら粒子線等のあり方について今後研究を続けてまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 村松交通基盤部長。
       (交通基盤部長 村松 篤君登壇)
○交通基盤部長(村松 篤君) 高速道路の高架下の有効活用についてお答えいたします。
 新東名や東名など高速道路の高架下が広場や公園として有効活用されることは、コミュニティーの強化やにぎわいの場の創出などの効果が期待され地域の活性化にもつながるものと考えております。高架下の道路占用についてはほかに余地がなく必要やむを得ない場合に限定されておりましたが、平成十七年度に占用許可基準が緩和されまちづくりやにぎわい創出等の観点から必要な場合にも許可されることとなり、利用の幅が大きく広がりました。
 このため県では、新東名の供用前に沿線市町に対して高架下利用の意向調査を実施し、占用に必要な手続が円滑に進むよう支援を行い、これまでに新東名、東名沿線の十九市町のうち十の市町が道路占用の許可を受け、多目的広場や駐車場のほか、地区の集会所や水防倉庫などに活用しております。
 県といたしましては、引き続き高架下の有効活用が地域の活性化につながるよう新東名高速道路建設促進期成同盟会等の場を通じて活用事例を紹介するとともに、占用許可基準や手続等の周知を図り、活用を希望する市町に対し必要な支援を行ってまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) これで植田徹君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 十二月九日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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