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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

田口 章 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/27/2020

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
(1) 令和二年度当初予算編成                     
  ア 会派要望への対応状況                    
  イ 財政健全化の堅持                      
(2) 次期総合戦略                          
(3) リニア中央新幹線静岡工区の今後の進め方             
2 資産経営の視点に基づく行政経営について             
(1) 個別施設計画                          
(2) 市町と連携した資産経営                     
3 官民連携による県営住宅の再生整備について            
4 水道事業の広域連携の進め方について
5 新型肺炎の県内への影響と対応について              
6 次世代産業創出に向けた取り組みについて             
7 ファルマバレープロジェクトのさらなる進化について        
8 科学的知見を活用した健康増進施策の再構築について        
9 地域防災力の強化に向けた取り組みについて            
10 遠州灘海浜公園(篠原地区)基本計画策定に向けた取り組
 みについて
11 多文化共生の推進について                    
12 教育委員会の働き方改革について                 
13 県立中央図書館の移転整備について                
14 高校生に対する交通安全教育の取り組みについて


○副議長(中沢公彦君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十二番 田口 章君。
       (三十二番 田口 章君登壇 拍手)
○三十二番(田口 章君) 私は、ふじのくに県民クラブを代表して通告に従いまして知事、副知事、関係部局長、教育長、警察本部長に分割質問方式で質問させていただきます。
 初めに、知事の政治姿勢についてお尋ねをいたします。
 過日、私「日本の中の地球史」という本を読みました。日本の文明を文化、宗教、民族などの観点から非常に深く掘り下げた本でございまして、日本人としてまた静岡県民としても大きな啓発を受けたところであります。合わせましてその書中に書かれておられました「サピエンス全史」とか「ホモ・デウス」とか、非常に難解ではありましたけれどもこれも読みまして人類の来し方、行く末を考えさせられたところであります。
 この「日本の中の地球史」の著者は川勝平太知事でございますけれども、知事におかれましては世界が非常に大きく変化をするこの令和の新時代のスタートに当たりまして静岡県政を大局観をもって、また大きな心で県のかじ取りを進めていただきますようお願いしたいと思います。
 まず、令和二年度当初予算編成について二点お尋ねをします。
 一点目は、会派要望への対応状況についてです。
 私たちふじのくに県民クラブは、昨年十二月十八日川勝知事に対しまして会派政策の四つの理念「命」「豊」「人」「礎」これに沿いまして新年度予算案に反映すべき政策を提言させていただきました。
 「命」の分野では、次世代の県民が安心して暮らせる環境政策や水循環の確立、さらに従来から進めている地震津波対策に加えましてここ数年多発しております大規模風水害への取り組み強化を上げたほか、誰もが安心して暮らせる社会づくりとして出産、育児を希望する人が思いをかなえられる環境整備や生活困窮者の自立支援、多文化共生の推進などを提言したところであります。
 二つ目の「豊」では、地域経済活性化と雇用創出の観点から新成長産業への支援強化や一次産業の担い手確保と、とりわけ技術支援職員を強化すること、また本県の魅力を生かした文化観光戦略やスポーツの振興などを提言したところであります。
 三つ目の「人」では、特別支援教育の充実、外国人児童生徒への指導体制の強化や教職員の多忙化解消、次世代人材育成支援としてICT教育の推進やグローバル人材の育成などを提言しております。
 最後の「礎」では、徹底した事業の廃止、見直し、歳入の確保、ICTの活用による業務効率化、パブリックコメントにかわる県民参画手法の検討などについて提案をしてまいりました。これらの政策提言を踏まえまして令和二年度当初予算において知事が今後どのようにかじ取りを進めていくのか、御所見をお伺いしたいと思います。
 二点目に、財政健全化の堅持について伺います。
 県は、財政健全化目標として二〇二一年度の収支均衡を掲げて現在取り組みを進めておりますが私には幾つかの疑念がございます。
 まず第一に、ここ数年退職手当債や行政改革推進債など資金手当債と呼ばれる起債が目立つことです。退職手当債は今年度は発行しておりませんが今年度末残高は五百八十五億円となる見込みです。また行政改革推進債はこの二月補正予算でも二十一億円を追加いたしまして、当初予算と合わせて今年度は八十六億円を発行ということになりました。これ、ここ三年続けて発行しておりまして今年度末残高は三百八十三億円ほどになると見込まれます。さらに令和二年度当初予算案においても、これ九十六億円余を予定をしております。
 これらの資金手当債というのは、当座の財源は確保できますけれども交付税措置があるわけでもなく全て後年度の県民負担となる借金であります。他県ではこうした行政改革推進債の増発などによる財政悪化で知事以下幹部職員が給与カットしているところ、議員報酬をカットしている、さらには職員の給与カットも議論をしているところがあります。本県も今申し上げましたとおり、一千億円近いこの資金手当債に頼るような財政運営を続けていると早晩似たような状況にならないか私は懸念をしております。
 まず、こうした起債傾向に対する県の所見をお尋ねします。
 また、それだからこそ必要になるのが事業の廃止、見直しであります。枠配分予算が導入をされまして部局の裁量が高まりました。今後は部局内で事業や施策の評価を行う中でスクラップするものを真剣に洗い出ししていく必要があると思っています。
 私は、事業部門の皆さんは歳入のことを余り考えていないようにお見受けしておりますが、資金手当債のような借金をしてでもやるべき事業なのかどうかよくよく考えていただきたいと思っています。ふじのくに県民クラブは会派要望で事業の廃止や見直しに当たりイベントの抜本的見直しを提案したほか、不用額が多い事業の中に市や町への補助系や事業執行が追いつかない事業があるという特徴があることからこれらの精査を求めたところであります。
 令和の新時代に必要となる新たな事業を進めるためには、過去からやってきた事業を漫然と続けるのではなくこれまで以上に内容を精査しスクラップをする必要がありますが、今後の進め方についてお伺いをいたします。
 次に、次期総合戦略について伺います。
 一月三十一日、総務省から公表された昨年の人口移動報告で本県の転出超過は六千百二十九人、全国ワースト八位ということになっておりました。県はこれまで地方創生総合戦略を策定し取り組みを進めておりますけれども、この数字だけを見ると効果はなかなかあらわれていないと感じます。したがいまして次期戦略に必要なものは地域の魅力を引き出して生かすという観点であろうと思いますし圏域ごと、地域ごとに現場目線でこれをしっかりと確認をしていくことだと思っています。
 十二月二十日、私どもふじのくに県民クラブは次期総合戦略に対する提言としてまず全体について、総花的ではなく重点項目を設定をし大目標を達成するために必要な事業を進めてほしいということや、KPI――キー・パフォーマンス・インディケーターの上位目標としてKGI――キー・ゴール・インディケーターを設定をすること、及び現実的な人口ビジョンに基づき圏域ごとに戦略を検討すべきことなどを提案をしたところであります。
 また、人口減少抑制対策といたしましては若い女性の県外流出対策や若者への支援、さらに外国人の活躍を支援することによる地域活性化を鍵とすることなどを提案しましたし、人口減少適応対策としては地域公共交通の整備促進やAI、ICTの導入による新技術の導入などを提案したところでございます。
 これらの提言を踏まえましていかに次期総合戦略を進めていくのか、所見をお伺いしたいと思います。
 次に、リニア中央新幹線静岡工区の今後の進め方について伺います。
 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事につきましては、流域八市二町を初め多くの県民の皆様から水資源や環境への影響を懸念する声が示されております。川勝知事以下本県がこれまで一貫をして県民の声を踏まえた対応を進めていることに対しまして、ふじのくに県民クラブとして改めて敬意を表したいと思います。
 昨年末、県が国土交通省に出した当面の進め方の申し入れに対しまして一月十七日国土交通省から有識者会議の設置が提案をされました。県は一月三十日、会議の目的をJR東海への指導とすることなど五項目が確保されることを前提としてこの受け入れを表明し、現在はこの事前の協議を行っていると承知をしております。
 一方、JR東海との対話では一月二十四日に引き続き対話を要する四十七項目に対する再見解が示されました。ふじのくに県民クラブは二月七日に勉強会を開催をいたしましてこの内容を検証いたしましたが、専門知識の薄い私たちが見ても幾つかの矛盾点――ポンプの設置など――確認されたところであります。二月十日の専門部会ではまさにこの点が露呈をしたのかなと思っています。今後もJR東海は私たち県民の懸念や疑念に対しまして丁寧に向き合って答えていただきたいと思っております。
 先日、JR東海から補償に関する発言があったようですが私たちふじのくに県民クラブは補償の話よりも先に片づけるべき課題があると考えております。対話を要する四十七項目などしっかり検証した上で次のステップに進んでいきたいと強く申し添えておきたいと思います。
 このような中、国土交通省が新たに設置をする有識者会議では先ほどお話をしたとおり、JRを指導、監督することを目的として設置をされると伺っておりますけれども、今後県はこの有識者会議での議論を踏まえてJR東海とどのように対話を進めていくのかお尋ねをしたいと思います。
 次に、資産経営の視点に基づく行政経営について伺います。
 全国的に統一基準による公会計整備が進んでまいりました。他の都道府県との比較など今後はマネジメントの活用を期待をしたいと思っています。現時点で私が最も効果が期待できると思っているのがこの資産経営の分野であります。統一基準による公会計で整備をされたこの固定資産台帳、これ分析すると感覚的なものではなくて実際の数字でエビデンスに基づいてこの施設の保有状況の評価、あるいは今後の政策的な活用が可能になると考えます。
 例えば、部局別に資産老朽化比率を見ていきますとどの事業分野を優先的にやらなくちゃいけないかというのが明確になりますし、地域別に見るとこれまでの県の施策をチェックすることができます。例えば例を挙げますと、文化観光施設を捉えますと県中部にはこれ一千億円を超える保有資産があるんですけれども西部には二億円ほどしかございません。こうした分析を進めていただきまして仮に今のようなアンバランスがあるとすれば、これ県民の公平性を考慮して今後の政策に生かしていただきたいというふうに思っています。
 先進自治体では、既に予算編成の段階から資産とコストを区分する予算仕分けという手法を導入するところもあり、県もこの一層の公会計の活用を図っていただきたいと思っています。
 さて、そのような脈絡の中でお尋ねしますが、まず私は県が策定をした個別施設計画これについて伺いたいと思います。
 本県は、二〇一五年二月に公共施設等総合管理計画これを策定しました。今般これを改定し県有施設の総量最適化に向けた削減目標を設定をし、今後三十年間で延床面積を一五%削減するといたしました。私は当初から削減目標を設定すべきであると指摘をしておりましたのでこの点一歩前進ではありますが、果たして一五%で大丈夫かと思っています。
 資産経営の要諦は施設の面積ではありません。財務マネジメント上適正かどうかを判断することだと思います。今回の個別施設計画による削減効果額を見ますと、年間の費用が約三百六十六億円かかるところが百三十二億円ほど低減をされ二百三十四億円程度で済むというふうにされています。大きな効果が期待はできます。
 しかしながら、以前公表をしている公共施設等総合管理計画ではこれまでの施設改修にかけられたお金年間平均で約百三十八億円程度ということでありましたので、今のこの現在の計画を進めてもまだ百億円近く足りないというのが現実であります。今回の個別施設計画の対象としては庁舎のほか職員住宅、学校施設、県営住宅など多様な施設類型が含まれますが、今後のこの県の資産経営の進め方をまず伺いたいと思います。
 次に、市町と連携をした資産経営について伺います。
 今お話をしたことを考えますと、今後不可欠になるのが県と市町で連携をして資産経営を進めることであります。現在全国の自治体で個別施設計画の策定に取り組んでおりますけれども、本県は国が示した期限よりも一年間前倒しで現在策定が進められております。特に二〇一四年度にスタートをした行政経営研究会のFM部会では県と市町が連携をしてこのファシリティマネジメントの研究を行っており、公共施設等総合管理計画を策定する際も老朽化のこの状況や将来予測の分析を連携して進めてきたと伺っております。今後はこのこれまで蓄積した施設データを活用をして具体的な取り組みを進めていくことが可能になっていると思っています。
 資産経営というのはよく総論賛成、各論反対の議論になりがちですけれども、これまでの取り組みにより私は具体的な数値、エビデンスに基づく統廃合や老朽更新の推進につなげることが十分可能と思っていますが、今後いかに進めていくかお伺いをしたいと思います。
 次に、官民連携による県営住宅の再生整備について伺います。
 県営住宅は県有建築物の二二・八%を占めております。その再生整備に当たりましては官民連携手法を活用して民間資本やアイデアを生かした事業を進めていくべきと考えます。このような中、来年度当初予算案の中には浜松市中区にある県営佐鳴湖団地の再整備に関する債務負担行為が計上されておりました。県はこれまでも静岡市の東部団地や沼津市の今沢団地で民間活力の導入をしてまいっておりますけれども、今回のPFI事業はこれまでの約二倍の事業規模になると推定されております。
 全国では、既に余剰地の売却や福祉関連施設の併設などそれぞれ地域事情に応じた官民連携による公営団地の建設事例が出てきております。今回の佐鳴湖団地は浜松市内の一等地であるとともに、多くの外国人県民が居住をする多文化共生地域という特徴もあります。市営住宅を合わせた公営住宅全体で見ればダウンサイジングも必要となっていると思います。浜松市と連携する中で地域ニーズを考慮した再生計画を進めていただきたいと思いますけれども、今後の進め方についてお伺いしたいと思います。
 次に、水道事業の広域連携の進め方について伺います。
 ことし一月、和歌山市で水道管の漏水による緊急補修により三日間の大規模断水が計画をされました。結果的にこの漏水管は大きな基幹管路ではなかったため短時間の濁水程度で済んだようでありますけれども、こうした事態は今後県内の自治体でも十分起こり得ることだと思います。
 水道事業の経営改善について、私は二〇一七年九月議会でも取り上げています。しかし当時から全く改善は見られておりませんでして、私の危機感は増すばかりであります。
 管路更新率という指標を再びですが御紹介をします。これ水道管が百メートルあったとしてそのうち一メートルを更新すると管路更新率は一%ということになります。このペースで更新を続けると全ての管路を更新するには百年かかる計算になります。
 県に当てはめますと、二〇一七年度の県内水道の管路更新率は〇・六〇ということでしたので県内全ての管路を更新するには百六十六年かかる計算になります。水道管が百六十六年もつかどうかは言うまでもありません。ちなみに前回質問時に取り上げた二〇一四年度の数字は〇・七一でしたので、更新ペースはさらにおくれているということになります。
 こうしたリスクを考えますと、まず水道事業者が危機意識を持って管路や施設の最適化に取り組むことが必要ではないでしょうか。そしてそこで限られた資源を活用する手段が広域連携となります。
 これまで、行政経営研究会に課題検討会を設置をし取り組んできたことは承知をしておりますけれども、現在の計画では二〇二二年度にやっと広域化推進プランを策定すると、こういうことであります。これまで県はインフラ資産の予防保全や長寿命化を進めてきましたが、水道施設に関しては県民生活の根幹を支えるものであるにもかかわらずいささか遅いのではないかと感じています。国の方針では県が主導をして推進するとされておりますので、今後県としていかに進めていくかお伺いしたいと思います。以上について答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 田口議員におかれましては、「日本の中の地球史」をお読みいただいたとのことで本当にありがとうございます。これは寝っ転がりながら読める内容ではなくかなりレベルの高い本でございます。といいますのも惑星物理学の世界的な権威である松井孝典先生、そして行動生物学の碩学長谷川眞理子先生、亡くなられましたけれども建築家の石井和紘先生、そして東大寺の元別当すなわち華厳経の権威でありかつイスラム学で京都大学から博士号をとられた森本公誠先生これらの方の論考を私がまとめたものであります。
 これはどこが出してくれと言ったかといいますとJR東海であります。そして昨年の夏にこれは出版されました。ですから世間では何かJR東海といがみ合っているかのごとくに思われていますけれども、DCキャンペーンも協力しておりますしこうした学問的なことについても強く要請されて出版になったということでありまして是々非々ということでございます。
 いずれにしましても、お読みいただきましたことに対してはありがたく、私はそういう全体的な観点から県政を進めているところであります。
 さて、田口議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、令和二年度当初予算編成についてであります。
 会派要望への対応状況についてでありますが、令和二年度当初予算は世界のひのき舞台に立つ世界の静岡を加速化し、うるわしく和した令和の時代にふさわしいふじのくにづくりを推進するための予算を編成いたしました。ふじのくに県民クラブの皆様からいただきました「命」「豊」「人」「礎」の四つのテーマから成る御要望に十分にお応えできる予算編成ができたと考えております。
 一つ目の「命」につきましては、生命、環境を大切にする水循環の地域モデルの構築に向け海にかかわるさまざまな人、企業、団体の皆様と連携協働した調査研究や不漁が深刻化している水産資源等の調査に取り組み、美しく豊かな静岡の海を未来につないでまいります。また市町が取り組む防災・減災対策を支援する地震・津波対策等減災交付金につきまして、台風被害の教訓を踏まえ大規模停電対策として予防伐採などの支援メニューを追加いたします。さらに多文化共生社会の実現のため外国人にもわかりやすく配慮された日本語の普及や、外国人患者さんと医療機関がそれぞれ安心して受診、また診療できる環境の整備に取り組んでまいります。
 二つ目の「豊」につきましては、自動運転、次世代モビリティ、MaaS――モビリティ・アズ・ア・サービスの通称マースなど急速な技術革新に対応する県内企業を支援するほか、次世代の経済成長を牽引する大学発ベンチャーを創出するため創業初期のベンチャー企業を支援する取り組みを強化してまいります。またシズオカ・ショックとして国内外を驚嘆させたラグビーワールドカップのレガシーを後世に継承しラグビーの聖地化を進めるとともに、長い海岸線などの魅力ある地域資源を生かしたビーチ・マリンスポーツの振興に取り組んでまいります。
 三つ目の「人」につきまして、特別支援学級におけるきめ細かな指導、支援を充実するため多人数学級にサブティーチャーを配置いたしまして質の高い教育を提供してまいります。また県立学校での一人一台端末の実現に向けタブレット、無線LANポイントを整備するとともに、次世代を担うAI、ICT人材を養成するため小中高生を対象に先端人材の発掘などの取り組みを強化してまいります。
 四つ目の「礎」につきましては、予算編成の指針として新たに明示した予算編成五箇条に基づきまして事業を徹底検証し、ビルド・アンド・スクラップの視点で優先度の高い事業を選択いたしました。また御提案をいただきましたイベントの抜本的見直しや過去の決算等を踏まえた計上額の適正化に取り組みました。さらにシュンペーターの提唱した創造的破壊の観点から、海外駐在員事務所の見直しや観光案内所の体制見直しと県観光協会のマーケティング、商品企画機能の強化など抜本的な見直しに取り組んだところであります。
 御要望をいただきました四つの柱から成る御提言を十分に踏まえ、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催を契機としてスポーツが持つ三つの力、人を励ます力、未来をつくる力、世界とつながる力を最大限に生かし世界の静岡をワンチームで元気にしてまいります。
 次に、リニア中央新幹線静岡工区の今後の進め方についてであります。
 リニア中央新幹線整備と大井川の水資源、南アルプスの自然環境の保全、これらを両立させるために環境影響評価法の手続において設置した中央新幹線環境保全連絡会議の二つの専門部会におきましてJR東海と対話を重ねております。このような中、国土交通省からJR東海との対話を促進させるため交通整理役を行いたいとの申し出がありまして、その後、国土交通省が専門的な助言等をいただくため有識者から成る新たな会議を設置したいとの御提案がありました。
 この有識者会議は中立性、公平性が担保されるものでなければなりません。また最大の問題は水であります。このため環境省、農林水産省、経済産業省等の関与が不可欠であるとの考えをお示しいたしました。その上で五つの条件、第一に「会議は透明であること」、第二、「議題は、引き続き対話を要する四十七項目全てとすること」、第三、「会議の目的は、国土交通省によるJR東海への指導とすること」、第四、「委員選定は、中立公正を旨とすること」、第五、「会議の長は、中立性を確認できる者とすること」、これら全ての確保を前提として有識者会議を受け入れることといたしました。
 昨日、水嶋鉄道局長が午前中の補償にかかわる三者会議の報告に来られると同時に、これらの五つの条件を満たしながら今人選を進めているというお話もございました。
 トンネル工事により大井川の水資源や南アルプスの自然環境への悪影響が生じるのではないかという不安を払拭するためには、県の専門部会におきましてJR東海からの引き続き対話を要する事項四十七項目について県民の皆様が納得できる回答が必要であります。有識者会議ではこれまで県とJR東海との間で行われてきた科学的根拠に基づく対話を検証していただきまして、その結果を踏まえ国土交通省がJR東海に御指導いただくということになります。
 県といたしましては、リニア中央新幹線整備と命の水である大井川の水資源、世界の宝である南アルプスの自然環境の保全これらの両立に向け、まずは今まで県とJR東海で行ってきた対話の状況を有識者会議の委員の皆様にしっかりと伝えてまいります。まだ人選は終わっていません。そして県民の皆様の不安が払拭できるよう有識者会議の見解を踏まえ、JR東海と科学的根拠に基づく対話を徹底的に進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 知事の政治姿勢についてのうち、次期総合戦略についてお答えいたします。
 本県は、日本の国土のシンボルである富士山を初めとする世界クラスの資源群や日本一多彩な農林水産物、世界トップクラスの健康長寿など国内外に誇る魅力に満ちあふれております。次期総合戦略案は議員御指摘の地域の魅力を引き出し、生かすにつながる静岡県の特性を踏まえた人口減少対策の構築を基本的視点に掲げ、ふじのくに県民クラブの皆様からいただいた十四項目に及ぶ貴重な御提言をしっかりと反映したところであります。
 まずは、国に先駆けて設置いたしました有識者会議の提言を踏まえまして地方創生に必要な施策を総動員するという考え方に立ち、実効性の高い施策を盛り込んでおります。また市町や県民の皆様と目指す姿を共有し現場目線で取り組みを加速化するため、五つの戦略と地域づくりの方向性では課題を明らかにした上で施策の方向性を明示し、その効果をはかるKGIとも言うべき成果指標を明確化したところであります。
 人口減少の抑制では、男性と比較して若い女性が就職する割合が高いサービス産業の振興に向けましてデータの活用による新たなビジネスの創出や優良事例の横展開によります生産性の向上を図ってまいります。また首都圏における情報発信の充実により若者の本県での就職支援などに取り組んでまいります。さらにモンゴルやインドネシアでの外国人材の採用活動や日本語教育体制の整備など性別、年齢、国籍、障害の有無などを問わず誰もが活躍することができる社会の実現に向けまして地域活性化の取り組みを充実してまいります。
 人口減少社会への適応では、社会経済の両面から地域活力を維持、伸ばしていく、伸長していくことが期待されるAIなどの革新的技術を活用いたしまして、まちづくりや地域交通の確保、産業や福祉分野の生産性向上などに向けた官民連携の取り組みを積極的に推進してまいります。
 加速する東京一極集中が地方の人口減少に拍車をかけ、地方を疲弊させているという現状を打破すべく新しい国づくりの先導役を担うという強い気概を持って本県ならではの地方創生を追求してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 佐藤政策推進担当部長。
       (政策推進担当部長 佐藤典生君登壇)
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 知事の政治姿勢についてのうち、令和二年度当初予算編成についてお答えいたします。
 財政健全化の堅持についてでありますが、本県では近年企業収益の悪化による県税収入の減少など厳しい財政状況の中、職員数の削減や行政改革の取り組み等により確保された償還財源の範囲内において退職手当債や行政改革推進債等のいわゆる資金手当債を活用しております。もちろん資金手当債を発行しない財政運営を目指してまいります。必要な政策を進めるための財源を確保するため、やむを得ず資金手当債を発行する場合でも将来の県民負担が増大することがないよう通常債の残高を一兆六千億円程度とする新ビジョンの目標の範囲内で活用してまいります。
 財政健全化のための事業の廃止、見直しの今後の進め方につきましては、令和二年度当初予算編成において三百九十三事業の見直しと四十五件の歳入確保に取り組み六十九億円の財源を確保いたしました。来年度以降につきましても厳しい財政状況が想定されますので各部局との対話をより一層深化し、エビデンスに基づく事業評価の徹底を図り、長期間継続している補助金やイベントの見直しなど歳出のさらなる見直しにこれまで以上に取り組み新しい時代に必要な財源を確保し、健全な財政運営を堅持してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木経営管理部長。
       (経営管理部長 鈴木宙志君登壇)
○経営管理部長(鈴木宙志君) 資産経営の視点に基づく行政経営についてのうち、個別施設計画についてお答えいたします。
 県有施設の魅力を高め次世代に引き継いでいくためには、県民ニーズに対応した施設サービスの供給量と持続可能な維持管理コストのバランスをとることが重要であります。このため今後三十年間における人口や世帯数の減少に応じた学校や県営住宅等の施設総量を見込むとともに、庁舎等につきましては建てかえに合わせて可能な限りダウンサイジングなどを進めることとし、延べ床面積マイナス一五%という管理目標を設定したところであります。
 一方で、議員御指摘のとおり財務マネジメントの視点も必要でありますことから、今般策定する個別施設計画に基づき施設ごとに長寿命化の取り組みを適切に実施することで維持管理コストの縮減や平準化を図るとともに、今後見込まれるコストに対応するため新たに県有建築物長寿命化等推進基金を設置し、修繕や建てかえ等に要する安定的な財源を確保することとしております。
 こうした取り組みを着実に推進するためには、各部局が行う施設管理について全体最適となる手段や財源配分が求められます。来年度から新たに設置する資産経営課が中心となり全部局が参画するファシリティマネジメント委員会を最大限に活用するとともに、未利用財産の売却や貸付等による財源確保などあらゆる方策を駆使しながら持続可能な資産経営に努めてまいります。
 次に、市町と連携した資産経営についてであります。
 住民の皆様の理解を得ながら適正な施設管理を進めるためには、具体的なエビデンスに基づく取り組みが必要と考えております。本県ではこれまで行政経営研究会におきまして県、市町で整備を進めている固定資産台帳を活用した施設の建築年度や延床面積、所在地等の情報の共有化に取り組んでまいりました。今後県に続き市町におきまして個別施設計画の策定が進みますと、県、市町の公共施設について施設ごとの管理方針や更新の時期等に関する情報をエビデンスとして相互に共有することが可能となってまいります。施設の老朽化対策につきましては市町の施設情報に応じて建物の劣化診断の実施方法や長寿命化に資する修繕方法等に関する県のノウハウを積極的に市町に提供し、県内の公共施設全体の維持管理水準の向上を図ってまいります。
 また、こうした施設の情報を踏まえながら県と市町あるいは市町同士が情報交換や協議を行う場を継続的に設けていくことで、地域バランス等を考慮した公共施設の立地の適正化や自治体間の垣根を越えた施設の集約化、複合化に向けた取り組みを進めてまいります。
 県といたしましては、引き続き施設情報をエビデンスとして活用して市町との連携を深め、資産経営の視点に基づき県内の公共施設の最適化に努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 官民連携による県営住宅の再生整備についてお答えいたします。
 県営住宅は、少子高齢化や人口減少等の社会情勢を反映した県営住宅再生計画に基づき平成二十八年度からの十年間で管理戸数約一万五千戸を一割削減することとし、集約化を図りながら整備を進めております。
 県営住宅佐鳴湖団地の再生整備事業は、最長十年間で十三棟五百八十戸を解体し四百四十戸程度に建てかえる大規模事業であります。民間事業者がみずからのノウハウを生かし事業全体の中で効率的な設計と施工を行うことにより事業費の削減や工期の短縮等が期待できるため、PFI手法を取り入れることといたしました。
 再生整備におきましては、良好な住宅地である佐鳴台地区に調和した景観、多世代、多文化の交流に配慮した団地となるよう、さらには入居者や地域住民の皆様にとって生活の利便性の向上に資する余剰地の活用、建てかえに伴う外国人県民や高齢者の方々に寄り添った移転支援に対してもPFI事業者に提案を求めてまいります。
 県といたしましては、大規模な建てかえ事業において今後も官民連携手法を活用し市町との連携を図りながら地域ニーズに考慮した再生整備を進めてまいります。
 次に、水道事業の広域連携の進め方についてであります。
 本県では、平成二十八年二月の国からの水道事業経営戦略の策定要請を契機に行政経営研究会におきまして市町と水道事業の課題等の検討を開始いたしました。昨年四月には賀茂地域において事務の効率化となる財務会計システムの共同化を実現するなど市町間の広域連携に向けた取り組みを進めております。
 昨年九月に国が示した県を広域連携の推進役とする方針に先立つ昨年五月には、水道事業の基盤強化を図る庁内会議におきまして水道事業の広域化の進め方や役割分担を決定いたしました。七月からは水道事業者の経営戦略の個別ヒアリングを行い、老朽化した水道施設を使用せざるを得ない状況や経営基盤を強化すべき切迫した状況を確認したところであります。
 この状況の改善に向けて、自己水源に恵まれない東遠地域をモデルにさまざまな事務の連携に関するシミュレーションを行いました。今後県内を五圏域に分けて事務の連携や施設の共同化、事業統合など広域連携パターンを検討し、市町と協議を重ねながら実効性のある水道広域化推進プランを国が要請する二〇二二年度までに策定してまいります。
 県といたしましては、安全で安定的な水の供給が継続できるようこのプランに基づく水道事業の広域連携を積極的に進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 田口 章君。
       (三十二番 田口 章君登壇)
○三十二番(田口 章君) 御答弁をいただきましたが、それぞれにスピードを上げて進めていただきたいと思います。
 二点、再質問をさせていただきます。
 まず一点目ですけれども、財政健全化の堅持のところなんですけれども事業の廃止、見直し、今回私どもの会派も初めて提言をさせてもらったわけですが、かなりやってくれたとは思うんですがまだ緒についたところと思います。
 午前中も少し議論が実はあったんですけれども、私せっかくですね、財政課とその企画部門が一緒になって政策推進局というのをつくったもんですから、だったら事業や施策の廃止、見直しというのを総合計画の評価時に合わせてやるということを、ぜひ積極的に進めるべきだというふうに思っています。
 これまでもですね、財源不足の状況が正しくその部局に伝わっているのかどうかというのは、私どうもまた気になるんですね。財政が十月に編成方針出してこれだけ財源不足ですと、事業の見直しをやってくださいというのがもう恒例行事になっていて、ああまたかみたいな感じでやってきているのかなという気がしないでもありません。やはりやり方を変えて、年間を通してそのPDCAを回していくというふうに変えていただきたいと思うんですけれども、その点についての御所見をいただきたいと思います。
 それからもう一点は個別施設計画のところです。新たに資産経営課を室から格上げというんでしょうかね。やるということを伺いました。ぜひ全庁的に進めてほしいと思うんですが、私やっぱりさっきいろんな県には類型があると言いましたけれども、一番多いのは学校施設なんですね。三七%を占めておりますし、しかも三十年以上が五八%と老朽化もうんと進んでいます。常任委員会でもいろいろこれチェックさせてもらってるんですけれども、計画を見ているんですが面積はあるけれどもそのコストが把握されてない、あるいは記載されてないというふうに見ています。この点についてその教育委員会の部分をですね、いかに進めていくか、これ極めて重要だと思いますのでこの点についての考え方を伺いたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 佐藤政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 財政健全化の堅持についての再質問についてお答えいたします。
 見直しの時期ということでございます。実は今年度の見直しにつきましては県議から御指摘があったとおり、予算編成過程の中で新たに予算編成五箇条というものを明示して取り組んでおりました。この予算編成五箇条を今回明示したのはですね、財政当局が意識を持つだけではなくて各部局がこういう状況でこういう取り組みをしなければいけないということを明示するために、あえて今回出させていただきました。これはずっと取り組みを続けていきたいと思います。
 来年度につきましては見直しの着手時期を前倒しをしていきたいと思っております。予算編成に先立ってですね、実施していきたいということを検討しております。そうすることによりまして時間がとれますので、各部局と十分対応しながら見直しを進めていくことができるというふうに考えておりますので年間を通じたといいますか、早い時期からの見直しという課題に着手をしていきたいというふうに今考えております。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木経営管理部長。
○経営管理部長(鈴木宙志君) 個別施設計画、目標値につきましては三十年間という長期的な目標でもございまして、物価変動といった変動予算のない普遍的な指標として延べ床面積マイナス一五%ということを掲げさせていただいているところでございます。
 しかしながら、御指摘いただいたように財政的な観点は大変重要であるということは認識しております。来年度から中期保全計画の策定なども進めましてこのファシリティマネジメントに本格的に取り組んでまいります。財政的な効果を発揮できますように教育委員会も含めまして全庁挙げて取り組んでいくとともに、目標値の上げ方につきましても引き続き考えていきたいというふうに思います。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 田口 章君。
       (三十二番 田口 章君登壇)
○三十二番(田口 章君) 要望をして終わりますけれども、資金手当債というのは家庭でいくと生活に困ってお金を貸してくれるところを探し回って、そこに借りに行ったっていうようなイメージだと私は思うんですよね。全庁の皆さんはそういう環境にあるということでその事業の見直しをやってほしいと思いますし、先ほど私資産経営の関係で再質問しましたけれども、今中期財政計画をつくっている多くの自治体の中でこのやっぱり施設の維持管理コストが非常に重荷になっていると、投資的経費の増というのが課題になって財政の見直しをやっているところが多いもんですから、これぜひ慎重に進めていただきたいというふうに思います。
 次の質問に移りますけれども、次に新型肺炎の県内への影響と対応についてお尋ねをいたします。
 新型コロナウイルスの感染者、非常に今ふえております。一昨日、国は基本方針を公表しまして、また昨日も今後一、二週間が感染拡大防止の鍵として全国規模のイベントの中止などを要請したところであります。本県もそれを踏まえてさまざまな対応をしておりますけれども、やはり本県では感染者は確認されていないというものの、もういつ発生してもおかしくない状況であるということだと思っております。
 そういった中で、ふじのくに県民クラブは一月二十四日、感染拡大防止に向けた要望を提出し、さらに二月の十日には県内経済に対する要望を提出し県に速やかな対応を求めたところであります。この中で私たちは県庁や保健所における相談窓口の増設など対応の強化を初め、事業者の資金繰りの円滑化を図るための融資制度の検討や東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた着実な準備、さらには世界経済の影響を受ける県内企業の状況を把握して適切なサポートを行ってほしいと、このようなことを提言したところであります。
 これに対し、県のほうは非常に相談体制の構築のほか川勝知事みずから県民に適切な対応を訴えるなど感染拡大防止に向けて取り組んでいることは評価をしたいと思います。中小企業の皆さんへの融資制度の緩和、要件緩和についても評価をしたいと思っております。
 ただ本年はもともと年頭から景気の先行きを懸念する声が上がっておりましたが今回の新型肺炎の影響でさらに下振れが懸念をされております。とりわけ中国が最近マーケットやサプライチェーンとして非常に大きくウエートを占めてきておりますので県内企業への影響、今後ともぜひしっかりと注視をしてもらいたいと思います。
 ただ喫緊の課題はやはり観光政策にあろうかと思っています。富士山静岡空港における中国路線の相次ぐ欠航、ホテルの宿泊キャンセル、こうした非常に大きな影響が既にあらわれています。観光産業は本県の地域産業を支える基幹産業となりつつあると思っておりますけれども、こうしたことを考えますと中長期的な立場に立って対応を考える必要があるかなと思っています。
 東京オリンピック・パラリンピックを半年後に控えた、半年ありませんね。もう本当に間近に控えた中で県内産業への考慮をした対応を検討する必要があると思いますけれども、観光業への影響や県の対応についてお尋ねをしたいと思います。
 次に、次世代産業創出に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 本県の二〇一七年度の製造品出荷額は十六兆七千八百七十一億円、愛知、神奈川、大阪に続く第四位ということでございました。しかし以前から指摘をされておりますが二〇〇八年のリーマンショックやそれに続く東日本大震災からの落ち込みからの回復が他府県に比べおくれていると指摘をされております。とりわけ輸送用機械器具製造業は一兆五千億円を超える落ち込みとなっており、中小企業支援がやはり急務というふうに考えています。
 県は、これまでも三つのクラスター事業や航空宇宙産業、医療健康産業あるいはCNFなど新たな産業支援に取り組んでまいりました。また次世代自動車センターでのCASEへの対応も地域産業の維持発展には不可欠でありまして、このピンチをチャンスに変えるという観点で強化をしていただきたいと思っています。
 今後の次世代産業支援のベースは、私はオープンイノベーションにあると思っています。協調すべきところと競争するところを明確にして県がサポートをする中で、協調できる部分を最大限共有をして地域産業の技術力の底上げを図る必要があると思っています。またこれまで取り組みをしているクラスターを生かして特徴のある企業誘致に取り組むなど産業集積を同時に進め地域に人材群を呼び込むと、そして育成する工夫も必要かと思います。
 先日県は産業成長戦略二〇二〇を策定しましたけれども、こうした次世代産業育成に、創出に向けた取り組みについての御所見をお尋ねしたいと思います。
 次に、ファルマバレープロジェクトのさらなる進化について伺います。
 昨年十一月、県議会北米調査団の一員として私はシリコンバレーを訪問させていただきました。ここでは世界レベルの医工連携の現場を見てきたところでありますが、中でもカリフォルニア州マウンテンビュー市にあるエルカミノ病院というところに開設をされているインキュベーター、フォガティー・インスティテュート・フォー・イノベーションというところがありますけれども、ここでは医療機器メーカーやスタートアップが病院と連携をして先端医療機器の開発を進める姿、これを目の当たりにしてまいりました。こうした最先端の取り組みを本県のファルマバレープロジェクトに生かすことができれば、私は十分世界に伍していくことができると感じたところです。
 県がファルマバレー構想をスタートしたのは二〇〇一年。静岡がんセンターを中心に医療健康産業の集積を進めこの分野で本県が全国トップクラスの規模を誇っていることは、これがファルマバレープロジェクトの成果と思っています。
 一方、先ほど申し上げましたとおり世界と比較をいたしますと日本の医療機器や製薬の開発スピードが遅いと言われておりますし、国内でのシェアも低いと言われております。こうした現状を考えますとぜひスピード感を持って医工連携を進めることによって今後の成長につなげていただきたいなと思っています。
 先ほど申し上げましたけれども、フォガティー・インスティテュートのような先進的なインキュベーターのノウハウをしっかりと学んでいただいて、ファルマバレープロジェクトを充実させることをぜひ進めていただきたいと思いますけれども、さらなる進化につなげられるようにしていただきたいと思いますが、県の所見をお尋ねをしたいと思います。
 次に、科学的知見を活用した健康増進施策の再構築について伺います。
 本県は、これまでふじ三三プログラムなど先進的な健康増進施策に取り組みまして、厚生労働省が二〇一三年に始めた第一回健康寿命を延ばそうアワードで最優秀賞を受賞したほか、当初健康寿命日本一となるなどすばらしい取り組み実績を上げてきたと評価をしております。しかし近年他県におきましても積極的な取り組みが進み、その一方で本県の健康寿命が延び悩んでいることから相対的な順位が低落傾向にあります。私はこれまでの健康増進施策の再構築が必要な時期に来ていると感じております。
 現在、県では社会健康医学の研究が進められておりますけれども、ここで得られた科学的知見を効果的に健康増進施策に反映をさせ県民に還元をすることが重要だと思います。
 また、別の観点からも新たな取り組みを提言したいと思いますが、先日されました県の新ビジョンの評価書で健康づくり推進事業所数の目標値が上方修正をされておりました。働く世代の健康づくりは将来的に非常に効果が出てくると思いますのでこの健康経営に取り組む事業者がふえるというのは非常に喜ばしいことだと思っておりますけれども、単に数字を追うだけでなくてここは中身をですね、もっと深掘りをしていくということが県民にとっても事業者にとっても私は有意義ではないかなと考えております。
 県として、科学的知見の活用や健康経営の推進などをこの今後の健康増進施策にいかに生かして進めていくのかお伺いをしたいと思います。
 次に、地域防災力の強化に向けた取り組みについて伺います。
 南海トラフ地震への備えのほか近年多発化、激甚化をする豪雨災害から身を守り、被災後の生活に適切に対応するためには日ごろから県民が高い防災意識を持ち、いざというときに地域一丸となって助け合える、共助の仕組みをつくっていくことが大切だと思います。しかしこの地域防災力の現状を見ますと必ずしもそれが十分整っている地域ばかりではありません。県の実態調査からは県民の防災意識の向上や多くの県民参加による効果的な防災訓練の実施や、高齢者が多い中での担い手の育成などさまざまな課題が見受けられました。
 県は、これまで自主防災組織活動マニュアルや避難所運営マニュアルなど各種の災害対策マニュアルの配布や研修会の開催、広報誌を通じた啓発活動などなどを行っておりますけれども私から見ると一方的な情報提供にとどまっている感があるかなと思います。
 来年度当初予算で県は静岡県防災アプリの機能強化を盛り込んでおります。こうしたものを活用しまして自主防災組織の活動支援や防災士の活用、これにぜひつなげていただきたいと思います。共助のかなめとなる自主防災組織の一層の活性化を図ることで地域防災力の強化に向けた具体的な取り組みを進めるべきと思いますけれども、県の所見をお伺いしたいと思います。
 次に、遠州灘海浜公園篠原地区基本計画策定に向けた取り組みについて伺います。
 遠州灘海浜公園篠原地区の基本計画につきまして県は今年度八千万円を予算措置をしましたが、その進捗おくれから計画策定は来年度にずれ込む見通しとなっております。
 この間、県は昨年の七月から十月にかけて約三千百人の県民やスポーツ団体、野球・ソフトボールチームから意見を聞き十一月に報告書をまとめました。いろんな意見が聞かれておりましたけれども特徴的な点として千六百人ほどに上るウエブアンケートで「野球観戦する」と回答した人のうち七八%がプロ野球の観戦を望んでいることや、六七%の人がプロ野球からアマチュア野球まで各種大会が開催できる大型スタンドの球場を望んでいることが上げられました。
 十二月議会で川勝知事は、野球場の規模やサブグラウンドの設置、その他のスポーツレクリエーション施設の種類や配置を変えた複数の公園プランを作成し、建設費や想定利用者数、経済波及効果等を算出して議会に示すという話をされておりました。しかし現段階でこのプランは示されておらず、早期建設を求める地域住民の声に応えられていないのは私は残念に思っております。
 知事が当初構想を切り出した際には、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催に間に合わせると、こういったことでありましたけれどもいよいよこの開催が近づいてきたこと、さらには浜松市沿岸域での防潮堤が完成することを考えるとこの野球場整備のおくれ、少し私は残念に思えてなりません。地域住民の皆さんの期待に応え、今後基本計画をどのように策定し進めていく考えか、県の御所見をお伺いしたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 新型肺炎の県内への影響と対応についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する中、中国の景気が減速し世界全体の経済に悪影響を及ぼすことが懸念され、事実今その影響が出始めております。とりわけ本県におきましては訪日外国人宿泊者数の約七割を占めるのが中国人観光客数であります。その中国人観光客の減少による消費の低迷など観光産業への影響が懸念されております。
 県は、昨年のデスティネーションキャンペーンやラグビーワールドカップ二〇一九の成功を追い風に東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを契機とした誘客やアフターデスティネーションキャンペーンに向けた準備を着々と進めております。
 こうしたやさき、新型コロナウイルス感染症が生じそれが拡大しているということで平和を象徴する産業とも言える観光分野に大きな影を落としております。
 県内の宿泊事業者への影響につきましては、県と静岡県観光協会が連携して県内主要観光地を調査いたしましたところ今月五日時点で約九万人の宿泊キャンセルが発生しております。現場からは中国のお客様に加え国内のお客様からも宿泊キャンセルが発生しているという声や宿泊施設に食材等を納入する地元事業者、飲食店、小売事業者などから今後の売り上げへの影響を心配する切実な声が寄せられているところであります。
 このため、私ども県としましては全国知事会を通じて観光事業者への支援を盛り込んだ国への緊急提言を実施いたしました。また県独自の支援策として売り上げ減少等の大きな影響を受けている観光事業者を初めとした中小企業に対し県制度融資に係る要件緩和を早急に行うこととし、事業継続に向けた支援を講じたところであります。
 県といたしましては、新型コロナウイルス感染症の防止対策を進めるとともに引き続き県内の観光事業者への影響の把握に努め、事態の収束のめどが立った段階におきましては機を逸することなく観光交流客を回復できるように観光事業者や市町、国とも協力して需要喚起に取り組んでまいります。
 次に、次世代産業創出に向けた取り組みについてであります。
 急速な少子高齢化やAI、IoTなど科学技術の著しい進展を背景に本県産業は大きな転換点を迎えております。とりわけ百年に一度とも言われる大変革に直面している基幹産業――自動車産業はEV化や自動運転などいわゆるCASE対応が避けて通ることのできない大きな課題となっております。
 こうした中、県では去る二月十九日に産業界や金融界の代表から成る静岡県産業成長戦略会議を開催し五つの戦略について議論しました。一つ、産業人材の確保・育成、二つ、企業の誘致、定着、三つ、事業用地の確保、四つ、本県の屋台骨である中小企業の強靱化、五つ、産業イノベーション拠点の形成でございますが、これら五つの戦略について議論し静岡県産業成長戦略二〇二〇を取りまとめてございます。
 この産業成長戦略では、本県企業の持続的な成長に向けて次世代産業を創出していくため異分野の幅広い知見や技術を結集するオープンイノベーションの取り組みが不可欠であるとされております。そして議員御指摘のとおり、オープンイノベーションのもとで各企業の協調領域と競争領域を明確化し、協調できる領域では互いの持つ技術力を結集して地域の製品開発力を底上げしていくことが必要であります。
 次世代自動車センターがさまざまな中小企業の固有技術を丹念に探索し、それらを次世代自動車開発に具体的に結びつけている取り組みはその典型であります。県では試作品開発への助成や新車の分解研修会などによりましてそうした取り組みへの支援を積極的に行っております。
 また、技術力のある多彩な産業が集積する本県の強み、これを生かし自動運転やマリンバイオテクノロジーなどの先端技術の社会実装に向けた実証フィールドの形成が極めて重要です。高度な実証実験やフィールドワークを通じて大学、研究機関、企業の研究者、技術者が集い多くの関連産業の集積を図っていくことで次世代産業の創出につなげてまいります。
 田口さんは、カリフォルニアのマウンテンビュー市の病院の中にあるにあるフォガティー・インスティテュートを訪ねられたと。私もそこを訪ねまして創設者の方、また現在それを担っている方たちとかなり実質的に意見交換をし、そうしたものが日本に、静岡県に必要だという実感を持ちました。これはファルマバレーが目指すべき次の方向だと、あるいは浜松も医科大学がございますので一つの方向だというふうに認識しております。
 こうしたこのファルマバレーあるいはフーズ・ヘルスケア等々各プロジェクト間の連携を一層推進するとともに、異業種交流の場の創出や県内企業の技術情報のデータベース化などオープンイノベーションのプラットホームを新たに構築いたしまして本県産業全体の相乗効果を高めてまいりたいと考えております。
 県といたしましては、静岡県産業成長戦略二〇二〇において取りまとめたこれらの施策を着実に実行することにより本県産業を牽引する次世代産業の創出に取り組んでまいります。本県をスタートアップ県にしたいということを目標として、何とかこれを形にしたいと思っているところであります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) ファルマバレープロジェクトのさらなる進化についてお答えをいたします。
 ファルマバレープロジェクトは、患者・家族の視点を重視したベッドサイドニーズに応えるものづくりを基本とし、全国に先駆けて医工連携を実践してまいりました。プロジェクトの支援機関であるファルマバレーセンターでは専門のコーディネーターを配置して医療現場のニーズを迅速にくみ取る環境を整え、地域企業の製品開発を伴走支援することでこれまでに百二十件以上の製品の事業化が実現しております。
 議員御指摘の米国のフォガティー・インスティテュート・フォー・イノベーションは、「患者第一、開発は臨床現場から」という理念に基づきまして設立された医療系スタートアップのインキュベーション機関であり、地域医療を担う病院内に工房を含めて居を構えている点が特徴であります。入居するスタートアップ企業は臨床医との密接なコミュニケーションのもと、医療ニーズの発掘や臨床医のすぐれたアイデアを迅速に研究開発につなげていくことができるとされております。そこでは早期の製品化を実現するために非常に効率的な仕組みが整えられており、参考とすべき点が多いものと考えております。
 一方、この医療現場のニーズを出発点といたしまして問題の解決策を開発しイノベーションを実現するアプローチはスタンフォード大学発のプログラム、バイオデザインと呼ばれ、まずこうした先進的なイノベーションの手法を学ぶための人材の育成が不可欠とされております。
 このため、県ではスタンフォード大学の池野文昭バイオデザインプログラムディレクターの御指導のもと、この手法を集中的に学ぶセミナーを平成三十年度からファルマバレーセンターにおいて継続的に開催しているところであります。
 医療機器開発につきましては、ファルマバレープロジェクトはもちろん、ただいま知事からもお話がありましたけれども県西部地域には浜松医科大学や静岡大学などのはままつ医工連携拠点があり、光産業創成大学院大学は来年度からバイオデザインの手法を用いたバイオフォトニクスデザイン分野を新たに立ち上げる予定であります。中部地域では現在県が健康寿命を延ばすための研究拠点として社会健康医学に係る大学院大学の設置を進めております。
 県といたしましては、こうした計画とも連携しつつ医工連携を牽引する人材をまず育成し、シリコンバレー等の先進事例も踏まえながらさらなる医療機器イノベーションを生み出す仕組みづくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 池田健康福祉部長。
○健康福祉部長(池田和久君) 科学的知見を活用した健康増進施策の再構築についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、健康寿命のさらなる延伸のためには県の健康増進施策の再構築が必要であると考えております。そこで来年度は組織改編により健康局を新設し、科学的知見を活用した健康増進施策の展開と企業における健康経営の取り組みの推進を大きな柱として進めてまいります。
 まず、科学的知見を活用した健康増進施策の展開につきましては既に取り組んでおります社会健康医学の研究において二百万人分の国民健康保険データの解析を進めた結果、将来人工透析が必要となるリスクの予測が可能となるなどの研究成果が出ております。こうした研究成果を各地域の健康づくりの現場で活躍している保健師等を通じて県民の皆様への健康指導に生かすなど効果的な活用を図ってまいります。
 次に、企業における健康経営の取り組みの推進につきましては健康づくり推進事業所数がこれまでの目標値を大幅に超え四千事業所以上となっております。今後はこれらの企業に先進的な取り組みや好事例を広く紹介することにより各企業における健康経営の取り組みを支援してまいります。
 また、事務職、技術職問わず大きな問題になっている腰痛など働く人に多い健康課題に対応した企業版健康長寿プログラムを開発し、健康経営に取り組む企業の継続的な健康づくりを促進してまいります。
 県といたしましては、市町、経済団体、保険者、医療関係者等との連携をさらに強化し県民総がかりで健康寿命日本一を目指してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 金嶋危機管理監。
○危機管理監(金嶋千明君) 地域防災力の強化に向けた取り組みについてお答えいたします。
 自主防災組織は災害時に地域防災のかなめとして活躍が期待されておりますが、効果的な訓練を実施する方法がわからないなどの意見も寄せられております。また少子高齢化が進む中で地域防災の担い手を確保することも大変重要と考えております。
 これらの課題解決に向け、県が開発した防災アプリを活用して各自主防災組織がみずからの活動状況を把握し他の組織と比較することで改善に向けた取り組みを行えるシステムを導入することとしております。さらに自主防災組織の取り組みを支援するためふじのくに防災士等地域の防災人材を積極的に紹介、活用するなど自主防災組織への支援を強化してまいります。
 また、地域防災力を維持向上していくためには次代を担う子供たちの防災意識を高めることが非常に重要であります。このため全ての中学生を対象に地震・津波などの災害の基礎知識を学び日ごろの備えにつながる防災講座を実施し、中学卒業までにふじのくにジュニア防災士の資格を取得できるよう取り組むこととしております。
 県といたしましては、これらの取り組みを通じまして自主防災活動の一層の活性化と次代の担い手育成に取り組み、地域防災力のさらなる強化を図ってまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 宮尾交通基盤部長。
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 遠州灘海浜公園篠原地区基本計画策定に向けた取り組みについてお答えをいたします。
 県では、新ビジョン富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりにおきましてスポーツの聖地づくりを掲げ、スポーツに親しむ環境づくりや競技力の向上を図ることとしております。
 県西部のスポーツの拠点となる遠州灘海浜公園篠原地区につきましては、基本計画の策定に向けて公園に導入が望まれる施設につきまして県民の皆様及びスポーツ関係者の御意見をお伺いしたところであります。これらの御意見を踏まえ公園の配置計画といたしましては野球の魅力の発信、技術の向上を図るボールパークを核としたスポーツ公園、海岸地域の特性を生かした木々と水辺に囲まれた自然・スポーツ公園、幅広い年齢層の方々が気軽に利用できるみんなが楽しめる健康・スポーツ公園の三つのコンセプトに基づきプランを設定しております。また本公園の中心施設となります野球場の規模や構造としましては、収容人数や風対策を考慮した異なる四つのタイプを原案として考えております。
 これらの原案につきましては、県議会に対し丁寧な説明の上御意見をお伺いしてまいります。その後概算事業費や経済波及効果、予想される利用者数などを算出いたしまして各プランの比較案を作成した上で改めて御意見をお伺いし、本年夏以降にプランを一つに絞り込み、令和二年度内には基本計画を策定したいと考えております。
 県といたしましては、今後も県議会の皆様、県民の皆様に機会あるごとに情報をお伝えし、御意見をいただきながらスポーツに親しみ、愛される公園となるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 田口 章君。
       (三十二番 田口 章君登壇)
○三十二番(田口 章君) 要望を数点させていただきたいと思います。
 産業振興につきましては非常に積極的な御意見をいただいたと思っています。ぜひ次世代関連のですね、実証実験なんかも含めて積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 産業振興というのはやはり県が、先ほどの私どうしてもお金のほうに関係してくるんですけれども産業の多くが法人税、法人二税に係るところが大きいもんですから産業振興しっかりやっていかないと、これやっぱり県の根幹にかかわってまいりますのでぜひ今後とも積極的に取り組んでいただきたいと思っています。
 それから、医工連携はもうこれ既に他の地域との競争にもなりつつあるというふうに思っておりますのでこれもぜひ知事、部長積極的に進めてください。よろしくお願いしたいと思っています。野球場のほうもよろしくお願いいたします。
 次の質問に移りますけれども、多文化共生の推進についてきょうは特に日本語教育体制の構築についてお伺いをしたいと思っています。
 今年度、県議会に多文化共生推進特別委員会が設置をされまして私も副委員長としてこの議論に携わらせていただきました。私は今回の議論を通しまして最も大きな課題は日本語教育をいかに進めるかだと考えました。有識者からの意見聴取でも日本語教育体制の整備を求める声が聞かれましたし、また日本語教育施設は外国人県民にとって家庭でもない、会社でもない第三の居場所としてさまざまな役割を果たしていると、このような声も聞いたところであります。
 多くの外国人労働者は基本的な日本語を習得できないまま来日するケースがありますので、まずはこの日常会話ができるようになってもらって地域社会に参加するきっかけをつくってもらうということが大切だと思っています。また既に日本での定住を選択した外国人県民の中にも日常会話に苦労する人、これ非常に多く見られます。さらに外国人の若者に将来の静岡県を支える人材に育っていただくためには、日本語検定で二級とか三級とかこういうスキルも求められると、非常にやっぱり幅広いと思うんですね。
 今後さらにふえると見込まれる外国人県民との共生社会をつくっていくためには、こうしたさまざまな日本語のレベルの外国人県民の方に日本語を学んでもらう、この教育体制をつくっていくということが不可欠だと思っています。これには教育の場の設置に加えまして日本語教師の人材育成など幾つかの課題があるということは承知をしておりますけれども、外国人県民が日常の生活に必要な、まずは最低限の日本語を学ぶようなことができる体制を速やかに進めていくことが大切だと思いますけれども、県の御所見を伺いたいと思います。
 次に、教育委員会の働き方改革についてお尋ねをいたします。
 教職員の多忙化の解消策につきましては、本県は二〇一六年度から一八年度にかけて未来の学校「夢」プロジェクトに取り組みまして、その成果を踏まえてスクール・サポート・スタッフの全校配置ですとか部活動指導員の配置と、これを行ってまいりました。さらに今年度は日本語指導のための非常勤講師の新たな配置や、来年度当初予算案でも特別支援学級への非常勤講師の配置などを提案されています。これら人的支援の取り組みというのは一定の強化策が図られてきたなと、これは感謝したいと思っています。その一方で業務の仕組みについてはまだまだこれ改善の余地があるのかなと思っています。
 県教委は昨年二月に学校における業務改革プランを策定をし、二〇二一年度までの三カ年の教育の質の向上と教職員の心身の健康保持を目的とした取り組みをスタートしているところであります。この中では拝見いたしますと、ICTを活用した授業改善とか校務の効率化などある程度予算が必要となるものもありますが、日常の現場改善の仕組みなど現場レベルで余りお金をかけずにやっていくことも可能なこともあります。
 知事部局では、今般働き方改革としてBPR――ビジネス・プロセス・リエンジニアリングというものを導入をして取り組みをしていくということを考えているようですけれども、私は教育委員会においてもこれ同様に学校における働き方改革の一環として後押しするような仕組みをつくっていただきたいなとこのように思っていますが、教育長の御所見をお伺いしたいと思っています。
 次に、県立中央図書館の移転整備についてお伺いをいたします。
 文化力の拠点構想、これは来年度当初予算は文化・観光部からではなくて教育委員会から県立中央図書館の移転整備事業として計上されております。十二月定例会において委員会でさまざまな意見が出されたことを踏まえ仕切り直しをされたものと私どもは受けとめております。
 今後は、第一期の事業として県立中央図書館を整備をして、第二期事業として従来文化力の拠点として盛り込まれていたさまざまな機能が追加検討されていくんだろうとこのように理解をしています。
 ふじのくに県民クラブは県立中央図書館の整備について反対するものではありませんが、導入する機能についてはこれしっかりと検討していただきたいなというふうに思っています。そこできょうは教育委員会が二〇一九年三月に策定をした文化力の拠点における新県立中央図書館基本計画をベースに数点お尋ねしたいと思っています。
 まず想定来館者数の百万人ですけれども、これは他の都道府県立図書館の整備状況等をもとに設定をしたというふうに聞いておりますけれども文化力の拠点構想に先行して中央図書館を整備することになった今、これをどう考えるのか。
 また、あわせまして延床面積も一万六千平方メートル程度を見込んでおりましたけれどもこの計画についてはどうか伺いたいと思います。
 また、食の都といった機能につきましては新県立中央図書館の基本計画にはこれ記載がありませんでしたので、第一期事業としてどのように位置づけるのかお伺いしたいと思います。
 それから四点目ですが、新県立中央図書館基本計画では文化力の拠点として実現する機能として新しい知的空間を盛り込んでおりますけれどもこの内容については明確になっておりません。新しい知的空間という機能を盛り込むのであればこれまでと違った利用者目線の新しい発想で私どもは施策を検討すべきと考えます。先ほどもお話ししましたが、県議会北米調査団ではオレゴン州のポートランド市で行われております住民を巻き込んだ政策決定システムの話も聞きました。コミュニティー・ベースド・ラーニングと言っておりましたけれどもこれはですね、政策決定までに時間はかかりますけれども合意形成プロセスが比較的明確になっておりまして納得性が高い手法であるということを学んできたところであります。この新しい知的空間というこの新しい機能をこの中央図書館に導入するのであれば、こうした多くのいろんな手法を使いながら検討していただきたいなと思っています。
 今後、どのような規模でどのような性格を持たせてこの新しい知的空間を盛り込んでいくのかお伺いをしたいと思っております。
 最後に、高校生に対する交通安全教育の取り組みについてお伺いをいたします。
 昨年、県内の交通事故は発生件数、死者、負傷者とも減少しております。特に死者は一九五三年以降最小ということであり、一九六九年に開通をした東名高速道路では初の死者ゼロとなったと伺いました。改めて交通安全活動に取り組んでいる関係の皆様には敬意を表したいと思っております。
 一方で、事故を年代別に見るとこれからの課題が見えてまいります。高齢者の事故防止対策これは既に大きくクローズアップをされていると考えますけれども、私はその片方で若年層の事故防止対策が課題ではないかと考えています。
 昨年一年間で三十歳未満の若年層が起因者となった事故による死者は二十一人となっておりました。前年比六人増であります。事故率も他の年代層に比べて高くなっています。
 交通事故を減らすには、誰もが道路交通法などの関係法令を理解し守ることが大切だと思います。警察や関係機関・団体ではさまざまな機会を通じてこの交通安全教育を実施をしておりますが、率直に申しまして道路交通法を意識をするのは運転免許を取得するとき、あるいは更新するときではないかと思います。
 全国では高校生の三ない運動これを廃止し、生徒の主体性を尊重しつつ道路交通法を身近なものとすることで交通安全意識の向上を図っている自治体もあります。本県教育委員会はまだ三ない運動を継続しておりますけれども、私はドライバーの卵である高校生には法令遵守と交通安全の重要性について実効性のある交通安全教育を行うことが重要と考えています。
 きょうは、県警察における高校生に対する交通安全教育の実施状況と今後の取り組み方針について警察本部長にお伺いしたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 多文化共生の推進についてお答えいたします。
 今年度行った県内の日本語教育の実態調査によれば、外国人県民の約三割が日常生活での意思疎通に支障があり六割以上の日本語教室で指導者不足であるとの結果が得られました。また日本語教育を検討する有識者会議では、公的機関は住民参加による初級レベルの日本語教室である地域日本語教室を設置すべきとされました。これらを参考に今月、静岡県地域日本語教育推進方針を策定したところであります。
 今回策定した方針には、外国人県民の方々が県内のどこに住んでいても生活に必要な最低限の日本語を身につけられる日本語教育の場を設置すること、地域住民が日本語教育にかかわることにより多文化共生社会の形成も推進していくことなどを盛り込んだところであります。
 この方針に沿って、来年度は二つの市町において地域日本語教室を設置することといたしました。あわせて教材開発や地域住民を教室の運営に必要な日本語教育の指導者として養成することとしており、これらの効果を検証しながら他の市町へ地域日本語教室の設置を促進するなど地域日本語教育体制を構築してまいります。
 県といたしましては、言葉の壁のない静岡県を実現することにより外国人県民の方々が地域社会の一員として参画し活躍できる多文化共生社会を推進してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 教育委員会の働き方改革についてお答えいたします。
 教職員の多忙化の解消は喫緊の課題でありますことから、県教育委員会では昨年二月、学校における業務改革プランを策定し各学校におきまして「やめる・かえる・へらす」の視点に立った取り組みを促進しております。
 具体的には、教職員みずからが業務改善を提案する仕組みや職員会議や学校行事等の精選、見直し、ICTを活用した授業改善などのほか教職員以外でも実施できる業務に分類しスクール・サポート・スタッフや部活動指導員を活用するなど、いわば業務のアウトソーシングにも積極的に取り組んでおります。また事務の効率化を図るため小中学校において共通する給与、旅費等の事務を集中処理する共同学校事務室の導入を促進しており、本年度は既に二十八市町が導入し来年度は全ての市町で実施するよう準備が進められております。
 さらに、コミュニティスクールや地域学校協働本部の設置を促進し、地域住民等が学校運営への参画やさまざまな学校活動に協力できる仕組みづくりにも取り組んでいるところであります。
 今後は、現在県教育委員会の一部の事務で試行しているRPA、先ほどもありましたがロボティック・プロセス・オートメーションの学校現場への導入を検討するほか、県教育委員会と学校とが一体となった学校の働き方改革推進プロジェクトを立ち上げ、BPRの視点に立ったさらなる業務改善を進め教職員の働き方改革に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木教育部長。
○教育部長(鈴木一吉君) 県立中央図書館の移転整備についてお答えいたします。
 東静岡駅南口県有地に整備する新しい県立中央図書館につきましては、これまで検討してきた図書館としての根幹機能に変更はなく、現段階では新県立中央図書館基本計画でうたった一万六千平方メートル程度の面積を想定しております。
 新しい知的空間につきましては、図書館の基本構想に掲げた県民が出会い交わり、新しい文化を育む図書館を実現する重要な機能であり、昨年度策定した基本計画においては本を含む多様なメディアを活用した情報発信や多種多様な交流により新たな文化の創造や人材の育成に寄与することを目指すこととしております。
 この基本計画の策定に当たっては既にパブリックコメントを実施し、新しい知的空間に関しては民間の意見を取り入れ異業種交流等が生まれるとよいという御意見がある一方で、内容がよくわからないといった御意見もいただいております。また本年度は施設内容等の参考とするため県内大学生との意見交換や図書館利用者へのアンケートなどで御意見を伺ってきたところであります。
 しかしながら、施設の設置効果を最大限に発揮するためには議員御指摘のとおりさまざまな意見を聞く機会を十分に設け成案を得ていくことが大切でありますことから、今後施設での活動が想定される文化団体や民間企業、NPO等へのヒアリングを行うなど広く御意見をいただいてまいりたいと考えております。
 食の都の機能につきましては今後詳細を詰めていくこととしておりますが、図書館内に飲食ができる環境を用意することや利用者の利便性を考えカフェテリアや地場産品を味わう施設を設置することとし、本県の多彩で高品質な食文化の発信にもつながるものと考えております。
 また、年間来館者数につきましては他県の事例を参考に見込んでおり必ずしも過大な想定ではないと考えておりますが、機能の充実を図り多くの人を引きつけられるような令和の新時代にふさわしい図書館を整備してまいりたいと考えております。
 県教育委員会といたしましては、新しい県立中央図書館が県民の知のインフラとしての機能を果たすだけでなく、本県の魅力的な文化の発信や将来を担う人材の育成につながるよう県議会の皆様の御意見をいただきながら整備を進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 小嶋警察本部長。
○警察本部長(小嶋典明君) 高校生に対する交通安全教育の取り組みについてお答えいたします。
 県警察では、運転免許取得年齢に達するまでの各年代の若年層に対し関係機関・団体や学校と連携して交通違反が招く事故の危険性や交通法規を遵守する重要性について、その成長段階に応じた参加・体験・実践型の交通安全教育を実施しております。
 高校生に対する交通安全教育としましては、座学により交通事故の実態に基づきながら交通法規を学ぶ講習と、実際に教習車に同乗して自動車の運転者目線から自転車の危険走行等を体験する講習を組み合わせた自転車安全運転体験講習や、実際にスタントマンが高校生の面前で交通事故を再現し交通事故の恐ろしさや交通違反の危険性を疑似体験するスケアード・ストレイト教育技法による交通教室等を指定自動車教習所やJA共済連等と連携して実施しております。また原動機付自転車や自動二輪車を通学手段とする定時制高校の生徒を対象に二輪車グッドマナー講習会を県教育委員会と連携して開催し安全運転の実技指導を行うなど、運転免許保有者に対する交通安全教育にも取り組んでおります。
 今後においては、高校生が自転車の安全利用に関する街頭指導や交通法規の習得に主体的に取り組む自転車マナーアップモデル校の拡充を図るなど引き続き県、県教育委員会及び学校を初めとする関係機関・団体と連携しながら高校生に対する交通安全教育の充実に努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 田口 章君。
       (三十二番 田口 章君登壇)
○三十二番(田口 章君) 要望を一点、再質問を一点させていただきます。
 要望ですけれども、県立中央図書館のところですがいろんな議論がこれまでございました。でもどうせつくるんだったら、やっぱり県民の皆さんに喜んでいただけるものということが大事だと思っています。そういった意味では先ほど答弁でもございましたけれども、やはり多くの利用者として見込まれる方の声を聞いていくというの、これ極めて大事なことだと思いますので時間との関係もあるかもしれませんが私はこれは慎重に進めていただいて、よりよいものをつくっていただきたいと、これはお願いしておきたいと思います。
 再質問ですけれども、多文化共生の日本語教育体制の整備のところでございますが、先ほど答弁の中で新たに地域日本語教育推進方針というものを策定をしたというふうに伺いました。これ少し拝見させてもらったんですけれども、やっぱり市町との連携というのは極めて重要だと思っておりまして、県の役割と市町の役割というのをしっかりと役割分担をしていくというのが重要なんだろうと思っています。
 私も思いますけれども、特に日本語教師を育成するのはなかなか単独で市町ができることではないと思いますので県の役割って大きいと思うんですが、その中で例えば浜松市あたりに行きますとこれもう既にこれまでも取り組みをずっとしてきているわけですね。いろんなノウハウは持っているんですけれども今回のこの方針が浜松市がどうやら対象になっていないと、入っていないということでありまして少しその連携にですね、大丈夫かなという懸念を持っています。
 したがいまして、例えばその浜松市がこれまでノウハウを持っている部分をいかに県として取り組んでいくのかというのがこの方針だけではわかりませんので、少しそのあたりについて補足をしていただければありがたいです。以上、答弁求めます。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 多文化共生の推進についての再質問にお答えいたします。
 確かに議員おっしゃるとおりですね、浜松市が独自の計画を持っておりますので県がつくって市町に広げていくという対象は浜松を除く三十四市町という形にしております。これはですね、浜松市を別のものとして扱っているということでなく浜松が独立して独自の計画で進めているということで合意しているわけでございまして、県と浜松で話し合いながらそこのノウハウはお互いに共有しながら各市町に普及させていきたいと、そのように考えております。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) 田口 章君。
       (三十二番 田口 章君登壇)
○三十二番(田口 章君) 要望にとどめますけれども、先ほど申しましたとおり私浜松市がノウハウを持っているところかなりあると思うんですよ。申し上げておきたいのは二重行政はくれぐれもやらないでほしいと思っています。県が浜松市以外を対象に何かやると浜松市は別にやるとか、そういうことでは全く県の全体最適になりませんのでそれはやめてほしい。二重行政にならないようにしてほしいというのが一点。
 それからもう一点は、浜松市もそうですけれどもそれよりもさらに民間団体等が浜松は相当なスキルを持っておりますので、それを活用するというのが非常に重要だと思うんですよね。そこのパイプをしっかりと県も持ちながら県全体に波及をさせていくというのを進めていただければと思っております。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中沢公彦君) これで田口章君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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