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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成19年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

岡本 護 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/19/2007

会派名:

平成21


質疑・質問事項:

1 将来を見据えた県政運営について   
 (1) 今後の県のあり方  
 (2) 本県の今後の財政運営   
2 新しい時代にふさわしい社会づくりについて  
 (1) 多文化共生社会   
 (2) 男女共同参画社会   
3 富士山静岡空港の収支見通しについて   
4 森の力再生事業について   
5 医療政策について   
 (1) 医師確保対策   
 (2) 県立三病院の地方独立行政法人化   
6 非正規雇用者の雇用安定化について   
7 既存企業の定着対策について   
8 ユニバーサル園芸の推進について   
9 公共土木施設の維持管理について   
10 豊かでたくましい心身をはぐくむ教育について  
11 安全・安心なまちづくりについて



    ○副議長 (石橋康弘君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、七十七番 岡本 護君。
            (七十七番 岡本 護君登壇 拍手)
    ○七十七番 (岡本 護君)  私は会派平成21を代表して平成十九年度当初予算及び当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問いたします。
     冒頭に一言申し述べたいと思います。
     政治家の不正や不正疑惑、また金銭にまつわるトラブルなど倫理観の欠如には目を覆うばかりです。加えて、人を人と思わない事件や子供社会ではいじめられた子もいじめた子も自殺するなど、痛ましい事件が多発している現状です。まさに将来を憂うことの多い現在社会を一日も早く改善され、安心・安全の社会を望みながら以下に質問いたします。
     初めに、将来を見据えた県政運営についてお伺いをいたします。
     まず、今後の県のあり方についてであります。
     日本経済はようやく長い停滞のトンネルを抜け出し明るい展望を期待できる状況になってまいりました。本県について見ると、一人当たりの県民所得が知事が就任された平成五年には全国で第九位でありましたが、平成十二年度から四年連続して第三位を占めるなど全国でも有数の豊かな県となっております。今後、経済のグローバル化や国際競争が加速する中で平成二十一年三月の富士山静岡空港の開港を生かし、本県が自立性を持った地域として十分な存在感を示し、国内外の他地域との競争力を持つ県としてさらに発展することを期待しているところであります。
     さらに、長期的な視点で将来の本県のあり方に思いをはせると、日本の中で本県が一体どのような存在に位置づけられているのだろうか。近年の本県の状況はいわゆる平成の大合併により市町村合併が進展するとともに、二つの政令指定都市が誕生いたします。私はこれを踏まえ、全国の自治体の将来に目を転じるとき「地方の活力なくして国の活力はない」と標榜する安倍内閣の進める地方分権、中でも道州制の議論の動向が重要になってくると思います。
     現内閣は発足当時から道州制ビジョンの策定を表明し、それを担当する特命担当大臣を置くなど道州制の本格的な導入の検討に向けた動きを活発化させております。この議論については昨年二月に、総理大臣の諮問機関である第二十八次地方制度調査会が広域自治体の改革として道州制の導入が適当とする答申を提出しております。また全国知事会では昨年度より道州制特別委員会を設置し継続的な議論を重ね、去る一月十八日には道州制に特化した全国知事会議を開催し、道州制に関する基本的考え方を取りまとめたと伺っております。
     一方、最近行われた全国世論調査では、道州制の必要性について否定的な考えが約六二%を占めたと報道されております。これは国民には道州制の必要性やメリット、デメリット、具体像などがイメージできず、理解が進んでいない実態を示しているものと思われます。
     道州制は国と地方のあり方を根本的に見直す動きであると考えますが、この問題に関しては知事は早くから国の統治のあり方、新型指定都市と広域連合による市町村の改革、政令県による都道府県の改革などの内政構造改革を提案しておられます。これにつきましては私もそれなりに理解するところですが、最近の道州制に関する国や知事会の議論に対する知事のお考えはどうか、また本県は将来的にどのような姿を目指していくつもりか知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、本県の財政運営についてであります。
     我が会派は昨年県民に対する十の約束を取りまとめたローカルマニフェストを「しずおか未来カフェ」 として発表し、これをもとに昨年十二月に知事に予算要望をしたところであります。
     今議会に上程されている平成十九年度一般会計予算は総額一兆一千三百九十五億円で、前年度とほぼ同程度の規模となり、健全財政の枠組みの堅持、新公共経営の視点からの戦略的な取り組み、年間総合予算としての編成の徹底を基本方針としつつも、さまざまな創意工夫により県民暮らし満足度日本一の着実な具現化を目指す予算として編成されたと理解をいたしております。
     十九年度当初予算の歳入を見ますと、県内経済の回復基調を反映して法人二税を中心とした県税収入の増加が期待される一方で、国の地方財政対策において地方交付税等の一般財源総額が前年度同程度に抑制されたことから、社会保障関係費等の義務的経費が増加、今後ますます財政運営の自由度を狭める要素となってくることが懸念されます。こうしたことから、今後県民の行政に対する多様な期待にこたえながら将来に向けて施策を実現していくためには、何よりも持続可能な財政運営が必要であります。我が会派はこれまでも一貫して県政の重点課題として財政の健全化を説いてきたところであります。
     石川県政はこれまでも全国の都道府県に先駆け行政改革や財政の健全化に取り組むなど、その姿勢は評価するところでありますが、国は「二〇一〇年代初頭の国・地方の基礎的財政収支の黒字化のため、今後五年間、地方も国と歩調を合わせて、歳出削減を行いつつ、歳入面では一般財源の所要総額を確保する」との方針を示しており、今後本県においても歳出の抑制を計画的に実施していくことが必要となっております。平成十九年度当初予算は三百二十八億円の財源不足を基金の取り崩しにより編成しており、また予算とあわせて公表された財政の中期見通しでは、一般財源総額が固定されると今後五年間、二百八十二から三百四十三億円の財源不足が見込まれるということですから大変心配なことであります。
     そこで、今後どのように財政運営をしていくのかをお伺いいたします。
     次に、新しい時代にふさわしい社会づくりについてお伺いいたします。
     まず、多文化共生社会についてであります。
     国際化が進展する今日、国境を越えた人の移動がますます活発化する中で我が国の外国人住民は二百万に達しております。この流れは本県にとっても例外ではなく、今や県民の四十人に一人が外国人という状況であります。
     とりわけ、私の地元であります浜松市を中心とする西部地域は製造業が盛んなこともあり、工場現場などでの働き手としてブラジル人などの日系人を中心に外国人の増加が著しく、これに伴うさまざまな問題が発生をいたしております。その一例を申し上げますと、小中学校の教育現場では子供やその保護者が日本語の理解力が不十分で日本の制度になじめないため、先生方が指導やアフターケアに大変苦労されております。また地域社会においても集団で住むようになったため、ごみ出しの方法や騒音、不法駐車など地域ルールを軽視した行動など日本人との間であつれきを生じる事例があらわれてきております。早急に本格的な対策を講じなければなりません。
     また、浜松市で発生した外国人の犯罪容疑者が国外に逃亡する事件について、このたび初めていわゆる代理処罰が適用されたことについては一定の成果であると受けとめております。引き続き条約締結に向け強い姿勢で取り組む必要があると思います。
     一方、明るい話題もあります。浜松市の高丘町では毎年の夏祭りに地域に住むブラジル人が模擬店を出したり、祭りのステージで華やかなサンバショーを繰り広げるなど、日本人住民とブラジル人が一緒になって祭りを盛り上げるような大変よい関係が地域レベルで築かれている例もあります。
     このような光景は今後ますます増加すると思いますが、本県が国際社会の中でさらに発展していくためには、日本人、外国人を問わず、すべての県民が安心して暮らすことのできる真の多文化共生社会を実現することが重要と思います。そのため、国のみならず県や市町、企業等のすべての機関が協力し、諸課題の解決に向けた施策を積極的に行う必要があると考えております。
     こうした中、昨年の我が会派の田中議員の質問に対し、知事は有識者で組織する静岡県多文化共生推進会議からの提言を得て積極的な施策を展開するとの答弁があり、心強く思うとともに今後の展開を大いに期待しているところであります。
     そこで、改めて知事は今後どのように多文化共生社会の実現に向けた取り組みを進めるのか御所見をお伺いいたします。
     次に、男女共同参画社会についてであります。
     今月、本県の男女共同参画基本計画の後半に当たる二〇〇七年度から二〇一〇年度までの施策の展開方向を示した後期実践プランが取りまとめられました。
     これまでの男女共同参画の歩みを振り返りますと、およそ三十年前の一九七五年、メキシコシティーで開催された国際婦人年世界会議で世界行動計画が採択されたことを契機として女性の人権擁護と男女平等のための国際的な行動が起こり、我が国においても婦人問題企画推進本部が設置され女性の地位向上に関する取り組みが始まりました。一九八五年には男女雇用機会均等法が制定され、翌一九八六年に本県の女性行政を総合的に推進するための初めての計画である婦人のための静岡県計画が策定されました。その後、一九九九年、男女共同参画社会基本法が施行され、本県においても二〇〇一年に静岡県男女共同参画推進条例を制定し、二〇〇三年に策定された現行の男女共同参画基本計画に基づき各種施策が実施されてきたところであります。
     この間、国際的な交通ネットワークの発展や高度情報化の進展などによりグローバル化が進むとともに少子・高齢化が急激に進行し、従来の社会経済システムの変革が求められております。このような中で社会の活力を維持し、持続的発展を図っていくため、だれもが個性と能力を十分に発揮することのできる男女共同参画の重要性はますます高まっていると考えます。
     男女雇用機会均等法も制定以来二十余年が経過し、当時採用された人たちが中堅者として組織を牽引する時期を迎えました。しかしながら県民意識調査によれば、男は仕事、女は家庭に代表される性別による固定的役割分担意識にとらわれない人の割合は四二・三%にとどまり、一方、社会全体の中で男性が優遇されていると考える人がいまだ七割を占めており、女性の参画状況を見ても県の審議会等委員への女性の登用率が三〇%に満たないなど、男女共同参画はまだ十分とは言えない状況にあります。
     そこで、県では社会経済環境等の急速な変化や本県の現状を踏まえて、今後男女共同参画の推進にどのように取り組んでいかれるのか御所見をお伺いいたします。
     次に、富士山静岡空港の収支見通しについてお伺いをいたします。
     空港経営における収支をどのように考えるかという点については、さまざまな議論がなされてきておりますが、収支の範囲をどのようにとらえるかによっていろいろな想定ができるため、明確になっていないというのが現状だと思います。
     かつて県は、富士山静岡空港について費用対効果分析の設定値から収入を、また他空港の例から経費を試算したところでありますが、収入の柱である着陸料についていまだ路線・便数を決定する時期には至っておりませんし、経費についても管理事務所の規模等明らかになっておりません。現在、基本施設の維持管理に必要な業務の具体について精査中で、必要な経費もこの作業を通じて整理していくと伺っております。
     このような状況であることは承知しておりますが、開港に一応のめどが立ったと言える今、期待の高まる一方で、千九百億円とされている建設費に加えて毎年毎年の維持管理経費について心配する声も少なくありません。私は富士山静岡空港が必要な社会資本としてできる限り多くの人に利活用され、あわせてその利便性を提供するべきであると理解しておりますが、土地収用まで行って整備していることなどをしんしゃくすれば収支の考え方について早期に明確にする必要があると考えます。
     そこで、こうした県民の心配を払拭する意味においても、この際収支見通しについてお尋ねしたいと思います。
     まず、建設費千九百億円にはどのような内容が含まれているのか、最終的に建設費はどの程度になると見込んでおられるのか改めてお伺いをいたします。
     次に、滑走路、誘導路など基本施設の管理運営に要する経費とそれに充てるべき着陸料などの収入との関係をどのように考えているのか、県費による補てんの可能性、着陸料の減免など航空会社への運航支援策、さらに航空機購入についても言及されているようですが、これらが収支に与える影響をどのように考えているのかあわせてお伺いをいたします。
     次に、森の力再生事業についてであります。
     私が住む浜松市は一昨年の市町村合併により、東京都や神奈川県全体の森林面積を凌駕する約十万ヘクタールの森林を有することになりました。この森林は金原明善翁など先人の教えに従い森林所有者が営々として築き上げたものですが、浜松市民の生命や財産を守る貴重な存在でもあり、この森林を適正に管理していくことに市民は重大な関心を寄せているところであります。
     そのような中で昨年四月からもりづくり県民税が導入され、これを財源とする森の力再生事業が開始されました。本事業は杉やヒノキの人工林を列状や群状に伐採し、広葉樹の自然発生を促し、混交林に誘導するなどの森林整備を十年間で一万二千ヘクタール実施するというものであります。このような整備は森林が有する災害防止や水源涵養の働きの向上を目的とするものであり、「環境の世紀を拓く持続可能な社会づくり」を目指す本県にふさわしい新たな取り組みであると理解をしております。
     しかしながら、この新たな取り組みは森林所有者の林業活動を支援して、適正な森林管理を促す従来の施策とは大きく異なるものであり、すべての県民に関する森林の再生事業であります。県民全体のためとはいえ、これまで経済的な価値を期待してきた森林を環境を重視した森林に転換することについて、権利者によく理解いただくことが事業の目的達成に最も重要だと考えております。
     また、森林整備の専門家である森林組合から森づくりに関心を寄せるNPOなど幅広く県民が整備者となって事業に取り組んでいただくことも大切であります。そのためには現地の事業実施状況や整備者、権利者の反応、意見などを的確に把握し、現場の実情に即しかつ効果的な取り組みを今後も進めていくことが不可欠であります。
     そこで、県は本年度の事業の状況を踏まえ、より多くの県民の参加と協力を得て効果的に事業を進めていくために、来年度はどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
     次に、医療政策についてお伺いをいたします。
     最初に、医師確保対策についてであります。
     全国的に病院に勤務する医師が不足している中で、県内でも診療科の一部休止や廃止に追い込まれている病院もあり県民は不安を感じております。もし、医師不足のために地域の一つの病院の診療体制が破綻した場合、その病院で治療を受けていた患者は他の病院に移ることを余儀なくされ、周辺の病院にも今以上の負荷がかかり、ドミノ倒し的に地域の医療体制の崩壊を招くことも考えられます。私は、こういう事態とならないようにするのも県の重要な役割であると考えております。
     さて、私ごとで大変恐縮ですが少し紹介をしますと、私自身、実はがん患者であるということであります。
     思えば十六年前、異変を感じ診察を受けた結果、大腸がんと告げられたそのときは正直表現のしようもないほどのショックでした。完治を信ずる気持ちと死を覚悟する気持ちの交錯は精神的にも大変大きな不安を招くものでした。加えて、目前に二回目の県議選を控えてのことでしたから、なおさら気持ちは焦りました。それでも多くの皆さんの支えでそれをクリアできましたが、それもつかの間、今度は舌がんでした。これまた治療に当たっては苦痛、苦悩の連続でありました。幸いにして私の住む浜松は医療機関に恵まれており、二つのがんを克服し現在に至っております。
     このことは大きな自信となり、また健康のとうとさを痛感したところであります。がんに限らず、さまざまな病気で悩んだり苦労されている人は大勢いると思います。少しでも参考になり勇気づけになればと思い、私ごとでしたが申し上げました。
     話をもとに戻します。医師が不足して十分な治療が受けられないことを思うとき、これほど不安なことはないと思います。
     そこで、県では今年度から中長期的な視点に立った医師確保対策を行っておりますが、今後、地域の医療体制が危機的な状況となるのを防ぎ、県民の安心・安全を守るという観点から即効性のある短期的な対策も必要であると思いますが、県のお考えをお伺いいたします。
     また、時代はいよいよ人口減少化時代を迎えたと言われていますが、少子化対策を進める上で安心して子供を産み、育てていくことができる環境を整えることは行政の重要な役割の一つであり、産科や小児科の医師の確保は極めて重要な問題であります。昨年には分娩中の妊婦が意識不明の状態となり、対応可能な医師のいる病院が見つからなかったため出産後に亡くなるという痛ましい事件もありました。三重県では産婦人科の医師を高額の給与で招聘いたしましたが、一人の医師では対応におのずから限界があり待遇面での調整が整わず退職されたと聞いております。
     医師不足の中にあって若い医師には負担の大きな産科や小児科を敬遠する傾向があり、将来的には医師の確保が極めて困難であると言われております。
     そこで、本県における産科や小児科の医療提供体制について、現状と今後の県の取り組みについてお伺いをいたします。
     次に、県立三病院の地方独立行政法人化についてであります。
     現在、県においては質の高い医療の提供とより効率的な病院経営を両立させる運営体制の構築を図るため、県立三病院の一般地方独立行政法人化に向けた準備が進められているところであります。
     県立三病院が地方独立行政法人化しても、引き続き政策医療や不採算医療と言われております小児の心臓血管外科手術などの高度な専門的医療や結核などの特殊医療、また公的な医療機関でなければ対応が困難である医療についても県内医療機関の中核病院としての役割を果たしていくことが求められております。
     これまでの県立三病院の取り組みはマスコミの調査において全国上位にランキングされているなど、県内はもとより全国的にも高い評価を受けております。もとより、医療サービスの提供については人材が最も重要な医療資源であり、このような高い評価は病院現場で日夜精励している職員の努力の積み重ねによるものと認識をいたしております。こうしたことから、地方独立行政法人による運営においても職員の処遇に十分配慮していく必要があると考えます。
     地方独立行政法人法においては、現在病院に勤務する職員については雇用が確保されることや地方公務員等共済組合法の適用があることなど各種の規定が設けられ、さまざまな措置が講じられているところでありますが、現場で働く職員の一部からは法人化後の処遇に不安を感じるとの声を耳にします。
     そこで、県立病院がより充実した医療を提供していくために職員への処遇も含め働きやすい職場づくりが重要と考えますが、県としてどのように配慮していくのかをお伺いいたします。
     次に、非正規雇用者の雇用安定化についてお伺いいたします。
     国の来年度予算においては、多様な機会が与えられ、何度でも再挑戦が可能となる仕組みづくりである再チャレンジ支援が重要な政策課題として位置づけられ、その中には若年者の雇用安定や法改正を含むパートタイム労働者の均衡処遇への動きが柱の一つとなったところであります。この再チャレンジ支援が求められる背景としては、働く意欲も能力もあるのに低賃金で働かざるを得ないワーキングプアと言われる働く貧困層の増加や給与が正社員の半分以下で昇給がないなどの処遇で働いている派遣労働者の増加など、格差を生み出す社会背景が形づくられているところにあります。
     パートや派遣労働などの非正規雇用者の増加は経済のグローバル化の中で企業側における人件費などのコスト削減が進められてきたためであり、また若年者などを初めとする働く側における職業意識やライフスタイルの変化などもその要因と言うことができると思います。
     本県の現状においても、平成十八年から有効求人倍率は一・二倍台で引き続き高水準で推移しており、雇用情勢全般としては改善しているものの、正社員の有効求人倍率はいまだに一倍を割っており、これは求人数が増加しているといってもパートや派遣労働などの非正規雇用への依存が依然として強い状況であることを裏づけております。
     また、本県はものづくり県を標榜しているところでありますが、県西部地域に多い製造業などの中小の関連企業においては後継の若手技術者が不足しており、このため派遣労働による技術者に頼って何とか賄っている状況であるとも聞いているところであります。そうなると長い期間にわたって積み重ね、先人によって確立されてきた技能・技術の次世代への伝承が極めて困難となり、企業はもとより、本県の産業全体にとっても致命的な状況を招くことになりかねないと危惧しているのであります。
     また、つい最近発表された人口推計によれば、少子化の進行が予想以上のスピードで進んでおり、二〇五五年には日本の総人口は九千万人以下となり、しかも六十五歳以上が約四割にも及ぶという衝撃的なものであり、労働力の確保についても待ったなしのところに来ているわけであります。
     人口減少社会を迎えた今、労働力の減少を補うだけでなく、質的向上を目指し企業での労働生産性を高める一方、また人手不足の製造業などでは派遣労働などの非正規雇用から正規雇用への転換を行い、確実な技能の伝承を進めていくことが喫緊の課題であり、働く者一人一人の能力を高め、発揮させる工夫や仕組みづくりが求められているのであります。
     そこで、格差のない活力ある社会を目指すために、パート等の非正規雇用で働く者の労働条件面での均衡処遇の確保にどのように取り組み、また非正規雇用から正規雇用に転換していくための能力開発などに対する支援はどのように進めているのか、非正規雇用者の雇用安定化の観点から県当局の考えをお伺いするものであります。
     次に、既存企業の定着対策についてお伺いをいたします。
     ここ数年続く景気の回復基調により製造業を中心とする企業の設備投資が拡大されたことに伴い、本県の工場立地件数は平成十四年から十六年までは三年連続全国第一位、平成十七年には全国第三位になったものの平成十八年上期の立地件数では全国第二位になるなど、依然として全国でもトップレベルの立地件数を維持しております。これは本県が今まで道路や港湾、工業用水道などインフラ整備を着実に実施し、静岡県のポテンシャルや魅力を高めてきたこと、また市や町との連携を図りながら積極的に国内外からの企業誘致に取り組んできた成果があらわれてきたものであり、本県の雇用の安定と所得水準の向上に寄与しているものであります。
     しかしながら最近では生産拠点の再編により、県の西部地域の大手企業などが主要製品の生産拠点を他の地域へ移す計画が次々と発表されております。結果、工場の移転先への転勤を求められてくるのであります。このような生産拠点の流出は県内の雇用を減少させ、関連企業も流出し、ひいては税収が減少するなど地域経済に深刻な影響が出かねないものであり、また主な取引先である地元中小企業に与える影響もはかり知れないものがあります。
     そこで、県がこれから企業誘致施策を展開していく上で、県外から企業を誘致するだけでなく既存企業が県外へ出ていかないための、いわゆる既存企業の定着対策を行うことも大切と考えますが県の御所見をお伺いいたします。
     次に、ユニバーサル園芸の推進についてお伺いいたします。
     ユニバーサルデザインの先進県を目指す本県では、従来、園芸療法や園芸福祉などと呼ばれていたものにユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、本県独自のユニバーサル園芸を提唱しております。
     ユニバーサル園芸は農耕や園芸などを通じ、土に触れ、植物の命を育てていく活動などにより、障害のある方ばかりでなく、あらゆる人の心身の健康や機能の回復、さらに心のゆとりや豊かさなどを実現していくものとされています。これまで本県では民間団体とも連携してユニバーサル園芸に関する講座やシンポジウムの開催、市民農園のコンテスト、各地での活動支援などを実施してきたと伺っております。こうした活動により障害のある方が農業の現場で働くようになったり市民農園を楽しむ方がふえたりすることなど、徐々にですがユニバーサル園芸が県内に定着しつつあると感じております。
     さて、最近、一般企業の農業参入への動きが見られる中で、千葉県内のある企業では障害のある方を雇用し自社で使う花の苗を生産する取り組みを始めたと聞いております。ユニバーサル園芸の発祥の地である本県においても農業分野に障害のある方々を数多く受け入れることのできる仕組みづくりを推進していくことが重要であると思います。
     また、今後一、二年で全国で七百万人、本県でも二十万人と言われる団塊世代の方々が退職を迎えます。これらの方々を対象に新たな生きがいづくりや健康づくりの場、さらにコミュニケーションづくりの場として県内各地の遊休農地に市民農園を整備していけば、本県農業の大きな課題である遊休農地解消の一助にもなると思います。こうした新たな動きの中で、民間団体と連携してユニバーサル園芸を県内各地に広く普及させていくことは、地域に貢献する農業としての発展に加え県民の暮らし満足度の向上にもつながるものと大いに期待しております。
     そこで県は今後、ユニバーサル園芸をどのように推進していくのかをお伺いいたします。
     次に、公共土木施設の維持管理についてお伺いいたします。
     日本より三十年早く一九二〇年から三〇年代に急速に道路整備が進んだアメリカは、十分な維持管理費が投入されなかったために一九八〇年代に道路や橋の老朽化が顕在化し、ニューヨーク市のブルックリン橋でつり橋のケーブルが破断して直撃を受けた歩行者が死亡したり、コネチカット州ではマイアナス橋の橋げたが落下し三人が犠牲となるなど事故や交通障害が相次ぎ、荒廃するアメリカと言われ社会問題となりました。国交省によりますと、全国に約十四万ある長さ十五メートル以上の橋のうち一般的に耐用年数といわれる五十年以上経過した橋の割合は二〇〇六年度には六%でしたが、二十年後の二〇二六年には四七%に急増するという調査結果が示されております。
     静岡県においても、県の管理する長さ十五メートル以上の橋梁約千三百のうち建設後五十年以上経過した橋の割合は現在九%、十年後には二七%、二十年後には五一%にも達し、全国と同じような傾向にあります。また橋梁以外にも道路延長約三千五百キロメートルに及ぶ舗装、延長約三十三キロメートルの港湾係留施設、四百十カ所の水門、陸閘、さらには百七十九カ所のトンネルなど多くの県管理の公共土木施設が存在し、これらもまた橋梁と同様に確実に高齢化が進んでおり、本県でも荒廃するアメリカに似通った状況になろうとしております。
     公共土木施設は県民の安心・安全を確保し快適な暮らしを実現するためには必要不可欠なものでありますので、引き続き施設の整備、更新を進めるとともに、その一方で県財政を取り巻く環境は厳しい状況にありますことから、限られた財源を有効に活用して既存施設の効率的な維持管理を図ることもまた重要であると考えております。
     このため、県は全国に先駆け適切な維持管理による施設の長寿命化を可能にすることで、更新時期の集中を避けて管理コストの低減や予算の平準化を目指す土木施設長寿命化計画に平成十五年度から取り組み、その成果として橋梁や舗装など主要な施設における維持管理の方法を定めたガイドラインを策定しておりますが、今後はこれらのガイドラインに基づき具体的にどのように公共土木施設の維持管理に取り組んでいくのかをお伺いいたします。
     次に、豊かでたくましい心身をはぐくむ教育についてであります。
     昨年末、教育基本法改正法が成立いたしました。改正に当たって、あるいはその後も多くの議論があるところでありますが、我が国の教育は新たな一歩を踏み出したことは事実であります。この改正法では、これまでの教育基本法が掲げてきた普遍的な理念を継承しつつ、公共の精神などの日本人が持っていた規範意識を大切に、それらを醸成してきた伝統と文化の尊重などこれからの我が国の教育のあり方が示されております。
     さらに、今回の改正で新たに設けられた「教育の目標」の第一項に、「豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと」が規定されております。申し上げるまでもなく、いじめやそれに伴う自殺など子供たちのこころの問題や感性、社会性の不足、体力の減退傾向などが取りざたされ、将来を担う子供たちの健全な成長に対する国民の不安は増大しております。 そうした中豊かでたくましい心身の育成について、教育の根幹である教育基本法に新たに規定されたことは今日的な課題への対応としてそれなりの意義を持つものと考えます。
     こうした人づくりを進めることこそ、本県の子供たちが真に豊かで未来に向かって成長する活力を持ち続けるために必要ではないでしょうか。私はこの人づくりを進めるために大きな成果を生み出すものとして学校における部活動があると思います。学校部活動は子供の自発的、自主的な文化活動やスポーツ活動を通して互いに切磋琢磨し、豊かな感性や創造力、表現力、健やかな身体とともに社会性をはぐくむことができる意義ある活動であると思います。
     そこで、今こそ本県の二十一世紀を担う豊かでたくましい心身を備えた子供たちをはぐくむため、学校における部活動をより活性化していくことが大切だと考えますが、教育長の御所見と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
     最後に、安全・安心なまちづくりについて警察本部長にお伺いいたします。
     県警からいただいた資料によりますと、本県の主要な治安指数は昨年と平成元年との比較で刑法犯認知件数が約一・八倍、一一〇番受理件数が約二・九倍、被留置者延べ人数が約二・二倍といずれも増加しており、世界一安全と言われた我が国の治安回復は前途多難であると思われます。また中でも治安に最も影響を与える刑法犯の認知件数につきましては平成十四年をピークに減少傾向にあり、その検挙件数はおおむね横ばいですが検挙率については平成元年のほぼ半分とのことです。検挙についてはより一層の御努力を期待するところであります。
     さて、検挙が横ばいなら、なお一層重要になってくるのが防犯ということになるわけであります。県警では平成十五年から県民の身近なところで発生し、刑法犯全体の六割強を占める十五の犯罪を指定して、特に力を入れて抑止していこうと街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策を展開されており、県におきましても平成十六年から静岡県防犯まちづくり条例を制定し、県、県民及び事業者が一体となって防犯まちづくりを推進しているところであります。
     その成果は確実に実を結び、県民みずからがボランティアとしてパトロールに従事したり、県内自治体でも安全条例を制定したり、泥棒が侵入しにくいマンションの開発普及などさまざまな防犯作用というものが広がりを見せるようになってきました。
     そこで、今こそ官民の協働をより一層進め、県民が本当の意味で安全・安心な静岡県を実感できるように、そして静岡県が日本一暮らしやすい県となるように、新たな年のスタートに当たり新鮮な気持ちで犯罪抑止に取り組んでいただきたいと期待するところであります。
     そこで、過日県警が発表した静岡県警察治安再生プログラムの重点施策の第一に掲げられている安全・安心なまちづくり、中でも街頭犯罪・侵入犯罪を抑止するための総合対策について、どのように取り組んでいかれるつもりなのか県警本部長にお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 (拍手)
    ○副議長 (石橋康弘君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  岡本護議員にお答えをいたします。
     初めに、将来を見据えた県政運営についてのうち、今後の県のあり方についてであります。
     道州制につきましては、昨年二月の地方制度調査会の答申以来、政府や経済団体等から導入に向けた積極的な発言が相次いでおりますが、一方で国民の理解は余り進んでいないという印象を持っております。岡本議員のお挙げになりました世論調査なども、それをある程度裏書きしてるんじゃないかというふうに私も受けとめました。
     全国知事会におきましては道州制特別委員会を中心に議論、検討を行っておりますが、昨年の七月の全国知事会、あるいはその後のこの特別委員会の議論などでもなかなか意見がまとまりません。道州制の検討すら必要でないという意見から、道州制とは違う見解、私の政令県構想などもその一つになるわけですけども、幅広い議論もあります。今後知事会においてどのような方向に行くのか、私は四十七都道府県知事が同じ考えでまとまるとはとても思いませんし、それに向けて知事会として何か努力しなければいけないというものでもないというふうに考えております。
     そもそも道州制を何で導入しなきゃいけないのか、どういう理念でやるのか、このところの何というか国民的な合意形成に向けての議論ですね、あるいは討論というか検討、これがもっともっと行われるべきではないかというふうに思うんです。現在はそこのところを通り越して、もういきなりどういう境界で道州を編成するかという、そこに興味関心が行ってしまっているようでありまして、そこからさまざまな何ていうか、異論というか、見解の相違も生まれてきているようにも思えるわけであります。したがって今後どのような理念で行うかということが極めて私は重要であると思いますので、そういう点からの世論喚起、これに重点を置きながら私は私なりのいろいろ活動をしていきたいというふうに思っております。
     道州制特区を北海道を対象に実施する法律が成立いたしました。しかしこれなど見ておりましても、単に道州特区と言っただけであって、今の北海道の権限にほんの申しわけ程度に国の権限を移しただけで、例えば地方分権をより徹底するという観点から見ると、何の評価にも値しないような道州特区になっているし、あるいはそのことから、それじゃ今、北海道の直面しているさまざまな困難を道自身が自分の考えと力でもって何か打開するという、そういう権限なり立場を与えられていない。そういうようなものになってしまっておる。そういうふうに私は受けとめざるを得ないような特区制度となってるわけですね。
     これはなぜそうなったかというと、国において道州制を本当に導入するとするならば、覚悟してしかるべき国の地域行政、それもかなり広範域にわたる広域行政の権限とか財源ですね。これを道なら道に全部渡すというような覚悟がないまま、ただ何か道州制ということに形だけでもこたえておかないとどうも何か政党の支持率に影響するんじゃないかとか、あるいは見識を疑われるんじゃないかとかというような単なる何ていうか、そういう建前なり、ファッションとしての道州制をファッションとして何か言ってればそれで責任が果たせるかのごとく、その程度の私は覚悟なり考え方で取り組んでいるとしか思えないわけですね。
     したがって、当然その本格的な道州制に踏み出すような特区制にしようという原案が出てくると、各省庁が寄ってたかってつぶしにかかって結局政治としてそれを押し切れなかったわけですね。そのために何の大騒ぎをして、何のための道州制特区だったのかというようなことになってしまっている。したがって、今後、この北海道が道州の特区になった、そうだ、これは非常に将来の本格的な道州制に向けて期待できそうだなと思うには、もうとてもほど遠いようなものになってしまっている。特区、モデルでやろうとしたものですらこんな程度ですから本格的な導入なんて本当に言ってるのかと。本気になって言ってるのかと私は感ずるわけでありまして、そういう点ではもっともっと、道州制は本当に何のためにやるのか、それが腑に落ちるような大いに議論と説明が必要じゃないか。
     私は今日の日本の国内の内政構造というか、国内のいわゆる統治機構のあり方としてより分権型に持っていくと。市や町、市町村を超えた国と中間の行政作用というのが必要だと思う。その行政作用を国の出先機関タイプでやるのか、分権型でやるのかとすれば自治型でやった方がいいと、そういう観点から考えていかなきゃいけない。そうすると、それがいきなり道州に行くのか、今の都道府県四十七あるものを半分ぐらいにまとめるという方向がいいのか、いろんなバリエーションが出てくると思うんですね。
     そういう議論を通じて最終的にそれじゃ九つぐらいの道州に行こうかという世論が高まってくれば、私はそれも大変理想的ですからいいと思うんですけども、そこまで行き切れないんじゃないかという見通しの上で私は都道府県の合併をてこにした政令県構想を提唱してるんですけども、これもですね、その政令県となったところには国の権限を大幅に移すということですから、これも相当なやっぱり覚悟がなければいけないというふうに思っておりますので、今後いろいろな機会にこのような考え方も申し述べながら、より分権型の地域行政機構ができるように努力をしてまいりたいと考えております。
     次に、本県の今後の財政運営についてであります。
     当面の財政運営につきましては厳しい財政環境にあることを考えますと、集中改革プランに基づいて歳出のスリム化や歳入確保の努力を最大限行いながら、他方で回復基調にある県内経済をより強くしていくことも結果的に本県財政の課題の解決につながると、こう考えて、教育、医療、次世代産業の育成や必要な社会基盤の整備といった、静岡県の将来に必要とされるようなさまざまな力の向上に向けた施策に必要な財源をめり張りをつけて配分していく、こういう考えで臨んでおります。
     基本的にはそう考えるわけでありますけども、計数的に見ますと県財政の中期見通しでお示ししたように、当面県税収入の増加が見込まれる一方で、社会保障関係費などの義務的経費も大幅に増加する見込みであります。
     加えて、国の地方財政対策の中では交付税を含めた一般財源総額を抑制するという方針が堅持される可能性が非常に強いわけでありますので、構造的に地方税収の伸びが地方公共団体の政策的経費の財源増にはつながらないと、交付税で差っ引いてくるとそういうことになりますので、今のような状態が予想されます。仮にそういうことになりますと、本県はもとより全国的にも経常収支比率が上昇して財政の硬直化が進むと考えられるわけでありますので、容易なことではないというふうに予想されます。
     県といたしましてはこういう影響を最小限に抑えるようにみずからできることは積極的に取り組みますけども、国に対し自立した行財政運営のための税源移譲、必要な一般財源総額の確保、地方の努力による税収増が行政サービスに反映される地方財政対策の実施など地方財政全体の構造的課題を解決していくよう強く働きかけてまいります。
     次に、新しい時代にふさわしい社会づくりについてのうち、多文化共生社会についてであります。
     昨年九月に設置しました静岡県多文化共生推進会議では、労働、教育、地域共生の三つの分野における関係主体の役割や県の施策の方向性などについて活発に議論をしていただきまして、去る二月一日に総括的な議論を行っていただきました。これらの会議での議論を通じて労働問題については、基本となるべき正確な実態把握の重要性について浮き彫りになってまいりましたし、また教育、地域共生の分野においては、既に明らかになっている課題の緊急対応策についての御意見もいただきました。
     県といたしましてはこの会議での検討結果を踏まえて、労働の問題については平成十九年度に商工会議所の協力を得て企業側から、商工会議所の協力というのは企業側から、また大学等の協力を得ながら外国人労働者側から、それぞれ実態調査を行うということを考えております。それに基づいて国の制度整備に対する要望や県の施策展開を図ってまいりたいと思います。
     また、教育についてでありますが、小中学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒の学習支援等を行う支援教室の開設や、日本語の授業が十分行われていない外国人学校における日本語指導などの具体的な事業を新たに実施したいと考えております。
     さらに、地域共生の分野でありますが、言葉や文化の相違などから発生する生活面での摩擦や誤解を解消するため、地域の成功例を参考としながら市や町とともに静岡県における地域モデルの確立、普及に取り組むこととしております。多文化共生社会の構築に当たりましては、国、県、市や町、さらには企業や県民などあらゆる主体がそれぞれ担う役割を積極的に果たすことが求められますことから、本県では関係主体の自主的な取り組みを促しながら体系的、総合的な施策を実践してまいりたいと考えております。
     次に、富士山静岡空港の収支見通しについてであります。
     空港整備にかかる全体事業費の見積額は千九百億円であります。内訳は、空港本体の整備及び周辺部整備約五百億円、周辺部整備、空港関連道路、関連河川整備、生活生業対策、地元対策等千四百億円となっております。したがって、開港後の管理運営に要する経費等は含まれておりません。
     これまでの執行額と平成十九年度当初予算を合わせた支出額は約千七百六十億円になります。十九年度末までには空港基本施設は一部を残し、その他は完成する状態にあると見込んでおりまして、総事業費そのもの、見積もりの千九百億円以内でおさまるものと、今見積もっております。また滑走路、誘導路などの空港基本施設等の管理運営費は、空港の供用によって得られる着陸料等の収入によって賄うことが基本であるとされておりますので、これを踏まえて今考えております。
     なお、他空港で実施している、例えば航空利用客への優遇策や航空会社に対する着陸料、ターミナルビル使用料の減免等のインセンティブについては開港後一定期間を限定とは考えておりますが、より多くの路線・便数を確保する上で有効な手段と考えられますので、結果的にはまたそれを通じて利便性の向上や地域産業の振興に資するものと考えられますから研究しているところであります。
     富士山静岡空港は県勢の発展に不可欠な生活インフラ、産業インフラでありますことから、短期的な運営管理上の収支もさることながら、経済波及効果なども含め中長期的な視点に立ち、空港をいかに活用しいかに便益を引き出すかが重要であり、このためにはより多くの路線・便数の確保が目下の最大の課題であると考えているところであります。
     次に、医療政策についてのうち、医師確保対策についてであります。
     まず、即効性のある対策についてでありますが、現在、県内の自治体立病院や日赤、済生会病院などの地域医療の核となる公的病院において医師不足が深刻な問題になっております。この問題には国家的視点での対策が不可欠で、これについては国に対し早期の、また幅広い対策の実施を要望しているところでありますが、県といたしましても地域の医療提供体制を確保するため、緊急措置として県立総合病院及び県立こども病院の医師を増員確保し、診療科内でローテーションを組むことによって医師を派遣しているところであります。今後この枠といいますか、数も順次拡大をしていく考えであります。またその必要も生まれてきつつあります。
     次に、産科・小児科の医療提供体制についてでありますが、一部地域の病院では産科・小児科の勤務医の退職により診療科が縮小しているため、県では昨年七月から小児科医の負担を軽減することを目的に小児救急電話相談事業を開始しており、来年度からはさらに相談日を拡大していきます。また平成十九年度から周産期医療を担う病院を対象として、医師が医療に専念できるよう医療補助員を雇用する経費への助成制度を創設するなど、産科医の離職防止対策も行ってまいります。さらに医療資源の重点化を図ることによって地域の周産期医療を確保するために拠点病院を追加したところであり、本年六月には県立こども病院において本県の中核となる周産期センター及び小児集中治療センターを開所いたします。
     岡本議員が御自身のがん治療体験をもとに医療の充実整備の必要性のお話がございましたが、県民の安心・安全を確保し本県を魅力ある地域として、これから県内人口が減っていく、これに対処するためには、多くの静岡県内へ行って活躍したい、活動したいという人を呼び込む必要性があると、こういう観点からこの医療の問題は極めて重要な要素になると思います。
     今後とも、県みずからの努力と、またそれではいかんともしがたいいろんな施策については、国に対しても積極的に改善の働きかけをしながら努力をしてまいる考えであります。
     またその他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長 (石橋康弘君)  大村生活・文化部長。
            (生活・文化部長 大村義政君登壇)
    ○生活・文化部長 (大村義政君)  新しい時代にふさわしい社会づくりについてのうち、男女共同参画社会についてお答えいたします。
     性別、年齢、国籍などにとらわれず、だれもが生き生きと活躍できる男女共同参画社会の実現は、人口減少社会に対応しながら県民暮らし満足度日本一を達成するために欠くことのできない条件であります。
     このたび取りまとめた後期実践プランでは実効性のある取り組みとするため、八十一項目の目標数値を設定するとともに、正しい理解と行動につながる戦略的な広報展開、女性のチャレンジ支援と登用の促進など今後四年間に県が重点的に取り組む施策を定めております。特に施策展開のキーワードとして仕事と生活の調和を掲げ、だれもが仕事と生活のバランスをとりながら生涯を通じて多彩な夢に挑戦できる生き方ができるよう、男性を含めた働き方の見直しや就業環境の整備などに取り組んでいくことといたしました。
     今後は後期実践プランを県が率先して実行するとともに、仕事と生活の両立支援に取り組む企業等が実施する男女共同参画社会づくり宣言など新たな取り組みを進め、企業、民間団体などとの連携、協働のもと、官民が一体となって男女共同参画社会の実現を図ってまいります。
    ○副議長 (石橋康弘君)  府川環境森林部長。
           (環境森林部長 府川博明君)
    ○環境森林部長 (府川博明君)  森の力再生事業についてお答えいたします。
     初年度である本年度は幅広い関係者の理解を得るため、延べ二百十五回、四千百人を対象に説明会を開催するなどの努力の結果、権利者の協力を得て森林組合等の林業事業体、民間企業、NPOを整備者とし、約九百ヘクタールの整備が進むものと見込んでおります。本年度、順調な滑り出しを見せたことに加え、整備者も事業に習熟してくることから来年度の千三百八十ヘクタールの整備計画についてもおおむね順調に達成できるものと考えております。
     しかしながら森林整備事業の増大により労働力不足が懸念されること、一部で列状間伐などの新たな整備方法について理解が必ずしも十分に得られていないこと、竹林など里山林の整備がおくれているなどの課題があります。そこで来年度は労働力の確保と整備者当たりの事業量の増加を図るため、権利者と民間企業などを県が直接仲介することや年度当初から年間を通じて事業に取り組むよう誘導するほか、モデル林の設置による権利者の理解の促進、身近な里山林整備への地域住民の参加促進に向けて市や町と連携して取り組んでまいります。
    ○副議長 (石橋康弘君)  藁科健康福祉部長。
            (健康福祉部長 藁科一仁君登壇)
    ○健康福祉部長 (藁科一仁君)  医療政策についてのうち、県立三病院の地方独立行政法人化についてお答えいたします。
     法人化後の職員の処遇につきましては、地方公務員等共済組合法や地方公務員災害補償法などが引き続き適用され、その他の勤務条件については法人が就業規則において定めることとなっております。
     県といたしましては就業規則の整備に当たって職員の処遇に配慮する必要がありますので、給与や勤務時間、休日などについて現行の水準を基本に考えていくものと認識しております。また機動性、弾力性、柔軟性といった法人化の特性を生かし、職員の意欲を高め努力が報われる給与制度や弾力的な勤務時間の設定、柔軟な雇用形態の導入などについても検討してまいりたいと考えております。
     県民の皆様へよりよい医療を提供するとともに、より効率的な病院運営をしていくためには、病院の現場で働く職員が安心して仕事に専念できることが大切でありますことから、今後も職員組合とも十分お話をしながら働きやすい職場づくりに努めていきたいと考えております。
    ○副議長 (石橋康弘君)  杉山商工労働部長。
            (商工労働部長 杉山栄一君登壇)
    ○商工労働部長 (杉山栄一君)  非正規雇用者の雇用安定化についてお答えいたします。
     就業形態の多様化が進展し非正規雇用が増加する中で非正規雇用者の雇用の安定化を図るためには、正規雇用の拡大とあわせて非正規雇用者の処遇の改善が重要な課題であると認識しております。
     このため県では、昨年九月に全国で初めての取り組みとして、公労使関係者である静岡県地域労使就職支援機構の代表、静岡労働局長及び知事の連名により企業に対し正規雇用の拡大について要請を行うなど、さまざまな機会をとらえて正規雇用の拡大を働きかけているところであります。また正規雇用者の採用に際しては専門的な技術や技能などを求めている企業が多いことから、テクノカレッジ等において在職者訓練や離転職者訓練など多様な職業訓練を実施するとともに、ヤングジョブステーションにおいては社会人として求められる基礎的な能力を習得するための講座等を開催するなど、正規雇用者として採用されるように就労支援を行っているところであります。
     さらに、非正規雇用者は賃金面や企業内での教育訓練の機会など正規雇用者に比べさまざまな格差が見られることから、非正規雇用者の処遇の改善を図るため企業の人事労務担当者を対象に雇用管理改善セミナーなどを開催しております。現在、国において非正規雇用者の均衡処遇の実現や能力開発を図るためパートタイム労働法の改正等が検討されているところであり、こうした国の動向を注視しながら今後とも静岡労働局や関係団体と連携し、正規雇用の拡大や非正規雇用者の均衡処遇の確保について企業に働きかけてまいりたいと考えております。
     次に、既存企業の定着対策についてであります。
     企業の県外への流出は地域経済や雇用に大きな影響がありますことから、国内外からの企業誘致とともに既存企業の定着を促す取り組みも大変重要であると認識しております。
     このため県では、平成七年度に企業誘致を推進するために創設した新規産業立地事業費助成制度について、平成十六年度からは新規の立地に加え、既存企業が自社の所有地に工場等を新増設する場合にも適用できるようにしたところであります。この結果、平成十六年度から十八年度までの三年間で、この助成制度を活用した四十九社のうち十七社が自社の所有地への工場等の新増設であり、三百八十億円の設備投資と八百六十人の雇用の創出が見込まれるなど、既存企業の定着により地域経済の活性化が図られているものと考えております。
     また、平成十二年度からは県内で事業展開する県外企業との交流の場としてふじのくに企業交流サロンを開催するなど、企業との情報交換を通じて設備投資の動向や要望の把握に努めているところであります。さらに企業活動をサポートする高い技術力を持った中小企業の集積も重要でありますことから、工業技術センターによる技術支援や産学官連携事業の推進により地元中小企業の技術力の強化を支援しているところであります。
     今後とも、産業活動に必要不可欠なインフラである陸・海・空が一体となった総合的な交通基盤の整備を推進するとともに、企業の設備投資の動向に注視し市や町と連携して、安価で優良な工業用地の安定的な供給や企業立地のための優遇制度の積極的な活用などにより国内外からの企業誘致とあわせて既存企業の定着に努めてまいります。
    ○副議長 (石橋康弘君)  村松農業水産部長。
            (農業水産部長 村松靖則君登壇)
    ○農業水産部長 (村松靖則君)  ユニバーサル園芸の推進についてお答えいたします。
     農業分野における障害者雇用についてはビジネス経営体を中心に取り組みが進み、障害のある方と共同で作業をすることにより従業員の連帯感や労働意欲が向上するなどの評価もあることから、社会的な関心が高まっております。
     このため、県ではNPO法人しずおかユニバーサル園芸ネットワークと協働して、農業と障害に関する知識を持つ園芸福祉士などをサポーターとして就業現場に派遣する事業などを実施しているところであります。さらに、本年度は農業への参入に関心のある企業を対象に、障害のある方を雇用して農業を行うビジネスモデルを作成したところであり、今後その普及に努めていくこととしております。また市民農園数は毎年着実にふえておりますが、今後も団塊世代の退職者などによる需要拡大が見込まれることから、特に遊休農地での開設が進むよう用地の確保や農園の設計、運営の指導に取り組んでいくこととしております。
     県といたしましては、今後も障害のある方の就業促進と市民農園の開設拡大など農耕や園芸を通じて生活の豊かさを実現するユニバーサル園芸を積極的に推進してまいります。
    ○副議長 (石橋康弘君)  古川土木部長。
            (土木部長 古川博一君登壇)
    ○土木部長 (古川博一君)  公共土木施設の維持管理についてお答えいたします。
     県では公共土木施設についてライフサイクルコストの最小化や予算の平準化を目指した土木施設長寿命化の検討を進めてまいりましたが、今後は施設ごとのガイドラインに沿って点検により状態を的確に把握した上で、適切な時期に必要に補修を行う予防保全を基本に中長期管理計画に基づいた維持管理を実施していくこととしております。
     来年度は新たに土木施設長寿命化推進事業として、橋梁、水門、係留施設など六工種において施設の状態把握に努めるほか、傷み始めた舗装面をアスファルトの薄い層で覆う表面処理工などの新工法や日常的に橋梁を巡回、点検し、あわせて排水施設の清掃や局部的な塗装などの軽微な補修を行う管理手法を試験施工する予定であります。
     このように新しい取り組みを積極的に推進するとともに、PDCAサイクルによりその効果の検証と中長期管理計画の改善を行いながら生産性の高い維持管理を実現することで、県民の安心・安全を確保し暮らし満足度の向上に努めてまいります。
    ○副議長 (石橋康弘君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  豊かでたくましい心身をはぐくむ教育についてお答えいたします。
     部活動は議員御指摘のとおり、社会性は無論のこと、今の時代に必要な困難に耐える力や新たなものに挑戦していく意欲などを身につけることができる活動として、教科指導とともに、学校を支える大切な教育活動の柱であり、人づくりを進める上で大変重要と考えております。またこれは平日の放課後だけでなく週休日等における教員の献身的な指導の上に成り立っており、学校現場で日夜奮闘し頑張っておられる先生方に感謝と敬意を表する次第です。しかしながら部活動指導については、教育課程上の位置づけや教員の服務、保障などさまざまな課題を抱えているのが現状です。
     今後はこのような現状を踏まえ、教員の部活動指導を支援していく新たな方法などの研究を進めるとともに、来年度は新規事業として高校総体等で活躍が期待される部活動にコーチやトレーナーを派遣する運動部活動強化支援事業を行うなど、部活動のさらなる活性化に取り組んでまいります。
    ○副議長 (石橋康弘君)  五十嵐警察本部長。
            (警察本部長 五十嵐邦雄君登壇)
    ○警察本部長 (五十嵐邦雄君)  安全・安心なまちづくりについてお答えをいたします。
     県下の犯罪情勢につきましては、議員御指摘のとおり警察活動の強化とともに官民一体の防犯活動を展開してまいりました結果、刑法犯認知件数は戦後最多となった平成十四年から約二〇%減少し、しずおか防犯まちづくり県民会議が提唱する「平成二十年までに刑法犯認知件数を五万五千件以下」とする成果目標を二年前倒しで達成するなど、指数治安は相当の改善が進みました。
     しかし、最近の県政世論調査結果で、犯罪に遭う不安を感じる県民が七割を超えているという実態から、一層指数治安の改善を積み重ね、体感治安の向上を図るため街頭犯罪等抑止総合対策を初め、安全・安心なまちづくりを推進するなどを内容とする静岡県警察治安再生プログラムを策定したところであります。特に街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策は、昨年増加した子供や女性を対象とした強制わいせつ、高齢者をねらったおれおれ詐欺、多発する空き巣など、県民が不安を強く感じる犯罪を当面の重点に警察活動の強化と県民の自主防犯活動への積極的な支援に取り組むことといたしました。
     まず、警察活動につきましては、制服警察官による犯罪多発地域、時間帯を重点とした街頭活動を強化し、犯罪を未然に防止し、また発生した犯罪は必ず検挙するという警察ならではの捜査活動を強化し、重要犯罪、重要窃盗、連続、多発する犯罪の検挙を強化してまいります。
     次に、犯罪を起きにくくするという観点からの自主防犯活動への支援につきましては、県民会議加盟の関係機関・団体や防犯ボランティア団体との連携を一層強化し、強制わいせつやおれおれ詐欺などの発生実態や手口、被害を防止するための防犯情報の提供、地域の自主防犯へ踏み出すきっかけづくりとして防犯研修会の開催、侵入盗に対する防犯意識の高揚を目的としたセーフティ・タウン運動の拡充、全国一位の稼働台数となった青色防犯パトロールや子供の安全を見守る活動といった地域ぐるみの自主防犯活動への積極的な支援などに努め、総合的な犯罪抑止対策を推進し県民の体感治安の向上を図る所存であります。
    ○副議長 (石橋康弘君)  これで岡本護君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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