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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/03/2020

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 リニア中央新幹線整備について                  
(1) 環境大臣意見に対する見解                    
(2) リニア中央新幹線工事と水循環基本法               
2 健全な水の循環の確保について                  
3 分譲マンションの適正な管理について               
4 林業、木材産業の活性化について                 
5 花の都しずおかについて


○副議長(中沢公彦君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十五番 小長井由雄君。
       (六十五番 小長井由雄君登壇 拍手)
○六十五番(小長井由雄君) 私は、県政の諸課題について通告に従い知事、副知事並びに関係部局長に一括質問方式にて質問します。
 初めに、リニア中央新幹線整備についてのうち、環境大臣意見に対する見解について伺います。
 静岡県の主要な都市地域は、富士山や南アルプスの山麓に位置し河川流域や地下水域の下流域に展開しています。また県奥の急峻な山岳地帯には中央構造線によって数多くの断層があり、土壌はもろく崩壊しやすいことは言うまでもありません。このような静岡県の立地条件からリニア中央新幹線工事に伴って発生が予想される災害は静岡県に直接影響すると考えざるを得ません。
 ところが、JR東海の責任者は掘ってみなければわからないと公言するばかりで静岡県民としては被害回避策が的確に示されているとは到底思えません。
 二〇一四年六月に当時の石原環境大臣が国土交通大臣に提出した環境影響評価書に対する環境大臣意見の中では、「事業規模の大きさから、本事業の工事及び供用時に生じる環境影響を、最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めない」としており、さらに「ほとんどの区間はトンネルで通過することとなっているが、多くの水系を横切ることとなることから、地下水がトンネル湧水として発生し、地下水位の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高い」と指摘しています。また供用時には大量のエネルギーを必要としているが、我が国があらゆる政策手段を講じて地球温暖化対策に取り組んでいる状況下、これほどのエネルギー需要が増加することは看過できないと述べております。重ねてこのほかにも多量に発生する発生土の適正な処理、希少動植物の生息地、生育地の保護、工事の実施に伴う大気汚染、騒音・震動対策等、本事業実施に伴う環境影響は枚挙にいとまがないと厳しい意見表明をしています。加えて南アルプス国立公園、ユネスコエコパークである当該地域の環境を保全することが、我が国の環境行政の使命でもあると述べています。
 我が国の環境影響評価は事業を推進するためのものではあります。しかし環境大臣の意見は多くの問題を含んだこの事業に対して強く警鐘を鳴らすとともに、意見の中でも述べられているように関係する地方公共団体及び住民の理解なしに実施することは不可能であることを示しています。
 このように、静岡県民の安全・安心と自然環境を守るために重要な意見を述べていると考えます。改めてこの環境大臣の意見に対する見解を伺います。
 次に、リニア中央新幹線工事と水循環基本法について伺います。
 二〇一四年に成立した水循環基本法は健全な水循環の維持、回復を目的として制定されたものであり、第三条には五項目の基本理念がうたわれております。リニア中央新幹線関連工事が及ぼす影響をこの基本理念に照らし合わせると次のように指摘できると思います。
 まず、第三条第一項は健全な水循環の重要性です。地球上の生命を育みとされていることから生態系保全への配慮を明示しており、工事による沢がれが起きた場合それによる山体の疲弊、砂漠化は容認できるものではありません。
 二項は水の公共性です。工事による出水を全量戻すことができないなら県民がその水の恵沢を将来にわたり享受することが阻害されてしまうということになります。
 三項は健全な水循環への配慮です。水量、水質へ及ぼす影響が回避され、または最少となるように予防措置を講じなければならないということです。しかしJR東海との対話の中では水処理、残土処分について納得できる説明を聞くことができません。
 四項は流域の総合的管理です。水循環の過程において生じた事象がその後の過程においても影響を及ぼすものであることに鑑み、流域に係る水循環について流域として総合的かつ一体的に管理されなければならないとしております。JR東海副社長の源流部での工事が百キロ以上離れた地域の地下水に影響を及ぼすことはないとの発言は水循環基本法の成立を知らないのか、あるいは軽視しているのではないかとさえ思えます。
 五項は水循環に関する国際的協調についてうたわれています。南アルプスは国際機関によりユネスコエコパークとして承認されており、この地域を守っていくことが国際貢献の一つだと考えます。
 以上、水循環基本法はリニア中央新幹線工事の実施に際して配慮しなければならない重要な法律だと理解しております。水循環基本法が成立した意義についての知事の見解をお聞かせください。またその見解を踏まえリニア中央新幹線の協議をどのように進めていくのか伺います。
 次に、健全な水の循環の確保について伺います。
 先ほど述べたとおり、水循環基本法は健全な水循環の維持、回復を目的として制定されたものであり第二条で水循環及び健全な水循環が明瞭に定義されました。第五条では地方公共団体の責務、さらに第十四条から第十六条の基本的施策では貯留、涵養機能の維持向上を図ること、水の有効利用の推進、水量の増減、水質の悪化等に対する規制措置、流域の総合的・一体的管理を行うための体制整備と住民意思の反映が規定されました。
 従来、河川の流水は公水であり私権の目的となることはできないと河川法第二条二項で規定される一方、地下水は私水であり民法二百七条を根拠に土地所有権の効力が及ぶと解釈されてきました。これに対して水循環基本法では水は地表水、地下水ともに公共性の高い国民の共有財産であると規定したことで初めて水は表流水、地下水を含め国民の共有水とされました。また河川水や工業用水、農業用水、生活用水といった各所管官庁による縦割りの枠を超えて健全な水循環という観点から、水の公共性に関する理念と各主体に期待される役割を明記した点で画期的な法律であります。
 静岡県では、二〇一八年に水循環基本法の趣旨を踏まえ静岡県地下水の採取に関する条例を改正しました。この改正では基本理念条項第二条の二を新設して、健全な水循環の維持または回復のための取り組みの推進と地下水を県民共有の貴重な財産であるとしてその適正な利用を規定しましたが、これは全国的にも先進的な内容であります。
 今後、地下水を流域全体で適正に管理し健全な水循環を維持していくためには、水の利用のほか水源である雨を貯留、涵養する機能の維持向上が必要であります。特に開発行為は涵養や地下水の流れに影響する可能性が大きいため、地表面のみならず地下水が流動する地下についても事前の防止措置がとれるよう新たな条例を制定し開発行為を規制する体制の整備が必要ではないかと考えますが御所見を伺います。
 また、静岡県の河川、地下水脈は富士川、天竜川のように県境を越えて広がっており近隣県との連携を図っていくことが必要と考えます。富士川水系の濁りがサクラエビの不漁と関係するのではないかと言われている山梨県との関係や、県境に堆砂率が極めて高くなっている五つのダムがある天竜川については長野県との関係も重視しなければならないと考えます。
 これらの事例に見られるように、河川流域の環境や複数県にまたがる自然環境の問題には県境を越えた対応が重要であります。水の循環でつながる山梨、長野の両県と情報共有の場を設けていく必要があると考えますが、御所見を伺います。
 次に、分譲マンションの適正な管理について伺います。
 空き家の問題は今のところ一戸建てが中心となっていますが、今後深刻になっていくと予想されるのが分譲マンションです。分譲マンションへは二〇一八年末に全国で約六百五十万戸、千五百万人以上、静岡県内でも約九万戸、二十万人以上が居住していると推計されています。
 分譲マンションは、鉄筋コンクリート造などで木造と比較して耐久性が高いものの築四十年を超えると建物の老朽化と区分所有者の高齢化が進展し空室化が進むことが懸念されます。また所有者不明、連絡不通の物件の増加などで管理組合が機能しなくなりマンションが廃墟化して不審者の侵入や放火、不法投棄の危険が増すことになりかねません。さらに修繕や解体に必要な多額の資金を確保できず放置されたままになると、戸建て住宅と違い規模の大きさゆえに周辺の住環境に悪影響を及ぼすことになります。その結果行政代執行による対応など多額の公的負担を強いられるということになりかねません。
 既に全国的にはこのような問題が発生しており、今後本県においても管理不全で解体もできずに廃墟となるマンションの出現が大きな問題になると危惧されます。
 国は、これまでマンションの管理の適正化の推進に関する法律やマンションの建替え等の円滑化に関する法律を制定、改正してきました。しかしこれまで築四十年以上の高経年マンションと言われる八十一万戸のうち実際に建てかえられたのは約一万九千二百戸分で二百四十四件にとどまっており、最終的には行政による積極的な介入が必要になってくる可能性が高いのではないかと考えます。
 まずは、区分所有者が管理組合を機能させ維持修繕に責任を持つことを基本として未然の予防措置をとることが必要ですが、県としても管理状況の詳細な把握と実態に応じた適切な措置を講じる必要があると考えます。特に管理組合をしっかりと機能させるため長期修繕計画策定への支援や修繕費等の適正な積み立てへの助言など管理組合運営のための支援を行うべきであり、必要ならばマンション管理士等の専門家の直接派遣による支援も実施するべきだと考えます。
 他県においては既に独自の条例や対策を実施している自治体もありますが、静岡県はこの問題をどのように認識し今後どのように対策を立てていくのか伺います。
 次に、林業、木材産業の活性化について伺います。
 県内の人工林率は国平均の四六%を上回る五九%で、そのうち伐採の適期を迎え商業利用できる段階の四十一年生以上が八九%を占めています。今後の林業、木材産業の発展のためにはこの森林からの木材の生産を促進して森林所有者や林業従事者の収入を増加させ、魅力ある産業とすることが必要です。
 このためには川上から川下に至る流域全体での取り組みが必要です。川上ではこれまでの間伐材の利用に加え主伐による生産促進、また川中では製材工場の規模の拡大と効率化によるコストの削減が求められます。さらに川下においては木材需要の拡大を図るために公共建築物への木材の利用拡大に加え、オフィスビルやマンションなどの中高層建築物の木造建築化推進に向けて施主、設計者、施工者の理解と協力を得ていかなければなりません。
 また、消費者が求める適切な価格で品質のそろった木材を安定的に供給するためには流通全体の効率化を図り、川上から川下までの事業者が需給情報を共有できるように森林資源のデータベースの整備やスマート林業の推進で事業者の連携や事業者による一貫した生産体制の整備による効率的な供給連鎖の構築が必要です。
 国においては、コストを削減して生産性の高い林業経営を進めるため林業イノベーションを展開することにより、二〇二八年にはデジタル管理やICTを駆使する林業を定着させる目標を掲げて技術開発、データ環境の整備、現場レベルでの実証と普及を一体的に進めることとしています。本県においてもICTを活用した木材生産や主伐後の再造林が円滑に行われ、森林資源の再生産サイクルを確立させることにより林業の活性化を図ることが必要だと考えます。
 このため、県は林業におけるICT活用の実証、普及と主伐、再造林の推進にどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、花の都しずおかについて伺います。
 静岡県は、花を買う、贈る、飾るの文化を浸透させていくことによる新たな花の需要の創出や生産技術の支援などで花卉生産の振興を図り、暮らしのさまざまな場面で花と緑があふれるふじのくに花の都しずおかの実現に取り組んでいます。
 花が生活に潤いや安らぎをもたらすことは経験的に知られています。近年は心身をリラックスさせてのストレス緩和や部屋の湿度調整と空気の浄化作用なども取り上げられています。さらに視覚疲労の緩和や華やかさに加えてコミュニケーションの促進など多様な花卉の効用が科学的に証明されるようになりました。
 国においては、二〇一四年に花卉産業の健全な発展や花卉の文化を振興することによって心豊かな国民生活の実現に寄与することを目的とした花きの振興に関する法律が成立しました。この法律では産業施策として生産者の経営の安定と生産性及び品質の向上、加工、流通の高度化、鮮度保持、輸出の促進を推進することとしています。また文化施策として花卉活用や花育の推進、国民生活に深く浸透している花卉に関する伝統の継承が規定され、花き活用推進会議を設置して花卉振興を一体的、効果的に推進することとしています。
 本県においても、ふじのくに「花の都しずおか」推進計画を作成して取り組んでおり、二〇一八年の花卉産出額は全国五位と上位にあります。しかし一位の愛知県に比べれば三〇%程度です。また消費面では、一世帯当たりの切り花の年間購入額は都道府県庁所在地の二〇一八年統計で八千百七十三円と全国二十三位にとどまっています。
 花とお茶と食でおもてなしをする花の都しずおかを実現するためには、生産基盤の整備や新品種の育成、新技術の開発、普及や集出荷時における鮮度保持施設の整備が必要です。またさまざまなアンケート調査にも見られるように花卉の効用情報が購入にまでつながっていることから、販売員向けのツールとして花卉の効用に関する各種のデータ情報の提供やポスター、パンフレットの作成も有効だと考えます。
 さらに、子供のころから花に親しむことが将来の消費につながることから花育を進めることも必要です。加えて花卉栽培の専門職員をしっかり確保していくことも重要と考えます。
 花卉の産業・文化の振興と需要増進のための施策をそれぞれの方向から地道に進める必要があると考えますが、今後の取り組みについて伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 小長井議員におかれましては、リニア中央新幹線整備に関しまして南アルプスを主に対象とし水循環基本法にのっとって立派な御見識を御披露されまして傾聴いたしました。それを受けまして私はリニア中央新幹線工事と水循環基本法についての御質問にお答えいたします。
 平成二十六年、二〇一四年四月に水循環基本法が公布されました。そこに五つの基本理念を議員の見解も含めて今回御紹介をいただきました。いずれも御指摘のとおりであります。
 リニア中央新幹線工事の悪影響が懸念されている今、私としましては中でも基本理念をうたいました第三条第一項の水循環の重要性及び同じ基本理念をうたいましたその第三条第二項の水の公共性で述べられていることが大変重要であると考えております。
 水循環の重要性に関しましては、水は地球上の生命を育むことに加え、国民生活及び産業活動に重要な役割を果たしていることがうたわれております。水は大井川流域におきまして生活用水、農業用水、工業用水、発電用水等々多岐にわたり利用されております。水循環基本法の基本理念に照らし合わせましても、流域の住民生活や産業の発展に不可欠な財産である命の水が失われることは決してあってはなりません。
 水の公共性に関しましては、この第三条の基本理念に先立つ定義を定めた同第二条の中で「『水循環』とは、水が、蒸発、降下、流下又は浸透により、海域等に至る過程で、地表水又は地下水として河川の流域を中心に循環することをいう。」というふうにうたわれております。これは水循環における水を、地表水だけでなく地下水も含めて定義したことになります。
 また、基本理念第三条第二項に「水が国民共有の貴重な財産であり、公共性の高いものである」と明記されたことから、かつて土地所有者の私の水――私水とみなされていた地下水が共有水と位置づけられました。あわせて同じ第二項におきまして「水については、その適正な利用が行われるとともに、全ての国民がその恵沢を将来にわたって享受できることが確保されねばならない。」とも明記されております。これらはJR東海との対話の中で地下水が注目されている今、大変に意義深いものと考えております。
 引き続き対話を要する事項としてJR東海に示した四十七項目の中には、流域にある井戸水の水位や成分分析を行うことにより水の流れを特定した上で中下流域の地下水への影響評価等を行うよう、法の水循環の重要性という基本理念を踏まえた大井川流域の健全な水循環の維持を求める内容が含まれております。
 私どもといたしましては、流域の住民や利水者の皆様の不安を払拭できるよう地下水は公共性の高い共有水であるとJR東海に十分に御認識いただき、県が設置する専門部会におきまして科学的根拠に基づいた対話を徹底的に行ってまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○副議長(中沢公彦君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 林業、木材産業の活性化についてお答えをいたします。
 林業、木材産業の活性化には、本県の成熟した森林資源を積極的に活用し木材を増産することが不可欠であり、森林組合等の林業経営体が森林所有者に対して木材生産で収益が得られる計画を示すことにより伐採意欲を高めることが重要です。
 これまで林業経営体は個々の知識と経験によって収支計画を作成しており、多くの人手と時間を要していました。今後はICTなどを活用し、広大な森林から収益が見込まれる生産適地を把握し、収支計画を効率よく作成し、森林所有者に情報提供することが必要であると考えております。
 このため、県はシステム開発の実証研究を進めています。このシステムは大井川地区で航空レーザー計測、いわゆる三次元の点群データをとるわけですが、これによりまして森林資源情報や地形情報を収集し、これを林業経営体に提供し、これをもとに林業経営体が収支計画や路網計画を容易に作成できるようなシステムです。この取り組みによって森林所有者の合意を得るための計画内容の精度が向上したことや、経営体における計画作成コストが削減されるなどの成果があらわれておりますことから、今後はこの取り組みを県内に広く展開してまいります。
 さらに、木材生産、流通、加工にかかわる関係者が需給情報をICTで共通管理するシステムなどさまざまな先端技術の情報を関係者間で共有する場を設け、林業におけるICTの実証、普及に取り組んでまいります。
 また、主伐、再造林の推進につきましては林業従事者の減少や高齢化が進む中、造林、育林や獣害対策の負担を軽減するためには作業の省力化、効率化を図る必要があると考えております。このためドローンで撮影した空中写真の解析により造林地の面積と植栽本数を把握する新たな管理手法や、ドローンに搭載したカメラによりシカ被害の防護柵を点検するシステムを開発するなどセンシング技術の活用を推進しております。
 県といたしましては、ICT等を活用した先端技術の現場レベルでの実証、普及を進めることにより林業イノベーションを推進し、森林資源の循環利用の構築を図り本県林業・木材産業の活性化に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) リニア中央新幹線整備についてのうち、環境大臣意見に対する見解についてお答えいたします。
 二〇一四年六月に出された環境大臣意見では、「本事業のほとんどの区間がトンネルで通過することになっており、地下水がトンネル湧水として発生し、地下水位の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高い。」と述べております。さらに南アルプスは、「国立公園に指定されており、また、ユネスコエコパークとしての利用も見込まれることから、当該地域の自然環境を保全することは我が国の環境行政の使命でもある。」「本事業は関係する地方公共団体及び住民の理解なしに実施することは不可能である。」とも述べております。
 この環境大臣意見は、まさに工事の影響や行政の役割、県民の皆様への理解促進等について述べているものであり、県民の皆様が不安を抱いている命の水である大井川の水資源や世界の宝であるユネスコエコパークに登録された南アルプスの貴重な自然環境を守る上で、同時に地元の理解を得ることに関し大変重要な意見を述べていただいているものと考えております。
 次に、健全な水の循環の確保についてであります。
 健全な水の循環の確保には水源である雨を一時的に貯留する機能や地下水として涵養する機能の維持向上が重要なことから、森林や農地の適正管理、雨水の貯留浸透施設の設置等を推進しております。水の流れが大きく変わると産業や県民生活等に影響する可能性がありますので、地上部における土地改変を伴う大規模な開発行為については土壌汚染対策法や森林法など関係法令により規制されております。また一定規模以上の工事に対しましては環境影響評価により地上地下を問わず地下水への影響の回避低減への配慮を求めており、さらに地下について規制するためには地下水等の状況を正確に把握し規制の必要性、範囲、程度などを見きわめる必要があります。
 県といたしましては、地下水位や湧水量の観測頻度をふやすほか地盤沈下の調査範囲を拡大するなど地下水に関するデータの充実を図ってまいります。また富士川水系の濁りやダムの堆砂、表流水や地下水の県境を越えた影響など複数県にまたがる問題につきましては、県民の皆様の安全・安心を確保するため引き続き近隣県と情報共有を行い必要に応じて協議してまいります。
 次に、分譲マンションの適正な管理についてであります。
 分譲マンションは、区分所有者で構成される管理組合が適正な管理を行うこととされております。
 これまで県では、管理組合の円滑な運営を支援するため長期修繕計画や修繕積立金の必要性などを啓発するセミナー、組合同士の情報交換会や個別相談会を実施してまいりました。今後急増が予想される高経年マンションは区分所有者の高齢化などに伴い空き室化や所有者不明物件の増加により管理組合が適切に機能せず、マンションの廃墟化など周辺の居住環境に深刻な問題を引き起こす可能性が懸念され看過できないものと認識しております。
 このため、現在予定されているマンション管理適正化法の改正後速やかに管理適正化計画が策定できるよう準備を進めてまいります。さらに適正な管理を行うマンションを県が評価する認定制度を積極的に活用することで新たな区分所有者の確保や管理組合活動への参加促進を図るなど、管理組合の機能が維持されるよう支援してまいります。また市町、マンション管理士会等の関係団体とともに協議会を立ち上げ市の管理適正化の計画の策定促進や相談体制の充実等を図ってまいります。
 県といたしましては、管理組合によるマンションの適正な管理が行われるよう市町や関係団体と連携しながら取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 花の都しずおかについてお答えいたします。
 県ではガーベラ、バラなど多彩で高品質な花や浜名湖ガーデンパークなど年間を通して花を楽しめる施設を活用し、暮らしのさまざまな場面で花と緑があふれる花の都しずおかの実現に取り組んでおります。しかしながら議員御指摘のとおり、花の産出額や購入額は伸び悩んでおりますことからこれまで以上に花の産業・文化の振興と需要増進の両面での取り組みが必要であると考えております。
 このため、花の産業・文化の振興につきましては生産量日本一のガーベラでは需要の多い秋のブライダルシーズンに出荷量をふやすため温室内の環境を自動で最適化する装置を導入し、現地実証に取り組んでいるところであります。このほかバラやトルコギキョウ等におきましてもデータに基づいた栽培方法を確立し、生産拡大を図ってまいります。
 また、花に親しむ文化の普及定着を図るため花壇やオープンガーデンなどのコンクールのほか、高校生など若い世代を対象としたフラワーデザインコンテストを開催しており本年度は延べ約二千六百名の応募がありました。来年度はさらに子供のころからの花育を推進するため、幼児や小学生も対象とした花のプランターづくりコンテストを開催するなど花のある暮らしの定着に努めてまいります。
 さらに、花の需要増進につきましては販売員に対しての花の効用についての理解促進を図ることも効果的であるためパンフレットを提供するほか研修会などを開催してまいります。また看護や介護の場面での効果も期待されますことから、福祉機器の展示会等におきまして花を生けることによるリハビリテーションなど、新しい花の活用方法を提案してまいります。
 これらの取り組みを推進するため、現在生産者の経営発展や産地の生産振興を担当する普及指導員を各農林事務所に配置するとともに、栽培技術の開発や品種改良などを担う研究員を農林技術研究所に配置しております。今後もこうした花栽培の専門職員を確保し生産者の課題解決にきめ細かく対応してまいります。
 県といたしましては、花の産業・文化の振興と需要増進につながる施策を積極的に展開し花の都しずおかの実現に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 小長井由雄君。
       (六十五番 小長井由雄君登壇)
○六十五番(小長井由雄君) それでは、要望と再質問をさせていただきます。
 まず、林業、木材産業の活性化についてでありますが、先日森林・林業・林産業活性化促進議員連盟の視察で熊本県の人吉市を視察してまいりました。そこに比べて静岡県が決しておくれているというふうな感じは持ちませんでした。この新しい技術、今後現場に即した実用性を高めた先端技術の導入に積極的に取り組んでいただきたいとそんなふうに思いますのでお願いいたします。
 次に、分譲マンションの適正な管理についてでございます。
 これにつきましては、外国人移住者の増加による文化、習慣の違い等の問題等さまざま出ているようでございます。先ほど管理状況の把握と実態に応じた措置の必要性について述べましたが静岡県による実態把握の調査これが行われているようでしたらお聞かせ願いたいと思います。
 次に、リニア中央新幹線整備についてであります。
 環境大臣意見に対する見解では先ほども何度も取り上げられております。環境影響を最大限回避、低減するとしてもなお相当な環境負荷を生じることは否めない、生態系に不可逆的、元に戻すことができないという意味だと思いますが影響を与える可能性が高い。エネルギーに関しては増加することは看過できない、見逃すことはできない、放っておくことはできないということです。事業実施に伴う環境影響は枚挙にいとまがない、一々数え上げることができないほどその数が多いと。かなり工事に対する懸念を厳しい言葉を使って述べております。
 こういった国土交通省の意見、それを踏まえてその後、県との対話の中では燕沢への大規模な残土処分地として盛り土をするという大きな変更や千石非常口付近から椹島上流への十一キロに及ぶ導水路トンネルが新設をされました。大規模な変更が行われたわけであります。このような大規模な変更を事後アセスで済ませるということは将来的に禍根を残すことになりかねないと考えます。
 先ほど環境大臣の意見に対する見解を伺いましたが、このようなことから再度しっかりとした環境影響評価をやり直す必要があると考えますが、見解を踏まえた御所見を伺います。
 さらに、長野県、山梨県との連携でございます。
 長野県では、伊那谷の天竜川沿いにリニア工事に伴う大量の残土が処分されるということでございますが、この地域は三六災害のときに百三十六名もの犠牲が出る大変大きな災害を起こした地域だというふうに聞いております。こういった地域にも残土が処理されるということで静岡県にも大きな被害が出る可能性があります。表流水、地下水とも上流部との関係は重要だと考えておりますが、さらに両県との関係を強化する必要があると考えます。改めてお伺いをさせていただきます。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) リニア中央新幹線整備についての再質問にお答えいたします。
 まず、環境大臣意見に対します再アセスが必要ではないかと言うことに対する見解でございます。
 環境影響評価法及び同法施行令によりますと、環境影響評価手続の終了後に環境影響評価をやり直す場合の具体的な内容が定められております。その具体的な内容と申しますのは鉄道の場合、その長さが変わった場合ですとか本路線の位置の変更があった場合等に限られているということでございまして、御指摘のありました導水路トンネルの設置でありますとかにつきましてはこのやり直し項目には該当しないというふうに考えております。
 しかしながら、導水路トンネルにつきましては平成二十九年一月に提出されました事後調査報告書において環境影響評価と同等の内容が示されておりますので、その後静岡県としてはきっちりと知事意見を申し述べているという状況にございます。
 それから、燕沢の発生土置き場につきましても既に行われました環境影響評価手続の際に既に評価対象となっております。
 こういう状況でございますので、県として再アセスというのを求めるのはいかがかというふうには考えておりますが、この導水路トンネルや燕沢発生土置き場が及ぼすこの懸念につきましては大変大きいものがございますので中央新幹線環境保全連絡会議の専門部会の中でしっかりと対話をしていきたいというふうに考えております。
 それから健全な水の循環の確保についての中での他県との連携の強化という御質問でございます。
 他県との連携につきましては、現在情報共有を進めているところでございますが今後協議の場を設けること、そういうことも含めて対応を検討していきたいというふうに考えております。
 それから、分譲マンションの適正な管理についてのうちの実態調査はどうなっているかという御質問でございます。
 今年度の事業としてマンションの実態調査をしております。築四十年を超える高経年マンション百四十二棟について調査を行いまして、百八棟について回答を得ているという状況でございます。現在集計中ですので細部までデータはございませんが、今のところわかっている内容としては長期修繕計画を策定していないマンションが約四割ある、それから修繕積立金の額が国のガイドラインに満たないマンションが五割、それから居住率が七〇%に満たない住棟がリゾートマンションも含めまして約五割程度あるというような状況でございます。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 小長井由雄君。
       (六十五番 小長井由雄君登壇)
○六十五番(小長井由雄君) リニア中央新幹線については、これまでかなりの時間をかけて静岡県とJR東海との対話が行われてきました。私もずっと傍聴してきましたがいまだに科学的に納得のいく説明がされていない事項、関係者の納得が得られない事項として四十七項目が残っている状況です。これだけの大規模な事業を計画する上で、しかもこれまでにほとんど手つかずの自然が残っている貴重な南アルプスでの工事ということで慎重に丁寧に時間をかけて、しかもこれまで書かれた文献を参考にするだけでなく現場での実地調査を十分に実施した上のものであったのならば、県の専門家の皆さんの問いに対するJR東海の回答がこのように疑問と不信を募らせることはなかったと思います。
 空気と水、水と空気、一体何にかえられるというのでしょうか。何物にもかえがたいものであります。水の憲法と言われる水循環法について知事の認識を伺い力強く感じた次第です。
 質、量ともに健全な水の循環を確保していくことは何よりも重要です。知事そして本部長の難波副知事を初めとする当局の皆さんにはこれまでと同様に静岡県の未来に禍根を残すことがないように、強い決意を持って対応していただくよう切にお願いをいたします。
 御所見があればお伺いをして私の質問を終わります。
○副議長(中沢公彦君) これで小長井由雄君の質問は終わりました。(拍手)

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