• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

市川 秀之 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/29/2021

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 令和における有徳の人づくりについて
2 県内観光産業の再生について
3 脱炭素社会に向けた取組について
(1) カーボンニュートラルに向けた道路照明のLED化
(2) 水道施設等におけるカーボンニュートラルの取組
4 基盤整備による高収益作物の生産拡大について
5 県内中小企業におけるDXの取組促進について


○議長(宮沢正美君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第八十三号、第八十四号、第八十六号から第九十号まで、第九十四号及び第九十五号を一括して議題といたします。
 ここで後半グループの議員の皆さんが退出するため休憩します。
 
○議長(宮沢正美君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を行います。
 十三番 市川秀之君。
       (十三番 市川秀之君登壇 拍手)
○十三番(市川秀之君) 皆様おはようございます。
 質問に先立ちまして、二点申し述べさせていただきたいと思います。
 一点目は、今月の初めに熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流災害についてであります。
 お亡くなりになりました方の御冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた皆様には心からお見舞いを申し上げます。またこの炎天下において救助救援、片づけや復興に当たられている方々には衷心より敬意と感謝を申し上げます。
 二点目は、現在開かれております東京二〇二〇オリンピックについてであります。
 連日、国内外のアスリートたちの活躍に勇気と感動を与えられておりますがスポーツ・文化観光部をはじめとする職員の、そしてスタッフの皆様方の今日までの御準備と御苦労は本当に大変だったと存じます。当初の予定から一年延期となりさらに今年の開催も危ぶまれた中でよくぞモチベーションを維持して仕事をされてこられた、そう思います。まだ期間中ではございますが皆様の御尽力に敬意を表しこの場をお借りして御礼を申し上げます。
 それでは質問に入らせていただきます。
 私は、自民改革会議の所属議員として通告に従い一括質問方式で知事、副知事、関係部局長及び企業局長に当面する県政の諸課題について伺います。
 初めに、令和における有徳の人づくりについて伺います。
 四月十二日月曜日の朝、長期化するコロナ禍で鬱屈とした雰囲気に沈む日本をぱあっと明るくするグッドニュースがアメリカから入ってまいりました。男子ゴルフの世界四大トーナメントの一つであるマスターズで、日本の松山英樹選手がアジア人として初めてそのタイトルを獲得いたしました。オーガスタナショナルゴルフクラブで開催されるマスターズトーナメントはゴルフの祭典と呼ばれ、四大トーナメントの中でも最も華やかで人気が高くプロ、アマを問わず世界中のゴルファーが憧れるまさに夢のトーナメントであります。
 日本のゴルフ界は、これまで女子では樋ロ久子さんが一九七七年に全米女子プロ選手権を、二〇一九年には渋野日向子選手が全英女子オープンを、そして先月は畑岡奈紗選手とのプレーオフの末笹生優花選手が全米女子オープンを制しております。
 一方、男子は青木功選手や尾崎将司選手そして中嶋常幸選手などその時代の日本を代表するトッププレーヤーが挑戦を続けてきましたが、マスターズをはじめとする四大メジャートーナメントでは世界の高い壁に阻まれてまいりました。そのため今回の松山英樹選手のマスターズ制覇は日本男子ゴルフ界の悲願であり、まさに歴史的な快挙と言えます。
 さて、今年のマスターズではこの優勝した松山選手のほかにもう一人の日本人の行為が世界から称賛されていることを御存じでしょうか。松山選手のキャディーを務めた早藤将太さんは優勝が決まった十八番グリーンにおいてピンをホールに戻す際に誰もいないゴルフコースに向かって、かぶっていたキャップ状の帽子を取って礼をしたのであります。それは決して大げさなものではなくごく自然に行われました。その様子を記者の一人が撮影し、インターネット上で動画として紹介したところ瞬く間に拡散いたしました。そしてこの日本的な礼儀正しい行為がゴルフコースに対する敬意と感謝を示すものとして理解され世界の人々から称賛されたのであります。
 私たち日本人は、太古から人と同じように草木や山川などあらゆるものに精神性を認め共に生きてまいりました。茶室や道場同様に議場への入退出時においても自然に礼が行われています。私たちは、議場を単なる建物や会議施設としてではなく重要議案の審議など先人たちが静岡県政を築いてきた特別な場として敬意を持って接しているからにほかなりません。礼に代表されるこうした世界から称賛される日本人の振る舞いや礼儀作法を後世に継承していくべきと考えますが、ともすると時代とともに忘れ去られていくことが懸念されます。
 ふじのくに「有徳の人」づくり大綱では美しい立ち居振る舞いや礼儀作法を身につけている人を有徳の人と掲げています。若い世代に早藤さんの動画を紹介するのも一つの分かりやすい方法と思いますが、この行為の背景の深いところにある日本の思想、文化を伝承していくことが今後ますます重要になっていくと考えます。
 美しい立ち居振る舞いや礼儀作法を身につけている有徳の人の育成に向けた県の考えや取組を伺います。
 次に、県内観光産業の再生について伺います。
 観光庁の宿泊旅行統計調査によりますと、新型コロナウイルス感染拡大の宿泊施設への影響は本県では昨年三月から大きくなりました。国や県の観光促進事業を実施したものの令和二年の県内のホテル・旅館等宿泊施設の宿泊者数は一千四百三十六万九千百三十人にとどまり令和元年比マイナス三八・七%でした。今年に入って状況はますます厳しくなり直近の統計である四月の宿泊者数は百六万九千六百八十人で一昨年四月と比較するとマイナス四五・三%でした。稼働率は全体で三四・三%、特に低調であったのが旅館の二四・九%とリゾートホテルの二三・八%であります。現在ワクチンの接種による感染拡大抑止が観光業界にとって大きな期待となっていますが、しかし海外などの先駆例を見るとデルタ株など変異種の出現による再度の感染拡大が発生しており今後ワクチンの接種後も感染対策に気を配りながら生活していくことが予想されます。
 静岡県においては、ふじのくに安全・安心認証制度の推進により一定の感染防止対策を取った宿泊施設を旅行者に提供することが可能となりますが、現段階で隣接する首都圏や中京圏、関西圏から大勢の観光客を受け入れることは静岡県内の感染者を急増させかねないという危険性を含んでいると言えます。
 県は、現在落ち込んだ観光需要の回復を図るため県民を対象に割引による観光促進事業を展開しようとしていますが、こうした割引に依存した施策をいつまでも続けていくことはできません。持続可能な観光地域になるためには少し先を見据えた取組をスタートさせていく必要があると思います。
 そこで、域内経済活動が盛んな本県の特徴を生かし静岡の人は静岡をもっと知ろうといったような企画を立ち上げ、歴史や文化、産業遺産など魅力ある情報を積極的に提供し、県民による域内観光や修学旅行などの教育旅行を活発化させることが落ち込んだ県内観光業の早期回復にとって有効ではないかと考えます。
 折しも、NHKの大河ドラマでは二〇二二年北条義時それから二〇二三年徳川家康と本県と関わりの深い武将が主人公となり、ゆかりのある史跡等に注目が集まると期待されていますことから老若男女を問わず県民が地域の歴史・文化について知識を深める格好の機会が到来いたします。この機会を好機と捉え県内それぞれの地域にある人々が気づいていない地域資源に光を当て地域住民と共に見つめ直し、学び、資源を磨き、人材を育成してこれを生かした地域づくりを共に進めていくことが本県の観光産業の底上げになると私は考えます。
 今後、将来を見据え大河ドラマの放映を契機として本県の歴史や文化、産業などの資源を活用した本県観光産業の再生にどう取り組むのか、県の考えを伺います。
 次に、脱炭素社会に向けた取組について伺います。
 昨年十月の臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣は二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言いたしました。また本年四月には二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度比で四六%削減することを目指すことといたしました。
 本県においても、令和三年二月定例会において知事は国と歩調を合わせ二〇五〇年までに温室効果ガス排出量を吸収量と均衡させて実質ゼロとする脱炭素社会の実現を目指すと表明されました。これまで県ではふじのくに地球温暖化対策実行計画に基づき地球温暖化防止のため二酸化炭素排出削減に取り組んできておりますが、カーボンニュートラルの実現に向けてはこれまで以上にあらゆる分野が総力を挙げて取り組んでいかなくてはなりません。
 それではまず、脱炭素者会に向けた取組についてのうちカーボンニュートラルに向けた道路照明灯のLED化について伺います。
 県が直接的に貢献できる取組の一つとして道路インフラがあります。二酸化炭素の総排出量の約二割を運輸部門が占めそのうち約九割が自動車に起因すると言われておりますが、自動車からの排出量は走行速度に影響され低速度の車両からは必要以上の二酸化炭素が排出されます。県が生活、産業を支えるために取り組んできている道路ネットワークの整備や渋滞対策は適正な速度で自動車が走行できる道路環境をつくることで二酸化炭素排出量の削減につなげており、今後も道路整備の推進に期待しているところであります。
 これまで以上にカーボンニュートラルを推進するに当たり、道路分野が貢献できる二酸化炭素排出量の削減対策は多岐にわたっており例えば通行車両からの排出削減のほか道路の整備、管理におけるエネルギー消費に伴う排出削減や道路空間の緑化による吸収等があります。その中でも道路照明やトンネル照明を近年普及が進むLEDに交換することで電力消費量を抑え、二酸化炭素排出量を削減するという対策は比較的に容易に進めることができまた効果的と考えます。
 交差点をはじめ道路上で夜間危険性が高い箇所には多くの道路照明灯が立っています。明るさが急変するトンネルにはドライバーが道路状況、交通状況を的確に把握するためトンネル照明が設置されています。その数は相当なものですが全てが安全な道路交通の確保のため必要不可欠な施設でありこれからも道路上を照らし続ける役割があります。
 調べたところ、LEDは道路照明灯に使われる高圧ナトリウム灯に比べると消費電力が約四割、寿命は二・五倍のようです。道路照明、トンネル照明のLED化は電力消費量を激減させることで二酸化炭素排出量を削減でき、また灯具の寿命が延びることは施設の信頼度、つまり道路交通の安全にも効果があるという利点につながります。これらの観点から積極的にLED化を進めるべきかと考えますが、そこで県の道路照明灯とトンネル照明のLED化の取組状況と今後の方針について伺います。
 次に水道施設等におけるカーボンニュートラルの取組について伺います。
 水道及び工業用水を受水市町やユーザー企業に送水する企業局は、県有施設全体における電力使用量の約三分の一を占めていると聞いています。このため電力の削減として運転制御の最適化や安価な夜間電力を利用した運用により電力使用の平準化に取り組むほか、電気の機械設備機器を更新する際にはエネルギー効率の高い設備を導入するなどの様々な施策に取り組んでいるものと思います。
 そこで、カーボンニュートラルとして既存施設の使用エネルギーの削減が非常に重要であると考えますが企業局ではどのように取り組むのかを方針を伺います。
 また、カーボンニュートラルへの取組を推進するに当たり消費電力の削減と同様に大切なことはより多くの再生可能エネルギーを確保することと考えます。再生可能エネルギー資源には太陽光、水力、風力、地熱、バイオマスなど多くの種類があり特徴が異なるのでその特徴を生かしながら導入することが必要です。このうち小水力利用は暮らしとの結びつきが強く日常に溶け込んでいる小規模水資源をエネルギー利用するという特徴があります。周辺を流れる河川や用水を利用し周辺地域の消費電力と同じくらいの規模で発電する小水力発電はできるだけ地域社会の中で管理することが望ましいとされています。
 企業局は多くの水道管を所有していることから、これら管路内の流水を有効活用する小水力発電施設の導入により再生エネルギーを生み出すことが可能と考えられますが小水力発電施設の導入に関する企業局の取組を伺います。
 次に、基盤整備による高収益作物の生産拡大について伺います。
 本県では、温暖な気候を生かした露地野菜等の高収益作物が多く生産されており令和三年三月に発表された静岡県の農業産出額のうち三割強が野菜を占めています。
 二〇二〇年農林業センサスによれば、本県の農業就業人口は前回調査の五年前に比べ約二割弱減少している一方、法人経営体は一割以上の増となっておりもうかる農業を志し高収益作物を生産する意欲ある農業経営体や新しい法人経営体が生まれてきています。これらの意欲ある農業経営体は年間を通じて高収益作物の生産が可能なまとまった農地を求めているものの、このような農地は既に営農が行われており農地の確保に苦慮しています。現状として本県の担い手への農地利用集積率は四二・三%にとどまり全国平均の五四・〇%を一〇ポイント以上も下回っております。このことは国内外との競争を見据えた生産性、収益性の向上を図る上で大きな課題となっています。また米の需要が年々減少していく中で加工、業務用需要に対応した露地野菜の生産拡大が求められております。
 私の地元の浜松市浜北区上善地地区は、天竜川流域の肥沃な農地を有した耕作適地です。先日この地区での土地改良計画に長年携わってきた方にお話を伺いました。就農者の高齢化や耕作放棄により優良だった農地もだんだんと荒れ始めているようです。管理が行き届かず景観が悪くなってしまうことは、この地域を次の世代につなげていくという意味でも何としても避けなくてはならないとおっしゃっていました。
 しかし、畑を貸して耕作を依頼するにしても農業経営体にとって魅力ある農地でなくては借りてはもらえません。さらに七十六名もの地権者がいるという状況で農地の集積は容易なことではありません。
 こうした中、水田を畑地化し畑地の大区画化や農業用水のパイプライン化など営農コストを削減し、意欲ある農業経営体への農地の集積と高収益作物の導入を目的とした新規事業に県が着手すると伺っており地元も大変期待しております。
 このように、農業の産業構造が変化する中高収益作物の生産を行う意欲ある農業経営体が生産性の高い農地を確保するためには基盤整備による支援が必要と考えますが、県の取組について伺います。
 最後に、県内中小企業におけるDXの取組促進について伺います。
 デジタル技術を活用することで、ビジネスモデルに変革を起こすデジタルトランスフォーメーション  DXが注目を集めています。デジタル化がこれまでアナログでやってきたものをデジタルに置き換えることで業務効率化やコスト削減を図るのに対して、DXはデジタル化を手段として顧客や社会のニーズを基に製品、サービスを含めたビジネスモデルを変革し競争上の優位性を確立することを目的としています。
 実際、AIやIoTの技術が進展し車やオフィス、住宅など社会の様々な事柄においてデジタル化が急速に進んでおり、今後の経営戦略においてデジタル対応が必須だと言われるのも経営者の一人として私も理解ができます。当然のことながらアナログでもデジタルでも顧客や社会のニーズ、変化に対応した製品やサービスを提供し企業の成長戦略を描ければよいのですが、私自身急速なデジタル化の普及の中これまでの経験則や築いてきたビジネスモデルで今後もやっていけるのか疑問や不安を持っています。
 青年会議所のOBの仲間とDXについて話をしてみたところ、業務の効率化のためデジタル化を導入している企業は多くありましたがさきに述べたようなDXに取り組んでいる企業はまだありませんでした。これを裏づけるように昨年経済産業省が発表したDXレポートツーによりますと、国内の中小企業の九五%が「未着手」か「一部で実施」にとどまっていると言います。
 DXの取組に関し、メリットとして生産性や収益の向上が挙げられますが一方で高度な次元での企業変革ですぐに効果が出にくい上にコストがかかり既存のシステムからの移行が難しいといった点がデメリットとして挙げられています。
 昨年からの新型コロナウイルス感染症の拡大により社会全体のDXが進んでいる中で、静岡県の企業の九九%以上を占める中小企業のDXへの取組が進まないことは日本のみならず国際社会における本県企業の地位の低下に直結する喫緊の課題であります。
 県は昨年度から、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響下において県内中小企業者の新たな挑戦を促進するため中小企業デジタル化・業態転換等促進事業に取り組んでおり、これまで七百九十六社がこの補助制度を活用してデジタル化や業態転換などに取り組んだということであります。
 こうした支援もあって、現在コロナ禍の中でテレワークやリモート会議、インターネット上の販売など県内でもデジタル化が本格的に動き出しております。今後さらに県内中小企業のDX推進の動きを加速させるためには中小企業の状況に応じたきめ細かい対策が必要と考えますが、県はどのように支援に取り組んでいくのかを伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 市川議員にお答えいたします。
 令和における有徳の人づくりについてであります。
 市川議員は、この質問に関わる文章の中で日本人は太古より人はもとより草木やあるいは山川に等しく精神性を認めてきたというふうに言われました。私もそのとおりだと思います。恐らく遡れば縄文時代にまでいけるのでしょうけれども、少なくとも草木国土悉皆成仏とないし山川草木悉皆成仏という思想は十世紀には確立していたと言われて今はこれが天台本覚思想というふうに言われているものでございます。
 そして、その国土悉皆成仏の国土のシンボルが富士山であると。その富士山を擁する静岡県におきましてはふじのくにづくりを私は目指すべきであるということで、知事就任以来そうしてまいりました。
 富士という字を御覧になりますと、富という字と士という字から成りますが、士というのは文字どおり有徳の人という意味でございます。ですから私は富がその立派な人によって支えられる、有徳の人によって支えられるという意味におきまして地域づくり、ふじのくにづくりの礎は人にあるという視点に立って、個人として自立し人との関わり合いを大切にしながら、よりよい社会づくりに参画し行動する有徳の人の育成に地域ぐるみ、社会総がかりで取り組んでまいりました。
 議員御指摘の美しい立ち居振る舞いや礼儀作法は、有徳の人の重要な徳目の一つであります。徳目と言いましたけれども礼がそのうちの一つになっている仁、義、礼、智、信というのがございます。日本人はそうしたもののほかに忠とか親孝行の孝とかというものを加えました。そうした中で世界から称賛された早藤さんの礼とコーテシーというのは家庭や地域において自然に身についたものと考えます。行儀作法あるいはマナーなどの目に見えない規範意識として日本人の伝統的な価値観や暮らし方から培われてきた行動であり、まさに地域の子供は地域の大人が育てるという基本方針の重要性を裏づけるものではないかと思います。
 地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会あるいは総合教育会議におきましても礼を重んじるお茶、お花、和食の文化など日本の伝統文化を身近に体験することをまた挨拶をしっかりすることまた自分で使ったところを自ら掃除する習慣など世界から尊敬される日本のよさに気づかせることの重要性について御意見を頂いております。
 県では、こうした御意見を踏まえまして日本の衣食住、行儀作法の総合文化である茶文化の体験学習の機会を提供するとともに徳は魅力ある大人との出会いにより育成されるとの認識に立ちまして、世界で活躍する一流の講師から貴重な体験や大切にしている考え方を直接学ぶことのできる「未来を切り拓くDream授業」の開催、あるいはスポーツ人材バンクの活用による部活動を通じた豊かな人間性と規範意識の育成など、地域の大人の優れた知見や振る舞いを子供たちに伝える様々な取組を進めております。本年度は、ふじのくに「有徳の人」づくり大綱と教育振興基本計画の改定の年となります。地域自立のための「人づくり・学校づくり」 実践委員会、また総合教育会議などの場でこれまでの取組を総括し、地域ぐるみ、社会総がかりの教育のさらなる進化について協議を重ね具体的な取組に結びつけてまいりたいと考えております。
 世界のグローバル化や社会経済情勢の変化が加速する中にありましても、美しい立ち居振る舞いや礼儀作法を身につけている人は国際社会で尊敬を集める普遍的な人物像であると存じます。今後とも霊峰富士の字義を体した有徳の人の育成に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(宮沢正美君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 県内中小企業におけるDXの取組促進についてお答えをいたします。
 新型コロナ感染拡大を契機としてデジタル技術の社会実装が急速に進む中、従来のビジネスモデルを大きく変え社会課題の解決や新たな付加価値の創出につなげるデジタルトランスフォーメーションいわゆるDXの重要性が強く認識されています。DXというと構えてしまったり自分には敷居が高いと感じられるかもしれませんが、県内の中小企業にもその導入の兆しが見え始めております。
 例えば、沼津市にある株式会社東日という測量設計会社ですがこのたびの熱海市の土石流災害におきましてこの会社がドローンをいち早く飛ばしてくださり、現場の崩壊状況や三次元点群データの取得を行い崩壊土砂量等を迅速に推定することができました。まさにDXの力を日本中に示したというふうに言えます。また城南電機工業株式会社という自動車部品メーカーがありますが、この会社は翌日の納入数を高精度で予測するAIモデルを作成しコスト削減につなげるなどデジタル技術を駆使して従来のビジネスの変革に取り組んでおります。
 DXの可能性はあらゆる分野の意外に身近なところにあるのではないかと思います。中小企業のデジタル化の取組の状況は各会社で大きく異なると思いますが、大事なことは中小企業がその可能性に自ら気づいてまず最初の一歩を踏み出して、その後積極的に取り組むということではないかと思います。
 県といたしましてもそのような取組を実態を踏まえてきめ細かく後押しをしてまいります。
 具体的には、導入初期の企業に対しては経営者層とDX担当者が二人一組で参加しDX導入の道筋を描く講座を今年度から実施をします。経営者の強いリーダーシップの下でDXを推進する組織体制づくりを支援いたします。
 また、TECH BEAT Shizuokaなどにより県内企業と首都圏スタートアップ企業との協業を促進するような取組を進めておりますけれども、このように外部にある多様で大きな知見を活用するということが大事だと思います。また今年度開校した工科短期大学校での情報技術者の育成などデジタル人材の確保対策も進めてまいります。
 一方、現場へのDX実装段階にある企業にはデジタル分野の専門家派遣枠の大幅な拡充や県中小企業団体中央会が設置したデジタル化サポートセンターへの補助などDXの相談体制を充実します。また経営革新補助金の拡充やデジタル技術を活用した設備投資に対する補助などデジタル機器の導入支援にも注力してまいります。
 県といたしましては、AIやあるいは高速通信規格の5Gなど情報インフラの整備が加速する中でポストコロナ時代を見据えた本県の産業構造の改革に向けて、こうした施策の一層の充実を図りながら県内の経済団体や民間団体等とも連携し官民を挙げて中小企業のDX加速化に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 県内観光産業の再生についてお答えいたします。
 本県には、井伊直虎ゆかりの龍潭寺、徳川家康ゆかりの久能山東照宮、北条氏ゆかりの願成就院などの歴史文化資源に加え韮山反射炉などの産業遺産が多数存在いたします。アフターコロナを見据え、本県が舞台となる大河ドラマが二年続けて放映される絶好の機会にこれらの資源を活用した観光地づくりを推進してまいります。
 昨年十一月には、大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」を活用した誘客の促進等を目的として県と二十市町、観光団体等で構成する協議会を設置し地域の史跡や伝承等の掘り起こし調査や観光・商工関係者を対象とした研修会などを実施してまいりました。今後につきましても郷土歴史家などとも連携し地域資源の磨き上げや情報発信を担う人材育成などに取り組んでまいります。
 また、本年三月には県内文化財の情報を集約して観光等への活用を図る「文化財ナビ」をウェブ上に開設したところであります。今後観光デジタル情報プラットフォームとの連携を進め大河ドラマなどに関連する歴史文化資源や産業遺産などについて、分かりやすくストーリー性を持って発信してまいります。
 さらに、教育旅行での活用や歴史ファン向けの周遊商品の開発、発信といった地域の宝である史跡や文化財を観光に生かす取組を展開するなど旅行代金の割引等の短期的な需要喚起策に加え、域内観光の活性化にも取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 和田交通基盤部長。
○交通基盤部長(和田直隆君) 脱炭素社会に向けた取組についてのうち、カーボンニュートラルに向けた道路照明灯のLED化についてお答えいたします。
 LED照明灯は従来のナトリウム灯に比べて長寿命、省電力などの多くのメリットがあり、ライフサイクルコストの低減が見込まれることから県では平成二十五年度から導入を進めております。
 県管理道路では、現在までに老朽化している箇所を中心として道路照明灯につきましては全一万六百四十九基の約二割に当たる千九百四十八基、トンネルにつきましてはナトリウム灯が設置されている百二十トンネルの約三割に当たる三十九トンネルのLED化を完了しているところであります。
 また、二酸化炭素の削減に貢献し災害時における信頼性が高いことから、令和二年度より災害時に重要な役割を担う緊急輸送路における照明施設のLED化を優先的に進めております。引き続き防災・減災、国土強靭化のための五か年加速化対策に合わせ、令和七年度末までに緊急輸送路上の残る七千百十七基の道路照明灯と四十九トンネルについてLED化の完了を目指してまいります。
 県といたしましては、二酸化炭素排出量の削減効果の高い道路照明灯やトンネル照明のLED化など道路分野におけるカーボンニュートラルの取組を推進し、脱炭素社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 松下企業局長。
○企業局長(松下育蔵君) 脱炭素社会に向けた取組についてのうち、水道施設等におけるカーボンニュートラルの取組についてお答えいたします。
 カーボンニュートラルの実現はユーザーの皆様に誇りを、地域にブランド化をもたらす新たな価値づくりと考え、企業局では省エネルギー対策を徹底した上で再生可能エネルギーの創出を進めております。
 具体的には、大胆な抜本的改革により施設規模のダウンサイジング、管路網の最適化や事業の統合による効率化に一体的に取り組んでおります。中でも企業局初となる工業用水の統合を富士川と東駿河湾の二つの工業用水で計画しており、地形的に優位な芝川の水を最大限活用した二水源の相互融通により使用電力量の大幅な削減を実現いたします。結果として本事業におけるCO2排出量は、二〇三〇年に二〇一三年比五〇%が見込まれ政府目標の四六%削減を達成してまいります。
 また、再生可能エネルギーの創出につきましては既に太田川ダムなどの四か所で小水力発電に取り組んでおり、今後新たに二か所の候補地を選定しコストと効果を比較した上で事業化を進めてまいります。
 企業局といたしましては、今後も革新的な新手法を採用し、その実績と効果を全国に発信し全国の英知を結集していくことで全国のモデルとなるSDGsを実現してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 細谷農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(細谷勝彦君) 基盤整備による高収益作物の生産拡大についてお答えいたします。
 意欲ある農業経営体が、露地野菜などの高収益作物の生産を拡大し経営を発展させるためには区画が大きく水はけのよい生産性の高い優良農地の確保が必要であります。県では令和二年度から市町やJA等と連携し、露地野菜の高品質化と生産拡大を図る基盤整備プロジェクトに取り組んでまいりました。
 例えば、森町ではこれまでに区画整理や暗渠排水の整備により水田を汎用化しスイートコーン、水稲、レタスを輪作する生産性の高い営農体系が確立され代表的な農業経営体の販売額は約二億円に増加しております。
 浜松市浜北区の上善地地区では、キャベツやコマツナなどの収益性の高い多彩な露地野菜の栽培が可能となるよう水田を畑地化するための暗渠排水や区画整理などの基盤整備に本年度から着手しております。さらに地域の話合いに基づき公募により決定した四つの農業経営体に約十四ヘクタールの農地を集積、集約化してまいります。
 県といたしましては、水田を汎用化する基盤整備の推進により高収益作物の生産を拡大し地域の意欲ある農業経営体の所得の向上を支援してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 十三番 市川秀之君。
       (十三番 市川秀之君登壇)
○十三番(市川秀之君) それぞれ御答弁をありがとうございました。
 知事の言われた草木国土悉皆成仏、天台本覚思想ということで恐らく千二百年前の最澄の山家学生式に代表される思想の一端かと思いますけれども、やはり日本人の今、心の根底にそういったものが流れている一方薄れていく部分でもあると思います。どこでそこを正していくかということですがやはり国の指針としてそういったことを発信する機会もあります。
 山家学生式では、有言実行の人を国の宝とするという思想で入っておりますけれどもそれは教育の部分で非常に大切なこと。一方受ける側これは例えば幼児教育の中でもそういったことを教えていかなくちゃいけないかなと思います。有言実行、その教える側そして受ける側、例えば日本の古くから立腰、姿勢を正す立腰教育であるとか、それから非認知能力を伸ばす我慢強さだとかそういった優しさだとか、そういった数値で測れない部分を伸ばす教育、そして態度教育、挨拶をするとか履き物をそろえる、そういった基本的なところを幼いうちから、ともすると家庭ではもう教え切れない部分そういったものを地域でも教え切れない、教育機関、学校、小学校、幼稚園そういったところで教えていくことがまたそれが家庭に帰って子供から親も教わる、そういった好循環を生むのではないかなと考えます。
 企業局長におかれましては、非常に力強い、全国モデルになるような事業をということですのでぜひ今後も推進していただきたいと思いますが、道路照明それからトンネル照明もそうですけれども、県が積極的に取り組むことでやはり市町のほうにもそういった流れをつくっていくと思いますし、カーボンニュートラル、大きなことを一つやれば成し遂げられるというようなものではないと思います。小さな、本当に一つ一つ小水力発電等を含めて地域の中で一つ一つ積み上げていくことで国の目標、県の目標が達成していくものと考えております。
 以上、要望だけ申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(宮沢正美君) これで、市川秀之君の質問は終わりました。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp