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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成20年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

岡本 護 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/29/2008

会派名:

平成21


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                      
2 財政健全化と県民サービスの確保について              
3 富士山静岡空港について                      
 (1) 開港に向けての準備状況                     
 (2) 富士山静岡空港の公共交通アクセス                
4 子育て支援について                        
 (1) 県民運動の展開                         
 (2) 子育てと仕事の両立が可能な就業環境の整備            
5 新エネルギーの導入促進について                  
6 自殺対策について                         
7 原油等価格高騰に伴う農林漁業者、 中小企業者への支援について
8 米の消費拡大について
9 食の安心・安全について                      
 (1) 事故米への対応                         
 (2) 食品偽装                            
10 若者の就労対策について                      
11 佐鳴湖浄化対策について                      
12 教育行政について                         
 (1) 教員が教育に専念できる環境づくり                
 (2) 美しい日本語の習得                       
 (3) 教員採用選考試験                        
13 これからの交通事故抑止対策について



    ○副議長 (込山正秀君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、 七十三番 岡本 護君。
            (七十三番 岡本 護君登壇 拍手)
    ○七十三番 (岡本 護君)  私は会派平成21を代表して当面する県政の諸課題について、 知事並びに関係部局長、 教育長、 警察本部長にお伺いいたします。
     まさか二年続けて総理大臣が辞任するなどとは思いも寄らぬことでした。 当初予定されていた臨時国会も延期され、 自民党総裁選びが繰り広げられていたところです。 まだ、 めどの立たない年金問題や後期高齢者医療制度問題はそのまま、 加えて日ごとに広がりを見せる汚染米問題やアメリカの証券会社倒産に端を発した世界同時恐慌とも言われる経済不安の中、 何の対策も講じられず政治の空白を招いた責任は重大であります。 つい先ごろやっと国会が開会され新総理が選ばれましたが、 国民の不安と不満は決して解消されたとは言えません。 むしろ国への期待より、 地方への期待が高まってきたと思われます。
     そこで初めに、 知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
     石川知事が、 平成五年八月に我が静岡県のかじ取りを始めて十五年余がたちました。 この間、 知事は組織のフラット化やひとり一改革運動を進め、 新公共経営を全国に先駆けて導入いたしました。 また道州制の議論がされる中、 政令県制度など今後の日本のあるべき内政構造改革の構想を提唱もしております。 さらに富士山静岡空港も来年三月にはいよいよ開港というところまで来ております。
     知事就任後、 県内経済は好調に推移し、 一人当たりの県民所得は平成五年には全国で第九位でありましたが、 ここ数年は全国第三位となっております。 しかしながら昨今は原油価格や原材料費の高騰などの影響で景気後退の危機にあり、 県政の進め方にはこれまで以上に注目されるところであります。
     知事は、 四期目のスタートとなった平成十七年八月県議会臨時会の提案説明で、 少子・高齢化が急速に進み市町村合併により県内の地域構造が変化する中、 二十一世紀の基礎となる人口構造と内政構造をしっかりと見据えた上で山積する課題を解決し、 県民暮らし満足度日本一を目指して未来への確かな道筋をつけたいと所信を述べられ、 今日までその挑戦をされてきたところであります。
     知事の四期の任期は来年七月で満了です。 本日はそれ以降のことはお伺いしませんが、 この三年余の御自身の活動に対してどう評価するのか、 また今後の静岡県のためにどのように結びつけていくのかをお伺いいたします。
     次に、 財政健全化と県民サービスの確保についてお伺いいたします。
     本県は、 他県に先駆けて平成十二年度から数値目標を定めて財政健全化に取り組んできた結果、 起債制限比率、 県債残高はいずれも目標の範囲内を確保しております。 また経常収支比率は、 三位一体改革による地方交付税の大幅削減や社会保障関係経費の地方負担の増大などにより、 目標の九〇%を上回ってはいるものの全国ではベスト4に位置するなど、 財政健全化の取り組みの成果はそれなりにあらわれているものと一定の評価をしております。
     本県では、 人件費の抑制、 投資的経費の削減など歳出のスリム化、 荒廃森林を再生するためのもりづくり県民税の創設など、 歳入の確保にはさまざまな取り組みをされてきましたが、 こうした見直しの余地も限界が近づきつつあるものではないかと感じております。 本県では、 これまでのところ住民の身近なサービスにまで踏み込んだ歳出カットは行われなかったと認識しておりますが、 昨今の地方財政を取り巻く厳しい情勢を考えれば、 大阪府の事例のように大胆な見直しも、 本県においても決して人ごとではないと考えるのであります。
     我が会派には、 県内各地から医療、 福祉、 教育、 環境、 社会資本整備など幅広い分野にわたり、 県政への切実な要望が寄せられております。 財政健全化というだけで、 むやみにその要望が切り捨てられることがあってはなりません。 財政健全化と県民サービスの確保とのバランスをとっていくことが重要と考えますが、 知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、 富士山静岡空港についてお伺いいたします。
     富士山静岡空港もいよいよ開港まで残すところ半年となりました。 今日まで二十年余にわたり整備が進められてきたところであり、 この間、 土地収用を行うなど困難な状況もありましたが、 まさに集大成とともにスタートのときを迎えようとしております。 富士山静岡空港は、 本県にとって必要不可欠な社会資本でありますが、 総事業費一千九百億円という多額な費用を投じて整備されるこの空港が、 将来にわたってできるだけ多くの皆さんに利活用され、 その利便性を享受できるように推進すべきものと考え、 以下数点についてお伺いいたします。
     まず、 開港に向けての整備状況であります。
     空港整備については、 かなりタイトな整備スケジュールであると認識しております。 先月末には飛行場として機能するための滑走路の整備や航空灯火の設備がほぼ完成し、 また空港用化学消防車も配備されたとのことであり、 着々と整備が進んでいるものと思います。
     また、 路線についても大手航空会社のJAL、 ANA、 アシアナ航空に続き、 地元において航空事業を展開するFDAが来年七月から国内三路線で一日四往復することを表明され、 利便性の高い空港の実現に向かっての追い風となってきているように思いますが、 一方、 ジェット燃料価格の国際指標であるシンガポールケロシン一バレルの価格は、 前年同期と比較すると七十九・三ドルから百四十一・二ドルと、 約一・八倍という大幅な値上がりをしている状況を踏まえれば、 富士山静岡空港への路線就航、 とりわけ海外路線については航空燃料の高騰の影響が懸念され、 路線確保の見通しも気がかりであります。
     一方、 県では十一月八日、 九日の両日には空港現地において大規模なイベントを開催するとのことでありますが、 ぜひとも多くの県民に親しまれ利用され、 来年三月の開港が華々しく、 かつ活気のあるスタートができることを望んでおります。
     そこで、 現時点における開港に向けた準備がどのように進し、 今後どのように進められるのかをまずお伺いいたします。
     一方、 過日新聞で報道されたところですが、 空港周辺には航空機の安全飛行のため航空法で制限されている高さを超える立ち木が約四十本残されているとのことです。 所有者は伐採には応じられないとされているようであり、 このままでは完成検査への影響が避けられないのではないかと考えられます。 そうなれば三月の開港にも影響を及ぼすのではないかと危惧されますが、 今後の見通しについてあわせてお伺いいたします。
     次に、 富士山静岡空港の公共交通アクセスについてであります。
     使いやすく利便性の高い空港を実現するためには、 路線の拡大や便数の増加など利用しやすい便を確保するとともに、 県内の目的地に快適に移動することができる交通手段の確保が不可欠であると考えます。
     本県は、 製造業を中心にさまざまな産業が発展するとともに、 日本一の富士山や伊豆半島、 奥大井・南アルプス、 浜名湖など県内各地に観光地が所在し、 ビジネス、 観光両面での来訪需要が見込まれるほか、 県内各地から就航先へ向かう県民の利用など、 それぞれの需要に即した交通手段の確保が求められております。 空港の設備としては二千台の無料駐車場が整備されるとのことですが、 一方で、 基幹的な交通手段として公共交通によるアクセス確保は重要であり、 空港の立地効果を全県的に波及させるためにも、 県内全域への移動を想定した交通ネットワークを形成することが重要であります。
     県は昨年度、 国土交通省とともに検討会を設置し、 空港に近接する駅や拠点性の高い都市駅、 県内の主要観光地などと空港をバス路線等で結ぶことを柱とした空港アクセス整備方針を策定いたしました。 その後、 この方針をもとにアクセスルートの具体化に向けて富士山静岡空港アクセス協議会を設置し、 バス事業者を初め関係者と調整を行ってきました。 その結果、 去る九月十九日に開催された第二回協議会では、 それぞれの交通事業者から空港アクセスの取り組み案が報告されたと伺っております。
     空港の公共交通アクセスについては、 既存の交通網を生かしつつまた空港需要を的確に見込みながら、 利便性にすぐれかつ持続可能で信頼できるアクセスを実現していく必要があると考えます。
     そこで、 県民を初め本県を訪れる方々に、 どのような観点で空港の公共交通アクセスを提供していくのか、 所見をお伺いいたします。
     次に、 子育て支援についてのうち、 まず県民運動の展開について伺います。
     本年六月に公表された平成十九年の合計特殊出生率の全国値は一・三四で、 二年連続で前年を上回りましたが、 厚生労働省の分析では、 合計特殊出生率が改善されたように見えるのは、 十五歳から四十九歳までの女性の数が十八万人も減ったからであり、 昨年の出生数は百九万人であり、 それはその前の年よりも約三千人も少ないのであります。 出生数の減少傾向は三十年以上続いており、 少子化の流れは一向に変わってはおりません。 この状態が続くと五十年後には我が国の人口は九千万人を割り込み、 高齢化率が四割を超える超少子・高齢社会になります。 ちなみに世界の人口は現在の六十六億人から九十億人になると推計されております。
     さて、 私が委員長を務めました次世代育成特別委員会では、 この五月に少子化の背景にある育児環境や社会の状況を変えていくためには社会全体の意識改革に取り組む必要があり、 家庭・地域・学校が連携して、 地域社会全体で子育てを支援する機運を醸成するための県民運動を盛り上げていくべきであるという提言をいたしました。
     かつて我が国には、 子供は国の宝と言われ、 子供を大切にする文化がありました。 それは同時に親も大切にすることに通じていたものであります。 そして昭和四十年代までは、 子育てを地域で支え合う文化と伝統があったように思います。 しかし高度経済成長期以降の都市化と核家族化の進展により、 家族のきずなや地域での支え合いなどが希薄となり、 子育ての面では育児の孤立化なども指摘されております。
     そこで、 国や県は最優先で実効ある少子化対策に取り組んでいく必要がありますが、 そのためには県民一人一人が次世代育成支援の充実は将来に向けた未来への投資であることを認識し、 子供たちが大切にされる社会を実現しようという強い意志を持つことが必要であると思います。 こうした意識改革を推進していくためには、 特別委員会の提言にもあるとおり、 地域全体で子育てを支援する機運を醸成するための県民運動の展開が必要であると考えますが、 今後県としてどのように取り組んでいくのか、 所見をお伺いいたします。
     次に、 子育てと仕事の両立が可能な就業環境の整備についてであります。
     近年、 共働き世帯が増加する中、 職場優先の風潮などから子供たちに対する時間的、 精神的に十分向き合うことができていない親などの問題が、 平成十八年の少子化社会白書において取り上げられております。 こうした問題は、 子育てをする人々の希望を実現するためでなく、 子供の健全な人間形成の観点からも是正されるべきであると考えます。 このため、 これまでの仕事を前提とする仕事と子育ての両立ではなく、 家庭あるいは地域が育児を行うという視点に重きを置いた子育てと仕事の両立となるように、 働き方の見直し、 環境整備に向けた支援策の充実が必要であると考えます。
     国や県では、 これまでもさまざまな子育てと仕事の両立に向けた支援に取り組まれてきたことは承知をしております。 しかし現状を見ると、 生活の不安を抱える非正規社員の労働者が大幅に増加する一方で、 正規社員の労働時間は高どまりしたままであること、 また共働き世帯の増加に対応した多様な働き方が進んでいないことなどを背景に、 就労と子育てが二者択一となっております。 このことは、 就労していた女性の七割が第一子の妊娠・出産を機に離職するといった数値にもあらわれていると思います。
     他方で、 子育てと仕事の両立が可能な就業環境の整備については、 今後の人口減少社会の中で必要な労働力を確保し社会の活力を維持向上していく上でも、 喫緊に取り組むべき課題であることから、 特に事業主に理解を深めていただくとともに、 このための取り組みを進めていただくことが重要であると考えます。
     そこで、 県ではこうした状況を踏まえ、 子育てと仕事の両立が可能な就業環境の整備を図るため、 事業主に対してどのような働きかけを行っていくのかをお伺いいたします。
     次に、 新エネルギーの導入促進についてお伺いいたします。
     七月に開催された北海道洞爺湖サミットでは、 最大のテーマである地球温暖化の問題について、 G8の会合とあわせて中国、 インド、 ブラジルなどの新興国を含む主要排出国十六カ国の会合が同時に開催されました。 昨年のサミットで、 世界の温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに少なくとも半減させることを真剣に検討することが合意されていましたので、 今回はどのような結論を出すのかが注目されておりました。
     しかし、 G8が排出量半減の長期目標の共有化を求める一方、 新興国は経済成長を犠牲にしてまで温暖化対策を推進する状況になく、 温室効果ガス削減は先に経済成長を遂げた先進国が取り組むべきことと反発が強く、 具体的な長期目標は明記できませんでした。 地球温暖化はもはやG8だけで解決できない問題であり、 主要排出国を含む粘り強い国際交渉が不可欠であることを強く印象づけられたところであります。
     二〇〇九年十二月にはコペンハーゲンで開催される気候変動枠組条約締結会議では、 ポスト京都議定書の枠組みが決定されることになっていますが、 残りわずか一年半であります。 我が国は、 二〇五〇年までに二酸化炭素排出量を六〇から八〇%削減する目標を掲げています。 そして福田前首相は、 福田ビジョンなるものを発表しましたが、 このたびの辞任劇でその実現が心配されるところです。 かかる状況下、 国には主要排出国が参加した大幅な削減の合意に向けて、 さらに固い決意を持って努力することを強く望むものであります。
     私は、 二酸化炭素の大幅な削減の実現のためには、 省エネ技術の開発や省エネ機器の積極的導入などの一層の推進に加えて、 温室効果ガスを排出しない石油代替エネルギーへの転換を進めるべきであると考えます。
     本県では、 しずおか新エネルギー等導入戦略プランに基づいて、 環境への負荷の少ない安定的なエネルギーへの転換を目指し、 平成二十二年度の新エネルギー導入率を五%以上とする数値目標を掲げて、 その導入推進に努めているところと聞いております。
     そこで、 県内の新エネルギーの導入状況と今後の目標の達成見込みについてお伺いします。
     新エネルギーは、 発電効率が低い、 設備コストや維持管理費が高い、 供給が不安定など普及には課題も多く抱えております。 国は二〇五〇年の温室効果ガスの大幅削減に積極的に貢献していくため、 本年三月にCool Earth―エネルギー革新技術計画を策定し、 燃料電池自動車など二十一の革新的な技術を選定して、 エネルギー効率の向上や低コスト化に向けて重点的に取り組んでいく方針を示しております。 一方、 本県にあっては、 豊かな自然エネルギー資源など地域の特性を生かした新エネルギーの導入促進に努めていくべきであると考えます。
     そこで、 今後県として、 どのように新エネルギーの導入促進に取り組んでいくのかをお伺いいたします。
     次に、 自殺対策についてお伺いいたします。
     警察庁が六月に発表した自殺の概要資料によりますと、 平成十九年中に全国で自殺により死亡した人が三万三千九十三人で、 その数は十年連続で三万人を超えているとされております。
     本県の自殺者数を見ましても、 平成九年の六百九十三人から平成十年には九百人台になり、 その後若干の増減はあるものの、 十八年九百五十一人、 十九年九百三十九人と下がる傾向にありません。 また厚生労働省の平成十八年の人口動態統計によれば、 自殺は静岡県の死因の第七位で、 特に二十代、 三十代では第一位、 四十代では第二位を占め、 がん、 脳・心臓疾患と並ぶ大きな問題となっております。
     さて一方、 全国の交通事故の死者数を見てみますと、 昭和四十五年に最多の一万六千七百六十五人であったものが、 平成十九年には五千七百四十四人と約三分の一に減少しております。 これは警察当局の努力もさることながら、 教育関係者、 道路行政、 市町村、 老人会など各種団体、 さらには輸送機器メーカーなどあらゆる機関が協力してその対策に取り組んできた結果と考えられます。 ですから自殺対策にもこのような取り組みが求められていると思われます。
     さらに、 さきの警察統計によりますと、 自殺の原因としてうつ病が原因別ではトップであることから、 うつ病対策が効果的と考えます。 県では、 十八年度からうつ病の早期発見、 早期治療を目的とした自殺対策を富士市で取り組んでいると聞いておりますが、 この事業の成果はどうなっているのでしょうか。 また今後どのように自殺対策を進めていくのか、 県の見解を伺いいたします。
     次に、 原油等価格高騰に伴う農林漁業者、 中小企業者への支援についてお伺いいたします。
     原油価格については、 昨年初めに一バレル五十ドル台だったアメリカWTI価格は、 ことし一月には百ドルを超え、 そして七月三日には百四十五ドルまでに上昇しました。 その後乱高下を繰り返しつつも高どまりであり、 石油製品、 資材等の原材料価格も上昇し、 その影響は産業全般に及んでおります。
     製造業では、 石油を直接使用している業種ばかりでなく、 石油製品などの原材料や輸送費の上昇によりすべての業種でコストが上昇し、 その影響は卸小売業にも及んでおります。 しかし現在の経済状況では生産コストを商品価格に即転嫁することが困難なことから、 下請企業を初めとする中小企業の経営を圧迫しております。
     また、 運輸業では原油価格の上昇がそのままコスト上昇につながることから企業の経営はかなり苦しくなっており、 観光業についても自動車が主な移動手段となる観光地では入り込み客が減少するなどの影響が出ております。
     農業においては、 施設園芸での暖房用燃料を初め資材価格の上昇により生産コストは上がっており、 また漁業では、 漁船用燃油価格高騰をアピールするため、 七月には全国一斉休漁が行われたほどであります。 さらにアメリカ、 ブラジル等で石油代替エネルギーとして穀物を原料とする燃料用エタノールの需要が増加したことなどによる輸入配合飼料価格の高騰や、 中国、 インド等の食料増産などを背景にした肥料や農薬の価格上昇は、 畜産業を初めとした農業者の経営を直撃しております。
     このような産業全体への影響に対処するため、 政府では中小企業者に対する金融支援の拡大や農業生産における省エネ対策の推進、 漁業者に対する燃油価格高騰対策などを発表しております。
     そこで、 県では本県の農林漁業者、 中小企業者を支援するため、 これまでどのような対策を実施し、 今後どのように取り組まれるのかをお伺いいたします。
     次に、 米の消費拡大について伺います。
     世界の穀物需給を見ますと、 中国などの新興国の人口増加やバイオエネルギーへの利用による需要の増加などにより穀物価格が高騰し、 世界的に食料需給が迫する中で一部の生産国では既に輸出規制が行われております。
     そこで、 我が国の食料自給率を見るとき、 昭和四十年にはカロリーベースで七三%ありましたが、 食生活の大きな変化によって米の消費が大幅に減少する一方で、 飼料の大部分を輸入している畜産物の消費が大幅に増加したことなどにより、 近年は四〇%程度までに低下しております。 これは先進国では最低の水準であります。 ある雑誌によれば、 国産食材のみの夕食のメニューは、 御飯一杯とサツマイモ半分、 焼き魚一切れとの指摘もあります。
     米の消費量の減少に対応するため、 国は米の生産調整を行い、 水田での小麦や大豆の生産を奨励してきましたが、 これらの生産は本県の水田の生産力を十分発揮しているとは言いがたく、 やはり水田は水稲を作付することでその生産力を最大限に発揮することができるものと考えております。
     米は我が国では完全自給が可能であることから、 食料自給率を向上させるためには、 日本人の主食である米を中心とする日本型食生活を推進するとともに、 主食以外の用途にも消費を拡大していくことが重要であると考えます。 食料自給率の向上は国が全体として取り組む課題であると考えますが、 米の消費県である本県においても米の一層の消費拡大や用途拡大に努めるとともに、 水田に水稲を作付け、 水田として有効に活用することにより本県の農業の生産力を向上し、 ひいては国の食料自給率向上に寄与することができると考えます。
     県は、 このようなことを踏まえ、 米の消費拡大にどのように取り組むのかお伺いをいたします。
     次に、 食の安心・安全についてのうち、 事故米への対応について伺います。
     過日、 あちらこちらで敬老会が開かれました。 私も何カ所かにお伺いしお祝いを申し上げると同時に皆さんの声をお聞かせいただきました。 出席された皆さんの楽しみの一つはお弁当ですが、 心なしかそのお弁当を食べる人が少ないように感じました。 間もなくその理由がわかりました。 「この赤飯は食べても大丈夫かね」 と何人かに聞かれました。 言うまでもなく事故米、 つまり汚染米の心配をしていたのであります。
     事故米、 それはウルグアイ・ラウンド合意で輸入を義務づけられたミニマムアクセス米のうち、 安全基準を超えたり輸送中に傷んだりした米のことです。 この事故米は、 工業用のりの原料として一キログラム当たり平均十円程度で業者に渡り、 それが末端では食用に使用され、 三十倍以上の価格で販売されていたというのです。 そしてこれらは、 病院、 施設、 学校給食から外食産業に加え、 しょうちゅうなどにも使われていたのです。 その被害は日を追うごとに広がりを見せており、 本県も決して例外ではありません。 加えて、 工業用ののり原料として販売されたというものの、 業界の言によれば、 のりの原料は小麦を使用し米は使っていないというのですから、 そのずさんさには二度びっくりであります。
     一方、 米を輸入し業者に販売した農林水産省は、 「健康被害は出ていない」 とか、 「私どもには責任があるとは考えてない」 など無責任な発言をするなど、 あいた口がふさがらないとはこのことかと思うほどです。 結果、 大臣と次官が辞任しましたが、 解決策は一向に示されず国民不在と言わざるを得ません。
     そこで、 国が信用できないなら、 より身近な県がその安全を確保されることに大きな期待を寄せておりますが、 県はどう対処し県民に安心・安全を与えてくれるのか所見をお伺いいたします。
     次に、 食品偽装についてであります。
     これもまた信じがたいことですが、 産地や消費期限を偽り消費者を無視した事件が多数発生し、 県民の食品に対する不安を増大させております。 昨年のミートホープ社の食肉偽造に端を発し、 「白い恋人」 や 「赤福」 などの有名菓子事業者による偽装表示や、 しにせ料亭での消費期限切れ食材の使用などの偽装事件などが発生し、 さらに今年に入ってからも飛騨牛の偽装表示や中国産リンゴ果汁の産地偽装、 原産地不明のウナギのかば焼きを愛媛県産とした偽装事件など、 食品表示に関するさまざまな問題は相変わらず全国各地で発生し後を絶たない状況であります。
     本県でも、 大手食品総合商社が架空取引による偽装ウナギを販売した事案が報道されたところであります。 私たちは一体何を信じて何を食べればよいのかと思うほどであります。 このような状況の中で、 多くの消費者は食の安心・安全への不安を募らせており、 これらの県民の食に対する不安に的確にこたえていくためには、 なお一層、 事業者の指導や監視を強化することが重要だと考えます。
     そこで、 県内における食品偽装への指導の状況と再発防止に向け、 どのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。
     次に、 若者の就労対策について伺います。
     平成十九年の総務省就業構造基本調査によれば、 パート・アルバイトや派遣労働者など非正規社員は千八百九十三万九千人で、 雇用者に占める割合は三五・五%となり過去最高の割合となりました。 これを年齢階層別に見ると、 三十五歳未満では三三・六%であり、 五年ごとの調査で毎回上昇を続けて、 昭和六十二年には一八・九ポイントも増加しております。
     非正規社員が現在の雇用形態を選択した理由については、 パート社員の二三・八%、 また派遣などのその他の非正規社員の四四・二%が 「正社員で働く会社がないから」 と回答しており、 正社員雇用を望んでいながら働けない実態がよくわかります。 このように非正規社員がふえたのは企業がコスト削減で非正規社員化を積極的に進めたことが大きな要因と考えられますが、 このままの状態が進行した場合、 企業にとっては技能が蓄積されず国際競争力の低下を招くおそれがあることや、 若者にとって収入が不安定であることから、 結婚への障害の一因となり少子化に拍車をかけるなどの影響が懸念されるところであります。
     また、 平成十八年度の全国における生活保護受給者は月平均で百五十一万三千人余となっておりますが、 あるシンクタンクが行った研究によると、 就業氷河期世代の者が非正規社員や家事・通学をしない無業者となり老後を迎えた場合、 潜在的な生活保護受給者は七十七万四千人となり、 これに対する追加的な予算は累計で十九兆三千億円になるとの試算が示されました。 これは企業、 労働者の問題とあわせて、 社会全体の問題に広がることの具体例を示した一つであります。
     そこで、 若者を中心とした正規社員雇用の拡大及び非正規社員の処遇改善など雇用を安定させて生活基盤を確立させていくことが重要と考えますが、 県としてどのように取り組まれるのかお伺いいたします。
     次に、 佐鳴湖浄化対策について伺います。
     本県西部地域にある佐鳴湖は、 市街地に近く都市の中のオアシスとして浜松市民の憩いの場として貴重な水辺であることから、 美しく豊かな環境を有する湖として未来の世代に引き継ぐため、 住民と行政が協働により水辺環境の再生事業に取り組んでいるところであります。 またこの七月には、 佐鳴湖等を対象とし浜松市川や湖を守る条例が施行され、 水質汚濁防止法で排水の水質測定を義務づける特定事業場の対象を中規模事業所にまで拡大するなど、 流域からの汚染負荷削減に向け、 流域一体となった対策の充実が図られたところであります。
     さて、 この佐鳴湖の湖沼水質の指標とされるCODの濃度は昨年同様であり、 全国の湖沼ランキングにおいて六年連続ワーストワンと残念な結果となっております。 県はこれまで浄化のため、 二十年余にわたり約百十億円の予算を投じてきたところでありますが、 果たしてその方法は妥当であったのか疑問符をつけたくなるところであります。 一方で、 魚類も豊富なことや若干なりとも透明度が上がり悪臭も感じられないことを考えると、 現状の水質基準にも疑問符をつけたくなるところであります。
     このような中、 国土交通省では、 人と湖沼の豊かなふれあいの確保、 豊かな生態系の確保、 利用しやすい水質の確保という三つの視点から成る湖沼における新しい指標の策定に向け、 平成十九年度には佐鳴湖を含む全国十九湖沼を対象に、 流域住民の参加のもと試行調査に取り組んでいただいております。 参加された住民からも、 「水辺環境を多面的に評価したもので、 より実感に近い指標である」 という意見をいただくなど地域の方々の新指標への期待は高まっております。
     そこで、 全国ワーストワンを脱却するため、 現在、 県、 浜松市、 流域住民が連携して推進している清流ルネッサンスU行動計画をもとに対策を強化していくと聞いておりますが、 その内容についてお伺いいたします。
     次に、 教育行政についてのうち、 まず教員が教育に専念できる環境づくりについて伺います。
     本年三月、 小学校及び中学校の新しい学習指導要領が公表されました。 新学習指導要領は、 「教育基本法の改正等で明確となった教育の理念を踏まえ、 生きる力を育成」 すること、 「知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視」 すること、 「道徳教育や体育などの充実により、 豊かな心や健やかな体を育成」 することを改善の基本的な考えとしております。 具体的には、 小中学校とも週当たり一時間程度授業時間をふやしております。
     さらに、 現在の学校教育に対しては、 個々の子供たちの理解や習熟度に応じたきめ細かな指導の充実を初めとして、 勤労観・職業観の育成、 環境教育、 伝統や文化に関する教育、 体験活動の充実などにも多岐にわたって授業の要請が行われているところであります。 こうした中で、 多様な期待にこたえ学校教育に対する子供や保護者の満足度を向上させるためには、 教員が子供と向き合って教育に専念する時間を十分に確保することが何よりも大切と考えます。
     膨らむ一方の事務事業やモンスターペアレントなどと言われる想定外の対応に追われ、 多忙化を極めている教員が教育に専念できる環境をどのように整備していくのか、 教育長の所見をお伺いいたします。
     次に、 美しい日本語の習得についてであります。
     古くから言葉は言霊と言われるように、 言葉を発するということはその人の人となりを発するのだと言われます。 私たちは言葉という道具を使い、 社会を構築し文化を伝承してきました。
     しかし最近、 日常会話が乱れているようであります。 文化庁の二〇〇七年度国語に関する世論調査では、 七九・五%の人が国語が乱れていると危惧しているところであります。 例えば、 言葉の意味を尋ねた設問では、 「憮然」 を 「腹を立てている様子」 と誤って答えた人が七〇・八%、 正しい答えの 「失望してぼんやりしている様子」 はわずかに一七%。 また 「檄を飛ばす」 も同様、 七二・九%が 「元気のない者に刺激を与えて活気づける」 と間違えており、 正しい答えの 「自分の主張や考え方を広く人々に知らせる様子」 と答えたのはわずか一九・三%にとどまったとのことであります。 これらの特徴は十代から三十代までは正解が三〇%、 五十代から六十代は七〇%と言われております。
     マスメディアの発達や携帯電話の発達で、 情報手段の多種・多様化に伴って言葉が時代によって変わっていくこともあるのは理解しますが、 これからの知識基盤社会を生きていく子供たちにとって、 正しい言語活用能力は不可欠な能力だと思います。
     子供の国語力の現状をどのようにとらえ、 静岡県の未来を担う子供たちに正しく美しい日本語をいかに習得させ話すことができるようにさせていくのか、 単に知識の習得だけでなく具体的な対応について、 教育長の御所見をお伺いいたします。
     次に、 教員の採用試験についてお伺いします。
     教育は人なりと言いますが、 学校教育の基盤は教員であります。 その意味において、 大分県の教員採用試験に関する事件はにわかに信じがたいことであります。 本県においては、 既に採用選考試験に関する一連の業務で不正行為を防止する方策をとっていると聞きます。 また試験問題を受験者が持ち帰ることや試験問題が自由に閲覧できることなどの対応策を考えておられます。
     七月に文部科学省は、 教員の採用試験おいて透明性を確保する手だてがとられているのか具体的に点検するとともに、 さらなる改善検討を進めるよう各都道府県教育委員会に通知をしたと聞いております。 今後の具体的な対応について、 教育長の所見をお伺いします。
     なお、 この際申し上げます。 午前中、 教育長の謝罪がありましたが、 県立高校における調査書改ざんをめぐる収賄事件や教職員の相次ぐ不祥事など倫理に欠ける行為に対し、 教育行政全般の綱紀粛正を強く求めるものであります。
     最後に、 交通事故防止対策についてお伺いいたします。
     今年八月現在の県内の治安指標を見ますと、 刑法犯認知件数は二万八千件、 前年比マイナス千二百九十七件と減少してはおりますが……。 交通事故死者数は現在十六人増の百三十二人で全国でワースト七位、 死者の増加数はワースト一位であります。
     さて、 私からは、 交通事故防止について役立つと思われるドライブレコーダーについて一言触れてみたいと思います。 これは飛行機に積まれているフライトレコーダーの自動車版でありまして、 克明にその記録がされ、 事故やニアミスの状況が記され、 安全教育にも活用されるという代物であります。
     交通事故の防止策効果が期待されるところでありますが、 これらについてまず県警としてこのような件にどう取り組んでいるのか、 そしてまた一件でも多く抑止ということが求められている現在、 これらの交通事故防止の抑制に取り組んでいかれる警察本部長、 特にドライブレコーダーについての新しい技術についてどのようにお考えなのかを含めてお聞かせをいただきたいと思います。
     以上で私の質問を終わります。 (拍手)
    ○副議長 (込山正秀君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  岡本護議員にお答えいたします。
     初めに、 私の政治姿勢についてであります。
     四期三年過ぎてどう総括しているのかと、 こういうお尋ねでありました。 私は、 県民暮らし満足度日本一への道筋をつけたいということでこれまで取り組んでまいりました。 そういう中で、 昨今の例えば原油価格高騰の問題とか福祉・医療現場を支える人材の確保といった県民生活が直面する緊急課題、 これについてはスピード感をもって対処するとともに、 本県独自の人づくり施策とか地方税滞納整理機構の設立など、 全国に先駆けた新たな社会の仕組みづくりあるいは取り組みに対しては、 中長期的視点に立って腰を据えて取り組んでまいりました。
     特に、 本格的な人口減少社会や地球規模の大競争時代の到来に備えまして、 従来からの課題でありました空港建設事業のほかにも、 新産業集積クラスターの形成の推進やユニバーサル技能五輪国際大会の開催など、 地域競争力の強化と交流人口の拡大に結びつく諸施策について、 厳しい財政状況の中でも施策の重点化と創意工夫のもとにこれらを推進してまいりました。
     そういうさまざまな取り組み、 今期の三年だけの結果ではなくて、 過去十五年近い間のさまざまな取り組みがそれなりの成果を上げつつあるものというふうに感じますが、 一方で静岡県が置かれているいろいろ状況を考えますと、 もはや静岡県という地方自治体の努力だけではもういかんともしがたい、 さまざまな困難な状況、 課題が押し寄せてきていると。 これは国全体で乗り越えていかない限り、 静岡県が幾ら頑張っても、 残念ながら我が国の大きな意味での統治構造、 統治機構の中で、 いかんともしがたいという思いも他方で強くする状況であります。
     特に、 昨今の経済成長をしないという状況の中で、 未来へ向けてのさまざまな施策の展開には大変窮屈な状態に陥っているわけでありまして、 これをこのまま放置するというか、 国としてこのままこの状態を打開しない限り、 我が県はもとより日本全体が沈んでいってしまうと、 こういう危機感すら覚えるわけであります。 その意味で、 みずからやるべきことはどんどんやりながら、 時間の経過に伴って国に対してこうしてほしいとか、 こうすべきであるというような発言、 そういうアクション、 これが非常にふえてきたように感ずるところでございます。
     特に最近、 国政において非常に私は問題だと感じておりますのは、 中央政府の今陥っている財政の危機的状況、 これさえ脱却すればあとは野となれ山となれと言わんばかりの施策展開が目に余るんじゃないかというふうに感ずるわけであります。
     先ごろの自民党総裁選挙を見ても、 総裁選を争った方の中に、 つい平成十五年から三年間、 日本国内を挙げて大騒動で展開された三位一体改革なるものも、 その内容は、 結論はすべて地方団体に問いかけて、 その言い分をそのまま聞いて実現したんだというような、 全く実態を理解しない発言を堂々とされてる有力閣僚もいたというようなことをとってみても、 非常に私は状況の認識がもう全く間違っていると、 どうかしてるとすら思えてくるような状態であります。
     そういう認識を改めて本当に日本を再建するためには、 さまざまな乗り越えるべき課題がありますけども、 その中の重要な柱の一つに地方自治の確立と言いましょうか、 拡大、 分権の確立というのがあるわけでありますけども、 この辺についての認識が徹底してないことが非常に残念でなりません。
     これからどういう立場に立とうと、 この問題は何とかして国民的世論の体制を形成するようにやっていかなければいけない課題ではないかというふうに思うわけであります。 その論を論拠づけるといいましょうか、 説得力を持たすためにも少なくとも本県の県政運営、 あるいはそれの中で本県がどのような地域社会を目指しているか、 その一端を何らかの形で姿をあらわすように、 全力を挙げて取り組むことが非常に重要であるというふうに感じている昨今でございます。
     次に、 財政健全化と県民サービスの確保についてであります。
     本県では、 既に八年前の当初予算編成時に三つの数値目標を設定し、 他県に先駆けていち早く財政健全化に取り組み、 定員管理計画に基づく職員数の削減や投資的経費の圧縮などを行うとともに、 県債の発行の抑制に努めてまいりました。 さらに平成十七年度に策定した集中改革プランに基づいて、 歳出のスリム化、 歳入確保を図る一方、 業務棚卸表を活用した行政評価による事業の重点化・優先化、 ひとり一改革運動による事業の見直しなど新公共経営手法による行政運営に取り組んで、 健全財政の枠組みを堅持しながら県民の満足度の高い行政サービスの実現に努めてまいりました。
     しかしながら、 社会保障関係費等の義務的経費の増加に伴う財政の硬直化とこれに伴う行政サービスに使える政策的経費の減少は、 こうした本県独自の取り組みにより解決することには限界があることも事実であります。 したがって持続可能で安定的な地方財政制度の構築について、 全国知事会等を通じて働きかけているところであります。
     岡本議員から、 大阪府もよそごとではない、 他人ごとではないというお話もございましたが、 全く私はそのとおりだと思うのであります。 今の状態がそのまま推移していくと、 文字どおり全国どこも大阪府状態になるといっても過言ではないわけであります。 それでいいのかと、 ここは本当に正念場に差しかかりつつあるというふうに思うわけであります。 今後とも一層、 国に対していろいろ改革の働きかけをしながらも、 一方でなお一層、 行政の生産性向上を図って財政の健全化と医療、 福祉、 教育、 環境、 社会資本整備など県民サービスとのバランスに十分配慮しながら県政運営を行っていかなければいけないというふうに思います。
     次に、 富士山静岡空港についてのうち、 まず開港に向けての準備状況であります。
     これまで国内外合わせて七路線、 一日十一便の運航計画が発表されましたが、 引き続き路線・便数の確保に向けて取り組んでおります。
     岡本議員の御指摘のありました航空燃料の高騰が懸念されます海外便でありますが、 中国路線については、 現在、 中国東方航空、 中国南方航空などと具体的な路線・便数について協議を進めております。 早期の定期便就航表明実現を目指しておりまして期待を持てる状態であると感じております。
     台湾と香港路線でありますが、 開港時からの連続チャーターの運航に向けて県内旅行代理店と航空会社が具体的な協議を進めております。 これがうまくいきますと定期便につながっていくと、 こういう展望であります。
     このほか、 アセアン諸国などのうち特にタイ路線につきましては、 山田長政を初め本県と関係が深いわけでありまして航空会社も関心を示しておりますことから、 タイにおける富士山静岡空港の認知度を高める準備も着々と進めておりましてこれらの効果に期待をしているところであります。 またそういう中で、 あすからはタイの出版社によるガイドブックの制作取材なども本県を訪れて制作取材をするということも予定されております。
     また、 開港記念行事等でありますが、 来る十一月八日、 九日の二日にわたってスカイ・レジャー・ジャパン&エアポートフェスタ二〇〇八in静岡が開催されることになっております。 こうしたイベントを皮切りに、 県民向けの空港施設見学会や地元感謝デー、 関係者をお招きする空港施設内覧会などさまざまな記念行事を実施していきたいと考えております。
     次に、 今後の見通しでありますが、 空港の整備、 工事関係でありますが、 整地工事に若干のおくれはありますものの滑走路等の基本施設に係る工事は完成いたしましたし、 現在空港周囲部の西側制限表面の支障物件の除去を所有者にお願いをしているところであります。 この物件について仮に所有者が除去していただけないという場合においても、 同時に県としてさまざまな角度から航空機運航上の安全性を確保するための対応策を検討しておりまして、 今後必要に応じ所要の措置を講ずるとともに、 完成検査申請等の手続を進めていきまして開港に支障が生じないよう全力を挙げてまいります。
     次に、 富士山静岡空港の公共交通アクセスについてであります。
     これにつきましては、 県内交通関係者といろいろ協議を進めてまいりました。 その結果、 空港に近接する島田駅や掛川駅、 拠点性の高い静岡駅や浜松西インターチェンジと空港を結ぶ乗り合いバス路線の開設や、 駿河湾フェリーを組み込んだ伊豆方面へのアクセスルートの開設など、 現時点での取り組み案を第二回富士山静岡空港アクセス協議会において取りまとめていただいたところであります。 今後も引き続いて、 交通事業者や地域の関係者と連携してビジネスや観光など多様なニーズに対応し持続可能で信頼できる公共交通アクセスの実現に取り組んでまいります。
     次に、 子育て支援についてのうち、 県民運動の展開についてであります。
     出生数の減少傾向に歯どめがかからない中、 いわゆる第二次ベビーブーム世代も三十代後半となりますことから、 今後我が国は少子・高齢化が急速に進行していくものと予測されております。 こうした中、 国は 「子どもと家族を応援する日本」 重点戦略において、 若い世代が子育ての喜びや大切さを感じられるよう、 社会全体の意識改革のための国民運動を展開していく必要があるとしており、 また県議会次世代育成特別委員会からは、 社会全体で子育てを支援する機運の醸成を図るべしとの提言をいただいているところであります。
     本県でも、 これまでしずおか子育て優待カード事業や通学合宿など家庭や地域、 学校などと連携した取り組みを推進しており、 また本年二月には家族・地域のきずなフォーラムを開催するなど子育てを支援する県民意識の醸成を図ってまいりました。
     今後とも、 企業への男女共同参画社会づくり宣言の働きかけや、 国の 「カエル!ジャパン」 キャンペーンへの協力などによって仕事と生活の調和の推進に向けた意識改革を図るとともに、 マスコミなどとの協働により、 今年度で四回目となる 「笑顔でギュッとパパママ応援団」 や、 新たな取り組みである 「ハッピース!プロジェクト 子育て来楽部」 などの子育て支援イベントを開催するなど、 官民が一体となって地域全体に子育てを支援する機運が広がるように努めてまいります。
     この少子化対策の問題も一方での年金、 介護、 医療の問題と並んで、 我が国の将来を左右する大きな問題であります。 このためには、 税制それから雇用制度、 それから意識の問題ですね。 これらを全般ににらんだ、 全般にかかわるような総合的な施策展開が必要なわけです。 その中には当然、 費用負担とサービスの水準のバランスをどこに設けるか、 当然その意味するところはもっと費用負担もしていただくと。 しかしきちんとした社会的な公共サービス、 公的サービスは実施すると。 この両方がきちっと見合って、 どのレベルなら国民の納得が得られるか、 これを早急に探って決定していかなきゃいけない。 そして実行に移さなければいけないテーマだと思うのであります。
     これは本県が幾ら逆立ちしても、 本県だけでは決められないわけですね。 しかしこれがちゃんとしてなければ、 年金、 介護、 医療と同じようにそこのところがしっかりしなければ、 もう我が国社会はにっちもさっちもいかない状態になっていると言っても過言ではないと思うんですね。 そういう意味で、 これから本県は本県でいろいろやりながらも、 県議会の皆様方ともども一緒になって、 国政の改革にももっともっと発言していく、 働きかけをしていくと、 こういうことが一層重要でないかとこの子育て支援問題についても痛感する次第でございます。 どうか今後とも、 御理解とまた御支援とそれから協働で前に進めるようにお願いいたしたいと思います。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長 (込山正秀君)  杉山産業部長。
            (産業部長 杉山栄一君登壇)
    ○産業部長 (杉山栄一君)  子育て支援についてのうち、 子育てと仕事の両立が可能な就業環境の整備についてお答えいたします。
     働く人が仕事と家庭を両立できる就業環境の整備を促進するためには企業の理解が不可欠であり、 多くの企業において次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、 その計画に基づき具体的に取り組んでいただくことが重要であると考えております。
     このため県では、 企業の人事・労務担当者を対象とする仕事と家庭の両立支援セミナーや事業主が集まる会合を活用した出前講座を開催するほか、 計画を策定した企業等を県のホームページに掲載しその取り組みを紹介するなど、 行動計画の策定を広く企業に働きかけているところであります。 また行動計画の策定に前向きな中小企業に対しアドバイザーを派遣するとともに、 次世代育成支援に取り組む中小企業を資金面から支援する融資制度を設けるなど、 行動計画の策定支援を行っているところであります。
     さらに、 県内の次世代育成に関係する団体の代表者等で構成する静岡県次世代育成支援対策地域協議会の中に、 本年七月新たに働き方専門部会を設置し、 労使団体や子育て支援を行うNPO、 行政などが次世代育成支援対策に係る認識の共有を図るとともに、 先進事例の紹介などを行うこととしております。
     今後とも、 静岡労働局や関係団体等と連携し、 仕事と子育てが両立できる就業環境の整備に努めてまいります。
     次に、 原油等価格高騰に伴う農林漁業者、 中小企業者への支援についてであります。
     県では、 原油等の価格の急激な高騰による県内産業への影響に対処するため、 これまで経済対策連絡会議を三回開催し各種対策を決定、 推進してきております。 このうち金融支援として中小企業者に対し、 県制度融資の経済変動対策貸付の融資要件を緩和するとともに金融機関に対し、 中小企業向けの資金供給の円滑化の要請を行ったところであります。 また農林漁業者に対しては、 農業経営改善促進資金や省エネルギー推進緊急対策資金などの低利資金を用意し、 利用を呼びかけております。
     下請取引の適正化対策としては、 企業訪問や講習会の開催による発注企業への呼びかけや下請適正取引ガイドラインの各事業者への周知徹底などを行っております。 また原油価格の高騰のもとでも中小企業者や農林漁業者が安定した経営が持続できるように、 省エネルギー化を推進するための機械・設備等の導入に活用できる各種の改善資金を用意するとともに、 農業者に対しては、 省エネルギー技術対策指針に基づく技術指導を進めバラ栽培へのヒートポンプ導入を支援しております。
     また、 畜産用配合飼料の価格高騰対策として、 自給飼料増産のための飼料用稲の作付拡大や耕作放棄地での飼料生産、 飼料生産組織の育成など関係団体の取り組みを支援しております。 さらに漁業者に対しては、 省エネ操業、 休漁・減船等支援対策などの国の燃油高騰水産業緊急対策についての周知と利用促進を行っております。
     こうした取り組みに加え、 八月六日の経済対策連絡会議の決定を受け中小企業者や農林漁業者向けの制度資金等の融資枠の拡大など金融支援を拡充するほか、 ガーベラなどヒートポンプ導入対象作物の拡大や肥料コスト削減に向けた施肥技術対策指針の作成などに取り組むこととしており、 このために必要な経費について補正予算案を今議会にお諮りしているところでございます。
     今後とも、 原油価格等の状況や県内産業への影響の把握に努めるとともに、 国の補正予算の動向について詳細な情報収集を行い、 関係団体などと連携して適切な対応を図ってまいります。
     次に、 米の消費拡大についてであります。
     米の消費拡大には、 消費者に喜ばれる高品質で安全・安心な米づくりの推進や米を中心とした日本型食生活の定着が重要であると考えております。 このため県では、 生産者団体と連携し、 栽培方法や品種等にこだわった米産地の育成や栽培履歴が確認できる米の集出荷の推進などに取り組んでおります。
     平成十六年度からは、 お米日本一コンテストを開催し県産米の品質向上を図るとともに、 消費者に県内産のおいしいお米の情報発信を行っており、 その結果、 食味のよい米として本県産コシヒカリの評価が高まってきております。 また保育所等の保護者を対象にした幼児から始める食育講座やおにぎりつくり体験などの食育イベントにより、 栄養バランスにすぐれた日本型食生活の普及啓発を図るなど、 食育と一体となった米の消費拡大を進めているところであります。
     こうした取り組みに加え、 米粉利用による米の需要拡大を図るため、 今年度は生産者団体や食品関係団体と連携して米粉FOODコンテストを開催するほか、 米粉料理レシピ集を作成することとしております。 また米の食用以外への用途を拡大するため、 畜産農家と耕種農家が連携した家畜飼料用の水稲栽培の拡大に取り組んでいるところであります。
     県といたしましては、 今後とも生産者や関係団体と連携し、 日本型食生活の一層の普及や新たな用途の開拓など米の消費拡大に積極的に取り組んでまいります。
     次に、 若者の就労対策についてであります。
     就業形態の多様化が進展し非正規雇用が増加する中で、 非正規雇用者の雇用の安定化を図るためには、 正規雇用の拡大とあわせて非正規雇用者の処遇の改善が重要な課題であると認識しております。
     県では、 正規雇用の拡大に向けた取り組みとして、 一昨年と昨年、 公労使関係者の連名により県内約五千六百の事業所に対して正規雇用の拡大要請を行い、 昨年は新たに正社員として七百五十二人の採用意向を掘り起こすなど一定の成果を上げてきたところであり、 本年も同様の要請を行うなどさまざまな機会をとらえて正規雇用の拡大を働きかけているところであります。
     また、 正規雇用者の採用に際しては、 専門的な技術や技能などを求めている企業が多いことから、 テクノカレッジ等において若年者への訓練や離転職者訓練など多様な職業訓練を実施するとともに、 ヤングジョブステーションにおいては、 相談体制の充実によるきめ細かな就職相談や情報提供、 社会人として求められる基礎的な能力を習得するための講座の開催など正規雇用者として採用されるよう支援を行っております。
     さらに、 非正規雇用者の処遇の改善に向けた取り組みとして、 企業の人事・労務担当者を対象とした雇用管理改善のセミナーなどを開催しておりますが、 本年四月にパートタイム労働者の均衡処遇の確保などを内容とする改正パートタイム労働法が施行されましたことから、 セミナーや広報誌により法改正の内容についても周知に努めているところであります。
     今後とも、 静岡労働局等と連携し各種セミナーや会合などさまざまな機会を通じ、 正規雇用の拡大や非正規雇用者の均衡処遇の確保について企業に働きかけてまいります。
    ○副議長 (込山正秀君)  稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長 (稲津成孝君)  新エネルギーの導入促進についてお答えいたします。
     県内の新エネルギーの導入状況についてでありますが、 民間企業による大規模な天然ガスコージェネレーションの導入や住宅用の太陽光発電の着実な伸びなどにより、 平成十九年度の導入率は前年度から〇・三ポイント上昇し四・二%となっております。
     今後の目標の達成見込みにつきましては、 現在県西部地域や伊豆地域において風力発電施設の建設が数多く計画されており、 また県内三カ所において廃棄物発電と廃棄物熱利用をあわせて行う施設の整備も予定されていることなどから、 これらの施設が計画どおりに運用されれば、 平成二十二年度の新エネルギー導入率五%以上とする目標が達成できるものと考えております。
     今後の取り組みといたしましては、 国における低炭素社会の実現を目指した具体的な事業展開との連携を図りながら、 しずおか新エネルギー等導入戦略プランに基づき、 県内企業等の先進的な技術開発の支援や県民参加による新エネルギー導入事例の普及啓発などにより、 新エネルギー資源に恵まれた本県の特性を生かして太陽光や風力等による発電に積極的に取り組み、 新エネルギーの導入の一層の促進に努めてまいります。
     次に、 食の安心・安全についてのうち、 食品偽装についてであります。
     県では、 県民生活センターの食品表示不審情報窓口や保健所の食の総合相談窓口等に食品偽装に関する情報が寄せられた場合には、 迅速に関係機関と連携をとりながらJAS法や景品表示法に基づく立入検査等を実施し、 昨年度は百八十五件、 今年度も八月末現在百二件の不適正な表示を行っていた事業者に対し、 指示、 公表や文書指導等の行政指導を行ってるところであります。
     また、 保健所や国、 県の関係機関と連携して菓子類、 鮮魚等の食品表示実態調査や、 定期的な巡回点検等により食品表示の監視指導に取り組むとともに、 相次いで発覚したウナギ加工品の不適正表示事件を受けて、 水産物加工業者に対し事業者団体と協力して注意喚起を行い、 今月、 東・中・西の三カ所で研修会を開催して適正表示の徹底を図るなど再発防止に取り組んでいるところであります。
     適正な食品表示は、 食の安心・安全を確保する上で消費者にとって極めて重要な問題でありますことから、 今後とも関係機関と連携して監視指導を強化するとともに、 万一偽装が発覚した場合には迅速、 厳正に対処してまいります。
    ○副議長 (込山正秀君)  大須賀厚生部長。
            (厚生部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○厚生部長 (大須賀淑郎君)  自殺対策についてお答えいたします。
     本県では、 平成十八年度から富士市におきまして自殺の大きな原因であるうつ病の早期発見、 早期治療を目的として、 最も身近な症状である睡眠障害に着目して気づきを促す睡眠キャンペーンと、 うつ病と疑われる人をかかりつけ医から精神科医に紹介するシステムの活用を柱とする自殺対策に取り組んでおります。
     この取り組みの成果につきましては、 今後時間をかけて検証する必要がありますが、 富士市の自殺者数は人口動態統計によると、 平成十七年の六十七人に対しまして平成十八年が五十一人、 平成十九年が四十九人と減少傾向にあります。 本年度は、 引き続き富士市においてこの取り組みを進めますとともに、 市町村やかかりつけ医、 精神科医へ紹介し県内全域へ普及させていくこととしております。
     また、 この取り組みは、 都市部における働き盛り世代を対象とした自殺対策として全国的にも注目を集めておりますことから、 県外に対しましても積極的に情報発信を行い、 全国の自殺対策にも貢献してまいりたいと考えております。
     次に、 食の安心・安全についてのうち、 事故米への対応についてであります。
     今回の事故米の不正転売問題への対応としては、 農林水産省が各都道府県と連携し流通の全容を解明するとともに、 速やかに事故米を市場から排除することが国民の不安解消と食の安心・安全を確保する上で最も大切であります。
     県といたしましても、 事故米の県内流通については、 農林水産省の関係企業名公表などの情報を静岡農政事務所と共有化するとともに、 保健所等の食の総合相談窓口において県民からの問い合わせに適切に対応しているところであります。 さらに事故米の販売ルートの判明に伴い、 新たな県内流通が確認された場合には食品衛生法による当該事業者への立ち入りを行い、 回収命令など必要な措置を講じて事故米や加工品を排除することとしております。
     今後とも、 違反食品など健康被害のおそれのある事案につきましては、 関係機関と連携の上、 的確な措置を講じるとともに、 県民への迅速な情報提供を行うなど食の安心・安全と県民の信頼確保に努めてまいります。
    ○副議長 (込山正秀君)  衛門建設部長。
             (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  佐鳴湖浄化対策についてお答えいたします。
     佐鳴湖では、 平成十六年度に策定した清流ルネッサンスU行動計画に基づき、 COD濃度を年平均一リットル当たり八ミリグラム未満に改善することを目標に、 下流河道のしゅんせつ・覆砂、 湖岸植生、 下水道整備など河川、 湖内及び流域での対策を推進しており、 一定の効果が見られるものの依然として目標の達成には至っておりません。
     このため、 平成十九年度より学識者から成る佐鳴湖浄化対策専門委員会において汚濁原因の解明と対策の再検討を進めてきた結果、 上下流域からの窒素、 燐の流入が湖内での植物プランクトンの増殖に大きく影響しているということが判明いたしました。 このことから、 流域から流れてくるこれらの汚濁物質を、 より発生源に近いところで除去することが重要であるとの提言が取りまとめられたところであります。
     現在、 地域代表者や関係行政機関から成る地域協議会では、 この提言をもとに流域対策の推進を最重点にとらえ、 生活排水系の浄化対策として下水道整備区域では接続率を高め、 整備区域外では高度処理型合併浄化槽の設置を普及促進するとともに、 産業排水系の浄化対策としては排水処理施設の機能高度化への働きかけ等を検討中であります。 十一月にはこれらの施策を追加した行動計画を確定する予定であります。
     県といたしましても、 引き続き関係機関及び流域の住民の皆さんと一丸となり、 水質を初めとする水辺環境の改善に努めてまいります。
    ○副議長 (込山正秀君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  教育行政についてのうち、 初めに教員が教育に専念できる環境づくりについてお答えいたします。
     価値観の多様化や生活レベルの向上等社会全体の熟度が増してきたことなど、 もろもろの要因から学校教育に求められるものが肥大化しており、 教員が多忙をきわめていることは議員御指摘のとおりであります。 そうした中、 忙しさは感じつつも強い使命感をもって頑張っている多くの教員を支援する環境を整えることは教育委員会の責務であります。
     そこで、 まずは私ども事務局自身が、 学校現場へ負担をかけていたのではないかとの反省のもと、 伝達に終始していた会議の廃止や各種調査の精選統合などを進めております。 一方で、 すべてを学校で抱え込んできた体質を改め、 地域の方を初めとする外部の協力を得て学校を支援する体制を整えたり、 事務の効率化や教材研究の深化、 指導技術の継承と共有化のためにICTを活用したりすることも有効な方策と考えております。 今後理想の学校教育具現化委員会からいただく御提言を参酌しながら、 緊急性、 効率性を勘案しつつ教育委員会としての方針をまとめ、 教員が教育に専念できる環境づくりに努めてまいります。
     次に、 美しい日本語の習得についてであります。
     平成二十年度学力学習状況調査結果では、 国語の 「知識」 「活用」 の平均正答率は小中学校ともに全国を上回っているものの解答状況の分析によると、 文章や資料から必要な情報を取り出し、 それを活用して自分なりの考えを構築する力の育成が課題であることがわかりました。
     県教育委員会といたしましても、 国語力がすべての学びの基礎ととらえ、 平成十九、 二十年度に国語力向上プロジェクト推進事業で九校を指定しました。 指定校では学校教育全般において、 聞く・話す・読む・書く言語活動を効果的に組み合わせ、 子供の思考力、 判断力、 想像力、 表現力等の育成を図ってきているところです。 具体的には、 算数では単に問題を解くのではなく解答に至る過程や考え方を説明させたり、 また社会の授業ではディベートの機会を設けたり、 朝読書でのすぐれた短歌や詩の朗読、 さらには特別活動で劇団員や落語家による話術を楽しみながら美しい日本語や正しい発声、 発音に触れる機会を持つなど各学校では工夫を凝らした指導をしています。
     また、 来る十一月二十七日には、 教職員に国語力向上の取り組みを紹介するとともに、 齋藤孝氏による講演 「未来をひらく子どもの日本語力向上」 を実施するなど、 今後も子供の国語力の一層の向上に努めてまいります。
     次に、 教員採用選考試験についてであります。
     本県では、 採点、 得点処理等選考作業の段階ごとに複数でチェックする体制をとるとともに、 受験者を三親等以内に持つ者を試験委員等に指名しないことや面接委員に民間企業の採用担当者を入れることにより、 試験の公正さを高めてまいりました。 また試験の成績等を受験者本人の請求に基づき開示することや情報公開条例に基づいて請求があった場合に選考基準を示すことなど、 透明性を高めることにも努めてきたところであります。 これは本年度の第二次選考試験から実施したことでありますが、 面接試験において面接委員に受験者の氏名がわからない状況にしたこと、 さらに合否判定では受験番号や氏名を匿名化することにより、 個人が特定できない工夫をしてより一層厳正な選考となるよう努めました。
     現在、 本県教育委員会が望む教員像を試験要項により具体的に示すことや、 答案用紙等の保存年限の延長化について検討しているところでありますが、 今後とも不正の入り込む余地のないよう透明度を高め、 一層厳正な採用制度に改善してまいります。
    ○副議長 (込山正秀君)  原田警察本部長。
            (警察本部長  原田宗宏君登壇)
    ○警察本部長 (原田宗宏君)  これからの交通事故抑止対策についてお答えいたします。
     ドライブレコーダー等の新技術に対する県警としての考えでありますが、 まずドライブレコーダーにつきましては、 議員御指摘のとおりドライバーの注意力を高め緊張感を持った運転を心がけるようになること、 また万一事故発生の際には、 原因を明らかにし安全対策に効果的に生かすことができることなどにより、 交通事故の発生の抑止に非常に効果のある機材であるとの認識のもと、 本県では、 知事を長とする県交通安全対策会議などで推進事項として決議していただくなど、 その普及促進に鋭意努めているところであります。
     現在は、 タクシー、 バス、 トラックなどの運送事業者を中心に普及を進めていただいておりますが、 今後は、 トラック等への普及率アップや一般ドライバーを含めての普及促進が課題であると考えております。
     技術の発達は目覚ましいものがあり、 近年における先進安全自動車  ASVと称される自動車には、 さまざまなドライバー支援の技術が生かされております。 交通事故の多くはドライバーのミスに起因するものでありますが、 最新のエレクトロニクス技術等を用いドライバーのミスを補うなどにより、 事故防止や被害軽減を図っていくことは極めて重要なことであります。
     これまでの交通事故抑止対策、 交通安全対策の基本であります三Eの原則、 つまり交通安全教育、 交通工学、 交通取り締まり等に基づく各種対策を実施していくことはもちろんでありますが、 近年の死亡事故の長期的かつ大幅な減少傾向は、 例えばシートベルト、 クラッシャブルボディー、 ABSなど自動車そのものや装備品の安全性の向上によるところが大であります。
     そこで警察といたしましても、 ドライブレコーダーや二輪車用プロテクターなど事故抑止または被害軽減に効果が期待できる新しい技術、 装備品や施策については、 県民あるいは各種機関、 団体にいろいろな方法でできる限り迅速に広くアピールし、 積極的に取り入れてもらうよう働きかけてまいりたいと考えております。
    ○副議長 (込山正秀君)  これで岡本護君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     九月三十日午前十時三十分会議を開き、 質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。

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