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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

野澤 義雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/26/2015

会派名:

ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 地方創生について                        
 (1) 東京一極集中の是正                      
 (2) 少子化対策                          
 (3) 西部地域の特性を生かした地域づくり              
2 農業振興について                        
 (1) 農地中間管理事業                       
 (2) 静岡ならではの作物の新品種の育成や生産技術の向上       
 (3) 農協の役割                          
3 県産食品の輸出促進に向けたHACCPの普及について


○議長(多家一彦君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十七番 野澤義雄君。
       (六十七番 野澤義雄君登壇 拍手)
○六十七番(野澤義雄君) ふじのくに県議団の所属議員として県政の諸課題について通告に従い、知事並びに関係部局長に一括質問方式で質問いたします。
 最初に、地方創生についてのうち、東京一極集中の是正について伺います。
 昨年、国において、まち・ひと・しごと創生法が制定され、十二月二十七日には長期ビジョンと総合戦略が閣議決定されました。
 これまでにも地方拠点都市整備法やふるさと創生事業、地域振興券などの法律や多くの事業、取り組みが行われてきております。地方においては地域の創生こそが地方政治の要諦として、財政を横目でにらみながらも全ての自治体がこのことに心血を注いできたと言っても過言ではないと思います。地方創生は日本の創生として、担当大臣をつくって取り組む今回の国の本気度に期待をするとともに、本県においても地方の創生、ふじのくにづくりを加速させなければならないと思います。
 長期ビジョンに掲げる三つの基本的視点の一つには、東京一極集中の是正が挙げられています。総合戦略では東京圏への転入超過年間十万人という現状を是正し、地方から東京圏への転入を六万人減らし、東京圏から地方への転出を四万人ふやすことにより転出入の均衡を図るという具体的な目標を示しています。
 もとより本県では、昨年三月に策定した静岡県総合計画後期アクションプランの基本理念に、ポスト東京時代の日本の理想郷を創るを掲げているところであり、いち早く東京一極集中の是正に向けた取り組みを進めていると認識をしております。
 本県は、我が国最高の観光資源であり日本人の精神の支えともなる富士山を抱き、また高速道路や東海道新幹線、静岡空港などの交通インフラも整備され、全国有数のものづくり県でもあり、人々を呼び込む潜在能力を十分に有する地域であると考えます。
 しかし、直近のデータでは転入四万八千八百十四人に対し転出五万六千五十四人と、転出超過に歯どめがかからない状況が続いているのが残念ながら本県の直面する現状であります。この状況を打破し本県に人を呼び込むためには、地域資源を最大限に生かしながら、ふじのくにならではの人を引きつける魅力を向上させることが重要であると考えます。
 知事の言う、西洋文明の完成形である建造物と人々がひしめき合う東京との差別化を図るためには、私は調和がキーワードになると考えます。ここは自然と町並みが調和がとれているねとか、住まいや食事も調和がとれていていいね、住んでいる人も穏やかでいいねといった満足感がほどほどのにぎわいを創出していく。爆発的でない、調和のとれたほどほどペースが実は大切だと私は考えますが、いかがでしょうか。
 創生法では地方版の総合戦略の策定を求めている折から、知事は東京一極集中の是正、ポスト東京時代の日本の理想郷づくりの実現に向けて、今後どのような取り組みを進めていくのか伺います。
 次に、少子化対策について伺います。
 地方創生に取り組む二番目の基本視点として、若い世代の結婚・子育てへの支援が挙げられています。このまま少子化が推移すると、二〇五〇年には地方では現在の居住地域の六割で人口が半分以下に減少、二割の地域では無居住化するとされており、転出を食いとめる社会減対策とともに出生率の向上が求められています。
 本県の出生数は、平成に入って以降三万人台で緩やかに減少を続け、合計特殊出生率も近年回復の傾向が見られるものの依然として二・〇七を下回り、少子化に歯どめがかからない状態にあります。
 過日の国会において、担当大臣は少子化対策について、国が何人産めといったことを強要できる性質のものではないし、結婚や子供を持つ持たないの選択も自由でなければならない。ただし子供を産み育てることを望みながらかなわないことがあるとしたら阻害要因を取り除き、結果として人口減に歯どめがかかることが望ましいといった旨の答弁をしておりました。
 本県においても、若い世代が子供を産み育てることに喜びを感じ社会全体で子育てを支援できるよう、さまざまな少子化対策に取り組んでいることは承知しております。しかし一方で本県の医療体制を鑑みますと、産科医師の不足や高齢化で廃止する診療所があるなど分娩取り扱い施設数の減少が見られます。県内の分娩施設はこの約二十年で四十六カ所、とりわけ診療所が三十八カ所減少し、平成二十六年三月末時点の本県における人口十万人当たりの産科医師数六・五人は全国平均の七・六人を下回っているという調査結果もあり、自宅近くで出産できなくなってきているとの話も聞こえてきます。
 安心して子供を産み育てることのできる環境として分娩にかかわる医療体制を充実させることが少子化対策の第一歩だと考えますが、県はどのような対策を講じていくのか伺います。
 次に、西部地域の特性を生かした地域づくりについて伺います。
 地方創生に取り組む三番目の視点として、地域の特性に即した地域課題の解決が挙げられています。
 県では、地方創生に向け本年度、静岡県まち・ひと・しごと創生県民会議を設置し、産業界、労働界、教育界、国、市町など各界各層の代表者の参加のもと官民が一体となって全県的な人口減少に関する現状や課題、取り組むべき対策などを議論していくこととしています。
 私の地元西部地域についても、国立社会保障・人口問題研究所の調査によると二〇一〇年には八十六万人であった人口が二〇四〇年には七十二万人に減少するといったことも予測されており、若者が定着するような魅力ある地域をつくることが急務であります。県の総合計画後期アクションプランでは、西部地域については世界トップクラスの技術と多彩な文化で最先端をいく躍進都市圏の形成を目指すとし、商業、音楽文化、教育など高次都市機能の充実と新成長分野での産業の創出を図るとともに、浜名湖や森林、天竜川などの多彩な資源を生かすことで新たな価値を生み出し、躍進する拠点地域を創造するとあります。このグランドデザインは県と浜松市、湖西市が連携してつくり上げ同じ方向性を持って施策を展開しているということは否定いたしませんが、今回のまち・ひと・しごと創生法による総合戦略では五カ年戦略の策定、しかもアウトカム指標を原則としたPDCAの仕組みを用いることを前提とするとしていることから一層の具体性が求められることと思います。
 中部地域は政令市静岡市と同一のエリアであり、西部地域もまた六万人の人口の湖西市と八十万人の政令市浜松市の二市で構成されています。政令市は保健、福祉、教育、都市計画、道路管理などの事務事業の権限を有し、県は浜名湖を初めとする河川管理の権限や森林政策、農業政策、産業政策、雇用・労働政策などで地域づくりを進める上で守備範囲が分かれているとも言えますし、産業界、金融界など民間の力も期待する中でいつ、誰が、何を、どのようにやるかを明確にしていく必要があり、お互いに見合ってばかりで計画が絵に描いた餅で終わるようなことがあってはなりません。
 そこで、県においては西部地域についてこうした考えを踏まえ、どのようにして地域づくりを進めていくのか伺います。
 次に、農業振興についてのうち、農地中間管理事業について伺います。
 日本の農業生産額は日本全体のGDPの一%程度であり、ともすれば軽んじられる傾向もありますが、実は農林水産業を合わせた生産額は世界で十指に入る一大産業であり、その潜在力を引き出せば活力を取り戻し大きく成長していく分野であると言われています。
 政府は、競争力のある農業をつくり成長産業化を実現するため農業の規制改革を進めることとしていますが、その第一歩として農地中間管理事業がスタートしました。農地の有効利用や農業経営の効率化を進めるためには担い手への農地の集積・集約化を加速させることが不可欠であり、本県においても平成二十六年三月に県農業振興公社に農地中間管理機構が設置されました。トラクターなどの大型機械は圃場に入って初めて仕事をします。いくら高性能の機械でもあぜ道を走ってばかりでは宝の持ち腐れとなります。つまり一枚の区画が大きいことが理想であり、用排水の管理を含めブロックでまとまっていることが求められます。タイ国を初めて訪問したときのこと、郊外に出ると見渡すばかりの水田で区画は日本よりもはるかに大きく、大型のトラクターやコンバインが作業していました。渡航前には水牛がのんびりと働いているイメージもありましたが、とんでもない。タイ国は世界有数の米の輸出国であることを納得いたしました。近年は米価が低迷し借り手にとりましても一層のコストダウンを図ることが必要とされますが、そのためにも効率よく作業ができる体制を整えることが事業進展の鍵になると考えます。
 お茶やミカンなどの樹園地については、さらに工夫をする必要があると思われます。私の住む地方はミカン栽培が盛んで積極的にミカン園の集積を図る若い農業者も見受けられます。その場合、現状の樹園地をそのまま耕作するよりも畑をフラットにしたり管理道路をつくるなど園地の整備を行った上で高品質な苗木に改植することを視野に入れているようです。園地の整備には貸し手の理解も必要ですし費用もかかります。また水田と異なり、一度改植すれば五年程度の未収益の期間が発生することなどさまざまな課題が見えてまいります。本県では全国的に見れば樹園地の面積が多いことが特徴であることから、このような課題を一つ一つ解決しながら事業が進展することを期待しています。
 そこで、昨年から始まりました本県の農地中間管理事業の進捗状況と今後の進め方について伺います。
 静岡ならではの作物の新品種の育成や生産技術の向上について伺います。
 本県では、温暖な気候や豊かな自然を生かした特徴ある農業が展開され、中でもお茶は全国の三六%の生産額を占めるほかワサビ、ガーベラなどが全国一位であり、ミカンやイチゴ、メロン、花卉類なども日本を代表する産地を形成しています。またこれらの代表的な農作物以外にも果樹では柿、野菜ではトマトや地域特産の野菜など多彩な品目が全国で高い評価を受けています。
 一大産地を形成するに至った理由には、お茶の「やぶきた」やミカンの「青島温州」のように本県の気候風土に適した独自のすぐれた品種の存在が大きく、これらを育成した先人や守り育て続けた産地のたゆまぬ努力のたまものであると考えますし、農芸品と称されるほどの高品質な作物をつくり出すにはさまざまな先進的な技術が取り入れられていることと思います。しかしながら現状に甘んじることなく静岡県の農業を持続的に発展させていくためには、常に品種改良や生産技術を向上させていく努力が求められていると思います。
 ミカンの主力品種である「青島温州」は、近年温暖化の影響もあってかつくりにくくなったとの声があり、イチゴにあっては「女峰」、「章姫」、「紅ほっぺ」、「きらぴ香」などほぼ十年単位で主力品種が変遷しています。トマトは従来、野菜サラダに使うといった認識から高糖度トマトの出現により果物感覚で食べるといった領域にまで広がり、人気の商品となっています。お茶については、静岡茶として他のものと決定的に違う差別化商品をつくるための品種や生産技術があってもよいものだと思います。新品種の開発や高品質に向けての技術開発は消費者の新たなニーズを生み出し生産者の意欲をかき立て農業振興に大きく寄与することから、決して他県におくれをとることなくしっかりと進めてほしいというのが産地の願いでもあります。
 県の経済産業ビジョンでは、新品種や新たな生産技術の開発に重点的に取り組むとしており、農林技術研究所ではオリジナル品種の育成や技術開発に積極的に取り組んでいることは承知しています。
 そこで、農林技術研究所では静岡ならではの特徴ある新品種の育成や生産技術の向上に向けてどのように取り組んでいるのか伺います。
 農業振興についてのうち、農協の役割について伺います。
 かつては食糧増産や農家の生活改善など、また今日では耕作放棄地の増大や担い手不足、農村の多面的機能の衰退など農業・農村を取り巻く環境や問題は時代によって変わってまいりました。
 農協は、それらの課題に向かいつつ、農業生産力の増進と農業者の経済的社会的地位の向上を図るためとする農協法の目的に沿ってこれまで運営されてきました。組合員は出資をした農業者である正組合員と、農業者以外で地区内に住所を有し出資をした準組合員で構成され、現在は全国では正組合員四百六十万人、準組合員が五百三十万人とおよそ一千万人を擁しています。その大部分を占める総合農協では販売、購買、営農指導を初めとし信用、共済事業も手広く展開する組織となっております。近年では多岐にわたる事業を展開する中で、農業や農家のためにあるべき本来の農協の姿と少し違ってきているのではないかとの声もあります。
 政府は、新たな成長戦略として規制改革を挙げ、農業分野においても農家の所得の向上、地域サービスの安定的提供を目的とした農協改革について中央会制度や準組合員の取り扱いなど多くの見直しを検討しているところであり、今国会でも主要なテーマとして取り上げられているところであります。農協改革により真に競争力のある農家が育成できるのか。地域社会の振興に資することのできる農協となるのか。農業者の意見や地域の実情を踏まえての議論に期待するところであります。
 私は、県下の農協がこれまで本県の農業の振興や地域社会の発展に果たしてきた役割は極めて大きいと考えます。私の住む町にも以前は農協の運営する有線放送がありました。通話料が安いことなどで、準組合員を含め高い加入率で町全体をほぼカバーしていました。朝夕の放送時間には行政からのお知らせや各種のイベントの案内、商店街の売り出しや学校、警察からの便りなどもあり、誰でもわかりやすく身近なメディアとして携帯電話やパソコンでは得られない地域の一体感があったのではないかと思います。銀行に行くときには革靴で、農協に行くときは地下足袋で。年金の取り扱いや資材の注文、営農相談がてら地域の情報交換などと気軽に行けて、しかもワンストップサービスができるところとしても大きな役割を果たしてきたと思いますし、今後も農村地域や中山間地にとって組合員、準組合員はもとより地域全体にとって必要不可欠な存在であってほしいと思います。
 県は、農業振興や地域への貢献の観点で農協の果たしてきた役割をどのように評価しているのか。また同時に、農業や地域の振興を責務とする県にあって、今後農協に対してどのようなことを期待するのか伺います。
 次に、県産食品の輸出促進に向けたHACCPの普及について伺います。
 本県は四百三十九品目に及ぶ食材の宝庫であり、農産物、水産食品など多くの特産品がありますが、その中でも冷凍マグロや冷凍カツオを初めとした水産食品を中心にこれまで輸出を積み重ねた実績があります。
 我が国で生産加工された食品を海外に輸出する場合、相手国との二国間で安全確保の観点から国や自治体による施設認定や衛生証明書の発行などの衛生要件が定められていると聞いております。このような状況下、昨今では欧米諸国を中心に食品の輸出に必要な衛生要件の中に製造工程ごとに危害を分析し衛生管理を行う、いわゆるHACCPを取り入れた衛生管理を求める動きが広がりを見せております。HACCPとは米国NASAの有人宇宙飛行計画における宇宙食開発の中で生み出された管理手法が原型とされ、日本でも一九八〇年代になったころからこの食品の管理方法が注目され始めました。具体的には施設・設備の衛生管理や保持点検、ネズミや害虫などの防除、使用水、排水、廃棄物の衛生管理、従業者の衛生管理や教育など十の項目について管理計画を確立した上で、自社製品にどのような危害が発生し得るのか、防止するにはどの点を重点的に管理するのかを決めて取り組む手法であります。
 従来の品質検査は完成品からの抜き取り検査が主流でしたが、この方法では抜き出したサンプルがたまたま問題がなかったということも考えられ安全の確保が完全とは言えないのに対し、HACCPの場合、製造工程内で安全を確保していくもので結果として完成した全ての製品の安全が保証されることにつながります。食品に異物が混入していたといったことなどが時折話題になりますが、この手法を取り入れることにより大幅に改善できることと思われますし信頼の醸成にもつながることと思われます。和食がユネスコ無形文化遺産に登録された追い風を受けて、食品の輸出拡大を目指す我が国や本県にとりましては高品質と並び安全を売りにすべきで、そのためにもHACCPの普及は大変重要になってきております。
 そこで、県産食品の輸出拡大のためにはより一層のHACCPの普及が必要と考えますが、県は今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 最後に、ふじのくに県議団の会派から一言お礼を申し上げます。
 この三月三十一日をもって退職される職員の方々は、知事部局で百八十五名、教育委員会で七百十三名、警察本部で百八十五名、合わせて千八十三名と伺っております。退職される皆さんは、長年にわたり県の発展と県民福祉の向上、県民の安全確保や教育の向上などに向けて強い使命感を持って御尽力されてこられましたことに心からの敬意と感謝を申し上げます。入庁から今日まで必ずしも平坦な道のりばかりではなかったとも存じますが、それらも全て乗り越え、みずからの仕事をなし遂げた達成感を今はお持ちになっているのではないでしょうか。
 退職後も後進を御指導くださることをお願い申し上げますとともに、健康に留意され、職務を通じて培われた豊かな経験と見識を生かし、これから始まる第二の人生に向けますます御活躍されますことを祈念申し上げまして私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(多家一彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 野澤議員にお答えいたします。
 まずは、この三月三十一日をもって退職する本県職員一千人余に対しまして、温かいねぎらいの言葉とお励ましの言葉をいただきまして恐縮でございます。ありがとうございました。
 さて、御質問のうち、地方創生の中の東京一極集中の是正についてであります。
 静岡県は、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくり、ポスト東京時代の日本の理想郷を創ると、これを県政運営の基本理念に掲げております。これはまさに野澤議員御指摘のとおり、現在の東京一極集中が我が国の危機的状況を招いていることに鑑み進められている地方創生と趣旨を同じくするものであり、また国に先駆けての取り組みであります。
 ふじのくにづくりの軸は富士山であります。富士山は東京にありません。この富士山との調和を大事にすることのできるのが静岡県であり、また山梨県でもあります。同時にふじのくにというのは静岡県のアイデンティティーであるにとどまらず、富士山が日本の国土の統合のシンボルであることから日本の国の別称、あるいは尊称と言っていいものと存じます。その意味で、本県におけるふじのくにづくりは日本のモデルをつくるという志に根差しているものであります。
 議員御提案の、東京との差別化が図られるよう、なかんずく自然との調和が大切であるというお考えに私は全面的に賛成し共感するものであります。本県は東京にはない豊かな自然、美しい景観を初め豊富で多彩な食を育む大地、人と人とのきずな、郷土への誇りや愛着を育む伝統文化など地域に根差した場の力と調和した美しく品格のある社会の創造を目指しております。
 調和の和というのは、つい先ごろになりまして、中国のほうでも調和という意味を和諧、ごんべんに皆と書いた字を使いまして同じ意味で和諧社会をつくるということを目指されていると。さらにまた韓国の国旗も易経の陰陽の和した形を掲げております。日本は既に七世紀の初めから和をもってとうとしとするという十七条の憲法の冒頭にうたわれている聖徳太子以来の伝統があります。そしてまた富士山というのは世界で唯一のものでありますと同時に、日本全国に富士山の名を冠した山々は三百四十余りございますけれども、どれ一つとして同じものはありません。したがって、自然との調和というのはそれぞれの地域における自然とそれぞれの地域社会が調和するということで、それは同時に多様性の和という和でございます。まさに大いなる和であると。そういう意味における和を大事にする。大いなる和――大和と書けば、訓読みすればこれはやまと、日本のことであります。まさに調和のこの和というのは日本の根幹を成す、価値に立脚することであるというふうに存じます。
 さて、そのような日本らしい、そして本県らしい社会の実現に向けまして本県の持っている場の力を正確に認識する必要がありますけれども、本県には世界クラスの地域資産が多数ございます。この一年半余りの間に平成二十五年で三件、平成二十六年に九件、ことし認定されるものを含めますと十六を優に超すであろう世界遺産がございます。そのうちの幾つか、例えば世界遺産富士山、世界農業遺産の茶草場、ユネスコエコパークの南アルプス、世界ジオパークを目指す伊豆半島、世界文化遺産候補の韮山反射炉、ユネスコ創造都市浜松、かんがい施設遺産の深良用水等々でございます。こうした世界クラスの本県の魅力を生かし、国内外の憧れを呼ぶ地域づくりを推進してまいります。
 そしてまた、静岡県は現在、花の都づくり、茶の都づくり、食の都づくりをしておりますけれども、これは食材についても茶の質、量におきましても花の品目数においても日本一の農芸大国であるという現実に根差した地域づくりであります。しかも例えば食材につきましては、野澤議員御自身が手入れされておられるネーブルなどは皇室献上品になるほどの高い品質を誇るものでございます。
 そうした農芸大国としての地域づくりを進めると同時に、防災・減災と地域成長の両立を目指す内陸のフロンティアを拓く取り組み、森の防潮堤整備など美しさ、強さ、しなやかさ、この三点セットをあわせ持った安全・安心な地域づくり。大都市圏では体験できない生活と自然が調和した暮らし空間の創出など本県が日本の中心であるという自覚のもとに全国のモデルとなる取り組みを推進してまいります。
 また、子育てはとうとい仕事であるという理念の普及や教育における地方創生の推進、健康長寿日本一の延伸、誰もが能力を発揮し活躍できる雇用の場の創出など人を大切にし、県民の皆様が将来に夢や希望を持つことのできる魅力あふれた地域づくりを推進してまいります。
 富士山を仰ぎ見る、この美しい静岡の大地にポスト東京時代の日本の理想郷を築くべく、全力で邁進してまいります。
 次に、西部地域の特性を生かした地域づくりについてであります。
 静岡県では、地域固有の課題の共有やその解決に向けて私と市長さん、町長さんが直接意見交換を行う地域サミットや、県、市町の企画担当部局間で開催する地域政策会議などを通じて互いの施策の方向性を共有しつつ、また認識を共有して連携協働して地域づくりをする、そのような取り組みをしております。
 西部地域におきましては、東海道のオアシスである浜名湖、この浜名湖を初めとする自然環境や徳川家康公ゆかりの歴史や文化など個性豊かな地域資源を生かして、二〇一六年――来年に我が国で行われる主要国首脳会議――サミットの浜名湖での開催を目指しております。目下、浜松市と連携協力のもと全県を挙げて誘致に取り組んでいるところであります。
 また、喫緊の課題でございます人口減少の克服に向けて、来年度県、市に加え地域のさまざまな機関・団体等の皆様にも御参加いただきまして地域会議を設置いたします。この地域会議では西部地域の人口減少の現状や課題を踏まえた上で地域の特性を生かした施策の方向性等を明らかにし、市が行う地方創生に向けた地方版総合戦略の策定を支援いたします。今後とも県と浜松市、湖西市が相互に緊密な連携を図りながら、おのおのの総合戦略に掲げた地方創生の取り組みをスピード感を持って着実に推進することで、西部地域が人口減少下におきましてもヒト、モノ、情報が行き交う活気にあふれた躍進都市圏となるよう地域づくりを進めてまいります。
 そしてまた、浜松市、湖西市がお隣の豊橋などの東三河圏、さらに飯田などの長野県南部と進めておられます三遠南信の広域地域圏づくりにも協力をし、支援してまいりたいと思っております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(多家一彦君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 地方創生についてのうち、少子化対策についてお答えいたします。
 県では、分娩に係る周産期の医療体制につきまして、正常分娩を担う初期医療からハイリスク妊婦等に対応する二次医療や集中治療など高度な医療を提供する三次医療まで、医療施設の役割分担と連携により安心して子供を産み育てられる環境の整備を進めてまいりました。
 また、医師不足が心配される産科医を確保するため、全国最大規模となる医学修学研修資金の活用を初め医師に分娩手当等を支給する医療施設への助成や、若手産科医の就業継続と女性産科医の復職への支援を行うなど産科医の勤務環境の改善を行い、医師にとって産科がやりがいと魅力を感じる職場となるよう取り組んでおります。
 来年度からは、新たな取り組みとして産婦人科医会の御協力を得て作成する妊娠と分娩に関するガイドブックなどを活用し、県民の皆様の産科医療に対する理解促進を図り不安解消につなげることとしております。分娩を取り扱う病院や診療所の新設等に対しましては、市町と連携して新たに助成制度を設けるなど地域の産科医療体制を充実させ、身近な地域で安心して子供を産めるよう取り組んでまいります。
 県といたしましては、引き続き市町を初め医療機関や関係団体等と連携して県民の皆様の御理解をいただきながら分娩に係る医療体制の充実と強化に努め、合計特殊出生率二の達成を目指してまいります。
 次に、県産食品の輸出促進に向けたHACCPの普及についてであります。
 本県では、県産食品が安全で安心な食品としていつでもどこでも提供されるため、消費者の食に対する信頼と生産から流通や消費における食品の安全の確保に取り組んでおり、HACCPによる食品衛生管理はそのための有効な手段であると認識しております。本県におけるHACCPの普及は、食品衛生法に基づくHACCP承認施設は三十三施設となり全国都道府県の中で第二位となっております。また県食品衛生協会と連携して進める静岡県ミニHACCP承認制度は、百四十施設が協会長の承認を取得するなどHACCPの普及による食品衛生管理の徹底に努めているところであります。
 県産食品を初め食品を輸出するに当たっては、HACCP管理により食品が製造された証明を必要とする国はふえており、HACCPによる食品の衛生管理は必須要件となりつつあります。
 このため、県では食品衛生法施行条例の管理運営基準に新たにHACCP導入型基準を追加し、食品の安全性確保と輸出促進を目指すための条例改正を今議会でお諮りするなど一層の普及に努めているところであります。
 県といたしましては、新しい条例のもと、平成二十七年度は約八千人を対象とした講習会の開催や食品衛生監視員による施設ごとのきめ細かな技術的支援を行うなど企業におけるHACCP導入の啓発や推進に努め、県産食品の輸出促進の支援に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 土屋経済産業部長。
       (経済産業部長 土屋優行君登壇)
○経済産業部長(土屋優行君) 農業振興についてのうち、農地中間管理事業についてお答えいたします。
 意欲ある農業者等に農地を集積するために県が指定した農地中間管理機構は、本年中に約八十ヘクタールの農地を借り受けることとしており、このうち吉田町や袋井市などにおいて新規就農者や農業生産法人などの担い手に十四ヘクタールを貸し付けたところであります。
 機構では、今後とも積極的に農地の借り受けと貸し付けを進めていくこととしており、五月には掛川市で四十一・八ヘクタールの水田を、六月には磐田市で四・七ヘクタールの畑を担い手に集積する予定であります。さらに浜松市では水田の畦畔除去による大区画化や用水路の整備等の基盤整備にあわせた担い手への集積も計画されております。
 議員御指摘のとおり、樹園地においては作物が作付けられた状態での貸借となることや傾斜地が多いことなどこれまで集積が進んでおりませんでしたが、五月には静岡市で十二・五ヘクタールのミカン園の集積が予定されるなど具体的な動きが見られております。このような動きを加速するため改植や未収益期間への支援、作業道整備など農地中間管理事業以外の施策も組み合わせて集積を進めてまいります。
 県といたしましては、機構、市町、JAなど関係機関と連携し農地の貸し手と担い手の話し合いを進め、必要に応じて基盤整備事業等も活用しながら農地中間管理事業を推進し農地の有効利用や農業経営の効率化を図ってまいります。
 次に、静岡ならではの作物の新品種の育成や生産技術の向上についてであります。
 本県農業の優位性を確保していくためには、ブランド力強化につながる新たな品種の開発や低コスト化、高品質化等の生産技術の開発が重要であると考えております。これまで県では日本酒製造用の酒米「誉富士」やイチゴの「紅ほっぺ」、ラベンダーの香りのするマーガレットの「風恋香」、収量が多く上品な香りのお茶「しずかおり」など、さまざまな品種を開発してまいりました。
 昨年八月には、光沢がすぐれ上品な香りのイチゴ「きらぴ香」の品種登録を出願するとともに、現地での試験栽培を始めたところであります。このほか生育が早く辛みと甘みのバランスがよいワサビ、あるいは「青島温州」より収穫適期が一カ月以上遅く収穫作業が分散できる温州ミカンなど本県ならではの新品種の開発を進めております。
 また、温室内の野菜や花卉の周りを断熱資材で囲って暖房費を約五〇%削減する省エネ技術や、冬場の乾いた田んぼに水稲の種を直まきする省力栽培技術などの実用化等を進めてきたところであり、現在は大規模経営を可能にするタマネギやレタス栽培の機械化、LEDの光を使ってミカンの腐敗を抑制する貯蔵庫の開発などにも取り組んでおります。
 今後も、新品種の育成や生産技術の開発を積極的に進め、消費者の求める多彩で高品質な農産物の生産を実現して産地や生産者の期待に応えてまいります。
 次に、農協の役割についてであります。
 県内の農協は、営農指導や販売促進、新規就農者の育成などを通じて野菜や果物など食材では三百三十九品目、花卉では七百四品目の多彩な農芸品の生産を支え、地域農業の振興において重要な役割を担っております。また中山間地域におきましては茶など特産品の生産振興はもちろん、地域に密着した金融、共済、購買、介護などのさまざまな事業を展開することにより、地域住民の生活基盤を支えてきたものと認識しております。
 本県JAグループでは、こうした農業振興や地域活性化の取り組みの強化を図るため本年一月に静岡県JAグループ自己改革実践計画大綱を取りまとめ、産地力の維持向上に向けて経営支援による生産部会の組織強化と生産者の育成を行うとともに、地元商工関係者等との連携による六次産業化や輸出戦略の実践など新たな販売対策に取り組み、組合員の農業所得の向上を目指すこととしております。
 県といたしましては、各農協が大綱に基づき農業者の意見や地域の実情を踏まえた独自の自己改革を着実に推進し、組合員の農業所得の向上と地域が必要とするサービスの安定的提供を実現することを期待するとともに、農協と連携して攻めの農業を展開してまいります。以上であります。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

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