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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中谷 多加二 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/30/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 林業振興について
 (1) 木材生産の増大に向けた取り組みと木材資源利用の機運の醸成
 (2) 森林・林業施策を推進するための執行体制のあり方
 (3) 県産材の活用
2 鳥獣被害対策の取り組みについて
3 新エネルギー対策の推進体制について
4 天竜浜名湖鉄道の利活用の促進について
5 急速に進む高齢化への対応について
6 天竜地区新構想高校の教育について



    ○副議長(鈴木洋佑君) これで小長井由雄君の質問は終わりました。
     次に、六十五番 中谷多加二君。
           (六十五番 中谷多加二君登壇 拍手)
    ○六十五番(中谷多加二君) 午後のひととき、東北地方の被災地の早期復興を願いつつ質問に入ります。
     初めに、林業振興についてのうち、木材生産の増大に向けた取り組みと木材資源利用の機運の醸成について伺います。
     静岡県の杉、ヒノキの民有林は、主に戦後、先人たちが営々と築き上げ約二十二万ヘクタール、六千五百万立方メートルの蓄積を有するまでに成長してきており、この蓄積量は平均的な戸建て木造住宅に換算すると約百万戸分に相当する木材量になります。しかも利用可能な成木となった森林が八割を超えており、この木材資源を積極的に活用していく時期であり、その必要があると考えております。
     本年二月に策定した静岡県新総合計画では、木材生産量を平成二十一年の二十七万立方メートルから、平成二十五年には四十五万立方メートルに増産するという目標を掲げており時宜を得た計画ではありますが、実現されてこそ評価されるものと考えます。
     そのためには、まず木材の利用先をしっかり確保していくことが大きな課題であります。このため、県として地元の製材工場が木材乾燥機を整備したり、JAS規格の取得など製品の需要を開拓しながら規模の拡大を図っていく取り組みや、地元の関係者が新たな木材加工工場を建設する取り組みなどを支援し木材の需要を拡大していく必要があります。このような取り組みに加え、全国を見れば大型の加工工場が大量の木材を使って合板や集成材を製造しており、これらの大規模サプライチェーンを活用して新たな需要先の開拓を図っていくことも必要であると考えています。そのためにも両者にとって十分な量の木材を安定的に供給していく体制を早急に確立していくとともに、充実した森林資源を有効に活用していくために県民への木材資源活用、木使いの機運をさらに醸成することが重要であります。
     そこで県では、木材を安定供給する生産の仕組みと木を使う機運の醸成をどのように進めていくのか伺います。
     次に、森林・林業施策を推進するための執行体制のあり方について伺います。
     国では、十年後の木材自給率五〇%以上を目指す森林・林業再生プラン実現のため、平成二十二年十一月には「森林・林業の再生に向けた改革の姿」を発表しました。それを受け、ことし四月末には木材資源の活用を前面に打ち出した森林法の一部改正法を公布するなど、森林・林業を取り巻く情勢は大きく動いています。この一部改正法の中には「森林の土地の所有者となった旨の届け出」があり、これは「すべての山林の所有者の届け出が必要」となっていましたが、自民党による修正で「新たに森林の土地の所有者となった者に届け出義務を課す」という、現在問題化している新たな外国資本等による山林の買収を認識できる制度に修正したものであり、当初膨大な事務量を懸念した全国自治体は胸をなでおろしたことだろうと思います。また県では新総合計画において、県産材の需要と供給の一体的な創造を進めることとしており、川上では丸太の低コストで安定的な供給体制を確保するための計画的木材生産の促進、森林技術者の育成確保、川下では県産材の流通改革や利用拡大など相互に関連した多くの課題を抱えています。
     こうした中、県の執行体制は森林整備や木材生産部門は交通基盤部、木材の流通や加工及び利用部門は経済産業部となっています。具体的には、林道、作業道などの整備を行い利用間伐を進める部局と、そこから伐採された丸太の加工、製材と利用を担当する部局が基盤整備と産業振興のそれぞれの視点から施策の立案や予算配分などを行うことになり、さらには常任委員会の審議も別々に行っているのが現状です。このような状況は一つに森林・林業部門だけでなく、農業部門、水産業部門にも当てはまり会派の同僚議員からも多くの心配する声が聞かれるのであります。
     私は、知事の推し進める県産材の活用策を確実に実行するためにも、森林・林業を統合した役割を持つ部局などが必要と考えています。昨年暮れにも榛村県森連会長、杉山県木連会長ほか関係団体の役員の皆様とともに知事に直接組織の再編要望も行いました。まだ願いはかなっておりませんが……。県産材利用の機運が高まっている中、林業の振興を推進するためには、森林・林業施策の立案、決定や予算の計上などの意思決定を総合的にスピード感を持って行うことが重要です。川上から川下まで一体となった新たな仕組みの構築など部門横断的な喫緊の課題に対応するため、県はどのように森林・林業施策を進めていくのか伺います。
     次に、県産材の活用についてです。
     総合計画の目標に掲げるとおり木材生産量を四十五万立方メートルまで増産したときには、同時にそれに見合う県産材の需要を確保しなければなりません。統計をひもとけば県内の製材工場などに約二十七万立方メートルの県産材を供給し、主に県内の住宅建築用の材料などとして使われています。ということは、新たに需要の確保が必要な量は十八万立方メートルとなります。この十八万立方メートルの需要をどのように創出するかが木材生産を増産するときの大きな課題であります。そのような中、平成二十一年度から県産材合板や、合板と同じ薄い板を積み重ねたLVLを供給する仕組みがつくられ、それらの強度などを試験した結果、外国産材などを上回る数値を示していると聞きます。県産材合板やLVLは、住宅メーカーなどから性能がすぐれているとの評価を得て、外国産材が独占してきたツーバイフォー住宅の分野で県産材の利用が始まりました。県産材合板やLVLの供給量はまだ数千立方メートルと少ないのですが、在来軸組み工法の住宅での利用も期待できるので今後需要はふえていくものと思われます。一方、県産材の主な供給先である新設住宅着工戸数は年間百二十万戸の時代は終わりを告げ、ここ四年連続して減少し八十万戸を割ろうとしています。既存の住宅ストック数や少子化の流れを考えると、今後新設住宅着工戸数がふえるとは思われません。そこで、ツーバイフォー住宅に県産材が使われ始めたように外国産材のシェアに県産材がもっと食い込む必要があります。
     伊万里の大手木材会社は主にB材と呼ばれる曲がった丸太からラミナを製造し、その過程でチップも生産されています。県内の三つの県森連共販所の総取扱量では価値の高いA材は八八%、ラミナや合板にするB材は九%、チップ用のC材は三%になっています。目標とする四十五万立方メートルを生産したとしても、生産されるB材は四万一千立方メートルで大手木材会社の需要にはとてもこたえられません。勢い、価値の高いA材をB材の価格で販売するということになり、県産丸太の相対的価格は今以上に下がってしまうという危惧を持っています。大手木材会社の本県への進出を否定するものではありませんが、こうした会社が必要とするB材だけを選択して生産することは不可能であり、これまで林業を支えてきたA材の有効活用を考えていかなければ林業による所得は依然としてわずかで到底生活できるレベルではなく、森林を伐採する意欲はわきません。全国には山林所得を上げる幾つかの成功例が散見されるようになってきました。本県でも、さらなる研究、試行が求められています。さらに、住宅分野以外の分野でも県産材活用の幅を広げる必要もあります。
     そこで、新たな県産材の需要を創出するため、今後どのような分野で県産材の活用を考えているのか、所見を伺います。
     次に、鳥獣被害対策の取り組みについて伺います。
     浜松市天竜区では茶やシイタケなどを中心とした中山間地域の特色を生かした農林業が営まれ、地域ブランドとして自慢できる高品質な農林産物が生産をされております。しかし、近年野生鳥獣による農林産物への被害が急増し、平成二十二年度では浜松市全体での被害金額は六千七百万円余で、天竜区でも多くの被害が発生をしています。鳥獣被害は直接的に農業経営に影響するばかりではなく、農林業者の生産意欲の減退にもつながっています。また美しい景観や豊かな水の供給源となっている自然環境の破壊にもつながっていると考えています。このように野生鳥獣による被害は中山間地域での生活の基盤に重大な影響を及ぼすものとなっており、天竜地域のみならず安倍川上流地域、大井川上流地域も同様の状況が見られ早急な対策が求められます。
     シカについては、伊豆地域から富士山ろくにかけて、被害対策も徐々にではありますが進められつつあります。イノシシについては農林産物への被害が多く、捕獲は有効な対策であると考えていますが、狩猟者は全体的には年々減少傾向にあり、特に銃による狩猟者が減少してきており狩猟チームを組めないために、わな猟の免許を取得した私の知り合いも多数おります。一方では農林業者のわな猟免許取得が増加傾向にもあります。私もことし二月難関を突破し、仲間数人とともにわな猟免許を取得しました。昨年行われたわな猟の講習受講者は県下で四百七十三人。一昨年より百人ほど増加し、中には初老の夫婦や若い女性の姿も見られるなど住民の自分たちで地域を守るという意識の芽生えが大いに感じられました。
     そこで、わな猟免許を取得した人の協力を得ながら、集落を中心に新たな鳥獣被害対策に取り組む必要があると考えますが、県の所見を伺います。
     また、捕獲した獣肉の加工処理等も今後の課題になってくると考えます。今月の初め、浜松大学の川上栄子講師が中心となって学生とともにシカ肉料理のメニューを幾つか考案し、試食会を催しました。「特にマーマレード煮などは絶品だった。酒飲みの皆さんには欠かせない逸品だ。晩酌のお供にぜひ」と試食に参加された方は太鼓判を押していました。ぜひ召し上がってください。このように捕獲、加工処理、販売、調理という一つのサイクルが求められることも、この鳥獣被害対策を実行するに当たっての大きな課題だということも申し上げておきます。
     次に、新エネルギー対策の推進体制について伺います。
     このたびの福島第一原子力発電所の事故や浜岡原子力発電所の運転停止を受け、県内では節電のためのさまざまな取り組みが進められているところであります。こうした節電対策とあわせ、将来を見据えた取り組みとして、枯渇することのない新エネルギーをできる限り導入していくことが重要であると考えております。本県においても、本年三月にふじのくに新エネルギー等導入倍増プランを策定し、新エネルギー等の導入施策が取りまとめられたところでありますが、新エネルギーの導入促進にかかわる業務については、温室効果ガス排出量の削減という観点からくらし・環境部が所管しており、新エネルギー関連の研究開発支援や企業誘致等については産業振興の観点から経済産業部が所管するなど、この分野でも複数の部局にまたがっている状況にあります。原子力発電の事故に端を発した今回の電力需給の逼迫を時代の大きな節目としてとらえ、県においても中長期的な課題への対応も含め、以前県庁内に設置されていた資源エネルギー課のように、新エネルギー対策を総括的に推進していくことが必要であると考えております。
     今議会にも幾つかのエネルギー関連事業の補正予算が各部から上程をされています。そこで、東日本大震災以降の状況変化により新たな電力の確保が急務となる中、今後どのように新エネルギー対策を推進していくのか県の考えを伺います。
     次に、天竜浜名湖鉄道の利活用の促進について伺います。
     天竜浜名湖鉄道は通勤や通学といった沿線住民の生活路線として、また北遠地域や奥浜名湖などの観光路線として大変重要な役割を果たしており、今後期待される交流人口の増大に伴い西部地域の六市町をつなぐ交通ネットワークの一部として、その果たす役割はますます高まることが期待されます。このような中で、天竜浜名湖鉄道株式会社では遠州鉄道出身の名倉社長の指揮のもと利用者増加のためのさまざまな取り組みを実施しております。特に遠州鉄道やJR東海と連携したフリー切符やビール列車、地酒列車、かたりべ列車、そして文化財列車などの各種イベント列車は大変好評を博しております。天浜線全線にわたる鉄道施設がこのたび国の登録有形文化財に登録されるなど誘客を後押しする要素も加わりました。また、乗務員等の業務体制の見直しなどの経費の節減努力によって、平成二十年十二月に策定した平成二十一年度から二十五年度までの五カ年の経営計画を着実に進めていると伺っており、二十二年度の実績では当期損益が前年に引き続き黒字になるなど具体的な成果も見えてきました。
     県はこれまでも会社や沿線市町と連携して、さまざまな天竜浜名湖鉄道の利活用対策を講じていますが、県西部の六市町をつなぐ生活交通であり観光交流の貴重な財産である天竜浜名湖鉄道の利活用促進について今後どのように取り組んでいくのか伺います。
     また、県との人的かかわりが薄れる中で、今後、地域に根ざした交通機関として末長く存続していけるようにするためには鉄道事業の専門家の経営手腕に頼るだけではなく、県や沿線自治体が人件費等の取り扱いにおいて工夫すべき点もありますが、職員の派遣等により主体的に鉄道の経営に参画していく必要があると考えますが、所見を伺います。
     また、平成二十五年度までは遠州鉄道株式会社が支援をしてくれますが、平成二十六年度からの経営をどのようにしていくのか見通しが立っていません。五年間で十二億五千万円を県初め沿線自治体で支援していく方針は評価されてしかるべきですが、金銭的な部分のみでは天竜浜名湖鉄道の先行きは不透明です。五カ年計画の中間点を迎える、ことしから検討していくべきと考えますが、あわせて所見を伺います。
     次に、急速に進む高齢化への対応について伺います。
     去る六月二日に平成二十三年四月一日現在の高齢化率が発表されました。これによると県内の六十五歳以上の高齢者は約八十九万五千人となり、高齢化率は昨年度から〇・三ポイント上昇し二三・三%となりました。三〇%を超える市町は伊豆半島を中心に十市町あり、県内で最も高いところでは四〇%を超えています。ことし四月一日の天竜区の統計では浜松市佐久間町五〇・五%、龍山町では五一・三%であります。天竜区だけを見れば高齢化率が三七・一%という状態でもあります。右を向いてもお年寄り、左を向いてもお年寄り、それでも頑張る天竜区。
     ここまでの高齢化は県全体では起こらないであろうと言われていますが、国立社会保障・人口問題研究所によりますと、十年後の平成三十二年には高齢化率が三〇%を超え、二十年後の平成四十二年には県民の三人に一人が高齢者の時代が来ると予測されています。静岡県は自然環境にも恵まれ、産業も多く日本一の項目が二百を超えるなど、全国の中でも活力のある県であります。この活力をこれからも維持し、さらに発展していくことが必要であると考えます。これには高齢化の進行にどのように取り組んでいくのかが大きな課題であり、県として高齢者が地域で安心して生きがいを持って暮らすことができるよう将来に向けて計画的に高齢化への対策を進めていくことが求められます。特に団塊の世代が高齢期を迎えつつある現在、近い将来の急速な高齢化の進行に対して早急に対応を検討していくことは待ったなしの状況であると考えますが、県の所見を伺います。
     次に、天竜地区新構想高校の教育についてであります。
     再編整備によって新たに設置される天竜地区新構想高校は平成二十六年度の開校を目途とし、準備が進められております。新構想高校における設置学科については、仮称天竜校舎で総合学科と林業科、また仮称春野校舎では普通科とのことであり、現在は中学生の幅広いニーズに対応できるような教育の内容について具体的な検討を進めていると聞いております。その中でそれぞれの学校がこれまで培ってきた伝統は継承されるというものの、学校は地域コミュニティーの核であり最も身近な公共施設であるため、地域に与える影響は大きいものであると感じております。新構想高校では、どのような人材を育成するのか、どのような魅力化を図っていくのか、地域住民には期待と不安が交差していることも事実であります。またこの天竜区は県内有数の木材の産地でもあり、新構想高校では県内唯一である林業科が発展的に継承され、今後の地域の活性化が期待されているところであります。新構想高校は近隣の小中学校とも密接な関係にあると感じており、地域における教育機関としての位置づけも重要な要素であります。特に、この地における高校としては小学校の低学年時から木材利用による環境負荷低減や森林の保全、木の文化の継承などについて学習するきっかけをつくっていくことも必要であります。
     現在の天竜林業高校で所有している学びの森である大沢演習林は、その広さが約三十一万五千平方メートルあり実習棟も備えております。ここを小中学校に開放するなど活用を図っていくことも一つの方法としては有効であると思います。
     そこで、具体的な検討を進めている中で、新構想高校と地域とのつながりについては、どのような考え方で検討がなされているのか、また演習林の今後の活用方法について所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 中谷議員にお答えいたします。
     御質問の全般、大半が林業振興についてのお話でございましたが、林業振興にかける議員の熱い思い、同じ思いでおります。
     そこで初めに、林業振興についてのうち、木材生産の増大に向けた取り組みと木材資源利用の機運の醸成についてお答え申し上げます。
     国有林を除く静岡県の民有林のうち約九割の森林が個人や会社などが所有する私有林でございます。民間の森でございます。そして三ヘクタール未満の小規模所有者が五五%を占めております。言いかえますと、分散をしている森林が多いというのが県における実態でございます。したがいまして、総合計画の目標を達成するためには、これらを集約しなければなりません。それができるかどうかに、これからの林業振興がかかっていると言っても過言ではないと存じます。その集約化の上で計画的かつ効率的に木材生産が行われるものであると考えております。このためこの四月に森林法が改正されましたが、その森林法に基づきまして集約化を前提とした森林経営計画の作成を支援してまいりたいと存じます。国の支援制度なども大いに活用いたしまして、計画に沿った利用間伐を推進するなど持続可能な森林経営による木材の増産体制を整備してまいります。
     また、従来からの木材供給の流れに加えまして、大型工場への新しい流通システムによる安定的な供給の流れをも構築したいと考えております。なるほど本県における木材は八八%が、ほぼすべてがA材であると。したがいまして有志の先生方と御一緒に伊万里にまいりましたけれども、あの伊万里における木材工場はB材、C材。これを中心にした集成材の工場でございました。本県におきましては、そうしたB材というものがほとんどないということでございます。しかし一方で間伐されて出る材もございますので、そうしたものを活用するならば必ずしもA材をB材として提供するというようなこともないというそのような可能性もございまして、私としましては従来の流通ルートにかえた、思い切った外圧といいますか、外的ショックをもここに入れ込みたいと考えております。また、静岡県森林組合連合会が配置なさいました原木供給コーディネーターの活動を積極的に支援いたしまして、増産された木材の供給に見合う新しい需要の開拓に努めてまいります。
     県といたしましては、こうした取り組みによって木材の生産と流通の効率化を促進、加速いたしたいと考えております。そして、林業関係者に今停滞気味の生産意欲の向上を図ってまいりたいと考えております。
     こうした中、来年秋には第三十六回全国育樹祭が開催される予定でございます。恐らく皇太子殿下をお迎えしながら、このイベントをすることができると期待しておりますけれども、このイベントなどを通じまして森林資源の有効活用に向けたステッピング・ストーンにしたい。そしてそうした機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。
     次に、県産材の活用についてでございます。
     戦後植林いたしました杉、ヒノキは年々成長いたしまして、そのほとんどが木材として活用できる林齢――木の樹齢になっております。中には直径三十センチを超える大きな直径を持った材――大径材もふえてまいりました。そして、現在、新興国、中国を初めとした地域が出てまいりまして外材への競争も厳しくなってきた中で平成十年代の後半から飛躍的に国産材の需要がふえております。追い風が吹いているというふうに思っております。こうした中で住宅一棟当たりの木材使用量の三分の一を占めるに至りました。これまでは外国産材の使用がその九割を占めておりましたはりやけたにも県産材が十分に活用できる状況になっております。
     県では、今年度から県産材を使った木造住宅の助成棟数を一千百棟に大幅に増加させました。これによりまして、はりやけたを含む住宅部材への県産材の利用の拡大が図れるものと期待しております。また、今後新設住宅戸数が減少する中、増加が見込まれますのはリフォームでございます。そのリフォームで使用される県産材利用に対しても、新たに助成対象といたしました。さらに公共部門における県産材の利用を拡大してまいります。東部コンベンションセンターあるいは草薙体育館などのシンボル性の高い公共施設、そしてまた新東名高速道路の遮音壁などに加えまして、私立の学校や社会福祉施設などにも積極的な利用を働きかけてまいります。
     県といたしましては、こうした取り組みに加えまして最近では木材を重ね合わせまして大きな断面の構造材として使う接着重ね梁――大きな柱を二つ接着すると。こうしたことが本県の林業研究センターで開発されまして、こうした新しい製品や技術の開発にも積極的に取り組んでまいります。こうしたことによりまして本格的な活用の時代を迎えていると私は見ておりますこの静岡県の木材資源を幅広い用途に活用し、新しい県産材の需要を創出してまいりたい。
     今、津波の影響もあり、人々の目が内陸の方向に向かいつつある。そしてまた、東京におきましても、森やあるいは緑への回帰が始まっております。こうしたことを追い風にいたしまして、本県におきましてもこれまで使われることをじっと我慢して待っていた銘木たちを、我々、新しい組織のもとに、必ずしも競合しない形で外からの空気も入れまして、本県のたくさん分散しているものを一つに集約し計画的に使い、それに見合った需要を起こしてまいるというそういう運動をつくり上げてまいりたいと思っております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 林業振興についてのうち、森林・林業施策を推進するための執行体制のあり方についてお答えいたします。
     森林は県土の保全、水源の涵養、木材生産、地球温暖化防止など県民の生活に欠かすことのできないさまざまな機能を有しており、これらを高度に発揮させるためには総合的に施策を実施する必要があります。このため、県では静岡県森林と県民の共生に関する条例に基づき、森林・林業に関する県民共通の目標となる県森林共生基本計画を策定し、あわせて県森林共生白書を毎年作成しております。これを活用して施策の評価を行いまして、その結果を次年度の施策の見直しに反映させております。
     また、個々の事業の実施に当たりましては、森林・林業の関係三部局――交通基盤部、経済産業部、くらし・環境部でございますが――この部局による定期的な連絡調整会議を毎月定期的に開催し、また細かく随時調整をしてございます。これを開催し、情報の共有や課題の解決、合意形成などを図っております。
     さらに、充実した本県の森林資源の活用促進や新たな木材供給の流れの構築など喫緊の課題の解決に向け、関係部局の連携を一層強化する必要があります。このため、本年度、部局横断的に関連業務を総括します森林・林業連携担当の理事――部長職でございますが――これを交通基盤部に新たに設置しまして縦割り行政ではなく、一元的な体制のもと施策の戦略的な展開を図り県産材の需要と供給の一体的な創造に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 鳥獣被害対策の取り組みについてお答えいたします。
     鳥獣被害対策は被害現場に最も近い市町が農林水産業被害対策の中心となり、生活の基盤となる集落単位で住民の皆様と一体となり、生息環境対策や捕獲などに取り組むことが重要であると考えております。
     このため県といたしましては昨年度、賀茂地域の被害現場におきまして、集落の農業者の皆様とともに、わなによるイノシシなどの捕獲調査を行い六百頭余りの実績を上げたところであります。さらに今年度は有害鳥獣と戦う集落づくり支援事業を創設いたしまして、賀茂地域に加えまして、西部地域におきまして専門指導員による効率的なわな設置方法や、わな猟の免許を取得した農業者等の皆様に対する技術指導を行うなど集落がみずから行うイノシシなどの有害獣を捕獲するための取り組みを支援してまいります。また、これまでに養成した百四人の鳥獣被害防止対策総合アドバイザーを活用いたしまして、鳥獣のえさとなる生ごみや収穫残渣を放置しない生息環境対策などを被害集落の住民の皆様が一体となり実施しますよう支援をしてまいります。
     今後とも市町の被害防止計画の策定支援を行いますとともに、県域の連絡会を中心に市町やJA、猟友会などと連携をいたしまして、集落での鳥獣被害対策や獣肉の有効活用の推進に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 新エネルギー対策の推進体制についてお答えいたします。
     県では、静岡県地球温暖化対策推進本部に関係部局で構成する新エネルギー等導入促進部会を設置しまして、本年三月には各部局の連携のもとでふじのくに新エネルギー等導入倍増プランを策定したところであります。また、東日本大震災や浜岡原子力発電所の運転停止による電力需給の逼迫等に対し的確かつ機動的な対策を検討するため、本年五月には静岡県経済産業政策会議に両副知事を部会長とするエネルギー・地域経済部会を設置いたしました。同部会では、新エネルギー等の導入促進策について、短期的及び中長期的な視点から検討を進めまして、太陽光発電の導入加速化、中小水力発電等の導入促進、新エネルギーに関する研究開発、新エネルギー関連企業の誘致等の施策を取りまとめました。そのうち短期的な取り組みについては関連予算案を今議会にお諮りしているところであります。
     今後は倍増プランに掲げる目標の早期達成を目指し、総合特区制度を活用した耕作放棄地への太陽光発電や農業用水路等を活用した中小水力発電の導入促進、温泉熱発電の事業化に向けた検討、バイオマスエネルギーなどの活用に関する産学官の共同研究への支援など全庁一丸となりまして新エネルギー等の導入に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 天竜浜名湖鉄道の利活用の推進についてお答えいたします。
     天竜浜名湖鉄道におきましては、新経営計画の最初の二年が経過した現時点において二年連続で経常損失を削減し、平成二十五年度までに経常損失を十九年度の三分の二に圧縮するという目標に向けて、着実に計画を推進しているところであります。しかしながら景気低迷等の影響によりまして、平成二十二年度の年間輸送人員は約百五十五万人と前年度の九八・四%に減少するなど依然厳しい経営環境にあります。こうしたことから、全線にわたる施設が国の有形文化財に登録されたことを契機といたしまして、今年度から歴史を学ぶ体験学習の促進や文化財施設をめぐる常設ウオーキングコースの設定などにより、利用客の一層の拡大を天竜浜名湖線市町会議を核として推進してまいりたいと考えております。また沿線住民の方々の利用拡大を図るためには天竜浜名湖鉄道設立当初の思いに立ち返りまして、地域の足としてなくてはならないものだということを地元の方々に改めて認識していただき、マイレール意識の醸成を図ることが大変重要だと考えております。このため天浜線サポーターズクラブの活動支援、あるいは地域の歴史や文化を大切にしたまちづくりについても県や会社、地域が一体となって推進してまいります。
     また、職員の派遣に関しましてはさまざまな問題もあるところですが、地域の将来に欠かせない公共交通として天竜浜名湖鉄道を維持していくためには行政と会社が一体となって経営に取り組む必要があるという観点から関係者と協議を進め、検討してまいりたいと考えております。
     さらに、平成二十六年度以降の経営計画につきましては、県としても経営体制や県、市町による財政支援の方針などを決定するスケジュールを考慮いたしまして、今年度から検討する必要があると考え会社や沿線市町とともに、二年間の決算状況あるいは現在の経営計画の各種指標との違いなど分析作業を始めているところであります。
     今後は将来の経営計画に関する検討協議を進め、平成二十四年の株主総会の時期を目標にいたしまして地域が一体となった天竜浜名湖鉄道の維持・活性化の戦略案の策定に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 急速に進む高齢化への対応について、お答えをいたします。
     県では、今後も急速に進行する高齢社会に的確に対応していくため長寿者の保健、福祉、介護等の総合的な計画である静岡県高齢者保健福祉計画を三年ごとに見直しをしております。今年度策定する第六次計画では団塊の世代が後期高齢者となる十年後を見据えまして、特別養護老人ホームなど必要な介護サービスを確実に確保するとともに、長寿者が住みなれた地域でいつまでも安心して暮らし続けていけるよう地域で連携して長寿者を支える地域包括ケアシステムの確立に向けて取り組んでまいります。
     一方、本県は全国的に見ても元気な長寿者が多く六十五歳以上のうち八六%の方は介護保険を利用せずに生活されています。それらの多くの長寿者の方々が今後も社会の中で、これまでの経験や知識、技能を活用し県の活力を生み出す存在として活躍し続けていただくことも施策の重要な柱であります。
     このため、これまでの健康づくりや生きがいづくりへの取り組みに加えまして子育て支援や文化伝承の活動などにより、長寿者の方々に社会参加していただく事業を市町や関係団体などと協力しながら積極的に展開できるよう計画の中に盛り込んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 天竜地区新構想高校の教育についてお答えいたします。
     地域の自然や文化をとうとぶ精神を養い、地域の発展のために積極的に参画できる人材を育成することを教育目標に掲げ、平成二十六年度の開校に向けて具体的な教育内容等の検討を現在進めております。例えば県内唯一の林業科におきましては、恵まれた地元の環境や資源を活用し地域の振興や新たな林業関連分野に貢献できる人材を育成することとしております。
     また、総合学科におきましては地域のニーズにこたえられるよう、二俣高校と天竜林業高校の伝統を引き継ぐ普通教育や工業・商業分野の系列に加え、地域福祉などを実践的に学ぶことのできる福祉・保育分野、生活・健康分野の系列など六つの系列を設置することとしております。また、林業科や仮称春野校舎との相互連携も進めてまいります。
     さらに議員御指摘の演習林の活用につきましては、林業科での実習のほか総合学科における体験的学習での活用、小中学校への勤労体験学習プログラムの提供など具体的な検討を進め、地域の教育機関における中核的な役割を果たせる高校となるよう努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) これで、中谷多加二君の質問は終わりました。
     以上で、本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     七月一日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。

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