• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

阿部 卓也 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/01/2015

会派名:

ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 二〇一七年大河ドラマ「おんな城主直虎」決定を受けての提案について
2 多様な人材育成のための公立高校の特色化について
 (1) 類型化の推進
 (2) 裁量枠のより効果的な運用
 (3) 中高一貫校の増設提案
3 県有財産の処分について
4 通信販売事業者を活用した個人からの支援物資の受け入れについて
5 新規就農者や若手農家への支援策について


○副議長(杉山盛雄君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十一番 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇 拍手)
○三十一番(阿部卓也君) 皆様こんにちは。ふじのくに県議団の阿部卓也です。きょうはちょっと風邪気味ですのでお聞き苦しい点もあろうかと思いますが謹んで質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 初めに、二〇一七年大河ドラマ「おんな城主直虎」決定を受けての提案についてであります。
 二〇一七年の大河ドラマが、浜松市引佐町井伊谷を本拠地とした井伊家の窮地を救い、女性でありながら戦国動乱期の井伊家の当主として家を守り、そして徳川四天王筆頭と称される井伊直政を育て上げた井伊直虎を主人公としたドラマになることが発表されました。ことしは徳川家康四百年祭が開催中ですが、これに続く徳川関連物として本県のセールスをしていく材料としては格好のチャンス、風が吹いていると言えるのではないでしょうか。ただこの井伊直虎は決してメジャーネームではありません。NHKもチャレンジングな選択をしたと驚嘆をしておりますが、だからこそ私たち地元が積極的に動き、このチャンスを生かすための多面的な提案をさせていただきたいと思います。
 第一に、関係各方面と協働しての大河ドラマパビリオンの設置を提案します。これは高知駅前に現在も存続する「龍馬伝」幕末志士社中に代表されるような、御当地の玄関口のいわゆるビジターセンター機能を有する施設のことですが、これを浜松では例えばJRないしは遠州鉄道の協力を仰ぎ、JR高架下の駐車場スペースの転用や遠鉄百貨店のフロアの一部を借用することができればまさに駅前に大河ドラマパビリオンができることになります。拠点があればまずは個人客も団体客もそこを目指すというランドマークができます。井伊谷や関連観光地には直行バスや周遊バスを出せばいい。それが大河ドラマを活用した観光PRの肝だと私は思います。
 第二に、視覚的効果でのPRをするためにJR、遠州鉄道、天竜浜名湖鉄道でのラッピング電車の実施、FDAによるラッピング飛行機の実施と、それぞれの大河ドラマコラボレーション企画の立案は必須と考えます。特に井伊谷のある引佐町を通る天浜線には直虎列車を運行したらよいでしょうし、これを機会に各地のローカル鉄道が導入している地域の食を提供し地域の観光資源をアピールする観光車両を天浜線に導入する後押しをすべきと考えます。
 第三に、浜名湖とのコラボレーションです。井伊谷は浜名湖北岸に位置します。現在売り出し中の湖北五山はまさに井伊家ゆかりのものでもあり、遠江八景や関連する浜名湖周辺の歴史や風俗など、さらにゆかりがあるものを掘り起こしそれらを浜名湖各地を結ぶ舟運――船ですね――でつないで、これを東の海の道、県道二二三号に対してこちらは西の海の道、県道八百七十五号――はまなこですね。はまなこ号の指定にまで持っていけたらまた話題になろうかと思います。さらにはサイクリングロードの早期整備や浜名湖は世界のマリン産業の聖地でもあるのでこれらの魅力、これらの要素も加味するなどしてこの際思い切って魅力あふれる浜名湖観光圏の振興組織を独立させ、例えば元観光庁長官の溝畑宏氏など人材豊富な静岡県のリーディングアドバイザーの皆様のお力もお借りするなど、県としての浜名湖へのてこ入れも同時進行させていくことを提案いたします。
 第四に、このドラマのテーマ及び制作段階でのコラボレーションです。「おんな城主直虎」は脚本家による書きおろしになるということが報道されています。そうであれば早期に脚本家や制作スタッフをお招きして井伊家の関連史跡や浜名湖や浜松地域の風光明媚な地勢や風土、名産品などを知っていただくとともに、このドラマの根底にあるテーマ「中小零細企業が存亡の危機から立ち直る大逆転物語」は、まさに中小零細企業のまち浜松のサクセスストーリーそのものであり、現在の浜松と接していただくこともとても大切であると考えます。また主演である柴咲コウさんには一刻も早く観光大使等をお願いして、浜松のみならず静岡県のPRにお力を貸していただきながら一丸となってメーキングの段階からのコラボレーションを提案します。
 また、何より大切なことは静岡県がリーダーシップをとって御当地となる浜松市とはもちろん経済界や観光協会、NHK、JR、NEXCO、FDA等を巻き込んでチーム直虎の組織をつくることだと考えます。
 以上、県としてスケールの大きな構想力を持ってこの千載一遇のチャンスにスピード感を持って臨むべきと考えますが、覚悟と用意のほどを伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 阿部卓也議員にお答えいたします。
 まずは、お風邪をどうぞお大事に。
 二〇一七年大河ドラマ「おんな城主直虎」決定を受けての御提案についてであります。
 御提案、構想力豊かでさまざまな夢のある提案をいただきまして感心いたしました。浜松を舞台とした大河ドラマが決定いたしまして、まことにめでたく御同慶の至りであります。これは十年前に引佐が浜松に合併されるということになって、その引佐のアイデンティティーをきっちり整理しておこうということから小和田哲男先生の井伊家にかかわる浩瀚な歴史資料に基づき御提案をされたのが十年前で、そしてそれ以降もうほぼ忘れられていたようなことだったようです。それだけに井伊家の菩提寺龍潭寺を初め武藤住職さんですね――前の住職さんを初め関係の皆様にも心からお祝いを申し上げたいというふうに存じ上げます。前住職の武藤さんにとっても寝耳に水だったみたいですね。本当にいい朗報が届きました。
 さて、大河ドラマは一年間に及ぶ放映期間中舞台となった地域が登場人物あるいは歴史的背景などとともに繰り返し映し出されますので、視聴者の御関心を高めまして当地を訪れて歴史をたどる旅へいざなうという、そういう効果が非常に大きいということが知られております。そのため主人公ゆかりの地ではこれを観光誘客の絶好の機会と捉え、放映開始前から観光PRを――どこででもですけれども――これまで大々的に行われてまいりました。先ほど例に挙げられました二〇一〇年放映の「龍馬伝」の舞台高知県では対前年宿泊客数は一九%増、日帰り客数は二九%増となって、日本銀行高知支店は経済波及効果を約五百三十五億円と試算しておられます。また同時期に開催された土佐・龍馬であい博には当初の予想の六十五万人を大きく上回る九十二万人が訪れるなど、龍馬伝の大きな効果が確認できております。
 地元浜松では、直虎ゆかりの皆様や行政、商工団体、観光関係団体などが観光誘客を目的に協議会組織を立ち上げられましてまた既に検討を進められていると聞き及んでおります。きのう、おとといだったでしょうか、前住職武藤さんを初め関係者が全員来られましてその意気込みに感じ入ったところでございます。私どもといたしましてもNHKを初め交通事業者や旅行会社も巻き込みながら地元での盛り上げを積極的に後押ししてまいりたいと思っております。
 とりわけ阿部議員が御提案されましたさまざまな御提言ですね。パビリオンの設置あるいは天浜線ほかの観光列車等を利用した宣伝、浜名湖のさまざまな観光資源との連携、主人公の観光大使への起用について。どれも私は効果的な取り組みだと受けとめました。今後実施に向けまして関係者に働きかけていくとともに、地元の皆様、地元のさまざまな活動を支援するなど美しい自然と温泉、多彩な食、そして歴史ロマンにあふれる浜名湖圏域の観光支援に邁進したいと思っているわけです。
 議員御案内のように、その昔「花の生涯」から始まりましたこの大河ドラマですけれども、これは井伊大老ですね。だんだんと傾向が変わりまして女性が主人公というふうになりつつあります。あるいは女性が必ず大きな役割を果たすようなものに変わってきているわけです。今度の大河ドラマは脚本も女性、制作のチーフプロデューサーも女性、主人公も女性ということでございます。
 そこで私、関係者の方々ときのう午前中話していたときに思ったんですが、そういえば女性だけでつくる格好いい演劇集団があると。宝塚です。それで宝塚の男役スターが最高の人気なんですね。私は静岡の県知事を預かりましてから静岡県御出身の宝塚の生徒さん、ずっと応援してきました。やめられた月映樹茉さん、浜松の天玲美音さん。現在、雙葉中学御出身の明日海りおさんは何と昨年、花組のトップになったわけですね。初めてのことです。そこにお披露目に浜松の春野町ゆかりでございますので浜松の康友市長さん。こちらの雙葉出身ですから田辺市長さん、それから後藤さんを含めてお披露目公演にお誘いして無理強いしてお見せしたんですけれども、彼らもそのおもしろさに目をみはられたと思います。私はこのドラマはですね、大河ドラマで成功すると、宝塚ではやらせることができると。私は過去十五年間、宝塚のスカイ・ステージの放送審議会の委員をしておりまして、亡くなられた公平さんや現在の公一さん初め関係者をよく知っておりますので、これをそういう形で多くの女性にもつないでいきたいと思っております。
 と同時に、やはり井伊家あるいは井伊家ゆかりの、もともとは今川でしたね。それが後に徳川の四天王の一人になるわけですけれども、そういう地元を通して戦国時代を知る、地元を通して四百年来の歴史についての目を開いていくということで、学習効果も大きいので地元の大人の方々はゆかりの地域を大切に保存され、また我々のほうもそうしたものを保存することを通して地元の場の力の魅力をさらに上げていくというふうにもしたいということで、学際的、総合的、国際的にもできればこれをアピールしていきたいというふうに考えておりまして、そういう覚悟を持っているということを御披露申し上げまして答弁といたします。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇)
○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。三点再質問と一点要望を申し上げたいと思います。
 再質問ですが、私が提案した中でチーム直虎組織の確立が重要だと申し上げました、最後に。これは私、個人的に県がやるべきだと思っております。ヘッドクオーターをまず定めないといけないと。今までの大変苦言を呈すようで申しわけないですが、浜松市に任せておくと、どんどんどんどん遅くなってしまうという印象が浜松市選出議員としてございます。県としてヘッドクオーターをやっていく覚悟があるかどうか、まず一つお聞きします。
 二つ目が、拠点がないと――ランドマークという言い方をしましたが――観光客が漂流してしまいます。これもやはり苦言を呈すようで申しわけないですが、徳川四百年祭を見ていても拠点となるところがないのでどこへ行ったらいいかということで、あちこち行くところはあるんだけど漂流してしまっているという印象があって残念でなりません。なのでこの拠点を定めるべきと思いますが、もう一度お考えをお聞きします。
 三つ目ですが、浜名湖観光圏の組織を独立させたらという提案をしましたが、これは大河が終わっても浜名湖という魅力は継続できるものであります。この際きちんと独立をさせてこのチーム直虎の核組織にしていくというのも一つの継続性のあるいい考えだと思うんですが、改めて御答弁をいただきたいと。以上三点は答弁を求めます。
 要望でございますが、女性の時代ということを知事がおっしゃいました。ぜひこれ主人公が女性ということでありますので、静岡県の女性が現代の直虎を生むというような形がこの年間を通してできるといいなと思いますので、そんなこともぜひ施策の中に考えていただきたいと思います。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) 「おんな城主直虎」の再質問についてお答えいたします。
 まず、チーム直虎の組織の確立ということで県がやるべきという御質問でございますけれども、今、浜松市のほうで関係の観光協会あるいはホテル・旅館、旅行業、商工会議所、金融機関とオール浜松で構成する推進組織を立ち上げるということでお話を聞いております。私どもも連携して対応していくということで、よく話をしながらどういう形がいいかということを考えていきたいと思っております。拠点ということの御質問でございますけれども、確かに観光客の方が訪れた場合にどこか目印のあるものがあるということは確かにいいことだと思いますけれども、そのあり方についてもこれもまた地元とよく相談をさせていただきたいと思っております。
 あと、浜名湖観光圏でございますけれども現在この観光圏につきましては浜松市あるいは湖西市ということで組織をつくっておるということで、特に新観光圏に今回再認定されまして外国人旅行客のさらなる誘致ということで今取り組んでいる組織でございますので、そういう組織をこれの下部組織ということになるのは少しちょっとどうかなという点もございますので、それもよく検討させていただきたいと思います。以上でございます。
○副議長(杉山盛雄君) 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇)
○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。
 要望を申し上げます。
 今、部長からの答弁でありますが固定概念にとらわれ過ぎているというふうに僕は感じます。地元に任せておいて間に合わなくなることもありますのでスピード感が大切だということを冒頭申し上げました。ぜひ知事を筆頭にしてそのあたりを心がけていただいて、地元を、あなたたち、このチャンスを失うのかと。チャンスの女神の前髪はあっても後ろ髪はないんだぞということをきつく言っていただきたいと要望を申し上げます。
 次の質問に入ります。
 次に、多様な人材育成のための公立高校の特色化についてのうち、類型化の推進であります。
 現在、県内高校で特色ある学科などの展開をしているのは大まかに三分類があり、一つとしてグローバル推進校として三島北、静岡城北、浜松北、浜松湖南高校。二つ目の芸術専攻として伊東城ヶ崎、沼津西、富士東、清水南、浜松江之島高校。三つ目、スポーツ専攻として富士市立、静岡西高校がありますが、多様な人材を育成するためにはかなり少なくしかも選択肢がない地域もあり、もっと増設をすべきと考えます。もちろん設置に当たってはそれぞれの高校が独自に取り組んできた教育を昇華させる形であればベストでありますし、学校所在地の地域環境やグラウンドの広さなども十分考慮して考えればおのずと類型化するべき適正校が浮上し、さほど困難ではないと私は考えます。
 さらに言うと静岡独自のものであってもいいはずです。例えば林業というくくりを大きく捉えて、バイオも含めた種苗研究からセルロースなどの製品応用やバイオマスのようなエネルギーとしての活用研究まで林業にかかわる専門的学問の基礎を学ぶことができるような学科や、人材不足の看護師を養成するために近隣の病院や浜松医科大学やがんセンターと連携した公民連携型の実地型看護科。また県立大学や文化芸術大学の附属高校とまではいかなくても、県内高校生の県外流出を防ぐ一助にするためにも高大連携型の類型などがあってもよいと考えます。
 以上、多様な人材育成のための類型化について、教育長の所見を伺います。
 次に、裁量枠のより効果的な運用についてであります。
 現在、静岡県には裁量枠制度があり、全公立高校九十三校中、実に七十八校が体育的、文化的活動などを重視した希望者を対象とする裁量枠を採用しています。現在この裁量枠についてはありがちな横並び主義で、例えば野球部の枠は七十八校中、実に七十一校も導入しているなど本来の裁量枠で個性を伸ばしまた高校の特色をつくるということには寄与していません。
 そこで改善提案ですが、部活動の活性化と一流選手の育成のためにもあえて裁量枠の部活動ごとの偏りをつくり、さらにそれに連動させて指導者配置の人事や外部コーチの配置を行うべきと考えます。でないとオリンピックアスリートの育成やラグビーやソフトボールの世界大会を誘致しても今のままでは指導者や有望選手が分散して波及効果が小さいので、高校部活動での集中強化も図るべきであると考えます。
 また同時に、競技人口が少ないスポーツは逆に言うと日本代表クラスのアスリートを養成しやすいということでもあり、現在公立高校に設置数が少ないクラブをグラウンドの広さなども鑑みて、例えばラグビー、レスリング、ホッケー、アーチェリー、弓道、なぎなた、空手、体操などの部活動を設置する高校数をふやし、野球、サッカー、バレー、陸上競技、バスケットボールなどは思い切って集約化していくという思想も必要ではないかと考えます。
 また、それは文化系の部活動でも同様であると考えます。高校の特色化、指導者の育成、生徒の個性の伸長を戦略的に考え人事とも連動させ、その上での裁量枠の行使というのがより的確な裁量枠の活用方法であると考えます。
 以上の裁量枠の運用についての改善提案について、教育長の所見を伺います。
 次に、中高一貫校の増設提案についてであります。
 現在、県内の東・中・西部に各一校しかない中高一貫校ですが、時代の要請に応えて拡充が必要と考えます。ただしただ単にふやせばよいというわけではなく、はっきりした目的を持った導入を求めたいと思っています。具体的には二つの形を提案したいと思います。
 まず第一に、郡部の教育の質の確保のための郡部エリアの高校の中高一貫化です。例えば佐久間高校と佐久間中学。現在、湖北高校佐久間分校でありますが。現在の郡部、中山間地での連携型の進化形として郡部、中山間地の教育の質と教育機会を増大させ、将来にわたって地域を守り支える人材や教育者の育成のための一助として中高一貫校化を提案いたします。
 提案理由として、今の郡部、中山間地の教育の現状は対象生徒数が少ないことを理由に公立高校の統廃合を進めて教育機会を奪い、さらには教員の多くが講師であったり遠距離を理由に生徒たちの文化的、芸術的機会や部活動の対外試合の機会に市街地の公立高校に比べて親の経済的負担を大きいままで放置したりと教育委員会こそが郡部、中山間地の教育機会を圧迫している元凶だというのが現場の悲痛な叫びです。これを改善し郡部や中山間地でも十分な教育機会を保障していくことこそが本来の公立高校の務めではないでしょうか。例えばことし鹿児島県が郡部の県立高校を改編して開校した中高一貫の全寮制の楠隼高校のように、その地域だけではなく外部からも逆に自然豊かな郡部、中山間地に生徒が希望してやってくるというような中高一貫校の導入を考えるべきだと考えます。
 二つ目の方策として、前述したようにスポーツ、芸術、グローバルなどの類型分けした高校での導入です。例えば今議会で我が会派の代表質問で教育長が積極的に検討すると答弁されたバカロレア制度の公立校での中高一貫での導入やスポーツ選手や音楽家の育成のように、六年間でじっくり腰を落ち着けて目的を持った教育に取り組むという中高一貫校も必要だと考えます。
 このような特色のある中高一貫教育校の導入について、教育長の所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 多様な人材育成のための公立高校の特色化についてのうち、類型化の推進についてお答えいたします。
 県立高校の学科や類型の編成は、学校経営目標を具現化し特色や魅力をつくり出す学校運営の重要な要素であると考えております。議員御指摘の国際科、芸術科、スポーツ系学科などは学校の大きな特色となっているほか、農業、工業、商業などの実学系の専門高校では生徒のニーズや地域の産業界の要請に応え、必要とされる技能に合わせた特色ある学科を設定し地域の後継者となる人材の育成に貢献しております。
 また、県立高校の九校に設置する総合学科では特色ある学科とは対照的に入学後、学校や地域の特色に合わせて設定した多くの系列の中から興味関心や将来の志望に合わせて学びたい分野を選択することができる多様な学習機会を希望する志願者がふえております。
 県教育委員会では、本年八月の産業教育審議会の答申において芸術・スポーツ分野も含めた実学のあり方について提言をいただいたほか、十二月の総合教育会議でも実学の奨励を議題とした協議が行われる予定であります。
 今後、県教育委員会といたしましてはこの答申の実現を目指すとともに、総合教育会議の結果にも対応し地域間のバランスや静岡県の独自性などにも配慮した学科や類型を配置することにより県立高校の特色化を促進してまいります。
 次に、裁量枠のより効果的な運用についてであります。
 制定後八年が経過する入学者選抜における学校裁量枠の制度は、現在では約九割の県立高校で適用され静岡県の高校入試制度の大きな特徴となっております。実際にはほとんどの高校が文化的活動、体育的活動を重視した希望者を対象とする学校裁量枠を設定する中で、同一地域の多くの高校が野球、サッカーなどの同じ種目を設定したり一つの学校が多数の種目を設定したりするなど運用に偏りが見られております。また学校裁量枠の実施種目に適切な指導者が配置できているかなど検証すべき課題もあると認識しております。
 そこで、県教育委員会では本年度、高校及び中学の校長など教育現場の代表者で構成する検討組織を設置し、学校裁量枠の効果を検証し種目設定や選抜割合などの運用の見直しを検討することとしております。
 今後、県教育委員会といたしましては学校裁量枠が本来の趣旨である生徒の個性の伸長や高校の特色化に資するよう、学校裁量枠のメリットを生かした生徒募集や教員の効果的な配置と外部指導者の活用を図るなど学校裁量枠の的確な運用に向けた改善に取り組んでまいります。
 次に、中高一貫校の増設提案についてであります。
 高校入試を実施しない中学校からの中高一貫教育は、六年間を通したカリキュラムにより入試を意識せずにじっくり学習に取り組めることから特色を明確に出し効果が高い教育が期待できる、そういうような学校の形態であると考えております。
 実際に浜松西高校では六年間を見通して情報機器を活用した先進的な学習で進学実績を上げておりますし、清水南高校では中高一体となった芸術を核とした学習が行われてそれぞれ有為な人材を輩出しております。また中山間地の佐久間、川根、松崎の各高校では教育活動の連携や教員の交流により地元の中学校と一体的な教育を行う連携型の中高一貫教育に取り組み、地域の実情に応じた教育を実践しております。
 御提言いただきました六年間の中高一貫校の新設につきましては、生徒のニーズの把握、地域との調整、教育環境の整備など十分な議論が必要になると考えております。今後教育委員会では中山間地域の将来構想に沿った高校のあり方や特色ある中高一貫教育の必要性を含め、全県的な視野に立って将来の県立高校のあり方を検討してまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇)
○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。
 御答弁の中で前向きな御答弁をいただいたと思うんですが、再質問を二つ、要望を一つお願いをします。
 再質問として、まず類型化。今の御答弁だとふやす方向と捉えてよいのかどうなのか、端的にお聞きをします。
 それから、最後の中高一貫校についてですが、ニーズの把握、地域との調整に努めていくということでありますが、これ、ずるずるとしているとセンター試験も廃止されて大きく日本の教育が変わっていく今現在であります。いつやるのか。これを教育長としての見通しをお示しいただきたいと思います。以上二点は答弁を求めます。
 要望をいたします。これは知事にも申し上げたいと思いますが、ことしからスタートした総合教育会議においても今申し上げたようにもっと郡部や郊外校の教育機会の保障と充実、これについて御認識をぜひ教育委員会と並んでいただきたいと思います。教育においての市街地の進学校のみがよい高校という固定概念を打破して、教育においての内陸フロンティア構想もぜひあってしかるべきと私は思いますので、御要望を申し上げます。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 御質問ありがとうございます。
 まず最初の類型化の問題なんですけれども、これについても今まで実際に幾つか何年か経験してきておりますけれども、その問題点等についてもしっかりと把握して、そしてまた推進すべきところ、それから地域差もありますのでその辺も加味した上で前向きに考えていきたいというのが私の現在の気持ちです。
 それから二つ目は、中高一貫校につきましても中学から高校まで要するに入試がないということでは非常に六年の一貫教育もできるという非常に利点もありますし、今幾つか既にやられているんですけれどもこの辺も地域のほうの特殊事情もありますのでその辺も含めて考えてみたいなと。実際に私ももう二カ所行ってるんですけれども、その利点とそれからそういうようなものが各地域で本当にできるのかどうか、地理的な問題もありますのでそういうのも含めて考えていきたいなと思っております。少し勉強してそれをまとめてみたいと、このように思っております。
○副議長(杉山盛雄君) 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇)
○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。ぜひ木苗カラーを出していただいてスピーディーな、そして特色のある静岡県の教育を組み立てていただきたいと要望して、次の質問に入ります。
 次に、県有財産の処分についてであります。
 県有財産の処分手続は、庁内利用の有無の確認、地元市町の購入希望有無の確認、そのいずれもなければ一般競争入札で売却という手順であり、もし売却された場合、本来その土地を県が入手したときの趣旨に賛同して提供した旧地権者や近隣の住民の皆様にとっては想定していない用途での使用がされるやもしれず、現状の手続では県民不在ではないかと感じます。例えば高等学校の統廃合による大規模な未利用地や施設、付加価値の高い土地の処分に当たっては、土地の使われ方によって地域生活に与える影響も大きいので周辺住民や公共用地として土地を拠出した方々の意見を聞くことも必要と考えますし、実際、地域に役立つ活用を希望する地域住民の声も聞こえてきます。
 県有財産は県民全体の財産であるため、その処分に当たっては最大の経済効果を実現していくことが重要であることは理解しますが、一方で地域住民の生活に根差した施設、土地であることも事実であり、その跡地等が地域の発展ひいては地方創生に資することもまた重要であると考えます。
 そこで、処分に当たって売却益の追求だけでなく地域住民等の声を丁寧に聞き、地域理解のもと地域の活性化につながる方法を検討導入すべきと考えますが、県の考えを伺います。
 次に、通信販売事業者を活用した個人からの支援物資の受け入れについてであります。
 県議会二月定例会において我が会派の曳田卓議員の質問で、発災時、全国からの善意の気持ちを生かす仕組みとしてインターネットでの通信販売事業者アマゾンジャパン株式会社のホームページに各地の避難所から必要とする物資を登録してもらい、それを見た善意の第三者が必要とされる物資を注文購入することで避難所に寄附のような形で物資を送り届ける取り組みを紹介し、このような方策を検討できないか所見を伺いました。この質問に対し、他県の事例を参考に各避難所に個人からの支援物資が直接届くような仕組みについて検討していくという御答弁をいただきました。
 元来、個人の支援物資については不必要なものや使い古したものまで被災地に送られてしまうケースなどもあり課題があると思っていましたが、御提案した事例はインターネットを媒体として被災者が希望する物品を購入して届けるものであり、個人の善意と被災者のニーズがマッチングしたすばらしいシステムでありますので、ぜひ本県にも同様なシステムを構築していく必要があると考えます。この半年間で具体的にどのような取り組みをされているのか伺います。
 次に、新規就農者や若手農家への支援策についてであります。
 県では、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして農業に就業し定着する人を平成二十七年度から平成三十一年度までに千五百人にふやすことを目標に挙げております。戦略では先進的な農業経営者のもとで技術や経営を実践的に学ぶための研修など具体的な施策を盛り込んでおり、新規就農者の増加に向けた県としての強い姿勢が感じられます。しかしながら農業に参入するに当たっては例えば農機具の購入や農業用のハウスの整備など多額の費用が必要になり、これが参入の大きなネックになっているとも聞きます。新たに農業の世界に飛び込もうとしている人の背中を押す意味でも参入時の初期投資の軽減が大変重要であります。そこで支援の一環として使わなくなった農機具や農業用ハウスなどいわゆる遊休農機具等を有効に活用するため、農機具バンクの設立を検討すべきだと提案します。
 また、農家の後継者はもちろんのこと若手の新規就農者が地域に定着していくためには生涯のパートナーを見つけることが大切でありますが、現実は厳しい状況だと聞いています。そこで県として特に静岡県の農家の嫁になりたいと希望する女性を全国から募集する婚活をお手伝いして出会いの場の創出をすることを提案します。
 さらに、新規就農者などが農業経営の収益性を上げていくためには生産性を高め競争力を強化していくことが重要でありますが、そうしたノウハウに乏しいのが現状であります。そこで例えば省力化や低コスト化などに関する技術相談、国や県の助成制度の申請相談、あるいは農薬散布などで活用が進みつつある無人飛行機やヘリの農業利用に関する相談など農業に関するさまざまな悩みをワンストップで受け付ける窓口を農林事務所に設置することを提案します。
 以上のように、新規就農者や若手農家への支援につきましては技術や経営の習得に加えましてこうしたさまざまな視点からの支援が必要だと思いますが、県の所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 通信販売事業者を活用した個人からの支援物資の受け入れについてお答えいたします。
 前にも曳田議員から御質問いただいておりますので、その進捗状況についてということでございますが、まずその御提案をいただきました仕組みというのは、通信販売事業者のインターネットサイトを活用して被災者が必要とする物資と個人の支援とをマッチングさせるものであるということで、こうしたマッチングができますと例えば南海トラフ巨大地震など避難生活の長期化が予想される大規模災害におきまして、市町の物資拠点を経由することなく被災者のニーズに合った物資を避難所に直接供給することができます。それゆえこの仕組みは公的支援を補完する有効な手段であるという認識を持っているわけでございます。ただこの仕組みが有効に機能するには検討、調整する課題もあります。例えば輸送体制の確保、避難所における個別のニーズの把握や運用方法、さらに通信機器の手配などでございます。
 そこで現在、この仕組みが活用できるように通信販売事業者と協議を進めております。そこで今後実際に避難所を設置、運営する市町に対して説明会を開催いたしまして意見等も伺いながら、本年度内の協定締結を目指して通信販売事業者と関係者との間での調整をしてまいります。以上でございます。
○副議長(杉山盛雄君) 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 県有財産の処分についてお答えいたします。
 県有財産の処分に際しては、一般競争入札等に付し売却益による自主財源の確保に努めるとともに、福祉、医療、教育、地域振興など県として進める施策に合致するものについては優先して配慮しているところでございます。特に大規模施設等の処分に当たりましては地域社会に与える影響を十分考慮することも必要であるものと考えております。これまでも地元市町が地域の声に応えて県有施設の跡地を購入し、津波避難タワー、防災倉庫、農業振興施設、公園、体育館等として活用している例が数多くございます。一方、民間への売却に当たりましても地元市町の要望に沿った用途を指定の上売却することにより病院や学校として活用された事例もございます。現在も旧老人休養ホームの処分について地元市や住民の意向を聞き取り地域の特性に合った旅館業の継続を入札要件とするよう調整している案件もあり、地域振興の観点にも配慮した売却を進めているところであります。
 今後も厳しい財政事情が続く中、自主財源の確保を図るため未利用となった県有施設については積極的に売却してまいりますが、大規模施設等の処分に際しましては地元市町に対して早期に売却予定情報を提供し地域住民等の意向を踏まえた考え方を丁寧に伺うなど、関係市町とより密接に連携しながら歳入確保と地域振興の両立に努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 篠原経済産業部長。
○経済産業部長(篠原清志君) 新規就農者や若手農家への支援策についてお答えいたします。
 平成二十六年度の県内での新規就農者三百三十四人のうち、非農家の出身で農業経営を開始した人は八十人となっており、浜松市では三十二人がタマネギやミカン、イチゴなどの生産を始めております。
 こうした非農家出身者は、農業を始めるに当たり地域の事情に詳しい研修先農家を通じて中古の農機具やパイプハウスを求めることが多いことから、まず先進農家で実践研修を実施している浜松市や伊豆の国市において中古の農業用機械の情報を集約し新規就農者に提供する仕組みを市町や農協と連携して構築してまいります。
 若手農業者の婚活では、三十五歳未満の農業者四十四人が組織する静岡県農業青年クラブは来月一般女性と若手農業者の婚活イベントを島田市で行うこととしており、県はバスのテロップ広告など県の広報媒体を用いた参加者募集の支援などを行ってまいります。
 また、各農林事務所には新規就農を初め農業経営に関する相談にワンストップで対応する窓口を設置しており、新規就農相談は昨年度二百二十六件受け付けております。今後は窓口の一層の利用促進のためSNSを活用するなど若手農業者向けの情報発信に努めるとともに、職員が現地に赴き新規就農者の課題の把握とその解決の支援に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇)
○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。
 まず、アマゾンについてですが、知事から御答弁をいただきましたが本年度中の締結をすると、目指すということでありますので、ぜひ市町との相談。これ静岡県の場合は伊豆半島のように海路からでないと物資の供給ができないというようなところもあろうかと思いますので、そこはぜひ工夫をしていただくよう要望を申し上げます。
 再質問を二点させていただきます。
 県有財産の処分ですが、これ関係市町と密接にというのが非常に怪しい。例えば私の浜北の県有地とか旧気賀高校や三ヶ日高校。こういうところ、先ほど提案した直虎の一連のものに使えたりもしようかと思います。そういうものをもう少し県として戦略を持って地域と話をしていただきたいと思いますが、そういう覚悟があるかどうかお聞きをします。
 それから最後に農家支援ですが、婚活でございますが、これ専門の業者等とコラボレーションしてやることがやはり近道であろうと思いますが、それについて考えないかお聞きをして質問を終わります。答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 県有財産の処分についての再質問についてお答えいたします。
 地元市町との密接な連携というのは怪しいじゃないかというお話でございますが、県といたしましては地元市、地元町と密接に話をして意見を聞いているところでございます。例えば浜松市の事例を申しますと、つい最近の例で申しますと初生の県の合同庁舎の跡地の処分に関しましては地元の地域からの、例えばイベントのような活用だとか防災での活用のような形でいろんな形で要望を受けました。そういった意見を踏まえて浜松市と調整をした結果、幾つかの土地をパッケージをしまして等価で交換するという画期的な方法で土地の処分をウイン・ウインの形でやったような事例もございます。
 今後も、地元市町さらに地域とよく話をしまして御要望を踏まえた財産の処分について配慮をしていきたいと思います。以上でございます。
○副議長(杉山盛雄君) 篠原経済産業部長。
○経済産業部長(篠原清志君) 若手農業者の婚活の再質問についてお答えいたします。
 静岡県農業青年クラブという若手農業者みずからでつくった組織が主体的に婚活のイベント等も取り組んでいきたいという状況にあるというふうに認識しております。こういう形で若手農業者の方々が自主的に創意と工夫でそういうイベントを企画して実際に伴侶を見つけていくということが非常に重要だと思っております。県としてはこの若手――静岡県農業青年クラブの主体的な活動について今後とも必要な支援をしていきたいと思っております。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) これで阿部卓也君の質問は終わりました。(拍手)

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp