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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小楠 和男 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/29/2012

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 浜名湖の観光について
2 津波対策について
 (1) 海岸防潮堤
 (2) 海岸防災林
 (3) 国道一号と国道百五十号のかさ上げ
3 災害時の避難について
 (1) 河川の水位情報
 (2) 的確な情報伝達
 (3) 避難場所の指定方針
4 津波浸水が想定される地域のまちづくりについて
5 災害ボランティアセンターの機能強化について



    ○副議長(鈴木洋佑君) これで田内浩之君の質問は終わりました。
     次に、五十六番 小楠和男君。
           (五十六番 小楠和男君登壇 拍手)
    ○五十六番(小楠和男君) 東日本大震災後の本年度の議会では、震災、特に津波対策についての多くの質疑がありましたが、私も海岸を遊び場に育った人間として、若干重複する部分があるかもしれませんけれども津波等の防災対策を中心に質問をさせていただきます。
     まず、浜名湖の観光について伺います。
     平成二十一年四月に認可された浜名湖観光圏は、日本のほぼ中央に位置し、浜名湖や北遠の豊かな自然、温泉や多様なレジャーが楽しめる各種の施設と、そこにはぐくまれた豊富な食材、神社仏閣や関所などの歴史的遺産、産業の集積を生かした産業観光などの観光資源に恵まれています。一方で、ウナギ以外に浜名湖地域を代表するブランドがないことや、観光資源は多いものの、小粒でアピール力が弱く、それらの観光資源を結ぶアクセスが十分に整っていないこと、関東からも関西からも遠いとの印象を持たれてしまっていること、観光情報を一元的に管理、発信する中核がなかったことなどの多くの課題を抱えていました。
     一方、平成十六年の浜名湖花博の開催や会場跡地に整備された浜名湖ガーデンパークで開催された夏の屋外ライブコンサート、昨年初めて開催され、ことしも継続して開催される男子プロゴルフツアーとおとうみ浜松オープンなどのイベントは、浜名湖地域を全国に発信しました。またウナギに続くブランドを目指し、遠州灘天然トラフグやハモ、カキをかば焼き風に仕上げた牡蠣カバ丼などの新商品を売り出すとともに、伝統の和風スイーツみそまんをお店の垣根を越えて統一して売り出したり、浜名湖北部の五つの名刹が湖北五山として連携をしたりするなどの新たな動きもあります。私が過去に二度の本会議で取り上げた浜名湖の舟運についても、天竜浜名湖鉄道との接続を模索するなどの努力が続けられています。さらに本年四月には、浜松市が中国浙江省杭州市の西湖と浜名湖との友好交流協定を締結するとのことです。西湖は、年間七千万人もの人々が訪れる景勝地で、昨年六月に世界遺産にも登録されました。中国杭州市からの観光客誘致はもちろんのこと、この提携を広く内外にアピールし、浜名湖観光の活性化の起爆剤にすべきです。
     そこで伺います。浜名湖観光圏整備事業の現状と課題、残り二カ年度の取り組み方針について伺います。また富士山静岡空港を利用した観光客の今後の浜名湖方面への誘客への取り組みについて伺います。
     次に、津波対策について伺います。
     私は、先ほども申しましたが、遠州灘海岸から約一キロメートルのところで、三ちゃん農業――じいちゃん、ばあちゃん、母ちゃんが農業に従事し、父ちゃんは工場へ働きに行くという高度経済成長期の典型的な兼業農家に生まれました。海岸近くに畑が幾つかあり、物心ついたころには、通称米津の浜やお台場は私の大切な遊び場でした。
     そんな環境で育った私には、今回の震災の津波被害はとても他人ごととは思えず、仲間とボランティア組織浜松やらまいか隊を結成し、昨年五月に宮城県石巻市でボランティア活動に取り組みました。一日目に作業した石巻の旧市街地の惨状にも驚かされましたが、二日目に入った大川小学校周辺の太平洋に面した牡鹿半島の集落は、そこに人々の暮らしがあったことが想像できないほどの惨状で強い胸の痛みを感じました。その後、七月、八月、十一月とボランティア活動に取り組むとともに、被災した漁業者の漁業の再開のための資金を募るさんりく海の幸支援制度を立ち上げたり、浜松の漁師さんから船の寄贈申し込みを受け、石巻市に送ることなどの活動を行っています。これらの活動のため、昨年は六回、今年も二回、石巻市や周辺の被災地を訪問し、現地の皆さんの声をその都度聞くことによって行政の対応の課題など多くの示唆をいただいています。
     まず、浜松地域の遠州灘海岸の様子を申し上げます。
     浜松市の平野部は、三方原台地と磐田原台地との間を流れる天竜川によって形づくられた洪積平野です。天竜川が運んだ土砂は、遠州灘の波によって砂浜に打ち寄せられ、海岸線は南へ南へと南下していきました。半農半漁を営んでいた私たちの祖先は、海岸線が南下するたびに海岸と平行に土を盛り、松林をつくり、その間を農地として開墾し、農作物の増産に励むとともに、幾重にも重なる松林は津波から集落を守るという効果も発揮していたようです。
     そこで、遠州灘海岸の津波に対する多重防災の観点から幾つか伺います。
     第一に、海岸防潮堤についてです。
     浜松市の遠州灘海岸には、約六メートルから八メートルのコンクリート構造の防潮堤と高さ九メートル以上の海岸防災林が整備され、第三次被害想定の最大津波高に耐えられることとなっています。しかしながら東日本大震災による津波高が福島第一原発で十四メートル超との報道や、中部電力浜岡原子力発電所の津波対策の防潮堤が十八メートルの高さという数字がひとり歩きする中では、とても私は地域住民に安全・安心とは説明できません。国の被害想定と並行して県独自の被害想定を策定することは高く評価しますが、国、地方ともに財政状況が大変厳しい中、大規模な防潮堤のかさ上げ工事が日本全国で実施されるとは考えにくいことは、だれの目にも明らかです。また宮古市田老地区が大堤防を過信して多くの被害者を出してしまったことからも、防潮堤の整備にはおのずと限界があると思います。
     しかし、地域住民の切実な声にこたえようと、例えば県内市町が独自の予算で防潮堤のかさ上げをしたいとの要望が寄せられた場合に、海岸管理者としての県はどのように対応するのかお伺いします。現実に、昨年十二月の浜松市議会の本会議で具体的な議論がなされていることを申し添えます。
     第二に、海岸防災林についてです。
     遠州灘海岸には、砂浜の後ろに百メートルから二百メートルの幅の海岸防災林が整備され、その最も高いところは高さ九メートル以上で、津波が防潮堤を越えたときに津波を防ぐ役割が期待されます。松林は、近年松くい虫により多くの松の木が枯れ伐採処分されましたが、松林の減少に追い打ちをかけたのが、昨年浜松地区に上陸した台風十五号です。この台風は静岡県内に甚大な被害をもたらしましたが、海岸防災林の被害もおびただしく、浜松市ではおよそ千五百本の松の木が海岸防災林から失われました。
     今後、海岸防災林の回復のための植林が行われることと思いますが、単に松くい虫に対する耐性を持った松や広葉樹を植えるだけでなく、海岸防災林のかさ上げや強化を図りつつ海岸防災林の回復を図るべきだと考えますが、所見を伺います。
     多重防災の第三の防御施設として提案したいのが、浜松市の海岸線を東西に走る国道一号と浜松から御前崎を経て静岡に至る国道百五十号のかさ上げです。遠州灘の平野部と地形が似ている仙台平野では、津波が海岸から約五キロのところを走る盛り土された仙台東部道路でとまったそうです。五月に実際にこの道路を走りましたが、東の海側には無残な津波被災地が横たわり、高速道路ののり面下には瓦れきがうずたかく積み上がっていました。一方、西側には普通の町並みが広がっているのを見たときに、盛り土をしたこの高速道路の津波抑止力に注目させられました。この仙台東部道路のさらに五キロ西には仙台駅があり、仙台市中心部も、もしこの道路がなかったならば津波被害を受けていた可能性があります。
     さて、国道一号の篠原インターチェンジから西側の浜名バイパスは一部が盛り土構造となっており、防潮堤の役割を果たすと考えられます。一方、国道一号の浜松バイパスは、六車線の都市計画決定に対して暫定の四車線で整備されており、将来的には盛り土構造が可能と考えられます。国道百五十号との石原町交差点や舞阪竜洋線との大柳町交差点などでは、いまだに慢性的な交通渋滞が続いており、国道一号の盛り土構造による立体交差化は、津波対策との一石二鳥の効果があると考えます。また国道百五十号は、遠州灘と駿河湾の海岸線に並行して走っており、津波対策の効果は絶大だと思います。さらにこれらの道路が津波に対する防潮堤の役目を果たすことになれば、今後各市町が建設を進める津波避難タワーや津波避難マウントは、この道路と海岸線の間にだけ建設すればよいことになり、必要とされる津波避難施設の数は、この二つの道路のかさ上げによって大きく減少させることができます。
     国も地方も限られた予算の中で、効率よく津波対策を進める上でも、国道一号と国道百五十号のかさ上げはその費用対効果が高いと思われますが、所見を伺います。
     次に、災害時の避難について伺います。
     昨年九月二十一日に浜松地区に上陸した台風十五号は、東日本に上陸した台風としては戦後最大級の勢力の大型台風でした。浜松市では、市内を流れる馬込川、芳川、安間川の三河川が、はんらんのおそれがあるとして、流域の中区、東区、南区の住民八万六千世帯余、人口にして二十一万三千人余に避難勧告を出しました。浜松市の全人口の四分の一を上回る大規模な避難勧告でした。浜松市は、午後二時十五分に自治会長宅などに設置されている防災受信機等で連絡を流すとともに、テレビやラジオ等のマスコミを通じて避難勧告を知らせる作業をしましたが、この時間は既に停電していた地域も多く、避難勧告の情報を得るにはラジオしか方法がなかった方々も多かったとのことです。
     実は、旧浜松市では、同報無線の屋外スピーカーは、地域住民のうるさいとの声で、昭和四十年代に撤去されてそのまま。家庭用防災受信機は、自治会長ほか各自治会に二台しか設置されていません。結果、避難勧告の出た地域では、テレビやラジオ、もしくは家庭に防災受信機があった方々しかその情報を得ることができませんでした。
     そこで、幾つか伺います。
     第一に、河川の水位情報についてです。台風の後、南区の複数の自治会長さんから、避難勧告の発令時だけでなく、常に河川の水位の情報が得られるように、橋の橋脚や護岸に水位の表示をできないかとの相談を受けました。今回洪水の危険が生じた馬込川、芳川、安間川は県管理の河川であります。県管理河川の水位の確認の仕組みと、市町への情報伝達方法、また地域住民が情報を得るための方策についての取り組みについて伺います。
     第二に、的確な情報伝達についてです。水害を初め津波や地震などによる災害発生のおそれが生じた場合、避難勧告や指示は市長、町長の役割となりますが、情報伝達の問題点も指摘しておきたいと思います。旧浜松市以外の県内市町の住民の皆様は、屋外スピーカーや家庭用の防災受信機により防災情報を受けることができますが、今日の機密性の高い住宅やマンションでは同報無線のスピーカーの声がほとんど聞き取れないと伺います。また台風等の暴風雨時では、洪水や土砂災害の情報は同報無線ではほぼ伝達不可能だと思われます。現在各市町では、国で推進した全国瞬時警報システム――Jアラートの導入が完了しているほか、携帯電話やスマートフォンにより防災情報を提供するなどの情報伝達手段の複数回線化の仕組みを整えつつありますが、残念ながらすべての住民をカバーできるわけではありません。
     そこで、県下市町の防災情報が的確に住民に届いているのか、現状とその対策をお聞かせ願います。
     第三に、避難場所の指定方針について伺います。
     災害対策基本法や県、市町の地域防災計画などでは、避難場所の指定と誘導については、これまた市町の行うべき仕事としています。東日本大震災の津波被害を受け、沿岸市町では独自の津波対策として既存の高層建築物を避難ビルに指定する作業を進めるとともに、適当な高層建築物がない地域には、津波避難タワーや津波避難マウントなどの整備を進めようとしています。
     一方、河川のはんらんや洪水による避難の場合ですが、勧告や指示が出たものの、暴風雨時に何キロも歩いて現在指定されている避難場所に向かうということが本当に安全なのか、疑問に思うところでもあります。地球温暖化が進み大型の台風が今後も日本列島を襲う頻度が高くなると予想される中、今回の東日本大震災の教訓もあわせ、今後各市町において避難場所の指定変更が進むものと思われます。
     この機会に、津波、洪水、土砂災害などそれぞれに十分対応できる避難場所が指定されることを望みますが、避難場所の指定方針については、各市町だけでなく県も主導的にかかわるべきだと思います。県はどのような取り組みを行うつもりなのか伺います。
     次に、津波浸水が想定される地域のまちづくりについて伺います。
     昨年末に、津波防災地域づくりに関する法律が制定、施行されました。先ほどの田内議員の質問にもありましたが、私は、この法律の施行を海岸線の観点から取り上げたいと思います。この法律は、将来起こり得る津波災害の防止、軽減のため全国で活用可能な法律です。ハード、ソフトの施策を組み合わせた多重防御による津波防災地域づくりを推進するための法律であり、当然本県もその対象になります。
     この法律では、都道府県知事が幾つかの大きな役割を担います。その第一は、津波浸水想定を設定し公表することです。この津波浸水想定を踏まえ、各市町村は、津波防災地域づくりを総合的に推進する推進計画を策定することができます。その推進計画により第二の役割として、都道府県知事または市町村長は、津波防護施設の新設、改良、その他の管理を行うとされ、津波を防ぐハードの対策を実施することとなります。
     さらに、ここからが私が重要と思い指摘したいことなんですが、第三に、都道府県知事は、警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域を津波災害警戒区域として指定することができるとされており、さらに都道府県知事は、警戒区域のうち津波災害から住民の生命及び身体を保護するために、一定の開発行為及び建築を制限する区域を津波災害特別警戒区域として指定することができるとされています。これは、どちらもできる規定であり義務ではありませんけれども、法律の趣旨である津波災害の防止、軽減のため、そして我が県が防災先進県であり続けるためにも、両区域の指定は、私はせざるを得ないと思います。土地利用に大きな制限がかかるのはもちろん、現在そこに住む人々や事業活動をしている方々には、土地区画整理事業の特例や津波避難建築物の容積率の特例、集団移転促進事業の特例などにより安全な住まいや事業環境の整備が行われることも可能にはなっていますが、その莫大な事業費をどう捻出するのかは、早期の復興を願う東北の被災地でも明らかにはなっておらず、我が静岡県において、津波浸水想定地域で集団移転や特別の区画整理事業がすぐに始まるとは思えません。したがって津波災害警戒区域や津波災害特別警戒区域を指定することは、現在そこに住む住民や事業者の不安を増幅することになりかねない極めて重大な案件だと思います。
     そこで、津波に強いまちづくりに向け、津波災害警戒区域と津波災害特別警戒区域の指定について、どのように取り組んでいくのか伺います。
     本年の知事及び県の施策の筆頭に挙げられるキーワードは「内陸フロンティア」と承知しています。新東名の開通により内陸部に新たな光が差すことはとても喜ばしいことです。一方、津波被害の予想される沿岸部の地域においては、昨年の東日本大震災以降、企業の進出予定がキャンセルになったり、現在事業活動を行っている企業が内陸部や県外への移転を発表するなどの事例が相次ぎ、個人住宅の建築についても契約のキャンセルが続出し不動産の売買は全く成立しない状況です。海岸沿線の地域には暗雲が立ち込めています。津波に対する施策を総動員して、早くこの暗雲が吹き払われることを切望しております。
     最後に、災害ボランティアセンターの機能強化について伺います。
     静岡県の地域防災計画では、大規模災害時には、静岡県災害ボランティア本部・情報センターと出先の静岡県災害ボランティア支援センター、さらに市町災害ボランティア本部の三種類の活動拠点が設置されることになっています。ボランティアの性格上、これらの拠点は、県、市町の災害対策本部と連携しながら活動するものの、行政の指揮下に入るものではないとされています。
     一方で、今回の東日本大震災では、NGOやNPO等の団体や個人のボランティアの活動が各地で大々的に展開され、大きな成果をおさめています。本県が、岩手県遠野市を拠点に行政と静岡県ボランティア協会が一体となって取り組んだ活動なども、新たな災害支援の体制を示したものと思われますし、今回の大震災は、本県の災害ボランティア活動を見直すよい契機だと思います。
     浜松やらまいか隊の活動は先ほど紹介させていただきましたが、この活動の窓口になってくれたのは石巻災害ボランティアセンターで、ここを中心にしたボランティアの活動は、後に石巻モデルと呼ばれ、注目されることになります。この石巻モデルの第一の特徴は、センターを石巻専修大学に置くことができたことです。大学の建物の一部や広大なグラウンドが使用可能になったことで、被災した石巻市社会福祉協議会の事務所にかわる事務局体制が機能し、グラウンドがテントサイトとして利用可能で長期間滞在できるボランティアを多人数受け入れることができました。これは、石巻市と大学との間で災害協定を結ぶべく協議中であったためで、行政による事前の災害対策の重要性が確認されました。
     第二に、母体となった石巻市社会福祉協議会は施設職員みずからが被災者であり、三月十五日に災害ボランティアセンターを立ち上げたものの十分に機能しませんでした。この事態をサポートすべく、地元の青年会議所などの各種グループが即座に立ち上がるとともに、震災直後から石巻入りし長期間滞在していたピースボートなどの経験豊富なNGOや、全国から集まったボランティアのグループの代表も加わって、三月二十日にNGO・NPO支援連絡会が設立され、四月二日には発展的に石巻災害復興支援協議会と名称を変更し、活動が活発化していったことです。この協議会では、事務局のもとに炊き出しや医療、心のケアなどの九つの分科会が設置され、ボランティアに訪れた各種団体は、基本的にいずれかの分科会に所属して活動するなど意志決定と活動が重複することなくボランティア活動がスムーズに展開できたことは特筆すべきものだと思います。
     第三に、行政の設置した石巻市災害対策本部を構成する関係機関として、石巻市災害ボランティアセンターはもちろんのこと、この石巻災害復興支援協議会も参加してNGOの活動報告や提言をしていることです。また炊き出しについては、定期的に自衛隊とも打ち合わせを行うなど、むしろ行政機関側が積極的にNGOなどの団体を評価して活動しやすい環境を整えたとも言えると思います。この石巻モデルは、雑誌「アエラ」に掲載されるとともに、一冊の本にまとめられて出版されました。また拓殖大学の長坂寿久教授などの研究者、行政や社会福祉協議会関係者などの注目すべきところとなっています。
     そこでお伺いします。本県では、地域防災計画で冒頭申し上げた体制を整備するとともに、災害ボランティアコーディネーターの養成に努めてまいりましたが、大震災では、災害ボランティアの中核となる社会福祉協議会の職員や研修を受けたボランティアコーディネーターも、みずからが被災者となってしまいます。それを補完するために、全国から集まるNGO等の各種団体のボランティアの力を石巻市のように行政が積極的に活用する体制に見直す必要があると思いますが、所見を伺います。
     また、県や市町が設置する災害ボランティアの活動拠点は、現在は県の総合庁舎や市町の福祉センター等が予定されていますが、先ほどお話しした石巻専修大学のように、長期間にわたるNGOの活動が可能な十分な敷地と事務局機能が発揮される場所に変更する必要があると思いますが、所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 小楠議員にお答えいたします。
     初めに、津波対策についてのうち、海岸防潮堤についてであります。
     東日本大震災を踏まえた津波対策の基本的な考え方は、発生頻度の高い津波に対しては、海岸防潮堤等の整備により防御するとともに、最大クラスの津波に対しては、海岸防潮堤や既存道路のかさ上げなどの防御施設の整備に加え、避難体制の整備や津波に対する安全な構造や居室の高さを津波の浸水する高さ以上に設ける建築制限などのソフト施策を行うことでございまして、これらを総合的に組み合わせた多重防御の発想により対応することとしております。
     現在、平成二十五年六月を目途に、第四次地震被害想定の策定作業を県独自で進めておりまして、これと並行して、沿岸部や河川、港湾への津波の動きを詳細に把握し、必要な高さと粘り強さを――粘り強さとは、津波が襲ってきたときに、仮にそれを乗り越えても防潮堤それ自体が壊れないことを通して、その津波の力を弱めることを指しますが、そうした粘り強さを有する海岸防潮堤の構造について検討を進めています。これらの結果を踏まえまして、ふじのくに津波対策アクションプログラム中長期対策編を策定することとしております。
     東日本大震災後の緊急的な津波対策として、昨年九月にアクションプログラム短期対策編を策定し、河川堤防のかさ上げや防潮堤の整備などを前倒しして実施しています。しかし中長期対策編に位置づけられる防潮堤等の事業量によりましては、財政事情が厳しい中、予算を重点配分いたしましても短期間での整備が困難となる事態も想定されます。
     こうした状況の中で、御質問にお答えいたしますが、市町などが独自の予算で海岸防潮堤のかさ上げ等を実施なさいますときには、早期整備に向けた、これは有効な手段の一つとして御歓迎申し上げるという姿勢でございます。今後のアクションプログラムの実施に当たりましては、こうした市町の協力のほか、民間資金の活用なども視野に入れ、地域におけるさまざまな創意工夫についても積極的に取り入れまして、多重防御の最前線となる海岸防潮堤の早期整備こそが一番大切だということで、それに努め、県民の命と財産を守る津波防災対策を推進してまいります。
     次に、災害ボランティアセンターの機能強化についてであります。
     十七年前の阪神・淡路大震災におきまして、全国から集まった多数の災害ボランティアの方々が活躍されました。また今回の東日本大震災におきましても、大変たくさんの方々が被災地に入られ、発災後一年近くたった現在もなお被災者のために献身的な活動をされていることに対しまして、改めて深く敬意を表するものでございます。
     本県におきましては、災害ボランティア本部の設置は県と市町が行い、運営については社会福祉協議会やボランティア団体が担うなど行政と社会福祉協議会、ボランティア団体とが連携して災害ボランティアの活動を支えることとしています。しかし東海地震などの大規模災害発生時におきましては、議員が御指摘なさいましたように、地元の社会福祉協議会の職員、あるいはボランティア自身が被災して人手が不足することが想定されます。静岡県といたしましては、平成十七年度から県と県ボランティア協会が中心となりまして、各災害ボランティア本部の立ち上げと、実際に県内外から約三百人のボランティアが参加して、災害ボランティア受け入れのための図上訓練を毎年実施し、受け入れ体制の検証を行っているところであります。今年度は三月三日、四日に行うことになっていますが、四日には防災担当大臣が視察に来られるというように承知しております。
     東日本大震災におきましては、本県からは、県ボランティア協会を中心に岩手県遠野市を拠点とする災害ボランティア団体とおのまごころネットに参加し、全国から訪れるボランティアの活動拠点を遠野市に設置し、市災害対策本部と連携をとりながら、沿岸被災地の現地ニーズの変化に的確に対応した支援を行い、各方面から高い評価を得ています。今後とも遠野市の活動や、議員から御紹介のありました石巻市での連携の仕方をお手本といたしまして、地域が連携する仕組みについて改めて検証を行い、県外からの支援を上手に受け入れることのできる能力――受援力を各地域で高めてまいります。遠野市の場合、三月二十六日の段階で我々の本部を提供され、そのすぐそばにボランティアが入れる広場を準備してくださいました。ただしそのときにはまだ支援を受け入れるだけの準備がない。しかしその対応の早さには敬服したところもございました。こうした受援力を高めていかなければならないという認識を私も持っております。
     今回の東日本大震災におきましては、災害ボランティアの活動が長期間にわたり、多くのボランティアの方々が活動に当たっておられます。静岡県では、県内各地域に八カ所設置を予定している県災害ボランティア支援センターや、市町ごとに設置を予定している災害ボランティア本部につきまして、数多くのボランティアが長期にわたって活動する上で支障がないか、来年度に市町の協力を得て見直しまして検証を進めてまいります。
     その他の御質問につきましては関係部局長から御答弁を申し上げますが、一点、冒頭で浜松の観光について言われたことについて、一言申し添えます。
     このたび、県と浙江省との交流三十周年を機に、浜名湖と西湖とが友好交流協定を結ばれるというのは大変うれしいニュースでございます。西湖が文化遺産になったとなれば、私は浜名湖もそれを目指すべきだと考えています。また浜名湖は、遠つ淡海、遠江。それはもちろん近江との関係で言われているわけでございます。議員の御質問の中に湖北五山という言葉が使われました。湖北五山の語源は京都五山、その前の鎌倉五山。その前に、杭州の周りにあった五山が原型です。ですからそうしたものをさらに広げますと、近江八景というのがございます。これは瀟湘八景という中国の名勝を近江の地域に見立てたものです。しからば遠江の八景はあるかというと、まだありません。それで、もう既にその方面の日本における恐らく最高権威と思われますのは、美術館の館長の芳賀徹先生ですので、遠江八景をつくってくださいというようなことを申し上げまして、そうした今回の友好協定を契機に、東海道の、いわばオアシスともいうべき浜名湖の観光資源を文化的、歴史的な観点から支えていきたいというふうに考えております。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 浜名湖の観光についてお答えいたします。
     浜名湖観光圏は、平成二十一年度から「未知なる香りに誘われて、ちょっぴり感動の旅」を基本テーマに、ウナギやフグに代表される食の浜名湖のブランド化、フラワーツーリズムの推進、奥浜名湖にある湖北五山の商品造成などに取り組むとともに、ツアーガイドの育成などの受け入れ体制の整備を進めてまいりました。しかしながら本年度実施いたしましたワークショップの結果によりますと、広域パンフレットの作成、あるいは地域資源を生かした旅行商品の催行によって集客やブランドの向上に一定の成果は得られたものの、各地での単発事業が多く、宿泊施設と連携した着地型旅行商品の造成が進んでいないなどの課題も出てまいりました。
     そこで、これらの課題に対応するため、来年度――平成二十四年度から財団法人浜松観光コンベンションビューローが推進主体となりまして、観光関係団体、地域づくり団体、行政等が連携して、圏域内の観光情報の集約と発信、着地型観光商品の企画と販売などを一元的に実施するワンストップサービス窓口の整備を進め、観光客への利便性の向上による観光交流人口の拡大を図ることとしております。
     また、海外誘客につきましては、自動車やオートバイ、楽器などの多彩な産業が集積する地域の強みを生かしまして、企業視察や報奨旅行、国際会議など目的性の高い、いわゆるMICEの誘致を行うこととしております。
     県といたしましても、浜名湖観光圏事業に加えまして、新東名の開通や浜松にゆかりの深い徳川家康公を活用した誘客プロジェクト等を通じまして、浜名湖観光圏の主要ターゲットである中京圏や首都圏はもちろんのこと、先ほど知事の答弁にもございましたけれども、浙江省友好三十周年を契機とした中国との友好交流、あるいは静岡空港を活用した韓国、台湾など東アジアを中心とした国内外からの浜名湖地域への観光誘客を積極的に促進してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 津波対策についてのうち、初めに海岸防災林についてお答えいたします。 
     浜松市の遠州灘海岸には、東西十四キロ、約二百九十ヘクタールの海岸防災林が生育し、台風や季節風等による砂の移動や塩害から住宅や農地を守るとともに、浜松の名にふさわしい白砂青松の景観を形成し、地域の憩いの場として利用されております。海岸防災林は、東日本大震災後の調査によれば、津波自体を完全に抑えることができなかったものの津波エネルギーの減衰や津波の到達時間の遅延、さらには危険な漂流物などを捕捉し津波被害を軽減する効果があったと報告されており、多重防災の一環として海岸防災林の重要性が改めて認識されたところであります。
     県といたしましては、浜松の海岸防災林は、台風や松くい虫の被害によりまして松林が減少しているところが見受けられますことから、海側には乾燥や松くい虫に強い抵抗性クロマツを植えるとともに、陸側では大きく育つ広葉樹などを植栽し機能の回復を図ってまいります。またくぼ地などの、特に地下水位の高いところでは、防災効果が発揮できるよう地盤のかさ上げをした上で植栽を進めるなど、津波被害の軽減効果が高く生態的にも安定した防災林の造成を進めてまいります。
     次に、国道一号と百五十号のかさ上げについてであります。
     東日本大震災では、仙台東部道路等の盛り土構造の高速道路が、道路の本来持つ産業の支援や交流の拡大を支える役割だけでなく、津波の防御や一時避難場所としての機能を果たしたことから、盛り土構造の道路は津波に対して有効であると考えております。浜松市から静岡市にかけての沿岸部の国道一号、国道百五十号の現状につきましては、国道一号浜名バイパスが盛り土構造となっているものの、その他の区間はおおむね平面の構造となっております。県といたしましては、来年六月に公表予定の第四次地震被害想定と並行して策定を進めておりますふじのくに津波対策アクションプラン中長期対策編におきまして、津波被害を防止し低減するための道路の盛り土構造についても一つの手法ととらえ、今後国から示される予定の技術基準等も参考にしながら検討してまいります。
     今後は、国道一号を管理する中部地方整備局や関係市町とも連携しながら、防潮堤などの海岸保全施設による津波対策や、避難ビルの指定などのソフト施策を組み合わせた多重防御の考え方に基づき総合的な津波対策を進めてまいります。
     次に、災害時の避難についてのうち、河川の水位情報についてであります。
     県では、百三十八カ所の水位計や百十二カ所の雨量計から自動送信される観測データとともに、四十九カ所の河川のカメラ映像により河川の水位情報を得ております。また治水上重要な馬込川等二十四河川につきましては、避難勧告等の目安となります避難判断水位に達した場合には、直ちに県土木事務所から関係市町あてに通報する体制を整えております。これらの水位情報は、気象・防災情報に関する県のホームページでありますサイポスレーダーによりまして、国が管理する河川も含め、十分間隔で最新の情報を配信しており、パソコンや携帯電話により市町のみならず、広く県民の皆様に対しても情報提供をしております。さらに昨年六月には、利用者が希望する河川の水位情報をメール配信できるよう利便性の向上を図ったところであり、最近では、一部の放送局におきまして、テレビのデータ放送による主要河川の水位情報の提供が開始されるなど情報発信の多様化が進んでまいりました。
     県といたしましては、引き続き情報収集体制の強化とともに、サイポスレーダーを初めこうした身近に得られる防災情報を県民の皆様に積極的に活用していただけるよう各種広報媒体を通じ周知に努めてまいります。
     次に、津波浸水が想定される地域のまちづくりについてであります。
     津波防災地域づくりに関する法律では、県が定める最大クラスの津波浸水想定に基づきまして、市町が津波防災地域づくりの推進計画を策定することができるとし、あわせて地域の選択として、県が津波災害警戒区域及び津波災害特別警戒区域を指定することができるとしております。津波災害警戒区域は、津波から住民等が円滑にかつ迅速に逃げることができるよう警戒避難体制の整備を特に行うべき区域であります。市町が区域内の民間施設を避難施設に指定する場合などには、容積率の緩和の特例や税制上の優遇が適用されるなど区域の指定によりまして、避難場所の確保を初め避難体制の整備促進が期待できるものと考えております。
     一方、津波災害特別警戒区域は、津波から逃げることが困難な住民等が建築物の中にいても津波を避けることができるよう一定の建築や開発行為に制限を加える地域であります。具体的には、社会福祉施設や学校、医療施設に加え市町の条例で定める建築物につきまして、居室の高さや構造を制限するほか、津波により倒壊等のおそれがある危険な建築物の移転勧告などができるようになります。したがいまして、今後県が策定します第四次地震被害想定を踏まえ、市町が津波防災地域づくりの具体的な姿を描き、地域住民の理解を得ることが区域指定の前提になると考えております。
     県といたしましては、市町による津波防災地域づくりの推進計画の作成に積極的に参画するとともに、区域の指定に当たりましては、市町の意図を十分踏まえつつ検討し、津波に対する県民の安全・安心の確保に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 災害時の避難についてのうち、初めに的確な情報伝達についてお答えいたします。
     災害時における被害の拡大を防止するためには、避難勧告や避難指示などの情報が、対象となる住民に迅速かつ的確に届く必要がございます。このため各市町では、同報無線や難聴地域に対する個別受信機の整備、市町や消防職員による広報車での巡回、電話による同報無線の聞き直しサービスなどにより、その伝達に努めているところであります。しかしながら機密性の高い住宅がふえていることなどから、同報無線や広報車による音声が聞き取れないという声もあり、また東日本大震災におきましても、地震や津波により同報無線が使用できなくなり、必要な情報が沿岸地域の住民に正しく伝わらなかったという課題が発生しました。
     こうした課題を踏まえまして、国では、本年度の第三次補正予算で市町村の防災行政無線の機能の向上を図るため、音声による情報伝達に加えましてメール、テレビ、ラジオなどさまざまなメディアへ文字情報などを発信するシステムの構築や、屋外スピーカーへの非常電源の設置など、高度化された防災情報配信システムの実証実験を行うこととしておりまして、県内でも沼津市と湖西市が参加を希望しております。加えまして県内の市町では、同報無線を主体とするこれまでの情報伝達手段のほかに、高性能スピーカーの導入、非常時に自動的にスイッチが入る防災ラジオの整備、携帯端末によるエリアメールの活用などさまざまな取り組みに着手しております。地域の住民に必要な災害情報が確実に伝達されることが、自助、共助を進める上で大変重要でありますので、県といたしましては、それぞれの地域特性を踏まえたこうした市町の取り組みについて、大規模地震対策等総合支援事業費補助金を活用した支援を行うなど国や市町との連携を図りながら、情報伝達手段の多重化や災害に強いシステムの整備に努めてまいります。
     次に、避難場所の指定方針についてであります。
     災害時の避難場所である避難地、避難所につきましては、市長や町長が指定を行うこととなっております。東海地震対策における避難所の指定に当たりましては、昭和六十三年に県が定めました避難計画策定指針の中で、発生することが想定される津波、山・がけ崩れ、延焼火災について、避難場所の設定基準を示し、市町による指定を指導しております。その結果、県内には現時点で七百五十七カ所の一次避難地、二百七十四カ所の広域避難地、千二百九十三カ所の避難所が指定されているところであり、津波避難ビル等の津波避難施設につきましても、平成二十四年二月一日現在で千四十三カ所が指定されております。
     県では、避難所の位置情報を県民に周知するため、静岡県防災GIS情報閲覧ページに掲載して見える化し、これを公表するとともに、市町の防災対策の検討にも活用できるよう提供しており、今後これらの情報を県民が携帯端末などでも取得できるよう取り組んでまいります。
     なお、風水害による避難所の中には、必ずしも河川の洪水による避難所への浸水や土砂災害の可能性などの検証が十分でないものもありますので、その見直しを早急に進めております。また県では、風水害に備えまして、避難所の情報に加え洪水浸水想定区域や土砂災害危険区域などの情報につきましても、このGISに掲載することで見える化し、市町と共有化してまいります。
     こうした情報につきましても、市町と協力をしまして、市町のホームページや携帯端末などで住民へも積極的に提供することで、災害時における住民の安全の確保を図ってまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) これで小楠和男君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。三月一日午前十時三十分、会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれにて散会します。

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