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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成14年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

植田 徹 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/05/2002

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○議長 (伊東伊佐美君)  おはようございます。 ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、 知事提出議案第一号から第九十二号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。  
     通告により、 十八番 植田 徹君。
            (十八番 植田 徹君登壇 拍手)
    ○十八番 (植田 徹君)  私は、 県議会初当選以来、 今日までみずからのライフワークとも言うべき我が静岡県の顔であります富士山について、 幾つかの懸案を再三取り上げて早期解決に向けての提言をいたしてまいりましたが、 本年もまたこれまでと同様に残された幾つかの懸案項目について質問をいたします。
     私が住む静岡県は、 他府県に比べ、 富士山を筆頭とする有数の自然美を多々保有することで有名です。 また、 風光明媚で気候は温暖、 さらには山海の資源に恵まれ加えて人心は穏やかで、 まことに申し分のない住環境の整った土地柄であります。 そうした静岡県の抜きん出た特質の中でも、 自他ともに認めるところの霊峰富士山こそは、 太古の昔から今日まで静岡県民に引き継がれてきた財産として、 我々県民がこの後も未来永劫に受け継ぎ、 守り続ける責務と使命を担っていると言えましょう。
     このかけがえのない遺産は、 県民が一丸となって管理し保存しなければならないことは言うまでもありませんが、 最近の各種報道に見られるとおり、 日本国民の願いであった世界遺産への登録が認可されなかった理由の一つは、 富士山のトイレ問題であったと聞いています。 この件について、 私は以前に発言していますが、 年間数十万人を数え夏季の最盛期には日に一万人を超える登山者があり、 日ごろから懸念をされていたのですが、 このことは日本人全体が富士山の環境問題に対しての意識が余りにも低く大きなマイナス要素として指摘されたのではないかということです。
     私たちにとって、 富士山は日本で一番高い山、 日本で一番有名な観光スポットといった程度の認識で果たしてよいのでしょうか。 私たちにとっての富士山は、 水資源や景観については言うまでもなく、 日本人そのものを象徴する存在であったはずであります。 周辺一帯の広域な環境の保護、 保全について、 私たちは改めて富士山の環境問題についての意識の改革に努めていかなければならないと思うのであります。 よって本日、 本議会における質問の機会をいただきましたので、 県はどのような対応で取り組もうとしておられるのか、 また、 それら幾つかの案件の進捗状況について、 知事並びに関係部長に詳しくお伺いをいたすものであります。
     まず初めに、 富士山麓先端健康産業集積構想について伺います。
     この構想は、 昨年まで先端医療産業集積構想、 いわゆるファルマバレー構想とされていたものでありますが、 医療・医薬という狭い意味にとらわれず、 幅広く県民の健康増進に寄与する先端産業の集積を図ろうと名称を変更されたものと思われます。 今日の厳しい社会情勢の中で、 常にストレスと闘いながら生きている現代人ではありますが、 健康で長生きしたいと願うのはだれもが持つ至極当然な願いであります。 急速な高齢化の進展と相まって健康に対する県民の関心はますます高まっており、 今後、 健康関連の商品やサービスには大きな需要が期待されます。
     折しも、 私の地元富士市では、 まだ民間レベルの将来構想ではありますが、 富士山ろくより市内大渕地区にわたる緑多き広大な原野を切り開き、 温泉を活用した医療施設とリラクゼーション施設を兼ね備え、 老若男女を問わず心身ともに開放的な時の逍遥が体験できるヘルシーパークを整備しようとする動きがあります。 また、 もう少し上の富士宮市粟倉地区では、 約四十四ヘクタールに及ぶ健康・医療・環境分野の研究団地の造成計画について、 土地利用計画の承認申請が市に提出されたものと伺っております。 このように、 もともと医療機器や医薬品関連産業が数多く立地する岳南地域に新たな健康関連産業の進出が進めば、 県の先端健康産業集積構想の推進に大きく寄与するものと考えます。
     石川知事も、 二月七日に富士市で開かれた岳南政経懇話会総会の席上、 この構想の推進に対して並々ならぬ決意のほどを述べておられましたが、 今後県では、 富士地域の健康産業の集積、 振興をどのように支援していかれるのか所見を伺います。
     次に、 我が静岡県は、 富士山ろく一帯の広大な山野を含む富士・愛鷹山近隣地域の資源保護、 景観保護等の諸観点から、 長年にわたってその事業推進に鋭意取り組んできた実績を持っています。 しかしながら、 近年、 富士山ろく一帯において、 急斜面崩落等による急速な地形変化及び環境変化の実情が頻繁に報告されています。 これらにかかわる対策を講じるためにも、 具体的な対策案の作成を望むものであります。
     特に、 鋭角な傾斜面を有する富士宮市側の現状は、 遠望すれば勇壮な富士山ろくの美しい姿も、 既に約一千年前にはその崩落が始まったと言われる大沢崩れの現場等を視察すれば、 その対策は待ったなしの状態であることを実感するものであります。 実際、 現地で間近に踏査すれば、 その荒廃した山肌があらわにさらされていて目を覆うばかりです。 このため、 現在も国土交通省により大規模な砂防工事が継続施工されており、 砂防工事のさらなる促進は言うまでもないものと考えるものであります。
     さてここで、 富士山のすそ野における地域の安全にかかわる治水上の問題が発生している現状を報告させていただきます。
     それは、 富士山の山すそから流れ出る幾条もの小河川による溢水被害の報告であります。 これらの河川は富士山ろくを一気に流れることから、 小河川とはいえ、 近年各地で頻発する集中豪雨によっては下流の市街地に被害を及ぼす暴れ川となることが知られており、 一日も早い全面的な対策の実施が待たれているというのが偽らざる現状であります。
     私の地元富士市にあっても、 砂沢川、 凡夫川、 伝法沢川、 滝川、 田宿川、 和田川等々の多くの河川が流下し、 市内各地に流入しております。 これらの河川においては、 これまで昭和四十九年の七夕豪雨や昭和五十一年の集中豪雨の大水害を契機に河川改修が進められてきております。 しかし、 まだまだ十分な状態ではないのが現状であります。 中でも、 小潤井川に注ぐ伝法沢川の千代田地区においては、 一昨年八月の集中豪雨による河川のはんらんにより、 床上・床下二十九戸に上る浸水被害が発生するなど、 これまでたびたび大きな水害に悩まされております。 しかるに、 この伝法沢川においては、 片倉雨水貯留池は整備されているものの下流の小潤井川の河川改修の進捗を待つ必要からか、 抜本的な河川整備が行われていないのが現状であります。
     さらに、 富士山ろくにおいては、 これまでさまざまな開発が行われ、 これに伴い河川へ流入する排水も年々増加しており、 洪水はんらんの危険度は今後ますます高まることは容易に想定され、 河川改修にあわせ片倉雨水貯留池に続く第二、 第三の貯留池のほか、 さまざまな洪水対策の実施が望まれるものであります。 富士市大渕地区の安全で活力あるまちづくりのため、 河川の治水対策を進めることは極めて重要なことであります。 よって、 伝法沢川とその流域における総合的な治水対策計画の早急な立案を要望するものであります。 これについての考えをお伺いいたします。
     次に、 富士山の火山防災対策についてであります。
     一昨年秋から、 富士山の低周波地震の多発を契機として、 富士山の火山活動が起こった場合、 それに伴う被害の防止、 軽減を図るため、 富士山ハザードマップの作成が進められております。 富士山ハザードマップは、 富士山の火山活動を見据え的確な避難誘導計画等の策定の基礎となるものであり、 国、 静岡県、 山梨県、 神奈川県、 富士山周辺の市町村が協力し合い、 その作成に取り組んでおります。 平成十四年度末には完成の運びとなるとのことでありますが、 一日も早い完成と防災計画への活用が図られることを強く期待しているところであります。
     さて、 このような中、 去る一月三十日付の新聞報道によれば、 国土交通省は、 来年度から富士山などを対象に、 火山の噴火後の被害を最小限に食いとめるため火山砂防対策の調査を実施し、 それぞれの火山や地域の実情に応じた緊急措置のメニューを整えるとのことであります。 富士山のふもとに暮らす者にとって、 富士山の噴火という事態は実に恐ろしく不安が募るわけでありますが、 ハザードマップの活用や噴火後の緊急措置計画の確立など防災対策の充実は、 この地域に住まい、 安心して暮らしていくための重要な課題であると考えております。
     そこで、 この富士山の火山砂防調査はどのような内容の調査なのか。 また、 具体的にはどのような防災対策が想定されるのかお伺いをいたします。
     次に、 富士山南ろく地域の土地利用についてであります。
     私は、 富士山のふもとに位置し、 広大な山林や原野から成る富士、 富士宮市等の富士山南ろく地域は、 さきに述べたように環境の保全と保護の視点から、 河川、 道路等の基盤整備を推進することはもちろんでありますが、 時代の変化に即応した新たな土地利用について創造していくべきであると考えます。
     現在、 富士山ろく海抜七百メートル以下の市街化調整区域の開発規制基準の見直しについては、 新市長を迎えた富士市において鋭意検討を進めておられると聞いております。 この見直しが図られるならば、 富士市はさらに周辺市町による今まで以上の県内外に向けた企業誘致への展開が可能となり、 もって雇用促進にも大きくはずみがつくものと思料され、 現在の富士市の財政や大手企業おのおのの急激な収入の落ち込みの現状を直視するに極めて時宜を得たものと私は考えます。
     広大な森林等の地域における大規模開発については、 周辺河川の広範囲の整備改修を行わなければならないといった重要な事案の解決が大前提となることは言うまでもありません。 しかし、 現実に富士市大渕地区においては、 既に、 地区の林業関連業種数社による地場産業の育成と推進、 また、 それにかかわる大型の施設建設の計画案が急浮上していることから考えますと、 当富士市における現行の開発の規制基準を早期に見直し、 新たな土地利用の枠組みを創造することについて、 また、 県としてもその土地利用の推進について、 労を惜しまず積極的に応援すべき格好の時期が到来しているものと私は受けとめております。 富士山南ろく地域の土地利用の推進についてどのようにお考えか、 県当局の御所見を伺います。
     次に、 富士ひのきの需要拡大策について伺います。
     富士山の周辺において、 長年にわたって継承されてきた林業関連企業各社の事業にあっては、 ここ数年の景気低迷の直撃を受けて、 経済的打撃を余儀なくされてきております。 しかし、 静岡県東部の林業関係従事者にあっては、 先祖より受け継ぐ事業をみずからの天職と定めて、 森林伐採や林地の環境整備、 閑休地における植林事業等々の常にたゆまぬ努力を続けて今日に至っているものであります。 さらに、 近年これらの林業関係者の間から、 富士山ろくの特産樹木とも称すべき良質の富士ひのきの積極的な利活用の展開を要望する声が上がっていることは御存じだと思います。
     この富士山周辺には、 数十年以前に計画的に植林が行われた良質なヒノキ材が、 近年大きく成長し従来のような高級和風建築の資材としてばかりではなく、 大量供給による価格の下方修正がなされることにより新築を希望する若年層にも広く歓迎される状況となっております。 これは、 古来より全国的に有名であった富士ひのきが、 現在の建築資材としても、 今なお高い需要のあることを示すよい一例であります。 しかし近年は、 木材の大半を輸入材料に頼ってきたこの業界の弱体化はいかんともしがたく、 ようやく地元の関係者の間からもこの富士ひのきを地場産業の目玉として、 富士ひのきブランドとして、 これらの需要にこたえようという姿勢が見られるようになってきたというわけであります。 このことは、 地元の関連業者の意識の改革がなされたことを示すよい一例でもあります。
     今回、 同業界より提案を受けることとなった富士ひのきは、 多岐にわたった需要にも十分な供給が約束されている。 同時に、 この林業関連業者の長い不景気からの早期脱出という切実な実情があるものと思われます。 現在、 この業界が置かれている深刻な窮状が率直に訴えられているという事実を見て、 私は微力ながらその事案に大いなる支援を送りたいと願う一人であり、 つきましては、 富士地域の林業の活性化、 特に、 富士ひのきの需要拡大策について当局における見解をお伺いいたすものであります。
     次に、 富士山ろくの地下水汚染対策についてであります。  
     従来から、 富士、 富士宮、 沼津、 御殿場、 裾野、 三島等の静岡県東部の各市にあっては、 富士山から湧出する尽きることのない無限で良質の地下水によって、 市民の生活用水のほとんどを賄ってきました。 しかし、 富士山ろくは広大な山林原野を抱え、 ここ三十年来、 廃棄物最終処分場の設置が集中するとともに、 廃棄物の不法投棄も後を絶たないのであります。 これらの処分場の中には、 規制の緩やかだった時代に設置されたものも多く、 また最近の例では埋め立て終了後に跡地利用の目的で手を加えられたものもあると聞いております。
     さらに、 硫酸ピッチの不法投棄事件に象徴されるように、 周辺環境への影響を無視して不適正に処分されたものもあることから、 地下水への影響が危惧されるところであります。 現時点では、 地下水の水質への影響はあらわれてはおりませんが、 富士山周辺の地下水は数十年前の雪解け水が地上にわき出たものと言われており、 短期間でその影響の有無を判断すべきではありません。 また、 廃棄物最終処分場の設置に当たっては、 事前に周辺環境に与える影響を調査することとなっておりますが、 短期間での調査であるため、 数十年先の影響を正確に評価できるのか疑問が残ります。
     さらに、 廃棄物処理法では、 最終処分場の埋め立てが終了しやがて廃止された後は、 特段の管理を必要としないこととなっていることからも、 廃止後の地下水への影響が懸念されるところであります。
     そこで県は、 最終処分場の設置から埋め立て終了さらには廃止後の跡地利用に至るまで、 地下水への汚染を防止するため、 どのように対応しているのか伺います。
     次に、 富士地域煙突ゼロ作戦についてであります。  
     二十一世紀は環境の世紀と言われ、 地球規模において温暖化防止が人類共通の課題となっております。 国においては、 温暖化効果ガスの削減を目的とする京都議定書の批准に向けた作業が進められておりますが、 効果的な対策なしには削減目標六%の達成は相当困難が予想されるところであります。
     こうした中で、 本県は、 静岡県地球温暖化防止対策推進計画、 いわゆるふじのくにアジェンダ21の改定作業を進めていると伺っておりますが、 最初に、 本県の二酸化炭素削減の取り組みに向けての知事の御所見を伺います。
     さて、 私の地元である富士市は、 富士山の景観という自然環境に恵まれた特色と紙・パルプを中心とした工業都市として発展してまいりました。 過去には、 公害問題で苦しんだ時代もありましたが、 各方面の方々の御努力により、 これらの問題を乗り越えてまいりました。 しかし、 富士市は、 温暖化の主要因である二酸化炭素の排出量を見ますと、 平成九年度で静岡県全体の排出量の約一四%を占め、 そのうち産業用が七七%を占めるまでに至りました。
     県では、 こうした状況を改善するため、 来年度から温暖化防止のモデル事業として富士地域煙突ゼロ作戦を実施する考えと聞いております。 具体的削減手段としては、 天然ガスによるコージェネレーションシステムの導入促進を掲げております。 天然ガスは、 化石燃料の中で最も二酸化炭素の排出量の少ない燃料であり、 現状においては、 天然ガスによるコージェネレーションシステムは省エネルギー効果の高い方法であり二酸化炭素の削減効果の高い方法であります。 また、 硫黄分を含まないため煙突の高さも低くすることができ、 富士地域の景観向上にも大いに貢献するものではないかと期待されるところであります。
     しかしながら、 これらのシステムの導入には大きな投資が伴います。 現在までの富士市の天然ガスコージェネレーションシステムの普及状況はと申しますと、 七つの事業所に導入され総発電量は約二万一千キロワットと聞き及んでおりますが、 現在の日本経済は戦後最悪と言われるほどの不況であり、 富士地区の各企業においても大きな投資の伴う設備投資は非常に厳しい状況にあるというのが現状であります。
     そこで、 導入促進のためには支援策の充実が急務であると考えますが、 具体的な支援策について、 県はどのように考えておられるのか伺います。
     また、 民間企業へ二酸化炭素の削減を要請していくためには、 まずは、 県や市の公共機関における積極的な取り組み姿勢が必要ではないかと考えます。 さらには、 富士地域での温暖化防止モデル事業を発展させ、 全県下に波及させていくこともこれからの課題であります。 今後、 天然ガスコージェネレーションシステムを県内にどのように普及していくのか、 知事の見解をお伺いいたすものであります。
     最後に、 PFIの導入について伺います。
     民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、 いわゆるPFI――プライベート・ファイナンス・イニシアチブは、 英国において、 一九八〇年代のサッチャー政権下での英国病と言われた財政危機にあえいでいた中で、 官で行っていた事業を可能な限り民営化することにより財政赤字の克服に貢献し、 あわせて民間企業の活力、 国際競争力を高め、 さらに一九九〇年代には、 メージャー政権下で公共事業のライフサイクルのコスト削減を目的に民間資金の導入を提案、 結果として、 従来手法のライフサイクル、 すなわち設計、 施工、 維持管理、 運営等がばらばらに業務遂行されてきたものを一元的に行うことによって、 ライフサイクルコストの削減を図り行財政改革が加速され、 このPFIの導入に伴い、 行政担当者の市場原理への対応能力を高める等、 意識改革を図ることで、 行政改革への徹底という最終目標に向かって大きく前進したのであります。
     さて、 国内において、 一九九九年にPFI法の成立に伴って、 本年一月末までに四十一案件が実施方針を策定しており、 調査検討中も含め数百件に上るといわれ、 事業案件の数もさることながらPFIの導入を行った結果として、 各地方公共団体の職員の間では、 市場経済の導入、 またライフサイクルコスト削減への考え方に大きな変化があったと聞きます。
     そこで、 我が県においても、 財政状況逼迫の折、 行財政改革への足がかりとして積極的に取り組むつもりはないかお伺いをいたしまして、 私の質問を終わります。 ありがとうございました。 (拍手)
    ○議長 (伊東伊佐美君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  植田議員にお答えをいたします。
     初めに、 富士山についてのうち、 富士山麓先端健康産業集積構想についてであります。
     この構想では、 富士地域を初めとする富士山ろくにおいて、 医薬、 製薬、 健康増進に関する研究開発を促進するとともに、 健康関連産業の振興、 集積を目指すこととしております。 今月末までに、 このための具体的な達成目標と今後五年間に取り組むプロジェクトなどを明らかにした戦略計画を作成することとしております。
     この計画では、 まず、 構想推進の中核的役割を担う支援組織として、 構想推進センターを設置することとしておりまして、 平成十四年度中――来年度中をめどにその設置準備を進めてまいります。 その上で、 前提となる先端的研究開発の基本戦略については、 静岡がんセンター研究所の設置・運営や産・学・官の共同研究の促進を図るほか、 先端医療普及促進事業にも取り組むことを考えております。
     特に来年度は、 医薬開発の分野において、 県内の国公立病院の参加、 協力を得て、 先進医薬品の評価を行うネットワークの構築を図ることとしております。 また、 新産業の創成と既存産業の活性化の基本戦略として、 しずおか夢企業新事業や静岡TLOやらまいかの活用を図りますほか、 健康関連のベンチャー企業を育成するための助言や施設提供等を行うメディカル・インキュベート・システムの構築、 観光と健康を結びつけたウエルネス産業の育成などに取り組んでまいりたいと考えております。 今後とも本構想の具体化に向け、 着実に取り組んでまいりたいと思います。
     次に、 富士地域煙突ゼロ作戦についてであります。  
     地球温暖化対策につきましては、 これまで各主体の自主的な実践行動の取り組みに主眼を置いてまいりましたが、 今後は、 県民、 事業者、 行政の一層の連携のもと費用対効果を念頭に置きながら、 二酸化炭素などの削減量が目に見えるようなぐあいにしたいと、 そのための確実な取り組みを推進してまいる考えであります。
     具体的には天然ガスコージェネレーションシステムや低公害車の普及、 製造工程から放出されているフロンガスの回収の徹底、 燃料電池などの新技術の導入、 さらに、 二酸化炭素の吸収源となる森林や里山の健全な整備などについて、 現在改定作業中のアジェンダ21に盛り込み九〇年度対比六%の削減を目指してまいります。
     県みずからの取り組みとしましては、 来年度、 天然ガスコージェネレーションシステムをこども病院に導入を予定いたします。 さらに、 低公害車につきましても、 現在までに二十八台導入しておりますが、 来年度、 さらに二十一台導入をするなど率先して取り組んでまいりたいと考えております。
     特に、 この天然ガスコージェネレーションシステムにつきましては、 二酸化炭素の削減が約三割期待できるということ、 それから煙突が不要になり景観向上や地震防災にもつながることから、 特に富士地域において、 このシステムを活用した煙突ゼロ作戦を展開することとしておりまして、 企業への支援策として、 全国でも初めてとなる補助制度を今議会にお諮りしているところであります。
     この制度の実施に当たりましては、 新エネルギー・産業技術総合開発機構、 いわゆるNEDOや富士市とも連携して、 企業への導入を図ってまいります。 なお、 煙突ゼロ作戦では、 約四十社の企業への普及を見込んでおります。 これが達成されますと二酸化炭素を約四十万トン、 県全体の排出量の一%の削減ができるものと期待をしております。 六%の削減の中の一%ということで、 大変大きな分量になると期待をしております。
     今後は、 このシステムのリースや共同購入、 あるいはその事業者にかわって初期投資を肩がわりするESCO事業  エネルギー・サービス・カンパニーという仕組みでありますが、 このESCO事業などを取り入れまして、 それぞれ導入条件に合った手法を取り混ぜて、 事業者に対して普及啓発、 働きかけをしながら、 あわせて国の制度の拡充もお願いするなど、 いろいろな政策を取り混ぜて普及拡大に努めていきたいと思います。  
     特にこのESCO事業――エネルギー・サービス・カンパニー制度は、 最近よく言われます固定資産を減らしてできるだけ経費化するという現在の企業手法を考えますと、 このエネルギーシステムを代替わりして経費化できるという点で、 大変受け入れ側も受け入れやすいんじゃないかというふうにも思いますので、 これらに注目をしておるところでございます。
     その他の御質問については、 関係部長から御答弁申し上げますが、 植田議員の富士山を大切に思うその気持ちには全く私も敬意を表しますし、 また同感でございます。
     話題がちょっと飛ぶようでありますけれども、 六月のワールドカップにおきまして、 本県内四カ所のキャンプ地が立候補しておりました。 幸いこの四カ所ともすべてチームが決まりましたけれども、 この決定に当たりまして、 富士山の持つ意味が大変大きかったと推定されます。 特に、 一番最後に滑り込むような形でセネガルのキャンプ地に決まりました藤枝市の場合は、 折衝の過程で藤枝の 「藤」 が富士山と同じ発音だというようなこともあって、 まあこれは美しい誤解かもしれませんが、 ごろがいいということもあって、 加えて富士山も見えると、 ここにキャンプ地を張りたいということで、 他の候補地、 幾つかあったようでありますけれども、 決定打がそれになったと言われるわけです。
     清水その他の地域についても同様な情報もありますし、 その点で、 やはり富士山の持つ価値というのは、 この地域に住む我々の想像以上のものが世界的に広がっているというふうに思えるわけでございます。
     昨日も、 ギリシャの首相を小泉総理が官邸でお迎えする晩さん会に、 私も地方団体としては唯一静岡県が招かれて行ってまいりました。 これは前々からのギリシャとの関係が御縁でありましたが、 同じテーブルに座りましたギリシャの渉外担当の女性の方といろいろお話をしておりましたら、 最初は静岡県と言ったら、 どこのどいつかというような顔をされましたが――私は日本人ですけれども――富士山のある地域だと名刺を示してお話をしましたら、 もうそれ一言で、 「ああ」 って、 「非常に有名な山でよく知っています」 と、 「一度行ってみたい」 というのは、 まあこれは外交辞令かもしれませんが、 そういう話がありました。
     事ほどさように、 私もいろんなところで、 富士山のすごい価値をいろいろ体感いたします。 それだけに、 富士山をいい山で後世に受け渡していくことの重要性を感じているところでございます。 今後ともいろいろな機会にまたお力添えもいただきたいと思います。
     その他の御答弁は、 関係部長から申し上げます。
    ○議長 (伊東伊佐美君)  山口土木部長。
            (土木部長 山口 修君登壇)
    ○土木部長 (山口 修君)  富士山についてのうち、 初めに、 富士市伝法地区の治水対策についてお答えいたします。
     伝法沢川の流域では都市化が進み、 近年洪水被害が頻発していることから、 早期に効果が発揮できます治水対策の実施が求められているところでございます。 このため県では、 平成十三年の三月に富士市と共同で検討会を設けまして、 平成十二年八月の洪水によります浸水被害の解消を当面の目標とした総合的な治水対策の検討を開始したところでございます。 具体的には、 小潤井川で治水上のネックとなっております錦橋地点の改修や伝法沢川上流地区におきます調整池の建設、 また、 流域におきます貯留施設の整備やハザードマップの整備など、 実効の上がります防災対策の選定とその実施方法などにつきまして検討を進めているところでございます。
     県といたしましては、 平成十四年度末を目途に計画の策定を行いまして、 流域を挙げて総合的な治水対策の実施に取り組みますとともに、 放水路や遊水地の建設など伝法沢川の抜本的な治水対策につきましても、 引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
     次に、 富士山の火山防災対策についてであります。
     平成十四年度から始まります国の調査は、 危機管理の観点から富士山の噴火時及び噴火後の被害を最小限にとどめるため、 迅速で効率的な火山噴火対策の実施に関する調査をおおむね三カ年をかけて検討するものでございます。 具体的には、 富士山で過去に発生の事例があります溶岩流や火砕流、 土石流などを対象に、 大規模な導流堤や遊砂地などの防災施設の効果的な設置場所や工法、 また、 無人化施工の方法などの検討を行いますとともに、 火山監視施設の設置など災害情報ネットワークの整備のあり方につきましても、 調査検討を行うこととしているところでございます。
     県といたしましては、 本調査を国と共同で実施するとともに、 富士山ハザードマップの早期完成など富士山におきます土砂災害対策の一層の充実に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
    ○議長 (伊東伊佐美君)  佐藤都市住宅部長。
            (都市住宅部長 佐藤侃二君登壇)
    ○都市住宅部長 (佐藤侃二君)  富士山についてのうち、 富士山南ろく地域の土地利用についてお答えいたします。
     富士市のまちづくりを含めた土地利用をどのように進めていくかは、 原則として地元市の判断にゆだねられており、 また、 都市計画法に基づく開発許可の権限は特例市である同市の市長にあります。 しかしながら、 市街化調整区域の開発規制基準の見直しについては、 今後富士市から相談があれば、 県といたしましては、 全国的な規制緩和の動向や全県的な見地からの助言など積極的に協力してまいりたいと考えております。
     一方、 具体的な大規模開発事業に対しては、 静岡県土地利用指導要綱に基づく審査、 指導に当たり、 富士市の意向や同市の総合的な土地利用計画に合致するものについては、 地元富士市と連携を図りながら迅速に対応してまいりたいと考えております。
    ○議長 (伊東伊佐美君)  片山農林水産部長。
            (農林水産部長 片山淳三君登壇)
    ○農林水産部長 (片山淳三君)  富士山についてのうち、 富士ひのきの需要拡大対策についてお答えいたします。
     富士地域の森林は、 その多くが戦後富士山ろくを中心に一斉に植林されたヒノキを主体としており、 近年、 伐採の時期を迎えようとしています。 林地の傾斜は平均十八度と比較的なだらかで、 高性能機械等の導入による伐採搬出等の作業が容易であり、 この立地条件を生かして恵まれた森林資源を積極的に活用することが求められております。
     このため、 県といたしましては、 富士流域林業活性化センター等と連携し、 高性能機械等による低コスト作業システムの確立や市場における素材――原木でございますが、 その量的な確保及び性能、 品質の確かな製材品の供給体制の確立に努めております。 今後は、 プレカットや集成材等の高次加工施設や製材品の流通関連施設の設立について、 地元市町や関係団体等と検討を進めるなどして、 富士ひのきの産地化を推進してまいります。
     さらに、 木材の利用を推進することが、 健康、 環境、 地球の温暖化の防止等に寄与するなど、 森林の持つ公益的機能の発揮につながることを、 平成十四年度から新たに展開する木づかい県民運動を通じ広く県民に訴えてまいります。 また、 この運動とあわせ、 生産者から消費者までが一体となった家づくりを推進する地域のネットワークの構築や森と木の住まいのツアー等による消費者へのPRに努めるとともに、 市町村における公共事業等への積極的な地域材の利用を進め、 富士ひのきの需要拡大と地域林業の活性化を図ってまいる考えであります。
    ○議長 (伊東伊佐美君)  栗原環境部長。
            (環境部長 栗原 績君登壇)
    ○環境部長 (栗原 績君)  富士山についてのうち、 富士山ろくの地下水汚染対策についてお答えをいたします。
     廃棄物最終処分場の設置に当たっては、 設置者に周辺地域の生活環境影響評価の調査が義務づけられており、 県では、 水道水源や地下水の汚染のおそれのない立地を指導するとともに、 生活環境の安全性の確認をしております。 また、 埋め立て終了までの間、 処分場周辺の地下水の水質を定期的に検査し、 適正に処理することなどが定められており、 県は立入検査等によりその適合状況を確認しております。 さらに、 最終処分場の廃止届の受理に当たっては、 将来、 周辺地域の生活環境への影響がないよう慎重に審査することとしております。
     なお、 廃止後の最終処分場については、 従来から実施している地下水の定時定点観測による監視に加え、 土地所有者等に汚染の除去責任を課す旨を定めた土壌汚染対策法案が今国会に提出されたことから、 これまで以上に地下水の汚染防止対策が可能になるものと考えております。
     今後とも廃棄物最終処分場の適正な指導監督を行うことなどにより、 富士山ろくにおける貴重な地下水の保全に努めてまいります。
    ○議長 (伊東伊佐美君)  福山企画部長。
            (企画部長 福山嗣朗君登壇)
    ○企画部長 (福山嗣朗君)  PFIの導入についてお答えいたします。
     PFIについては、 民間の創意を生かした質の高いサービスの実現、 財政負担の軽減、 職員のコスト意識の向上などが期待される手法と認識しております。 このため今年度は、 PFIの導入に向けて、 庁内の関係室長を構成員としたPFI研究会を設置し、 先進的な取り組み事例などについての調査研究や導入可能性の検討を行ってまいります。
     現在、 これまでの検討結果を踏まえ、 各部局が積極的にPFIに取り組むことができるよう、 導入の手順や検討項目などを内容とする活用指針を手引書の形で作成しているところであります。 また、 来年度はより積極的な取り組みを進めるため、 専任の担当職員を総務部の財産管理部門に配置することといたしました。 さらに今後は、 手引書を活用した実務者研修の推進、 県有財産の有効活用等の観点から、 PFIを導入するに際しての問題点の解決策の検討など一層具体的な取り組みを進めてまいる所存であります。
    ○議長 (伊東伊佐美君)  これで植田君の質問は終わりました。

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