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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成30年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

江間 治人 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/26/2018

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 芸術文化の県民への普及啓発について
2 地域外交政策における米国との交流について
3 ふじのくに森の防潮堤づくりの推進について
4 遠州広域水道用水供給事業における豪雨対策について
5 教育行政について
(1) 特別支援学校の就労支援
(2) 就学前教育


○議長 (渥美泰一君)  ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、 知事提出議案第百十四号から第百十八号まで、 第百二十号から第百三十三号まで及び平成二十九年度静岡県一般会計、 特別会計、 公営企業決算全部を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、 十一番 江間治人君。
        (十一番 江間治人君登壇 拍手)
○十一番 (江間治人君)  私は自民改革会議の所属議員として、 県政の諸課題について通告に従い知事、 副知事、 関係部局長、 教育長及び教育部長に一括質問方式にて質問をいたします。
 初めに、 芸術文化の県民への普及啓発について伺います。
 芸術文化と言えば、 ルネサンス文化発祥の国イタリアに思いをはせます。 私には学生時代に一人旅をしていたころのイタリアでの楽しかった思い出と少しの苦い経験があります。 至るところに彫刻の立ち並ぶルネサンス中心都市として有名なフィレンツェの町並みやシスティーナ礼拝堂でミケランジェロの最後の審判の天井画を見たときの感動、 まさに芸術に囲まれた日々は自分が日本人であることを忘れ十五世紀のイタリアを旅していました。
 その直後に、 映画ローマの休日、 オードリー・ヘップバーンがジェラートを食べていたあのスペイン広場の階段で私はマルコとアントニオと名乗る若い男二人組に声をかけられいつの間にか意識を失い、 気がつくとパスポートや金目のものは一切消えていました。 詳細は恥ずかしくてこれ以上申し上げられませんが、 パスポートを失った私は忘れ去られた日本人になりました。 命の次に大事なパスポートとイタリアには十分気をつけましょうと知事に申し上げて本題に入ります。
 さて、 再度イタリアと言えば文化芸術の国として世界中から観光客が訪れます。 国民に貧富の差はあれ、 芸術へのアクセスが容易にできる社会の仕組みや生活文化があります。 文化芸術は人を引きつける大きな力を持っているのでしょう。 その文化度が上がれば自然に人が住みたくなる、 そんな町になっていくのかもしれません。
 我が県も、 SPACやことしで五十八回目となる静岡県芸術祭あるいは二十回目となる障害者芸術祭などにより芸術文化の頂を高くし、 また裾野を広げる土壌ができつつあると感じます。 磐田市では佐藤典子舞踊研究所を中心とする舞台芸術にこどもミュージカルなどを通じて子供たちから大人まで幅広く鑑賞できる機会をつくっています。 代表の佐藤典子氏は浙江芸術職業学術院に三十年以上前から指導にかかわり、 昨年の友好提携三十五周年記念式典のオープニングセレモニーでは佐藤氏直伝とも言える舞台演出を拝見させていただきました。 また東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック静岡県文化プログラムの舞台公演を任されており、 県民や磐田市民への芸術文化への普及に大変な御尽力をいただいています。 その佐藤氏でも芸術文化の普及啓蒙は決して簡単ではないとおっしゃっています。
 七月に磐田市で行われ、 知事も御参加いただいた地域の芸術文化を考えるシンポジウムにおいて、 パネラーの皆さんからも印象深いお話をいただき私も文化について大いに考えさせられました。 文化とは腹の足しにはならぬもの、 しかし人間が人間らしく生きていく上で欠くべからざる心の糧と述べられ、 戦いや競争の勝ち負けだけではない人間らしく生きる時間が本当に人間の幸福のために必要なものと感じました。
 一方、 文化政策において県の文化振興基本計画にある文化が社会を支えるという文言が芸術文化の存在感を顕著にあらわしていると感じます。 芸術文化は多くの人々が公平に芸術に触れることを可能にするために、 静岡文化芸術大学などの教育界や地域経済界、 NPOなどによって支えられています。 それらと芸術文化がまさにクロスオーバーし糸をあやなすように変化を遂げると、 ある一線を越えて人の人生の真ん中に入り込み社会を支えていく存在になるのではないでしょうか。
 そこで、 この腹の足しにならない芸術文化を県民の心の糧にどのようにならしめ、 今後どのように県民に普及させていくのか、 知事のお考えをお伺いします。
 次に、 地域外交政策における米国との交流について伺います。
 トランプ大統領、 習近平国家主席とも相譲らず米中間で貿易摩擦が拡大しており、 周辺国及び日本企業への影響が懸念されています。 またトランプ大統領は対日貿易赤字の削減をもくろんでおり、 今後の良好な日米関係を維持するためにも現在訪米中の安倍総理の外交政策に大きく期待するところです。
 このような両国間の状況下において、 地方自治体の対米外交戦略も不可欠となっています。 我が県は平成三十年四月に改定された四年間の地域外交基本方針に重点国六カ国に含まれている米国との交流や通商を表記しています。 全国知事会において日米知事会議が八月に再開されるなど活発な動きが出始めているように、 地域や地方自治体レベルでの関係構築は大変重要な施策であると考えます。
 私の地元の磐田市は、 四十二年前からカリフォルニア州マウンテンビュー市と姉妹都市であり、 県立磐田南高校並びに磐田国際姉妹都市協会による高校生の交換留学事業を実施継続し、 昨年には市産業部職員が地元企業とともに渡米し通商にも積極的に取り組んでいます。 マウンテンビュー市は姉妹都市となった当初は山と畑を見渡す農業の町だったと聞いていますが、 現在はグーグル、 インテル、 ヒューレットパッカードなどの世界的IT企業が本社を置くシリコンバレーの中心的都市となりました。
 昨年八月、 私も高校生の交換留学の日程に合わせてマウンテンビュー市を訪れ磐田市から訪問している高校生たちとの交流会に参加いたしました。 ちょうどスタンフォード大学に派遣されていた我が県の職員も参加していたので現地の様子もうかがいました。 また磐田市に本社を持つヤマハ発動機から出向されている西城洋志氏とお会いし、 彼はシリコンバレーでも有名な日本人のようでありますがベンチャービジネスの大きな可能性についてお話を聞くことができました。 これらのことから県と磐田市がさらに連携を強くすることで大きなチャンスが生まれるのではと感じたところです。
 県内には、 多くの米国との友好関係を結んでいる市町や企業があります。 特に西海岸は高所得者が多く、 アメリカ合衆国経済を引っ張っている地域です。 サンフランシスコでは一杯三千円のラーメン店に行列ができると聞いています。 現在の地域外交の方向性はアジアを中心としていますが、 日本経済における大きな影響を持つアメリカのさまざまな情報を収集するためにも平成十五年三月に閉鎖した北米駐在員事務所の再設置等を検討する必要もあると考えます。
 そこで、 県はアメリカ合衆国各方面との関係構築をさらに進め、 県内の市町や企業を支援するために地域外交について今後どのように進めていくのかお伺いをします。
 次に、 ふじのくに森の防潮堤づくりの推進について伺います。
 ラグビーワールドカップを一年後に控え、 開催都市岩手県釜石市の復興映像が最近よくテレビで流れますが、 当時の町の様子が映し出されるとあの震災がいかに甚大だったかを思い起こします。 日本列島は、 ことしになって六月十八日の大阪北部地震、 さらには九月六日未明に起こった最大震度七を観測された北海道胆振東部地震と二度の大地震に見舞われました。 これらの地震による津波はありませんでしたが、 県民の南海トラフ巨大地震への不安は再燃してきたように感じます。 特に沿岸部にお住まいの方や勤務されている方は常に津波の恐ろしさを感じており、 県民の生命・財産を守る対策の必要性はますます高まっています。
 県では、 平成二十六年度から遠州灘約十六キロメートルの海岸線で中東遠四市と県の治山事業によるふじのくに森の防潮堤づくり事業が進められています。 平成二十八年度から各市のかさ上げが本格的に始まり、 県は防災林の再整備を遅滞なく進めるために平成二十九年度からは国の補助事業農山漁村地域整備交付金に加え平成三十年度までの二年間、 県単独事業の豪雨災害等緊急対策事業を活用して整備をしています。 沿岸地域住民の不安の解消のためにも一日も早い完成を強く望む中で、 平成三十年度は袋井市、 掛川市、 磐田市の三市で行うかさ上げは約二キロメートル以上進捗すると見込まれています。
 県には事業の着実な実施を期待するところですが、 ふじのくに森の防潮堤づくりの今後の県の対応方針についてお伺いします。
 次に、 遠州広域水道用水供給事業における豪雨対策についてお伺いします。
 六十年前のきょう昭和三十三年九月二十六日、 伊豆半島南端をかすめた狩野川台風、 伊豆中部に大量の雨を降らせ狩野川が氾濫、 県内の死者・行方不明者合わせて八百五十三名を出す大災害をもたらしました。 豪雨災害は場所を選ばず、 ことしは特に日本各地での豪雨被害や台風被害が続発し、 七月の西日本豪雨においては多くの犠牲者も出て大災害となりました。 電力とともに重要なインフラである水道施設にも大きな被害が出ました。 水道の寸断による被害は最も多いときで二十六万三千世帯で断水となり、 復旧までに一カ月以上を要した地域もありました。 原因には冠水や土砂災害による水道施設の損壊が含まれています。
 猛暑の中の断水は住民の被災後の生活を大変厳しいものにしました。 ボランティアの方々の清掃作業においても家の中の泥を流し出すのは水道水を利用していますし、 衛生面においてもまた猛暑の中の作業という中においても水道水は欠かせません。 水道用水供給施設の早期復旧は生活を取り戻すためには大変重要なことと思います。
 県内においては、 過去に豪雨による大規模断水の発生はありませんが地震被害とともに豪雨被害の未然防止策を講じる必要があると考えます。 県西部におきましても天竜川、 都田川、 太田川の三河川を水源とした遠州水道があり浜松市、 磐田市、 袋井市、 湖西市、 森町に水道用水を供給しています。 県内での豪雨による冠水や土砂災害で取水場や配管など水道施設が損壊した場合の対策は早期に検討すべきであると考えます。
 そこで、 県内水道用水供給事業のうち最も供給人口が多く給水区域が広い遠州水道の豪雨被害未然防止のための今後の対策と発生した場合の早期復旧対策についてお伺いします。
 次に、 教育行政についてのうち、 特別支援学校の就労支援についてお伺いします。
 障害者雇用率の不適切な換算が発覚し知事も厳正に対処すると説明をいただきましたが、 我が会派の代表質問の再質問の答弁にもありましたように他県では三%を超えるところもある中で、 雇用率を達成するというより障害のある方の特性に応じた就労の実現が行政機関においても貴重な人材の確保につながるとの発想を持つことが重要であると考えます。
 去る六月、 磐田市にある袋井特別支援学校磐田見付分校において地元企業向けの今年度第一回学校見学会が地元の大手・中堅企業三十四社、 採用担当者四十八名、 関係十六機関の参加のもと行われ就労支援ネットワークジョブコーチの講演や委託作業見学が実施されました。 就職希望生徒数の二倍を上回る企業数が集まり、 民間企業においては好景気と人手不足が重なり障害のある人たちも十分な戦力として採用を見込んでおり、 雇用率と相まって企業側の採用への期待が高まったと聞いています。 また入社後の離職を防止するための育成についても議論され、 企業において一般社員が障害のある人たちを理解するための研修も行っていると伺っています。
 現在、 県内特別支援学校においては就業率は四割を超え、 軽度の生徒の就業に限るとほぼ一〇〇%であります。 また離職率も一般の生徒に比べかなり低い状況です。 これは障害のある若者が社会参加する絶好の機会であり、 県内企業の人手不足解消への取り組みとしても大変有効であります。
 しかし、 現在特別支援学校の施設の多くは老朽化や狭隘化が進み作業教室の設備が十分とは言えません。 また企業との連携もさらに緊密にし、 積極的なインターンシップ派遣など進めていく必要があると思います。 そして一人でも多くの特別支援学校の生徒が社会参加できるよう教育環境を整える必要があると考えます。
 そこで、 県教育委員会として特別支援学校の学習環境の整備も含め、 ハード・ソフト両面での就労支援のための今後の取り組みについてお伺いします。
 最後に、 教育行政についてのうち、 就学前教育について伺います。
 歴代最多の二十九連勝の記録を持ち最年少六段昇段を果たした藤井聡太君は、 五歳のときに祖父から将棋の手ほどきを受け、 五百ページある将棋定石の本を字が読めないながらも解読し対局においてもぬきんでた才能を発揮していました。 彼は幼児期から子供の自発的な好奇心を尊重し個性を最大限に伸ばすモンテッソーリ教育を受けたと聞いています。
 アメリカでポピュラーなこの教育を受けた著名人にフェイスブック創業者ザッカーバーグ氏、 アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏がいますが、 これは一つの例ですが幼児期における教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、 個人の能力を伸ばすものとしてとても重要と理解しています。
 我が国において、 平成三十一年十月より三歳から五歳までの全ての子供の幼稚園、 保育所、 認定こども園の保育料無償化が予定されており、 保護者の就園ニーズの高まりと一クラス当たりの数の増加が見込まれます。 また保育士の不足に伴い多忙化も心配されます。 就学前教育や小学一年生に向けての連携は市町によって行われますが取り組みに差が出ることも考えられ、 スムーズに義務教育に移行できる支援が重要と考えます。
 そこで、 県の就学前教育の課題と今後の対応についてお伺いします。 以上について答弁を求めます。
○議長 (渥美泰一君)  川勝知事。
        (知事 川勝平太君登壇)
○知事 (川勝平太君)  江間議員にお答えいたします。 芸術文化の県民への普及啓発についてであります。
 江間議員におかれましては、 若いころにイタリアに旅せられてフィレンツェですっからかんになったと。 あそこにはミケランジェロのダビデ像があります。 服も着ていなければパスポートも持っていないわけですね。 しかし人の心を打って世界の人々にめでられていると、 それが芸術文化の持つ力ではないかと思います。 もともと裸の像というのは中世イタリアはもちろん、 もとよりヨーロッパにはありませんでした。 しかし十字軍で中東に行ったときにそこにギリシャ文化が残されていて、 そこでギリシャに憧れてギリシャの生活様式でしかなかったものがイタリア、 ヨーロッパに入って、 ああいうルネサンスというギリシャ文化を模倣する文化復興が起こったということですね。 ですから私は文化には、 特に芸術文化にはそういう人を感化する力があるというふうに思っております。
 もともと一言で文化と言いますけれども、 文によって人を教化するということで中国から来た漢字ですから、 文章で人民を教化すると、 ある種の政治的な意味がありまして、 毛沢東の文化大革命などというのは毛思想によって、 端的には毛語録によって若い青年たちを教化というか扇動して政治運動を起こすという、 そうした形での文化の意味があったんですが日本では文化というのはカルチャーあるいはクルトゥールというものの訳語として暮らしの立て方、 生活様式ということでございますので衣食住も文化になります。 したがって服飾文化、 食文化、 あるいは建築文化というものも、 もしそれが魅力的であれば世界に広まるということであります。 和食は今やユネスコの無形文化遺産になりました。 あるいは日本では土足のまま家の中に入る人はいませんけれども、 そういう我々にとっては当たり前の建築文化もきれい好きということである程度世界に評価されているんじゃないかというふうに思います。 服飾文化は言うまでもありません。 着物などは一種の魅力のある服飾文化ではないかというふうに思います。
 そうした中で、 特に芸術文化というのは人の心に大きな作用を及ぼして心を豊かにするということで、 これは大事にしなくちゃならんというのが我々の立場でございます。
 県では、 これまで芸術文化振興の基本方針として芸術文化を 「みる」、 「つくる」、 「ささえる」 人材を育て感性豊かな人々から成る地域社会の形成を目指すことを掲げて、 官民連携によって芸術文化を支えるためのさまざまな取り組みを実施してまいりました。 また経済界、 NPOなどさまざまな主体におきましても県民の皆様に対し芸術文化に触れる機会を提供していただいているところであります。
 平成二十七年度に県が行いました文化に関する意識調査によりますと、 期待することとして人を豊かにすることと相並びまして、 まちづくりや観光産業への活用など芸術文化の社会・経済への貢献を挙げる回答も数多く見られました。
 こうした状況を踏まえまして、 第四期静岡県文化振興基本計画におきましては文化の主体である個人、 団体を支援する社会が芸術文化を支えることに加え、 まちづくりや福祉など地域社会のさまざまな課題に対して芸術文化の持つ力を活用する、 芸術文化が社会を支えるという、 これを新しいキーワードとして文化とさまざまな分野との交流を促進することとしております。
 具体的には、 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けた文化プログラム、 実質的にはこれは芸術、 芸能文化プログラムでございますけれども、 この文化プログラムにおきまして空き店舗等を活用した舞台公演や大井川鉄道の無人駅を活用した芸術祭の開催などまちづくりに芸術文化を活用するほか、 アートを用いて障害福祉と地域をつなぐ取り組みを進めるなど芸術文化が社会を支えるさまざまなプログラムを展開しているところでございます。
 このように、 地域社会の課題解決に芸術文化を活用することで芸術文化を支える個人、 団体の活動の場が広がることにもなり、 芸術文化が社会を支えると同時に社会が芸術文化を支えるという相乗効果によって本県の芸術文化の振興を推進してまいりたいと考えております。
 今や、 文化は人のつくったものだけではなくて富士山のように一介の火山ではありますけれども、 これ自体が世界の文化遺産になってしかも芸術の源泉ということでございます。 富士山は日本の自然のシンボルですから、 そのシンボルが芸術の源泉であるというふうに認められたということは日本の国土全体が芸術の源泉になり得るということを意味しているのではないかというふうに思います。
 そうしたことから、 静岡県の持っている多様な海と山の美しさ、 海と山の風景の画廊としてこれ自体が一種の文化性を持って人々を引きつけるという、 そういう力を持っているということを念頭に置きながら特にアート、 いわゆる芸術文化を社会の幅広い分野と密接に結びつけまして県民の皆様が日常生活のさまざまな場面で芸術文化と接し、 心の糧として実感できるような感性豊かな人々から成る地域社会の形成に取り組んでまいる所存でございます。
 その他の御質問につきましては、 副知事、 関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長 (渥美泰一君)  吉林副知事。
        (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事 (吉林章仁君)  地域外交政策における米国との交流についてお答えをいたします。
 地域外交基本方針におきまして、 重点国・地域と位置づける米国とは平成二十二年に設立されました日米カウンシルが主催する知事会議への参加を通じて交流を深めてまいりました。 本会議は日米の地域間交流による友好関係構築を目的に設立されました。 これまでハワイ州政府との間でクリーンエネルギー分野での覚書を取り交わし、 企業商談会や本県でのビジネスセミナーの開催など経済・学術・環境分野での相互交流に結びつけてまいりました。
 また、 世界中から医療、 バイオ、 ITなどさまざまな分野の優秀な人材が集まるシリコンバレーにおきまして県内企業の現地展示会への出展、 現地企業との商談を毎年度継続して実施をしております。 本年十一月には日米の医療関係者や医療機器メーカーなど約五百名が参加をいたしまして、 日米医療機器イノベーションフォーラム静岡を開催し、 医療機器開発のフロントランナーでありますシリコンバレーとの連携により本県の医療健康産業のさらなる発展につなげてまいります。
 このほか、 今月開催されましたネブラスカ州での第五十回日米中西部会には知事にかわりまして私が県内の企業関係者や大学関係者などとともに出席をしてまいりました。 会議では最近の米国の通商政策も議論をされまして、 政府間に加え地方と地方あるいは草の根レベルによります建設的でオープンなコミュニケーションが重要であるという指摘もございました。
 また、 米国中西部の各州、 とりわけこれまで交流実績のありますネブラスカ州政府の関係者、 経済団体、 大学関係者等と今後の経済交流や人的交流などの促進について意見交換をしたところでございます。
 県といたしましては、 引き続き日米カウンシル知事会議や日米中西部会を軸とした経済交流を進めますとともに、 北米駐在員事務所の廃止に伴い毎年スタンフォード大学へ職員を派遣しておりますことから、 派遣職員を通じまして経済分野の調査分析や情報収集を今後も行ってまいります。
 また、 議員の地元であります磐田市とマウンテンビュー市との四十二年の交流を初め県内十三市町が米国内の二十地域と姉妹都市提携を行っております。 市民訪問団や高校生等青少年の相互訪問、 留学生の受け入れなどに多くの県民の皆様が参加することで国際理解を深めますとともに、 本県が持つ魅力を発信するよい機会となっております。
 今後も、 市町との間で開催をしております地域外交推進連絡会議などを通じまして連携した交流を推進いたしますことによりまして、 米国との県全体のネットワークを強固にし経済を初めとする幅広い分野で相互にメリットのある地域外交を展開してまいります。 以上であります。
○議長 (渥美泰一君)  川農林水産戦略監。
        (農林水産戦略監 川敏洋君登壇)
○農林水産戦略監 (川敏洋君)  ふじのくに森の防潮堤づくりの推進についてお答えします。
 中東遠地域におけるふじのくに森の防潮堤づくりの海岸防災林の再整備につきましては、 地元市が行うかさ上げ盛り土工事と連携し、 その盛り土の上に県が治山事業として塩害等により枯れた防災林の整備を進めておりますが、 今年度は約二・五キロの整備を予定しており全体計画の約四割、 延べ六・三キロの完成を目指しております。
 こうした中、 県ではかさ上げした盛り土が雨水による浸食や崩壊によって工事に手戻りが生じたり強風がもたらす砂じんにより近隣の住宅や農地に被害が生じないようにするため、 市施行の盛り土工事が完成してからできるだけ速やかに防災林の再整備を始めるよう努めております。
 現状として、 磐田市を初めとする各市が行うかさ上げ盛り土が急速に進んでいることから、 県では植栽工や防風工の資材不足により工事の進捗がおくれることがないよう、 常緑広葉樹や抵抗性クロマツなどの苗木の需給調整を初め森の力再生事業と連携した竹材の調達や合板工場からくい用丸太を寄附していただくことなどにより資材の確保に当たっているところであります。
 県といたしましては、 今後とも海岸防災林としての再整備に必要な資材を確実に確保するとともにあわせてコスト縮減に努め、 ふじのくに森の防潮堤づくりの着実な推進を図ってまいります。 以上であります。
○議長 (渥美泰一君)  梅藤企業局長。
        (企業局長 梅藤久人君登壇)
○企業局長 (梅藤久人君)  遠州広域水道用水供給事業における豪雨対策についてお答えいたします。
 現在公表されております洪水浸水想定区域図によりますと、 想定最大規模の降雨によりまして河川が氾濫した場合、 天竜川、 太田川、 都田川の四カ所の取水場のうち都田川の須部取水場以外の三カ所が浸水し取水できなくなるおそれがあります。 この場合平常時に天竜川西側でのみ使用する都田川の水を東側へ送水して水の融通を図り一定水量の供給を確保することとしておりますが、 一部地域では水圧の低下や送水停止が想定されております。 このため新たに受水市町との検討会議を立ち上げ被災状況に応じた市町の必要水量や送水先の優先順位を定め、 送水手順等をマニュアル化するとともに施設の改修による浸水防止対策を検討してまいります。
 施設の早期復旧につきましては、 地震・風水害対策マニュアルに基づき的確に対応いたします。 また災害時の応援協定を締結している日本水道協会には人員や資機材の確保、 それから建設業協会、 設備業者には発災時の現場調査や速やかな復旧作業を要請することとしております。
 企業局といたしましては、 今後も受水市町、 関係団体と連携し豪雨時における水道用水の供給確保に向けた取り組みを着実に進めてまいります。 以上であります。
○議長 (渥美泰一君)  鈴木教育部長。
        (教育部長 鈴木一吉君登壇)
○教育部長 (鈴木一吉君)  教育行政についてのうち、 特別支援学校の就労支援についてお答えいたします。
 特別支援学校におきましては、 小学部で生活習慣や集団活動を学び、 中学部では作業学習等により働く基礎を身につけ、 高等部で個々の特性に応じた実習を行うなど段階的に就労に向けた学習に取り組んでおります。
 議員御指摘のとおり、 施設の狭隘化が進んでおりますことから高等部での作業学習につきましては校内だけでなく商店での販売や高齢者施設における介助サービスの補助、 農場での収穫作業など地域や企業の方々に御協力をいただき実践的な学習に取り組んでおります。 また県内八地区に学校、 事業所、 就労支援機関等から成る就業促進協議会を設置し、 事業所同士の情報交換や実践発表、 学校参観を通した生徒理解を進めているほか十二の特別支援学校に就労促進専門員を配置し、 生徒の状況を踏まえた就労先の開拓や障害者雇用の啓発等に取り組んでおります。
 ハード面につきましては、 特別支援学校施設整備基本計画に基づき今後高等部の分校三校を新設することとしており、 狭隘化の解消と作業学習の場が確保できるよう整備を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、 一人でも多くの生徒が社会参加できるよう、 就労に向けた学習環境の確保と企業との連携と相互理解を進めることにより就労支援に取り組んでまいります。
 次に、 就学前教育についてであります。
 県教育委員会では、 幼稚園や保育所、 公立や私立といった枠を超え県全体で就学前教育の充実を図るため、 平成二十八年に幼児教育センターを設置し教育、 保育の質の向上に向けた施策を展開しております。 いわゆる小一プロブレムと言われる小学校への接続に係る課題につきましては、 幼児教育専門員を派遣し幼稚園、 保育所と小学校の話し合いや授業参観などにより相互の理解を深め連携を図っているほか、 円滑な接続のためのモデルカリキュラムを作成し各施設で活用するよう働きかけております。 また幼稚園教諭や保育士等の資質の向上に向け指導者向けの研修会を開催しているほか、 市町に対し園内研修の充実等のために幼児教育アドバイザーの配置を働きかけてきておりこれまでに十九の市町で配置されております。
 一方で、 議員御指摘のとおり無償化に伴う保育ニーズの高まりや人材不足などが予想され就学前教育の質を確保、 向上させることが課題となっており、 また特別な支援が必要な子供に対する指導など市町の取り組みに差が出ないように取り組んでいくことが必要であります。
 今後も、 幼児教育センターでは関係者が協議する就学前教育推進協議会の場などを通じて、 市町の状況や課題を把握しながら研修の充実や専門的な指導に係る支援等の方策を進めていくこととしております。
 幼児期は人間形成の基礎が培われる大切な時期です。 子供たちが県内のどこに住んでいても、 質の高い教育・保育を受けることができるよう健康福祉部や市町、 関係機関と連携して就学前教育の充実に取り組んでまいります。 以上であります。
○議長 (渥美泰一君)  江間治人君。
        (十一番 江間治人君登壇)
○十一番 (江間治人君)  御答弁、 それぞれありがとうございました。
 要望を二点、 それから再質問を三点させていただきたいというふうに思います。
 まず、 地域外交における米国との交流についてでありますが、 御答弁いただいた中では多くの事業にかかわっているというふうに思いますが実はどれほど県が主体となってやっている事業があるだろうかと、 あるいは議会の当初の知事の議案説明等の中にも地域外交の中にアメリカ合衆国の話が非常に少ないというふうに私も感じておりました。
 スタンフォード大学に派遣されている方が毎年いらっしゃるということで情報収集もしっかりとれるとは思いますが、 もちろんマーケットとしては今アジア中心の地域外交でここはよろしいと思いますが、 ただ世界を俯瞰した場合にやはりアメリカの文化、 経済は絶対に外せないと。 これは交換留学に関しても同じだと思いますので、 ぜひ県の主体的な事業の取り組みをお願いしたいなというふうに。 また市町との連携もさらに強化していただければ磐田市ももっといい事業ができるのではないかなというふうに思います。 よろしくお願いします。
 それから、 二つ目の要望ですが森の防潮堤づくりについてであります。
 これは、 もうまさに完成に向かってまだ時間はかかりますが確実に動いていっている事業であります。 この着実な実施のためにもやはり県に支援をお願いしたいと思いますし、 また県民の憩いの場として森の防潮堤という言葉があるようにこの県の憩いの施設としてできるわけですから継続性のある事業の計画をお願いしたいなというふうに思います。
 それでは、 再質問をさせていただきます。
 文化芸術の質問をするに当たっては、 ちょっと抵抗もございましたがこれも勉強のつもりで私もいろいろいろんな方とお話をして携わってきました。 その中でやはりこの芸術文化の普及は非常に難しいということは、 これは事実だと思います。 特に若者や子供たちのいろんな余暇の過ごし方や、 あるいはスマホやゲームにとられる時間や、 あるいは受験型教育も含めてなかなか文化芸術の関心を上げていくようなそういう環境にまだまだこれからかなという感じがします。
 私も先ほどのこどもミュージカルというのをもう何度も毎年のように拝見させていただいておりますが、 最初のうちはバレエ教室の発表会を見に行くぐらいかなというふうなつもりでありました。 ところがやっぱり何度も見ているうちにやはり子供たちの表情とかやっぱりいろんな細かい演出とかそういったものがやっぱり見えてくると、 そこにやっぱり感動というか心が動かされるところが多々ありました。 そういうのも含めてやはりあの数多いあるいは何度も何度もすり込むような、 そういうやっぱり普及の仕方がこれは学校教育もかかわってくるかもしれませんが非常に重要だと思います。
 そういう中で、 現代の子供たちあるいはその若者たちにそういう機会をどういうふうに創出してこれからいくのかということを御質問させていただきたいと思います。
 それから二つ目は、 遠州水道であります。
 これは、 これから検討をしていくということも含めてもしわかっていれば教えていただければと思いますが、 水没した時点で機械は当然動かなくなるわけで、 また仮に水没を免れたとしても電力が届かないとやはり機械は動かない。 これらを早急に対応しないとやはり断水が続いてしまうということになるわけですが、 この具体的に想定される損壊についての未然防止のハード対策があったらお願いしたいと思います。
 それから三つ目の再質問ですが、 特別支援学校の就労支援についてですが、 今お話しいただきましたようにいろんな校外や企業の方の協力を得ながら現場の作業教育をやっていらっしゃるということですが、 これはそうはいっても限界があるのではないかなと思います。 もちろん特別支援学校の老朽化はもうたくさんございまして時間がかかるのはわかりますが、 せめて作業教室の改善やあるいは企業が今使っている機材とはかけ離れて古いものがあったりして、 そういうところの対処についてはぜひお願いしたいと思いますが、 この辺のハード面の整備について対応策があればお伺いしたいと思います。 以上、 答弁を求めます。
○議長 (渥美泰一君)  渡邉文化・観光部長。
○文化・観光部長 (渡邉眞一郎君)  芸術文化の子供たちへの普及啓発という御質問だったというふうに承知をしております。
 普及に当たりましては、 まず子供たちに関心を持ってもらうこと、 その機会を提供していくこと、 特に一流の芸術文化こういったものに触れていただく機会を設けること、 これがまずもって大切なのではないかというふうに考えているところでございます。 そのため第一線で活躍する芸術家との交流機会を設けるふじのくに子ども芸術大学、 あるいは県のSPACの公演に県内の中高生を無料で招待する中高生舞台芸術鑑賞事業、 県内フルオーケストラが学校等を訪問する音楽文化鑑賞事業など今後も子供たちが一流の芸術文化に触れる機会を提供していきたいと思っております。
 特にお子様たちにこういった機会を提供するに当たりましては、 議員御指摘のとおり学校教育との関係というのも非常に大事かというふうに思っております。 関係者の皆様方とも連携を図りながら多様な機会を提供してまいりたいと、 このように考えております。 以上であります。
○議長 (渥美泰一君)  梅藤企業局長。
○企業局長 (梅藤久人君)  豪雨対策についてのうち、 ハード対策についてということでございますけれども、 浸水によります取水場の機器やポンプ等の故障が想定されておりますので、 まず施設ごとの浸水の深さについて詳細に把握しまして改修について検討してまいります。
 電力につきましては一部施設が特別高圧による受電でございまして、 これについては電力会社に早期復旧をお願いするということになりますけれども、 大半の施設については自家発電設備を整備しておりまして非常時に備えて体制を整えているところでございます。
 企業局としましてはまず初めに浸水が比較的浅くて対策が比較的容易かつ自家発電設備のみで給水が可能となる太田川水系でございますけれども具体的な施設としましては飯田ポンプ場という施設がございますけれども、 ここの施設につきまして浸水防止扉等によります施設の改修これをまず一番最初に検討していきたいというふうに考えております。 以上でございます。
○議長 (渥美泰一君)  鈴木教育部長。
○教育部長 (鈴木一吉君)  特別支援学校の就労支援に関しての再質問についてお答えをいたします。
 特別支援学校におきましては、 先ほど御答弁で申し上げましたとおり、 さまざまな種類の体験が可能となるよう校内だけでなく外部にも作業学習先を設け実習的な学習に努めているところでございます。
 校内の作業実習で使用する機材につきましては、 できる限り現場に合ったものを用意するように努めているところでございますが、 例えば陶芸用の窯や土を練る機械、 床を洗浄するポリッシャーなどを整備した学校も一部ありますけれども、 まだまだ十分と言えず課題が残っているところでございます。
 実際、 就労先の企業からは実際の機械の操作技能は就職後、 現場で指導するということで学校には働く意識や態度を十分育ててほしいということも求められております。 今後特別支援学校等の意見を聞きまして、 高等部分校はまだまだ先になりますけれども作業室及び機材の確保についてできる限りのことで努めてまいりたいと思っております。 以上でございます。
○議長 (渥美泰一君)  江間治人君。
        (十一番 江間治人君登壇)
○十一番 (江間治人君)  御答弁ありがとうございました。
 それでは要望を一点、 再々質問を一点お願いしたいと思います。
 まず、 特別支援学校の就労につきましては、 高校生がどんどんこれからふえていくという現状の中で、 逆に就労の可能性が高いということは保護者にとっても大きな期待があると思います。 ぜひいろんな環境整備を進めて社会参加できる機会をふやしていただければありがたいと思います。 お願いします。
 それから、 再々質問ですが文化芸術の普及についてであります。
 いろんなSPACとか一流の芸術家を見せるといういろんな手法があると思いますが、 やはりこれも先ほど言いましたように何度も繰り返す必要があるというふうに思います。 またふだん知事がおっしゃっていらっしゃるふじのくに芸術回廊というものを実現するためにはこの手法を本気でやっていかないと、 このかなわぬ夢になってしまうのではないかなというふうに思います。 ぜひ最後にこの文化芸術について知事が本気でやっていただけるかどうか含めて御答弁をお願いしたいと思います。
○議長 (渥美泰一君)  渡邉文化・観光部長。
○文化・観光部長 (渡邉眞一郎君)  県では、 この今年度から二〇二一年度までを計画期間とする文化振興基本計画を取りまとめたところでございますが、 この中でおおむね十年後、 感性豊かな社会こんなものだよということを県民の皆様にお示ししつつ、 この四年間どんなことをやっていくのかというマイルストーンをお示しをしたつもりでございます。 先生も御指摘いただいているとおり、 なかなかこの投入した取り組みというものを効果という形で具体的にお示しする、 あるいは測度、 効果をする、 こういったものの難しい取り組みかとは承知をしておりますけれども、 この期間内にその評価の手法等も考える、 こういったことも含めましてまずその十年後の姿に向けて実現を図るための取り組みを行っていく、 これを一生懸命やってもらいたいというふうに思っておりまして、 その取り組みの先にさらに具体的に感性豊かな社会の形成に向けた取り組みを重ねていく、 繰り返し繰り返し行っていくことでお示ししたような地域社会のあり方というものを具体の形につなげてまいりたいと思っておりまして、 私どもといたしまして全力を投じて取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので引き続き御支援のほどよろしくお願いをいたします。 以上であります。

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