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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

杉山 盛雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/04/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 東部地域のスーパーシティ構想について              
2 災害への備えについて                      
(1) 沼川新放水路の整備                       
(2) 中小企業のBCP策定支援                    
3 国道四一四号静浦バイパスの整備推進について           
4 人工内耳装用後の聴覚活用について                
5 静岡がんセンターの今後の事業展開について            
6 リニア中央新幹線について


○議長(鈴木利幸君) 次に、五十七番 杉山盛雄君。
       (五十七番 杉山盛雄君登壇 拍手)
○五十七番(杉山盛雄君) 本日最後の質問でございますので、御清聴のほどよろしくお願いします。
 私は、自民改革会議所属議員といたしまして知事、副知事、関係部局長、がんセンター局長に一括質問方式で質問をいたします。
 まず初めに、東部地域のスーパーシティ構想について伺います。
 令和二年の年明け早々、ビッグニュースがアメリカはラスベガスから飛び込んできました。トヨタ自動車が裾野市に実証都市「ウーブン・シティ」を二〇二一年初頭に着工するというものであります。この構想はトヨタ自動車の東富士工場跡地約七十万平方メートルを活用し都市をつくり上げていく構想であります。自動運転やМaaS、パーソナルモビリティやAIなど先端技術を導入、検証できる実証都市を建設し、人々の暮らしを支えるあらゆる物やサービスが情報でつながる時代を見据え新たな価値やビジネスモデルを創出していくものであります。このトヨタ自動車の動きは東部地域を新たなステージに誘っていくものと期待をしております。
 ことしはオリンピックイヤーであり伊豆市のベロドローム、小山町の富士スピードウェイで自転車競技が開催をされ多くの観戦者が東部地域を訪れることとなり、観光地としてのレガシーも築かれます。また静岡がんセンターとふじのくに城下町機構を中心といたしましたファルマバレー、AOI−PARCを中心としたAOIプロジェクトなど新しい産業の創出も軌道に乗りつつあります。また新東名、東名のインターがある富士市、沼津市には商業施設であるららぽーとの出店、物流拠点の進出等が進んでおります。これらの魅力的な取り組みを有機的に結びつけることにより、さらなる発展の可能性を生じていくものと考えます。
 東部地域は平成の大合併において市町合併が進まず、中核となる自治体がないと言われてきました。しかしさきに述べたような取り組みは自治体が合併したからできたのではなく、合併しなくても競争と連携により実現をできたものであります。東部地域のこの動きを中部、西部の政令市にまさるとも劣らないスーパーシティ構想と名を打ち、東部地域の振興の新しい形態と捉えるべきではないでしょうか。
 合併をなくしてここまできた東部の地域づくりについて、知事の所見をお伺いします。
 次に、災害への備えについてのうち、沼川新放水路の整備について伺います。
 昭和三十三年六月に、とても玉とは言えないような男の子が生まれました。私であります。七月の末か八月の予定に生まれる予定が、母がその日まで田植えをして腹が冷えたために六月末に未熟児で生まれました。ちなみに六月に生まれると女の子と言われていたそうであります。
 その数カ月後、気象庁から公式に名称が与えられた最初の台風となった狩野川台風が本県を直撃をいたしました。猛烈な雨を伴いあちらこちらで堤防が決壊し、その結果死者、行方不明者が八百五十三名、家屋の全壊から床下浸水が約六千七百戸に及ぶ大被害を巻き起こしました。被災後復旧に向けて尽力をされたのは当時建設大臣でありました裾野市出身の遠藤三郎先生であります。
 遠藤先生と私の父、杉山憲夫は被災地をくまなく回り、牛とも馬とも人とも見分けがつかない変わり果てた数多くのむくろを見て二度とこのような大災害を起こさせない、そういう思いを強くしたと私には幼いときから聞かされておりました。この台風が父が政治家になるきっかけであったと思います。遠藤先生はその気概の中災害復旧に努められ、狩野川放水路建設を促進をしていただき総工費七百億円余りを費やしまして昭和四十年七月に完成をいたしました。
 昨年の台風十九号は狩野川台風にまさると上陸前から言われておりましたが、そのとおりに大雨をもたらしました。狩野川は増水し堤防はあふれんばかりの水位が上昇しましたが、流下能力を超えると判断した沼津河川国道事務所が放水路を開放したところ見る見る水位は下がり、その結果一部支流等において浸水被害が生じたものの狩野川台風の被害を大きく下回るものとなり、災害の備えの役割として最大級の効果を発揮したものであります。改めて遠藤先生の功績に敬意を表するものであります。
 さて、沼津市西部から富士市東部に沼川があります。沼川流域はその地形的な要因から地域住民にとっては沼川の改修は大きな悲願であります。昭和の時代に開削をされました二本の放水路により地域の治水安全が飛躍的に進み都市の進展の一翼を担うことになりましたが、その後当地区において戦後最大の被害をもたらした昭和五十一年八月の洪水を契機に沼川上流域の洪水を駿河湾に直接分派するという三つ目の放水路が切望され、当時の改修計画に位置づけられました。私の記憶では昭和五十五年のころであります。
 その後進展は遅々として進まなかったわけでありますが、平成三十年十二月に私と当時の土屋副知事、沼津市長、地元選出の国会議員とともに国に対し強く要望に出向き、関係各位の御尽力のもと今年度より新放水路下流域が交付金事業から新規に大規模特定河川事業に採択をされ、今年度は前年度予算の倍額を確保することができました。昨年の台風十九号でも狩野川において大規模な河川氾濫などが起こらずに済んだのは放水路のおかげであり、本地域においてもこの沼川新放水路が同じような働きをすることは間違いないと思います。遠藤先生にはとても及びませんが私も是が非でも早期に完成をさせたいと思っております。
 そこで、沼川新放水路は令和十四年の完成と見込まれておりますが、これを前倒ししおおむね十年後の令和十年の完成を目途に整備を加速すべきと考えますが、現在の状況と今後の見通しについて伺います。
 次に、中小企業のBCP策定支援について伺います。
 昨年十月の十九号は県内の中小企業にも甚大な被害をもたらしました。近年自然災害が頻発する中、被害を軽減するため事前対策や被害時のサプライチェーン確保など被災の影響を最小限にとどめ、早期の事業再開を目指すBCPの重要性がますます高まっています。
 県の新ビジョンでは、二〇二一年度までに策定率を五十人以上の企業六五%、四十九名以下の企業では三五にすることを目標にしています。しかし県が実施している調査結果を見ますと、策定率は徐々には向上しているものの平成二十九年度の策定率は四十九名以下の企業で二六%と小規模な事業者の策定が依然として低い水準にとどまっております。理由については必要なスキル、ノウハウがない、これが五割、策定をする人手を確保できないが四割、BCP自体を認知している企業は九割以上にあるにもかかわらずノウハウや人手不足によりまして実際に策定できない企業が多数存在しております。単なる周知や普及啓発だけではこうした状況は変えられないと思います。
 本県経済の屋台骨を支える中小企業の強靱化は必要不可欠であり、策定を加速させるためには実態に即した実効性のある支援が必要であると考えますが、県の考え方を伺います。
 次に、国道四百十四号静浦バイパスの整備推進について伺います。
 国道四百十四号は沼津市はもとより伊豆地域全体の発展に必要不可欠な道路であり、災害が発生した場合は緊急輸送路としても利用される道でもあります。しかし沼津市下香貫地区から口野地区においては朝夕の通勤時間や観光シーズンに激しい渋滞が発生し地域の日常生活に影響を及ぼしております。このため県は下香貫と口野を結ぶバイパス事業に着手しこの下香貫から大平までの整備を先行して進めております。この区間には県管理のトンネルとしては二番目に長い延長千百七十七メートルの沼津アルプストンネルがあります。平成三十年三月に行われた貫通式には私も地域の皆さんとともに出席をし喜びを共有したことを記憶しており、一日も早い開通を望んでおります。
 そこでまず、この下香貫から大平までの開通時期はいつになるのかお伺いをいたします。
 そしてこの事業の真の狙いはここからであります。伊豆地域の観光を支える交通ルートとして早期に伊豆中央道につなげることこそ肝要であります。沼津市大平から口野を経由し伊豆中央道長岡北インターチェンジまで早急な具体化が必要であります。
 一方で、現実的にその区間に着手をいたしたとしても全線開通までには長い期間がかかることは容易に想像できます。下香貫から大平まで開通した場合、大平地区から沼津市街への移動がスムーズとなり沼津市の一体感が醸成されるだけでなく隣接する市町との交流が活発になることが期待されるものの、狩野川を渡る橋が徳倉橋と新城橋に限られていることから周辺道路の渋滞がさらに激しくなることは明らかであります。
 私は、二十年以上本格的な橋梁の整備がなされていない狩野川に新しい橋をかけるべきと考えており、狩野川第三架橋は国道四百十四号静浦バイパスの整備効果を十分に発揮させる有効的な対策であることからこの進捗が気になるところであります。
 そこで、国道四百十四号静浦バイパスの大平から伊豆中央道長岡北インターチェンジまでの早期着手に向けました取り組みと狩野川第三架橋の実現に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、人工内耳装用後の聴覚活用について伺います。
 近年、先天性の聴覚障害は早期発見から早期の医療介入によりスムーズな音声言語獲得ができる時代となりました。このことは聴覚障害をもって生まれても自立した社会生活が生涯にわたって可能となり、健康な人生を全うできることを意味をしております。静岡県では産科の新生児聴覚スクリーニング検査から耳鼻科の精密聴力検査機関による確定診断まで医療と行政が一体となった難聴の早期発見体制が構築をされ、これによりほぼ全聴覚障害児に対する医療の早期介入が可能となっております。
 その結果、多くの聴覚障害児が人工内耳などを装用しながら通常学校、普通学級に通えるようになりつつあります。
 このような中、静岡県立総合病院では平成二十九年九月に先端医学棟が完成をし、その中のリサーチサポートセンター内に、きこえとことばのセンターを設置されました。こちらでは最新の脳検査機器を用い音声言語発達の脳科学的探索から個々の聴覚障害児への介入方法を考え、それが適切であるかを評価する研究機関としての役割、そして全職種に対する研修を行う人材育成としての役割を果たしております。
 このように体制が整う中、先天性の聴覚障害には早期の発見、早期の適切な治療と療育などの介入が必須であることから、特にゼロ歳から三歳児の療育体制のさらなる充実に向けまして今後県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、静岡がんセンターの今後の事業展開について伺います。
 平成六年静岡がんセンターを設置しようという機運が高まり、最善のがん医療の提供とセンターを核とした医療城下町の構築が二つの使命とされ、理想のがん医療を目指してを合い言葉に計画が進められ平成十四年に九月に開院をいたしました。石川前知事による多大な努力、山口総長の才覚など関係各位の努力により事はなし遂げられました。微力ながら私の父もがんセンター設立まで関与をさせていただいたところであります。
 これまでの間、都道府県がん診療連携拠点病院や特定機能病院に指定をされ、また自治体立の特定機能病院は大学病院を除けば全国でも静岡がんセンターと大阪国際がんセンターの二施設しかなく、高度な機能を有したがん専門病院が本県東部地区にありますことを大変誇らしく思っております。
 さらに、九月にはがんゲノム医療拠点病院に指定をされ遺伝子パネル検査等が独自に実施できるようになったと聞いております。近い将来多くの県民ががんゲノム医療の恩恵にあずかることができることを期待をしております。
 そしていよいよ来年度には全床開棟するということであり、また一つの節目を迎えることとなります。引き続き国内有数の病院であり続けるにはこれまで以上にソフト・ハード両面での投資が不可欠と考えます。ソフト面は優秀な医療スタッフの採用とその人材育成でありますが、全国トップレベルの機能、規模を有する病院と比較すると医師数についてはまだ十分に確保できていないと聞き及んでおります。ハード面ではとりわけ医療機器の整備であり、ダビンチのような最先端の医療機器など現在使用している医療機器の取得価格は百二十億円にも及ぶと聞いておりますが、これらの機器の更新も計画的に行っていく必要があります。がんの発症は高齢者に多いことから今後ますます静岡がんセンターを利用する患者数が増加していくことは明白であり、これ以上に病院を支える体制と基盤を強化する必要が生じます。
 そこで、これまで積み上げてきた実績と評価を維持しさらに発展させていくため静岡がんセンターは今後どのような事業展開をしていくのか伺います。
 最後に、リニア中央新幹線についてであります。
 知事はさきの十二月定例会におきまして、リニア中央新幹線について水問題以外にもリスクがあることを指摘されています。具体的には時速六百キロ以上ですれ違うということは音速ですれ違うことになり、そのリスクについてはまだ知られていない、二つ目にはリニア中央新幹線は磁石で動くわけで当然強い磁場が発生し、車内は遮断をされているが外に出た場合は人体に影響を及ぼすリスクがあるのではないか、三つ目にはトンネル内で万が一停電した場合には冬季には凍え死んでしまう恐れがあるというリスクがあること、これらの三点のリスクを取り上げた後知事はもうリニアは要らないという議論になりかねませんと述べられました。私も議場で知事の答弁を聞いておりましたが、まさにそのとおりだと。そんなにリスクのあるリニア中央新幹線にはまあ乗るのは怖い乗りたくないなと、もともと肝の小さい私は子供のように震え上がってしまいました。
 さて、話は変わりますが皆さんは丹那トンネルは御存じでありますね。東海道線の熱海駅と函南駅の間にある総延長七・八キロメートルほどのトンネルであります。大正七年に着工し昭和九年に完成をしました。工期は十六年に及びました。これほどまでに工期がかかった大きな原因は大量の湧水であります。湧水対策として水抜き坑は本トンネルの二倍に及び、排水量は六億立方メートルで芦ノ湖の貯水量の三倍に達したとのことであります。
 しかしこの結果、トンネルの上部にある丹那盆地は地下水が抜け深刻な水不足となり、田んぼやワサビ田は枯れ飢饉となり、まさに今知事がリニア中央新幹線で心配をされているような出来事が百年ほど前に起こっているわけであります。丹那盆地においては水道の敷設、貯水池の整備を行ったり鉄道当局からの見舞金を交渉の末交付されたり、産業もそれまで副業でしかなかった酪農を主要な産業に転換するなど人々が英知を結集し水不足へ立ち向かい今の繁栄につなげました。
 冒頭に戻れば片や水問題以外もさまざまなリスクがあることをあおって、一方でリニア中央新幹線の整備と大井川の水資源を両立をしたいと我が会派の代表質問では答えられる。知事の本心はどこにあるのか。我が会派の代表質問で着地点は持っているがそれを自身が権限を持って決められない、そして着地点は対話からおのずと見出されると答弁をされました。確かに権限は国にありますが、さまざまなことに意見は言うが権限がないから着地点を対話に委ね県民が納得する答えを待つというのは余りにも無責任であります。対話は有効でありますが結論につながる対話もあれば平行線をたどる対話もあり、おのずと見出されるとした知事の答弁は対話を主体的に進める意図が欠けたものと言わざるを得ないわけであります。
 改めて問います。着地点を持たれているならば県としてそれを示し、解決に向け努力をするとなぜ知事は主体的に述べないのか、その真意を伺います。答弁を求めます。
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 杉山盛雄議員におかれましては肝が小さいとのことでございますが、今回の御質問にもございましたように亡き憲夫先生を常にみずからの鏡とされておられる親孝行がかなり肝を太くされているのではないかというふうに拝察しているところであります。
 さて、私はリニア中央新幹線についての御質問にお答えいたします。
 二十世紀が終わってほぼ二十年ということでございますけれどもどのように総括するかと、これは第一次大戦、第二次大戦があったりロシア革命等があってこれは戦争と革命の世紀というように総括できるのではないかと思います。
 二十一世紀になりまして各地で、現在もそうでございますけれどもさまざまな災害が多発しております。二十一世紀は環境と生命の世紀となると考えております。環境も生命ももとになっているのは水でありますので、したがって二十一世紀は水の世紀であるというように総括もできるのではないかとそういうように予想できるのではないかと思っております。
 南アルプスを源流とする大井川の水は流域六十二万人の生活用水です。一万二千ヘクタールの農地のかんがいをする農業用水です。地下水利用を含め約四百五十の事業所を支える工業用水です。加えて十五カ所の発電所により最大約六十四万キロワットを出力する発電用水でもあります。こうした多岐にわたった活用がなされておりまして、流域の住民生活や産業の発展に欠かせない大切な資源であります。命の水である大井川の水資源や世界の宝であるユネスコエコパークに登録された南アルプスの貴重な自然環境への悪影響が生じることは、決してあってはならないと考えております。
 一方リニア中央新幹線は我が国の大都市間を高速で結ぶ旅客輸送を実現するもので、また災害時の防災力強化にもつながり技術の発展の波及効果も予想されるところであり整備の意義には賛成しております。しかしそのような経済効率が高くなっても、本県の水が失われ南アルプスを中心とした生き物や生活が危機に瀕することは許されることではありません。
 リニア中央新幹線の整備を進めつつ、かつ大井川の水資源や南アルプスの自然環境をどう保全するかまさに整備と保全を両立させる必要があります。両立を図る上での着地点について考えるところはありますが、リニア中央新幹線工事は国の認可によるJR東海という事業者が行う工事であります。私はその意思決定権限がないということを踏まえております。
 では、私が何ができるかと。私のできることは着地点を見出せるように環境づくりをすることであります。すなわち環境影響評価制度に基づき設置した環境保全連絡会議の専門部会におきまして、関係各位が責任を持って主体的に科学的エビデンスに基づいて徹底的に対話を進めるということでございます。そこからおのずと現実がわかれば決定がしやすくなると。現状の分析がしっかりいたしますと現状を変革する運動になります。そのような意思決定者が実行可能な着地点を見出せる環境づくりをしているところであります。
 まずは、首長さんや利水者さんが納得できるように専門部会において徹底的な対話を進めていただくべきであると考えております。これを受けて国交省のほうはこの専門部会がいわば当事者であるという誤った判断をなされ、それを受けて有識者会議を設置するということでございます。有識者会議は、したがってこれは御用学者が入ってはなりません。この有識者会議を設置するに当たりましては五つの条件を提出いたしました。すなわち透明であること、公開であること、そしてJR東海に国がしっかり指導できること、そして専門部会で議論された四十七項目を全て議論すること、そして委員並びに委員長は中立であることであります。この間これに責任を持っている水嶋鉄道局長と何度も話をいたしまして、ポイントは工事ではなくて水循環であるということ、そして水循環基本法並びに環境大臣の国交大臣に対する環境評価意見、これは昨日小長井議員がかなり詳しく御紹介されたところでございますがこれらをベースにした委員会であること、こういうところで今人選を進められているところであります。いまや工事から水循環にテーマが軸足を移しているということでございます。
 そして南アルプスの水循環に影響を及ぼさない、影響を回避するにはどうしたらいいか。影響が回避できなければしからばどうするかということになりますれば、おのずと着地点は見えるのではないかというふうに私は思っております。尖閣諸島だとかあるいは首都機能移転だとか意見は持っておりますけれども、これはそれぞれ関係者がお決めになることだと。同じような意味でなるほどここの問題は我々は当事者の一人でありますから、できる限りこれはこの第三者の意見を尊重しながら影響を回避するためにはどうしたらいいかと、影響を回避する方法がなければしからばどうするかと。ここに焦点がやがてくればですね、おのずと着地点は見えてくるというふうに思います。その場合にどういう着地点であるのがいいかというところは、まだどなたもすなわち国のほうも事業者も念頭にないというのが現状であります。したがってまずはその現状をしっかり南アルプスの現状が十分に正確に認識されているとは到底思えないのでこれにかかわる、水循環にかかわる特に問題に関しましてしっかり議論していただくということだと存じます。
 リニア中央新幹線の整備と大井川の水資源、南アルプスの自然環境の保全の両立というこの挑戦に値する大きな課題に向けまして、引き続き県議会の各位の御支援、御協力を賜りながら私は全力で取り組んでまいりたいと覚悟を決めております。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(鈴木利幸君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 人工内耳装用後の聴覚活用についてお答えいたします。
 県では乳幼児聴覚支援センターを県立総合病院内に設置し、市町や医療機関などと連携をしながら新生児聴覚スクリーニング検査から診断後の療育まで全国トップレベルの難聴児支援に取り組んでおります。
 昨年三月にスタートいたしました国の難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクトにおきましては本県を参考とした新たな施策が示され、引き続き本県が全国に先駆けて取り組みを進めていくことを期待されているものというふうに認識をしております。
 現在県内では全ての分娩取り扱い機関で新生児聴覚スクリーニング検査が可能となっておりますが、検査機器や検査手法の違いにより聴覚障害の発見率に差が生じております。このため来年度はより精度の高い検査機器を整備するための助成制度を創設いたしまして、全ての機関におきまして同一精度の検査を受けることができる環境を整えてまいります。
 また、人工内耳を装着した難聴児がより効果的に音声言語を獲得するためには装着後の専門的な療育支援が必要であります。このため現在県立総合病院内で実施をしておりますゼロ歳児から三歳児を対象とした、きこえを育む親子教室を今後は県内各地で開催をいたします。さらに市町が行います乳幼児相談や言葉の教室などの開催に合わせまして、言語聴覚士によります巡回指導を実施し保健師等関係者の対応力の向上を図ってまいります。
 このほか学校教育との連携を強化し、聴覚特別支援学校で行っております乳幼児を対象とした教育相談などにおきましても指導者が人工内耳を装着した子供に対し適切な対応ができますよう、言語聴覚士の派遣によります助言や研修会などを通じて療育支援を充実してまいります。こうした体制の整備に欠かせない専門人材につきましては、令和三年度に開学を目指しております社会健康医学大学院大学におきまして難聴児支援の専門科目を設けて育成をしてまいります。
 県といたしましては、市町及び関係機関と一体となりまして難聴児支援の先進県としての取り組みを充実し、全ての子供が希望を持って暮らせるふじのくにづくりに取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木経営管理部長。
       (経営管理部長 鈴木宙志君登壇)
○経営管理部長(鈴木宙志君) 東部地域のスーパーシティ構想についてお答えいたします。
 東部地域は、首都圏近接の交通至便な立地の中で豊かな自然環境と都市景観が美しく共存しております。また医療健康産業やCNF、先端農業技術などの新産業に加え政府が進める人工知能やビッグデータなどの最先端技術を活用した未来都市構想の具体化が期待されるなど世界の羨望を集める交流都市圏へと躍進を続けております。
 市町の行財政基盤の強化を目指した平成の大合併が終了した現在、東部地域は中西部に比べ市町数が多い状況にあります。議員御指摘のとおり、このようなすぐれた立地環境と多様な地域力を背景に各市町が切磋琢磨しまた連携することで効率化や相乗効果を生み出し地域全体の魅力向上につなげてまいりました。
 一方、団塊ジュニア世代が高齢者となる二〇四〇年代に向け人口減少、少子高齢社会は進展してまいります。今後の地域づくりにおきましては次期総合戦略に掲げますように産業力、地域の魅力の向上や関係人口の拡大などの人口減少抑制戦略と地域福祉の充実や持続可能なまちづくりなどの適応戦略を両輪として、引き続き市町の創意工夫と広域連携による英知の結集が必要であります。
 今夏の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック自転車競技や最先端技術の導入、検証とその先の技術革新につなげる実証都市の建設構想は東部地域のさらなる飛躍を後押しする千載一遇の世界的プロジェクトであります。地域発展の糧となる人づくり、ネットワークづくりにつなげますとともに、その効果が多様な産業や地域全体に波及してまいりますよう全庁一丸となって取り組んでまいります。
 県といたしましては、今後ともさまざまな可能性に満ちた東部地域が地域の活力を最大限高めてますます発展してまいりますよう市町の競争と連携によるスーパーシティの取り組みを支援してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 宮尾交通基盤部長。
       (交通基盤部長 宮尾総一郎君登壇)
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 災害への備えについてのうち、沼川新放水路の整備についてお答えをいたします。
 沼川新放水路は沼川流域で頻発する浸水被害を軽減する抜本的な対策として放水路を整備するもので、平成二十九年七月に着工式を行い昨年度から本格的な工事に着手したところであります。全体延長二千三百メーターのうち沼川本川から海岸までの下流区間九百メーターにつきましては、本年度海岸防潮堤部の工事を国土交通省に東海道本線交差部の工事をJR東海にそれぞれ委託したところであります。また本年度から国の補助事業に採択されたことにより重点的な予算配分が可能となり、県が進める本体工事に充当する予算は昨年度の三倍を超え下流区間の令和十年度での完成に向け大きく前進いたしました。
 沼川本川から高橋川までの上流区間千四百メーターにつきましては既に用地取得率が九一%に達しており、来年度内での用地取得完了を目指してまいります。
 この上流区間におけます最大の課題は、国道一号との交差部の工事におきまして日交通量四万台の通行に影響を与えず実施することであります。そのためには国道を長期間にわたり迂回させる必要がありますことから、道路管理者である国土交通省と具体的な調整を開始したところであります。
 今後の事業実施に当たりましては、下流区間の完成時期が明確になったことから上流区間に関しましても下流区間に合わせられるよう徹底した工程管理と計画的な予算の確保により事業進捗を図ってまいります。
 県といたしましては、流域の皆様の長年の悲願である沼川新放水路の早期完成を目指し県議会や地元関係者の皆様のお力添えをいただきながら、本県を代表する大規模治水プロジェクトに最大限努力してまいります。
 次に、国道四百十四号静浦バイパスの整備推進についてであります。
 国道四百十四号静浦バイパスは沼津市下香貫から口野までの五・一キロメーター区間について事業化し、このうち下香貫から大平までの二・五キロ区間について優先的に整備を進めております。この区間につきましては現在沼津アルプストンネルの非常用設備や大平地区での高架橋の整備を着実に実施しているところであり、令和四年度の開通を目指しております。また、このバイパスは東部地域の広域的な道路ネットワークにおきましても重要な道路として位置づけられておりますことから、伊豆中央道と接続することでさらに大きな整備効果が期待できます。
 このため、下香貫から大平までの開通に続いて切れ目のない整備を進めることが重要であり、次期工区となる大平から口野までの区間につきまして来年度から設計及びボーリング調査を実施してまいります。
 また、口野から長岡北インターチェンジまでの区間につきましても概略設計に着手することにより伊豆中央道との接続工区として具体的に位置づけてまいります。
 次に、狩野川第三架橋の実現につきましては以前から地元関係者の皆様からも多くの御要望をいただいておりますことから、これまでに複数の架橋位置の案について効果や課題などを抽出し関係する市町と議論を重ねてまいりました。その結果清水町徳倉と三島市長伏を結ぶ架橋案について最も望ましい案として合意を得たところであります。
 現在橋梁の架設により影響される取りつけ区間の具体的なルートを検討しており、来年度からはルートの確定に当たりまして御理解をいただくために地元の皆様との意見交換を開始し、早期の事業化を目指してまいります。
 県といたしましては、本地域の発展や安全・安心の確保に向けまして、引き続き国や市町と連携して幹線道路網の形成に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 災害への備えについてのうち、中小企業のBCP策定支援についてお答えをいたします。
 近年大規模な自然災害やそれに伴うサプライチェーンの寸断などが頻発する中、中小企業の事業継続計画、いわゆるBCPの策定は喫緊の課題となっております。しかしながら議員御指摘のとおり、特に従業員四十九人以下の企業におきましてはBCPの策定率が三割を下回っているのが現状であり、災害への危機意識が高まる中策定のおくれが指摘される小規模な事業者を中心に事業の早期再開に向けた体制構築を強力に後押しする必要があります。
 このため、県では昨年度小規模な事業者でも取り組みやすいよう県独自のBCPモデルプランに加え建設業や食料品製造業など業種ごとに細分化した新たなモデルプランを作成いたしました。現在業種別組合などを束ねる県中小企業団体中央会と連携し、専門家を派遣してワークショップ形式での実践的なBCPの策定支援を行っているところであります。今後令和三年度までに延べ百組合、約一千社のBCP策定につなげてまいりたいと考えております。
 また、来年度はこれらの実績等を踏まえまして商工会、商工会議所などと連携して県内四地域で実践的なセミナーを開催し、課題を持つ中小企業に対しましては専門家による個別相談を実施するなどBCP策定に向けた具体的なアドバイスを行ってまいります。
 一方、国におきましても昨年七月から中小企業の事業継続力強化計画の認定制度を開始しております。県内中小企業がBCPを策定し認定を受けると税制上の優遇措置などが受けられます。県ではこうした優遇措置につきましても県内中小企業に積極的にPRするとともに、各商工団体との連携を強化いたしまして経営指導員や中小企業診断士等の専門家が直接中小企業の現場に出向いてBCP策定支援を行うことで、県のモデルプランを参考としたBCPの策定をより一層加速化させてまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みにより県内中小企業がBCP策定に取り組みやすい環境を整えるとともに、それぞれの企業の実態に即したきめ細かな支援を通じてBCP策定を促進し本県経済の屋台骨である中小企業の強靱化を着実に推進してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 小櫻がんセンター局長。
       (がんセンター局長 小櫻充久君登壇)
○がんセンター局長(小櫻充久君) 静岡がんセンターの今後の事業展開についてお答えいたします。
 静岡がんセンターは平成十四年の開院以来、年間延べ約二十万人の入院患者、約三十万人の外来患者の方々に対し高度ながん専門医療を提供し、いまや我が国トップスリーの診療実績を上げるまでになりました。またこれまで静岡がんセンターが全国に先駆けて導入した相談支援センター、小児・AYA世代のがん、がんゲノム医療など多くの先進的な取り組みが国のがん対策推進基本計画にも取り上げられ、我が国がん医療のフロントランナーとして貢献しております。
 中でもがんゲノム医療につきましては、平成二十六年から開始した臨床研究プロジェクトHOPEでのがんゲノム解析数が六千症例を超え、来年度国が計画する全ゲノム解析プロジェクトに当センターの解析実績が活用される見込みであり、さらなるゲノム医療の進展につなげてまいります。
 議員御指摘のとおり、今後静岡がんセンターの患者数はさらに増加が見込まれますことから特に医師の確保、増員が重要であります。そこで常勤医師の定員を来年度三十五人増員し二百人といたします。増員に当たりましては全国から広く募集いたしますとともに、合わせて当院の優秀なレジデント医師を積極的に常勤医師に採用してまいります。またチーム医療の実践を目標に来年度から全国最大のがんの認定看護師教育に加え特定行為研修五分野を開始いたします。
 医療機器の整備につきましては、これまで手術支援ロボットダビンチや最新鋭の放射線治療装置などを導入してまいりましたが、今後も高度な診断、治療レベルを維持するため来年度はPET−CT撮影装置、CT装置などの機器の更新を予定しております。
 本年四月からは開院当時から目標に掲げておりました六百十五床の全床開棟で運営してまいります。近年患者数の増加により待ち時間や院内の施設に関する要望も多く寄せられておりますことから、今後外来の環境改善に向けた検討を行うなど引き続き県民の皆様の期待に応えるがん医療の提供に努めるとともに患者満足度の向上を図ってまいります。
 さらに、開設時のもう一つの目標であるファルマバレープロジェクトの推進に当たりましても静岡がんセンターのノウハウを活用し、人生百年時代の健康長寿自立支援プロジェクトを推進してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) これで、杉山盛雄君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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