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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/30/2011

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 東海地震を踏まえた浜岡原子力発電所の安全性について
 (1) 東海地震による影響度
 (2) 五号機の安全性
 (3) 停止中における県の安全確認
2 学校の津波対策について
3 茶の放射能問題に関する茶農家等への支援について
4 東日本大震災を踏まえての静岡県の社会資本整備のあり方について
5 森林法改正に対する県の取り組みについて
6 新しい林業への進化について



    ○副議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、三十五番 小長井由雄君。
           (三十五番 小長井由雄君登壇 拍手)
    ○三十五番(小長井由雄君) 私は民主党・ふじのくに県議団所属議員として知事並びに関係部局長、教育長にお伺いいたします。
     このたびの東日本大震災で亡くなられた皆様に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様に対しまして心からお見舞い申し上げます。あわせてこの地域の支援、復興に迅速かつ誠実に尽力された県内の大勢のボランティアの皆様、そして岩手県遠野市等を拠点として活動されている県職員の皆様、市町の職員の皆様に心から敬意を表します。
     国内史上最大のマグニチュード九・〇の地震と、この地震による最大遡上高三十八メートルを超える大津波により死者一万五千人、行方不明者七千人もの人的被害や、全壊、半壊十二万棟を超える住家の被害など多くの人命や財産が失われました。いまだ収束のめども立たない福島第一原発ではチェルノブイリを超える原発災害の危険が憂慮されています。既に十万人に及ぶ人々が家や田畑の管理を断念せざるを得ない移住という状況に追い込まれ、東北から関東にかけて大勢の人々が放射能の汚染にさらされています。静岡県においても東海・東南海・南海の三連動の超巨大地震発生の可能性が考えられる中、これまで進めてきた対策の早急な見直しが必要になっております。その中でも特に浜岡原発の安全性の見直しは緊急な課題だと考えられます。
     そこで、東海地震を踏まえた浜岡原子力発電所の安全性について伺います。浜岡原発はマグニチュード八級東海地震の想定震源域の真上に建設され、もし地震で破壊されたら福島を上回る悲劇的な原発災害を引き起こすのではないかと、日本はもとより世界じゅうから心配され注視されています。世論調査を見れば川勝知事が「菅首相の大英断」と評した五月十四日の全機停止により、県民の多数は胸をなでおろしています。しかし福島第一原発の事故のデータが公表、分析されるにつれ、津波に洗われる前に地震の震動で電源喪失、機器破壊、冷却水喪失が起こり燃料溶融という過酷事故が発生していた可能性が出ている中、浜岡原発では津波の対策の完了だけで運転を再開しても安全が保障されるのかと不安視する声も大きくなっております。
     今から十四年前、石橋克彦神戸大学教授が「原発震災 破滅を避けるために」という論文で浜岡原発の危険性を警告し社会的な反響を呼びました。当時、浜岡原発にかかわる市民団体は石橋教授を招き、その意見を聴取するよう県当局にたびたび要請し県議会でも同様の意見があったと承知しています。しかし、当時の静岡県は科学技術庁原子力安全局と通産省資源エネルギー庁及び静岡県原子力対策アドバイザーに石橋説の評価を問い、石橋教授の意見は聞く必要がないとしてきました。今回、石橋論文を読むと、不幸なことに石橋教授の警告は福島第一原発で現実になってしまいました。石橋説とアドバイザーの反論を若干交えながら東海地震による影響度について伺います。
     石橋氏は「東海地震による地盤隆起によって敷地地盤が傾動、変形、破壊すれば原発には致命的。無数の故障が同時多発し、外部電源がとまり、ディーゼル発電が動かず、バッテリーも機能しない事態が起こりかねない。冷却水が失われる可能性があり炉心溶融が生ずる恐れが強く、そうなると水蒸気爆発や水素爆発が起こって格納容器や原子炉建屋が破壊される。その結果、膨大な放射能が外部に噴出される」と福島の今を指しているような警告をされています。これに対して、溝上恵アドバイザーや斑目春樹アドバイザーは「緩やかな傾斜が生ずる可能性は考えているが、これが直ちに原発の施設に被害を与えるとは考えられない。浜岡原発の敷地内にはマグニチュード七級の地震を起こす活断層や伏在断層は見出されていない。原発は二重三重の安全対策がなされており、安全かつ問題なく停止させることができるよう設計されている」と石橋説を否定しました。
     しかし、最近、国の委託による産業技術総合研究所の浜岡原発周辺地質調査で原発敷地のわずか東二キロメートルの直近に、地盤を二・八メートル隆起させたおおよそ千年周期の活断層が発見されました。さらに二〇〇九年八月十一日の駿河湾地震で五号機が異常な揺れに見舞われ数十カ所の故障を生じた原因究明の地質調査の結果、中部電力と国が一号機建設以来、浜岡原発は安定した固い岩盤上に建設されているという住民説明とは違って、広い範囲で泥と砂の層――低速度層が混在する極めて不安定な地層の上に乗っていることが明らかにされました。
     以上の事実を考察すると、浜岡原発は東海地震の発生で不均一な地盤隆起に見舞われ、さらに発見、未発見の断層による余震の直撃を受け、津波の被害がなくても原発が壊れる可能性も考えられますが、県の見解をお伺いします。
     本年四月の防災・原子力学術会議において、中部電力は万全の津波対策として原発施設海側前面にある十メートルから十五メートルの砂丘の存在を挙げ、これが江戸時代以前から存在する堅固な砂丘で津波や台風を防いできた歴史的経過があると説明しました。これには知事も実証的な説明がないとして納得されなかったとのことです。先日の新聞報道によれば、中部電力の土木技術部門の幹部が「砂丘の強度を調査したことはない」とコメントしていました。地震による震動と直後に襲う津波に対する砂丘の強度について、県の見解をお伺いします。
     次に、五号機の安全性について伺います。
     五月十四日、五号機冷温停止作業中に四百トンの海水が復水器に流入し、うち五トンが圧力容器にも混入したと発表されました。原因は建設時に欠陥のあった配管のふたの溶接が外れ、直径三十ミリの海水パイプ四十三本を傷つけたためと発表されています。専門家によれば廃炉にもつながる重大な事故だとの指摘もあります。長期の運転停止期間中の入念な点検にもかかわらず溶接部分の欠陥と金属疲労の蓄積を見逃してきたことは重大な問題でありますが、県はこのことをどのようにとらえているのか。また、海水の混入による圧力容器及び燃料に及ぼす影響についても心配されますが、県の見解をお伺いします。
     五号機の格納容器が三、四号機と異なりコンクリート製であることは余り知られていません。国が原発建設の七つの基本原則として示している六番目に大型振動台による実証検査を受けるということがありますが、五号機と同型のABWR原子炉のコンクリート製格納容器の振動検査は行われていないと聞いています。これは事実なのか。そうであるなら、この点についての県の見解をお伺いします。
     次に、停止中の県の安全確認について伺います。
     浜岡原発は現在全機停止していますが、燃料体は崩壊熱を出し続けているため冷却を続けるなどの安全管理が必要であり、万一使用済み燃料プールの破損、破壊があれば大事故につながることが心配されます。現在浜岡原発には燃料体約九千体、うち使用済み燃料体約六千体が保管されているということであります。これらを速やかに安全な場所に移動させるよう国と中部電力に要求するべきだと思いますが、県の見解をお伺いします。また、耐震性が低い一、二号機の解体までの安全性の確保についての考えもお伺いします。
     知事は、国が再稼働を許可しても県独自の安全確認がなされなければ再稼働は認められないとの認識を示されました。これまで国と中部電力任せであった原発問題について、県民の生命財産を守るという強い使命感を持った川勝知事の決断に大いに共感するところであります。県独自の安全確認に当たり、防災・原子力学術会議が大きな役割を果たすことになると思いますが、この際、これまで東海地震説や原発震災などの論文を通して静岡県と深くかかわってきている石橋克彦氏など、在野の見識を持つ科学者の意見も聴取するべきではないかと思います。知事の考えをお伺いします。
     次に、学校の津波対策についてであります。
     東日本大震災では、多くの児童生徒、教職員が亡くなっております。文部科学省が取りまとめた六
    月十六日現在の被害情報によると、岩手県、宮城県、福島県の公立及び私立学校での死亡者数は五百
    八十六人を数えております。そのうちの多くの方が津波の被害による犠牲者であると思われます。地震の発生が十四時四十六分という時間帯であり、多くの児童生徒は学校での活動中であったことから適切な避難行動がとれていれば、このような多くの命が失われなかったのではないかとも考えられます。それでは児童生徒が全員無事であった学校はどのような行動をしていたのかを検証すると、岩手県の釜石東中学校で全校生徒が迅速に高台への避難を行ったことにより、近隣の小学校や地域住民までも救った例は有名なところであります。人間は災害発生の直後等、自分の身に降りかかる危機があった場合には、その危険を過小評価し心の安定を保とうとする心理が働き、そのために一番大切な最初の一歩がおくれる傾向にあると言われています。この第一歩の行動ができるためには平常時からの防災知識の習得と訓練が必要であり、その成果によって自分の命を最優先に守る行動が実践できることになるのではないかと思います。東松島市立浜市小学校では周辺に津波から安全に避難できる高台がなかったことから、迅速に二階に避難し直後に一階天井まで津波が押し寄せ、間一髪で全校生徒の命が救われたという事例も報告されています。
     こうしたことから、東海地震の切迫性が叫ばれる静岡県にとっては子供たちの命を預かる学校の津波対策も必要不可欠であるといえます。県教育委員会では平成二十一年に学校の地震防災対策マニュアルを改訂し、現在に至っているとのことでありますが、今回の東日本大震災における津波避難の実例やその教訓から学ぶことは多くあると考えられることから今後の学校の津波対策の推進について、教育長の御所見を伺います。
     次に、茶の放射能問題に関する茶農家等への支援についてであります。
     県内茶業関係者は昨年の凍霜害に続き、ことしは福島第一原子力発電所の事故の影響によるお茶の放射能というこれまで経験したことのない大きな問題と対峙しています。五月十一日に神奈川県で茶葉から食品衛生法の規制に基づく暫定規制値を超える放射能が検出されたのを契機に、静岡県においても一番茶、二番茶でモニタリング調査が行われました。生葉、荒茶、製茶、飲用茶とさまざまな形態での調査が行われ調査結果について問題はありませんでしたが、民間企業の自主検査を受けての調査で県内の一部地域で暫定規制値を超過し、現在その地域の茶業関係者は今回の原発事故の被害者であるにもかかわらず、出荷自粛等で心身ともに大変な御苦労をされております。お茶の生産農家からは「風評被害で経営的に大きな損害を被ったが、きちんと損害賠償されるのか」、「来年の一番茶に向けて放射能を減らすためにはどういう管理をしたらよいのか」といった声を耳にします。政府は放射性物質が検出され出荷停止となった茶葉に関して、賠償の対象とする考えを示していますが、被害に遭われた方々への支援は無論のこと県内全体で風評被害等による販売や消費等への影響も懸念されており、静岡茶の信頼と安心の回復のためには万全の対策が必要とされております。
     そこで、県として、今回の茶の放射能問題に関して、損害賠償や技術対策、さらに風評被害で失った産地の信頼回復など、茶農家等に対する支援についてどのように対応するのか御所見を伺います。
     次に、東日本大震災を踏まえての静岡県の社会資本整備のあり方について伺います。
     今回の大地震では、公共土木施設においても直轄国道を含む国・県道七百十区間、岩手、宮城、福島三県の堤防護岸延長三百キロメートルのうち約百九十キロメートル区間、国際拠点港湾を含む二十九の港湾施設など、あらゆるインフラで甚大な被害を受けました。これにより被災直後の人命救助や緊急に実施すべき復旧活動、そして被災地における生活そのものに対し大きな支障が出たことからも生活の基盤となる社会資本の大切さについて実感したところであります。これまでの調査の中で施設や地盤の耐震性や液状化に加え、震災直後の人命救助活動、応急復旧活動の基盤となる緊急輸送路や生活に必要な食料、物資、エネルギーを運搬するルートの確保などに関するさまざまな問題が明らかになってきました。現在国では中央防災会議で東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会を立ち上げ、東海・東南海・南海の三連動地震で発生する津波高等の検討を行っていると伺っています。
     一方、これまで静岡県では東海地震に対し、第三次被害想定をもとに着実に防災対策に取り組んできたところであります。今後は国の検討結果を踏まえ、新たな被害想定に基づく道路や河川、海岸、港湾、空港など社会資本の今後の整備のあり方について新たな方向性を示す必要があると考えます。
     そこで、この東日本大震災を受け今後の社会資本整備について、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いします。
     次に、森林法改正に対する県の取り組みについて伺います。
     国では、平成二十一年十二月に森林・林業を再生する指針となる森林・林業再生プランを策定し、昨年六月にはこれを新成長戦略の国家戦略プロジェクトの一つに位置づけ、さらにことし四月には法制面からの具体化を図るため、森林法の改正を初め、新たに森林管理・環境保全直接支払制度を創設するなどこれまでにない速さで政策を大きく方向転換しています。
     今回の森林法改正では適切な森林施業が確実に行われ、森林の有する水源涵養機能などの公益的機能が十分に発揮されるよう、国、都道府県、市町村、森林所有者等の役割の明確化や森林計画制度の見直しなどが行われました。この見直しでは、市や町は森林所有者や地域住民に対し将来どのように森林資源の活用を図りつつ森林の持つ公益的機能を発揮させていくかなどを明らかにすることが求められています。また森林所有者等は効果的な路網整備や利用間伐による木材の生産などを今まで以上に具体的に計画、実行する森林経営計画を策定することになり、より積極的な取り組みが必要になりました。こうした国の大きな動きに対し、市や町、森林所有者などの役割は極めて重大となり関心も高まる一方で、戸惑いの声も聞かれます。私は成熟した森林資源を生かし、山村地域での雇用の確保、収入の確保などを通じ、地域の活性化を図る観点からも新しい森林計画制度を積極的に活用して静岡県の森林・林業の再生を実現すべきだと考えています。
     そこで、県では木材生産量を四十五万立方メートルに増産するとしている中、今回の森林法改正に対して今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。
     次に、新しい林業への進化について伺います。
     森林・林業の早急な再生に向けて、国産材の需要面からも強い追い風が吹いています。特に昨年十月に施行された公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律は、建築、建設関係者の意識を国産材に傾注させ木材利用に大きな弾みになったと思います。さらに県でも三月にふじのくに公共建築物等木使い推進プランを策定し、前期の一・七倍に当たる五年間で八万五千立方メートルを公共部門で使う目標を掲げています。また今年度から民間部門の県産材需要拡大策として、住んでよししずおか木の家推進事業も始まりました。今後は、林業・木材産業が需要にこたえ、県産材を安定的に供給することが求められており、増産のためには生産性を向上させ山林所有者である山元に収益が還元できる仕組みが必要であります。そのためには伐採搬出、流通、木材加工のそれぞれの段階で取り組む必要がありますが、そのうち伐採搬出における労働生産性は全国平均の一人一日当たり三・五立方メートルに対し、本県ではそれ以下だと聞いております。本県でも、もっと安全で効率的な伐採搬出方法を見出す余地が十分あると考えます。
     そこで、国産材への回帰の追い風を受け森林資源を育てる林業から、それを活用する新しい林業への進化を図るために、どのような改善、取り組みを進めるのか、県の御所見を伺いまして、ひとまず私の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 小長井議員にお答えいたします。
     初めに、茶の放射能問題に関するお茶農家等への支援についてでございます。
     今回の放射能問題におきましては、生産者はもとより茶商、小売も含め本県茶業界全体が大きな被害を受けているところでございます。このため県といたしましては、六月六日に「出荷制限・損害賠償・風評被害対策に関する国への申し入れ」と題したものを原子力災害対策本部、厚生労働省、農林水産省、文部科学省に提出いたしました。そして、六月二十三日には直接国のほうに出向きまして私自身が厚生労働大臣と農林水産大臣に対して、この申し入れをいたしますと同時に議員の懸念されておられます賠償問題に関しましても、しっかりと申し上げた次第でございます。この損害賠償につきましては二点ございまして、第一に出荷自粛の要請の場合、生産者はもとより茶商、小売も賠償の対象とすること。もう一点は自主回収を要請した場合も対象とすること。議員の御指摘されました風評被害に関しましては、これも二点ございます。第一点は茶の安全性について消費者や流通業者等に正確な情報を提供すること、風評被害対策に万全を期すること。これとあわせまして第二点として風評被害対策も賠償とすることという、この申し入れを行った次第でございます。またこの申し入れにつきましては放射性物質の規制値の設定並びに出荷制限の指示につきましても申し入れをしております。それについても申し上げますと茶の規制値の設定については食品安全委員会での検討も踏まえ新たな規制値を設定することと申し入れましたが、今これを作業されているということを、厚生労働大臣、また原子力安全委員会のほうから承っております。また、来年の一番茶に向けて影響を最小限にするためには技術対策をしっかりすることが課題です。本県の茶業研究センターというのは日本の茶業技術研究の最先端を担うものでございますけれども、このセンターが中心になりまして放射性物質の吸収、移動のメカニズムの解明や低減技術の確立に取り組んでいます。その成果を速やかに現場にフィードバックいたしまして、茶農家の皆様の安全・安心なお茶づくりを支援してまいります。
     さらに、こうした喫緊の課題に適切に対処すると同時にお茶の魅力を発信するために、専門家によるセミナーや消費者による産地ツアーなどを開催いたします。この中で特に、県が実施した検査で確認されている飲用茶が安全であること。そして、そのすべての産地のお茶の検査結果とあわせて客観的にこうした基準に基づいて安全であるということをアピールしてまいります。それからまた先ほど申しました茶業研究センターの研究成果などに基づく技術対策の御紹介、そしてもう一つは昨今、特にことしになりましてからNHK等を通じて広く関心を引きましたお茶ががんの抑制や老化防止に役に立つという、そういう効用につきましても広く国内外の消費者や茶業関係者にアピールしてまいるつもりでございます。私もみずから東京などの大消費地に出向きまして、そうしたキャンペーンもいたしましたが、さらにこれを引き続き静岡茶の魅力を伝えるキャンペーンを開催し続けてまいります。これらを通じまして本県茶産地の信頼の回復に全力で取り組んでまいるつもりでございます。
     次に、東日本大震災を踏まえての静岡県の社会資本整備のあり方についてであります。
     東日本大震災の被災地におきまして、国、県や民間団体など官民一体での迅速な復旧や被災直後からの人や物資の輸送など、地域生活の基盤として道路などの社会資本が重要な役割を果たしたことは御案内のとおりでございます。
     本県ではこれまで着実に進めてまいりました第三次被害想定に基づく対策に加えまして、静岡県津波対策会議において、今回の大震災による津波被害の状況等を踏まえ、津波対策施設や緊急避難施設の整備などの緊急対策を実施いたします。また国の東海・東南海・南海の三連動地震の検討結果、これは来春に出る予定であると承知しておりますが、それを踏まえまして総合的な検討を行うこととしております。
     被災時の輸送路につきましては、代替性や補完性にすぐれた複数のルートを確保しておくことが大事です。陸・海・空の交通インフラがネットワークとして相互に連携し、機能が継続されることが重要です。このために開通間近の――来年開通予定でございますが――新東名高速道路を初めとする高規格幹線道路、そして駿河湾港として一体的な活用を目指す清水港、田子の浦港、御前崎港、そして駐機場の拡張などの機能強化が進む富士山静岡空港、これらの県内の交通インフラの新しい連携に向けまして、本年秋にふじのくに交通ネットワークビジョンを策定する予定でございます。その中に大規模災害を想定した交通機能の確保についても盛り込む予定でございます。さらに、平成二十四年度に取り組む新しい静岡県社会資本整備重点計画の策定作業の中で、国の動向や新しい被害想定を十分に踏まえまして、効果的な社会資本整備に向けた具体的な方針を示し災害に強い県土づくりに努めてまいるわけでございます。
     交通ネットワークビジョン。これは今、東海道新時代という仮称で進めておりますけれども、この交通ネットワークビジョン有識者会議というのを設けました。その委員長には、家田仁東京大学大学院教授に快諾していただいております。この家田先生はさきの国交省の交通政策審議会中央新幹線小委員会の委員長をお務めになった方でございます。すなわち、リニア新幹線のルートをお決めになるその委員会の責任者だったわけでございます。そして、この方が最短ルートをお決めになると同時に既存の新幹線の活用方法の一つとして、新しい新幹線駅をつくっていいと。これは文字どおり空港の真下に新幹線駅をつくるということでございますが、それを盛り込んだ方でございます。私自身がこの委員会でその件を提言いたしました後、委員会の終わった後、追いかけて来られまして、「ようやくこれで東海道新幹線が、本来の東海地域のど真ん中である静岡県のための新幹線になりますね」というふうなことを言われておりまして、そういう方がこの有識者会議の委員長になっていただいて大変喜んでおります。本県におきましては来年一気に引佐から御殿場までの百六十二キロが開通いたします。これは日本史上初めてのことです。これだけの高速道路の一気開通というのはありません。恐らく将来にわたってもないでしょう。これは文字どおり既存の東名を補完すると同時に、代替機能を果たすことになります。これはもちろん物流においても、そして災害時においても重要であるということでございます。
     そうしますと、新幹線があり、一号があり、東名があり、新東名があるということになりますが、これからの課題は、それら東西軸に対して南北軸を通すことです。西部におきましては、これは三遠南信自動車道というものを結びつけることによって飯田まで通すと。飯田は恐らくその近くに、あるいは飯田市内にリニア新幹線の駅ができます。そうしますとリニア新幹線と既存の新幹線ないし高規格道路とが結ばれることになって縦の線が結びつくことになります。そして、志太榛原、中東遠におきましては御前崎から東名、一号、新東名を経た、その連絡道路が三十キロ、間もなくできます。そのことを通じて、港と新幹線、高速道路、そして空路というもののネットワークがその地域にできます。そしてまた、この駿河地域におきましては清水から山梨を経て長野に至るいわゆる中部横断自動車道というものの建設が進められておりますが、これにつきましても先般大畠国交大臣と親しくお話をいたしまして中日本高速道路が本県の中で北側からと南側から建設をしておりますが、そのちょうど中間のところが新直轄といいまして国がやることになっております。国がやることはどうしても遅くなりますので、中日本のトップとお目にかかりまして、やる気満々であるということを確認して、そのことを伝えてまいりまして、早くこの縦の線をすることが防災上重要であると同時に、また山梨県、長野県にとっても役に立つということを申しました。そして、そのことに御理解を得たわけでございます。そして東部、特に伊豆半島におきましては伊豆縦貫自動車道というものがこの命の道として極めて重要で、それがない限り、もしものことがあった場合にリアス式海岸として東日本と同じような地形を持っている伊豆半島において、東日本においてできた、いわゆるくしの歯作戦――四号と三陸縦貫自動車道をくしの歯のように結んでいる、その真ん中にある縦の線がないので、くしの歯作戦それ自体すらできないと。したがって、この建設を今まで以上に促進するべきであるというふうなことについての御理解も得たわけでございます。
     こうした策定作業、また推進作業の中で国の動向や新しい被害想定を十分に踏まえまして、効果的な社会資本整備に向けた具体的な方針をお示し申し上げ災害に強い県土づくりに努めてまいる決意をしております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 東海地震を踏まえた浜岡原子力発電所の安全性についてのうち、初めに東海地震による影響度についてお答えをいたします。
     浜岡原子力発電所の耐震性につきましては、平成十八年の耐震設計審査指針の改定に伴う耐震安全性の再評価、いわゆる耐震バックチェックにおきまして、原子力安全・保安院が中部電力の報告書の内容を審査しているところであり、その中で、御前崎地域の地盤隆起をもたらす地殻変動を考慮することも検討項目の一つとなっていると承知しております。
     県といたしましては、こうしたことも踏まえまして政府の要請によりまして浜岡原子力発電所の全号機が停止している間に耐震バックチェック審査を終えることを要請するとともに、それを終えた際には原子力安全・保安院に評価結果の説明を求め、県防災・原子力学術会議を中心に浜岡原子力発電所の耐震安全性について検証してまいります。
     浜岡原子力発電所の前面砂丘の健全性につきましては、耐震バックチェックの中で一定の評価が行われるものと承知しておりますが、去る四月六日に開催をいたしました県防災・原子力学術会議におきましても指摘がありましたように、今回の震災での知見を踏まえたさらなる検証が必要と考えており、中部電力に再検討をお願いしているところであります。また、前面砂丘の健全性は浜岡原子力発電所全号機の停止を要請した政府の運転再開の条件とされている防波壁の設置を初めとします津波の中長期対策とも関連いたしますので、今後、原子力安全・保安院にも評価を求めるとともに、県防災・原子力学術会議を中心に県として慎重に検証を行い、前面砂丘の健全性について改めて確認したいと考えております。
     次に、五号機の安全性についてであります。
     浜岡原子力発電所五号機の主復水器の細管損傷につきましては、原子炉停止後のこととはいえ四百トンもの海水が復水器内に流入したものであり、県としても重大な事象と受けとめており、中部電力には徹底した原因究明と再発防止を求めているところでございます。海水流入に伴う原子炉圧力容器等の設備や燃料の健全性への影響につきましては、現在中部電力が行っております点検・評価の結果がまとまった段階で中部電力に説明を求めるとともに、必要があれば国としての今回の事象に対する評価を説明するよう要請したいとも考えております。浜岡原子力発電所五号機に採用されております鉄筋コンクリート製原子炉格納容器につきましては、独立行政法人原子力安全基盤機構の多度津工学試験所の大型振動台を用いまして、平成十一年度に八分の一の模型の実証試験が行われ基準地震動、いわゆるSSの五倍以上の耐震裕度が確認されており耐震性が十分確保されていると承知しております。
     次に、停止中における県の安全確認についてであります。
     浜岡原子力発電所におきまして保管されている使用済み燃料につきましては、原子力発電をめぐる諸般の状況を踏まえれば、当分の間発電所の敷地内で保管をせざるを得ないのではないかと認識しております。なお、廃止措置中の二号機に保管されております千百六十四体の使用済み燃料につきましては、できるだけ早期に耐震性にまさる他の号機の使用済み燃料プールに移すよう中部電力に求めているところであります。耐震性が低い一、二号機の解体までの安全性の確保につきましては、廃止措置の過程で放射性物質が外部に漏えいすることがないよう、引き続き中部電力に対し適切な工程管理や廃棄物処理など万全の安全対策を求めてまいります。
     県による安全確認につきましては、原子力発電所の設計、建設から運転、廃止に至るまで、原子炉等規制法や電気事業法に基づくすべての許認可権が国にあり、それに伴う責任も国にあることを前提に行っているものであります。県による安全確認は、こうしたことを踏まえまして県民の皆様の安心の観点から県防災・原子力学術会議を中心に事業者の対応や国の評価等を検証するという方法で行っております。学術会議の構成員は、会議の顧問をお願いしております有馬先生に御推薦をいただき決定したものであり、いずれも防災や原子力について高い見識を有する方々であると承知しております。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 学校の津波対策についてお答えいたします。
     県教育委員会では、東日本大震災における津波被害にかんがみ県立学校に対して津波対策に関する調査を行いました。その調査結果からは大津波警報など、津波に関する情報が発せられた場合の詳細な対応行動を示していない学校が多かったことが判明いたしました。このため学校の津波対策マニュアル暫定版を作成し、県立学校や各市町教育委員会に対して津波対策を充実するよう指導したところであり、現在各学校においては地域の実態に応じた津波対策を検討、実施しております。また今月十六日には沿岸部にあります県立学校の防災担当の責任者を緊急に集め、学校の津波対策会議を開催し安全な場所への避難行動や校舎の安全性等につきまして、情報の共有化を図るとともに課題を整理したところであります。
     今後、県教育委員会としましては、津波のハード対策としてまずは津波浸水地域に位置する浜松湖南高校及び新居高校に校舎屋上への避難階段等を設置する計画であります。またソフト対策としては、東日本大震災における津波避難の実例や教訓を生かすとともに、先ほど申し上げました学校の津波対策会議での意見等を参考にしながら学校の地震防災対策マニュアルを見直し、各学校が児童生徒や地域の実態に応じた津波対策をさらに充実させるよう指導してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 森林法改正に対する県の取り組みにつきましてお答えいたします。
     今回の森林法改正によりまして、市町村森林整備計画は地域の森林管理の基本として、より実情に即した実効性の高い計画となります。また森林組合等の林業事業体や森林所有者等が策定します森林経営計画につきましても、森林施業の集約化による木材生産を重視した計画となることになりました。これらの計画を適切に策定し達成していくためには県による市や町、森林所有者への支援が不可欠であることから、県職員が森林の管理や木材生産に関しまして長期的視点に立った体系的な指導助言が行える体制を整えているところであります。さらに計画策定に必要となります森林資源や所有者、林道等の情報を共有化するため市や町に対しまして森林情報システムの導入を支援し、また森林組合等に対してはインターネットにより従来からの森林資源情報に加え、新たに林道等の情報の公開を進めてまいります。
     県といたしましては、こうした取り組みにより森林法改正に的確に対応し、県産材の四十五万立方メートルの生産目標の達成に向け、効率的な木材の安定供給を進めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 新しい林業への進化についてお答えいたします。
     森林資源を活用し年間四十五万立方メートルの木材生産を実現するためには、伐採搬出におきます労働生産性の向上が不可欠であります。このため県では森林の集約化、高性能林業機械の導入、作業道の整備などによる低コスト生産システムの普及を図っているところであります。その結果、伐採搬出工程におきまして一人一日当たり県平均三・一立方メートルを上回る五立方メートル以上の高い労働生産性を上げる先進的な林業事業体も育っております。今年度からは先進事業者のノウハウを活用し意欲ある林業事業体の生産性の向上と、建設会社などの新規参入を促進するビジネス林業展開支援事業を実施いたします。具体的には、最新の高性能林業機械を活用した木材生産の現場指導と直送販売の実践を通じまして、それぞれの事業体に適した生産システムの確立を支援いたします。また、生産コストの検証や新たな経営戦略の検討などのフォローアップも実施してまいります。
     県といたしましては、こうした取り組みを通じまして需要に応じた計画的生産、山林所有者へ収益を還元できる生産性の向上、需要者への直送販売によりまして、ビジネスとして成り立つ林業の展開を支援いたします。森林資源を育てる林業からそれを活用する新しい林業への改革を進めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 三十五番 小長井由雄君。
           (三十五番 小長井由雄君登壇)
    ○三十五番(小長井由雄君) それでは、最初に二点要望させていただきます。
     まず、お茶の放射能問題に関する件でございますが、お茶は今回一地域に関する被害にとどまらず、静岡茶というブランドに対する大変大きな被害が発生しております。風評被害は簡単に払拭できるものではありませんので、今後の信頼回復に向けてしっかりと取り組んでいただきますようにお願いをいたします。
     それから森林法の改正でございますが、これまで一生懸命に森林・林業の経営に熱心に取り組んできた人たち、こういう人たちこそ制度が変わろうとすると不安も大きいというような点もありますので、その点も十分勘案して取り組んでいただきますようにお願いを申し上げます。
     それでは、東海地震を踏まえた浜岡原子力発電所の安全性について、何点かお伺いをさせていただきます。
     復興構想会議の特別顧問で、本県の≠モじのくにづくりリーディング・アドバイザーの最高顧問であります哲学者の梅原猛氏は、「スリーマイル島やチェルノブイリの反省も生かされなかった。今回の震災は文明災だ」として、「原発が人間の生活を豊かにし便利にする。その文明が今裁かれている」と指摘し、「今回の事故は改めて近代文明の是非を問い直し新しい文明をつくるきっかけになるのではないか」と述べられております。原発問題のような非常に重要なテーマに取り組んでいくには、ある種の哲学をもって対していかなければならないと、そんなふうに思うわけでございます。
     福島の原発事故から学ぶ浜岡原発に対する知事の考え、伺っておりますと、県民の生命財産を守るということはもちろんのことではございますが、昨日、一昨日の御答弁を伺っておりますと、この静岡から率先して新しい文明をつくっていくんだというこう強い意思がですね、感じられたわけでございます。きょうは原発の問題についてはお答えをいただけませんでしたけれども、昨日、一昨日、私はそんなふうに感じました。そういった知事を全力で応援してまいりたいと感じておりますので、その点から何点かお伺いさせていただきたいと思います。
     まず、これまでの御答弁の中で、六月二十六日、先日ですね、中央防災会議の専門調査会が被害想定をする地震や津波の規模について、千年に一度の最大クラスまで広げ記録はあるが全体像が解明されてない地震も対象を拡大して、史料だけでなく沿岸の堆積物を調査して過去の津波の規模を推定する必要性を強調しておりますが、このことからすれば今後県としての浜岡原発周辺の地質等の調査をする必要があると考えますが、その辺についてはどんなふうにお考えかお聞かせをいただきます。
     それから、五号機の安全性については徹底した原因究明と再発防止を求めるということですが、何かあると必ずこの言葉が出てくるということで、この辺のところはもう少ししっかり対応していただかなければいけないんじゃないかなとそんなふうに思っております。
     また、昨日の大岡議員への答弁で「原発はコストが考慮されていない。使用済み燃料はリサイクル、リユースができない中でどう対処するのか、どこへ持っていくのか明確になっていない状況でさらに使用済み燃料を出すことは認めがたい」とのお答えがあったと存じます。もし再稼働となれば危険な使用済み燃料は浜岡原発の中に蓄積されていくことになります。再稼働に当たっての検討事項の重要なことだと考えますが、知事の考えを再度お聞かせをいただきたいと思います。
     使用済み燃料のしっかりした処分が決まるということは再稼働の一つの条件として考えていいか。その辺をお聞かせをいただきたいと思います。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 浜岡原発にかかわることについての再質問、ありがとうございます。
     本県の最高顧問でございます梅原猛先生が同時にまた復興構想会議における最高顧問という職責を担われまして、そして第一回の復興構想会議において、原発問題は議論をしないという政府案に対して憤りを示されて、結果的に原発問題もあわせて考えるということになったのは御案内のとおりでございます。そして、梅原先生の哲学はこの原子力事故というものを文明災としてとらえ、日本におきましてはいわば空海の思想にのっとって、五大に響きありと言われるように、火とか風とか土とか水とか、さらに空――そらですね――そうしたところからエネルギーを得るという、そういう思想にのっとってエネルギーを考えるべきであると、こういうお考えであると存じまして私も深く共感をいたしております。そうした中におきまして、ただ空海の思想に基づきまして浜岡の原発をすぐにどうするということはできません。どうしても我々は科学的また技術的な最先進国でございますので、それに基づかなければならないというふうに思っております。
     そうしたことから、有馬先生という文化勲章を受章せられた原子核における最高権威のお一人ほか、その方面における専門家をお招きをいたしまして、浜岡原発の安全性について科学的、技術的観点から御検討をいただくということでございます。目下、これまでのところは原子力安全・保安院というのが、こうした科学的、技術的チェックにおける最高のよりどころであったと、最後のよりどころであったということでございました。先ほど小林危機管理監からも御答弁申しましたように、八月十一日の――八・一一のあの地震の後、低速度層というものが原因で五号機にのみ高いガル数を記録したと。これについてバックチェックを保安院がするということでございますが、その保安院が現在の福島第一原発においてしていることは東電の後追いでしかないということで、日本における事故のチェックと、あるいは原子力のチェックについて、三つございますね、原子力安全委員会それからこの保安院それから原子力委員会というものがございます。その原子力委員会の下に四十人ほどの作業員がいるということでございます。この間、辞任せられた東大の小佐古先生だったでしょうか――も、その作業員のお一人で、いわゆる文字どおりの専門家でございます。そのどこに一体責任があるのかわからないというのがアメリカ側の指摘でございました。
     アメリカにおきましては、御承知のように原子力規制委員会というのがございます。ニュークリア・レギュレートリー・コミッションというのがございまして、NRCとして知られていますが、そこのカウンターパートである日本がどこなのかわからないということがわかったわけです。そして実態としては事故については東電だけが責任を負って――責任といいますか、修復作業を今しておって保安院はその後追いをしているというのが今の実態ですから、もしこちらで事故が起こった場合には一体どこが最終的には責任を持つかというと、中電ということになります。しからば中電は東電よりも技術的、科学的なレベルが高いのかというとそれほど変わらないと思います。したがって、この点につきましては、私どもは日本における科学技術者の最高の英知をしっかりと集めて、これを見たいというふうに思っているわけです。ですから、保安院だから安心だというふうには全く思っておりません。第一、三年後に保安院が今のままで存在しているはずがありません。既に世界における原子力の最高機関でございます、そこにおいて日本の保安院というものを現在の経産省のところから独立させるということを明言しているわけですから、これは国際公約になりましたので、したがって、真にどのようなNRCに匹敵するようなものができるかどうかということが、これからの課題ではないかと。言いかえますと、チェックというものについてはいわば我々はスタートラインに立っていると言っていいと。もし事故が起こった場合に、だれが一体それを修復できるかといったときに、まだきちっとしたチームすらできていないというのが実態ではないか。
     したがって、この点については私は今のバックチェックが終わったら「はい、よろしい」というふうには到底言えないと。どこかの知事さんが「国が安全と言っているので安全です」と。「その国のどこが言ってるんですか」、「保安院です」と。保安院は既にその権威を喪失していると。したがって、それが安全性の担保にはならないということになるわけでございます。
     第二に、それと関係しますけれども、砂丘について御質問がございました。あの砂丘は浜岡原発の水谷所長によれば、七千年間安定した砂丘であると。しかし現場をごらんになりますと、そういう立派な砂丘が、そこの上に植物が生えております。その前に真っ白な砂浜があります。その向こうに海があって、その向こうにテトラポットがあると。じゃ、その真っ白な砂浜はなぜあるんですかと。それは彼らが入れたからです。砂がどんどんどんどんと削られるので取っては入れ、取っては入れ足したと。そうすると津波が来ますと、その砂は少なくとも巻き上げられて、もし防潮壁を越えたとすれば、砂と海水が一緒に入ってくることになります。そうした、かえって彼らがしたことが、その砂丘の人工的砂丘の部分が実際は危険であるということにもなっておって、そこも安心できないということでございます。今さらそれを取るといっても大変な作業であると存じます。
     それから五号機でございますが、五号機は一号機から五号機の中で一番新しいものです。一、二号機は一九七六年、七八年に稼働いたしました。それはまだ東海地震説というものが出たばかりでしたので、これはその想定東海地震に対して耐えられないということで廃炉になる運命はそのときからあったと思います。しかし、まだいわゆる使用済み核燃料が一号機と二号機、特に二号機に一千体以上あります。どうするのかと。そうすると、今回福島第一原発におきまして、一号機から四号機のうち一号機から三号機は稼働していました。四号機は稼働していませんでした。しかしながら一号機が十二日に爆発し三号機が十四日に爆発し、その間に四号機が火災を起こしたと。これはプールのところをやられたと言われていますけれども、これも水素爆発の可能性があるというふうに言われております。そうしますと、こういう使用済み核燃料も崩壊熱を出しておりますから、その冷却に失敗をいたしますと水素爆発になり得るということでございますね。
     実際上、一号機から四号機まで大小の違いはありますけれども、みな水素爆発の可能性が非常に高い。水素爆発が起こりますと、必ず放射能が出ます。ですからこの今とまっておりますけれども、とまっているから安心だというふうには言えないと。そしてこれが津波によってやられる場合もありますし、また地震によって、例えば配管の――沿岸から数百メートルのところに海の水を取り入れる取水口があります――そのパイプがやられてしまうと、仮に電源がすべてあっても、そもそも水が来ませんので冷却機能が失われるので、これは冷却ができなくなって事故になると。しからば電源が今までは一階に置かれていたと。これを二十五メートルの丘の上に置くということであったんですが、それで私はある程度安心かと思っておりましたらば、三、四、五の屋上に置くと。それじゃ今までどうして屋上に置いてなかったんでしょうか。屋上に置いておくと、もし大きな揺れがあったときにその発電機が使えなくなる、故障するからです。だから一階に置いてあったわけです。だから置けばいいというものでもないと。しかし置かないと、つまり臨時の、緊急のときの発電機がないとだめだということで、一番近接した屋上に置いていますが、それがそもそも安全といえるかどうかというふうに言えばですね、置かなかった理由がそういうことでございましたから、必ずしもそれでもって安全だとは言えないと。一つ一つ、論理的といいますか、実態に即して問題を立てていきますと不分明なところが出てくるわけです。
     そして最後にコストの面を言われましたが、この使用済み核燃料は六カ所村がもう受け付けてくれない可能性が非常に高いと。そうすると、これは定期点検というのは点検の名を冠した燃料棒の入れかえでございます。したがって、点検があるごとに今まで使われていた燃料棒を出して新しいものを入れるということでその都度使用済み核燃料というものがふえるわけです。これはふえ続けてきました。これがまた厄介な問題で、そのコストをどうするかということについて果たして議論したことがあったかというと、ないということがわかった。これが今の実態でもございます。そうすると、私どもはこの浜岡原発を今停止している状態の中で、そのいわば検体といいますか、分析対象はそこにあるわけですから、それをいろいろな観点から分析することができます。一つは理工学的観点、すなわち科学技術における分析で、それが今、有馬先生を顧問としてなされているところの防災学術会議です。一方……
    ○副議長(鈴木洋佑君) 知事に申し上げます。答弁は簡潔に願います。
    ○知事(川勝平太君) しかし、これはとても重要なことなのであえて申し上げますが、もう一つ、これは経済合理的という観点からも考えねばなりません。すなわち電力の安定供給ということは経済的、合理的観点からこれが一番いいと言われている。しかしながら本当に経済的、合理的にこれが安心で安全なものなのかというふうに言えるかどうか。これは社会科学的な観点からもしなくてはなりません。したがって、コスト面におきましてはこういう有馬先生ほかの自然科学的な形ではなくて、いわば経済学者とか、政策担当者とか、そういう人たちの委員会もあわせて持たねばならないと。我々は天の恵みとしてこの研究対象を与えられたということで、総合的に分析をするという決意をしております。以上でございます。時間超過して失礼しました。

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