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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

相坂 摂治 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/02/2012

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 地震・津波対策について                     
 (1) 津波避難施設の整備                      
 (2) 災害ボランティアの受け入れ体制                
2 産業構造改革について                      
3 効果的な観光プロモーションと周遊型、滞在型観光への取り組みについて                          
4 学校や教職員を応援するための取り組みについて          
5 学校教育における部活動の充実・推進について           
6 児童の福祉を害するネット犯罪の現状と対策について



    ○議長(小楠和男君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第九十七号から第百十一号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、十一番 相坂摂治君。
           (十一番 相坂摂治君登壇 拍手)
    ○十一番(相坂摂治君) おはようございます。自民改革会議の相坂摂治です。
     通告に従いまして六分野七項目について質問をいたします。
     まず初めに、地震・津波対策について二点伺います。
     先週の金曜日の本会議において、我が会派の中野弘道県議から東日本大震災から今年六月までの人口移動の紹介がありました。改めて私も調べてみましたが、御指摘のとおり静岡市では震災から十五カ月で二千四百八十人が減少しており、特に清水区から約二千二百人の人口が減少、駿河区でも沿岸部地区では人口減の現象が見られました。質問に入る前に私が指摘をしておきたいのは、その際の知事答弁であります。
     内陸部との機能分担を御説明されている中で、人口の移動についてはやむを得ないといった意味合いの御発言がありました。私たち議員は定期的に自治会の会合に顔を出します。昨年の大震災以来、沿岸部の会合で寄せられる質問や意見は津波に対する安全に関することばかりです。その際私たち議員は、移転を勧めたりやむを得ないという意味合いの言葉を口にすることは決してありません。それぞれの地域にはその長い歴史を守ってきた経緯があり、家庭には先祖から受け継いだ財産があり、そしてそこには地域コミュニティーがあるからです。まさに現場の対話の中では、知恵を絞り万策を尽くし抜くまでは決して口にできない政策があるのです。新東名が前倒しで開通したことは大いに喜ぶべきことではありますが、内陸フロンティア構想は決して人口移動を奨励、促進するためのものではなく南北ともに均衡ある発展を目指すものであり、沿岸部の危機管理を内陸側が補完することで、より安全な県土づくりに資するためにあるものだと私は理解しております。地域住民が、津波への不安を抱えながら効果ある施策の展開を待っていることをいま一度知事には御配慮いただきたいと感じました。
     前置きが長くなりましたが質問に入ります。
     昨年度末の三月三十一日、国は南海トラフ地震の発生による津波高の想定を発表しました。駿河区では十・九メートル、高台への集団移転を自治会で決定した内浦を含む沼津市は十三・二メートル、本県最大とされる下田市及び南伊豆町では二十五・三メートル、そして浜岡原子力発電所のある御前崎市ではこれまでの想定を上回る二十一・〇メートルとされており、これまで県が示してきたものとは比較にならない規模の津波高です。こうした想定がなされる中、本県は来年六月をめどに第四次地震被害想定を示すとしておりますが、今から着手して進められることを洗い出して順次前倒しして実施することこそ喫緊の住民の願いでもあります。
     さて私は、昨年九月の本会議でも津波避難場所の確保について取り上げました。その際、沿岸部に暮らす住民の人口と避難場所の面積とを比較して過不足なき避難場所の確保と整備について御所見をお伺いするとともに、市町への県のリーダーシップを要望させていただきました。今日まで、沿岸部の市町も避難施設の追加指定を行ったり、より実践に近い訓練を行うなど多くの努力が続けられておりますし、県の資料によればこの間約五百施設程度であった津波避難ビルが現在は千二百施設までふえたということであります。しかし残念ながら地域住民の中には、いまだに自分がどこに逃げるのが一番安全なのか把握していない方も多いようです。
     こうした状況の中、私と焼津市の良知淳行県議は、駿河区と焼津市の沿岸部についてこれまでの第三次地震被害想定の津波浸水区域に加えて標高十メートル以下の低区域を地図上に示し、一軒一軒の住宅にとってどこが最も近い避難場所であるのかを明らかにしました。さらに四階建て以上の構造物を避難ビル候補としてすべて網羅し、地区別、丁目別に住民人口と避難場所面積との比較を行い、避難所の不足について数値化、可視化をしております。この調査結果から、駿河区については標高十メートル以下の低区域における人口と避難可能な場所との面積は全体としては十分な結果が得られましたが、地区や丁目別という細かい視点で見ると高い構造物が全くない地区もあれば、既に住宅の密集が進んで土地が細分化されており新たに高い構造物を整備することが事実上不可能な地区もあります。東海地震の発生時には、揺れからおおむね五分程度とされる津波の襲来までに自宅から避難できる距離をおおむね二百メートルと想定すると、実に六万二千人の人口の方が避難不可能という結果になります。しかし既に指定した現行の津波避難場所に今ある四階建て以上の民間の構造物を加えると新たに五万六千人分の避難が可能となり、早急に民間所有者の協力を取りつけること、その耐震を進めることが最も早く効果的な対策であることがわかりました。
     この調査は、政務調査費を利用してある民間企業に委託し、約九十五万円の予算で行うことができましたが、行政や民間が蓄積した情報を一つの地図の上に重ね合わせれば、地区ごと、丁目ごと、つまり自主防災組織やコミュニティーごとの正しい津波への減災力が明らかになるのです。ぜひ県下沿岸部の各地区について正確な情報の一元化と可視化に努め、市町をリードしてさらなる啓発と支援を実現してほしいと思います。これから一層の津波避難場所の増加と充実を図りながら、いざというときに住民が迷うことなく一番近い避難場所へすぐに駆け込むことができるよう、どの建物が津波避難場所として準備されているのかわかりやすく表示することが必要であります。さらに津波は何回も繰り返し襲ってくることから、一度避難すると半日以上は避難先にとどまることも予想され、そうなると非常電源や照明、情報通信機器、非常用水や食糧、防寒具など最低限の物資も必要となります。
     そこでお伺いしますが、市町が津波避難施設を整備するに当たりどのような方針を県は示しどのような支援を講じていくのか、御所見を伺います。
     次に、災害時のボランティアの受け入れ体制について伺います。
     東日本大震災の発災直後から復旧時期においては、実に多くの混乱が見受けられました。津波襲来の情報が交錯して多くの命が奪われ、政府の対応のおくれと現地行政の機能停止が直後のマンパワーの不足をもたらし、支援すべきエリアの特定もできないまま支援物資と被災地住民のニーズが一致せず集配所でのトラブルにもつながりました。現地における人材の組織化のおくれはその後も多くの不便をもたらし、結果、復興のおくれにもつながったと指摘されています。
     これまで、私たち静岡県民はこうした問題を支援する側として見詰めてきましたが、今後は本県の被災をより具体的に想定して、今度は私たちが被災者となり支援を受ける側となるための準備をしなくてはなりません。私が所属している静岡青年会議所では、こうした前提に立って全国にある他の青年会議所からの支援やボランティア受け入れの可能性を模索し、市社会福祉協議会やボランティア協会、消防や自治会、商工会議所などとの情報交換を始めました。災害情報の収集と発信システム、復旧・復興活動の拠点整備、そして全国からのボランティアの管理と派遣のあり方について、この町にふさわしい共助の危機管理体制の構築についてそのあるべき姿を描こうとしております。もちろんこうした動きは、私たち青年に限らず行政相互においては広域防災の構築、企業においてはサプライチェーンの広域化でリスク分散を図るなど今度の震災を教訓に新たな動きが加速しております。人命救助やライフラインの復旧などを担う公助、我が身と家族そして生活エリアの復旧に当たる自助それぞれがその活動に専念し、被災後一日も早く立ち直って通常の生活に戻っていくためには全国からのボランティアの力を効率的に生かす共助の体制づくりが必要であり、震災を迎える今からその体制について可視化をして周知しておくことが急務の課題であると考えます。
     そこでお伺いしますが、発災直後から復旧・復興期において多くの被災者の生活を再建し不足するマンパワーを補って精神的な支えとなる災害ボランティアの受け入れ体制については、県は今後今の仕組みをどのように見直して一層の充実と強化を図っていくのか御所見を伺います。
     次に、産業構造改革について伺います。
     昨年発売された法政大学坂本教授の著書「日本でいちばん幸せな県民」では、県民幸福度の本県の順位が全国十九番目と記されております。しかし県民経済計算を見ると、平成十九年度の本県一人当たりの県民所得は三百四十一万五千円、全国第三位です。幸福度がそれほど低く評価されるのは心外だという思いがいたします。ところが雇用者一人当たりの県民雇用者報酬を見てみると、幸福度を低く判定されている一端がわかります。雇用者報酬とは給与所得者が年間に受け取る報酬額のことですが、これが四百四十二万八千円で全国二十五位。ことし発表の平成二十一年度は全国二十九位となっています。平成十年度当時には十四位であったことを考えると、この十年間で全国比較の中で低落傾向を続けているわけです。
     本県経済が製造業によって支えられてきたことを考えると、工場などの労働者比率が高く数年来の円高や世界不況で企業業績が低迷し、現場の雇用者報酬がこの影響を直接受けているのだろうとは推測されますが、近隣諸国が次第に市場としての魅力を高める中、現在はますます製造業の海外展開が進んでおり、これが産業の空洞化を一層深刻化させれば本県の雇用者報酬の向上にとっては極めて厳しい経済環境が続くことになります。雇用者報酬を高めるためには時間当たりの労働生産性を向上させるなり、製造過程における取引を増加させて中間付加価値をふやすなり、次世代の成長が見込まれる新産業を育成するなり、いずれにしてもこれまで雇用の受け皿となった産業分野について、雇用の移動や新たな付加価値の創造など大胆な改革が必要であると思います。特に近年の周辺諸国の著しい成長とこれを牽引してきた各国の経済情勢を見ると、そのスピード感が急務の課題です。
     さて本県は、近年ファルマバレーやフォトンバレー、フーズ・サイエンスなど新産業の集積を推進し、他県に先駆けて企業誘致などの産業振興に取り組んできました。今後はこうした動きを産業全体の構造改革へとつなげ、より付加価値を高めて県民雇用者報酬の向上を実現するにはどのような取り組みが必要なのか、また付加価値が高く成長が期待される分野へ企業が進出するために県はどのような支援策を講じていくのかお伺いをします。
     三つ目の質問分野です。今度は観光政策について伺います。
     このテーマも議会で質問させていただくのは二度目です。前回は諸外国から見た本県のイメージについて、世界の人々が旅行する際に手にする外国版地球の歩き方「ロンリープラネット」に本県の紹介が非常に少ない、静岡という名称そのものが記載されていないという現状を取り上げました。しかしこの数年来観光は我が国の新たな成長産業として位置づけられ、各地方都市は独自の歴史や文化を生かした観光商品の開発、都市のブランドイメージの確立とPRを進め国内においても次第に誘客の競争が激化しています。もちろん本県でも来年の富士山世界文化遺産登録へ向けた取り組みや伊豆のジオパーク、南アルプスの世界自然遺産に向けた取り組みなどスケールの大きなブランド戦略も進められています。また本県には浜名湖や伊豆高原、富士山ろく等の豊かな自然や温泉があり、全国トップの多彩な食、さらに歴史や文化など観光資源の数から言えば全国でもまさにトップクラスであります。しかし観光資源が豊富であることがかえって本県の印象、あるいはインパクトをむしろとらえにくいものとしているとの指摘もあります。今後はこうした実情も踏まえ、より効果的な観光プロモーションを実施すべきであると考えますが、県の御所見を伺います。また地域への経済効果を大きくするため、あわせて周遊型、滞在型の観光を促進し滞在時間や日数が増加するような施策が必要と考えますが、県の取り組みについて御所見を伺います。
     続いて、教育分野で二点質問します。
     既に今議会でも他の議員から質問があったとおり、残念ながら昨年は本県でも何件かの教職員の不祥事が伝えられました。報道などで他県の事例を目にすることも多く、不祥事対策は全国的に各自治体の頭を悩ましている問題のようです。こうした不祥事の報道や情報というのは、当事者への処分や社会的制裁にとどまらず教育界全体に暗い影を落とし、その社会的信用を落としてしまいます。今や教育を取り巻く環境は一つの不祥事を社会全体が裁く風潮にあり、毎年のように不祥事根絶のための新たなルールが設けられ、教員の事務量を増大させさらなるストレスにもつながっているようであり、まさに悪循環の中にあります。
     さて、私の小学生時代は二十五年ほど前になりますが、当時は今よりもずっと教員が児童のそばにいた時代でしたし、保護者ばかりでなく地域全体からも学校の先生は多くの尊敬を集め何かにつけ頼りにされていた時代です。教職員の不祥事どころか子供が起こす問題もせいぜい同級生同士の取っ組み合い程度で、一々社会が騒ぎ立てるようなことはありませんでした。今の教育におけるこうした悪循環こそ早急に取り除かなくてはならない社会の病魔であります。そして初心を忘れず常に子供たちの傍らにあろうとする多くの教職員の努力は、人事における評価や社会への情報発信によってもっと正当に評価されるべきであり、一刻も早くこの悪循環を断ち切るべきであります。学校を支えようとする地域意識の醸成、学校とともに地域の子供たちを育てていこうとする地域教育のあり方、教職員の誇りやモチベーションの向上など教育の信頼回復にはあらゆる視点からのアプローチが必要であります。
     そこで伺いますが、かつて先生方が子供たちにも保護者にも尊敬され頼りにされていた穏やかで健全な社会を取り戻すために、今教育委員会にはどのような対応が求められているのでしょうか。熱心な学校や教職員への応援につながる取り組みについて、これからの教育が進むべき方向性を踏まえて教育長の御所見を伺います。
     次に、中学校、高校における部活動について伺います。
     皆さんも御承知のとおり、近年の少子化によって部活動の種類が激減しており、私たちが過ごした学生時代ほど選択の幅はありません。しかし部活動はスポーツや文化的活動に親しんだり競技力や技術を高めたりするだけでなく、生徒たちの人格形成に必要な教育の場であります。健康で丈夫な体を育成するとともに、豊かな感性をはぐくみながら学習意欲の向上や責任感、連帯感を身につける場でもあります。
     しかし近年は、こうした部活動が選択制となっている学校が多く県内の五割が部活動が義務ではなくなっています。生徒や保護者のニーズが多様化して学校を離れてクラブや習い事に所属するケースもふえておりますし、少子化による学校規模の縮小によって専門的知識や技能を持つ教員も不足しているのが実態だと思いますが、学校時代の思い出の大半は部活動だったというのが日本の学校風景であったはずです。私は単に少子化や教員の不足を理由に部活動の選択肢を減少させてしまうのではなくその教育的意義をいま一度見直して、既に部活動を自由選択としてしまった学校が再び部活動の充実を図ってその所属生徒の数をふやしてほしいと願っています。方法としては、地域の大人たちとの協働によることでも近隣学校との連携によって選択の幅を広げることでも可能だと思うのですが、今後の部活動の充実、推進という観点から教育委員会として現在どのようなお考えで取り組まれているのか、教育長の御所見を伺うものであります。
     最後の質問になりますが、インターネットと子供たちの関係についてです。
     インターネットは、地域や時間の制約を受けることも年齢や性別にとらわれることもなくだれとでも自由に情報のやりとりができ、またみずから情報を発信することも他者が掲載した情報を簡単に入手することができるなど今や日常生活には欠かせない社会インフラとなりました。しかしその一方で、モラルのある使い方や情報の危険性を知らなければ大きな犯罪に巻き込まれたり、無意識のうちにみずからが加害者となってしまうこともあります。
     県警の報告書によると、平成二十三年度中のサイバー犯罪の検挙件数は九十五件。これは前年の約三百件を大きく下回っており、毎年の取り組みの成果が次第にあらわれてきたものと評価できます。しかし児童を取り巻くネット環境は必ずしも改善されているわけではありません。なぜならネット社会には地域の境界も国境もなく有害な情報が世界中からもたらされており、一国のあるいは一地方の行政や警察による制御が及ばない領域だからです。特に児童に心配されるのは出会い系サイトや児童のわいせつサイト等の存在で、時にはこうしたサイトでの出会いが凄惨な事件を引き起こしてもいます。有害な情報は、パソコン環境でなくてもいまや簡単に携帯電話からアクセスできてしまい、単純で安易な興味本位の結果として犯罪に巻き込まれてしまったといったケースがまだまだ後を絶ちません。最近急速に普及したスマートフォンなど高機能携帯電話の特定応用ソフト、いわゆるアプリケーションのダウンロードも一般化し、悪質なアプリケーションによる個人情報の流出や携帯電話の交流ゲームサイトの高額な使用料金が新たな問題ともなっています。さらにインターネット上の総合掲示板として多くの人が気軽にアクセスしている2ちゃんねるでは規制薬物の広告が掲載されていたり、預貯金通帳などの違法情報が五千件余りも流出したまま放置されていたという問題も起こりました。子供たちはこれと同じ仕組みでネット上に学校やクラスの掲示板を設け、時にはここに陰湿な書き込みをするなどネットにおける匿名性を利用したいじめも今では珍しくないようです。
     このように、年々深刻化する少年を取り巻くネット環境に対し、県警はこれまで児童による出会い系サイトの利用防止や児童の健全な成長を著しく阻害するネット上の有害情報、違法情報を防止するため児童、保護者、教育関係者などに対し、薬物乱用防止教室やサイバーセキュリティ・カレッジなどを通じてフィルタリングの有効性やその必要性を訴え、導入促進を行っているものと伺いました。特に出会い系サイトや児童へのわいせつといったネットを介した福祉犯罪は、その後の少年、少女の人生を大きく狂わせてしまう決して看過することのできない重要な問題であります。
     最後に伺いますが、児童の福祉を害するネット犯罪の現状、これに対する県警の対策についてお考えを伺い、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(小楠和男君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 相坂議員にお答えいたします。
     初めに、地震・津波対策についてのうち、津波避難施設の整備についてでございます。
     東日本大震災から我々は教訓を酌み取らねばなりません。まだ仮設住宅で不自由な生活を強いられている人たちがたくさんおられます。ですからこうした避難生活を余儀なくされる前の準備をしなくちゃならんということで、その脈絡の中で内陸フロンティアも考えております。
     津波対策というのは、防潮堤などの施設整備だけに頼ることではなくて、本県の場合東海地震が起こりますと第一波は五分ほどで来るということでございますので、津波浸水域内のすべての住民が徒歩で五分以内に安全な場所に避難できるということが本県における原則となります。このために住民の方々が迅速により高いところへ、より遠いところへ避難できる安全な場所を確保しなければなりません。また防潮堤を整備することを通して津波の浸水時間をおくらせることができます。そして何よりも日ごろの周知啓発による住民の自発的避難を促す環境づくりが大切です。こういう試みを通して最大クラスの津波にも対処できるように、ハード・ソフト両面にわたる津波対策を多重的に推進する必要がございます。
     県内沿岸部の二十一市町におきましては、この方針に基づきまして地域ごとに必要な避難場所を確保し、適当な施設がない場合には新たな津波避難タワーなどの整備を進めているところでございます。その中にはもう住民全体で高台のほうに移転しようとお決めになっているところもございます。そのためにはいろいろな制度的な制約もございまして、私はしかしそうした――これは具体的には沼津の内浦でございますけれども、七、八割の方々が高台に移りたいと。場所もお決めになっておられる。その高台にございます中学校に訪問しまして全校生徒を前に聞きましたところ、やはり三分の二ぐらいの子供たちが移りたいと言っているわけですね。そうした住民が自助の努力によって安全を保とうというそうした試みは、やはり尊重しなければならないというふうに思っております。
     こうしたそれぞれの市町の取り組みを支援するとともに、これらの避難施設に住民が常に的確に避難できるよう、今後地域防災訓練などの機会を通じて一つ一つ地域ぐるみで検証してまいりたいと考えております。また短時間での避難を可能とするために、避難施設や避難経路、各地の海抜については住民はもとより観光客にも容易に判別できるように、日ごろから地域の至るところに誘導標識や夜間の誘導灯などで表示をする見える化を進めるよう市町に働きかけております。こうした中、相坂議員と焼津の良知議員が政務調査費を月々四十五万円、それの全額を一カ月分良知さんとともにお使いになって、津波から免れるためにはどうしたらいいか、津波がどのような形で押し寄せてくるかという津波被害想定マップをおつくりになりまして、私もそれ見せていただいて大変印象的で、こうしたせっかくつくられたものがそれぞれの地区の方々に周知徹底されるようなこともされているに違いないと存じますけれども、政務調査費の使い方の一つとして特にそれを相坂、良知両先生、強調されておりますので、それ以外の使い方についてもまた知りたいところだというふうな関心も持ちました。
     避難施設に備えるべき物資などにつきましても、整備を推進する市町に対しましては大規模地震対策等総合支援事業費補助金を適用し、その取り組みを支援するなど津波避難対策のより一層の充実に努めてまいるということでございます。
     次に、産業構造改革についてでございます。
     本県が、将来にわたって持続的な発展を図り豊かさを生む産業力を維持向上させていくためには、日本全体がそうでございますけれども、産業構造の転換が求められています。東部ではファルマバレー、中部ではフーズ・サイエンスヒルズ、そして西部ではフォトンバレーなどという形で新産業集積クラスターを推進しているところでございます。そうした中、例えば東部では明らかに医療福祉機器の成長が見込まれ、事実、医薬品、医療機器を合わせますと八千億円以上の生産高を記録いたしまして全国一位になっているということでございます。
     こうしたことを受けまして、現在エフメットプログラムというのを推進しているところでございます。エフメットというのはフジ・メディカル・エンジニア・トレーニングの頭文字をとったものでございますが、富士山ろく医療機器開発エンジニア養成プログラムというものでございまして、これを通して産業クラスターの中核を担う人材を育成するということにも取り組んでおります。
     また、中部フーズ・サイエンスヒルズ、これは薬食同源ということでございましたけれども、本県の健康長寿が日本一ということになりまして、その背景には食材の豊かさ、そしてまたお茶を日本の平均以上に飲むということがそういう健康長寿の原因になっているということがわかりまして、そうしたものをさらに励ますということのために、食材の王国、食の都、食の都大路づくり等々をいたしまして、それとの関連で宿泊施設あるいはサービス、技術や生産性の向上を図り、差別化や優位性を発揮して新しい市場の開拓や新商品の開発につながるよう支援しているところでございます。
     また、フォトンバレー、これは光を中心としたものでありますが、最近は自然光ではなくて人工の光、人工光を活用いたしまして葉物の野菜といいますか、レタスとかミズナとかシュンギクとかミツバとかですね、こうしたものを天候に左右されることなくプラントで、工場でつくるということができるようになっております。こうしたものもフォトンバレーがつくり上げていく一つの可能性ではないだろうかというふうにも思っております。そのほか環境であるとかロボット、航空宇宙分野なども新しい分野だというふうに考えております。そうした中で今年度は工場などの新規立地にかかわる補助制度におきまして成長分野の工場や研究所に対する補助率や補助限度額を引き上げること、また付加価値の高い産業の誘致を強化してまいろうと思っております。
     こういう内需を拡大するだけではなくて、対外的にもアジア等今発展しておりますので、こうした新興国の旺盛な需要を取り込むために本県企業の海外展開が進んでおりますが、こうした海外展開をしている企業は海外と国内での水平的な国際分業が進む中で研究開発部門あるいはマザー工場といいますかそうしたものを県内に置いて、そして県内本社の持続的な発展と雇用の確保を目指し、また海外の需要も取り込むというような懸命な努力をしておられるということでございまして、二者択一でなくて両方が発展する道があり得るということでございます。
     こうしたことを受けまして、我々といたしましては専門家を派遣する海外展開コンサルティング事業を新しく実施する、あるいは海外派遣人材育成事業の対象国を拡大する、こういうことなどを通して県内企業が現地で成功をおさめられるように支援を強化してまいりたいと思っております。静岡県はものづくりの県でございますのでその特性を一層進化させるとともに、それぞれの地域が持っております多彩な潜在力、いわゆる場の力を最大限に活用いたしまして、外需と内需のバランスのとれた多極的な産業構造への転換を進めて静岡県――ふじのくにの豊かさを支える経済基盤の確立に努めてまいりたいと考えております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(小楠和男君) 小川危機管理監。
           (危機管理監 小川英雄君登壇)
    ○危機管理監(小川英雄君) 地震・津波対策についてのうち、災害ボランティアの受け入れ体制についてお答えをいたします。
     東海地震の発生時に多くのボランティアが来県されますので、その多くのボランティアを円滑に受け入れるため、本県ではかねてより県社会福祉協議会と県ボランティア協会が連携をいたしまして、県災害ボランティア本部などの受け入れ体制の構築に努めてまいりました。また被災地における支援ニーズを把握しボランティアに割り振る役割を担うボランティアコーディネーターを県が養成するとともに、県内外のボランティア関係者が中心となり七年前から図上訓練を毎年実施するなど体制や仕組みを検証しているところであります。東日本大震災では被災地における支援ニーズの把握ができなかったこと、宿泊場所や活動拠点の確保が困難であったことなどの課題がある中で、本県のボランティア協会は被災地に近い遠野市に宿泊所を建て沿岸の被災地支援を行ったところであります。
     このため県といたしましては、関係機関に働きかけ東海地震など大規模災害発生時には県内各地のニーズが把握できるようボランティアコーディネーターは最寄りの市町で活動することとしたほか、市町の災害ボランティア本部の活動を支援するため県の災害ボランティア本部から新たに調整チームを派遣することといたしました。また災害ボランティアが長期間にわたって活動を展開していただけるよう、各市町に対しましては宿泊場所などの候補地選定を依頼してまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 下山文化・観光部長。
           (文化・観光部長 下山晃司君登壇) 
    ○文化・観光部長(下山晃司君) 効果的な観光プロモーションと周遊型、滞在型観光への取り組みについてお答えいたします。
     新東名高速道路が開通した本年度の大型観光キャンペーンでは、「富士山・食・みち」というメッセージ性のある統一テーマを掲げ、県内宿泊者の八割を占める首都圏、中京圏及び関西圏と空港就航先を重点地区として年間を通じた効果的な観光プロモーションを実施することとしております。このキャンペーンでは県内のホテルや旅館、それにふじのくに食の都づくり仕事人の店舗など四百六の施設の御協力により、登録ポイントを周遊した旅行者に抽選で宿泊券をプレゼントする「まるごと静岡!!スマイルフォトラリー」を実施するなど県内での周遊型観光を促進してまいります。また浜名湖や伊豆地域などでは複数の市町や観光関係団体が連携して、歴史や文化、食といったその地域ならではの観光資源の数々を組み込んだ宿泊プランを商品化するなど二泊三日以上の滞在型の観光エリアを整備しております。
     県では、今後とも市町や観光関係者と連携して魅力ある周遊型、滞在型の観光商品の造成を促すとともに、観光プロモーションを効果的に実施することで多くの来訪者にゆっくり滞在していただける魅力ある観光地づくりを進めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 学校や教職員を応援するための取り組みについてお答えいたします。
     さまざまな要請が学校に向けられている現在、教職員が社会人としての自覚と教職につく者としての誇りや気概を持ち、また学校が子供たちの状況を踏まえた充実した教育活動を推進していくためには各学校が一体となって教育力を高めることに加え、地域が学校を支え教職員を応援していただくことが大切であると認識しております。
     県教育委員会が取り組んでおります学校支援地域本部や本県独自の通学合宿、一部活動一ボランティア活動を通しての地域の方々との触れ合いによる活動、さらには部活動における外部人材の活用等は、開かれた学校づくりの推進に寄与するとともに教職員の視野を広げ頼もしい教職員としての成長の機会にもなっているものと考えております。また子供の規範意識は学校のみならずさまざまな人とのかかわりの中で醸成されることから、保護者や地域を担う教育のあり方について現在きまりを守る子ども育成協議会で御協議をいただいております。この協議会で出されました御意見等は、地域における教育の応援団づくりの一層の推進に資するものと期待しております。
     今後も、このような取り組みをさらに推進し、子供の豊かな人間性をはぐくみみずからも成長していく教職員の姿を地域の方々に直接見ていただくことで、学校に対する信頼を一層高め学校を支える応援団のすそ野を広げていくよう努めてまいります。
     次に、学校教育における部活動の充実・推進についてであります。
     部活動は、生徒のスポーツや文化活動に親しむ能力や態度を育て、心身の健康の増進を図り、責任感や連帯感を涵養し、好ましい人間関係を育成するなど教科等の学習活動とともに、学校教育活動の両輪として本県の有徳の人づくりに資するものであると考えております。部活動の自由選択制を取り入れている学校におきましては、部活動と同じように教育的意義のある地域のクラブや教室などに生徒が参加できるような体制をとっております。
     県教育委員会では、地域での活動を尊重するとともに、部活動の充実を図ることが重要であると考えており、教員の指導力向上のための研修会、外部指導者を活用したスポーツエキスパート及び文化の匠派遣事業、大学生ボランティアの派遣、さらに今年度は十六の高等学校に部活動担当の非常勤講師を配置するなど一層の充実を図っているところであります。
     今後は、近隣の学校同士が協力して取り組む合同部活動等の推進方策を関係機関と連携しながら検討するとともに、部活動顧問の指導力向上のための研修内容の充実と外部指導者や大学生ボランティアの積極的な活用などを通して、生徒が充実感や達成感を一層味わうことができる部活動となるよう環境整備に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) インターネットを起因とする児童の福祉を害する犯罪対策についてお答えいたします。 
     まず現状でありますが、本年五月末までに十六人の少女がインターネットを起因とする福祉犯罪の被害に遭っております。うち十五人の少女が買春や淫行などの性的被害を受けており、年齢は十二歳から十七歳であります。三月には松崎署で、県東部地区居住の女子中学生がネット上の掲示板で知り合った東京都内在住の男に裸体の写真を撮られ、数度の淫行被害にも遭っていたという児童買春・児童ポルノ製造事件を検挙いたしましたほか、五月には磐田署で、宮崎県の十七歳の少女が携帯電話のメールを通じて知り合った本県在住の男に連れ出され、十一日間にわたり自宅やホテルなどで淫行されていたという県条例違反を検挙しております。被害少女らはネット上の危険性や有害性に余りにも無防備、無警戒であり、また保護者も子供のネット利用に余り関心を払っていないためネット社会の落とし穴に陥ってしまっている状況がうかがえます。
     対策としましては、四本柱としまして取り締まりの強化、被害児童の早期発見、保護と再被害防止の支援、サイト管理者対策、関係機関・団体と連携した啓発活動を推進しております。具体的にはインターネットの出会い系サイトをサイバーパトロールし五十二人を検挙するとともに、被害少女などに対するカウンセリングを四十三人延べ百回以上にわたって行っております。またサイト管理者に三十七件の違法な書き込みの削除要請も実施し、ネット上の環境浄化を図っております。
     県内のフィルタリングの利用状況につきましては、平成二十三年度に県教育委員会が児童生徒からアンケート調査した結果、小学生で二九・六%、中学生が四六・六%、高校生は三三・〇%であり、いずれも半分に満たない状況にあります。保護者や児童の意識改善と携帯電話へのフィルタリングの利用促進を図るために、学校や県関係部局と連携して非行・被害防止教室を小中高計四百校において開催しておりますが、今後も連携を十分強め啓発に努めてまいりたいと思います。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 十一番 相坂摂治君。
           (十一番 相坂摂治君)
    ○十一番(相坂摂治君) それぞれ御答弁いただきました。ありがとうございました。
     一点、知事に御答弁をいただきました産業構造改革のところで、外需と内需のバランスをとってという御答弁がありました。私どもも中国、台湾、シンガポール、この数カ月の中で視察に行かせていただきましたが、実際に現地で活躍をされている日本企業、海外に展開している日本企業が、その現地で上げた利益をなかなか日本に利益還元をして還流させていないというような現状が見受けられました。今回当局の方々との打ち合わせの中ではそういうことはないと、ほとんど海外に進出している企業は日本に還流しているんじゃないかという御見解にありましたけれども、実際には円高によって円を買い戻して日本へ還流するということや、あるいは向こうの商慣習で海外人同士での取引の中に日本人がなかなか入れないという慣習があって、そうしたことが原因で日本に還流をさせていくための期限に間に合わない、現地で振り込みをしたりという手続が間に合わないというようなこともいろいろと現地法人の日本の方々から伺ってきました。これからは、ことしの正月の際に、日本の国益と企業防衛とが相反する時代になったということをある一部上場の企業のCEOの方がおっしゃっていたことを記憶しておりますが、これは国の問題になるかもしれませんけれども、何としても日本法人あるいは合弁会社等の法人が海外で上げた利益をどれだけ日本に還流しよう、持って帰ろうという魅力のある地域の産業づくりをするか。先ほど知事がおっしゃったような研究開発拠点を設けて、ここにいなければ商品の付加価値がつけられないというほどの地元の企業の育成、地元の新しい産業分野での付加価値のつけやすさというものがやはり必要になってくるというふうに思いますので、ぜひそうした視点からも海外へ出ている企業が我が国の利益を損なわない、あるいは後押しするような企業倫理がまた再び企業の中に芽生えていくような施策展開をしていただきたいというふうに思います。
     その他は、災害ボランティアについての宿泊先の候補地等の選定等も新たに伺いましたので、こうした取り組みについては市町にぜひ強力なリーダーシップを発揮してこの制度を進めていただきたいと思います。
     それでは、以上知事のほうには先ほどの点を御要望をさせていただいて、質問を以上で終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

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