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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

櫻町 宏毅 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/30/2013

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
 (1) 静岡県の将来像  
  ア 財政健全化に向けた課題  
  イ 市町のあり方  
 (2) 新たな子育て支援  
 (3) 医科大学の誘致
2 地震・津波対策について
 (1) 市町への財政支援
 (2) 地域防災人材バンクの積極的な活用
 (3) 防潮堤の耐震化、老朽化対策
 (4) 駿河湾港の防災対策
 (5) 第四次地震被害想定を踏まえた警察施設の移転、建てかえ
3 富士山保全のための財源確保策について
4 緊急雇用対策について
5 静岡型飛び入学の導入について  
6 県有建築物の天井脱落対策について
7 今後のNPO施策について
8 教育行政のあり方検討会意見書への対応について


○副議長(渥美泰一君) それでは、ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇 拍手)
○三十三番(櫻町宏毅君) 私は民主党・ふじのくに県議団を代表し、県政の諸課題について知事または関係部局長、教育長、警察本部長に伺います。
 議会改革の一環として、今議会から本会議場における質問答弁方式を従来の一括質問、一括答弁方式から分割方式や一問一答方式も選択できるようになりました。県民の皆さんにとって、質問者と当局とのやりとりがわかりやすくなるというメリットがありますので、私は分割方式にて質問をしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは質問に入ります。
 初めに、知事の政治姿勢のうち、静岡県の将来像について質問いたします。
 まずは、財政健全化に向けた課題についてです。
 静岡県は、全国的に見ても財政は現時点では健全であると評価されておりますが、さて将来にわたってはいかがでしょうか。県独自の健全化の目標数値のうち、県債残高について通常債の残高は目標二兆円程度の上限に対し、二十四年度決算見込みでは約一兆八千億円で目標の範囲内となっております。しかし借金全体という視点では、国が保証人になって県が借金をし不足財源に充てる別の借金、いわゆる臨時財政対策債――臨財債のことですが七千億円と膨らんでおります。県の借金総額のうち、この臨財債の占める割合は毎年大きくなってきております。次世代に借金を先送りしないという意味からも現役世代である私たちの責任で対応策を考えていかなくてはなりません。国と地方の長期債務残高は平成二十五年度末現在で九百七十七兆円。一千兆円に迫っております。国の財政状況も危機的状況にあると言えます。次世代を担う子供たちは、先人たちが残した負の遺産である借金を返済をしながら日々の労働で稼いだ給料の多くを税や社会保障費として徴収されるものの、暮らしは一向によくならない。あまり悲観的に考えたくないのですが、遠くない現実の話であります。国の財政状況が危機的な状況である中、県はこのまま将来にわたって国からの交付税または臨財債に依存し続けることができるのでしょうか。歳入面で国に依存する割合を少しずつでも少なくし財政上も自立するという考え方が必要になってくると思いますが、臨財債の縮減を含めた今後の財政運営、財政健全化の取り組みについて県の考えを伺います。
 次に、市町のあり方について知事の考えを伺います。
 県内市町の財政状況は、県と同様厳しい状況にあるものと承知しており歳入に占める国や県からの依存財源は県内市町平均で四割を超え、中には六割を超える団体があると聞いております。私たちの会派も予算要望時期になりますと各市町に伺って予算要望の中身を聞く機会を設けておりますが、自主財源による歳入の確保が難しいところほど国や県への依存度が高く、今後国や県の財政が逼迫し当該市町への援助ができなくなれば、住民へ提供する行政サービスの質が低下することが予想されます。市町が行う地震対策事業などにおいては、補助割合として二分の一を国から四分の一を県から交付されたとしても、残りの四分の一の費用をみずから捻出できないところも出てくることもあり、このように財政力によって享受される住民サービスに差が出るのは知事としても容認できないところだと思われます。
 対応策として考えられるのは、かつて国が主導で行った市町村合併です。平成十一年以降、全国的に市町村合併が積極的に推進され、本県においても七十四あった市町村数が三十五と半分以下となりました。こうした国主導による平成の大合併は、平成二十二年三月末をもって一区切りとなりましたが、今後人口減少や少子高齢化がさらに進むこと、国、県からの援助が少なくなる事態も想定し自治体同士が合併する話が再び持ち上がることもあり得ます。合併問題は当事者たる市町同士が取り上げるべき課題でありますが、県としても将来の静岡県を考えた際に基礎自治体の姿がこのままでよいのか、しっかりとした方向性を今示すことが重要と思われます。
 そこで、静岡県の未来を見据えた市町のあり方について知事の考えを伺います。
 次に、知事が最も力を入れている取り組みの一つである新たな子育て支援について伺います。
 国も県も人口減少傾向にありますが、雇用の場が多い、あるいは子育て支援策が充実していると思われる藤枝市、袋井市、函南町、長泉町の二市二町では増加しているとの新聞報道がありました。子育て支援策について知事は、六月県議会定例会において我が会派の代表質問に子育ては人間として最もとうとい仕事であり、社会的にも評価されるべきであるという哲学を県内に広げていきたいと答弁されました。知事が提唱する子育てがとうとい仕事として社会的に評価される仕組みが構築できれば日本で最初の事例となり、まさに子育てにおける新機軸となるものと期待をしております。そのためにもこの新しい取り組みの趣旨を県民が正しく理解し、ともに進んでいくことが大変重要と思われます。
 そこで、これらの試みは現在どのように進んでいるのか、また今後どのように進めていくおつもりなのか知事の所見を伺います。
 次に、医科大学の誘致について伺います。
 川勝知事は、平成二十一年七月に就任されてから本県に医科大学の誘致を目指すことに取り組まれ複数の大学の関係者との意見交換を行うなどみずから積極的に誘致活動を行ってきたと承知しております。この間の国の動きといたしましては、平成二十二年十二月に文部科学省が設置した今後の医学部入学定員のあり方等に関する検討会で国が医学部設置について議論を開始いたしました。いよいよ医大の新設容認にかじが切られたと私自身も大いに期待をいたしましたが、そうした結論は出ないまま国は既存の医学部入学定員の増加による対策を講じているところであります。
 ところで、私の地元である富士市を含む東部地区の公立病院では、勤務医の確保について開設からの経緯により県外の医科大学からの派遣に頼るところが大きく、その確保には大変苦労しております。このような中、去る九月九日、県が国家戦略特区にグローバル人材育成のための医科系大学・大学院の設置を提案し、定例記者会見において知事は東部が念頭と発言されました。今まで医科大学誘致に向けた情報提供が十分でなかったことから今回、国家戦略特区を申請したことの報道によって東部の県民の期待は再び高まってきております。
 そこで、医科大学の誘致に向けた知事の意気込みを改めて伺います。ここで一旦質問を終了し、答弁を求めます。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 櫻町議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、静岡県の将来像についてであります。
 まず、財政健全化に向けた課題についてですが、議員御指摘のとおり臨時財政対策債の残高は平成二十五年度当初予算編成後で八千六百億円に達しておりまして、県債残高の三〇%を占めるほどになり将来の本県の財政運営において大きな課題であると認識しています。
 日本の地方全体で見ましても、徹底した事業の見直しなどの行革努力により長期債務残高の総額を平成十五年度以降ずっと約二百兆円程度に抑制してきております。そのうち臨時財政対策債については、これだけが急激に増加いたしまして平成二十五年度末には約四十五兆円となる見込みです。これは国の交付税原資そのものが不足していることを要因とするものですが、地方の行革努力だけで解決することは困難です。このため国に対しましては、国と地方を通じた中長期的に安定的な税財政の枠組みの構築や臨時財政対策債の廃止を含めた抜本的な改革と償還財源の確保について強く求めているところであります。
 県といたしましても、防災・減災と地域成長の両立を目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みや成長分野の産業の育成などによる魅力ある地域づくり、人口減少に歯どめをかける少子化対策などの施策を通じて本県の持続的な経済成長を促し、県内総生産や県民所得の向上を実現することにより、県民の増収を図ってまいります。加えて事務事業の徹底した見直し、歳出のスリム化と歳入の確保などにより知事就任後の四年間で六百四十八億円余りの財源捻出と通常債の圧縮に努めてきたところであります。
 ところが、臨時財政対策債――臨財債は天から降ってくる借金なんです。私がとめることができない押しつけられる借金です。後に交付税措置をするということで上から与えられてくる。これは私一人でとめることができません。ですからぜひ県全体として立ち上がらねばなりませんが、県だけでも不十分です。全国知事会でも、このことが深刻な問題になっていますけれども改まる風がまだありません。このままでいきますと臨財債による借金だけで私どもは二兆円を優に超すということになって大変なことになる。
 こうした認識を持っておりますので今後も我々としては、より一層の行財政改革に努め経済の持続的成長と財政健全化の両立に向けて、みずからを律しつつ取り組んでまいりますけれども、ぜひこの点について臨財債と我々の通常の債務とは違うのだという御認識をお持ちいただきたく存じます。
 次に、市町のあり方についてです。
 住民に身近な行政は住民に身近な市町が自立的に担うべきであるという基本的な考え方に基づきまして、静岡県ではこれまで行財政基盤の充実を目指した市町村合併の推進や住民に身近な事務権限の積極的な移譲などにより、県内市町の自治能力向上のための取り組みを行ってまいりました。
 一方、基礎自治体をめぐる行財政状況が厳しさを増す中、今後見込まれる地方分権改革の進展や道州制の導入までを視野に入れた場合、基礎自治体たる市町は住民に身近な行政サービスを安定的かつ自立的に提供できるよう、さらなる能力の向上を図っていく必要がございます。そのため個々の市町におきましては、限られた財源と組織を十分に活用するべく行財政改革に取り組む一方、単独市町での対応が困難な事務につきましては、近隣市町との広域連携や合併などの方策が講じられる必要があります。特に東部、賀茂地域がその対象です。
 こうした中、本年六月内閣総理大臣に提出された第三十次地方制度調査会の答申におきましては、市町間の広域連携は有効な選択肢であり広域連携を一層進めていくため、現行制度に加え、より柔軟な連携を可能とする仕組みを設けるべきだとされました。現在総務省内におきまして、その法制化に向けた具体的な検討が進められています。
 静岡県としましては、こうした動向も踏まえながら県内の市町が自立的に行政サービスを提供できる体制を円滑に構築できるように事務の共同処理や定住自立圏、さらには新しい広域連携の仕組みなどの導入や将来の地域を見据え、行政区域と生活圏とを一致させる市町合併を目指した取り組みに対し情報提供や助言などにより積極的に参画してまいります。
 県、市町を通じて厳しい財政状況のさなかではありますが、将来にわたり市町が住民に必要なサービスを提供でき、県民幸福度の最大化を実現できるように政令市を初めとする市町との連携を図りつつ、政令市における特別自治市創造に向けても援助をなしつつ、基礎自治体の体力をつけるようにできる限りの支援をしてまいりたいと思っています。
 特に、特別自治市ができた場合には、静岡県庁はこの場所から追い出されます。県内にもう一つの県ができるのと同じですから。そうしたことも踏まえて我々は市町の基礎自治体としての体力をつけねばならないということであります。
 次に、新たな子育て支援についてであります。
 少子化の進行による人口減少は、静岡県の活力の低下を招く深刻な問題であります。今年度は少子化対策の取り組みに加え、子育てはとうとい仕事であるという哲学を県内に広め、子育てが社会的に評価される新しい仕組みづくりに挑戦しているところです。まず富士市、藤枝市の御協力を得て実施しております子育てしながら保育士資格を目指すチャレンジ応援事業でありますけれども応募者が多数でありました。そこで追加講座を開催いたしまして、希望された六十六人の方全員に受講していただいております。受講者からはさまざまな感想をいただいております。例えば下の子供が小学生になったら仕事を始めたいと思っていたので、今回の講座はとてもありがたかったとか、この十月に実技試験を受ける方からは、保育所で実際に保育を体験できるのは自信につながると思いますなどの感想が届いておりまして、大変好評であると承知しております。
 また、子育てによって培われた感性と能力を子育て支援や企業の商品づくりに生かす子育てはとうとい仕事具現化モデル事業につきましては、十の市町の二十八の地域子育て支援センターと県内に事務所を持つ三十一の会社の御協力を得まして、来月から開始する予定です。さらに社会全体で子供と子育てを応援するため、先月ふじのくに子ども・子育て応援県民会議を開催しふじさんっこ応援宣言を採択するとともに、ふじさんっこ応援隊を発足させました。現在一千団体を目指し、民間団体や企業などに広く参加を呼びかけているところであります。議員御指摘のとおり子育てはとうとい仕事の理念を普及していくためには、県民の皆様の御理解が不可欠です。
 なぜこういうことを言わねばならないかといいますと、子育てが仕事の邪魔になるとか経済的自立のために子育てをしないとかいうふうな風潮があるからです。そうしたことにも何にも増して一番大切なのは、人材をつくるということの一番の基礎は子育てであるという、そういう哲学を皆様が共有されることが大事だというふうに思っている。それが背景にございます。この十一月にグランシップで開催するふじさんっこ応援フェスタや市町の子育てフェスティバルなどさまざまな機会を通じて、県民の皆様に子育てはとうとい仕事なのであるというそういう考え方を訴えてまいりたいと思っています。
 今後とも、市町や保育所、企業などの御協力を得ながら県民の皆様の御理解のもとで、これらの新しい子育て支援の仕組みを県内全域に広げてまいります。
 次に、医科大学の誘致についてであります。
 県民の皆様に安全で質の高い医療を提供するためには、安定して医師の確保が図られる本県で二カ所目の医科大学の設置が必要であるとの認識のもとで、一つは西部にございますので、もう一つは県東部地域への医科大学設置を目指すという考えには全く変わりはありません。しかし文部科学省が医科大学新設を認めない方針でありますことから、これまでも文科省や厚生労働省に対しまして新設を容認するよう提案や働きかけを行ってまいりました。しかしなかなかに省庁の壁は厚く実現に至っておりません。そこで起死回生を期しまして、ことしの八月に創設された国家戦略特区にグローバル人材育成のための医科系大学・大学院の設置を提案した次第です。今回の提案は、単に医師育成という量的確保だけを目的としているのではありませんで、高い志を持ったグローバルな人材、国際的な視野を、また国際的に活躍できる人たちがこちらに来る、そうした人材の育成を目指すものであります。国際貢献のできる医師の育成や海外からの優秀な医師の受け入れによって、本県の医療水準を大きく向上させるということを期待しています。
 さらに、本県はものづくり県として高いポテンシャルを有しており、医薬品、医療機器の合計生産額は全国第一位です。一兆円になんなんとしているところでございます。このことが追い風となりまして、充実した医療人材の育成が可能となる一方で全国から集まる優秀な人材や蓄積される高い技術によって医療機器の生産が大きく飛躍し、輸入超過解消、輸入超過は医療機器だけで六千億円でございますから医薬品を含めますと三兆円です。したがってこれを輸入代替化し、かつ輸出品に自動車や電化製品がそうであったようにできます。そうした成長産業としても確信しております。この国家戦略特区は、安倍首相主導で創設されたものでございますことから首相のリーダーシップに大いに期待しておりまして、省庁の壁――岩盤と言われる規制を打破したいと考えております。
 静岡県といたしましては、今後も医科大学設置の実現に向けまして、あらゆる方策を講じ最大限の努力をしてまいります。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇)
○三十三番(櫻町宏毅君) 知事から心強い御答弁ありがとうございました。
 臨財債のことについて再質問させていただきます。臨財債というか県の財政のことについてですね。
 「自分たちの意志ではコントロールできない借金だ」というお言葉がございましたけれども借金であることは変わりはないというふうに思います。先ほど私が壇上で申し上げたとおり、この借金を返すには次世代の子供たちにもお願いをしなければいけないわけです。
 そこで、県民の皆様にもぜひ県の財政の状況をわかっていただきたいということで、静岡県は実は広報ツールの一環として静岡県の財政状況という簡単な冊子をつくっています。きょうはちょっとここに持ってきていませんが、その中で静岡県の財政をふじっぴーという県のマスコットの一家の家計簿と位置づけて、ふじっぴー家のお父さんが五十万円収入を持ってきたとしたときにどのくらいの内訳でなおかつどのくらいの支出なのかということについて表にしたものがございます。これは大変わかりやすいので紹介いたします。
 一兆一千億円もの県予算を五十万円とした場合ですが、収入は給料に当たる県税や交付税が三十万四千円、借金である県債が八万五千円、友人つまり国からの援助が六万円。五十万円のうち借金や国からの援助が何と二九%にも上っているということです。御自分の御家庭で自分のうちの収入の三分の一が借金だということになると大変な状況じゃないかと思いますが。
 一方支出です。生活費に当たる人件費や行政費が十八万二千円、支払い先が決まっている医療費、介護費が三万五千円、家の増改築、家財の購入などの投資的経費、維持修繕費が七万四千円、ローンの返済に当たる公債費が七万五千円、さらに友人である市町への援助が十万七千円。これだけ収入がなくても出さなきゃいけないものもあるということですね。ローンは返さなくてはなりません。ですので先ほど議論となった臨財債も含め、ローンは返しつつもやはり生活費であったり家財の購入費であったりといったところを切り詰めていかないと一般家庭では成り立たないと思うんですね。
 ですから、この静岡県としても歳出抑制策、どのようなことに取り組まれるおつもりなのか、この点お伺いしたいと思います。
 続いて、市町のあり方についてでございますが、御答弁の中で合併という言葉もございました。ただ一般的に今合併は大変難しいというような論調になっております。それは各基礎自治体がなかなか自分らで手を上げて合併しようぜという動きに今なっていないということが理由かと思いますけれども、しかし私は先ほど申し上げたとおりこのまま行けば市町は存続し続けなくなるというふうに思うわけですね。ですので答弁にもございました、やはり広域連携というのが必要になるかというふうに思います。実は広域連携の先進県は長野県です。長野県は広い県土を十のブロックに分けてゴミの問題であったり、老人施設の問題であったり、事務事業を一元管理するということを先進的にやっておられます。
 そこで、静岡県もこの広域連携をする場合、どのようなブロックあるいはどのような分野に力点を置くのか。この二点について再質問をいたします。御答弁をお願いいたします。
○副議長(渥美泰一君) 土屋経営管理部長。
○経営管理部長(土屋優行君) 再質問にお答えいたします。
 まず、一つ目の財政健全化に向けた課題でございます。
 これにつきまして歳出の抑制策ということでございました。これにつきまして六百四十八億円――先ほど知事も御答弁申し上げましたけれども、その中から歳出の中で確保したものが四百六十億円ほどございます。その内訳を言いますとサンセット方式の導入等によった補助金、団体負担金の見直し、これが三年間で二十三億円ほど。総務事務の集中化等で八十億円ほど。それから事業仕分けを実施したときに四十九億円ほど。それ以外につきましてさまざまな事業取り組み、削減等を図っているということがございます。人件費につきましても給与の削減等、見直し等をしてございますので、その削減が入っているということでございます。
 それから、二つ目の市町の話でございますけれども広域連携につきましてブロックをということですけれども、今現在どういうブロックでということは、まだ議論にはなってございません。ただし先ほども知事の答弁にございました地方制度調査会の第三十次の答申の中で分野を幾つかを例示されているということがございまして、その中では産業振興とか雇用の確保あるいは広域観光、高度救急医療、介護、障害者福祉、広域防災ということで、これにつきましての分野でやってはいかがかという提案もございました。
 それに従いまして、今現在行革大綱を見直している中で先ほど申し上げましたけれども、県と市町との関係について議論をしましょうということがございまして、来年度そういう課題も含めて市町との研究会を開催したいというふうに考えてございます。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇)
○三十三番(櫻町宏毅君) ありがとうございました。歳出抑制策については人件費を引き下げるということも選択肢だと思いますが、既に県庁で働く多くの職員の皆さんには津波地震対策ということで給与カットのお願いもしております。私どももそして皆さん方もそれだけ協力されておりますので、モチベーションの関係にもつながってこようかと思います。そこはぜひ慎重にやっていただきつつ無駄な支出は抑えていただくということでお願いいたします。
 また、知事の政治姿勢のほかの質問について要望だけさせていただきますが、医科系大学の誘致については、これは東部の県民だけでなく広く多くの県民が求めていることでございます。高いハードルを何とか乗り越えるという心強い発言がございましたので、この特区の中についてしっかりと発言をしていただきたいというふうに思います。これは要望でございます。
 それでは、次の質問に移ります。
 地震・津波対策についてのうち、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に伴う市町への支援について伺います。
 県では、六月末に第四次地震被害想定の第一次報告を公表し、これを踏まえ地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を策定いたしました。対策の主体は自助であり、県民一人一人が主体的に取り組み、みずからの命はみずから守ることが防災の原点であるということは言うまでもありません。自助では解決できない課題に対して、自主防災組織を中心に地域の住民や事業所、学校などが協力して対応する共助がありますが、県主導の防災訓練も年を追うごとに充実してまいりました。県や市町といった行政は自助、共助では対応できない課題に公助として積極的に支援することとなります。特に住民にとって身近な市町は対策を進める上で最も重要な役割を果たすことになります。そのため六月定例会の我が会派の代表質問でも県の市町への支援について質問いたしました。知事からは、「市町が住民の安全確保に直結した地震・津波対策事業を着実に推進できるよう補助メニューの追加や限度額の見直し等も含めた制度の改善を検討中」との答弁をいただいております。その検討結果を踏まえ、今定例会に九月補正予算案として第四次地震被害想定の公表を踏まえ、市町が緊急かつ重点的に地震・津波対策を実施するための交付金が提案されております。
 そこで、今回の交付金制度の改正の考え方及び内容、さらに期待される効果について県はどのように考えているのか伺います。
 次に、地域防災人材バンクの積極的な活用について伺います。
 防災知識や技能を有する防災士は、災害発生直後から公助が動き出すまでの初期段階において職域だけでなく、地域住民へのアドバイスや災害対応活動などへの支援ができることから地域の防災リーダーとしての活躍が期待されております。また平常時においては自助、共助による防災活動について、その重要性を職場や住民に周知啓発する役割を担い、この点が防災士養成プログラムの中でも最も重要視されております。
 県は、防災士について六月に策定した地震・津波対策アクションプログラム二〇一三において、地域の防災力を強化し自主防災組織の活性化を図るため、静岡県ふじのくに防災士等の養成・活用をアクションの一つとして位置づけました。自主防災組織を中心に地域住民が協力して取り組む共助を進める上で、防災に関する人材の育成と活用は大変意味のあるものと考えております。
 私も平成二十三年にふじのくに防災士の資格を取得いたしました。多くの防災学の専門家が講師として招かれ高度な内容を教えていただいただけでなく、DIGやHUGといった実訓練を体験いたしました。現在は防災士の資格を生かし地元町内会の自主防災委員を対象にしたDIG講座を開催し、町内に潜む災害発生時の危険の事前把握などに取り組んでおります。
 このたび県から、ふじのくに防災士等に対し地域防災人材バンクへの登録の呼びかけがあり、私も登録をいたしました。この人材バンクの目的は登録者名簿を公開して市町や学校、自主防災組織の防災訓練や研修会などで活躍できる人材として紹介している点であります。県が行っている防災士や防災フェローなどの人材育成は大変レベルが高く、県は防災先進県の自負のもと防災知識のある人材の育成に大きく貢献をしていることは高く評価するところですが、これらの人材が地域や職場で活躍してこそ本来の防災力向上につながるものと推察いたします。
 そこで、地域防災人材バンク登録者の人材活用をより活発にするため、県は今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、防潮堤の耐震化、老朽化対策について伺います。
 県が発表した静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三には、県民が現在最も関心のある地震被害対策の一環として、今後十年をかけて静岡県沿岸線五百六キロのうち約八十キロの津波対策を行うことが明記されております。その費用は約二千億円と見積もりされており、国からの交付金や県の自主財源さらに県内企業や県民からの寄附だけでなく、六月定例会で議決をいたしました先ほど紹介いたしました県職員や県議会議員の給与、歳費の一部が充てられるなど県の総力を挙げて取り組む重要な課題であると認識をしております。
 沿岸線の一部である富士海岸は、直轄事業により日本一高い十七メートルの防潮堤が整備され他の沿岸部と比べ整備が進んでおり、富士市や沼津市、静岡市の市民に安心感を与えてくれていますが、昭和四十二年の整備着手であり耐震化や老朽化が心配視されます。富士海岸だけでなく本県の海岸堤防は、昭和三十年代から四十年代に築造され、完成から四十年以上が経過しているものが多いと聞いており、施設の老朽化が進んでいるのではないかと推測されます。既に整備されているから安心なのではなく、既設の防潮堤が想定される地震の震度や津波高に耐え得る強度が確保されてこそ県民に安心感を与えられるものと認識しております。県が進める防潮堤整備事業は未整備箇所に対して新設することに重きが置かれていると思われますが、直轄事業で施工された分も含め既存の防潮堤についても強度の確保が重要です。
 そこで、既存の海岸堤防等の点検や老朽化対策の実施状況、さらに今後の方針について県の考えを伺います。
 次に、駿河湾港の防災対策について伺います。
 現在、富士山静岡空港は発災直後の緊急支援部隊や緊急物資の空からの受け入れ窓口と位置づけられております。しかし復旧作業が広範囲でかつ長期にわたる場合、全国から押し寄せる大勢の支援部隊や大量の救援物資の受け入れ口となるのは、やはり海の港――港湾であります。東日本大震災でも宮城県の仙台塩釜港は、国直轄による耐震強化岸壁の整備が進んでいたおかげで全国からの支援物資やその物資を運ぶトラックまでもが運び込まれ、被災地に物資を届ける拠点となったと聞いております。
 駿河湾港のうち、第四次地震被害想定では清水港、御前崎港は大きな浸水被害を受けることが想定されておりますが、田子の浦港は十七メートルの防潮堤が取り囲んでおり、唯一の浸水場所が港の入り口のみであることから壊滅的な被害を受ける可能性は低いとされております。また富士市には東名高速道路と防災道路として位置づけられた新東名高速道路のインターチェンジが近接しており、陸揚げされた物資は陸路を使って県内各地に短時間で搬送できる優位性もあります。物流業界のネットワークも充実しており、防災港としての条件が整っているものと考えます。
 発災時には、駿河湾港それぞれが相互補完し合い、速やかな復旧・復興の役割の一部を担う必要があると思いますが、今後の港湾の防災対策、特に田子の浦港の防災港として果たす役割について県の考えを伺います。
 次に、第四次地震被害想定を踏まえた警察施設の移転、建てかえについて警察本部長に伺います。
 東日本大震災の発災直後、機動的に動いたのは市役所や役場の職員の皆さん、地元消防団の皆さん、そして警察官の皆さんです。警察官は避難誘導や緊急自動車が通行する道路確保のための瓦れき撤去、停電によって信号が動かない交差点での安全な交通誘導、行方不明者の捜索などを行い、その貢献に改めて敬意を表するところであります。
 さて、本県においても想定される大規模災害を受け警察機能の拠点となる警察署にどのような影響を及ぼすのか早い段階から検証し、整備しておかなくてはならないと思います。この点について平成二十四年九月定例会の我が会派の代表質問でも取り上げておりますが、警察本部長答弁では当時最新であった第三次地震被害想定等に基づき、複数の警察署や航空隊の機能に支障を来すおそれがあるとし、今後の移転計画の優先順位を高くして対応していくとの答弁がありました。
 本年六月に発表された第四次地震被害想定では、被害規模が第三次よりも広範囲にわたっております。先ほど述べたように発災時に警察の初動態勢が迅速にかつ的確に遂行されなくてはならないため、県警では第四次地震被害想定を考慮した警察施設の移転、建てかえについて、どのような検討を行っているのか警察本部長に伺います。ここでひとまず質問を終わり、答弁を求めます。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 地震・津波対策についてのうち、防潮堤の耐震化、老朽化対策についてお答え申し上げます。
 昨年十二月の中央自動車道の笹子トンネル崩落事故を受けまして、本年四月には全国一斉に海岸保全施設の目視による緊急点検を実施いたしました。本県ではこの緊急点検に加えまして、施設のある県内十七海岸を対象に国の海岸保全施設維持管理マニュアルに基づきまして、施設の健全度を把握するための老朽化調査を行ったところでございます。その結果本県の防潮堤は、県内十七海岸のうち十四海岸におきまして健全度が高いことが確認されました。ただし沼津牛臥海岸、相良須々木海岸、浜松五島海岸の三海岸の一部区間におきまして、空洞化対策などの補修が必要な変状が――変わった状態が確認されましたので、今年度中に対策に着手いたします。また耐震性につきましても第四次地震被害想定を踏まえまして、今年度調査を実施してまいります。
 また、国直轄の富士海岸につきましては、堤防の裏のり面の経年劣化したアスファルトをコンクリートに打ちかえる老朽化対策工事を今年度完了する予定です。耐震性につきましては国の指針に基づき問題がないとの結果が出ておりますが、第四次地震被害想定を踏まえ今後改めて確認していくと伺っております。
 県といたしましては、引き続き写真撮影による定点観測や巡視による日常点検を行い、機能に影響する変状があれば早期に補修を実施するとともに、将来的には予防保全型の管理を徹底し長寿命化対策を推進してまいります。以上です。
○副議長(渥美泰一君) 小川危機管理監。
       (危機管理監 小川英雄君登壇)
○危機管理監(小川英雄君) 地震・津波対策についてのうち、まず市町への財政支援についてお答えをいたします。
 第四次地震被害想定と新たなアクションプログラムの策定に伴いまして、今後市町において充実強化する必要がある地震・津波対策を迅速かつ的確に実施できますよう、新たな交付金を本会議でお諮りしているところでございます。この交付金では、発災時や発災直後に特に命にかかわり重点的に進める必要がございます津波関連事業や自主防災組織の資機材整備などの事業につきまして、現在の三分の一の補助率を二分の一に引き上げますとともに、新たに火山噴火等の防災訓練や津波避難ビル等の対浪性――津波に対する強さでございますが――調査などの新たなメニューを創設しましてなおかつこれらの事業については限度額を設けないことといたしました。また市町によります積極的、計画的かつ前倒しでの事業実施を可能とするため、今後三年間の事業費分を一括して交付することといたしました。なお市町村振興協会におきましては、市町の負担がより軽減されますよう協調した助成が検討されているところでございます。
 六月補正予算に計上いたしました市町アクションプログラム策定支援事業費と今回お諮りをしております新たな交付金によりまして、市町における事業が迅速かつ的確に実施され一人でも多くの県民の命を守ることができますよう取り組んでまいります。
 次に、地域防災人材バンクの積極的な活用についてであります。
 地域防災人材バンクは、ふじのくに防災士など専門的な防災研修を修了した人が市町あるいは自主防災組織、あるいは企業が行います防災訓練や出前講座などにおきまして、講師やアドバイザーとして活躍できますよう希望者を募集して創設したものでございます。依頼者から直接連絡がとれる名簿を公開しておりまして現在百十九名の方に登録していただいております。本年四月の運用開始以来、自主防災組織の防災勉強会の講師や応急救護訓練の助言者などとしまして活動実績がございます。名簿を公開しております県地震防災センターには、依頼者からのお礼の連絡があるなど人材バンク制度創設の手応えを感じております。
 今後は、登録者のさらなる活躍の場を創出できますよう各種防災イベントや地震防災センターでの防災講座などの機会を捉えまして、直接情報を伝えるほか県が有するさまざまな広報媒体を通じまして、人材バンクの活用を広く呼びかけてまいります。
 また、登録者との情報交換を密にして活動実態を把握するとともに、県の第四次地震被害想定に基づく防災対策や自主防災組織ごとの災害対応を具体的に考え実践に結びつける図上訓練――イメージTENと申しますが――の演習などを盛り込んだフォローアップ研修により、登録者の実践力の向上に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 地震・津波対策についてのうち、駿河湾港の防災対策についてお答えいたします。
 県では、国等からの緊急物資の輸送手段が海上輸送となる場合を想定し、それら物資の集積場所を港湾、漁港に確保しております。駿河湾港を構成する清水港、田子の浦港、御前崎港の三港につきましては、緊急物資を直接受け入れ広域物資拠点等に搬送する防災拠点港湾に位置づけております。
 中でも田子の浦港は浸水被害が軽微と想定していることから、いち早く緊急物資を受け入れることが可能であり、またふじのくに田子の浦みなと公園は、ヘリコプターの離着陸が可能なことから空路による緊急物資の受け入れにも利用ができるなど県東部における輸送活動に大変重要な役割を果たすものと考えております。
 県といたしましては、引き続き国と連携して駿河湾港の緊急輸送岸壁の耐震化や防波堤の改良を進めるとともに、地震や津波などによる大規模災害発生後、物流機能の継続性を確保するみなと機能継続計画を作成し、防災対策の一層の強化を図ってまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 島根警察本部長。
       (警察本部長 島根 悟君登壇)
○警察本部長(島根 悟君) 第四次地震被害想定を踏まえた警察施設の移転、建てかえについて、お答えいたします。
 警察施設は、地域の治安維持活動の拠点であるとともに、一たび災害が発生した場合には地域住民の避難、救助活動を行う防災拠点として非常に重要な役割を担うものであります。県警察では東日本大震災の発生以降、過日公表された県の第四次地震被害想定を踏まえつつ治安拠点としての適性、警察施設の建築年度、耐震補強工事の状況、海岸からの距離等の多角的なデータをもとに移転、建てかえなどが必要と考えられる警察施設について選定を行っております。
 現段階では、五メートルを超える津波高が予想される下田警察署松崎分庁舎を初め、伊豆半島南部地域では下田警察署、県西部方面では湖西警察署などの警察施設が津波による浸水被害の危険性が高いと判断し必要な方策について部内の検討を進めております。
 また、今回の第四次地震被害想定においては、被害想定区域には所在しないものの、過去の記録では津波被害があったとされる細江警察署、さらには発災時においてもその機能を確保し警察活動を行う必要がある警察航空隊などについても平常時の治安維持機能とのバランスに配意しながら、災害に強い施設のあり方等について継続して分析検討を進めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇)
○三十三番(櫻町宏毅君) 二点再質問いたします。
 一点は市町への財政支援の件でございますが、今御答弁では市町がやる気があって防災タワー、津波タワーであったり、さまざまな命山であったり、いろんなことに取り組む姿勢があって自分たちもお金を出すということであれば、しっかりと県が面倒を見ましょうといったような姿勢ではないかと思いますが、例えば地域を限定して恐縮ですけれども伊豆半島の賀茂地域に小さな市か町があるわけですけれども、自分たちのお金はなかなか出せないと。だけども津波の被害が襲う可能性があるといったようなところもあるわけです。ですからそこは財政力がなくて自分たちでお金出せないから、非常に厳しいから、そこは地震対策はできませんというようなことがあっては、そこにお住まいの県民の皆さんの安心と安全は守れないわけですので、こういった財政力の弱いというか、そこのところの自治体に対してどのような防災に対しての援助を行う御予定なのか。これは財政の関係になろうかと思いますけれども、御答弁いただければと思います。
 もう一点、人材バンクについてであります。
 私も防災士の講座を受けた際に、やはり三・一一の震災の直後だったものですから、やはり地震と津波ということに対する知識をものすごいボリュームで、あるいは中身を濃く教えていただきました。しかし地震と津波だけが災害ではなくて、午前中も議論がありましたように今は大きな豪雨災害、台風だとか竜巻だとかいうことも災害になるわけですね。そうなりますと現在の防災士の位置づけが地震が発生したときに動いていただく方の人材といったようなことが、どうしても色づけされているわけですけれども、先ほども例に挙げたような竜巻であったり台風であったりといったようなときの災害に対しても初動的に動いてもらえるような、そんな必要性があるのではないかと思います。地元の自治会役員に対しての防災士取得等々についての手法があろうかと思いますが、この点についての対応策について所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(渥美泰一君) 小川危機管理監。
○危機管理監(小川英雄君) 再質問にお答えをいたします。
 まず初めに、市町への財政支援でございます。
 先ほども答弁の中で答えさせていただきましたんですが、従来当然財政力の弱い市町村については、今できる中でのできる限りの応援をしたいなということを考えておりまして、その中でまず一つは補助率があるのではないかということで、先ほども申し上げましたけれども現在三分の一になっていたものを二分の一の補助率。さらにそれに上乗せをするような形で市町村振興協会というところから、さらに六分の一の補助が出るということが記載をされております。これを合わせますと従来三分の二を自己資金として、自分のお金として出さなければならなかった部分をその半分、三分の一それぞれの市町が負担をすればその事業ができるということで応援をしていきたい。ですから従来と比較をいたしますと倍の事業ができるということが一つございます。
 それともう一点、今年度を含めまして三カ年の分を交付金という形で先積みをいたします。したがいまして、それぞれの市町の中で優先順位を決めて、その中で必要なもの、あるいは緊急度の高いものから事業を実施していただけるのではないかということで期待をしております。
 もう一点でございます。防災士それから人材バンクへの登録、大変ありがとうございます。先ほど御指摘がございましたように確かにふじのくに防災士につきましては、従来から東海地震の対策あるいは三・一一以後につきましては地震対策、それから津波対策を主なものとしてやってきておりまして、おおむね三十くらいのカリキュラムがありますが、その中でほとんどが地震対策、津波対策でございますが、中に現在二つか三つ、ことしにつきましてはいわゆるその他の自然災害ということで、風水害等も講義の中に入れ始めております。先ほど御指摘がございましたように確かに発生頻度からすれば地震とか津波以外の自然災害のほうが圧倒的に多うございますので、今後来年度のカリキュラムを考える中でその必要性等につきまして十分検討いたしまして、頻度の多い、例えば風水害から避難をするときにもやはり事情のわかっている方等が、要するに防災士の方がその中にいて心強いなと言われるような状況ができるように内容を検討してまいりたいと思います。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇)
○三十三番(櫻町宏毅君) 今回、地震・津波対策を質問に挙げた理由といたしましては、県の総合計画にあります命を守る危機管理という大きな柱がございますけれども、県民の皆さんの最大の関心事はやはりこの危機管理、地震・津波対策だと思います。そこで今幾つかの質問をさせていただきましたが、県民の命と財産を守るという行政が一番やらなければいけないことに対して、今私どもが一丸となって闘っていかなくてはいけない事項だと思います。ぜひ県の地震・津波対策におけるさまざまな施策が前進していただけますように、これは要望とさせていただきます。
 それでは、次の質問に入ります。
 富士山保全のための財源確保策について伺います。
 富士山の世界文化遺産登録に当たっては、世界遺産委員会から我が国に対し保全管理の強化に関する勧告がなされております。本県は国や山梨県と連携を密にし登山者の安全確保や富士山の環境保全への対応などの多くの課題に対する対応策を決めていかなくてはなりません。当然のことながら費用面での裏づけも必要となります。静岡・山梨両県は、七月二十五日から八月三日までの十日間、来訪者に対し富士山協力金のお願いをし期間総額で三千万円以上の協力金が集まりました。インタビューでは、美しい富士山を維持するために使ってほしいという意見が大半であったと記憶をしております。
 課題解決のためには必要な費用がかかります。そこでこの富士山協力金だけでなく、富士山を愛する全ての国民、県民の皆さんから本県にゆかりのある企業までの寄附を受けつける富士山基金の立ち上げを検討されてはいかがでしょうか。既に流通最大手のイオングループからは、グループのショッピングカードであるWAONカードによる売り上げの一部を静岡県地球環境保全等に関する基金へ寄附をしていただいております。またさきに登録された石見銀山においても同様の取り組みを行うなどイオングループの社会貢献に対する姿勢に改めて敬服をするところでございます。
 去る九月二十五日、都内で開催された富士山利用者負担専門委員会において登山道の維持管理や美化活動などに山梨側で単年度約十一億円、静岡側で約十四億円が充てられていることが明らかとなり、委員の一人は保全には金がかかることを意識してもらう必要があると指摘をしております。
 そこで、今後県として富士山基金の設立も含めた富士山の保全にかかわる費用の確保策についてお考えを伺います。
 次に、緊急雇用対策について伺います。
 リーマンショック後の急激に悪化した雇用情勢を受け国が緊急雇用創出事業を展開し、本県はこれまでに国からの交付金のうち四百億円余りを基金として積み立て、県のみならず市町においてさまざまな事業を実施してまいりました。事業の実施に当たっては、本来の趣旨である失業者に対する短期の雇用・就業機会の提供に加え、民間からアイデアを募集するなどの知恵を絞った執行に努め、厳しい雇用情勢のもと未内定のまま卒業した学生に対する就職支援や障害者に対する就労支援など雇用対策としての成果は著しく、高く評価するものであります。全国的な雇用情勢の回復に伴い緊急雇用創出事業は二十六年度で終了となる見込みと聞いておりますが、若者の失業率は他の年齢に比べて高く、障害者雇用も法定雇用率を下回っているなどこれらの就労弱者に対する支援には引き続き力を入れて取り組んでいくべきと考えます。
 そこで、これまでの緊急雇用創出事業を活用した就業支援施策の具体的な成果及び基金終了後の事業実施の考え方について県の考えを伺います。
 次に、静岡型飛び入学の導入についてであります。
 知事はふじのくにの未来を担う有徳の人づくりに向け、教育改革に熱心に取り組まれております。特徴的な事例といたしましては、大学への飛び入学について有識者による高校と大学の連携・接続のあり方検討委員会を発足させ、八月には検討会から飛び入学を積極的に進めるべきという趣旨の中間取りまとめが知事に提出されました。飛び入学とは十七歳――高校二年生で大学に入学できる文科省の飛び入学制度を活用し、ものづくり分野ですぐれた能力を発揮する職業人の育成などを目指すものであり、その効果や必要性に対する社会的な理解が進んでいないことや受け入れ大学における実務的な問題等により、活用が進んでおりません。先進的に取り組んでいる千葉大学では、先進科学センターという飛び級制度の専任部署を設置しております。センター長の談話には、「何かに突出した才能を持つ高校生を飛び入学により大学に受け入れ、独創的な研究を担う個性的で活力旺盛な若者へと養成する」とあります。既に七十二名が本プログラムを修了し民間企業や研究機関で活躍しているそうであります。話を聞く限り大変すばらしいプログラムですが、今年度全国の大学ではわずか六校しか募集しておらず、拡大に向けてはさまざまな課題がありそうです。
 知事は、県内大学に静岡型飛び入学の導入を働きかけるとともに、導入のための環境整備に取り組むとのことでありますが、静岡型飛び入学とはどのようなものなのか、また県としてどのように導入を進めていくのか伺います。
 次に、県有建築物の天井脱落対策について伺います。
 去る七月十五日に県富士水泳場の屋内プールの天井材が脱落する事故が発生いたしました。県富士水泳場は、ハイレベルな大会が実施できる施設であるために今後しばらくは全国規模の大会や大学の合宿の誘致ができないなど地元経済に与える影響は大きく、また富士市民を中心に多くの利用者がいることから、早い営業再開を求める声が挙がっております。しっかりとした安全対策を施し、できるだけ早期の営業再開に努力されるよう要望いたします。
 さて、今回の事故は脱落がたまたま営業時間外に起きたため、人的被害がなかったことは不幸中の幸いでした。事故の原因は天井材をつり下げている金具が地震などの大きな外力をきっかけに緩み、一カ所が外れた勢いで他の金具も一挙に外れ脱落につながったと聞いております。事前に行っている点検では金具の緩みは確認できなかったそうであります。高所にある構造物の日常点検は目視のみとなるケースが多く、遠方からの目視だけでの点検では真のふぐあいを見過ごす可能性が高くなるため、日常の点検方法も見直す必要があります。人間の危険予知能力が最もおろそかになるのは、視覚が届かない頭上と言われております。一般的には落下物による災害が発生した場合には重大災害につながることが多いため、県有建築物にあっては天井の危険度等を一刻も早く把握し、その状況に応じた脱落対策を早期に実施すべきと考えますが、今後の県の取り組みについて伺います。
 次に、今後のNPO施策について伺います。
 NPO法が施行されてからことしで十五年が経過し、NPO施策も創設期から発展期に移行してきていると思われます。NPOには新しい公共の担い手として期待が高まっており、県内では千百を超えるNPO法人が活動を展開しております。崇高な設立理念をもとに社会活動の一翼を担っていただいていることに改めて敬意と感謝を申し上げます。しかしながら依然として活動資金が充実している団体はごくわずかであり、ほとんどの団体の運営は厳しい状況にあるのが現状です。県は平成二十三、二十四年度の二カ年にわたって新しい公共支援事業を行い、NPOの基盤整備支援、寄附募集支援などを行うとともに、住民、NPO、企業、行政が協力して地域課題を解決する仕組みづくりを行ってまいりました。その成果を広く県民に周知することを目的として去る八月二十七日には、グランシップにおいてフォーラムを開催しました。事例発表後のパネルディスカッションでは、企業の経営者から、「寄附税制の改正により企業がその意思を生かした寄附行為ができる新しい流れができつつある。NPOが寄附金を効率的に活用したり、活動の成果が寄附した企業に確実にフィードバックされるという状況が生まれてくれば、今後企業とNPOとのかかわりの拡大も期待できる。」とのコメントがあったと聞いております。個々のNPOの活動が社会に認知され賛同者の耳に届くことで、NPOの資金調達の幅がもっと広がるものと考えます。
 NPO活動の転機を迎えた今、県はこの新しい公共支援事業の成果を今後のNPO施策にどのように生かしていくのか伺います。
 最後に、教育行政のあり方検討会意見書への対応について教育長に伺います。
 昨年度、知事の主導により開催された教育行政のあり方検討会の意見書に対し、去る九月二十六日の教育委員会定例会におきまして、具現化の対応策が決定されたとの報道がありました。県行政のトップがあり方検討会を設置したということは、児童生徒たちの健全な育成と学力向上、社会への適応力の醸成などといった教育委員会に課せられた責務の進め方について、第三者の視点で評価することが透明性のある教育委員会の運営やより質の高い教育行政につながるという考えのもとで行われているものと受けとめております。
 さて、今回提出された意見書にある組織定数関係の項目の具現化については、教育委員会事務局の組織体制検討プロジェクトチームを設置し、知事部局と教育委員会が連携して対応策を検討してきたと伺っております。このような対応策が検討されている中、本年四月の全国学力調査において本県小学校六年生の国語Aの成績が全国ワーストワンという不名誉な結果となりました。これを受け川勝知事は、定例記者会見の場で成績の悪い学校の校長名を下位から百名まで公表すると発言され、県内の教育関係者に大きな波紋が広がりました。結果として知事は、全国学力学習状況調査に参加した県下五百七の小学校のうち、国語Aの成績が全国の平均点以上の八十六の小学校の校長名を公表され、全国的にも注目された今回の出来事は収束することとなりました。
 しかし、今回の知事発言が教育委員と教育委員会事務局に刺激を与えたことは事実であり、教育委員会のあり方について県民の関心が高まったものと思われます。教育行政のあり方検討会の意見書の中には指導力の向上、とりわけ今回話題となった小中学校に対する指導力向上の重要性がうたわれており、学力調査結果の公表方法いかんではなく、いかに子供たちの学力を向上させるかという点について県教委として最優先に取り組むべき課題であると思います。
 そこで、他の提言もあわせ今後この意見書に記載された内容にどう対応していくのか、教育長に伺います。以上、答弁をお願いし、私の質問を終わります。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 富士山保全のための財源確保策について、お答えいたします。
 日本の国土の象徴である富士山が、世界文化遺産として人類共通の財産となりました。その富士山の価値を後世に継承していくには、将来にわたり富士山保全のための財源を確保することが重要な課題です。このため静岡・山梨両県の自治体や住民代表、観光関係者等で構成する富士山世界文化遺産協議会作業部会におきまして、登山者の安全確保や富士山の環境保全に必要な財源として、登山者に協力を求める利用者負担制度を来年夏から本格実施することについて御同意をいただいています。ことしの夏に実施いたしました富士山保全協力金の社会実験などを踏まえまして、引き続き関係者の議論を経て来年一月をめどに富士山世界文化遺産協議会におきまして制度の内容を決定する予定です。また富士山の世界遺産登録を契機として登山者だけでなくて議員御指摘のとおり、県内外の企業や一般の方々からふるさと納税、これは非常に多く増加しております。さらに静岡県地球環境保全基金に対し、富士山の保全を目的とした御寄附をこれまで以上に多くいただいているところです。こうした富士山の保全に向けた機運の高まりを財源確保につなげていくために登山者に対する利用者負担制度を構築するとともに、より多くの方々の御協力を仰ぐことができるよう富士山基金と言われましたけれども名称はともかく、こうした基金の創設や企業の社会貢献活動との協働など先進的事例を参考にしながら具体的な制度のあり方について検討させてください。
 今後とも富士山を大切に思い保全に協力する意識を醸成するとともに、多くの皆様の御理解と御協力をいただきまして、富士山保全のための財源を確保する仕組みを構築することで富士山の価値が末長く継承されるように努めてまいります。
 次に、静岡型飛び入学の導入についてです。
 グローバル化の進展などによりまして社会が急速に変化する中、本県を支える人材を育成するためには、価値観や人材の同質性を重視する画一的な教育や大学入試のあり方を見直して能力と意欲のある若者が年齢にかかわらず高等教育を受けられるようにすることが重要です。しかし現行の飛び入学制度にはさまざまな課題があります。また十分に活用されていません。このため元文部大臣で静岡文化芸術大学理事長をお務めいただいております有馬朗人先生を委員長とする高校と大学の連携・接続のあり方検討委員会を設置いたしました。そこで本県にふさわしい飛び入学のあり方について、中間取りまとめとして御提言をいただいたところであります。
 中間取りまとめは、静岡型飛び入学として一つには理数系の研究者を育成する従来の飛び入学というものは活用しようということがございます。二つ目には本県産業の特性などを踏まえまして農業、工業、商業などの実学の分野で特にすぐれた資質を持つ若者を高度職業人として早期に育成することでございます。三つ目は芸術、美術、スポーツなどこうした面でのすぐれた資質を持つ青年たちをプロフェッショナルとして早期に育成することに努めていくということがございます。
 あわせまして、飛び入学の導入に当たりましては議員御指摘のとおり、大学だけでなく生徒を送り出す高校、卒業生を受け入れる企業、それらを支援する行政がそれぞれの役割を積極的に担い、連携協働する必要性も指摘されています。現在この提言に関心の高い大学と県及び県教育委員会による合同検討部会を設置いたしまして、各大学における実施方法やスケジュール等につきまして具体的な検討を行っているところです。高い志を持つ若者にとって魅力のある静岡型飛び入学の実現を目指してまいります。
 有馬委員長の検討委員会には、新しい実学の奨励や高校と大学の連携につきまして、本年度後半に審議していただくようにお願いをしております。そうした議論の結果を踏まえて、ふじのくにの未来を担う有徳の人づくりを進めてまいります。
 以上でありますが、もう一つ教育行政のあり方検討委員会につきまして、議員は教育委員会と教育委員会事務局とを峻別されたのは卓見です。よく教育委員会といいますとそれ自体がいわゆる五人の非常勤の方と教育長から成る教育委員会と教育委員会事務局とが一緒になって言われることが多い。しかしこれは峻別するべきです。教育委員会は形骸化しているという、そうした問題が第一次安倍内閣の教育再生会議のときから指摘されています。一方牢固として岩盤のごとき組織を持っているのが教育委員会事務局です。静岡県におきましては、この事務局の中に二百七十二人の先生方がいらっしゃいます。そしてそのうちあすなろの中には九十六人の先生方がいらっしゃいます。三百名近い先生方が教室から離れたところで事務をなさっておられるわけでございます。文部科学省は事務をしています。先生方は大学で教えておられます。文部科学省の役人は、大学で教える力を高校で教える力をほとんど持っていません。ですから行政と教育というのは本来別個のものです。こうしたところをしっかりと教育行政のあり方検討委員会で議論していただきまして、ここにメスを入れるということが極めて重要でそれに対する教育委員会の御報告をこれから教育長からするというふうに期待しております。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 渥美経済産業部長。
       (経済産業部長 渥美敏之君登壇)
○経済産業部長(渥美敏之君) 緊急雇用対策についてお答えいたします。
 県は、環境・エネルギー、観光、安心・安全社会など十二の分野における雇用創出と人材が不足している介護や農業等の分野における人材育成に重点的に取り組み、民間からの提案も活用しながら市町と連携し雇用創出事業を実施してまいりました。この結果二十年度から二十四年度までの五年間に県及び市町の合計で二万九千九百人の雇用を創出しているところであり、今年度はさらに約三千五百人の雇用を計画しております。また二十三年度基金事業により雇用された方に対し、国が実施したアンケート調査によりますと本県の回答者のうち雇用された会社で事業終了後も働いている人の割合は三〇%、別会社への就職も加えると八八%であり、本事業は一時的な雇用機会の提供のみならず個人の技能の向上等が図られ、継続雇用につながるなど大きな成果を上げております。
 今後の雇用対策につきましては、来年度まで継続する創業十年以内の企業等が実施する基金事業を積極的に活用するとともに、あらゆる世代を対象としたしずおかジョブステーションの充実や未内定のまま卒業した若者のスキルアップ、障害のある方に対するジョブコーチの派遣などハローワーク等関係機関と連携し、就労につながるきめ細かな支援に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 土屋経営管理部長。
       (経営管理部長 土屋優行君登壇)
○経営管理部長(土屋優行君) 県有建築物の天井脱落対策についてお答えいたします。
 去る七月に天井材の脱落がありました富士水泳場では、天井下地材同士をつないでいたクリップが広範囲にわたり外れていたことが確認されました。その原因につきましては現在調査中でありますが、今回の事態を重く受けとめ県有建築物の安全性を迅速に確認することが必要であると考えております。
 そこで、まず高さが六メートルを超え面積が二百平方メートルを超える大規模なつり天井を有する二十七施設四十六室を対象として、七月から八月にかけて建築技術職員が目視できる範囲で緊急点検を実施いたしました。その結果、天井に異常が見られる施設はございませんでした。
 しかしながら、県民の皆様の安全・安心を確保するためには目視で確認できなかった部分も含めまして全面的に安全性の確認が必要でありますことから、これらの施設について全面的かつ詳細に天井下地材、天井材等に劣化や損傷がないかを確認する、そのための調査費を本議会にお諮りしているところであります。御議決をいただき次第早急に調査を実施し、異常が見られた場合につきましては速やかな改修等の対策を行い安全性を確保してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 伊熊くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
○くらし・環境部長(伊熊元則君) 今後のNPO施策について、お答えいたします。
 県では、新しい公共の担い手となるNPOの自立的活動を促進するため、平成二十三年度から新しい公共支援事業に取り組み、百六十二団体を対象にNPOの情報発信のためのホームページ作成支援、会計士等の専門家による訪問指導、イベントにおける寄附募集などを実施するとともに、新しい公共の場づくりのためのモデル事業を十二カ所で展開してまいりました。これらの事業を通じNPOがみずからの活動を県民や企業にわかりやすく説明し、活動への理解や寄附などの支援につなげることの重要性を再認識するとともに、NPO支援における個別コンサルティングの必要性やNPOの情報発信力の強化など今後の課題も明らかになってまいりました。
 このため、県では本年度から県のNPO活動支援センターの主要な機能として、NPOへの個別コンサルタント業務を位置づけ、個々のNPOの事業計画や寄附募集パンフレットの作成支援、県民との交流機会の提供、企業を対象とした社会貢献活動に関する勉強会の開催等を通じ広く県民や企業の理解と共感が得られるよう、NPO活動の一層の見える化に取り組んでいるところでございます。
 県といたしましては引き続きこのような取り組みを進め、NPOが運営基盤を強化し多くの賛同者の支援のもと、公共を担うパートナーとして自立できる環境を整備するとともに、多様な主体による協働の促進に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政のあり方検討会意見書への対応について、お答えいたします。
 県教育委員会では、教育行政のあり方検討会から提言のありました四十一全ての項目の具現化に向けまして協議を進め、先ほど御紹介ありましたように今月二十六日に開催いたしました教育委員会定例会におきまして対応策を決定したところであります。
 このうち、組織定数関係につきましては、授業力向上など学校教育の充実を図るための教員配置や現場により近い市町教育委員会の自立した学校支援など現場重視の教員配置、市町学校支援体制の見直し、組織マネジメント機能の見直し、以上の三つを柱として取りまとめたところであります。
 具体的には、教育委員会事務局及び知事部局職員として勤務しております教員を遅くとも平成二十九年度までに平成二十四年度末に比べ百人規模で学校に配置をいたします。また市町の自立に向けた取り組みを支援するため、教育事務所に総合教育センターの学校支援機能の一部を移して仮称でありますが地域支援課を設置し、指導機能と人事機能が一体となった支援を行ってまいります。あわせまして小規模自治体の自立に向け、指導主事を期間を限って配置するなど学校、市町、県の総がかりによる現場の指導力向上に努めてまいります。
 また、教育委員会事務局の組織マネジメント機能の強化を図るとともに、学校種ごとの責任体制を明確にするため義務教育、高校教育、特別支援教育を担当する課をそれぞれ設置し、さらに学校教育に関する重要事項を総合的に調整いたします仮称教育監を新設いたします。
 なお、組織定数以外の項目につきましては、例えば県立学校におきまして学校経営計画と経営予算を連動させ、創意工夫のある取り組みに対してインセンティブを付与できるシステムの構築や教育委員会定例会の非公開案件の会議録の原則公開、教育行政の点検評価を充実するため、基本方針の自己評価と学識経験者からの外部評価の実施など意見書の具現化を図っているところであります。
 今後、さらに具体的な検討を進め本県教育行政の一層の改善、充実に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 三十三番 櫻町宏毅君。
       (三十三番 櫻町宏毅君登壇)
○三十三番(櫻町宏毅君) 二点再質問と一点要望をさせていただきます。
 まず要望のほうですが、緊急雇用についてであります。
 今、部長答弁では仕事のない人に仕事をする機会を与えるということでは大変成果があったということで、それは私も認めるところです。ただ答弁の中に継続性についても効果があったということですが、実はこういう事例があります。ある市の教育委員会の関係の方から伺った話なんですが、今回県が進めた緊急雇用事業で小学校の臨時職員を採用したということなんですけども、この採用した職員の方が大変評判がいいので継続して雇用したいと。ところがこの緊急雇用制度は一年が原則なので、引き続き雇用する場合は自分たちの市で見なきゃいけないといった実態があるということです。きっかけづくりをしてくれた県が、複数年での雇用に際しても何らかの関与をしていただけないかといったような声がありました。確かに仕事のない方に職を与えることは大変重要ですけれども、その方がちゃんとこれから先仕事を続けられるかどうかということについては、採用のきっかけづくりをした県としてもフォロー等の必要があるんじゃないかと思います。民間の場合は自分たちでお金を出すということになりますけれども、行政間のやり取りの場合については、ここはちょっと工夫がいるのではないかと思っておりますので、この雇用の継続性ということについて、また御検討をお願いしたいというふうに思います。要望とさせていただきます。
 再質問一点目です。飛び入学についてですが、知事のほうから受け入れ側となる大学側の考え方については理解できました。ただ高校側として高校三年生のカリキュラムを飛ばして高校二年から大学に入れるということに対しての高等学校教育側としての考え方。これについて現時点でお考えがあるようでしたら教育長のお考えを聞きたいというふうに思います。
 もう一点、あり方検討会からの提言を受けて今御答弁をいろいろいただきました。実は先般の教育委員会がこの本会議の前だったものですから、教育長がお話しされた中身は新聞で既に詳細に報告されておりますけれども、そこでいろいろ報道を見る限りでは教育委員会に出向されている四〇〇人の先生方のうち百人をまた現場にお帰しになるということです。その百人の数が多いか少ないかというのは私も評価できませんけれども、いずれにしても知事が日ごろおっしゃる優秀な先生方が現場に戻るんだということに対しては、これは賛同したいというふうに思います。ただ教育委員会でその百人の方がおやりになっていた仕事があるわけですね。この仕事が現場の方が帰られるということで、これが宙に浮いてしまわないか、これが中途半端にならないかということが心配されます。これについてどのような対応をされるのか。
 もう一つ、現場に戻った先生方は、臨時職員の方が今までお務めになっていたところで教鞭を持つということになろうかと思います。ということは臨時職員ということで臨時講師として活躍されていた方々の活躍する場、これについては正規の先生がお戻りになるわけですから、その方々の場がだんだん縮小されてきてしまうんじゃないかという心配もあります。これについてもどのようにお考えでしょうか。
 お戻りになる方の数については、いろいろ議論された結果ですので答弁は求めませんけれども、その出る側の教育委員会としてのお考え、それから臨時講師の処遇等についてお考えを聞いて再質問を終わります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 三点再質問があったかと思いますけれども、一つは静岡型飛び入学の高等学校側からの考え方ということでありますけれども、現在これは知事部局のほうと連携しまして、高等学校のほうで今生徒それから保護者に対してアンケート調査を行っておりまして、この中で子供たちがあるいは保護者が飛び入学についてどういうような考えを持っているのか、あるいはどういうような要望があるのか。また飛び入学が広まっていかない、そういうような背景等も今回調べる中で今後の対応をしていきたいなと思っております。私としては、長い人生の中で高校という三年間という貴重なお互いの子供たちが共同生活をする中で身につけられる養われる資質というものもあろうかと思いますので、そういうものを子供たちが二年間で短縮して大学に行くということ。その価値判断を一人一人の子供たちがどうするかということについては、子供の判断を尊重したいなというふうに思いますけれども、何せまだ未成年の子供たちでありますので、やはり十分な資料提供、情報提供する中で保護者とも一緒になりまして、その判断の選択をさせてあげたいなというふうに思っているところであります。
 二つ目の現場教員が学校のほうに百人戻るということでありますけれども、私たちの整理の仕方としましては、教育委員会事務局の中あるいは知事部局も含めまして幾つかの区分に分けまして、教員でなければできない仕事、教員でなくてもできる仕事等、区分を分けましてその中で必ずしも教員のこれまでの経験というものを踏まえなくてもできる、そういう仕事もあるのではないかというようなところを優先的に考えまして百人という数字を出しておりますけれども、今後さらに精査する中で教員でなくてもできるというところについては、教育事務職員あるいは知事部局の職員ということで、そこのところを対応していきたいというふうに考えているところであります。
 三点目の臨時講師の問題でございますけれども、確かに議員から御指摘がございましたように、特に義務教育につきましては学校に先生方を戻すことによっていわゆる教員の数はふえることなく今まで講師であった方々の椅子にベテランの先生方が座るということになります。ただこれは本県議会でも静岡県のいわゆる講師の比率というのが、ある意味では高いのではないかという御指摘も受けておりましたので、そういう意味では本務でまた経験豊かな先生方が学校に戻って、その学校の経営上の中心的な存在になってリーダー的に引っ張っていっていただけるというのは、やはり学校の教育力の向上ということについては非常にありがたいことかなというふうに思います。ただそのときに臨時講師につきましては、多くの方がやはり教員を希望しておりますので教員採用試験を受けていただいて、とにかく合格して静岡県の教育にまた尽くしていただくというような道で頑張っていただければなというふうに思っております。以上であります。

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