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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成21年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鈴木 洋佑 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/10/2009

会派名:

自由民主党県議団


質疑・質問事項:

1 財政の硬直化と県施策について                   
2 遠州灘沿岸の侵食対策について                   
3 農地転用許可権限の移譲について                  
4 人づくり推進のための支援について                 
5 教職員の資質能力の向上について                  
 (1) 教職員人事評価制度                       
 (2) 教員免許更新制                         
6  (仮称) 浜松西警察署の早期設置について  



    ○議長 (浜井卓男君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、 五十三番 鈴木洋佑君。
            (五十三番 鈴木洋佑君登壇 拍手)
    ○五十三番 (鈴木洋佑君)  この十二月議会もどうも私の質問が最終の質問と、 こういうことになりまして、 いましばらくのおつき合いを願います。
     今議会は新会派の立ち上げ等もございまして、 ある種の緊張感のある議会ではなかったかなとこんな思いがあります。
     そこで、 川勝色もかなり色濃く出てきまして活性化したんではないかなと思いますし、 そういう意味では今後に期待をしたいと思いますが、 この議場におられる議員諸兄であれ当局の皆さんであれ、 それぞれ持っている価値観や思い、 考え方、 手法、 方向性、 そしてどこに帰着をするかという目指すところ等、 おのおの違いがあることはいたし方のないことであろうと思われますが、 しかしながら皆さんが一致して目指す最終目標は、 ブータンのどなたかがおっしゃっておりましたけれども、 国民総幸福量と同様に静岡県民の総幸福量をいかに高めていくかという点では、 全員が一致して目指していくものではないかなと思うものであります。
     今、 日本国も静岡県も大変な時代であります。 議会そして当局ともに活発な議論をして、 みんなで一緒に大変なときを乗り越えることが肝要かと思料をいたすものであります。 その思いから当面する県政の諸課題について自民党所属議員として、 知事並びに関係部局長、 教育長、 警察本部長にお伺いをいたします。
     まず初めに、 財政の硬直化と県施策について伺います。
     昨年九月以降の百年に一度とも言われた世界的な景気後退に伴い、 輸出関連の企業を中心として企業収益は急激に悪化をし本県の県税収入は法人二税を初めとして大幅に減少しており、 本年九月議会におきましても三百三十億円を減額補正したところであります。 この九月補正予算における県税の減額は平成十年度以来十一年ぶりの出来事であり、 現下の景気動向を考慮しますと今後も予断を許さない状況であり、 さらなる減額も懸念されるところであります。
     一方、 本年二月に県が公表した財政の中期見通しによれば、 集中改革プランに基づいて平成十八年度から平成二十二年度までの五年間で、 行政職の職員数を五百人削減することなどにより人件費はおおむね横ばいに推移するものの、 医療・介護などの社会保障関係費や過去の借金の返済に当たる公債費などが今後も確実に増加するため、 結果としては県の歳出に占める義務的経費の割合が高くなっていくことが見込まれ、 財政の硬直化が進行していくことは明白なことであります。
     このように本県の財政が極めて厳しい状況にある中で、 明るい兆しの見えない雇用状況に対する対策や中小企業への支援、 新型インフルエンザ対策や地域医療の確保など、 県民の安全・安心の確保などの喫緊の課題に機動的に対応しつつ、 知事がマニフェストに掲げているさまざまな施策を実行をし日本の理想郷を静岡に実現していくためには、 政策的な経費の確保が大変重要であると考えております。 こうした見通しを見ると今後の県の政策展開について大変心配しているところでもあります。 一方、 国においても税収が大幅に減少することが見込まれる中で、 概算要求は過去最大規模の九十五兆円にも膨らんでおり、 今後の動向を注視していく必要があります。
     そこで、 来年度も県税の大幅な回復が期待できないという中で、 本県の財政の硬直化はより進んでいくことが予想されますが、 来年度予算に向けて県としてどのような観点で取り組んでいくつもりなのかをお伺いをいたします。
     次に、 遠州灘沿岸の侵食対策について伺います。
     地球温暖化などの影響と言われている気候変動は、 各地で発生している局地的な集中豪雨などによる災害の増加、 海水面の上昇などを初め、 さまざまな面から私たちの暮らしに深刻な被害を与えております。 地球温暖化を引き起こすものとして、 幾つかの外的、 内的要因が挙げられておりますが、 私たちの生活と密接な関係があることは間違いないことでありまして、 二酸化炭素排出削減など国民全員ができ得る限りの努力をしていく意識が求められるのではないでしょうか。
     地球温暖化による影響の一つとして、 非常に強い台風の発生が増加すると言われております。 昨年は本土に上陸した台風はありませんでしたが、 本年十月に二年ぶりに上陸した台風十八号は強い勢力を保ったまま三河湾に上陸し、 豊橋の三河港では高潮によるコンテナ流出被害等も発生したと聞いております。 本県においても各所で高波による被害が生じたところでもあります。 特に御前崎海岸において発生した県道の災害では、 現状の堤防を越える高波が繰り返し打ち寄せ、 道路面が陥没し、 その後、 海岸堤防の決壊に至ったと伺っております。
     このような海岸近辺での被害は、 近年河川などからの土砂供給の減少による砂浜の侵食によって、 台風時などに起こる高波等においてはより一層大きくなっております。 そのため消波効果が期待できる砂浜の侵食対策が防災や環境の面からも重要であり、 特に外洋に面している遠州灘沿岸の対策が急務ではないかと考えられます。
     その対策の一環として、 県では遠州灘沿岸侵食対策検討委員会を立ち上げ対策の検討を行うとともに、 迅速な対応により砂浜の回復も見られるようになりました。 本年度もおよそ二十万立方メートルの天竜川の河床掘削土砂を養浜材として投入するなど、 緊急的な対策を着実に進められておることなど一定の評価はできるものと思っております。 また一方国土交通省においても、 天竜川ダム再編事業の工事に着手しましたが、 効果が出るまでには相当の時間を要することから、 海岸侵食の課題に対する中長期的な視野での取り組みが必要ではないでしょうか。
     そこで、 遠州灘沿岸の海岸侵食が進行し砂浜の減少に伴う海岸の防御機能が低下しつつある中、 海岸侵食の進行と無縁ではないと思われる今回の台風十八号がもたらした被害の状況を踏まえ、 遠州灘沿岸における侵食対策について、 県はどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
     次に、 農地転用許可権限の移譲について伺います。
     私は、 活力ある地域づくりを推進するためには、 より一層の地方分権の推進について積極的な取り組みが必要であると考える者の一人であります。 知事はマニフェストの中で 「地域主権日本一をめざします」 として、 「国に対して、 県が担うべき権限を国から移譲するように積極的に働きかけます。 また、 特に農地転用など土地の利用は、 基本的には市町が裁量できるよう権限を移譲するように積極的に働きかけます」 と約束しております。
     土地利用の目的には店舗や住宅建設などの開発の側面と自然環境の保護などの側面がありますが、 地域にはさまざまな違いや特徴があります。 例えば浜松市の土地利用を見てみますと、 住宅地が市街化区域の枠を越えて郊外へと拡散しており、 農業生産の効率化を図るための農地集積や生産基盤の整備と住宅や工場の立地が交錯しているなど、 産業間における相互干渉の拡大が懸念されております。 またある地域によっては、 人口の流出や少子化、 高齢化の進行などにより活力低下などの問題も発生しているのも事実であります。
     こうした現状を勘案すれば、 地域住民のニーズに応じた特徴あるまちづくりを実現していくためには、 農地転用など土地利用の面からも各市町がみずからの知恵や工夫を生かしながら、 地域の均衡ある発展に取り組めるようにしていくことが肝要であると考えます。 本県では知事の権限とされている四ヘクタール以下の農地転用許可のうち、 大臣との協議を必要としない二ヘクタール以下の権限について、 人口十万人以上の十一の市に移譲されているところでもあります。 先月開催された知事と静岡、 浜松の二政令市の市長による県・政令指定都市サミットにおいても、 両市長から権限移譲については、 特に二ヘクタールを超え四ヘクタール以下の農地転用許可権限の移譲についての要望があったと聞いております。
     地域の実情に応じた土地利用を推進するとともに、 行政手続の簡素化などを図る上からも農地転用許可権限のさらなる移譲が必要であると考えますが、 県の御所見を伺います。
    教育は国の根幹であるという視点から、 人づくりの推進のための支援について伺います。
     本県では、 人づくりの重要性を早くから認識し、 各地域に人づくり推進員を委嘱して、 この人づくり推進員により各地域で講演会を行うなど積極的に人づくりに取り組み、 成果を上げてきていると聞いております。 また核家族化や地域社会の結びつきの希薄化が進む中、 若い保護者の身辺に親としてのあり方を教えてくれる存在が少なくなったことなどを受け、 それぞれの学校や地域の実情、 環境に詳しい身近な人材を講師にして、 親のあるべき姿や子供のしつけ方などについて学んでもらう親学講座を県内全部の小学校入学前の親を対象として実施をし、 多くの保護者から好評を得ていると聞いております。 このような本県独自の先進的な人づくりの取り組みは県内はもとより県外からも高く評価され、 県民の一人としても誇らしくうれしく思っております。
     しかしながら、 近年の青少年を取り巻く社会情勢は、 ニートや引きこもりなどの社会的自立のおくれ、 いじめや児童虐待、 少年による重大事件の発生、 有害情報のはんらんなど年々複雑化、 深刻化しているように思われます。
     特に私が深刻に感じているのは携帯電話の問題もその一つであります。 子供たちに携帯電話が広く普及し子供たちにさまざまな弊害を与えていると感じられます。 例えば片時も携帯電話を手放せないケータイ依存の問題、 特定の友人との間で過剰に同調し続けるゆがんだ友人関係の問題や、 その延長線上にあるネットいじめ、 出会い系サイトや架空請求など携帯に忍び寄る大人の罠など、 携帯電話は子供たちの生活に大きな影を落としていると思料いたします。
     また、 親と子の関係に目を移してみますと、 子供の自主性を尊重するという余り、 子供に対して教えるべきことをしっかり教えない親がふえているように思えてならないのであります。 そしてその結果として教えてもらうべきことを教えてもらえず、 善悪の判断など人として最も大切なことを知らされずに育ち、 自立が危うくなってきている子供がふえているのではないかと思われます。
     このように、 青少年を中心とした人づくりを今後一層推進していくには、 極めて憂慮すべき社会環境にあると思われます。 しかしこんな時代であるからこそ、 言い古されたことではありますが、 地域、 学校、 家庭がそれぞれの役割を自覚して責任を果たしていくとともに、 それらが相互に連携をし青少年が健全に育つ環境づくり、 人づくりに取り組んでいくことが重要だと考えますが、 地域、 学校、 家庭が連携した人づくりの推進についてどのように考えているのか、 取り組み状況とあわせて所見をお伺いします。
     次に、 教職員の資質能力の向上について伺います。
     少子化の進行と超高齢社会の到来、 産業構造の変化と雇用形態の多様化、 知識基盤社会の進展、 持続可能な循環型社会への志向など社会は急激に変化しております。 このような中で我が国の国際競争力を維持強化するとともに、 物の豊かさだけでなく、 個人として自立しながら心豊かに生活できる成熟した社会への移行が大きな問題となっております。 また教育においても、 家庭や地域社会など子供を取り巻く環境が変化をし、 学校は学力低下への懸念、 不登校や中途退学、 規範意識の低下などの課題に適切に対応することが急務となっています。
     このような社会の変化と新たな教育課題が山積する中で、 将来を担う人材育成という点で学校教育の果たす役割はますます重要性を増してきております。 学校でよりよい教育を推進するためには教職員がみずから変わる必要があり、 一人一人がその資質能力を向上させながら、 それを最大限に発揮し学校運営に積極的に参加することが不可欠であると考えます。
     そこで、 これに関連して二点お伺いをいたします。
     一点目は、 教職員人事評価制度についてです。
     静岡県では、 教職員の資質能力及び意欲の向上と学校組織の活性化を図るため、 平成十八年に研究協力校で試行を行い、 その後二年間政令指定都市を除くすべての公立学校での試行を経て、 ことし従来の勤務評定にかえて新たな教職員人事評価制度に移行しました。 しかし評価結果の活用につきましては、 残念ながら現在、 評価対象者本人の自己課題の把握や組織への参画意識の向上、 校内人事での活用にとどまっていると伺っております。
     人事評価制度は、 公正、 客観的な評価結果を教職員の人事配置や研修、 給与などにも十分生かしてこそ人事管理の基礎としての機能が発揮されるものであります。 教職員の能力や意欲を今まで以上に引き出すとともに、 学校組織の充実と均衡を図り、 もって静岡県の教育力をさらに高めるため、 評価結果の適切な活用を推進する必要があると考えます。 今後評価結果を人事配置や研修、 給与などへ活用した場合、 予想される成果と問題点につきまして何かありましたら御所見をお伺いいたします。
     二点目は、 教員免許更新制についてであります。
     ことし四月教育職員免許法の改正により教員免許更新制が導入されました。 教員として必要な資質能力の保持を目的としたこの制度の導入により、 現職の教員は所持している免許状の更新のため、 十年ごとに三十時間以上の講習の受講が義務づけられたところであります。 本県におきましても今年度多くの教員が県内の大学等において必要な講習を受講したと聞いております。 しかしながら国におきましては教員免許制度の抜本的な見直しを行う動きがある中、 免許更新制につきましても今後その効果等について検証を進めていくという方針が示され、 平成二十二年度予算の概算要求で必要な経費が計上されております。
     さらに十一月に行われた行政刷新会議の事業仕分けにおいては、 民主党議員からは免許更新制をやめることは政治的にはっきりしているとの発言がある一方、 法律改正がされるまでの間は現行制度が有効であると文部科学省の説明などがなされております。 議論がかみ合わないまま、 関係予算縮減の結論だけが出された形となっております。 導入されたばかりにもかかわらず廃止が議論され、 加えて新しい教員免許制度への移行と教員免許更新制の動向がはっきり示されないことから、 学校現場では講習の受講に対する迷いや制度への不安と不満が増大しているんじゃないかなと、 何とかしてほしいというのが正直な声ではないでしょうか。
     このような状況の中、 制度を教員の資質向上に結びつくものとして機能させていくためには、 現状を正確に把握し教員の不安を取り除くような取り組みがぜひとも必要であると考えます。
     そこで、 教員免許更新制の状況をどのように評価をし、 それを受けて県としてどのように取り組んでいくつもりなのか、 教育長の御所見をお伺いをいたします。
     最後に、 仮称浜松西警察署の早期設置について警察本部長に伺います。
     県警が十七年十一月に発表した警察署再編整備計画については、 四年が経過した現在において着実に実行されており、 新設予定の三つの警察署についての今年度予算を見てみますと、 仮称袋井警察署は庁舎建設工事について、 仮称裾野警察署は用地取得の予算がそれぞれ計上されているのですが、 残りの浜松市西部地区への警察署整備についてはいまだ具体的な動きが全く見えていない状況でありまして、 地元の選出議員としてもとても、 議長ともども心配しているところであります。
     浜松市におきましては、 皆さんも御承知のとおり面積、 人口が県下最大でございまして、 昨年の刑法犯認知件数でも交通事故発生件数でもそれぞれ上位にランクされております。 地元の皆さんからは一日も早い警察署の新設を待ち望む声が日ごとに強く聞こえてきております。
     警察署の新設には多額の費用がかかるほか、 建設場所についていろいろ地元から要望等も出ておりますけれども、 今後数十年を見越して適地を選定する必要があることなどもろもろの厳しい条件があることは十分承知しておりますが、 ほかの二つの警察署の建設と同時に進んでいただければなあと。 二警察署の建設におくれることなく一日も早く建設候補地の選定を行った上で、 県民の皆さんに公表して安心感を与えていただきたいなあと、 こんな思いであります。
     そこで、 仮称浜松西警察署についてその候補地の選定状況など現在の進捗状況を伺うとともに、 できるだけ早期に設置されることを要望申し上げ、 私の質問とさせていただきます。
     なお最後に、 会派を代表して一言申し上げたいと存じます。
     本年末をもって勇退されるという川口、 花森の両副知事におかれましては、 石川、 川勝の両知事のもと県政運営に真摯に当たられ、 難しい局面の連続であったろう静岡県行政を導いてこられた御苦労には、 ただただ御苦労さまでしたとの言葉のみでございます。 本当に御苦労さまでございました。 今後はお二人とも健康には十分留意なされ、 第二の人生の歩みを進まれますように、 そして今日まで積み上げてこられた経験と豊富な知識をもって、 大所高所からの県政への御指導をもお忘れなきようあわせてお願いを申し上げ、 お礼の言葉とさせていただきます。 ありがとうございました。 (拍手)
    ○議長 (浜井卓男君)  川勝知事。
            (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事 (川勝平太君)  鈴木洋佑議員にお答えいたします。
     初めに、 農地転用許可権限の移譲についてであります。
     農地法などに基づく地域の土地利用は、 その地域の場の力を掘り起こすという観点からも、 潤いある農村環境の保全や安全で快適な生活空間を形成するなど、 特徴のあるまちづくりを推進していく上で大変重要な役割を果たしているものと考えます。 特に住民に身近な土地利用につきましては、 個々の市町が責任を持って担うことが望ましいのであります。 そのような観点に基づきまして、 本県におきましては、 平成十五年度から二ヘクタール以下の農地転用許可権限の市町への移譲に積極的に取り組んでまいったところでございます。
     若干振り返りますれば、 平成十五年に静岡市、 浜松市、 十六年度には人口十万以上の市として三島、 沼津、 富士、 富士宮、 焼津、 藤枝、 そして十七年度には市町村合併により人口十万以上となった磐田、 掛川、 そして二十年度には島田市へと、 計十一市において県全体の農地転用許可件数の六割以上が取り扱われるようになりまして、 審査期間の短縮  ほぼ二週間でございますが  による住民サービスの向上が図られているところでございます。
     地域のことは基礎自治体である市町が自主的に決定するのが筋であると思っております。 先月浜松、 静岡両政令市市長との会談でもその点が協議されまして、 このたび県といたしましては、 農地法に基づく知事権限につきましては来年四月から政令市には原則すべての権限を移譲いたします。 その他の市町につきましては希望する権限を移譲することといたしまして、 そのための必要な手続を進めてまいります。 希望する権限をと言いましたのは、 それぞれ各市町の権限移譲に向けた体制整備の状況の進捗状況をかんがみてのことでございます。 人口規模や行政区域面積の大小等にかかわらず、 地域のことはそれぞれの市町がひとしく自主的に決定できるようになることが望ましいという観点でこの手続を進めてまいります。
     次に、 人づくり推進のための支援についてであります。
     地域の子供は地域で育てるというのが基本的な考えでございます。 この考えのもとで、 学校、 家庭、 地域が互いに連携協力していくことは、 地域や家庭の教育力の向上と相まって学校の教育活動が豊かになり、 ひいては子供たちが地域の一員となって活躍する場がふえるなど多くの相乗効果が期待できます。 その点で学校支援地域本部の取り組みは極めて重要であります。
     地域ボランティアが学習支援や環境整備などを通じて子供たちとじかに接することで、 地域の大人と子供、 大人同士、 また教職員とのつながりが深められ、 地域でのあいさつや声かけが気軽にできる雰囲気が生まれるなど、 子供を中心に地域のまとまり、 一体感が醸成されつつあると聞いております。
     この学校支援地域本部といいますのは三つの構成部隊から成ります。 一つは地域教育協議会というもので、 校長先生、 学校の先生、 PTA関係者、 公民館長、 自治会等これがまず地域教育協議会。 第二の構成主体は地域のコーディネーターで、 先生のOB、 あるいはPTAのOBの方、 あるいは自治会長などから成る地域コーディネーター、 そして活動に参加する意欲のある学校支援ボランティア。 この三者から成るものでございまして、 この学校支援地域本部が学校、 家庭、 地域の連携において重要な役割を果たすことが期待されます。
     ちょうど本会議が始まりました十一月三十日に、 日本経済新聞におきまして都道府県別の学力テストの分析をした大阪大学清水教授の論説が載っておりますけれども、 学力テストの結果の分析によりますと、 御承知のように秋田県がトップ、 北東北三県が上位クラスで、 続きまして北陸三県が続いておりました。 東京は決して高くはありませんで平均点でございます。
     そうした差がどこに由来するのかということについての分析でありますが、 極めて興味深いことに持ち家率が高いところが学力が高い、 離婚率が低いところが学力が高い、 それから不登校率が低いところが学力が高いという興味深い結果が出ております。
     持ち家率が高いということは、 その地域において数世代にわたって人々が住んでいるということをあらわしております。 近隣の人々とのつき合いが密であるというところ、 これが学力が高くなっていると。 それから離婚率が高いところは学力が落ちると。 離婚率が低ければ学力は上がるというのは、 家族とのつながりがしっかりしているところは子供が学力が高いということであります。 それから不登校率が低いところが学力が高い。 不登校率が高いということは、 学校と子供たちとのつながりが低いところは、 これは学力が落ちるということになっております。 地域、 学校、 家族、 そのきずなの深いところが学力が高いという結果を生んでいるということでございまして、 地域の子供を地域で育てるということの大切さが、 こういう学力テストの分析結果によって出ているということは極めて示唆的でございます。
     地域における最高の宝は人でございます。 今後とも地域総ぐるみで文武芸三道の鼎立を目指し徳のある人づくりに取り組んでまいりますが、 なかんずく大切なのは親でございます。 教育委員会が行っている親学講座におきましては、 人づくり推進員、 子育てサポーターリーダー、 民生委員など多くの地域の方々が講師を務めてくださって、 教員や保護者からは学校とは異なる視点から子育ての話が聞けてありがたい、 あるいはすぐ近くに住む先輩から有意義なお話が聞けて心強いといった連携の成果が出ていると聞いております。
     このように、 親学をも含んだ地域の人づくりを軸にして、 学校の力を上げていくという方向性を私どもは見失ってはならないというふうに思います。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げることにいたします。
    ○議長 (浜井卓男君)  大村総務部長。
            (総務部長 大村慎一君登壇)
    ○総務部長 (大村慎一君)  財政の硬直化と県施策についてお答えをいたします。
     来年度当初予算の編成を取り巻く環境は、 御指摘のとおり大変厳しく財政の硬直化の懸念もあり、 政策的経費の一五%減の効率化を進めざるを得ません。 しかしそれでも県民の安心・安全や本県の未来につながる施策につきましては、 積極的に展開していく必要がございます。 そのため知恵を絞って歳出のスリム化に取り組んでまいります。 その上で議員御指摘の中小企業支援、 新型インフルエンザ対策、 地域医療の確保などの施策に万全を期するとともに、 「富国有徳の理想郷ふじのくに」 の実現に向け、 来年度は交流人口の拡大を重点テーマとして取り組んでまいります。  
     今、 編成作業に入っております平成二十二年度当初予算は、 川勝知事の最初の当初予算でございます。 大変大事です。 また持ち直したように見えてデフレあり、 円高あり、 二番底ありの県内経済を見れば、 何より県民にとって大事な予算となります。 もちろんマニフェストはホップ・ステップ・ジャンプで尊重されるべきですが、 日々変化する情勢の中で、 まず県民にとって実効性のあるよい予算となりますよう努力をしてまいりますので、 いろいろあるとは存じますが、 どうか予算編成に県議会議員各位の御理解と御支援を賜りたく何とぞよろしくお願い申し上げます。 以上です。
    ○議長 (浜井卓男君)  衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  遠州灘沿岸の侵食対策についてお答えいたします。
     県では、 海岸保全基本計画や遠州灘沿岸侵食対策検討委員会等の意見に基づき、 砂浜の保全回復による自然防御力を主体とした侵食対策を実施しております。 本年十月の台風十八号では遠州灘沖の波高計で十・七五メートルと、 施設整備の基準でございます九・〇メートルを超える高波を観測いたしましたが、 御前崎海岸等の被災現場につきましては、 いずれも砂浜の減少あるいは消失していた箇所であったことから、 砂浜確保の重要性を改めて認識したところでございます。
     このため、 現在取り組んでおります浜松の篠原海岸、 竜洋海岸における養浜や、 浅羽海岸におけるサンドバイパスなどの事業を着実に実施し砂浜の早期確保に努めるとともに、 県内の遠州灘沿岸を対象とした砂浜の幅や砂の粒径と土砂確保策を定めます遠州灘沿岸土砂管理ガイドラインを来年度末までに策定いたしまして、 中長期的な視点での対策にも取り組んでまいります。
     県といたしましては、 天竜川ダム再編事業を実施する国や関係機関などと連携するとともに、 養浜やサンドバイパスなどの緊急的な対策を積極的に進め、 安全・安心で魅力ある遠州灘沿岸の創出に努めてまいります。
    ○議長 (浜井卓男君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  教職員の資質能力の向上についてのうち、 初めに教職員人事評価制度についてお答えいたします。
     教育の成果は教師個人の力のみによることは少なく、 学年、 分掌等、 組織の力によることが多いため、 教職員の人事評価は業績のみで評価するのではなく、 組織の中で期待される行動が継続されているかなどの意欲、 能力の評価も重視しております。 さらに面談により評価の思わしくない教員にとっても、 その課題を明確化し意欲の向上につなげられる制度となっております。
     今後条件が整い評価結果を教職員の人事配置や研修、 給与などに反映させるようになった場合ですが、 効果といたしましては教職員の意識改革や学校運営のさらなる改善につながること、 めり張りのある給与によって教職員に報いることで、 教職員のやる気の増進にもつながることなどが挙げられます。
     一方、 課題といたしましては、 特に給与へ反映させる場合には、 評価の客観性、 公平性、 透明性等が確保されておりませんと組織全体の士気の低下や教職員間の人間関係を損なうなど、 学校現場の混乱を招く可能性を否定できません。 したがいまして導入に当たりましては、 現在行っている制度の実施状況を十分検証し定着状況や成熟状況を見きわめ、 慎重に進める必要があると考えております。
     次に、 教員免許更新制についてであります。
     更新講習の状況につきましては、 本年度既に対象教員の約九割に当たる千七百人程度が講習の受講を終え、 受講者からは 「教員としての視野が広がり大変有意義であった」 などの肯定的な評価がある一方、 「学校現場で役立つ内容がほとんどなかった」 など否定的な評価や、 講習にかかるさまざまな負担に対する不満の声が上がっていることも十分に承知しております。 現在大学等と連携をとりながら、 今後開設される講習が受講する教員の資質向上につながるものとなるよう、 改善をお願いしているところであります。
     また、 議員御指摘のとおり、 国は新しい免許制度への移行を前提としながらも教員免許更新制を継続させるという方針を示しておりますが、 移行までのスケジュールが明示されていないことから、 引き続き生じる受講義務や、 制度の動向について見通しが持てないことに対する教員の不満と不安が増長していくのではないかと大変憂慮しております。
     そこで、 国に対しましては全国教育長協議会等を通し、 制度の見直し期間における教員免許更新制の凍結と、 混乱を防ぐための必要な措置をとることなどについて要望しているところであります。
     そのような中、 現段階における最重要課題は、 現在教壇に立っている教員の中から、 講習の未受講により来年度末に教員免許を失う者が出ないようにすることですので、 県といたしましては必要な情報提供や指導を行い、 そのような事態が生ずることのないよう最善を尽くしてまいります。
    ○議長 (浜井卓男君)  原田警察本部長。
            (警察本部長 原田宗宏君登壇)
    ○警察本部長 (原田宗宏君)  仮称浜松西警察署の早期設置についてお答えします。
     警察署の新設につきましては、 警察署再編整備計画に基づき、 御質問の浜松市西区を管轄する仮称浜松西警察署を初め、 同裾野警察署、 袋井警察署の新設三署を早期に設置すべく計画的に準備作業を進めております。
     警察本部としては、 仮称浜松西警察署の建設用地について平成二十三年度中の取得を目指し、 現在候補地の選定、 絞り込み作業を進めているところであります。 なお複数の候補地から絞り込みを行っておりますので、 これら候補地が警察業務を効率的、 効果的に遂行できる場所であること、 住民の利便性、 地主の理解、 建築基準法上問題がないことなどの諸条件に適合しているかを慎重に検討しているところであります。
     まだ最終的な候補地の決定に至っていませんが、 警察署の早期新設を望む地域住民の要望にこたえるべく早期実現を目指し、 用地確保を初めとした今後の設置作業を関係機関と協力しながら計画的に推進していく所存であります。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

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