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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渥美 泰一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/21/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 道州制について                         
2 地域外交について                        
 (1) 地域外交の担い手育成                     
 (2) 日中交流の推進体制                      
3 県西部地域の産業振興について                  
 (1) 新産業への参入支援                      
 (2) 企業誘致の取り組み                      
4 浜名湖観光の推進について                    
5 静岡県人権施策推進計画の改定について              
6 振り込め詐欺に対する警察の取り組みについて  



    ○副議長(岩瀬 護君) これで橋本一実君の質問は終わりました。
     ここで傍聴の皆様が交代をされます。少々お待ちください。
     次に、四十六番 渥美泰一君。
           (四十六番 渥美泰一君登壇 拍手)
    ○四十六番(渥美泰一君) 私は自民改革会議所属議員として明るく元気な静岡県の実現を目指しまして、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問いたします。
     初めに、道州制について伺います。
     現在の民主党政権は、地域主権改革を掲げ一昨年十一月には地域主権戦略会議を設置し、昨年六月には地域主権戦略大綱を決定するなど、実は私は民主党の公約の中でこの地域主権改革については少なからず期待をいたしましたが、その後の改革自体の歩みは一体どうしたのかと言わざるを得ない状況であります。これまでさまざまな方面で議論されてきた道州制についても議論は盛り上がらず、先行きも全く不透明な状況にあります。一方こうした中、昨年十二月には関西広域連合が発足し、九州においても広域連合とは異なる九州広域行政機構を提唱するなど、都道府県の枠を越えた地域連携の動きも各地で出てきています。
     さきの十二月議会やこれまでの知事の道州制に関する御発言では、広域的なブロック単位での推進や都道府県の解体が前提となり、また都道府県同士の広域連携への取り組みは首長の思惑が大きく左右することから、当面はこの静岡県――ふじのくにを日本の縮図ととらえ、基礎自治体の強化を考えていくとのお考えではなかったかと存じます。
     少子高齢化社会の進展により年金や医療など社会保障全般への国民の不安が高まる中、円高やデフレ、構造改革のおくれなどにより、今の日本経済にはかつての勢いは見られません。先月にはアメリカの格付会社から日本の国債格付の格下げが発表されたところでもあります。残念ながらこの失われた二十年の間、今の中央集権的国家体制ではスピード感を持った構造改革ができませんでした。バブル崩壊後の日本政府の対応とリーマンショック後のアメリカの対応の差は歴然としています。
     私はかねがね、国として必要な権限の一部を除き完全に地方へ権限を移管する道州制を実施することにより、各地域が政策を競い合って経済発展が図られる新しい日本が築けるのではないかと考えていますが、今後の道州制のあり方について改めて知事の御所見を伺います。
     また、遅々として進まない現状を打破するためには、私は例えば私ども地方議会としても超党派による議員連盟をつくり、全国展開の行動により地方から国を突き動かすなど積極的な働きかけが必要ではないかとも考えます。今後道州制の抜本的な推進を図るためにどのような方向で展開していくべきとお考えか、あわせて知事の御所見を伺います。
     次に、地域外交についてのうち、地域外交の担い手育成について伺います。
     近年はグローバル化の進展が特に著しく、外国で発生した事故や事件などの出来事がインターネットなどの情報網を通じ瞬く間に世界じゅうの隅々にまで駆けめぐり、その影響が他国の経済情勢や社会現象あるいは全世界にまで影響を与えてしまうといった、まさにボーダーレスの時代になってきております。
     こうした中で、今後も引き続き静岡県が高い経済力を維持あるいは発展し、魅力ある地域として生き残っていくためには、海外とのさまざまな交流を通じ連携を強めていくことが必要不可欠であることは申し上げるまでもありません。特に本県の企業の中には、中国を初め発展著しい東アジアへ進出して事業展開をしているところも多くあり、また富士山静岡空港の開港を契機に、これらの地域との交流や連携がますます深まっていくものと思われます。
     このようなことから私は、今後地域レベルで海外の地域と積極的に交流し、友好的互恵・互助の精神に基づく信頼関係の構築、知事が唱えるいわゆる地域外交を推し進めていくことは大変重要であると考えており、知事が中国、韓国、モンゴル、台湾等、東アジアの国・地域を中心に県内各界各層など幅広い分野において交流を深め、互いにメリットのある関係をつくり上げていこうという方針を打ち出しておられることに対し、私も大いに賛同するところであります。そしてこの地域外交を展開していくためには、とりわけその役割を担うことのできる人材の育成が何より大事だと考えております。しかし残念なことに、今の若者は押しなべて内向的で海外に目が向いていません。このことを私は大変危惧するものであります。
     また、これら東アジアとの交流の中でも、これまで本県と親密かつ効果的な交流を重ねてきた中国浙江省とは来年友好提携三十周年を迎えます。県教育委員会においては、青年の船から始まり現在のふじの翼グローバルリーダー養成事業に至るまで、四十年余りにわたり日中青年交流に取り組まれてきました。こうした取り組みが友好提携に大きな寄与があったとともに、提携を支える人材も多く育ったものと先人の取り組みを評価いたします。しかし昨年の事業仕分けにおいて、このふじの翼グローバルリーダー養成事業が「不要」となりましたが、私はとんでもないことだと思っています。
     御承知のとおり、中国は他の国とは少し違い一筋縄ではいかない国柄のようであります。しかしその中国とは対等な立場で互恵・互助の関係を築いていくことが、我が静岡県にとっても大変重要であり、中国が日本をよく研究しているように日本も中国について研究し、つまり相手を知り相手の国に応じた交流の仕方を考えることが必要だと思います。
     そこで、中国等との交流の担い手育成について、どのように取り組んでいくのか教育長に伺います。
     また、子供たちを担い手として育成していくためには、まず教員自身が中国を含むアジア諸国との交流に対する理解を高めることが必要であります。「百聞は一見にしかず」と申しますが、若い段階でより多くの教員がアジア諸国の若者との交流の経験を積み、いわゆる国際感覚を身につけるべきであると考えますが、教育長の御所見をあわせて伺います。
     また、日中交流の本県の推進体制について伺います。
     以前にも本会議で述べさせていただきましたが、中国との交流を促進する体制において、本県の体制は中国のそれと比較して脆弱であると言わざるを得ません。現在本県においては静岡県日中友好協議会が、県の委託事業も受けながら浙江省との経済交流を中心とした活動をしており、組織上は各市町や各種団体等が参加している形になっています。一方静岡県日中友好協会は、県内十九の市町に組織を有し、日中友好の必要を思う熱意ある千四百人余の会員に支えられ、浙江省だけでなく幅広く中国各地と着実な民間交流を行っています。
     今後、本県が中国との地域外交を展開するに当たり、官民が一体となった幅広い交流を目指すことが肝要かと思います。中国に対しては官民一体これが非常に重要だと私は考えます。そのためにも民間交流団体の窓口を一本化し、中国に対応する力強い推進体制をいち早く築くことが求められますが、知事の御所見を伺うものであります。
     次に、県西部地域の産業振興についてのうち、新産業への参入支援について伺います。
     午前中、田議員から東部地域の新産業創出についての質問がありましたが、我が浜松市を中心とする県西部地域は自動車やオートバイなど輸送機器関連企業が数多く集積しており、まさに全国屈指のものづくり県である静岡を象徴する地域であると言えます。しかしリーマンショックに端を発した世界的な不況や長引く円高により、輸送機器産業を中心に国内生産体制の大幅な縮小が見られるなど、県西部地域の経済は大きな影響を受けているところであります。
     このような中で、国内メーカーや関連企業の多くは、成長著しい中国や東南アジアなど新興国へ生産拠点をシフトさせ、国内の不振を海外の業績で補うという状況になっていることから、中小の下請企業の多くは従業員を削減して経済が好転するのを待っているというのが実情であります。また一方電気自動車の普及により、エンジン部品や駆動・伝動部品に係る企業は受注減少が懸念され、これまた自動車関連産業が盛んな県西部地域への影響は大きいと思われます。
     浜松を中心に県西部地域には、フォトンバレー、いわゆる光関連産業の集積事業のほか、県はこれまで環境分野への進出や新たな部品の試作に対する助成制度を実施していると承知していますが、今後はさらに幅広い分野に支援を広げ、新たな成長分野への中小企業の参入支援などにより産業構造の転換を進め、県西部地域の産業振興につなげる必要があると思いますが、県としての具体的な方策を伺います。
     次に、企業誘致の取り組みについて伺います。
     県西部地域においても、製造業企業については、新たな生産拠点の設置計画を見合わせたり生産拠点を集約、再編する動きが見られるなど、企業の設備投資意欲は減退しています。
     日本経済新聞が昨年九月に、全国の都道府県並びに政令指定都市に対して実施した企業誘致に関するアンケート調査によれば、最近一年間に企業誘致策を「拡充・強化した」と回答した自治体は六七%であり、三年前の八〇%から十三ポイント低下しています。また今後の企業誘致策を「拡充・強化する」と回答した自治体は五二%にとどまり、三年前の七七%からやはり二十五ポイントも低下しています。これらは各自治体の財政事情等の理由によるものとも考えられますが、工場立地の先行きに不透明感が広がる中で、自治体の企業誘致策の拡充強化の動きは鈍化する傾向にあることがはっきりと読み取れます。
     全国的にこのような状況にある中、本県財政も大変厳しい状況でありますが、むしろこんなときだからこそ、本県においては既存企業の定着を促進する施策とあわせて新たに成長が見込まれる分野をターゲットとして、より積極的な企業誘致を進めることが本県産業の強い体質づくりにつながると思いますが、どのように企業誘致策を推進していくのか、県の所見を伺います。
     次に、浜名湖観光の推進について伺います。
     御案内のように、浜名湖はウナギ、カキを初めとした水産物やマリンレジャーのほか、周辺には舘山寺、弁天島等の温泉地、三ケ日ミカン、ガーベラ等の施設栽培を活用した観光農園、さらには奥浜名湖地域の史跡、寺社などすぐれた観光資源が豊富に存在しています。
     こうした浜名湖周辺の観光資源を磨き上げ、二泊三日以上の滞在型観光に対応できる観光地づくりを目指して、浜名湖周辺地域の行政や観光関係団体等による浜名湖観光圏整備推進協議会が策定した浜名湖観光圏整備実施計画が平成二十一年四月に県内初の観光圏として国の認定を受けました。この計画では平成二十一年度から二十五年度までに圏域内の観光資源を生かした整備等を行い、観光客の来訪を促進していくこととしています。しかしこの三月で国の認定から既に二年になろうとしていますが、現時点ではその取り組みが具体的な形となってあらわれていない感があります。
     私は、浜名湖周辺の観光資源をさらに磨き充実させるとともに、もっと浜名湖の湖面や浜名湖そのものを生かした誘客策を図ることにより、年間七千万人の観光客を集める中国杭州の西湖、この西湖にまさるとも劣らない国際観光の拠点になり得ると考えています。浜名湖観光圏整備推進協議会には県も参画しており、また浜名湖は湖沼として県管理であり、ガーデンパークも同じく県が保有しています。またさらにこの地域が県立自然公園内でありますから、国や県がかかわるもろもろの制約もあるものと思われます。こうしたことから県は、推進協議会の主たる構成員である浜松市、湖西市と一体となって、さらに積極的に浜名湖観光の誘客の促進を図るべきと考えます。
     県は、総合計画に掲げる富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの実現に向け、「住んでよし 訪れてよし」の理想郷を目指し、十年後の本県観光の姿を描き今後三年間の具体的な行動計画を策定していると聞いております。午前中に我が会派の小野登志子議員から伊豆半島の観光についての質問もあったわけでありますが、県全体の観光振興構想の中で県は浜名湖をどうとらえ、浜名湖を生かした観光振興にどのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。
     次に、静岡県人権施策推進計画の改定についてであります。
     人権といえば、アフリカ・カイロに続いてリビアにおける長期独裁、人権抑圧政治に反対するデモに関するニュースが連日報道されております。外国のこととはいえ国民の人権を尊重した早期の収拾が望まれるところであります。
     さて最近、我が国においても、子供、お年寄り、障害のある人など社会的に弱い立場にある人たちをいたわる心が薄れるとともに、自分本位の考えや経済性、効率性が優先され心の豊かさが失われているように感じます。これには現在の政治や経済の混乱から来る将来に対する不安、心の不安定さも、社会秩序の乱れに大きくかかわっているように思えてなりません。すべての人が個性を生かし能力を発揮できる、だれもが暮らしやすい社会をつくっていくためには、県民一人一人が人権を正しく理解し、尊重して行動できる人権尊重の意識が定着した静岡県の実現を目指していくことが重要であります。
     県では、平成十七年度からこれまで静岡県人権施策推進計画に基づき、全庁を挙げて女性、子供など個別の人権問題に対応するとともに、人権啓発センターを拠点とした人権啓発活動や学校における人権教育など、さまざまな人権施策を推進してきていると承知しております。
     しかしながら、現計画策定時の平成十七年と比較してみると、児童虐待の相談件数は六百一件から平成二十一年度実績で千百七件、八割以上も増加し、ドメスティック・バイオレンスの相談件数は千四百九十四件から同じく平成二十一年度実績で二千三百十七件、こちらも大幅に増加しているのであります。また養護者等による高齢者虐待や職場におけるパワーハラスメントの問題、さらにはインターネットにおける個人に対する誹謗、中傷など、差別的な情報の掲示やプライバシーの侵害にかかわる問題も急増していることからも、人権を取り巻く状況は大きく変化していると言えます。このような状況を見たとき、県民に対しさらに人権尊重の意識を深めるための意識啓発を促していく必要を強く感じます。
     現在県では、従来の計画を見直し新たな計画への改定作業を進めていると聞いておりますが、静岡県人権施策推進計画の改定に当たりどのように現状を分析し、またこれに基づき今後どのように県の施策を推進していくこととしているのか、県の所見を伺うものであります。
     最後に、振り込め詐欺に対する警察の取り組みについて警察本部長にお伺いします。
     私は昨年度、文教警察委員会委員として、警察の振り込め詐欺対策についてよく知る立場にありましたが、県警を初めとした官民一体の取り組みにより、従前よりもかなり被害が減ってきていると聞いております。しかし昨年の年末にはこの振り込め詐欺の発生が急増しておりますし、昨年一年間の被害額は全国では何と百億円、県内でも二億円近くに上っており、また報道等によればその手口も息子等をかたるオレオレ詐欺が急増しており、高校の同窓会名簿を悪用して電話をかけたり、警察官や県職員に成り済ます悪質なケースも目立ってきております。
     県警では、金融機関に協力を依頼し振り込む前に声かけするなどして相当数の被害を食いとめ、効果を上げていると聞いておりますが、しかし依然として被害は後を絶ちません。愛する子供や孫を思う気持ちにつけ込んだ卑劣な犯罪、振り込め詐欺。県民にこれ以上被害を出さないためにも、県民に対するさらなる啓発活動と同時に何らかの防止対策を打つ必要があると考えます。
     これまで振り込め詐欺の防止対策は当然ながら振り込む側の高齢者等に注意を喚起するものが多かったと思いますが、犯人の成り済ます対象は日ごろ家族と離れて暮らしている二十代、三十代の若者たちです。彼らにしても自分をかたられて父母や祖父母が被害に遭うのは余りに口惜しいことだと思います。そこで例えば彼ら若者たちに働きかけて、定期的に父母、祖父母等の家族に連絡をとってもらい、近況報告とともに自分をかたる振り込め詐欺にひっかからないように注意喚起をしてもらうというようなことも有効ではないかと思います。そうすれば家族とのコミュニケーションも図られ、一石二鳥ではないでしょうか。警察には犯人検挙にも力を入れていただくことはもちろんですが、このような犯罪防止対策を関係機関と協力してやっていただきたいと思います。
     そこで、県下における振り込め詐欺の発生や手口の状況と、これに対する警察の取り組みについて伺い、私の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 渥美議員にお答えいたします。
     初めに、道州制についてであります。
     道州制は国と地域のあり方を変えるものであり、この実現のためには国の出先機関と都道府県という二つの制度改革が求められると考えております。具体的には議員も御指摘のように国は防衛、安全保障、外交、通貨の管理など中央政府でしかできない分野を担当し、その他内政にかかわる権限、財源、人材はすべて中央省庁から出先機関に移譲するべきであるというのが私の考えです。また都道府県制に関しましてはこれを廃止し、国の出先機関への内政にかかわる中央省庁の、いわば下放いたしまして、それとあわせて都道府県制度を廃止するというふうにすることによって、初めて道州制は実現できるのではないかと思っております。
     一方、道州制の地域単位についてでありますけれども、今アジアとの地域間競争というのが現実になっております。そうした中で日本はアジアで最初の先進国になり近代文明をつくり上げてきたわけでありますが、そうした近代文明の国家経営のノウハウをどこが持っているかといえば、行政経営としては中央政府であります。
     そうした中央政府が、先進国並みの経営をできる地方の単位というものを構想する必要があります。それと同時に二十一世紀は環境の世紀というふうに言われますから、地球生態系の縮図とも言われるこの列島をようく眺め渡して、関東平野というところは日本最大の平野ですからそうしたアイデンティティーを持った平野の洲、そして北海道、東北は高い山のない豊かな森のある森の洲と、本県を含む中部――東海、北陸地域というのは、日本における山岳地域でございますから山の洲というふうにアイデンティティーを持つことができます。
     一方、いわゆる古代の三関――愛発、不破、鈴鹿の関以西は、いわば関所のない津々浦々の環瀬戸内海の地域でございましたから海の洲というふうに言いますと、こうした大きな単位であれば国家経営のノウハウがそのまま生かされるということで、私は北から森の洲、野の洲、山の洲、海の洲というようにするのが望ましいと十年以上前から提言してきて、今日もその考えは変わりません。 
     議員御指摘のように、民主党政権におきまして地域主権は一丁目一番地であるというふうにうたわれてその実現が期待されてきたわけでありますが、しかしこの動きは既に二十世紀の末あたりからございまして、地方分権一括法など自民党政権の間ででも制定されてきたものでございます。しかし民主党政権になりまして、どちらかといいますと地方の主体性を重んずる余りみずからの主体的な決断ができないという、そういう今弱点が見えてきたのではないかというふうに思います。
     私は、いわば地方政府の中で最も力の強いのは全国の知事でありますけれども、全国の知事諸氏がある意味で言いたい放題を言っているわけですが、それを言わせているところに少しく器量のなさを感じます。むしろリーダーシップをとって、中央政府を解体するというようにするべきである。補助金を出しているのは内政にかかわるものでありますから、したがって内政にかかわるすべての省庁を国の出先機関に一たん権限、財源、人材を含めて移譲すると。そして都道府県制度はその移譲を完了すると同時に原則廃止するという、そういう方針を決めれば、知事諸氏もみずからの地位を安定のまま広域連携を進めるといったようなことは慎まれることになるのではないかというふうに思っております。
     知事になりまして一年八カ月弱になりましたけれども、この間お隣の愛知県、長野県、山梨県、そして神奈川県の知事先生とお目にかかる機会がございました。特に私は長野県に十年余生活いたしましたので長野県知事との連携を深めようとしましたが、初めから四年間しかお務めになる気がなかったようで今は知事がかわりました。これによってまた御破算で願いましてはということになりますんですね。
     そうしたことがございますと同時に、一方仮に私が隣県の知事と仲よくして連携を深めていこうとしても、しからば本県の職員が隣県の職員と深く連携をして、共同の広域の行政をできるだけのそういう蓄積があるかというと、もう百三十年以上それぞれ、つまり明治四年以降、府県制が実施されて以降そういうふうにしてこなかったわけですね。したがってそれはなかなかかなうことではありません。
     したがいまして、私は知事主導における地域分権というのは非常に難しいというふうに思っております。しからば今我々が何ができるかと。偶々本県におきましては、西は浜名湖から南アルプス、さらに富士山を経てそして伊豆半島とこのように天然の要害とでもいいますか豊かな自然に恵まれている中で、一次産業、二次産業、三次産業がバランスよく存在し三百七十万余の人口がいると。そして交通の要衝であって陸・海・空の交通ネットワークもできたということでございますので、ここにおいて住民の自治能力を高めるということが大切だと、そうした自治について最も深くノウハウを持ち経験を積んでいるのが実は県庁の諸氏でございます。
     ですから、県庁の諸氏は市町村の自立のために働くというのが仕事だと。だから部長さんはやめれば市長にでも立候補すればよろしいと、ぐらいそういう大きな気概を持って、天下りだとかあっせんだとか指定席だというような批判があるのは、やはりそうした甘えの構造があったからではないかと思います。
     現場に接しているのは市町の役場です。役場の職員の方です。我々は中二階にあってなかなか接する機会が少ない。だからむしろ真っすぐ出ていかなくちゃならないと。それはやっぱりみずからがやらなくちゃいけないということで、自分でも一生懸命やっているつもりですけれども、まだ十分にそこまで現場に下りていくという、そういう文化がまだないと。デスクワークに徹しているところがあって、私はこれから本県を強くするためにかえって我々が媒介になると。そういう媒介になることを通して相手を強めると。私はそれは非常にとうとい仕事であるというふうに思っておりまして、私はこれからはふじのくにを立てまして、そしてこの地域三百七十七万六千人のためにこの県庁にいる二千人、あるいは六千人の庁の現役の職員が働くという、そういう気持ちを持っていただく時代を開きたいと念願している次第でございます。
     続きまして、静岡県人権施策推進計画の改定についてであります。
     昨年度、県民意識調査をいたしましたところ、平成十六年度の調査に比べまして本県におきましては、人権尊重の意識が定着した住みよい県であるというように考える人が増加いたしました。一方自分の人権を侵害されたと思っている人が減少したことがわかっております。県民の人権尊重意識はありがたいことに着実に高まっております。
    一方、議員御指摘のように、児童虐待、配偶者からの暴力、いわゆるドメスティック・バイオレンス――DV、さらに高齢者虐待やパワーハラスメントも後を絶ちませんで、人権をめぐる問題が多様化して年代を問わず大きな問題となっております。そこで新しい計画では、従来は職場など場面ごとの人権教育、人権啓発をするというものでございましたけれども、生涯を通じたライフステージごとの人権教育、人権啓発へと改めると。家庭、学校、地域社会などと連携してこれを進めていくようにしております。
     近年、増加しておりますインターネットによる人権侵害に対しましては、関係機関と連携しながら相談等に応じるとともに、学校における情報モラル教育の充実を図ってまいります。
     携帯電話というのは、あたかも腕時計とか眼鏡のように身体の一部になりつつありますけれども、私はこれはなくても済むというふうに思っておりまして、どこかの県であるいは市で実施されておりますように、ほんとにこれは必要不可欠かと。もちろん安全のためにお父さん、お母さんが、子供が帰り際どこにいるかがわかるようにするためにそれは必要ではあるかもしれませんけれども、私はむしろこうしたものは、学校の生活から持たなくてもいいという思い切った決断をしてもいいと。もしこのインターネットによるハラスメント、いじめがやまないのであれば、決してこれは必要不可欠なものであるというふうには思っていません。
     実際、福岡県で過去十年近くリーダー養成塾というのをしておりますけれども、全国の高校生が三百人近く集まる、その間二週間一切携帯電話を持たせません。しかし最初の三日間は携帯電話を持っていないということが実は信じられなくて不安になる。しかしもう三日もたつと要らなくて済む。テレビを見なくても、最初おかしいと思ってもなくて済むようなものです。ですからもしこれがどうしてもいじめの原因になるということであれば、教育の場からこれを持ち込まないということもあわせて検討してもいいのではないかとすら思っております。
     今後とも、県民一人一人が人権を正しく理解して尊重して行動できる社会の実現を目指して、市町や関係機関、民間団体等と連携しながら人権施策の計画的な推進に努めてまいります。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 地域外交についてのうち、地域外交の担い手育成についてお答えいたします。
     議員御指摘のとおり、グローバル化が進展し大きく変動しつつある現代の国際社会の中で、本県がさらに魅力ある地域として発展していくためには、地域外交の担い手を育成することが必要であると考えております。
     県教育委員会では、中国や韓国を初めとする東アジア諸国への県立高校の修学旅行や、台湾との青少年の相互交流推進に関する協定に基づく高校野球による交流、さらにふじの翼グローバルリーダー養成事業による中国青少年との交流などの事業を実施してまいりました。
     今後は、台湾との青少年交流を拡充するほか、中国につきましては県内各分野の青年代表と浙江省の青年リーダーとが相互理解と信頼関係を深める日中青年代表交流発展事業を実施するとともに、モンゴルとの青少年交流も視野に入れ、東アジア諸国との友好的互恵関係を築いてまいります。
     また、教員の交流につきましては、積極的に青年海外協力隊の増員を図るとともに、先ほど申し上げました日中青年代表交流発展事業による教員の交流を進め、国際感覚を身につけた頼もしい教員の育成に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 地域外交についてのうち、日中交流の推進体制についてお答えいたします。
     中国浙江省とは平成二十四年に友好提携三十周年を迎え、今後の幅広い分野でのさまざまな交流展開や富士山静岡空港からの上海線の利用拡大など、中国との一層の交流促進は大変重要と考えております。このような状況の中、静岡県日中友好協会と静岡県日中友好協議会の窓口の一本化が図られることは、両団体がそれぞれ行っている文化や環境、経済等の分野での交流が一体的に進められることにより一層効果的な交流が可能になるとともに、事業展開におきましても、市町の行政や市民、県内の経済団体や企業などさまざまな交流主体が日中間の交流に参加できるなどのメリットもあると認識しております。
     しかしながら、それぞれの団体の発足の経緯や設立目的が異なることから、会員の皆様の御理解を踏まえて対応していくことも大切であり、窓口を一本化するためには両団体の構成員の同意を理事会、総会等で図る必要もございますので、県といたしましてはそれぞれの団体の意向を確認しながら調整を進めてまいりたいと考えております。
     次に、浜名湖観光の推進についてであります。
     美しい自然や温泉、豊かな食の幸など豊富な観光資源に恵まれた浜名湖は富士山や伊豆と並び本県が誇る観光ブランドであり、浜名湖を取り巻く浜松市と湖西市の宿泊者数は平成二十一年には伊豆地域に次ぐ年間約二百万人となっております。しかし近年国内外の観光地間の競争が激化する中で減少傾向にあります。このため県では、浜名湖観光圏整備推進協議会に参画いたしまして、歴史や食、産業など地域の資源を生かした周遊型、体験型の商品造成、あるいは浜名湖ツアーセンターの設置、ホームページの多言語化等に取り組んでいるところであり、特に全国有数の花の産地という地域の特性を生かしたフラワーツーリズムは人気の商品になるなど一定の成果も上がっております。
     県といたしましては、現在策定中のふじのくに観光アクションプランにおいて、世界に誇れるふじのくにの観光ブランドを創出するため、浜名湖地域におきましては、地域の魅力あふれる資源を生かし観光圏事業を一層充実させ、浜名湖ブランドの確立を図ることとしております。
     具体的には、現在の事業に加えまして、議員御指摘のありました湖面を利用した、たきや漁などの水産体験やカヤックを初めとしたマリンスポーツなどの浜名湖を活用した事業推進をしていくほか、若い女性に人気のある花を活用したおしゃれ感のあるフラワーツーリズムや、テレビ番組で新しい御当地グルメで全国第二位となった牡蠣カバ丼――カキをウナギのたれで焼いたという牡蠣カバ丼が全国第二位になったそうですけれども――こういった浜名湖の水産資源を生かした新たな食のブランドづくりの取り組みへの支援を行ってまいります。
     また、韓国ドラマの誘致など浜名湖周辺でのフィルムツーリズムに向けた動きも盛んでございますことから、今後はこうした新しい事業につきましても、浜松市や湖西市を初め地域の団体等とも一体となって推進し、浜名湖への国内外の観光客誘致に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 県西部地域の産業振興についてのうち、初めに新産業への参入支援についてお答えいたします。
     県西部地域では、国際的な企業と金型や精密加工など一流の加工技術を持つ中小の企業が世界レベルの製品を生産しております。そしてこれらのすぐれた技術を活用し、新たな成長分野として期待される環境や次世代自動車、航空宇宙などの分野で挑戦を始める企業がふえてきております。
     県といたしましては、このような取り組みを促進するため、今年度七月に浜松市におきましてビジネスマッチングを進めるための環境技術展を開催いたしました。結果県内外から二百五十社の出展がありまして、七千四百人の来場者を得たところであります。また浜松市で、九月には次世代自動車の軽量化技術セミナー、本年一月には航空宇宙先端技術セミナーを開催し、新たな産業分野への参入ノウハウや求められる技術水準など専門的な情報を提供したところです。さらに来月十八日に磐田市において開催するEVサミットへの参加を全国へ呼びかけましたところ、全国から約四十台もの開発中の小型自動車などが集まり、お互いの新技術について情報交換を行うこととしております。
     来年度につきましては、次世代自動車に対応した新素材加工技術や太陽光発電などの農業分野への利活用の研究開発に取り組みますとともに、地元の大学や企業などが取り組む光・電子技術を用いた医療機器の開発などにつきましても支援をしてまいります。
     次に、企業誘致の取り組みについてであります。
     本県では、全国に先駆けて企業誘致に取り組み、平成七年度企業誘致の補助制度を創設するとともに、平成十六年度からは既存企業の定着を促進するため、本県独自に工場の建て増しなど自社の所有地での工場建設についても補助の対象とするなど、制度創設以来これまでに二百九十九社、三百五十五件の誘致実績を上げてまいりました。具体的には新産業集積クラスター関連の医薬品、医療機器関連産業や食料品などの企業誘致を行ってきたところであります。
     今後とも県内経済を持続的に発展させていくためには、成長分野として期待される環境関連産業や航空宇宙、物流などの分野でも企業誘致に積極的に取り組んでいく必要があります。このため今年度は東京事務所などの企業立地担当者を中心に七月から集中的に百社を超える企業を訪問し、十月には太陽光発電や医薬品、医療機器関連など四十七社の参加を得まして、本県の立地優位性を紹介するセミナーを開催いたしました。また十一月には、建設会社や不動産会社の東京本社九社から担当者をお招きし県内工業団地の現地視察会を開催するなど、新しい取り組みを行ったところであります。
     今後とも、本県の持つものづくりなどの場の力に加え、富士山静岡空港や御前崎港の利便性の向上、新東名高速道路の開通などにより一層増す立地優位性を成長が見込まれる分野の企業などに積極的に情報発信するとともに、市町と連携して国内外からの企業立地に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 振り込め詐欺に対する警察の取り組みについてお答えいたします。
     まず、発生及び手口の状況ですが、県内発生の振り込め詐欺は平成二十年から二十二年まで三年連続で減少いたしました。昨年は被害件数百八十七件、被害金額一億九千四百六十三万円で、前年と比較し件数は七十二件、金額は五千九百四十四万円の減少でした。
     次に、振り込め詐欺の手口は、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺の四形態があります。昨年振り込め詐欺全体として、また他の三形態は大幅な減少を見た中で、高校の同窓会名簿等を悪用し息子や孫をかたって現金をだまし取る手口や、警察官等をかたってキャッシュカードをだまし取る手口の、オレオレ詐欺だけが増加しております。このオレオレ詐欺だけで全体の約五五%を占めております。
     次に、警察の取り組みについてでありますが、昨年末に高校等の同窓会名簿が悪用された現状を踏まえ、巡回連絡や電話作戦により同窓会名簿登載者へ被害防止を呼びかけているほか、県下すべての高校、大学の同窓会事務局に対して、会員への注意喚起を依頼しているところであります。さらに毎月十五日をオレオレ詐欺被害発生ゼロの日と定め、県警察を挙げた取り組みを推進しております。
     議員御指摘の、日ごろ家族と離れて暮らしている若者たちに働きかけるというのは、非常に興味深い御提言でありますので早速検討してみたいと思います。振り込め詐欺は詐欺事件の中でも、肉親を思う情につけ込む非常に卑劣なものでありますので、今後とも捜査とあわせて官民一体となった振り込め詐欺被害防止対策を強力に推進してまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 四十六番。
           (四十六番 渥美泰一君登壇)
    ○四十六番(渥美泰一君) 少し時間がございますので、再質問と要望をさせていただきます。
     まず、教員の海外交流研修についてでありますが、一つの方策として海外青年協力隊等への積極的な参加、これもちろんすばらしい事業になるだろうと期待するわけですが、今回実は来年度の県日中友好協会の事業で、浙江省の芸術院の附属学校の生徒による浙江省青少年芸術交流団を本県に招きまして、二週間の間に――来年度につきましては県西部で実施しますが――小中高校二十校で公演し、一万二千人ほどの子供たちに鑑賞していただき、また交流の機会を持つというような計画をしておりまして、この事業実施につきましては県教委のほうも御支援いただいて、それぞれ各学校へも通知もしていただきました。
     ところが、なかなか学校側から積極的な……
    ○副議長(岩瀬 護君) 四十六番、時間が来ました。
    ○四十六番(渥美泰一君) ということで、ぜひ先生方の交流の機会をつくっていただきたいということをぜひ要望して、質問を終わります。
    ○副議長(岩瀬 護君) これで渥美泰一君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     二月二十二日午前十時三十分、会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。

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