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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

江間 治人 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/29/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 新型コロナウイルス感染状況下の施策について
(1) 医療崩壊を防ぐ患者受入体制の整備
(2) 県内プロスポーツクラブへの支援
(3) 県立高校の修学旅行実施
2 障がい者の自立及び就労支援について
(1) 働く障がい者の工賃向上の推進
(2) 民間企業への一般就労
3 保育士配置基準の改善について
4 歴史的農業水利施設寺谷用水の保全、継承について


○議長(山田 誠君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百三号から第百三十二号まで及び令和元年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十九番 江間治人君。
       (十九番 江間治人君登壇 拍手)
○十九番(江間治人君) 私は、自民改革会議所属議員として県政の諸課題につき通告により知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長に一括質問方式にて伺います。
 ソーシャルディスタンスという言葉が定着いたしました。密着型の私としてはあまり好きな言葉ではありませんが、今は受け入れています。しかし一方で心のディスタンスが大きくなりつつあることも心配しています。町行く人ほとんどがマスク着用。子供たちは二、三歳の頃より表情からその人の感情を察する知恵、身につけ始めると言われますがマスクをして顔半分隠れた人たちに囲まれその知恵、感性、身につけないで人の気持ち、気づかないまま成長していくのではと将来の不安を感じます。フェースシールドならいいのではないかと思います。おじいちゃんとお孫さんのこんななぞなぞがありました。お孫さん「パンはパンでも食べられないパンはなあに」、おじいちゃん「フライパンかな」、お孫さん「ブブー、おじいちゃんのかじったパン」、おじいちゃん「・・・(てんてんてん)」
 社会不安の中、我が身を守るため人との距離を置き、SNSなど使い差別や排除することに抵抗なく無意識に誰かを攻撃し人を傷つけ自分を誇示するなど心の問題が噴出している中で、新たなる新型コロナウイルス対策を備え早きは金の蔵、備え遅きは泥の蔵と言われるよう先へ先へと手を打っていかなければならないと思います。
 そこで、初めに新型コロナウイルス感染状況下の施策について三つの質問をさせていただきます。
 まず初めに、医療崩壊を防ぐ患者受入れ体制の整備について伺います。
 PCR検体採取のための地域外来・検査センターが県内十六か所、一日の検査可能件数も一千件を上回りこれにより医療関係者は診察の後必要な患者をすぐに検査に送れることに安堵されたようです。また無症状者、軽症者の受入れ宿泊療養施設が東中西三か所、三百七十九室確保されたことで中等症患者や重篤患者の治療体制も充実されるのではないかと思います。
 さらには、先月末から新型コロナウイルス感染症が感染症法上の指定感染症二類相当とされていることの見直しについて国の分科会で議論が始まりました。これは病院等医療体制の維持によい影響を与える結論が導き出される期待があります。
 しかし、これからの季節、秋冬のインフルエンザ流行とともに新型コロナの波、押し寄せてくること予想されます。病床数四百五十床、宿泊療養施設四百五十室で果たして十分か、検査件数の増加に伴い感染者が増加し医療機関の負担増加、ひいては医療崩壊につながらないか心配な点が多々あります。感染者の重症化は県民が抱える感染後の大きな不安の一つであり医療機関にも多大な負荷をかけることから、中等症患者や重篤患者を適切に治療する体制の整備が施策の中心となるべきと考えます。
 そこで、新型コロナウイルス対策についてPCR検査体制、無症状者、軽症者の対応を踏まえ、また今までの治療経験から医療現場ではスキルアップがなされていることと思いますが医療機関が中等症患者、重篤患者を適切に治療するためにどのように今後体制を整えていくか伺います。
 次に二つ目、県内プロスポーツクラブへの支援について伺います。
 県内にはJリーグ所属のプロサッカーチームが四チームあります。J1エスパルス、J2ジュビロ、J3アスルクラロ沼津、藤枝MYFC、これらのチームがコロナ禍でイベント自粛要請等により大変な苦境に立たされています。
 我が会派政調会では、県西部観光産業関連の視察において私の地元ジュビロ磐田を訪問し事業本部長、戦略本部長にお話を聞いてまいりました。J2は開幕試合を一試合終えた時点で中断となり六月二十七日に再開されましたが、入場者数制限から一万五千人収容スタジアムが三千五百人までの入場しかできません。また感染拡大防止に万全を期すための備品等の費用が経営を圧迫しています。入場者数は定数の半数までに拡大されるとのことですが、試合数の減少で放映権料の減額やスポンサー企業の経営状況によっては広告契約の更新がなされるかどうか様々な問題が浮かび上がっています。これでは選手の補強など強化費に回す予算が限られ、ひいては県民市民の期待に応える結果、出すことができません。
 県民に勇気と感動を与えるプロサッカーチーム、サッカー王国静岡県のシンボルであり決して失ってはならない存在です。ジュビロ磐田は過去、日本代表監督ハンス・オフト氏を招聘し一九九〇年代後半にはオランダ代表ファネンブルグ、イタリア代表スキラッチ、ブラジル代表キャプテンドゥンガなどビッグネームを補強し、一九九八年中山選手が現在も記録に残る四試合連続ハットトリック、年間三十六ゴールを決めMVPに、一九九九年はファーストステージ優勝のジュビロとセカンドステージ優勝のエスパルスがチャンピオンシップで対戦するという黄金期があったことを思い出していただきたいと思います。
 懐かしい名前を並べ磐田自慢をさせていただきましたが、当時県民はどれほどの勇気と感動をチームや選手から頂き経済効果をもたらしたか、磐田市民はジュビロできるまでは磐田ってどこにあるの、岩手県などと屈辱的に低い認知度に悩まされていましたが、ジュビロやゴン中山選手のおかげで札幌すすきのや博多中洲の人でも知っている町になりました。磐田市ではホームタウン活動事業としてジュビロ磐田ホームゲーム小学生一斉観戦を平成二十二年から実施しチケット販売に協力をしています。
 サッカーを例に挙げて申し上げましたが、コロナ禍の不安を抱える県民に勇気、感動を与えてくれるプロスポーツを県はどのように支援していくのか伺います。
 次に三つ目、コロナ禍における県立高校の修学旅行実施について伺います。
 新型コロナの影響は学校現場にも大きく出ています。授業時間の確保や消毒作業等、日々の現場の努力も大変なものですが学校行事の中止や変更など教育の一環として重要な行事もままならない状況下、高等学校の修学旅行が実施される時期になりました。予定は十月から十二月に集中し、行き先は北海道、東北、九州、沖縄が多いようです。もう実施した高校もあると聞いています。
 修学旅行は、生徒たちの高校生活の思い出の一ページを飾る大切な学校行事であるとともに旅行日の前までに生徒たち同士で現地を調べ行程を組んだり、また旅行終了後は学んだことを整理し今後の学習に役立てていくなど教育の一環としても重要な位置づけとされています。しかし今年の修学旅行の実施について各学校長は極めて難しい判断を迫られると言わざるを得ません。なぜなら感染者の発生状況が日々変化する中で日程や行き先の変更、旅行期間中の感染防止対策、感染者が出た場合の対応などが予想されるからです。またキャンセル料についても保護者の負担となることから中止や変更の時期について慎重に判断しなければなりません。
 このように多くの課題やリスクを背負っての旅行となりますが、それでもやはり重要な学校行事ですので多くの学校が修学旅行の実施に向けて調整していると聞いており、そうなることを期待するところです。
 そこで、県教育委員会として実施に向けた方向性を示すとともに万一感染者が出た場合の措置、キャンセル料の補塡など生徒が安心して修学旅行に行ける環境を整えることが重要と考えますが、教育長の所見をお伺いします。
 次に、障害者の自立及び就労支援について伺います。
 東京二〇二〇パラリンピック競技大会は、二〇二一年八月二十四日から九月五日まで開催することが決まりました。パラリンピックの歴史をひもとくと負傷した軍人のリハビリから始まった障害者のスポーツ大会が一九五二年には国際大会となり、一九六四年には第二回大会が東京で、一九七六年に第一回冬季大会が開催、一九八八年ソウル大会よりパラリンピックの名称となり現在までオリンピックと並んで開催をされています。
 日本パラリンピック委員会は、二〇一四年には厚生労働省から文部科学省へ所管が移され福祉からスポーツへの認識が強くなってきたと言えます。このように障害のある方が自立し社会参加することが安心して暮らせる医療・福祉の充実とともに分け隔てられない社会の実現へと向かうものと考え、また障害のある方が働く喜びを得ることは自立を促す大きな役割と考えます。
 そこで二点お伺いします。
 働く障害者の工賃向上の推進について伺います。
 県では、障害のある方に対する就労支援策として工賃向上を推進しています。しかし残念ながら目標とする工賃までかなりの差、あると伺っています。この差、埋めるに生産性や付加価値を上げていく施策が必要です。
 昨年、厚生委員会で高知県高知市にありますNPO法人まあるい心ちゃれんじどの応援団を視察してまいりました。ここはお菓子工房を持つ障害者福祉施設でありコミュニケーション能力、世界基準の衛生管理能力を身につけ安心・安全な製品を作るとともに一般就労にチャレンジする人たちを応援する施設です。ここで生産された商品は全日空の機内販売にも使われていましたが、味はもちろんパッケージデザインも優れており段ボールいっぱい購入された委員もいらっしゃいました。
 我が県も、障害のある方が通う障害福祉事業所の製品、授産品の販売促進をしていますが、さらに世界基準の製品づくりを促し働く障害者が自信とやる気に満ちあふれるような支援体制が必要と考えます。
 そこで、今後どのように生産性と付加価値を向上させ工賃向上につなげる施策を展開していくのか伺います。
 次に、民間企業への一般就労について伺います。
 昨年、高齢者雇用に頑張っていらっしゃる私の地元のコーケン工業株式会社をこの県議会において御紹介をさせていただきましたが、今月一日静岡県で唯一令和二年度障害者雇用優良事業所等厚生労働大臣表彰を受賞されました。まさに人に優しい企業、受賞の理由を総務部長さんにお聞きしたところ村松会長がまだ社長だった一九九〇年頃に袋井特別支援学校の卒業生一名雇用されたのが最初と伺いました。その後障害のある方々の就労を増やされ、現在では法定雇用率はるかに上回る社員の約六%が在籍をしています。特に法定雇用率を意識するわけでなく自然にそうなったとしか言いようがないとのことで、人を区別しない企業文化があること、再認識いたしました。
 県では、求人開拓から雇用までを支援する障害者雇用推進コーディネーター十七人により障害のある方の就労を支援しています。障害者雇用は本人の生きがいを見いだすのみならず日本社会の労働力としても大変重要です。また法定雇用率も来年三月から二・三%への引上げが予定されておりさらなる支援が必要と考えます。
 そこで、現在の障害者就労支援における課題、今後の重点を置くべき支援体制について伺います。
 次に、保育士配置基準の改善について伺います。
 共働き世帯の増加による保育ニーズの高まりにより、保育所を利用する子供の数は年々増加の一途をたどっています。また子育て家庭の支援や保育内容の質の充実など期待も高まっている状況にあるにもかかわらず、保育士配置の最低基準は昭和四十四年以降ゼロ歳児の配置以外は見直しがされておらず保育士や子供の保育環境に問題が生じているのではないかと危惧しています。
 特に、四歳児以上の保育士一人が対応する子供の数が三十人という基準は昭和二十三年の児童福祉施設最低基準令の制定から一度も改定されず現在に至っています。四歳児以上の子供は基本的生活習慣、運動能力、社会性など心身の目覚ましい発育、発達の時期に当たります。二年前の質問でデビュー当時からの連勝記録を伸ばしていた藤井聡太棋士の就学前保育を例に出し、この時期の指導は大変重要と申し上げましたが、高校生で二冠を達成する偉業にはちょっと例外の感はありますが三十人の子供を保育士一人が見るとなると子供一人一人の発達に応じたきめ細かい保育を行うことは大変難しく、また見守りとしても目が行き届かず安全管理上十分な対応が難しいという意見もあります。
 四歳児、五歳児への適切な保育を実施するために保育現場からも配置基準の改善を求める要望が出され保育の質の向上、保育士の雇用環境の改善が強く求められています。既に自前で実施している保育園も数多くあります。
 加えて、今年は新型コロナウイルス感染防止対応により保育士の負担はさらに増加しているのではないかと感じ、さきに述べた保育士の置かれている状況等は看過することはできません。
 そこで、保育士配置基準の改善について県として今後どのように取り組むのか伺います。
 最後に、歴史的農業水利施設寺谷用水の保全、継承についてお伺いします。
 磐田市天竜川左岸に位置する寺谷用水は、今から四百年以上前、徳川家康の家臣平野重定公が農民の豊かな生活の基盤は水利の安定にありとして十三キロメートルの水路を開くとともに、天竜川に巨大な取水口を建設したことを起源としております。現在は船明ダムより取水し南北約二十キロメートル、東西約六キロメートルの広大な管理区域を持つ用水として農業者の絶え間ない努力により良好に維持保全され地域の農業振興に大きく寄与しております。稲穂実り黄金が波打ちするこの景観は天竜川と寺谷用水がつくり上げてきたものと確信しています。
 さて、この寺谷用水を管理する寺谷用水土地改良区は令和五年の平野重定公没後四百年を記念して令和四年度の世界かんがい施設遺産登録を目指しています。去る九月十一日、寺谷用水土地改良区総務委員会が開かれ東京農業大学中村好男名誉教授、本年四月に開学した農林環境専門職大学中山正典准教授をお招きし池田藤平理事長はじめ役員、県職員、事務所職員の皆様、私も一部同席をさせていただき現地視察を行い今後の世界かんがい施設遺産登録に向けての準備を進めていくとのお話を伺いました。
 磐田市は四千四百ヘクタールの耕地面積、百二十四億円の農業産出額を誇る大変農業の盛んな地域です。寺谷用水が世界かんがい施設遺産に登録され歴史的な資産としての活用が進めばさらに農業に対する関心高まり担い手不足の解消、都市圏に半日で行ける地の利生かした農芸品の生産販売、情報発信などこれからの農業振興にも大きな役割を果たすものと考えます。
 そこで、寺谷用水の世界かんがい施設遺産登録に向けて――これは寺谷用水土地改良区と磐田市で進めていくものと承知していますが――歴史的価値高く大変重要な農業水利施設であること踏まえ今後県はどのように支援をしていくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 江間議員にお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染状況下の施策についてのうち、県内プロスポーツクラブへの支援についてであります。
 本県のプロスポーツクラブは、議員が御紹介頂きましたサッカーJリーグ四チームだけではありません。ラグビー、バレーボール、バスケットボール、自転車競技などのプロスポーツチームが複数存在します。このことは本県がスポーツが大変盛んな土地柄であるということを物語っております。こうしたプロスポーツチームは県内のスポーツへの関心を高め、県民全体を元気にする上で大変重要な存在であると考えております。
 プロのアスリートが見せるプレーは老若男女全てに対して元気や感動を与えますけれども、何より子供にとってそれはもっと大きな影響を与えます。
 例えば昨年、世界トップのプロのラグビー選手たちが間近で激しい、しかし潔い戦いをしたと。それは子供のラグビーを見る目を変えました。一周年記念、一昨日袋井のエコパで行いましたけれども子供の参加が大変多うございました。また最近では大相撲が二日前に終わりましたけれども本県出身の翠富士が十一勝四敗という、十両でですね。しかもそれは毎日放送されてましたから、少なくともNHKでは六時過ぎからこれを見ていた子供たちは相撲取りになりたいと思ったに違いありません。ですからそういう子供がいたとしても不思議ではありません。
 ですから、感動と元気を与えるだけではなくて関心を持ってそうなりたいとやってみたいと、憧れを持つという、そういう甚大なる子供への影響があるということでございます。
 ところが、目下のところスポーツイベントは開催が中止とか延期ということでこの県内のプロスポーツチームも打撃を受けております。そこで私どもはこの県内プロスポーツを支援し併せて県民のスポーツへの関心と活気を取り戻すことといたしました。本年五月からテレビ、ラジオ、SNSを活用し選手から県民の皆様に向けたメッセージを発信するなど自粛が続いて冷え込んでいる郷土熱の盛り上げに取り組んでおります。
 また、プロ自転車クラブのチーム、ブリヂストンサイクリングやレバンテフジ静岡、ラグビートップリーグのヤマハ発動機ジュビロ等をふじのくにスポーツサポーターに委嘱いたしまして情報発信の強化に努めているところであります。
 今後、ウイズコロナ、アフターコロナを見据えましてプロスポーツクラブ、また競技団体、民間企業、有識者などとのネットワークを新たに構築し県内プロスポーツの活性化に向けた支援の在り方につきまして検討いたします。具体的にはスポーツに携わる方々との意見交換を通じて民間資本を生かしたスポーツ環境の維持発展の方向、あるいはトップレベルの技を子供たちが間近で体感できる効果的な手法などにつきまして若者や女性の視点も入れながら検討を重ねるなど県全体でのプロスポーツクラブの支援に向けたコンセンサスを形成してまいりたいと考えております。
 スポーツは少なくとも三つの力を持っております。心身を元気にする力、地域を元気にする力、世界とつながる力でございます。こうしたスポーツの持つ力を生かしまして地域の振興と人づくりに取り組み、スポーツを愛する全ての人を引きつけるスポーツの聖地ふじのくにの実現を目指してまいります。
 その他の御質問につきましては副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(山田 誠君) 出野副知事。
       (副知事 出野 勉君登壇)
○副知事(出野 勉君) 障害者の自立及び就労支援についてのうち、働く障害者の工賃向上の推進についてお答えいたします。
 障害のある方々が住み慣れた地域で自立した生活を送るためには、経済面での自立が必要であります。このため県では授産品がより身近に感じられるよう愛称を県民だより等での公募によりふじのくに福産品とし、障害のある方の工賃向上のためにはまずは購入していただくことが第一番であると考え県民の皆様に継続的な購入を呼びかける一人一品運動を推進しているところであります。
 運動の推進に当たりましては、ロゴマークの作成やふじのくに福産品WEBカタログのリニューアルのほかバイ・シズオカの取組と連携しインターネットを通じた福産品や障害福祉事業所活動のPR強化に取り組んでおります。今後は新しい生活様式に対応したオンライン販売などの方策も検討してまいります。
 県では、これまでマーケティングアドバイザーなどの助言により品質を高めた三十三製品をふじのくに福産品ブランドとして認定し、販売先がサービスエリアや道の駅に拡大したことなどにより多くの製品の売上げが増加し工賃向上につながりました。今後もブランド認定による魅力的な製品づくりの支援や販売先の確保を積極的に行い工賃の向上に努めてまいります。
 さらに本年度は、「地域の障害福祉事業所は地域全体で支援」のキャッチフレーズの下、新たに市町や企業と連携して地域の特産品を生かした新商品の製品開発やPR、販路開拓などを行う地域密着型ふじのくに福産品一人一品運動をモデル的に浜松市と富士市で実施しております。今年度中にはふじのくに福産品ブランドとして認定し県お勧めの製品として積極的にPRしてまいります。今後このモデル事業の検証を行った上で、県内全域で地域による支援体制の構築を目指してまいります。
 県といたしましては、障害福祉事業所の収益の拡大を図り工賃向上につなげることで障害のある方の経済的な自立を促進いたしますとともに、社会の一員として生き生きとした生活が送れるよう身近な地域で安心して暮らせる共生社会の実現に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
       (健康福祉部長 藤原 学君登壇)
○健康福祉部長(藤原 学君) 新型コロナウイルス感染状況下の施策についてのうち、医療崩壊を防ぐ患者受入れ体制の整備についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の患者に対して入院治療を行う病床につきましては、専用病棟で患者を受け入れる重点医療機関の指定などによりピーク時に必要となります四百五十床を確保するめどが立っておりますが、今後のインフルエンザの流行を勘案いたしますとさらなる体制整備が急務であります。
 そこで、流行時に発生が見込まれる発熱患者に対する検査につきましては医療機関への検査機器の整備助成やPCR検査に比べ短時間で多くの検査が可能となる抗原定量検査機器を県環境衛生科学研究所等に導入することにより迅速な検査体制を整備いたします。また国の整備方針に基づき医師会等関係者と連携して発熱患者等の相談、診療、検査を実施する医療機関の確保などに取り組み身近な地域で安心して受診できる体制を整備してまいります。
 さらに、軽症者や無症状者につきましては県が確保いたしました宿泊療養施設を活用することとし、中等症以上の患者の入院治療を行う重点医療機関などとの役割分担を明確にすることで医療機関の負担軽減と病床の効率的な運用を図ってまいります。あわせて効果的な治療方法等についての医療従事者に対する研修や医療機関相互の情報共有を進め、患者がより適切な医療を受けられる体制を構築してまいります。
 次に、保育士配置基準の改善についてであります。
 子供たちの健やかな成長を支えるためには、保育士がゆとりを持って保育に従事できる体制を整え保育の質の確保と向上を図ることが重要であります。
 国におきましては、平成二十七年度から開始された子ども・子育て支援新制度の中で民間保育所等が三歳児に関わる保育士を基準を超えて配置した場合の人件費への加算制度を創設いたしましたが、一歳児及び四、五歳児の配置加算につきましては適切に財源を確保していくとするにとどまっております。
 こうしたことを踏まえ、県では国に対し保育士配置に係る改善加算の早期実施を継続的に求めているほか全国知事会としても国に提言しております。加えて県では独自に二歳児までの乳幼児保育に係る保育士の手厚い配置を行う民間保育所等に対する助成を市町と連携して行い、子供の受入れ促進と保育の質の向上を図っております。
 県といたしましては、今後も引き続き国に対し保育士配置に係る改善加算を要望していくほか、保育現場の声に耳を傾けながら保育の質の確保と向上に努め全ての子供が健やかに育つ「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 新型コロナウイルス感染状況下の施策についてのうち、県立高校の修学旅行実施についてお答えいたします。
 修学旅行は、生徒が日常の学校生活から離れて見聞を広め集団生活の在り方などについて体験を積む重要な学校行事の一つであります。新型コロナウイルスの感染者数は全国的に減少傾向となり県内におきましても落ち着いておりますが、散発的な感染は続いており日々変化する状況の中で各学校は修学旅行の実施時期や訪問先などにつきまして難しい判断を迫られております。
 こうした状況を踏まえ、県教育委員会では各学校が安心して修学旅行を実施できるよう具体的な判断基準や感染症対策チェックリストを示したガイドラインを策定したところであります。この中で生徒及び保護者に対しましては事前に具体的な活動内容や感染症対策、訪問先の感染状況、発症時の対応などについて丁寧に説明することや参加に向けて保護者の同意を得ることとしております。また修学旅行中に生徒が発症した場合には当該生徒の活動を取りやめ、医師の指示に従い静養させることとしております。加えて感染者及び濃厚接触者が誹謗中傷を受けないよう生徒を指導するとともに参加できなくなった生徒の心のケアに努めてまいります。
 さらに、保護者の負担軽減を図るため修学旅行の中止等に伴い発生するキャンセル料等につきましては、さきの六月補正予算におきまして生徒一人当たり一万二千六十円を上限に補助することとしております。
 生徒たちは、文化祭等の学校行事の中止や延期などこれまで当たり前であったことができない日々が続いております。県教育委員会といたしましては生徒や保護者に寄り添い、安心して修学旅行に参加できる環境を整えられるよう引き続き各学校を支援してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 障害者の自立及び就労支援についてのうち、民間企業への一般就労についてお答えをいたします。
 民間企業における障害者雇用を促進するためには、障害の特性に応じたきめ細かな支援が必要であります。このため県では、まず就職支援について障害者雇用推進コーディネーターによる就労に向けたマッチングを丁寧に行い、就職後にはジョブコーチによる職場定着支援をきめ細かく実施することで就職から定着までの一貫した支援を行っております。
 令和元年度には五百七十八人の就職が実現し、障害者雇用率も二・一五%と過去最高を記録いたしました。来年三月には法定雇用率が二・三%まで引き上げられます。民間企業への一般就労がさらに進むよう取組を一層充実させていく必要があります。
 こうした中、就労の現場では精神障害や発達障害のある方の一般就労が増える一方で職場の人間関係がうまくいかない、職務の内容にミスマッチがあるなどの課題も増加しております。加えて新型コロナウイルス感染症の影響による休業や職場環境の変化に伴いまして障害のある方が体調を崩しこれまでどおりの就労が続けられなくなる事例も生じており、職場への定着支援にこれまで以上に重点を置く必要があるものと考えております。
 このため、県ではジョブコーチによる業務の切り出しや作業方法の見直し等に加えまして日々の声かけや体調チェックなど日常的な支援の充実に受入れ企業とともに取り組んでおり、今年度からは新たに企業内ジョブコーチの育成を進め企業自らが定着支援を継続的に実施できる体制の構築を支援しております。また企業の労務管理担当者を対象とした研修会の開催や多様化する困難事例へのジョブコーチによる個別支援等を通じまして障害のある方の職場適応などへのサポートにも積極的に取り組んでいるところであります。
 県といたしましては、こうした取組によりまして障害のある方が生き生きと社会において活躍できるよう就労と職場への定着支援に着実に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 歴史的農業水利施設寺谷用水の保全、継承についてお答えいたします。
 農業生産に欠くことのできない、まさに命の水である用水を供給する農業水利施設は長きにわたる歴史の中で先人が幾多の洪水や干ばつと闘い、多くの犠牲を払いながら英知を結集して築き上げてきた重要な地域資源であります。世界かんがい施設遺産はこうした農業水利施設のうち建設から百年以上経過し、当時の先進的な技術の導入や地域農業の飛躍的な発展への寄与など歴史的に価値が高い施設について認定、登録されるものであります。県内ではこれまでに裾野市の深良用水と三島市の源兵衛川が登録されているところであります。
 寺谷用水は、かつては幾度となく氾濫を繰り返す暴れ天竜から洪水被害を受けながら四百年以上前としては前例のない卓越した技術で天竜川に大規模な木製の取水口を設け、江戸時代には二万石の収穫をもたらすなど地域農業の発展の礎を築いたものであります。また現在の土地改良区の前身とも言える井組と呼ばれる地元の用水組合が度重なる修復に尽力することで絶え間なく用水が供給され豊かな恵みをもたらしてまいりました。
 世界かんがい施設遺産の登録に向けましては、こうした優れた技術や歴史等について整理し情報発信していく必要がございます。このため県では寺谷用水土地改良区が組織する検討会に参画し認定に向けた国との連絡調整や登録事例の収集、また技術的評価に当たっての農業土木技術に関する助言等を行ってまいります。
 県といたしましては、こうしたことにより寺谷用水の世界かんがい施設遺産への登録を支援し地域農業の振興に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 江間治人君。
       (十九番 江間治人君登壇)
○十九番(江間治人君) それぞれに御答弁ありがとうございました。
 では要望を三点と再質問を一点、お願いしたいと思います。
 まず、今後の医療崩壊を防ぐ医療体制の整備についてということでありますが、PCR検査の件数の増加目標が上がれば上がるほど感染者が増えるということは当然あってしかるべき話だと思います。そういう中で先ほど質問の中でも言いましたように、やはり医療体制をしっかり確保することが今後の対策の軸となるのではというふうに思います。
 感染を防ぐことは、特に病院、高齢者福祉施設等の重篤になりやすい方のところには当然重要なことでありますが、感染すること自体を過度に恐れない、あるいは感染することに何の不安もない医療体制を持つ静岡県みたいな、やはり前向きに動ける、そういう感覚をぜひ僕はこれから打ち出してほしいんじゃないかなというふうに思っています。そのためのやっぱり医療体制の整備は重要であります。
 それから二つ目の要望ですが、プロスポーツチームの支援につきましては本当に知事がこのお話を答弁を頂きましてこれは意味があるというふうに思います。というのはヤマハ発動機、ジュビロに伺ったときもやはり民間企業ということで、これは興行だというふうに皆さんもそうですしチーム自体も思っておりますが、やはりそのために行政との連携が非常に不足していると、これは自らも反省をしていらっしゃいました。
 そういう中で、今コンセンサスという言葉が出ましたのでこれについては本当にこれは単なる興行ではなくて夢、勇気、感動を与えてくれる、本当に子供たちに夢を与えてくれるようなそういうスポーツ、プロスポーツでありますのでぜひコンセンサスを持っていっていただきたいというふうに思います。
 そして三つ目、これ修学旅行の実施についての要望でありますが旅行業法というのがありまして、この目的は安全確実に目的地に旅行者を連れていくという、これ旅行会社の責任になりますが、それで今それが当たり前。それを考えますと、この修学旅行の安全性を考えると本当にできるかどうかというところにたどり着くのかもしれません。
 しかし、そもそも旅の醍醐味は目的地にたどり着くということです。修学旅行という団体旅行なので大変難しいとは思いますが、高校生ぐらいになればコロナ禍でどうやっていくのか生徒自身がしっかり考え、想定外の事態を自分で解決し目的地にたどり着く。もしかしたらたどり着けないかもしれないけれども、それもまた立派な旅行であるというこういう認識をこれは私の持論なんですが思っています。
 今回の修学旅行については、子供たち生徒たちが旅行自体を学びの対象にしてほしいなというふうに思います。
 トラブルは旅の調味料であり、トラブルあってのトラベル。皆さんも旅行、トラブルの思い出たくさんあると思いますが、ぜひ私のことを御参考に頂きながらまた今後の実施に向けて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 そして、再質問一つお願いします。
 保育士の配置基準につきましては、環境改善を二年前の私の質問のときも国に全国知事会を通して働きかけていくという答弁がありましたが、コロナ禍でもあり、いや、そのコロナになる前もそうですがなかなか進んでいないのが現状であります。今後どのように進めていくのか、また二歳児までには県の独自の施策があるということですが、四歳児等につきましても県の独自の制度など検討されることはないのか、この辺を答弁をお願いしたいと思います。以上、お願いします。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長(藤原 学君) 保育士についての再質問についてお答えいたします。
 先ほど申し上げました一歳児、二歳児について県が市町と一緒に独自の手厚いことをやっているというのは、実は都道府県、全国で見ますと四県、静岡県を含めて四県でございます。三歳児以上についてはまだやっているところがないというのが状況です。それの原因の一つは何かというと保育の主体は市町であるということで、県がやる場合、都道府県がやる場合、市町のほうと一緒に話をした上でやらなきゃならないと。その場合にやはり多額の負担がやはり生じてしまうと。そこが一つの原因かなと思っております。
 これから、御質問のありました三歳児以上のことにつきましては各市町ともどういう状況なのか、何に注力するべきなのか議論を重ねて慎重に検討したいと考えております。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 江間治人君。
       (十九番 江間治人君登壇)
○十九番(江間治人君) 御答弁ありがとうございます。
 国の予算措置を待っているだけでは、やはりなかなかこの状況を変えていくのは難しいかなというふうに思いますが、冒頭のなぞなぞでも申したように幼少期のコロナ世代の子供たちの感性、これは非常に重要なところになりますので、ぜひ市町と連携して環境改善をお願いしたいと思います。以上で終わります。
○議長(山田 誠君) これで江間治人君の質問は終わりました。(拍手)

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