• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

阿部 卓也 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2011

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 平成二十四年度当初予算編成について  
2 事業仕分けの手法の進化について  
3 東日本大震災の被災地支援と教訓について  
4 内陸フロンティアについて  
5 ふじのくにの戦略物流について  
6 雇用対策について  
 (1) 静岡県雇用創造アクションプランの策定状況  
 (2) 県内企業の対世界戦略の支援  
 (3) 雇用のマッチング支援  
7 建設業審議会の答申への対応について  
8 少子化対策について  
 (1) 職場の意識改革  
 (2) 企業内保育所設置促進
9 富士山について
 (1) 平成二十三年度富士山の日への取り組み
 (2) Mt.FUJIトレイルの整備提案
10 ふじのくにの人づくりについて
 (1) 教育委員会の改革に臨む姿勢
 (2) 三十五人学級のゆがみ
 (3) 高等学校における教員の適正配置と郡部での教育のあり方
    コミュニティスクールの導入
 (5) オーバードクター等の学校教育への活用
11 警察行政について
 (1) 警察本部長着任に当たっての所信
 (2) 静岡県の地域事情に対応した警察力の強化



    ○副議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、三十一番 阿部卓也君。
           (三十一番 阿部卓也君登壇 拍手)
    ○三十一番(阿部卓也君) 私は民主党・ふじのくに県議団を代表して、当面する県政の諸課題について、魂込めて、知事、関係部局長、教育長、警察本部長にお伺いいたします。
     まず、平成二十四年度当初予算編成についてであります。
     昨年、我々会派の行政改革プロジェクトチームとして、一般会計予算の五%の財源捻出実現のための方策と計画についての提言を行いました。それに沿って十一月に発表された補助金の見直しでは、平成二十三年度では一億九千四百六十七万円余、平成二十七年度までにはトータルで十一億五千九百六十二万円の見直しが見込まれ、また外郭団体の解散による出損金の返還などにより財政の健全化が着実に進行していることは評価するものであります。
     一方で、平成二十二年度の個人県民税の収入率は八八・九%と全国最下位であり、そのような中で来年度当初予算の試算においては四百十億円の財源不足を生じていますが、まずはこの財源不足をどのように補っていくのかお伺いいたします。
     その中で、十月に示された平成二十四年度予算編成方針では、総合計画に基づく六つの重点取り組みと東日本大震災等を踏まえた重点取り組みを合わせた七つについては平成二十四年度の重点テーマと位置づけ、それらに該当する事業を特別枠とされましたが、今や世界を相手に考える大局的な施策立案や備えるべき地震防災対策に予算を集中投下することは正しい政治判断として支持をいたします。その重点テーマをもとに知事がどのような世界観で日本の理想郷ふじのくにのグランドデザインを来年度当初予算編成で描かれるのか、御披瀝をお願いいたします。
     次に、事業仕分けの手法の進化についてであります。
     今年は、県民の皆様に県民評価者として事業を評価していただく手法を導入し、インターネットでもライブ中継をし、ツイッターでも意見を受け付けるなどの新しい取り組みにもチャレンジしたことは情報化時代のニーズにこたえ、川勝知事の目指す開かれた県政としての関心を高めたものと大いに評価するところであります。ただし常に進化を求めていかねばなりませんので我々からも次のとおり提案をいたします。
     まず一つ目は、政策提案制度です。これは県民評価者の皆様に事前に提示された県事業についての評価の前に県民目線からの改善提案や新たな施策や手法の提案をしていただき、それに対して、県当局と将来を見据えた抜本的、建設的な議論を行う形式にする。現在の仕分けは五十分という時間制限の中で判断をしていますが、もう少しじっくり事前準備をした上で議論を戦わせることが大切だと感じています。どちらかというと、よりクリエーティブにするという意味では事業仕立てと言ってもよいものです。もちろん我々議会も日ごろよりさまざまな改善や提案を行ってはいますが、より多くの県民の皆様が関心を持って政策を持ち寄っていただくことは、一体となって理想郷ふじのくにをつくるために意義のあることではないでしょうか。
     二つ目は、規制、制度についての見直しの提案です。時代の変化や市場の構造変化への対応、また技術革新や産業競争力の強化のために、規制の整合性を見直すときであると考えます。ただし規制は法令によるものが多いために、静岡県において見直すことができるものは県条例によるもの等に限られますが、今や経済成長を阻む国の規制については、地方からも改善を物申さねば日本にはもう時間がありません。ゆえに評価者も規制や制度に知見があり行政分野についての経験や見識がある者を選定せねばなりませんが、規制改革を新たな成長の起爆剤にすること、また県民の皆様の手間を省く効率化のためにも必要なことであると考えます。ただし事業仕分け制度は永遠に続ければよいというものではないと考えています。しかるべき作業をし、あるべき静岡県の姿を導き出せば当然役割を終えるか、違う形での県政への関与ということも見据えておくべきと考えます。
     以上の提案も含めて、今年度の事業仕分けの成果と来年度の仕分けのあり方について、知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、東日本大震災の被災地支援と教訓についてであります。
     あの三月十一日の東日本大震災からはや九カ月がたとうといたしております。改めまして犠牲になられた皆様の御冥福をお祈りし、被災され、きょうも御苦労されている皆様には心からのお見舞いを申し上げ、これからも精いっぱいの応援を続けてまいりたいと考えております。
     本県の被災地支援は全国の都道府県の先陣を切って支援活動に入り、三月二十六日には岩手県遠野市に現地支援調整本部を設置し、遠野を拠点に沿岸部の山田町と大槌町を支援したことは周知のとおりであります。県と市町の職員合わせて、女性二十一人を含む延べ六百八十三人が派遣されましたが、皆様の懸命の働きは防災先進県静岡県の名前を大いに高め被災地の人たちの大きな信頼と感謝をいただいたとお聞きいたしております。心から敬意を表したいと思います。
     現地の復旧・復興の見通しが立ったことから、十月上旬、現地支援調整本部は閉所いたしましたが、今回の被災地支援の実績についての自己評価と総括、そして今後東海地震の発生が懸念される本県にとって、発災時の他県からの広域応援の受け入れについて得た知見についてお伺いをいたします。
     次に、内陸フロンティアについてであります。
     知事は、このところ盛んに「内陸フロンティア」というキーワードを内外に発信されていますが、可能性を秘めた辺境地域と訳される「フロンティア」という言葉を使う以上、期待が膨らみます。内陸部の可能性は多彩です。例示すると、一つには来年開通をする新東名周辺部は多くが市街化区域外にあり、土地利用の観点からも企業活動や物流拠点、そして新しい居住地域としてのポテンシャルが高いということ。二つ目、東日本大震災の津波被害を踏まえ、企業や個人住宅の内陸部志向の高まり。三つ目、過疎地域や中山間部に見られる都市部からの移住の増加や農家民宿や農家レストランなどの観光需要の高まりと新しい価値観の創造。四つ目、新しい南北軸を形成する高規格道路――三遠南信自動車道、中部横断自動車道、伊豆縦貫自動車道による可能性の広がりなどなど。
     これらを考え合わせ、知事はどこにどんな内陸フロンティアを描くのか、また総合計画とのかかわりをどうお考えなのか、お伺いをいたします。
     次に、ふじのくにの戦略物流についてであります。
     来年の新東名高速道路の開通に合わせて、本県は物流新時代をつくるためにふじのくに戦略物流ビジョンの策定を進めております。物流産業は従来の物を運ぶ、物を保管することから、現在では生産から消費までを戦略的にコントロールするサプライチェーン・マネジメントを行う最先端産業として発展しつつあります。そうした背景を踏まえ、新東名インターチェンジ周辺などへ、どのような形態の広域物流拠点をつくり、周辺地域のまちづくりにどうかかわっていくのか。また本県が誇る農林水産物を生かした産業育成のために、どのようにかみ合わせていくのか、物流戦略の具体像をお伺いいたします。
     次に、雇用対策についてのうち、静岡県雇用創造アクションプランの策定状況についてであります。
     川勝知事は、三万人の新たな雇用創造を目標とする静岡県雇用創造アクションプランの策定方針を打ち出し、十月二十八日には静岡県雇用創造県民会議が開かれました。産業界、労働界など各界各層からは、どのような意見が出され議論がなされたのか、またそれらを参考に現在の静岡県経済や雇用を取り巻く状況に関して、どのような分析をしているのかお伺いをいたします。
     また、静岡県は東西に実に百五十五キロメートル。同じ静岡県といえども地域特性や産業構造が異なっています。これはアクションプランを策定するに当たっても十分に加味して反映すべきと考えていますが、どのようにお考えかお伺いいたします。
     次に、県内企業の対世界戦略の支援についてであります。
     現在の日本企業を取り巻く状況は非常に厳しく、さらにここへ来て一層の円高の進行で県内企業においても生き残りのために海外進出を検討せざるを得ない企業がふえております。かくなる上は、これらの県内企業が本社は県内から移すことなく、海外で得た利益を県内に還元し、県内の雇用を支えるスキームをつくること、各企業の対世界戦略の構築を支援することが急務だと感じています。既に国内自治体の中には、国内拠点の存続を条件に企業の集団海外進出を後押しする動きが出始めていますし、静岡県の経済産業部が昨年から取り組む中国、ベトナム、タイに希望する県内企業群を派遣した海外ビジネスミッションは実際成果も上げており、今後ますますの充実が必要と考えます。
     また、資金集めやPRのお手伝いも考えるとすると例えば世界的投資家ウォーレン・バフェット氏の投資会社の投資基準は、内在的価値が高いすぐれた企業を相応の価格で買い長期保有を行うというものですが、こうした世界の優良投資家に静岡県の技術力にすぐれた会社群が目にとまるように静岡県が誇るリーディング・アドバイザーの皆さんのお力もお借りして、さまざまなPRや海外事務所などの地域外交ネットワークをフル活用して、海外から逆に仕事や投資を呼び込むための逆ビジネスミッションを企画することも必要ではないでしょうか。
     このように、今後は県内企業の海外戦略の構築を支援することが重要になると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、雇用のマッチング支援についてであります。
     今後策定されるアクションプランで新たな雇用をつくっても、そこに人材が供給されなければ絵にかいたもちに終わってしまいます。対策として雇用のミスマッチ解消協議会を設置したようですが、どのようなものなのか、まずお伺いいたします。
     また、県内の雇用マッチングの実践例として、県立浜北西高校のキャリアサポートセンターがあります。ちなみに私の母校であり教育長がかつて赴任された高校でありますが、県内高校生の最新の求人倍率は一・〇一倍、就職内定率は六九・六%。過去五番目の低水準です。それに対して、浜北西高の求人倍率は四・〇七倍、就職内定率は九〇%という成果をたたき出しています。文部科学省のキャリア教育モデル校であった浜北西高は研究成果を生かし、教育委員会等の公的支援はなしで、PTA、後援会、同窓会の連携支援を受けて、学校独自で本年度キャリアサポートセンターを設立し、新たに職員を雇用し地元の事業所等を巡回して地域企業の実情を調査分析、求められる人材ニーズを把握し求人開拓をふやし、就職希望の在校生徒及び大学に進学しUターンを希望する卒業生に対して地域密着型の就職の支援をしています。まさに現場の創意工夫と努力のたまものです。
     この際、厳しい雇用環境の中、このような先進的な取り組みにも学び、思い切って現場にフリーハンドで権限や資源を与え、それぞれがもっと現場感覚で工夫を重ねて行けるような支援方法も実施することが、雇用の創造並びにミスマッチの解消につながると考えますが、知事並びに教育長の御所見をお伺いいたします。
     次に、建設業審議会の答申への対応についてであります。
     建設産業は御承知のとおり多くの課題を抱えています。これらの課題解決のために、県は答申に示された建設産業の活性化に向けた方策の実現に向けて前向きに検討を進めることが必要でありますが、その中で特に重要であると思われるものについてお伺いいたします。
     一つ目は、建設産業の過剰供給構造を改善し、高品質の社会資本整備と地域の安全・安心の確保のために、技術力の劣る企業を淘汰し、信頼できるすぐれた建設業者の育成のために、一定の要件を備えた企業をビジネス経営体とすることが提案をされていますが、それに対してどうお考えであるのか。また一方で、小規模でも専門的な技術を持つ企業もあり、このような企業の育成を同時にどう考えていくのかお伺いをいたします。
     二つ目、本年三月の東日本大震災や九月に本県を直撃した台風十五号の際には、建設業者が各地域に存在することの大切さや、災害時に孤立するおそれが高い過疎地域における建設業者の役割の重要性が再認識をされました。答申には地域維持型の契約についての検討の必要性が明記されておりますので、その実施に向けた検討をどのように進めていくのか、お伺いをいたします。
     三つ目として、答申には入札契約制度の適切な運用に向けた指導を行うと記されていますが、予定価格の公表一つを取り上げても市町によって公表時期が分かれているように市町間の制度運用は統一されていません。県として、市町の入札契約制度の適切な運用に向けた働きかけを行っていく必要がありますが、どうお考えになるのかお伺いをいたします。
     四つ目として、建設産業の活性化に向けては海外展開や新しいすぐれた技術を導入しやすい環境を整備することも重要であると考えますが、具体的にはどうお考えかお伺いいたします。
     最後に、今後も審議会を定期的に開催し、建設産業ビジョンのフォローアップを含めて建設産業の改善のための重要事項を審議していくべきと考えますが、以上の点を踏まえ建設業審議会の答申を受けて、県の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
     次に、少子化対策であります。
     川勝知事が、ことし夏、任期二年を終えた折り返し地点で、残り二年の任期では少子化対策に力を注ぐと各方面に発信をされました。
     まず問題提起をして共通認識を持っておきたいことは、子育てとはあくまで私的なものか、それとも北欧やフランスのように社会的に支えるものなのかということについて、日本では議論が不十分であるという現実です。これは今後議論を深め、少なくとも社会的に支えるものという合意がなされないと本当の意味での少子化対策は進まないのかもしれません。
     それを念頭に置いて、意識改革という切り口で県庁でも、率先垂範できそうなものなどに絞って提案を申し上げ、知事の御所見をお伺いいたします。
     まず、職場の意識改革についてであります。
     まずは、現在の少子化問題の時代背景を考えます。現在二十代から四十代の出産育児世代の傾向として、生まれたときから物があることが当たり前であるために、現在の不況の時代に入っても生活レベルを下げられない、下げたくない傾向が強いということ。ゆえに貯蓄も五十代以上に比べると激減し、この世代はボーナスで月々の生活を補てんしているという現実があります。また年金等の社会保障制度のぐらつきで、自分たちの老後の不安や親の介護などにお金が必要と考え子供をつくることをあきらめる状況になっています。さらにその上に保育園や学童保育の不足など子育て環境も不十分なため、ますます少子化のマイナススパイラルにはまっていると考えています。
     さらに、女性目線で考えると結婚している女性が専業主婦多数派時代から、平成九年を境に共働き多数派時代にシフトし、男女雇用機会均等法の施行で、ますます女性の社会進出がふえ大きな社会環境の変化が起きています。が、しかし男性側は子育て中はどうしても母親側に負担がかかることを頭でわかっていても体ではわかっておらず、本当の女性の育児負担に対しての理解が進んでいないのが実情だと、私自身の反省も含めて感じています。これが少子化の原因の一つ、男性及び職場の理解不足です。
     そこで、一つ目の提案は県庁男性職員の育児休暇取得のほぼ義務化です。しかも、できれば一カ月以上の長期で。現在の県庁職員の育児休業取得率は女性がほぼ一〇〇%に対して、男性は四・二%。これは経験、体験は何にもまさるというとおり、先ほど指摘した男性側の育児の大変さを体でわかっていないことの解決にもつながり、男性の育児に対する意識改革だけでなく、実際の職場環境づくりや県の子育て施策立案にも多大な好影響が出ると考えられます。またほぼ義務化をすれば内部的には出世に響くのではという考え方も平等化しますし、外部的には日本初の試みだけに静岡県は少子化対策に本気だというインパクトははかり知れないものがあります。
     二つ目の提案は幼児を抱える職員の育児環境を詳細に調べ、例えば祖父母が育児に日常的に参画できる状況かどうか、育児と同時に介護対象の親族がいるか、配偶者の職場環境はどうか、などまで配慮した上での職場配置がされる制度をつくったり、現在ある各種の職場復帰支援策の強化を図る人事・福利厚生面での環境整備が必要と考えます。
     三つ目の提案は、現在県庁職員同士で結婚されているカップルは四百組、八百人います。現在は家庭と職場は別という考えのもとで同じ部署には配属されることはありませんが、あくまで希望によってですが、夫婦で一つの仕事を午前、午後というようにワークシェアリングをすることができる選択制度もつくったらどうでしょうか。
     四つ目は代替職員の確保策の充実です。専門職種や現在時限で雇用している非常勤や臨時職員の能力の高い人材を保持するために、継続ないしは連続雇用するための規制緩和や必要な各種休暇を取得できる制度をつくることも大切だと考えます。
     このように県庁が率先して取り組めば少子化対策につながる意識改革や制度づくりの機運が高まるように感じていますが、知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、企業内保育所設置促進についてであります。
     保育園に関しては今も不足しているのが現状ですが、車通勤比率が高い本県では本当は職場に保育所があるのが病気のときや急な残業のときにも臨機応変に対応できるということで、各社社員要望が高いとお聞きしてます。しかしながら企業内保育所を整備するためには初期投資及びランニングコストもかかるため、各企業ともちゅうちょしているのが実情です。
     現在国の補助制度はありますが、県としての補助制度はありません。そこで企業内保育所の整備促進を進めるために、既に埼玉県などで導入している県単独の補助制度を創設すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、富士山についてのうち、平成二十三年度富士山の日への取り組みについてであります。
     平成二十四年二月二十三日の三回目の富士山の日を迎えるに当たり、富士山の日の前後一、二週間を観光週間と位置づけ、そこにニューヨーク観光協会が冬の観光閑散期対策として始め大成功したレストランウイークのような趣旨の食のイベントを観光週間の目玉として実施したらどうでしょうか。現在県が展開している食の都・仕事人事業については、一定の評価はいたしますが、どうも庶民感覚から遠くて先般行われた事業仕分けにおいても手厳しい評価を受け、県内外、ましてや世界に十分なPRができたとは言えません。この際、速やかに見直し今度こそ民間活力の導入をして県民の皆さんが親しみやすい、このレストランウイークのように三ツ星レストランも含めて、このときだけのスペシャルメニューやお得なコースが味わえるいつもより敷居が低くなった、いわば年に一度のレストランのお祭り、バーゲンセールといったような感覚のふじのくにレストランウイーク&観光週間を実施すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
     次に、Mt.FUJIトレイルの整備提案についてであります。
     これは、富士山の魅力を増大させ、世界遺産登録に向けても大きなプラス材料となるであろう方策としての提案ですので、ぜひわくわくしながらお聞きください。
     トレイルとは自然を満喫し眺望を楽しみながら山歩きをすることを中心に、時には町の中を通り抜け、その地域の風土や生活を感じ、観光地を通り抜け、その気分や名所旧跡の歴史やロマンを味わうなどコース設定の長い歩いて旅するための道です。ヨーロッパでは巡礼の道として有名なスペインのサンティアゴやモンブランの周りを歩くモンブラン・トレッキング、アメリカではナショナル・シーニック・トレイルなど欧米人を中心に人気の高い滞在型観光であり、健康志向のゆったりとした休日余暇の過ごし方でもあります。日本でいうと四国八十八カ所巡礼の道がイメージに近いかもしれません。このトレイル、最近では日本でも愛好家の皆様を中心に各地で徐々に整備が始まっています。現在静岡県では小山町の富士箱根トレイルと富士宮市の東海自然歩道がトレイルとして整備されていますが、対する山梨県側は富士山の周りをぐるりと東海自然道が取り囲み、ほぼトレイルとしての整備が終わっていると言っても過言ではありません。
     そこで、静岡県としては今すぐこの富士宮と小山町を結ぶ間を点在する富士山世界遺産の構成資産、整備予定の富士山世界遺産センターや既存の富士山こどもの国などを歩いて回れるコース設計をし、富士宮、裾野、御殿場、小山の地元の町の生活感も感じていただきながらめぐれるよう現道の歩道整備による活用も含めて整備を進めるべきと考えます。整備費用についても巨額な整備費が必要とは思えません。トレイルは歩くことが主ですし、かえって自然のまま生活感のありのままがよいのです。ですので自動車道のような大規模な用地買収や工事が必要なわけでもありません。またこのMt.FUJIトレイルの出発点を富士山本宮浅間大社とすれば、富士山を一周めぐる巡礼の道としての要素も加味され、信仰の山であった富士山の意義をより強調できるものになると考えますし、何より出発地イコール表玄関として静岡県が認識され、みんなが集まってくるという大きな利点となります。また歩いてめぐる道であるということは当然道中宿泊もしますし飲食もする、また観光もする、というようにさまざまなニーズが出てきますので、滞在型観光の目玉として位置づけることも可能であります。自然環境の保護という観点でも人が歩くことによって、逆に環境保全が進んでいるという事例が海外のトレイルや新潟、長野をまたぐ信越トレイルなどでは見受けられます。
     さらには、近年はこのトレイルを使ったトレイルランニングが世界的なブームであり、ウルトラトレイル・デュ・モンブランなどは世界的に有名で、今年は二千三百人もの参加者がありました。日本でも最近流行の兆しがあり、その中でもこのトレイルランニングの日本最高峰に今やならんとしているのは、来年五月に開催されるウルトラトレイル・マウントフジです。静岡県と山梨県にまたがる富士山のふもとをぐるっと約百六十キロ、制限時間四十八時間で走るこのトレイルランニングに既に世界の注目が集まり、世界各国から続々とエントリーがなされています。
     こうして、今や世界も注目する富士山です。これこそ静岡県として今まさに取り組むべきしゅんの事業だと考えますが、富士山をめで静岡県の宝として世界にさらに広めんとする知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、ふじのくにの人づくりについてのうち、教育委員会の義務教育における改革に臨む姿勢についてであります。
     民主党・ふじのくに県議団は、人づくりと教育をライフワークとする議員が多く、ゆえにこのところ相次ぐ教員による不祥事には大いに心を痛めています。ここは心を鬼にして今回は厳しく意見と質問をさせていただきます。
     まず、改革を要すると感じることは教育委員会の姿勢です。教育委員会の皆様と義務教育について議論をすると、必ず出てくる言葉が、「市町の教育委員会のことですので」、そして静岡、浜松に関しては、「政令市ですのでもはや所管外」。これでいいのでしょうか。市町の教育委員会には、さまざまな問題が持ち込まれています。それらについて県教育委員会としては事実関係や対処などについてどの程度把握しているのか。また必要に応じて現場に出ていって協力をしているのか。万が一、任せきりであったのなら、市町の教育委員会に指導と助言を与える立場としての県教育委員会の機能が不十分であると断ずるしかありませんが、現在までの状況をまずお伺いいたします。
     また、同時に政令市教育委員会とのかかわり方についても、県内約一万七千人のうち四割に当たる義務教育教員の人事権が政令市に移行された今、人事交流などを通して互いの組織の活性化を目指すなどの動きをしてこそ、本当の意味での県全体の義務教育の底上げにつながると考えますが、教育長の御所見をあわせてお伺いいたします。
     また、現場にいる教員と教育委員会の距離も大きいと感じています。私たちが危惧するのは今回の不祥事に際しても本当の意味での教員の資質にかかわる部分の対策や、現場目線での相談体制の構築といった抜本的な改革、反省が見えません。締めつけの強化だけでは問題は解決しません。教育は現場でなされ事件も現場で起こっているのです。
     また、教育委員会本部の幹部職員の在任年数を見ると、余りに本部勤務が長過ぎて現場勤務経験が少な過ぎる傾向が顕著であります。本部の人員をもっと削って現場に送り、逆に現場の最前線の人間が本部に来るという血の入れかえが今こそ必要なときではないかと痛感しています。
     この現場との距離感や現場での教員不足について、県教育委員会として、今後どういう自己改革をしていくのか、教育長の所見と決意をお伺いいたします。
     次に、三十五人学級のゆがみについてであります。
     三十五人学級の推進に関しては、我々も大いに賛同するところではありますが、全校のクラス数十四学級以下の小学校に関しては基本的に教員は減ずることはあってもふえることはありません。その結果、結局は図らずも弱い立場のところにしわ寄せが行き、これら小規模校に対して学校の統廃合への無言の圧力となり郡部地域を疲弊、衰退させていくことにつながるのであれば、これは大問題です。
     この三十五人学級の教員配置のゆがみについてどのように考えるのか、教育長の御所見をお伺いしたします。
     次に、高等学校における教員の適正配置と郡部での教育のあり方についてであります。
     私はこの五年間で県立高校に数多く伺いましたが、教員配置のいびつさを感じています。いわゆるトップクラスの進学校には全教科の教員がそろっている一方で、郡部にある県立高校においては、教員の担当科目のばらつきがひどい。また世代間構成もひどく、県東部地域や郡部には若手の先生は多くても中堅クラスのいわゆる指導層であるべき教員がごく少ない。これはいかに。学校人事課に確認をすると、「自宅から遠いので」、「県東部地域には先生が少ないので」という回答が平気でなされますが、本来教職という聖職を選んだ初心に戻れば、教師人生のうちで何年かは遠距離通勤や遠隔地勤務は何の問題もないはずであります。また東部地域の先生が少ないというのは、採用計画がずさんであるということを学校人事課が認めているような回答であり、全く理解に苦しむものであります。
     この教員の適正配置についての改善計画は、今後抜本的に取り組んでいく必要があると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
     また、同じ高校でも教育とともに経営を考えなければならない私学と違い、公立高校は税金で運営をしている以上、郡部における教育機会の提供は当然の務めだと私は考えています。であれば郡部の高校が抱える諸問題にもっと真摯にこたえるべきと感じています。例えば幅広い教育のために校外学習やさまざまな交流をすることが高校生にとってもとても大切なことと感じます。文化教養を得るための美術館や博物館、展覧会、また部活動の遠征など、とても大切な活動が距離によるハンデによって奪われることをなくし、県内あまねく高校生に均等な教育機会が与えられるように努力するのが県教育委員会の務めであると感じています。
     教育長にお伺いいたします。日本の理想郷づくりを担う静岡県の高校生たちに均等な教育機会を与えるのか否か、そして郡部における教育のあり方について義務教育も含めてどうお考えになるのかお伺いをいたします。
     次に、コミュニティスクールの導入についてであります。
     教育委員会改革の必要性を叫ぶ以上、私たちからも一つ改革案としてコミュニティスクールの導入提案をいたします。コミュニティスクールとは学校運営を地域の実情やそのときどきに起こる諸問題に臨機応変に対応するために、学校、地域、保護者、そして教育委員会などの委員から成る学校運営協議会を設置し、権限として学校運営基本方針の承認や学校運営についての意見を校長や教育委員会に直接述べることができること、教職員の任用に関して教育委員会に直接意見を述べることができるなどができる学校です。既に全国三十二都道府県で導入され、導入していないのは静岡県ほか十五県のみです。
     私たち会派政調会は、九月にほとんどの小中学校をコミュニティスクールにしている京都市に視察に行ってきましたが、平素から地域の方々が学校に出入りし先生方と活発な意見交換や情報交換をしている姿を実際に目の当たりにし、まちの皆で学校を盛り立てていく、まちの中心に学校がある、子供たちがいるという学校の原点を見せられたような気がいたしました。
     また、現在導入されている学校評議員制度については全否定するものではありませんが、今こそ教育改革の一環として地域と一緒になって、教師も親も子供もはぐくむコミュニティスクールを導入すべきときであると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
    次に、オーバードクター等の学校教育への活用についてであります。
     今議会開会日の知事提案説明の中に、未来を担う人材の教育・育成を支援するため、大学院の博士課程修了後未就職の方、いわゆるオーバードクター等を学校教育において活用する方策を検討するという内容がありました。これは画期的な提案であり、教育改革の一環、ふじのくにの人づくりの一環として、県単独事業として教育に携わる有為な人材を活用していく、つまりは地方の教育現場の窮状を理解していない国の決める教員定数に対する挑戦であり、地方が教育においても雇用対策においても主体的に一石を投じていくことが必要だという国に対するアンチテーゼと理解すればよいのでしょうか。知事並びに教育長の御所見をお伺いいたします。
     次に、警察行政についてのうち、警察本部長着任に当たっての所信についてであります。
     繁田本部長は内閣情報調査室で六年間にわたりテロ情報の分析や対策に携わった危機管理のスペシャリストであると伺っています。その御経歴を踏まえ、本部長は、これまでに培った危機管理のノウハウの中で、特に本県の治安維持と安全・安心に生かせるお考えがあれば、その所信をお伺いいたします。
     次に、静岡県の地域事情に対応した警察力の強化についてであります。
     現在の静岡県警を取り巻く環境は多様化、悪質化する事故や犯罪の増加の中で、限られた人員や装備での任務遂行はまことに厳しいものがあると認識をしています。
     このような中で三月に発生した東日本大震災の支援のために、本県から延べ二万八千人余の警察官が派遣されましたが、今後さらに派遣活動は続きます。これは被災地の惨状を考えるといたし方ないことでありますが、その分、本県の治安維持に従事する警察官は減っていることになります。その一方で、本県は浜岡原発停止要請の際の根拠として近い将来東海地震の発生確率八七%と国に断じられたという事実があり、さらには来年は新東名高速道路も開通し、本県はこれらの対策にも警察力の配分が必要だという他県にはない地域事情があります。また物的にもサイバー犯罪対策、検視制度充実等に必要な装備品の充実、捜査用車両、鑑識資機材などの捜査に直結する装備品の充実、さらには全国ワースト二位であるLED信号機の整備などは、いずれも重要と考えます。
     そこで、限られた人員をどのように配置して警察の執行力の維持強化をしていくのか、また装備資機材の整備についてどのように考えられているのか、警察本部長の所見をお伺いいたしまして、ひとまず私の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 阿部議員から、熱い思いの御質問、御提言をいただきありがとうございました。お答え申し上げます。
     初めに、平成二十四年度当初予算編成についてでございます。
     来年度の予算編成につきましては、リーマンショックからまだ十分に立ち上がれない中で三・一一の大震災が起こりまして、さらに円高不況というものが追い打ちをかけてまいりましたので、大変厳しい状況にございます。そうした中、財源不足も多額な額が目下予想されているところでございます。
     こうしたところから、行財政改革大綱に掲げております補助金の徹底的な見直しをしたり、また内部管理経費の効率化等による歳出のスリム化もさらに徹底したいと存じます。そして県税の徴収体制の強化。これは滞納している方へきめ細かく回りまして、税を納める義務、またそれを権利として行使していかなければならないということで、歳入確保をさらに一段と積極的に進めまして、財源不足の解消と新しい財源捻出に取り組んでまいる所存でございます。一方、県民幸福度の最大化に向けて富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを早期に実現するための施策は重点的に進めてまいりたいと考えています。
     具体的には、現下の八万人を超す失業者がいる中での静岡県雇用創造アクションプランに基づく三万人の新しい雇用の創出、これは平成二十五年度までに実現するという取り組み。さらに浜岡原発の停止によりまして、三百六十万キロワットの電力をここしばらくは得られないというところから、新エネルギーの導入を促進してエネルギーのいわゆる分散自立型、地産地消を図るということ。さらに昨年の四月段階で三百七十七万六千人ありました静岡県の人口は今や三百七十六万どころか三百七十五万台の前半になっております。このままいきますと、恐ろしい勢いで人口が減少していくと。これは間違いなく、このふじのくに静岡県の活力をそぐものになりますので出生率の向上に向けた少子化対策というのはまことに重大な課題であるということで、その少子化対策に対しては充実強化を図ってまいりたいと考えています。
     加えて、来年初夏までに新東名高速道路が開通する予定になっています。沿線周辺は内陸フロンティアとして大きな可能性を秘めています。県民の暮らしを豊かにすることが期待されますことから、新東名高速道路を生かした魅力ある地域づくりに重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
     関連いたしまして、事業仕分けを発展的に事業仕立てにしていくというお考えは大変示唆的なもので新しい方向性を見出したような気もします。こうした予算編成はそれぞれの時期における限られた予算の中で重点的な施策を盛り込んでいくということでございますけれども、中長期的にはこれまでのように、中央政府の施策に追随するというスタンスから、あるいは中央政府の立ち上げられた計画を県におろしていくという、そういうスタンスから、私はふじのくにとして世界の中のこの地域のあり方をPRしていくといいますか、あり方の存在感を出していくという方向を強く自覚しながら予算編成に取り組んでいくということでございます。今川の時代までは京都がモデルだったと存じます。しかし二十世紀の末までは、明治以降東京がモデルになりました。しかしこれからは地域自立の時代で、ふじのくにというナショナルにしてローカルなアイデンティティー、こうしたものを自覚しながら、日本の中心の一つという、そういう自覚を持って予算編成にも当たりたいと考えております。
     次に、東日本大震災の被災地支援と教訓についてです。
     被災地への支援につきましては、岩手県遠野市の御協力によりまして遠野市の施設に現地支援調整本部を先遣部隊としましては三月十九日に、正式には三月二十六日に開設いたしまして、九月末まで遠野市の対策本部の一員となって三陸沿岸の山田、大槌両町を集中的に御支援申し上げてまいりました。この支援に当たりまして県内市町の積極的な御協力をいただき大変感謝しているところでございます。
     県と市町の若手の職員の方たちが中心に編成されました支援隊が一週間ごとに交代する。これは元気がいいときに、気力をなくしたり体力をなくしてまでの支援をしないということ、常に元気な人たちがいるという、そうしたことで一週間交代をしたわけでございますが、それを継続的にすることができ、本県からの災害ボランティアの方々との連携も図りながら文字どおり官民が力を合わせて避難所や物資配送拠点など現場に入りまして、被災住民と直接触れ合う活動がなされてまいりました。支援に参加した職員は、みずからの五感といいますか体で悲惨な現場を文字どおり体験し、さまざまな教訓や課題を体得したということです。この経験をこれからの地震対策に生かしていかねばなりません。想定東海地震が発生した場合の災害応急対策や復興活動に必ず役立つものと考えています。こうした県と市町が連携して同一の被災地に集中的に支援を行うという活動は、だれが言うともなく静岡方式というふうに呼ばれておりまして、全国からも注目される新しい支援方式としてマスメディアにも取り上げられました。遠野市や支援を行った山田、大槌両町からも高い御評価をいただきました。先般、十一月二十八日には遠野市の本田市長が本庁に来られまして、一時間半御講演をくださいました。また十二月一日には山田町の沼崎町長さんがお越しになりまして、生々しい映像とともに復旧に当たられている、その話を伺ったばかりでございます。こうしたことも合わせて我々の地域の防災力を上げる上で役に立つというように確信しております。
     今回の東日本大震災から得た教訓でございますけれども、何といっても全国知事会からの指示が発災後七日目というようにおくれたということがございまして、広域災害に全国知事会は今回は無力であったということが示されました。広域災害に対して広域対応をどうするかといったときに、我々の二年前の八・一一のときもそうでございましたけれども、いわゆる国の出先機関――今回の場合ですと地方整備局ですけれども――その活動は三、四十分で初動活動をしておりますので、そうしたものが大きな力になったことは明らかでございます。それが一つの教訓です。そうしたことから、今回我々は支援先をまず決めて、いわゆる静岡方式――特定の市町村を集中的に支援するという方式をとりましたけれども、こうした災害時の支援の枠組みについては、もう一度考え直すときに来ているのではないかというふうに思い、中央政府にもそれを照会しているところでございます。また本県独自の取り組みといたしまして、三連動地震の際に同時に被災することがないと考えられる遠隔地の県との協力体制をすることが有効です。同じような考えを持っていらっしゃる県がございまして、七月には熊本県と、そして去る十一月には鹿児島県と災害時には即相互に応援態勢に入るという協定を締結したところでございます。もちろん平時におけるさまざまな交流ということをするのは言うまでもありません。
     今後とも東日本大震災による未曾有の災害を我が事と受けとめて、引き続き職員の中長期派遣や遠野市への駐在などにより被災地の復興に向けた支援を継続することで、今回の震災から多くのことを学んでまいりたいと存じます。また市町や防災関係機関との連携を一層密なものとし、三連動地震も視野に入れながら、地震・津波対策を着実に推進してまいります。
     遠野市に行って大事なことは、遠野市が後方支援協力体制というものをみずからお考えになり、三陸沿岸の五つ、六つの市町と支援協定を結んでおられたわけでございますが、それのハードの設備として運動場というものを広域支援拠点にするということを決めておられて、それがほぼでき上がっていたということがございます。したがってそこに自衛隊が多くの物資を、また人材を、また車を持ってきて、そしてまずそこで寝泊まりをし、という継続的な支援体制ができたと。本県にはそういう広域的な拠点がなかったということがわかりました。あるいはもっと広く、中部地域にはないということが今わかっておりまして、そういう意味におきまして、私は本県も早急に中央防災会議などの御理解を賜りまして、東海地域、中部地域、なかんずく静岡県の広域的な防災拠点をなるべく早く整備するということの必要性を痛感しております。
     次に、内陸フロンティアについてであります。
     来年度初夏までに予定されている新東名高速道路の開通により、本県の内陸部は多自然――多くの自然のある地域と共生できる、そうした良好な環境に加えて幹線交通の結節点として、企業誘致や定住の促進などによって、新しい発展が期待される地域になると考えております。このため新東名高速道路のインターチェンジやサービスエリア等の周辺地域をふじのくにの内陸のフロンティアとしてとらえ、防災、環境、物流、観光、また新しいライフスタイルの提供など、さまざまな視点から新時代の魅力ある地域づくりが進められるものと期待しております。具体的には豊かな自然環境、交通ネットワークの利便性、安全な高台という地理的な条件を生かし、成長産業分野の立地や農業と物流産業との連携による六次産業化の促進などが図れますし、新産業や新しい雇用を創出することも期待できます。また新しいエネルギーの導入や家・庭一体の住まいづくりによる人々の定住、あるいは移住についても促進できる条件が整います。
     これらの施策の推進につきましては、現在進めております総合計画の進捗評価の中で新しい施策展開として位置づけていくとともに、来年度当初予算の戦略テーマとしても掲げているところでござまして魅力ある地域づくりに向けて全庁が一丸となって取り組んでまいるものでございます。
     なぜフロンティアと言うかといいますと、これまでの日本のフロンティアは明治以来、沿岸地域、後に臨海工業地帯となったところで、臨海工業地帯におきましては原料を輸入してそこで加工して輸出するということで、さらにフロンティアは海外に広がっていったわけです。一方、海外が円高不況、あるいは競争という中で、いわばフロンティアというよりも非常に大きな戦場といいますか、熾烈な競争の場になっている中、それとは逆の動き、すなわち内陸側、ここは過疎地とか中山間地帯で耕作放棄地がどんどんふえるということになっていた。そうしたところが新しいインフラを得ることになりまして、防災拠点、物流、もちろんその地域には豊かな自然環境が広がっており、それを活用した農産物や林産物がございますので、そうしたものを利用した産業ができるし、またそうしたところは比較的土地が安いということで、仮に企業が立地しますと、そこに人々が居住して来られると。その居住するときに、いわゆる臨海地域において土地が狭くて高いというのと違って、比較的広い土地が得られるので、家と庭が一体となるような、そういう新しいライフスタイルもとり得るということでございます。文字どおり、その意味におきましてフロンティアだというふうに申し上げております。
     さらに、このことは、三・一一以降、高台へ、あるいは内陸側に住むこと、あるいはそういうところに重要施設を持つことがより安全であるという認識が共通に持たれるようになりましたときに、私どもは、内陸に初めからそういうものを今持っているということになりまして、しかも東海地震が予想される中、あの東日本大震災の悲劇が本県においても起こり得たと、たまたま起こっていない、しかしそれを我が事と受けとめて、彼らが理想とするモデルを、最初に我々が先に御提示申し上げることができるという使命もあるという意味でございます。そうした意味で私はこれを内陸のフロンティアというふうに呼んでおります。
     次に、ふじのくにの戦略物流についてであります。
     本県では産業振興や生活を向上させる物流の機能に着目し効果的に施策を進めることで、物流とものづくり、ものづかいの連携による産業の発展や物流による魅力ある地域づくりと豊かな県民生活の実現を目指しています。このため現在策定を進めておりますふじのくに戦略物流ビジョンにおきましては、物流という視点から、地域、産業、交通、環境、こうした分野について、それぞれの現状と課題を整理し、それらを解決するための政策や施策を構築してまいります。地域経済の活性化や新しい産業の創出、交通ネットワークの有効活用、環境への貢献を図るというのが目的です。具体的な取り組みといたしましては、新東名高速道路のインターチェンジ周辺におきまして、広域物流を担う企業や成長産業分野の企業などの集積を図ります。物流とものづくり、ものづかいとが結合した新しい産業の創出や地域の雇用を拡大するなど、活力ある地域づくりを進めることとしております。
     また、農林水産物や食品を取り扱う物流施設の立地も可能でございまして、それを促進し地域の一次産業や食品産業に流通加工など新しい付加価値を加える先進的な物流機能の積極的な導入を図ってまいります。いわゆる六次産業化を促進するなど、本県の多彩で高品質な農林水産物を生かした新しいものづくりに取り組んでまりいます。
     こうした取り組みに加えまして、陸・海・空の交通ネットワークの一層の充実を図ることなどによりまして、本県の物流機能を高め地域の発展に取り組み、物流立国ふじのくにを形成してまいります。
     次に、雇用対策についてのうち、まず静岡県雇用創造アクションプランの策定状況についてです。
     プランの策定に当たりましては、県内各界各層の御意見や御協力をいただくために、静岡県雇用創造県民会議を設置し、十月下旬から十一月上旬にかけて県単位の本部会議と地域支援局単位の地域会議を開催いたしました。会議では依然として雇用情勢が厳しいという御意見がひとしく寄せられております。そうした中で新しい事業分野への投資や参入を支援するべし、三Kと称され職員が不足する福祉現場のイメージを変えるための取り組みをすべし、大手の大企業志望の学生と力がありながら知名度の低い地域の規模が比較的中規模、小規模のそういう地域企業とのミスマッチを解消する取り組みを行うべし、また小中学校からのキャリア教育が必要であることなど、さまざまな御意見が寄せられておりまして、いずれも具体的でございます。
     また、各種経済報告等では、「本県の景気は東日本大震災による部材調達難がほぼ解消する中で持ち直している」、あるいは「雇用環境は震災後に強まった厳しさがやや和らいでいる」などとされております。一方、現場の皆様の御意見を直接伺いますと、状況は依然として厳しいものがあり、アクションプランの策定を通じて新しい雇用の創造や雇用のミスマッチの解消などに全県を挙げて取り組む必要があるということを改めて認識したところでございます。来年一月にアクションプランは策定する予定でございます。
     本県は、地域ごとに特色ある産業構造を有しておりますので、各地域会議の御意見をしっかりと踏まえまして、地域の実情に応じたきめ細かな雇用対策をプランに盛り込んでまいります。平成二十五年度までに三万人の雇用を創造する目標の実現に向けて、早期に実行に移してまいる所存です。
     議員の御紹介がございましたキャリアサポートセンターという浜北西高における取り組みは、同窓会、PTA、さらに後援会等が学校と一体となって取り組まれているということは大変参考になりまして、安倍教育長がそれをどのように生かしていくか、大変楽しみなところでございます。
     さて次に、県内企業の対世界戦略の支援についてであります。
     国内市場の縮小や歴史的な円高の中、県内産業が持続的に発展するためには、県内企業が成長するアジア地域の需要を取り込み、県内本社のさらなる発展につなげるなど、海外を視野に入れた戦略を構築していくほかに道はありません。
     こうした中で、県内企業の取り組みを支援するために、県におきましては海外ビジネスミッションを昨年度は中国、ベトナム、タイへ派遣いたしました。今年度は十月にインドネシアに、来年一月にはインドへ派遣することとしています。参加者の皆様方からは、現地政府機関や現地に進出している日系企業、地元企業等と人脈ができ、海外進出の実情を聞けた点で大変有益であったとの御評価をいただいておりまして、今後も企業のニーズを踏まえながら充実を図ってまいります。また今年度から海外で事業を開始するのに必要不可欠な現地の商習慣、言語、規制、労務管理などの実務を学ぶ講座も開設しました。県内企業の進出希望の多い中国、タイ、ベトナムの三コースに、現在、海外派遣要員約二百名が研修を受けているところでございます。一方、今年度はこれまでにタイと中国は浙江省から海外ミッションを受け入れまして、静岡と浜松で投資環境セミナーや新規取引を目的としたビジネスマッチングを行ったところでございます。
     さらに、東郷和彦対外関係補佐官がシンガポールを訪問した際には、県東南アジア駐在員のネットワークにより知日派の政府国際企業庁や同国の要人とも会談が実現しまして、その結果、今月静岡市内でシンガポール経済の専門家を講師とするセミナーを開催する運びとなりました。また先月には在大阪のベトナム総領事が静岡にお越しになりました。ベトナムの独立に袋井の浅羽佐喜太郎氏の御恩を忘れていないということで、静岡県はベトナムにとって特別な地域であると。また富士山もあるということで、ベトナム総領事は大変な強い熱意を示されたところでございます。二〇一三年に国交樹立四十周年の機会がめぐってまいりますので、ベトナムと静岡県が経済や観光の分野で全面的に協力していくということを確認し合いました。また総領事からは、県知事と県内企業をベトナムに招聘したいというお話がございましたので、事情が許せばベトナムを訪問させていただこうとも考えています。中国浙江省とも来年の友好提携三十周年を機に、浙江省で静岡県・浙江省二〇一二緑茶博覧会や産業観光展を開催し、これまで以上に経済面での連携を強化していくこととしております。
     ちなみに、中日本高速道路株式会社の会長でいらした矢野氏は、現在本県の地域整備センターの理事長ですけれども、元経団連の理事もされておりまして土光さんの右腕だったわけですが、そうした御縁があってモンゴルの日本における経団連に当たる団体から顧問に彼は任ぜられ、そうした人脈も、あるいは彼の人脈ではインドも視野に入ってきたということもあわせて申し上げておきたいと存じます。
     県といたしましては、こうした人脈を最大限に活用いたしまして、県内企業の海外戦略を支援いたし、県内産業の国際競争力を高めてまいりたい。そしてそれが新しい雇用の創造につながるように努力してまりいます。
     次に、富士山についてのうち、平成二十三年度富士山の日への取り組みについてです。
     第三回目となります富士山の日は、来年二月二十三日にめぐってまいりますが、グランシップにおきまして富士山の日記念式典や富士山世界文化遺産フォーラムなど、富士山にちなんだ行事を計画しています。また富士山の日の前後には年末年始と春の観光シーズンに挟まれた観光客の少ない閑散期に当たっているということもございまして、ホテルや旅館、観光施設等の観光事業者の行う魅力的な宿泊プランの造成や宿泊客に対する記念品の提供、店頭でのPRなどと連携して、この閑散期に富士山の日を中心とした誘客キャンペーンを展開することに御協力をいただけることになっております。さらに中国や韓国、台湾では春節の時期と重なるということがございまして、海外に向けましてもメディアやインターネットを活用して富士山を積極的にアピールし、国内外から誘客を促進してまいります。
     レストランウイークにつきましては、昨年十二月の定例会で阿部先生のほうから御提案をいただきました、今年二月の富士山の日に合わせて、春の食の都仕事人ウイークを開催したのでございますけれども、必ずしも高い評価に結びつかなかったのは残念ではございますが、早春の富士山をテーマにふじのくに食の都づくり仕事人の開いた店舗におきまして、しゅんの食材を使って創意工夫を凝らした料理を提供していただいたわけです。
     食の都仕事人ウイークは、これまで昨年の春、夏、秋、そしてこの冬と四回行い、毎回二百人の仕事人のうち六割強の百三十人前後の仕事人が御参加していただいております。夏のウイークでは、来店客数が伸びた店舗が約四割に上りました。こうしたように県民の皆様にも定着しつつあるかというように考えています。
     ふじのくに食の都づくりは、県が新しいビジョンを示して先導的に展開する事業です。事業が軌道に乗るまで県が進めていく必要があると考えております。来年二月の富士山の日に合わせて実施する春の食の都仕事人ウイークにつきましては、企画提案方式で民間のすぐれた広報企画案を募集し効果的な情報を発信することで、県内外のより多くの方々に御参加していただけるようにしてまいりたいと存じます。
     このニューヨーク・レストラン・ウイークというのは一九九二年からですから足かけ二十年。当地の二百ほどのいわゆる一流レストランが、大体二十五ドルとか三十五ドルで食事を差し上げると。だから大体二千円から四千円弱の値段の幅で最高級のレストランの食事がいただけるという、これで始まりまして、日本でも二〇〇七年あたりからでしょうか、品川から始まっております。私は、これをまねるのも非常にいいと存じますけれども、やはりそれを日本流に解釈することが大事で、春夏秋冬それぞれしゅんのものがございますので、そこをねらって、春の、あるいは秋の、冬のと、こういうふうにやってきたわけでございます。
     それからもう一つ、ニューヨークのようによく知られているところではレストランについて、もうほとんど皆様方、内外の方御存じです。残念ながら本県におきましては食材の数ですら、ようやく皆様方に日本一であるという知識が定着したと。そしてまたそれを活用している、いわゆるレストラン、あるいはお菓子づくりの店があると。それが本県には、旅館・ホテル、飲食業で事業所が二万数千あります。ホテルは四千余りですから、ホテル・旅館の数も日本一ですけれども、残りが飲食店ということになりますね。そうすると、やっぱり二万ぐらいあるわけです。しかしそのことについて、県の方々同士、あるいは県の外の方々、ましてや国際的に知られているわけではありませんで、そういう本県の食材を活用して、名人芸で、一部の人に知られているというところをピックアップするために、まず昨年秋に二百選んだわけです。そして今年、つい先ごろさらに六十三人追加しまして二百六十三名です。そして昨年秋から今年の秋にかけて、特にこうした形で春夏秋冬の食の都づくりに御貢献いただいた方々を十三名選びまして、仕事人オブ・ザ・イヤーとして表彰しました。表彰式は落合先生も来てくださったそうですけれども、そこでは大変な熱気に包まれまして、選ばれた方、例えば仕事人オブ・ザ・イヤーに選ばれた方は、ぼろぼろ涙を流されている方もいました。すなわちようやく認められたというようなことがあったんです。私はそこで、こういう競争が、すなわちあるホテルのシェフが選ばれていると、じゃ別のホテルでも競争関係にある以上、シェフとして仕事人に選ばれるように努力するというようなことが今起こっておりまして、こうしたことはさらに加速させてもいいというふうに思います。そのためにある程度油を注がないといけないという、そういうこととして食の都づくりについて、これが民間にゆだねられるべきことは私も重々承知しておりますけれども、そのイニシアチブはこちらがとったということで、この間も事業仕分けにおける御評価は十分にわかりつつも、これを広めるということにつきまして反対している人はいないというふうに確信しています。
     それから富士山の日につきましても、これを一部見直しというふうに言われましたが、これも本来、県民の方々全体でことほいでくださるべき日でございます。余り上からといいますか、県のほうからイニシアチブをとる、あるいはお金を使うということは好ましくありません。しかし今までなかったことをやるということでございますので、どうしてもそれをイベントとして成功させねばならないということがございました。
     その結果どうなったのかと。一つには、今、山梨県の議会が開かれています。この十一月三十日に横内知事は富士山の日を条例として制定するという議案を出されております。恐らくこれは可決されると存じます。一昨年、皆様方にこの点を御提案申し上げましたところ、山梨県と一緒にやれというふうに強く言われました。結果的には、まず本県からやりましょうということでやったところ、一年余り後に山梨県の方々も歩調を合わせてくださったという、これもやっぱり富士山の日を決めたことの効果の一つだと思います。それから富士山百人一首というのがありました。これは当初二千部編んだんですけれどもすぐに出まして一万部刷りました。それもすぐに出ました。さらに一万部刷りました。それも出ました。今四万二千部刷っております。それから富士山百人一句というのを今編んでおりますが、来年二月二十三日にはでき上がると存じます。これを聞きつけられた山梨県のほうでは、富士山俳句を編みたいと、そしてこちらが選んだ選者の一人を貸してほしいという御依頼までございました。
     このように、私はこうしたことはいろんな波及効果があります。ですから二月二十三日、富士山の日というものが持っている意味につきまして、ただに学校を休校化するかどうかということに議論を集中して、そこの点だけで論じるということのないことが望ましいと。もう既にそれなりの広がりを見せておりますし、来年の二月二十三日は、山梨県の側は制定してすぐですから、すぐに大きなイベントというわけにはいかないでしょうけれども、再来年の二月二十三日、すなわち富士山が予定どおり世界文化遺産になる年の二月二十三日は、当然山梨県と御一緒に、この富士山の日をいろいろなイベントを通して県民の方々の御参加が得られやすいような、いや両県以外の皆様方、国民運動として活動していただけるような、そのような環境も整備してまいりたいというふうに考えております。いずれは県が手を引いても、それぞれ市町やあるいはボランティアやいろんな方々の御自由な発想によって、二月二十三日が富士山の日としてことほがれるということになるというように思っております。
     なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 事業仕分けの手法の進化についてお答えいたします。
     まず、今年度の成果につきましては、県民評価者百十二人を初め専門委員、傍聴者合わせて三百五十八人の参加を得たほか、インターネットライブ中継の視聴件数も五千件を超えるなど、多くの県民に参加していただきました。特に県民評価者からは仕分け事業に対して判定のみならず八百件を超える御意見、御提案をいただいたほか、事後アンケートでは、「議論がわかりやすかった」、「県との信頼関係が増した」といった御意見が多くを占めるなど高い評価をいただいたところであります。
     こうしたことから、多くの県民の皆様に県の事業について一緒になって考える貴重な機会を提供することができ、県民参加型の事業仕分けとして、これまで以上に県民と県との信頼感や県民の行政参加意識の向上につながったものと考えております。
     来年度の事業仕分けにつきましては、議員御提案の事業の手法や改善方向を県民が提案できるような機会となるよう今年度の手法を活用しつつも、さらに工夫を加えた手法について検討してまいります。あわせて事業仕分けの今後のあり方につきましても、成果や課題を検証しつつ幅広い視点で検討してまいります。
     また、議員から御提案がありました規制、制度などの見直しにつきましては、これまでも国の規制に対する構造改革特区の認定制度の活用や、ひとり一改革を初めとした行財政改革の取り組みなどを通じて進めてきたところでありますが、今後とも県民生活の向上及び経済の発展を目指し一層の推進に努めてまいります。
     次に、少子化対策についてのうち、職場の意識改革についてであります。
     まず、男性職員の育児休業取得のほぼ義務化との御提案をいただきましたが、本県男性職員の育児休業の取得促進に当たっては、まずは男性職員が率先して育児に積極的に参加できる職場環境づくりや職員の意識改革が大変重要であると考えております。このためリーフレットの配布や育児休業体験談の紹介など、職員の意識醸成に取り組んでまいりましたが、より直接的に職員に働きかける取り組みとして、例えば若手の既婚男性職員を対象に育児に関する休暇休業制度の説明や、育児休業を取得した職員との意見交換を行う研修会の開催などを検討してまいります。また短期間であっても育児休業経験のある男性職員を一人でも多くふやすために、一カ月以下の育児休業を取得した場合に期末手当を減額しない措置を本年度から講じてまいります。
     二つ目の御提案である幼児を抱える職員の人事異動に当たっては、従来から職員が作成する勤務意向調書や本人との直接のヒアリングに基づき、家族状況や保育園の利用状況など家庭の事情を十分考慮した配置とするなど、職員の負担ができる限り軽減されるよう配慮しているところであり、今後も可能な限り努力してまいります。
     また、職場復帰支援につきましては、これまでも仕事と育児の両立のために活用できる短時間勤務制度の導入や、子供の看護のための休暇の拡充など制度の充実を図ってまいりました。加えて職員の不安感の軽減を図るため、本年度試行的に実施した育児休業中の職員を対象とした職場復帰支援研修を来年度以降も行うなど、支援策を強化してまいります。
     三つ目の御提案である夫婦である職員同士のワークシェアリングにつきましては、同じ職種であることなどの条件面やそれぞれの職員の業務への適性、職務の公平性の確保、県民の理解などの課題もありますので、人事管理上の支障を生じさせずにどのような職場に配置が可能であるか、今後検討してまいります。
     四つ目の御提案である代替職員の確保策の充実につきましては、本年四月から非常勤職員でも育児休業を取得できるようにするなど制度の充実に努めておりますが、一部の専門性の高い業務については代替職員の確保が困難な場合もあることから、こうした専門職種の人材を登録する制度など新たな代替職員の確保策についても研究してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 雇用対策についてのうち、雇用のマッチング支援についてお答えいたします。
     まず、十一月二十九日に開催いたしました雇用のミスマッチ解消協議会でありますが、行政、産業、労働、教育機関が一堂に会し、学生と地域企業のニーズを掘り起こすため学生へのアンケートや各種施策での協力体制を協議したところであります。
     さて、議員御指摘のとおり、高校生を取り巻く就職環境は依然として厳しい状況が続いておりますが、県教育委員会といたしましては、これまで静岡労働局や県雇用推進課と連携し、就職面接会や職業意識啓発講座等を実施するなど高校生への就職支援に努めてまいりました。またリーマンショック後は急激な雇用情勢の悪化により、このような就職支援に加え、生徒一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を一層充実する必要が生じました。そのため生徒の個別のニーズを踏まえた求人開拓等を行う就職支援コーディネーターを今年度は県立高等学校十五校に配置するとともに、各学校がキャリアカウンセラー等を招請して面接相談や個別就職相談などが実施できるよう支援してきたところであります。さらに今年度は生徒に就職指導を初めキャリア教育のできる教員免許を有したジョブ・サポート・ティーチャーを常勤講師として県内に四人配置し、特に就職状況が厳しい学校十二校の支援を強化しているところであります。
     今後は、議員から御紹介のありました浜北西高等学校での実践事例を就職支援コーディネーターなどの活動に生かし、よりきめ細かな就職指導に努めてまいります。
     次に、ふじのくに人づくりについてのうち、初めに教育委員会の改革に臨む姿勢についてであります。
     教育行政を推進していくためには学校の生の情報を得ることが何より大切であり、県教育委員会では市町教育委員会と連絡協議会や研修会を開催して学校に関する情報交換、情報収集を行ったり、また重大な事件事故が発生したときには、直ちに指導主事を派遣して指導助言に当たるなど市町教育委員会との連携に努めているところであります。
     政令市とのかかわり方につきましては、例えば昨年度末には七十五件の人事交流を行ったところであり、これは組織の活性化や個々の教員の資質向上のためにも有効であると考えております。今後も連携協力して研修を実施するなど、政令市とのかかわりを深めてまいりたいと考えております。
     学校現場との距離感につきましては、学校の実態を踏まえた適時適切な教育行政の展開には、教育委員会事務局と学校との人事異動が必要でありますので、今後も積極的に推進してまいります。
     また、学校における教員確保につきましては、加配教員の効果的な配置に努めるとともに定数改善について国に働きかけてまいります。
     次に、三十五人学級のゆがみについてであります。
     静岡式三十五人学級編制は、子供たちの集団としての学習活動や行事等への取り組みがより効果的に行われるよう学級編制の下限を二十五人としているため、一学年に在籍する児童生徒数が七十五人以上の学校は対象となり、議員御指摘のとおり、比較的小規模の学校は該当とはなりません。今年度、国の法改正により小学校一年生で三十五人学級編制が実施されました。この学級編制の基準には下限は設けられておりませんので、静岡式三十五人学級編制の下限につきましては今後の国の動向、国及び静岡式三十五人学級編制の成果と課題を比較し検討してまいります。また静岡式学級編制が適用されない僻地校や小規模校におきましては、教育の機会均等の理念を踏まえ教科の高い専門性やすぐれた指導技術を持つ非常勤講師を配置するなど、学習の充実を図っているところであります。さらに、僻地校や小規模校が創意工夫を凝らし、特色ある学校づくりが進められるよう近隣にある小学校と中学校の教員による授業交流や、松崎、川根、佐久間の各地区で行われております高校と中学校の教員による授業交流を引き続き実施し、教育環境の改善充実に努めてまいります。
     次に、高等学校における教員の適正配置と郡部での教育のあり方についてであります。
     すべての公立高等学校において公平で安定した教育を提供することは、まさに公立高等学校の使命であると認識しております。教員の適正配置につきましては、これまでも人事異動方針に基づき広範かつ広域的な人事異動を行うとともに、希望表明制度により遠隔地の高等学校に中堅教員等を配置することに努めており、また新規採用教員の二校目、三校目に伊豆地区や山間部の高等学校への配置を進めてまいりました。今後も教科の専門性や年齢構成のバランス等に配慮し、教員の適正な配置について、より積極的な人事異動を行ってまいります。
     また、郡部での教育のあり方につきましては、都市部、郡部を問わず、各高等学校では地域の特性を生かし、特色ある教育を進めているところであります。その実施に当たっては施設面や予算面などにおいて、学校運営上の課題もありますので、今後もその課題解決に努め県民のひとしく教育を受ける機会を保障しながら、魅力ある高校教育の実現を進めてまいります。
     また、義務教育につきましては各市町教育委員会のそれぞれの実情に基づいた要望等をお聞きしながら充実に努めてまいります。
     次に、コミュニティスクールの導入についてであります。
     全国的に年々増加しておりますコミュニティスクールは、保護者や地域住民が学校運営に参画するなど、地域とともにある学校づくりを進めるものであり、子供の豊かな育ちを確保するとともに、地域のきずなを強める役割を果たすなどの効果が期待されております。
     本県におきましても、平成十七年度から文部科学省の委託を受け複数の小学校を指定してコミュニティスクールの調査研究を行ったところであります。この結果、学校と保護者を含めた地域の人々とのコミュニケーションが活発になり、地域との協働による学習活動や学校行事などを推し進めることができ、教育の充実につながったなどの成果が報告されており、コミュニティスクールの導入は学校教育を充実していくために有効である考えております。
     県教育委員会では、先月十一月に市町教育委員会委員長・教育長会において再度コミュニティスクールの制度について説明し理解を深めていただいたところであります。今後もコミュニティスクールの導入に向けて市町教育委員会との一層の連携を図ってまいります。
     次に、オーバードクター等の学校教育への活用についてであります。
     未来を担う人材を育成していくためには、最新の知識や専門的な技能を取り入れ広い視野から学習することが大切であると考えております。そこで知事から御提案いただいたオーバードクター等から、すなわち博士号を既に取得している方や同程度の学識を初め実力を持っている方から直接指導を受けることができれば、児童生徒にとっては新たな感覚で授業に取り組むことができ、また雇用対策にもつながるのもと考えております。具体的には主に県内にあります大学の在籍者や県内出身者でオーバードクター等の方々を学校の講師として任用し、理数教育や防災教育、小学校での外国語教育や中学校体育での武道などの充実のため、高い専門性を学校教育に活用したいと考えております。オーバードクター等の活用により、児童生徒の学習への興味、関心や意欲を喚起するとともに、教員に対しましても教科等の専門性や指導力を一層高めることができるものと考えております。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 建設業審議会の答申への対応についてお答えいたします。
     建設産業は、社会基盤を整備し自然災害や想定される東海地震から地域を守る重要な役割を担うとともに、県内総生産におきましても一兆円近くを占め多くの就業機会を提供する地域の主要産業でもあります。しかしながら近年の建設投資の大幅な減少を背景に、建設産業は大変厳しい経営環境にあります。このため建設産業の活性化が急務であり、先般、県建設業審議会から建設産業ビジョンとして答申をいただいたところであります。ビジョンに盛り込まれました方策につきましてはできるものは直ちに実施するとともに、来年度以降の施策に積極的に反映してまいります。
     一つ目の質問でございますが、建設企業が地域社会で担っている役割を今後も円滑に果たしていくためには、技術と経営にすぐれたビジネス経営体として育成していくことが重要であります。このため、来年度に向けた取り組みといたしまして、まずは中核となります総合工事業の経営基盤の強化に向けた取り組みを検討していることであります。あわせて小規模でも高い技術を持つ専門工事業の育成にも努めてまいります。
     次に、二つ目の質問でございますが、総合評価方式による入札におきまして新規雇用を行う企業を評価する取り組みを十一月から既に始めたほか、災害復旧や地道な道路補修など地域の維持にとって必要不可欠な業務に取り組む企業の評価につきまして検討を進めているところであります。
     次に、三つ目の質問でございますが、市町における入札契約制度につきましては、県内市町等で組織します県公共工事契約業務連絡協議会において意見交換を行い、制度の適切な運用に向けて指導を行うこととしております。
     四つ目の質問でございますが、新技術の活用につきまして、民間が開発したすぐれた技術の登録制度の一層の活用を図るとともに、建設企業の海外展開の支援の一環として、まずは技術者の向上の支援について検討しているところでございます。
     県といたしましては、建設産業ビジョンを着実に実施するため、建設業審議会において取り組み状況の定期的なフォローアップを行うなど建設産業団体や建設企業と一体となって、地域を支える力強い建設産業の実現に邁進してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 少子化対策についてのうち、企業内保育所設置促進についてお答えいたします。
     少子化対策には、子育てに対する企業の理解や職場の意識改革が不可欠でありますことから、県といたしましても、働きやすい就業環境を実現するための事業主行動計画の策定支援を行いますとともに、仕事と子育ての両立支援制度の周知やワーク・ライフ・バランスの啓発に努めているところでございます。
     御提案の企業内保育所につきましては、厚生労働省におきましては定員や面積など一定の要件を満たす場合に設置運営費を助成しており、静岡労働局における昨年度の実績は設置費が一件、運営費が六件でありました。企業内保育所の設置は子育てしながら働くことができる環境づくりに資するものでありますことから、県といたしましては一層の周知啓発を行い、まずは国の助成制度がより活用されるよう努めてまいります。
     また、県単独補助制度の創設につきましては、企業内保育所は企業の勤務時間に合わせ、利用者のニーズに応じ、一般の認可保育所では対応ができない深夜や休日などにも保育を行えることが特徴でありますが、利用者の確保、設置・運営費の負担、設置場所の選定、確保などの課題も多いと聞いておりますので、今後、他県の状況も調査するなど関係部局間で連携して研究をしてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 富士山についてのうち、Mt.FUJIトレイルの整備提案についてお答えいたします。
     近年の健康ブームの高まりや、自然を楽しむグループ旅行が増加している中、県内各地におきましてトレイルの整備が進められております。特に富士山周辺には富士山を眺めながらトレッキングが楽しめる東海自然歩道や富士箱根トレイルのほか、富士宮市の毛無山や天子ヶ岳周辺のウオーキングコース、裾野市の愛鷹山、御殿場市の箱根山ハイキングコースなどが整備されており、以前から人気が高いコースとなっております。近年では四季折々の富士山やその周辺の風景や町並みを眺めるとともに、富士山本宮浅間大社や白糸の滝を訪ねるなどの富士山を一年かけて一周するウオーキングが実施されております。さらにはトレイルランニングは海外からも多数の参加者が見込まれる大変魅力のある競技として人気が高く、来年五月には富士山の周囲を駆けめぐるウルトラトレイル・マウントフジの開催も予定されているところであります。
     こういった中、議員御提案の富士山本宮浅間大社を起点とする世界遺産構成資産などをめぐるロングトレイルの整備につきましては、富士山の世界文化遺産登録を契機に来客の大幅な増加が見込まれることから、トレッキング愛好家が安全に通行できるよう歩道の整備も含めて、国内外の方々に富士山の魅力を十分堪能していただけるようなコース設定をしてまいります。また、その際必要となるトイレや駐車場等の便益施設、あるいは案内板についても市町と連携しながら整備してまいります。
     さらに、宿泊施設につきましても、静岡県ならではの特性を生かした農林漁家民宿の活用も含め、地元の食材を楽しめる宿泊体験型旅行商品や公共交通機関と協力したツアーの造成促進に努めるなど、富士山を周遊するロングトレイルの環境整備につきまして、周辺市町や関係団体と連携し、積極的に推進することにより、「訪れてよし」のふじのくにづくりを進めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 阿部県議から御質問いただきました、これまでに培った危機管理のノウハウを本県の治安維持にどのように生かしていくのかという御質問でありますが、本県の危機管理上の課題としましては、震災と原発の二つが考えられます。特にこの中の原発につきましては、津波対策だけでなく、日々変化する現下の厳しい国際テロ情勢にかんがみる必要があります。私自身の長期のアルカイダ等国際テロ等の分析から言えますことは、テロへの対応は後手失敗、先手のみ勝負になり得るということであります。これを念頭に関連情報の早期収集に努め、また原発の多い県であります福井県の本部長での経験も生かしまして、警備対策を踏まえた警戒警備の強化などによってテロの未然防止に万全を期したいと考えております。
     次に、増加する警察事象への対応についてお答えいたします。
     県警察では、厳しい治安情勢に的確に対処し、安全・安心な県民生活を確保するため、第一線現場での執行体制の強化に軸足を置いた組織体制の整備を行ってまいります。また県民の期待と要望が高く、喫緊に対処することが必要な子供や女性の被害防止、サイバー犯罪対策等の業務に対し、重点を指向して人員を投入するなど、変化する社会情勢に的確に対処し得る体制を構築してまいります。なお、県警察は恒常的に国に対して増員要求を行い、平成十三年以降、合計で九百七十九人の増員が認められております。警察の執行力を強化するため、今後も国に対して警察官の増員を要求してまいりたいと考えております。
     次に、装備資機材の整備について、どのように考えているかについてお答えいたします。
     警察におきましては、社会情勢の変化に伴い複雑多様化する警察事象に対処するため、必要に応じて整備を進めているところであります。現在、災害装備資機材を初めとする各種資機材を約一千品目、九万点保有しております。これらの装備資機材につきましては、本部や各警察署に配備し、これらのところ災害や各種事件事故の警察活動に対し有効に活用できており、不足する場合は他の警察署や本部から必要な資機材を迅速に搬送するなど、組織全体での運用を図っているところであります。
     今回の東日本大震災の教訓を生かし震災状況を早期に把握するための装備資機材を整備するほか、今後も引き続き治安情勢の変化に応じて整備、充実に努めてまいる考えであります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 三十一番 阿部卓也君。
           (三十一番 阿部卓也君登壇)
    ○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。それでは再質問させていただきます。
     まず、少子化対策についてでありますが、これは知事の残り二年間の重点項目です。ぜひ知事の、力を入れるというのであればどこに思いがあるのか、お伺いをいたしたいと思います。
     それから保育所に関してですが、吉林部長、関係部局と調整するということですが、やらない理由を見つけることをするのではなくて、前向きに検討するようにもう一度決意をお伺います。
     それから、建設業審議会の答申についてですが、これはかなり踏み込んだお答えだった思うんですが、これ結局は県として市町を指導的な立場で臨むこと、それからそれを防災を念頭に考えときに、公共事業をふやすことも念頭に置いて考えなきゃいけないと思うんですが、これに関しての知事の決意のほどをお伺いしたいと思います。
     教育改革について、オーバードクターについて知事のお考えをお聞きしたいと思います。地方主権への道としてこれを開くのかどうなのか、ぜひお伺いをしたいと思います。
     それから教育長。みずからの言葉で先ほど校長先生に熱意を語れとおっしゃっておりましたが、教育長のみずからの言葉で熱意と決意をもう一度いただきたいと思います。
     それから高校の適正配置。東部地域対策としての遠距離勤務を含めての適正化を図ると理解してよいのかどうなのか、それから遠隔地校の配慮は遠征費の補助等を具体的にするのかどうなのか、それからコミュニティスクールは導入するという理解でよろしいのかお聞きをします。
     Mt.FUJIトレイルについてですが、珍しくほぼ満額回答でありましたが、これについて知事の所見をお伺いしたいと思います。
     それから警察について、警察官の増員ですが、埼玉県は上田知事以下一丸となって働きかけをして、七年連続で増員をしています。これは知事、警察本部長、一致協力してぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、所見を伺います。
     それから防災面。警察の装備資機材ですが、これについて経営管理部長、これは二十四年度予算の特別枠の範疇で防災面の強化ということに入ると思うんですが、この重要度と取り組みを部長に伺います。
     内陸フロンティアについてですが、先ほど知事、新東名周辺だけ言及されましたが、現東名との間、それから高規格道路の三本について、内陸フロンティアをどういう位置づけで考えられるのか、お考えをお聞きします。
     食の都づくりについてですが、先ほど知事の熱意はわかりましたが、敷居を低くすること、庶民感覚が大切だということを申し上げたいと思っています。これについて調整をされる吉林部長、県民目線で組み立てることをどう考えているのか、所見をお伺いします。
     それから、最後に雇用対策について伺いますが、これは、あくまでスピード感と現場のニーズに即応できる体制づくり、情報をより多くとれるかどうか、スムーズにとれるかどうかです。部局の弊害でスピードを損なわないように、厳しさ予想以上と。全県を挙げて取り組むということでありましたので、知事のもう一度、雇用対策に対する、そのあたりの弊害が出ないかどうかの取り組みの対応をお聞きして、再質問を終わらせていただきます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) たくさん再質問いただきましてありがとうございました。
     まず第一に、少子化対策に対する私の思いということですけれども、子育てが私的なものか、社会的に支えるものなのかと。両方ですね。基本的に私的なものです、しかしながら子供を育てる環境というのは、これは社会環境によって大きく影響されますから、そこに社会的な支えを明確な方針のもとに入れていくということが大事だと思っています。
     私の大学教員としてのキャリアの中で、まだ社会に出る前の青年たちが大体二 、三人は、もしよきパートナーに恵まれた場合には子供を持ちたいということでございます。こういうのがベースになります。これは私的なものですね。一方、実際日本の合計特殊出生率は一・三です。これが統計上は減っていくというふうに言われてきたのですけれども、しかし少子化は日本の活力をそぐと。高齢社会が到来して、支える若い人がいなくなる、危機だというような中で、明らかに人々の中に意識変化が起こりまして、今一・三幾らだったのが、少し上向いています。本県の合計特殊出生率の平均も一・四三あたりだったのが一・四八ぐらいになっております。ですから、やはりこの背景には人間の意識があるし、その背景にはまた社会の意思というものもあるというふうに存じます。中国が一人っ子政策をとった。あるいは戦時期において日本人は生めよふやせよという政策をとりました。あるいは一九七〇年代には、ふえ過ぎた人口を減らすために、二人でとどめてくれということを政府は国民に投げかけました。それが今行き過ぎているということも御案内のとおりです。ですから私としましては、二・〇七になるまで、合計特殊出生率がそこまで回復しない限りは人口減少に歯どめがかからないということが危機感としてありますので、これは子育ては社会総がかり、地域総ぐるみだということで、特に子育てを経験したお母様方などの御関心を高めて、その人たちが自分の子供でなくても地域の小さな子供たちの子育てへの経験であるとか、あるいはお手伝いというものを伝えられるように、また協力をいただけるようなそういう仕組みづくりをこれは健康福祉部を挙げて何度も強調して、その気持ちを伝えて対策をとっていただいているということでございます。
     それから建設業審議会、公共事業をふやすためかと。そうではありません。今回の三・一一におきまして、建設業の持っている社会的意義というのは恐らくほとんどの方に認識されたと存じます。ですから入札につきましても総合的評価をとる、あるいは場合によっては災害に係る契約を結んでおくなど、それぞれの地域にきちんと能力のある建設業者がいるということは地元にとって安心になるという、これが根本になります。それからこれは、新東名ができますと、当然いろいろな周りに事業が起こってまいりますので結果的に建設業が元気になるということはあると思います。これは現在公共事業はどんどん減っておりますので、それを後押しするという結果になるかもしれませんが、別にそれは公共事業をふやそうということによってのものでないということは改めて強調しておきたいと存じます。
     第三番目のオーバードクターに関するものでありますが、背景にある考え方は今回教員の給与が、いわゆる知事部局と同様に下げられました。私は当初それに対して反対したわけです。しかし、人事委員会勧告を尊重すべきであると判断し、こちらで御提案申し上げて、こちらの委員会では全員一致で御賛同をいただいたということでございました。その事情は知事部局と同じように教育委員会のほうもそれに倣ってやるという慣習があるということでございましたので、同じように教員の給料を下げるという、それが合計すると三億、四億ぐらいになると。私は、この三億、四億を下げてはならないと当初は考えておりました。しかし給与が下がるということであれば、これを人材に使うと。じゃ、どう人材に使うべきかといいますと、現在原発事故で日本中が非常に心配になっている。この原発事故に対して正確な知識を持つ、あるいは場合によってはそれを克服できるだけの力を備えるためには、やはり理科系の先生方とか、あるいは理科系に関心を持つ少年少女たちがふえることが望ましいと思いまして、そうしたことからオーバードクター、それからドクターに匹敵するような学力のある、あるいは実力のある方を入れたらどうだということで、減額したものを全部充ててほしいということを強く教育長に申し上げたことでございます。
     そして、さらに言えば現在、いわゆるモンスターペアレンツなどと称して、学校の先生に対して非常にきついことを言う保護者がいらっしゃいます。それはやはり保護者の学力が非常に高いということもあります。大体大学ぐらい出ているという人たちが多い。そうなると学校の先生が年が若いと必ずしも尊敬するというふうにはなかなかなりにくいということがある。しかし修士号とか博士号というのはなかなか取れるものではありません。いろんな条件がかなわないとそれはできないので、学校の中にそういう高い学力を持っている方がいるというのは学校の格を上げることにもなるだろうと。そして現在大事なのは雇用の創出であります。そうしたいろいろなプラスの要因があるので、この給与で減額された分は人材のために使うということで提案いたしましたのが、オーバードクターの採用というものでございました。
     Mt.FUJIトレイルに関しましては、これはやはり浅間大社が出発点になり、またゴールになるのが筋ではないかという阿部議員の御提案は非常にいいと思いました。ぜひ関係の議員の先生方には一肌脱いでいただきたいというふうに存じます。
     それから、まだありましたか。(発言するものあり)内陸フロンティアですか。内陸フロンティアというのは、これは横の東西軸ですね。しかしこれが縦に結ばれなければ意味がありません。大きくは三遠南信の自動車道、それから中部横断自動車道、もちろん東名と新東名とは清水のところで結ばれていますけれども、実際はこの縦軸で結ばれなければいけない。直接新東名と関係はありませんけれども、伊豆縦貫自動車道もそういうものです。このように横の軸ができる。しかし一方で、その縦軸で回らなければ、これがネットワークになりにくいですね。ですから内陸フロンティアというものが真に活用されるためには、私はまだ十分なインフラ、道路的ネットワークが十分でないというふうにも思っております。行きやすく、また帰りやすいという、そうした道路的なネットワークというものもあわせて考えるべき時期に来ていると。いや、それはしっかりと踏まえて内陸フロンティアを開発しなきゃいけないというふうに考えております。以上いくつかの点について御答弁申し上げました……(発言する者あり)
     もう一つあったようです。雇用対策について、いわゆる縦割りにならないように。当然です。これは全庁を挙げて、何度もこれは、最大の今の、短期的には目標数値を三万人と挙げておりますから、福祉の面でも産業の面でも農業の面でも、その他万般におきまして仕事をつくっていくということが大事であるということの共有を各部局でしていただきまして、そしてそれぞれの部局で数字を挙げていただき、そしてそれを評価しながら三万人の雇用の創出につなげてまいりたいということで、これは縦割りにならないように心して努めます。以上、御答弁申し上げました。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 初めに、企業内保育所設置の関係をお答えします。
     企業内保育所につきましては、企業の勤務時間に合わせまして利用者のニーズに応じた形で対応ができるということで、これにつきましてはそれを進めることが必要であるというふうには認識しております。
     私どもといたしましては、健康福祉部の保育所とセットで今企業内保育所がどのような形になっているかというのを、まだ十分に部としても把握をしてございませんので、まずは県内の企業内保育所が四十施設ほどございますので、その状況の把握、あるいはそこでの問題点、それから御意見等をいただきながら、健康福祉部とも連携しながら、まずは現場へ出て、いろんな話を聞いた上でどんな課題があるかということを整理して検討を進めてまいりたいというふうに考えております。あわせまして、他県の状況――他県につきましても先行事例がございますので、そこにどんな課題があるかということにつきましても、他県に出かけまして話を聞いた上で、制度の構築に向けて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
     二つ目の食の都づくりにつきましての県民目線でございますけれども、事業仕分けの結果につきましても、県民の認知度が低いという御指摘をいただきましたので、これにつきましては、やはり効果的な広報をしていかなければいけないというところが必要だと考えております。そうしたことから、一つは、まずは県民が行ってみたくなるようなサブタイトルを食のウイーク等についてはつけてみたいというふうに考えております。それから認知度を上げる内容につきましては、広報業務を企画提案方式で募集してみるという、こういった方法も取り組みまして、できるだけ多くの県民の方々が、こうした食の都の取り組みを認知していただきまして、かつ各家庭まで将来的には食育が広がっていくような一つの方策になればということで、できるだけ努力をしてまいりたいと考えておりますので、御理解をよろしくお願いいたします。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) みずからの言葉で答弁をというお話がありましたので、二点御質問があったかなというふうに思います。
     一点は、コミュニティスクールの導入についてどう考えるかということですけれども、私はコミュニティスクール導入先ありきではなく、やはりコミュニティスクールの持っている理念、そういうものが今のこういうコミュニティスクールの制度を導入しなくても、できる学校もあるのかなというふうに考えております。そのことが全国的に爆発的に導入されない一つの大きな理由かなというふうに思っておりますので。ただ一方では本県におきましてもコミュニティスクールの導入を具体的に検討している市町の教育委員会もございますので、そういうところにつきましては積極的に情報を提供してまいりたいというふうに思っております。
     二つ目の遠隔地における教育でございますけれども、この遠隔地における教育の御質問の背景には御質問の中にもございましたけれども、均等な教育機会というのをどうやって与えていったらいいのかという非常に大きな課題があろうかなというふうに思っております。
     私が思いますのは確かに遠隔地にある学校につきましては、都市部の学校に部活動等で出てくるということについては、それなりの交通費もかかるということで不便な部分もあるわけですけども、一方では考え方によれば、地域の大自然の中で自然体験学習を遠くに行かなくてもできるというメリットもあるわけですので、その辺のメリットとデメリットをどのように考えながら各学校の教育機会均等というものを学校規模も含めて考えていく必要があるのかなというふうに思っております。
     一方では、例えば教職員で申し上げますと、学校経営予算というのがございまして、その学校経営予算の積算の中ではやはり地域性を考えて教職員の旅費等も積み上げているわけですけれども、生徒の、先ほど申しました部活動の旅費というものについては、なかなかそういうものの積算根拠にはなっておりませんので、これからの一つの大きな研究課題かなというふうには思っておりますけども、現時点では、この機会均等というものを各学校の特色の中で考えていただくということで具体的な施策を御提示できなくてまことに申しわけないんですけれども、一つの研究課題というふうに預からせていただければと思います。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 御説明いたします。
     平成十三年から二十三年の間、十一年間の警察官の増員状況を見ますと、全国では二万六千八百九十人が増員されております。一一・九%の増加になります。御指摘の埼玉県警察は、この間二千六百五十八人という増員で三一%と大幅な増加になっております。当県ではこの間九百七十九人の増員でありまして、一九%ということで増員の割合は埼玉県警察よりも低いものの他の県よりは高いという割合になっております。
     また、本年四月一日現在におけます警察官一人当たりの負担人口を見ますと、埼玉県警察の六百三十九人に対して、当県警察は六百十九人と埼玉よりも人口負担は低いという状態になっております。したがいまして、負担人口はなお高いものではあるものの、埼玉県と比べては遜色のない増員が図られているものと思います。
     全国各県とも、警察官不足には悩んでおりますものの静岡県としましても全国の情勢の中におきまして、徐々に増員を図ってまいりたいと考えております。以上です。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 阿部議員の警察の装備資機材の整備に関する予算措置についての再質問にお答えいたします。
     来年度は、歳出のスリム化や歳入の確保を進める一方で、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを早期に実現するための施策を重点的に進めてまいりたいと考えております。治安情勢の変化や災害に対応するために必要な警察の装備資機材の整備につきましても、県民の安心・安全を確保する観点から大変重要であると認識をしておりますけれども、一方で大変厳しい財政事情にありますので、予算全体のバランスを見ながら予算措置について検討してまいりたいと考えております。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) これで阿部卓也君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp