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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渥美 泰一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/19/2012

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 本県の産業振興について
 (1) 県内中小企業のアジア展開への支援
 (2) 東南アジアからの観光誘客対策
 (3) 新産業への県の支援体制
2 富士山静岡空港の経営改善及び利便性の向上について
3 遺伝子検査によるがん対策について
 (1) 県内の状況と県の認識
 (2) 県立静岡がんセンターの取り組み
4 日中交流の今後の取り組みについて


○副議長(大石哲司君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百三十四号から第百五十六号まで及び第百五十八号を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、六十六番 渥美泰一君。
       (六十六番 渥美泰一君登壇 拍手)
○六十六番(渥美泰一君) おはようございます。私は自民改革会議所属議員として県政の諸課題について、知事及び関係部局長、がんセンター局長に質問いたします。
 初めに、本県産業の振興についてのうち、県内中小企業のアジア展開の支援についてであります。
 安い労働力が得られる上に経済発展とともに購買力をつけてきた東南アジアなどの新興国に大手メーカーのほとんどが生産拠点を移しており、これに追随する形で下請企業のアジア進出が旺盛です。また最近は、中国でのリスクを避けるためのいわゆるチャイナ・プラス・ワンということでの東南アジアへのシフトも見られます。
 こうしたアジア進出による国内産業の空洞化が懸念されるところですが、むしろアジア展開による収益で国内のマイナスを補っていたり、海外展開したことによって本社機能の充実やアジアではまだ生産できない製品の国内生産の拡大につながり雇用を維持しているという実態をよく聞きます。またこうしたアジア展開ができず、じり貧を余儀なくされている中小零細企業の中にも、海外に出るしか選択肢はないとアジア展開に関心を持つ企業も多く、そうした企業が一歩前へ踏み出せる政策が必要ではないかと強く感じているところです。
 このような中で、タイのアマタナコン工業団地の一角にあるオオタ・テクノパークは、東京都大田区がタイ国最大の工業団地開発運営企業アマタ社と連携し、アマタ社の全額出資で一区画三百二十平米の中小企業向け賃貸集合工場を設置し、公益財団法人大田区産業振興協会が支援する形で現在十社が進出しています。本県のインキュベートセンター的な手法です。そこでは法人登記、会計、税務、総務、取引先の開拓などを現地常駐スタッフが支援しており、系列を持たない中小零細企業にとって現実的な海外進出策となっております。
 本県でも、この大田区のように進出企業が現地で立ち上げるまでのきめ細かな支援ができる体制づくりが必要ではないかと思います。本県の既に五十年以上の実績を持つ公益社団法人静岡県国際経済振興会――SIBAを窓口として、現地政府や日本の商社等開発事業者と連携して、ベトナム、インド、ミャンマーなどの新興アジアの各国に、いち早くさまざまな分野を担う本県中小企業の集積を図るという戦略が必要ではないかと思います。
 そして、こうした本県企業のアジア展開を進める上で、単にもうけ主義というだけではなく、現地の本県に対する理解や友好促進につながっていくような取り組みを県も進出企業と一体となって取り組むべきではないでしょうか。さきの本会議において議論があったアジア展開における現地での支援体制を含め、県は中小零細企業も進出しやすい環境づくりを積極的に行う必要があると考えますが、御所見を伺います。
 次に、東南アジアからの観光誘客対策についてであります。
 昨年度の県内の観光交流客数は一億二千九百六十六万人で、前年度に比べ八百七十七万人、六・三%の大きなマイナスとなりました。宿泊客数は四年連続で、また観光レクリエーション客数も二年連続で減少しており、東日本大震災の影響は徐々に回復してきているとはいうものの、見通しは大変厳しいものがあります。
 また、領土問題の影響は顕著で、交流回復に向けての協議のため先月浙江省を訪問した折、旅遊局の職員は、日本ツアーの広告掲載もままならず再開の見通しは全く立たないと頭を抱えておりました。韓国についても訪日旅行は八月以降減少傾向が続いており、新規予約も芳しくありません。両国との早期の関係回復を望むものであります。
 このような中で、今後は発展著しい東南アジアの活力を積極的に取り込むべきであると考えます。国の発展に伴い日本への観光にも関心を持ち始めていると、本県海外駐在員の報告にもあります。タイやシンガポールに続いてマレーシアも有望な市場になってきたのではないでしょうか。今後さらにインドネシア、フィリピンといった国々にも発展のうねりが拡大していくと思われます。
 東南アジアの人々は、日本が戦後わずか三十年足らずで国を再建しただけではなく、アジアの国々を助けてきたこと、日本が西洋の技術、科学を取り入れると同時に日本独自の高度な精神文明やわび・さびの文化を維持しながら近代化に成功した国であることに好意と関心を持ち、日本に学ぼうという気持ちが強いと聞きます。
 このような東南アジアの人々の観光需要を本県へ取り込むためには、日本の中の静岡県というものを現地にしっかりと根づかせることが重要かと思います。それには日本の象徴である富士山を初めとする本県の観光PRだけでなく、日本の環境や省エネなどの技術、終身雇用や経営のあり方などの日本的価値観や日本の文化に対する理解を広めるということを通して、静岡県に関心を持ち魅力を感じていただくことが必要ではないかと思います。
 そうした意味では、例えば現地の人と深いつき合いをしている本県から進出している企業と連携して、現地の従業員や取引先等に対してアプローチすることも効果的ではないかと思います。こうした観光戦略を進める上で、駐在員事務所の機能も強化しつつ各国に対する積極的な観光誘客活動が必要ではないかと思いますが、県の所見を伺います。
 次に、新産業への県の支援体制についてであります。
 本県は、全国屈指のものづくり県であり、これまで輸送機械や電気機械などの製造業が本県産業を牽引してまいりました。しかしながら長期にわたる消費低迷や歴史的な円高、近年の中国や韓国の台頭、さらには生産拠点や技術の海外移転などにより県内中小企業は大変厳しい状況に置かれております。このような中で、みずからの経営資源を活用し今後成長が見込まれる産業分野に果敢にチャレンジしようとする地域企業も数多く出てきていると感じております。本県経済のさらなる発展や雇用の拡大を図るためには、こうした意欲ある企業の取り組みを積極的に支援することが重要であります。
 県においては、これまでにもファルマバレー、フーズ・サイエンスヒルズ、フォトンバレーの各プロジェクトを静岡新産業集積クラスターとして一体的に推進し、新たな成長分野への参入や新事業の創出などを目指す地域企業を支援してまいりました。また平成二十一年度からは、環境、医療・福祉機器を初めロボット、航空宇宙、光技術などの分野への参入を支援していると承知しております。
 しかし、ベンチャー企業等においては資金力が大変乏しく、すぐれた発明や発案を事業化するには大変厳しい現実があります。こうした企業のチャレンジが本県の産業として根づくまで、県は一貫した支援に取り組む必要があると思います。他県においては、研究開発などに対する公的助成を充実させ多くの成功事例を導き出していると聞いております。ベンチャーキャピタルが育っていない我が国において、本県としてもさらなる対応が必要ではないかと強く感じます。
 大事なことは静岡県の産業を生み出すという熱意です。特に企業からの発案に対し的確にして迅速な対応が求められます。事案に対して成功の可能性を見極めるには、当然リスクを伴います。首尾よく成功すれば助成金は税金という形で戻ってきますが、支援をよりしやすくするためには、例えば研究開発が成功し助成事業の成果により相当の収益を上げた暁には助成金を返還するという仕組みも有効ではないでしょうか。
 そこで、新たな産業育成に県としてどのような支援体制で取り組んでいくのか伺います。
 次に、富士山静岡空港の経営改善及び利便性の向上についてであります。
 十一月二十八日に行われた第三回先導的空港経営検討会議においては、静岡版空港経営のあり方について国際線の利用拡大に向けた機能強化や県のかかわりなどについての議論があり、来年一月に開催予定の第四回会議において、中間的な取りまとめを行うことになったと伺っております。
 私も極力富士山静岡空港の利用を考えますが、確かにこの空港はコンパクトで速やかな乗りおりができて便利でありますが、とにかく全体的に狭い、ゆとりがないという印象は否めません。例えば国際線利用の際には入国審査等で待ち時間が非常に長く、何とかならないものかと常々感じます。富士山静岡空港は国際線旅客数が平成二十二年度で全国十位でありますが、例えば国際線ターミナル部分の面積を同十一位の県営岡山空港と比較すると二分の一程度であります。恐らくターミナルの建設時には国際線の利用がこれほど集中するとは予想しなかったのではないかと思いますし、また建設費節約のためよりコンパクトにという意識が非常に強かったと承知しております。
 富士山静岡空港は、地域外交の重要なツールであり、国際社会に対するまさに本県の玄関でもあります。本県を訪れる人の本県に対する印象につながることであり、また空港を利用して旅する人にとって、旅行の魅力や楽しさにも大いにかかわることではないでしょうか。国では、国際競争力のある空港を目指す上で出入国審査時間を二十分以内にするという目標を掲げており、こうした利便性が空港の競争力の重要な要素と捉えられていることは当然と言えます。
 富士山静岡空港株式会社では、開港後利用者の声に応えてさまざまな改善を行ってきましたが、施設規模が限られた中ではそれも限界があるのではないかと思われます。経営改善とは単に支出を削減するだけではなく、こういった部分もしっかり分析して利用者の声に応えるべく効率的な投資をすることで、さらに利用者の増大を図るという視点が必要だと思います。
 また一方で、県民の皆様に空港が自分たちのものであるとの意識を持っていただく、言うなればマイ空港意識の醸成も重要ではないでしょうか。そのために、例えば株主を一口十万円で広く公募するなどといった方法も考えられないかと思います。
 また、検討会議では経営一元化の議論もあるようですが、総合計画に示された本県が示す方向と空港のグランドデザインのマッチング、そしてそれらを空港経営にスムーズに反映できる仕組みになっているかが重要と考えます。
 そこで、これまでの検討会議における議論のポイントとそれに対する県の対応について所見を伺います。
 次に、遺伝子検査によるがん対策について伺います。
 このたびの山中教授のノーベル賞受賞は大変快挙であり、iPS細胞の今後の臨床応用への期待が膨らみます。
 初めに、県内における遺伝子検査の状況と県の認識について伺います。
 一昨年の健康寿命調査で本県は全国第一位であり、静岡県民の一人として大いに誇るべきことであると感じております。健康で長生きしたい、これは誰もが願うことですが、最近、長寿遺伝子という言葉が時々聞かれるようになりました。長寿遺伝子を活発に働かせることで老化をおくらせ寿命を延ばすことができる、いわば不老長寿をつかさどる遺伝子として注目されています。研究によれば、私たちの染色体の中にはテロメアと呼ばれる老化に深く関係している部位があり、長寿遺伝子にはこのテロメアの長さを再び伸ばす力があり、長寿遺伝子が活発に働いているほどテロメアは長く保たれ老化が遅くなるので長生きすることができると言われております。
 このように遺伝子の研究が進む一方で、がんは全死因のおよそ三分の一を占めます。また二〇一五年には日本人全体の二人に一人ががんにかかると言われており、がんは日本人にとってまさに国民病と言っても過言ではありません。早期発見にはPET検査、CT検査、MRI検査などの画像診断がありますが、これらの検査でがんを発見できるのはがん細胞が五ミリ以上になってからです。このためがん細胞がPET検査などの画像診断により発見されるまでの間にがんが転移していくおそれもあり、もう半年早く見つけられたらという声が病院でもよく聞かれます。
 このような中、最近注目され始めているのが遺伝子検査による超早期発見で、がん細胞から血液に遊離されるDNAやRNA等を解析し、画像診断や内視鏡検査等では確認できない五ミリ以下の微細ながん細胞や発がんする前にがんに変異していく細胞を見つけ出すのだそうです。また遺伝子レベルによる発がんリスクの検査も行われており、この結果をもとに生活習慣の改善などの発がんリスクを下げる指導が行われるそうです。
 検査は至って簡単で、医療機関で二十ミリリットル程度の血液を採血し二週間から四週間で検査結果が出されるとのことで、一回の検査費用は今のところ九万円程度と聞きます。既に全国的には遺伝子検査や遺伝相談を実施している医療機関があるほか、これを商業化するベンチャー企業も出てきていると聞きますと、いよいよがんの予防に期待が膨らむと同時に素人考えではありますが、遺伝子検査の有用性やリスクといった面の心配もされるところであります。
 そこで、県内における遺伝子検査の現状と県はこの検査をどう認識し対応していくのか伺います。
 次に、県立静岡がんセンターの取り組みについてであります。
 静岡がんセンターは、開設から十年、全国のモデルとなったがんよろず相談など先進的な取り組みを数多く推進し、がん専門病院として国内トップレベルとの評価を受けております。静岡がんセンターでは、がんの治療を行う中で、希望する患者さんやその家族に対して遺伝子レベルの相談や検査を行っていると聞いております。今後は遺伝子検査によるがんの超早期発見やがん予防への積極的な取り組みを期待するところです。
 静岡がんセンターで行われている遺伝相談の現状と今後の取り組みについてお伺いするものであります。
 次に、日中交流の今後の取り組みについてであります。
 本年は、日中国交回復四十周年、あわせて本県においては浙江省との友好提携締結三十周年の記念の年であり、ことし四月における夏宝龍省長を団長とする浙江省友好代表団は、政府機関から民間団体等を含め約五百八十人というかつてない規模と内容でありました。グランシップにおいては盛大な記念式典が開催され、その後県内各地で幅広い交流活動を展開したところであります。これを皮切りに年間を通じた相互交流が両県省において実施され、これまでにない多彩な記念事業が展開されました。
 そして十一月には、今度は静岡県から友好交流団が千人規模で計画されるなどまさに日中交流の新たな時代の幕あけを予感させました。静岡県日中友好協会初め県内の各交流団体は、その役割を果たすべく決意を新たにし、文化、スポーツ、レクリエーション等の相互交流の拡充、修学旅行などの教育交流の拡大、高等学校同士の友好提携の促進などさまざまな交流の促進に向け積極的に取り組んでいたところであります。
 しかし、御案内のとおり尖閣諸島の領有権をめぐり状況は一変しました。中国国内でさまざまな反日運動や訪日への不安等があおられ、その結果浙江省から予定していた訪日団や浙江省主催のイベント等の多くが延期や中止になり、大変な混乱を招きました。訪日中止の理由を尋ねると、反日感情もあるが、日本人から危害が加えられるのを心配していると聞きまして、私は愕然としました。切歯扼腕の思いであります。これまで日中交流に尽力された方々の御苦労を思うとまことにもって残念でなりません。
 一月前、私は浙江省を訪問し、微力ながら関係機関に対し静岡県側の状況を丁寧に説明し交流の早期回復に向けて協議しました。互いに顔を合わせ腹を割って話し合うことの重要さを改めて感じたところであります。「今後は国の外交交渉がどう進展するかにもあるが、地域や民間レベルはできることを着実にやっていくことが必要」と本県対外関係補佐官東郷氏がおっしゃっておられますように、私もこのような状況だからこそ、中国とは民間交流を着実に行い互いの理解を深めることが一層大事ではないかと思っております。
 また本県には、県日中友好協会と県日中友好協議会の二つが存在します。これは本県だけです。協議会の設立経緯は承知しておりますが、政府主導体制の強い中国と公正、対等に交流を進めるには、これら二つを統合しさまざまな分野において官民が連携した体制を構築する必要を強く感じております。
 そこで、県民を初めとした民間交流を促進するため、県は今後どのような取り組みをしていくのか伺います。
 また県は、来週浙江省を訪問し記念式典等を行いますが、私の知る限り、今のような状況下でこのような大規模な訪中団を受け入れる例はほかにあまり聞きません。まさに三十年の交流のたまものだと思います。
 県は、この三十周年記念事業実施後浙江省を初め中国とどのような方針で交流していくのか伺います。
 また、本県から中国へ三百以上の事業所が進出しております。これらの企業の状況をどのように把握しているのか、そして進出企業を支援するために今後どのような対応が必要と考えているのか伺います。以上で私の質問を終わります。(拍手)
○副議長(大石哲司君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 渥美議員にお答えいたします。
 初めに、本県の産業振興についてのうち、東南アジアからの観光誘客対策についてでございます。
 政府観光庁は、東南アジアからの訪日客数を平成二十五年から訪日促進プロモーションとして展開する予定をしておりまして、平成二十五年には昨年の二倍に当たる百万人、そして平成二十八年には二百万人とすることを目指しております。本年十月の訪日客数は、東日本大震災前の平成二十二年十月と比べまして、タイは一四%増、マレーシアが二二%増、ベトナムにおきましては四九%増と大幅な伸びを示しております。東南アジアは大変有望な観光市場であると考えております。
 県では、ことし八月にバンコクで開催されました来場者数三十万人規模の国際観光展を初めマレーシアやシンガポールなど東南アジア各地の観光イベントに出展し、静岡県の知名度の向上を図っております。あわせて旅行商品の造成を促すために、現地旅行会社へのセールス活動や商品づくりの担当者にふじのくに静岡県の魅力を体感していただくファムトリップを実施いたしました。また現地の航空会社や旅行会社に対しまして、チャーター便の誘致やソウルや台北、上海を経由した新しい旅行商品の開発を働きかけるなど富士山静岡空港を利用した誘客活動にも取り組んでおります。
 なお、シンガポールの東南アジア駐在員事務所は、日本貿易振興機構――ジェトロ内にございますが、経済分野以外の活動には制約がございます。我々の活動の自由を広げ観光誘客や文化・教育交流などにも積極的に取り組んでいくために、県単独事務所として設置することを目下検討中でございます。今後は駐在員事務所を大いに活用いたしまして、観光事業者や企業関係者、文化団体など幅広い方々と連携を図りながら東南アジアからの一層の観光誘客に取り組んでまいります。
 次に、富士山静岡空港の経営改善及び利便性の向上についてであります。
 富士山静岡空港における平成二十六年度以降の新しい経営体制を確立するために、私どもは、有識者から成る先導的空港経営検討会議を設置いたしまして、これまで三回の会議を開催していただきました。この中で、私どものほうからは富士山静岡空港の将来像及び旅客ターミナルビルの増改築による空港機能の向上の必要性を提示したところでございます。その実現方策としては、ビルを所有する富士山静岡空港株式会社が県の意向のもとで増改築を実施する案、あるいは県がビルを所有して県みずから増改築を実施する案などお示ししたわけでございます。
 会議におきましては、旅客ターミナルビルは本来空港の設置管理者である県が所有するべきであるとの理由から、滑走路などの空港基本施設とビルを空港設置管理者である県が一体的に保有し、将来その運営権を民間に譲渡していくのが望ましいといった議論がなされたところでございます。また現在の空港運営会社と空港管理事務所による空港経営業務の一元化の方向につきましても、経営効率の観点から評価できる旨の御意見をいただきました。
 これらを踏まえまして、来年一月の第四回会議では、来春の最終答申に向けた論点の整理、また平成二十五年度に県が取り組むべき空港機能向上についての中間取りまとめをお願いしているところでございます。
 富士山静岡空港は重要な社会資本であり、その効用を最大限発揮できる体制の整備は急務です。そのため県民の皆様により親しみを持っていただける使い勝手のよい空港となるように効率的な投資を行うとともに、全国の地方空港に先駆けた静岡版空港経営を実現するべく積極的に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(大石哲司君) 吉林経済産業部長。
       (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
○経済産業部長(吉林章仁君) 本県の産業振興についてのうち、初めに、県内中小企業のアジア展開への支援についてお答えをいたします。
 県内中小企業のアジア等新興国への展開を支援するためには、これまでの常時相談窓口やセミナー開催などの概括的な支援策に加えまして、より一層個別具体的な支援が必要となってきていると認識をしております。このため昨年度から赴任国の事情や現地語などを学ぶ海外派遣人材育成事業を開始いたしました。今年度は個別企業の実情に沿ったアドバイスを行う海外展開コンサルティング事業を始めたところであります。
 さらに、アジア展開に関心を持つ県内中小企業が安心して一歩前へ踏み出すことができますよう、進出意欲の高いベトナム、インドネシア、タイ等を候補地に現地法人の立ち上げや取引先、販路の開拓など、現地できめ細かな支援を行うサポートデスクの設置について現在検討を進めているところであります。
 また、これまでのビジネスミッションの派遣などによりまして現地政府機関等とのネットワークも構築してきておりますことから、ベトナムなどの経済団体関係者が来静し、投資相談等も活発に行われております。こうしたネットワークを活用いたしますとともに、企業の要望等を十分踏まえながら希望する多くの企業が海外に展開しやすい環境を整備してまいります。
 次に、新産業への県の支援体制についてであります。
 本県では、すぐれた技術を見出す目きき役として、県工業技術研究所、県産業振興財団などにコーディネーター等を配置し、技術開発相談、共同研究先の紹介、経営戦略の策定など成長分野への参入を目指す地域企業に対しまして、迅速かつきめ細かな支援を実施しております。またこの三年間の試作品開発助成によりまして水質浄化装置など十件が製品化されるとともに、展示会への出展や商談会の開催などによりまして六百件余りの商談が行われております。その中で、県内企業三社が新規参入が難しいと言われております航空分野の重工メーカーとの取引を開始いたしますなど、参入から事業化までの一貫した支援の成果があらわれてきております。
 新たな産業を育成していくためには、こうした取り組みを地域の企業の方々に周知し、かつ根づかせ継続していくことが大変重要であると考えております。職員みずから現場に足を運ぶとともに、来年度に向けて製品化、販路開拓などの事業化支援や金融支援の充実強化に努めてまいります。
 今後とも、産業支援機関、大学、特に地域企業の実情を熟知している金融機関との連携を強化しながら、意欲ある地域企業の成長分野へのチャレンジを積極的に応援することで、新たな産業の育成に努めてまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 池谷健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
○健康福祉部長(池谷享士君) 遺伝子検査によるがん対策についてのうち、県内の状況と県の認識についてお答えをいたします。
 遺伝子検査には幾つかの種類があると認識しております。その一つは既に臨床現場で広く用いられている技術で、がん細胞を検査し抗がん剤の効果やがんの悪性度を判定する検査です。二つ目は、非常にまれな遺伝性のがんの診断のため患者とその家族に限って検査をする方法で、これも臨床現場で用いられています。ただしこの場合は結果が全ての家族に及ぶため、厳格なガイドラインのもとプライバシーを守りながら実施されています。
 これに対して、県内の医療機関においても、一般の人を対象としてがんを発症するリスクの評価や血液中のがんの遺伝子を発見するとする遺伝子検査が行われておりますが、臨床的意義は明らかでないと認識をしておりまして、現在国において進められているがん検診のあり方に関する検討会におきましても、このような検査は検討の対象に今挙げられておりません。加えて日本医学会が遺伝子検査全般に関するガイドラインを定めておりますが、その中において家族にも影響を与え得る個人の遺伝情報を扱うことには慎重な対応を求めています。
 このような状況から、県といたしましては一般の人を対象に行われている遺伝子検査についてはまずは国や学会等の研究の動向を注視し、慎重に研究してまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 斉藤がんセンター局長。
       (がんセンター局長 斉藤民夫君登壇)
○がんセンター局長(斉藤民夫君) 遺伝子検査によるがん対策についてのうち、県立静岡がんセンターの取り組みについてお答えをいたします。
 がん患者のうち、一%程度は遺伝性のがんとされております。静岡がんセンターで行っております遺伝相談は、治療中の患者さんと御家族への支援の一環といたしまして、毎月一日二名まで遺伝性のがんを心配する患者さんや御家族について院内の医師から紹介を受けた場合に限り日本臨床遺伝専門医の資格を持つ臨床医が相談に応じております。
 具体的には、御家族のがんの病歴などから医学的に導かれる遺伝性のがんの種類や可能性を説明した上で相談者の希望に応じて血液による遺伝子検査を実施し、遺伝によるがんの発症が疑われる場合には生活習慣の改善や専門的な定期検診の受診などのアドバイスを行っております。
 遺伝相談は、遺伝性のがんの早期発見と早期治療につながるものでありますので、今後も引き続きがん患者さんと御家族の支援に取り組んでまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 若梅静岡県理事。
       (静岡県理事 若梅真樹君登壇)
○静岡県理事(若梅真樹君) 日中交流の今後の取り組みについてお答えいたします。
 今月二十四日から、県議会の皆様や関係団体の皆様とともに県友好代表団として浙江省を訪問いたしますが、これまでの三十年間の交流実績を総括し、より強固な友好的互恵・互助の関係を築いてまいります。
 御質問のうち民間団体の交流につきましては、今回県文化協会と省文学芸術界連合会、またグランシップと杭州劇院との間で友好協定が締結されるなど着実に広がりを見せております。今後は、スポーツや文化団体同士のマッチング機会の提供などを通じ、一層の民間交流促進を支援してまいります。
 中国との交流につきましては、両国間の関係を注視しながら浙江省との友好関係をベースとしまして、経済交流のさらなる展開や観光誘客による交流人口の拡大、教育・文化交流の活発化など民間が主体となった交流を一層促進し、相互にメリットのある地域外交を展開してまいります。
 本県からの進出企業の状況につきましては、県中国駐在員事務所や静岡県国際経済振興会、ジェトロ等と連携して情報収集をしているところであります。県といたしましては、現地で安心して事業を続けられるよう県中国駐在員事務所の培ってきたネットワーク等を活用し、最新の情報を提供するなど迅速かつきめ細やかに支援していくことが必要であると考えております。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 六十六番 渥美泰一君。
       (六十六番 渥美泰一君登壇)
○六十六番(渥美泰一君) 少し時間がありますので再質問させていただきます。
 新産業の育成についてですが、研究開発から販路の確保に至るまでの一貫した支援、大変重要だと思います。特に今、これまでの既存の産業がどんどん東南アジア等で行われるようになってきまして、じゃ日本は何をつくるんだということになりました。大変新たな産業が重要でありますが、そうした企業からの提案に対して、それを支援するかどうかということも迅速にやらなければなりませんが、県が持っている例えば知的財産等々を含めて、あるいは企業から積極的にそういったものを引き出すというような取り組みが非常に必要ではないかというふうに思いますので、その取り組みについて改めてお伺いしたいと思います。
 それから日中交流についてでありますが、私は、かねてより県に対して、日中友好協会そして日中友好協議会の統合についての必要性を訴えて相談してまいりました。また県友好協会の会長職も急場をしのぐために私がお受けしておりますけども、毛頭議員が片手間でできるような仕事ではありません。かわる人材についてずっと模索しているところでございます。
 川勝知事は、以前このことについて御相談申し上げたときに、日中友好協会はしばらく休眠したらどうかというようなこともおっしゃいました。日中友好という言葉すら声を大にして言いにくい状況の中で、ひたむきに頑張っておられる多くの方々がおられます。彼らこそこれまでの県の日中交流を支えてきた方々だと思います。彼らの活動をさらに今後に生かす必要があると思っております。早急にこの二つの統合を検討し、中国に対応した県としての交流体制を構築すべきというふうに思っております。いま一度知事のお考えをお聞かせいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上で私の質問を終わります。
○副議長(大石哲司君) 吉林経済産業部長。
       (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
○経済産業部長(吉林章仁君) 積極的に新しい産業に取り組む企業について、より積極的に引き出したらどうかという再質問にお答えいたします。
 私どもといたしましては、新しい企業にチャレンジするための動機づけといたしまして、例えば航空宇宙とかロボットとか健康産業とかについては、その動機づけのためのセミナーを県内各地で開催をしております。そのときには、ネットワークを使いましてできるだけ多くの企業に参加するように声かけを行うとともに、私どもみずから講演会に出かけまして、昼間のいわゆる講師の講演会だけでなくて、その後の交流会にも積極的に参加をいたしまして、企業の方々のいろんな御意見を伺いながら、そこで拾ったいろんな御意見もできるだけ、例えば大学につなげてほしい、特に研究の面で足りないといえば大学を御紹介する、あるいは企業同士のネットワークをつくる、あるいは産業支援機関のほうから専門家を派遣すると、こういうことについて、できるだけ職員にはそういう機会に出かけていって企業の方々と直接お話をするようにということを日ごろから私も含めて心がけております。そういうことを重ねることによりまして、できるだけ企業の皆様の声を直接お聞きして、それを特に産学官連携が大事だと思いますので、そこにいわゆるマッチングをする、こういう取り組みを今後とも積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
○副議長(大石哲司君) 若梅静岡県理事。
       (静岡県理事 若梅真樹君登壇)
○静岡県理事(若梅真樹君) 日中友好協会と日中友好協議会の統合についての再質問にお答えいたします。
 日中友好協会の事業推進に当たりましては、議員には大変御尽力いただき感謝申し上げます。その両団体がそれぞれ行っております文化ですとか環境ですとか経済関係での交流が一体的となって進められることは、大変メリットのあることだと考えております。一方でそれぞれの両団体の発足の経緯ですとか、設立の目的ですとか、そこのあたりが異なることから、それぞれの団体の会員の皆様の御理解が必要というふうに考えております。
 県といたしましては、現在両団体が、事務レベルでの総務部門での協力という形での打ち合わせを進めているということを伺っております。それぞれの団体の意向を確認しながら双方の理解が深まるような調整をしてまいりたいというふうに考えております。

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