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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成19年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小楠 和男 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/21/2007

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:

1 家庭にかかわる諸課題について   
 (1) 家庭のあり方と親教育   
 (2) しつけの静岡方式   
 (3) 児童虐待   
2 児童生徒にかかわる諸課題について   
 (1) コミュニケーション能力を高める取り組み   
 (2) 体力の向上対策   
 (3) 不就学者に対する取り組み   
3 フリーター、 ニートへの就業対策について   
4 青少年の飲酒、 喫煙防止について   
5 青少年にかかわる部局の一元化について



    ○副議長 (石橋康弘君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、五十三番 小楠和男君。
            (五十三番 小楠和男君登壇 拍手)
    ○五十三番 (小楠和男君)  私は自由民主党所属議員として県政の諸課題につきまして、知事、関係部局長及び教育長にお伺いします。
     まず初めに、家庭にかかわる諸課題について伺います。
     親殺し、子殺し、兄弟殺しなど何ともおどろおどろしい事件が頻発しています。殺人行為に至らないまでも、家庭内における児童虐待や老人虐待なども社会問題化してから久しいのは御存じのとおりです。平成十七年の国勢調査によれば、我が県の家族の形態は核家族化の進行が進み、全世帯数百三十四万七千世帯のうち七十六万五千世帯と約五七%を占めるようになりました。 十年前の平成七年に三・〇七人だった世帯当たりの人員は平成十七年には二・七七人へと〇・三ポイント減少し、核家族化の進行と夫婦のみ世帯やひとり暮らしの単独世帯の増加が明らかとなっています。さらに十八歳未満の親族つまり子供のいる世帯は三十七万九千世帯で、そのうち夫婦と子供の世帯が五九%、片親と子供の世帯が七%で合わせて六六%の世帯が親と子で暮らしており、夫婦、子供と親の三世代で暮らしているのはわずか二三%にすぎません。
     家族は社会を構成する基礎となる単位であるとともに、子供にとっては初めて自分以外の人と関係を持つ場所であり、人間としての人格形成に決定的な役割を果たします。核家族化と少子化の進行により兄弟でもまれることもなく、共働きの家庭で子供と接する時間が少ない中で十分な家庭教育がなされているのでしょうか。冒頭の事件の原因が家庭が正常に機能していないことにあるとしたら、子供たちの成長過程のさまざまな場で課題が発生するのも当然のこととなります。
     しかしながら家庭は密室状態であり、隣近所のつき合いも希薄になっている今日では、他人はもちろん、ましてや行政が家庭に介入することは大変な困難を伴います。児童虐待の疑いの情報で家庭を訪問する児童相談所の職員の方々は玄関をあけさせるのにまず苦労し、子供を保護するに至っては身の危険を感じるとのことです。極端な例かもしれませんが、行政の各種の施策でも家庭を扱うことの難しさの一例だと思います。
     そんな中、昨年六月、政府は新しい少子化対策を取りまとめ、その中で家族・地域のきずなを再生する国民運動の柱として、家族の日や家族の週間を制定することと家族・地域のきずなに関する国、地方公共団体による行事の開催をうたっています。 少子化対策の中とはいえ、家族のあり方について具体的な国の施策が示されることは大変意義があると思います。
     一方で、昭和四十年代には四十以上の都道府県で家庭の日が制定され、毎月第三日曜日が家庭の日とされ、親子、家族の触れ合いを楽しむよう呼びかけられました。当時は青少年の非行の急増が社会問題化する中での家庭の日の制定でした。しかし三十年以上が経過し活動の形骸化も指摘されていますし、今日の家族の状況への危機感から新たな運動の展開も始まっている自治体もあると聞いています。
     そこで、我が県の家庭の日の実施状況と成果について伺います。
     また、現在の青少年を取り巻く環境は昭和四十年代よりもさらに深刻さを増す中で、政府の家族の日の制定について県ではどのように歩調を合わせていくのかお伺いをいたします。
     給食費を払わない親は余りにも有名になりましたが、学校に対する無理難題要求、つまりいちゃもんについて研究している大阪大学の小野田正利教授によれば「担任を変えろ」などは序の口で、学校内で石ころを投げて窓ガラスを割った子供の親はそこに石ころがあるのが悪いと居直るし、親同士の仲が悪いので子供たちを別学級にして学校では遊ばせないようにしてほしいとの要求など、理不尽で身勝手ないちゃもんがふえているとのことです。ほかにも、二十年前にはお店で万引きをした子供に親が子供と一緒に頭を下げて謝罪をしましたが、十年前になると万引きをしてもお金を払えばいいだろうに変わり、最近では万引きをされるような商品の並べ方が悪いと居直る親が多いそうです。
     子供たちが家庭から出て初の別社会を経験する場となる幼稚園や保育園の先生方によれば、朝御飯を食べてこないのはもちろん、夜更かしのせいか、朝、園に来るとすぐに眠くなってしまう子供、おはしや鉛筆の持てない子供はもちろん、自分で服を着がえられない子供など基本的な生活習慣ができていない子供の多さに驚くそうです。家庭の教育力の低下と言われて久しいですが、子供の教育に責任を持たねばならないはずの親教育の必要性を感じるのは私だけではないと思います。望ましい家庭のあり方と親教育についてお考えを伺います。
     また先月一月十一日には、県の人づくり推進員約六十人と呼びかけ人となった創知協働人づくり推進県民会議委員の有志の皆さんによる子供をめぐる社会問題に対する緊急集会が行われ、決意表明を採択、表明文が知事に手渡されたとのことです。その表明文では家庭の機能を高めていくことが今何よりも重要だとし、「美しくあいさつしよう、美しく歩こう、美しく話そう」のしつけの静岡方式こそが家庭教育の原点であり、それぞれの家庭で子供を中心とした家族の温かい心の通った対話が行われることを呼びかけていくとのことです。今こそ、家族を再生させ社会を再生させる最後のチャンスであると改めて認識し、この決意表明が実効性のある施策として実施されることを強く望むものです。今は亡き草柳大蔵先生の取りまとめられた人づくり百年の計委員会の提言――しつけの静岡方式の今後の取り組みについて伺います。
     次に、児童虐待について伺います。
     私が役員を務めている児童養護施設があります。戦後、戦災孤児を保護する目的で設立されましたが、時代とともにその果たす役割は変遷し、私の子供のころには恵まれない家庭環境の子供たちではありましたが、クラスに複数在籍し、私たちともそれなりに明るく学校生活を送っていました。
     そして今日、施設の入所者の四割以上が児童虐待により児童相談所に保護された子供たちとなっています。身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクトと児童虐待防止法で定義された四分類のすべての子供たちがそろっています。入所者に占める比率は高まるばかりであります。厚生労働省によれば、児童養護施設の新規入所児童の六割が虐待を背景にしているとのことです。経済的困窮などの理由により施設に入所している子供たちはお正月や夏休みなどに一時帰宅ができますが、児童虐待により入所している子供たちは一時帰宅もかなわずふびんでなりません。
     さて、平成十七年度に全国の児童相談所が通告を受け、認知、対応した児童虐待の件数は三万四千四百五十一件と過去最高を記録し、統計を開始した十五年前の千百一件の何と三十倍以上にふえています。静岡県においても平成十七年度の相談件数は六百一件ありましたが、本年度は十二月末現在で六百三十一件と既に昨年度を上回っており極めて深刻な状態と言わざるを得ません。
     また近年は、児童相談所が虐待を把握していたにもかかわらず死亡に至った事件が多く報道されています。平成十六年九月の栃木県小山市で起きた事件は、離婚した父親と三歳と四歳の兄弟が父の後輩の家に居候し、その後輩に川に投げ落とされて死亡した事件で、この兄弟は一度は児童相談所に保護され祖母宅に引き取られたのですが、父が迎えに来て後輩宅に戻ったところで悲劇が起きました。助けることのできた命が失われていくのには残念でなりません。
     先ほどの質問で申し上げた家庭の壁とともに、急増する児童虐待に対する児童相談所の体制の整備が追いついていかないのではないでしょうか。厚生労働省では先月児童相談所運営指針を改定し、虐待通告の受け付けの徹底やこれまで速やかにとして期限があいまいだった安全確認を通告受理後四十八時間以内に実施することが望ましいこととしました。これらの実現には児童相談所の体制の拡充が欠かせないと思いますが、所見を伺います。
     次に、児童生徒をめぐる課題について幾つか伺います。
     まず、コミュニケーション能力についてです。
     先ほど家庭の形態の変化について述べましたが、核家族化の進展により家族内で触れ合う人数は少なく兄弟の間でもまれることもなく子供たちは成長します。あふれんばかりの愛情と物品に囲まれた子供たちはわがままの言い放題、それを許す親、他人の言葉など聞くはずもありません。テレビとゲーム、成長により携帯電話とパソコンが唯一の遊び相手、隠れんぼうや鬼ごっこで遊んでいる子供たちを見かけることはほとんどなくなりました。
     昨年五月にインターネットサービスのgooリサーチが企業に行った企業人の新入社員に対する期待感に関する調査では、期待する能力としてコミュニケーション能力が三一・九%を占め、実行力・行動力二一・七%、基礎知識・基礎能力一七・一%を大きく引き離して第一位だとのことでした。また平成十一年の学習指導要領の改訂で生きる力が重視され、その後人間力という言葉が使われるようになります。内閣府によれば人間力とは、一、知的能力、二、社会・対人能力、三、自己抑制力を言い、社会・対人能力とはまさしくコミュニケーション能力を指す人間力の重要な要素の一つです。
     このように大変重要なコミュニケーション能力ですが、現在のところ小中学校においてはコミュニケーション能力を鍛える場はないように思われます。言葉の通じない大人や友達をつくれない子供たちをなくすために、小中学校におけるコミュニケーション能力を鍛える取り組みの強化が必要だと思いますが、教育長のお考えを伺います。
     次に、子供の体力の向上対策について伺います。
     自民党では子供の体力向上推進基本法の制定を目指した議員連盟が発足しました。国と地方自治体に具体的な施策を盛り込んだ基本計画の作成を義務づけ、体育の授業のあり方やスポーツ大会の活用、啓蒙活動など中長期的な取り組み方針を盛り込む見通しで、五十メートル走などの主要種目に地域ごとの数値目標を設定し達成状況を検証する案が有力だそうです。その他、自治体が地域総合型スポーツ施設を建設する場合、財政や税制面での支援も検討するとのことです。まさしく国と地方の総力戦で子供の体力づくりを応援しようとするものです。
     オリンピックのたびにメダルの獲得数をめぐって国会で議論がなされます。トップアスリートの強化はもちろん重要ですが、子供たちにスポーツに接する機会をふやし選手層を厚くするなどのボトムアップが欠かせないと思います。国体の天皇杯、皇后杯の順位に一喜一憂している我が県も事情は同じです。我が県におけるこれまでの子供の体力向上施策の成果と今後の取り組みについて伺います。
     次に、不就学児童・生徒に対する取り組みについて伺います。
     浜松市の中心市街地で平日の日中、明らかに義務教育の年齢と思われる子供たちのグループを目にします。彼らはブラジルやペルーからやってきた外国人労働者の子供たちです。現在浜松市には三万人を超える外国人登録者がおり、そのうちブラジル人は一万七千人を数えます。浜松市における外国人登録児童・生徒の数は二千八百人ですが、そのうち半数の千四百人が公立小中学校に在籍し、八百人程度が外国人学校に通っています。差し引きしますと六百人が不就学児童・生徒となります。あくまでも登録者の数字であり、未登録者が相当数いることを考えると数はさらにふえると思われますが、一方で外国人登録数自体が根拠に乏しいとの声もあり実態は把握できていないのが実情です。ほかにも県内には磐田市や湖西市、富士市などで不就学児童・生徒が多く、いずれも就学年齢者総数の約三〇%を占めていると思われます。
     浜松市では、不就学児童を学校に取り込むためにカナリーニョ教室を設置するなどの対策をとっていますが、中学校を卒業しても十分な学力が備わっておらず高校に進学するのはわずか一割と言われています。一方で外国人学校は公立学校の月当たりの経費約五千円のおよそ十倍の月謝がかかるため、通わせられる親はそう多くないのは当然です。
     不就学の児童・生徒が基礎的な学力も教養も身につけないままに社会に出ていくとなると、働ける職場は限られるとともに働かずに非行や犯罪に走るケースも想定されます。外国人の方々との共生が不可欠である今日、不就学児童・生徒をなくすための対策が急務と思いますが、お考えを伺います。
     最近、就職相談に来る若者の履歴書を見ると特徴的なことがあります。私の知らない会社の名前が幾つも並んでいるのです。上場企業や地元の企業なら私も名前ぐらいは聞いたことがあるはずですが、職歴には聞いたこともない会社が並んでいるのです。派遣会社の名前です。高校や大学を卒業した後、一度も正社員として働くことなく非正規社員として派遣会社を転々としているのです。また私たちの時代には考えられなかったアルバイトの経験も堂々と職歴に記載されている履歴書を見ます。一九九〇年代後半のバブル崩壊後に学校を卒業した人々でフリーターとも呼ばれており、既に三十歳前後の年齢に達しています。団塊ジュニアとも呼ばれ、正社員になった方々は結婚、出産の適齢期で少子化対策の面でも期待されていますし、大量の消費財の購入者としても期待されている年代です。一方、フリーターや非正規社員となった人々は、低い所得と将来への不安から結婚もできず親との同居の比率が非常に高くなっています。いわゆるパラサイトシングルであります。
     これらが社会問題となった後の平成十七年に内閣府が発表した青少年の就労に関する研究調査でニートの数を八十五万人と推計し、その衝撃からニートの言葉も市民権を得ることとなりました。厚生労働省の推計ではニート全体の六十四万人のうち二十五歳から三十四歳が六割を超えており、フリーターともども高齢化が進んでいると言えます。もはや青少年の課題の範疇を超えてしまいました。社会経済に与える影響は、税収や社会保険料の減収、可処分所得の減少による消費行動の減、将来的には親の病気や死亡により生活保護を受けるケースがふえることが危惧されます。
     そこで、既に行われてきたフリーターやニートに対する就業対策の状況を伺うとともに、何よりも必要なのは働く場の提供だと思われますので、雇用者である企業に対する働きかけの方策について伺います。
     次に、青少年の飲酒、喫煙防止について伺います。
     未成年者の飲酒と喫煙については、それぞれ未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法により、未成年者は飲酒、喫煙をしてはならない、親権者は子供が飲酒、喫煙をしていることを知ったときにはこれを制止しなければならない、事業者は未成年者の飲酒、喫煙防止のため年齢確認その他の必要な措置を講じなければならないとして、未成年者本人と親、事業者のそれぞれの責務を明らかにしています。
     しかしながら、平成十八年の我が県の不良行為少年補導状況を見ますと、総数七千九百四十五人のうち最も多いのは深夜徘回で三千四百六十人、四三・五%ですが、第二位に喫煙三千百五十六人で三九・七%、第三位に飲酒四百七十五人で六%となっています。ここ数年少年補導の五〇%近くが飲酒、喫煙という状況が続いています。
     このような状況の中、酒類販売の事業者である全国小売酒販組合中央会では、昭和四十八年からは自動販売機のみによる酒類小売業免許は付与しないこととしたのに続き、昭和五十二年からは夜十一時から翌朝五時までは自動販売機での酒類の深夜販売の自粛に取り組んでいます。さらに平成七年からは従来型の自動販売機は平成十二年までに撤廃することを決議し、成人識別機能つきの自動販売機への移行を図ることとしました。全国小売酒販組合中央会が撤廃決議をした直後にあった従来型の十八万六千台の自動販売機は、平成十七年四月には三万一千台へと一六%にまで減少しています。
     もう一方のたばこ製造者でつくる社団法人日本たばこ協会とたばこ販売者の全国組織である全国たばこ販売協同組合連合会でも、年二回未成年者喫煙防止月間を設け街頭キャンペーンなどにより啓発活動を実践しています。また全国の中学校、高校に未成年者喫煙防止を啓発するポスターを配布し、未成年者本人へ訴える活動も実施しています。さらに、平成十三年には自動販売機の成人識別機能を持たせ、平成二十年に全国一斉稼働させる計画を発表しました。全国六十二万台のたばこ自動販売機のすべてに成人識別機能がつき、静岡県では来年六月にサービスが開始予定です。
     それではもう一方の責務を果たすべき親はどうなっているでしょうか。平成十六年度未成年の喫煙及び飲酒行動に関する全国調査によれば、お酒の入手先は圧倒的に家にある酒で約七割を占めます。たばこの入手先は自動販売機が最も多いのですが、酒を飲む、たばこを吸う場所はともに自宅が最も多く約七割となっています。親は子供の飲酒、喫煙に気がついているはずです。 いや容認している親がほとんどではないでしょうか。ここでも家庭の課題が浮き彫りになりました。他県では条例を制定して、親、事業者、県民、県行政が一体となって青少年の飲酒、喫煙の防止に取り組む姿勢を強く打ち出しているところもありますが、我が県の今後の取り組みについて伺います。
     最後に、青少年にかかわる部局の一元化について伺います。
     二月定例会での質問づくりの過程で、青少年や児童・生徒にかかわる諸課題についてさまざまな角度から質問の原案を作成してきました。しかし、私の聞きたい答えはだれが答弁するのか、質問者である私自身がよくわからないような部局のはざまにある課題が幾つかありました。そのため最初の構想とは大分違った質問構成になりましたが、それでも本当に答弁を求める方はどなたなのか迷うような部局を超えた課題が青少年問題には山積していると思います。また、それがゆえに重複して仕事をしていると思われるような部署も散見されます。
     そこで、青少年にかかわる部局の一元化を提案したいと思います。警察本部の少年課と教育委員会の義務教育課、高校教育課はそのまま置くべきと思いますが、企画部調整室の少子化問題担当と大学室の人づくり担当、健康福祉部の子育て支援総室の子育て支援管理室、子育て支援室、こども家庭室の三室、教育委員会の社会教育課と青少年課は一元化することが望ましいと思います。仮称こども青少年局を置き、その下に幾つかの担当室を置くのはいかがでしょうか。義務教育と高校教育以外の子供と青少年にかかわる施策のほとんどがこの局内で完結するのではないでしょうか。来年度の大規模な組織改革には間に合いませんが、将来の静岡県を担う青少年にかかわる部局の一元化について所見をお伺いいたしまして私の質問を終わります。 (拍手)
    ○副議長 (石橋康弘君)  ここであらかじめ会議時間を延長します。
     石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  小楠議員にお答えをいたします。
     初めに、家庭にかかわる諸課題についてのうち、家庭のあり方と親教育についてであります。
     県では、昭和四十一年から家庭の日の運動を進めてきておりますが、平成十五年八月静岡県家庭の日のリニューアルを行いまして、毎月第三日曜日を家族ふれあいサンデー、そして第三日曜日から始まる週を家族ふれあいウイーク、また毎年八月を家庭教育を考える強調月間と定めることで、家族の触れ合いを深め家庭のあり方を見直す機会といたしました。
     家庭教育フォーラムの開催、ポスターやリーフレットの配布、美術館や博物館など県内百二十二の施設の協賛を得て実施する家庭の日優待制度などを通して家庭の日の広報を図っており、平成十八年九月――去年の九月に実施したアンケートでは家庭の日の認知度は五三・六%でありました。また市や町においては、八月の強調月間に親子を対象にしたキャンプ、星空観察会、料理教室などさまざまな活動に取り組んでおります。今後も静岡県家庭の日の定着を図っていくとともに、国における家族の日制定の動向を見ながら静岡県らしい対応を検討してまいりたいと考えます。
     次に、親教育についてでありますが、県では、母子健康手帳交付時や小学校入学時にお父さんの子育て手帳を配布したり、年間十三回子育て支援テレビを放映したりする中で基本的な生活習慣、正しい食習慣、社会の礼儀やルールについて取り上げ、家庭教育の支援に取り組んでおります。
     また、家庭教育に関するさまざまな悩みを地域において身近に相談できる人を育成するため子育てサポーターリーダー養成講座を開催し、この二年間で六十三名のリーダーを養成したところであります。今後も、市や町、地域、学校とも連携を図りながら親教育の充実を図っていきたいと考えております。なお、現在第三十期静岡県社会教育委員会において家庭教育支援のあり方と方策について審議をしていただいておりますので、その経過にも注目をしてまいりたいと考えております。
     以上述べたように家庭の日であるとか親教育についても、それなりの対応を今しておるところでありますけれども、にもかかわらず小楠議員がいろいろお挙げになりましたような現象とか事例が発生してる。ここが今日の問題の深刻化を明らかにしてると思います。何というんでしょうか、問題意識があったり自分自身の育ち方が家庭できちんとしつけをされてきた親は、こういう各種の行政にしても、あるいはいろいろなメディアで報道される家庭のしつけが大事であるとか、家庭が大事であるとか、あるいは親子の対話が大事であるとか、そういうようなことについては敏感に響いてくれるわけでありますけれども、そうでない家庭が非常に多いというところ、そこのところをどうするのか、これは決め手は今ありません。いろいろ何でも極端に言ったらやってみると、いろんなことをとにかくやってみるということで、その中から徐々に効果のあるものとか、あるいはそういうものを通じて意識の広がりを図っていく以外にないのじゃないのかなとも思うわけであります。
     しつけの静岡方式についてのお話も同様であります。
     私も、平成十年、十一年に人づくり百年の計委員会を設置して、草柳大蔵先生――今は亡くなられましたけれども――あの方に座長になっていただいて、足かけ二年、静岡における人づくりのあり方についていろいろ議論していただきましたのも、実はともすると、今日の我が国においては、行政がさまざまな人々の価値観にまで立ち入ってはいけないという――非常にその種の抑制ですね――抑制を強いるといいますか抑制を是とする、あるいは抑制をしなきゃいけないということを助長するさまざまな風潮がありますけれども、もう待っておってはいけないんじゃないか。特に家庭のあり方とかしつけのあり方については、もう待っていてはこれは大変なことになるんじゃないかということで、非常に何というか明確なメッセージではなかったかもしれませんが、あえて踏み込んでいこうということで、実は百年の計委員会を設置していろんな角度から議論していただいたわけであります。
     今日では、自由という理念――これはもう絶対的な理念として今日我が国では尊重しなければいけない。そういう理念を背景として、その裏腹で個人の意思の尊重とそういうことを背景にして、これによって価値観の多様化が――多様化という現象でくくれるような状況が非常に子育てをめぐる環境のもとでも進展をしてるわけであります。そのために、今日家庭でのしつけは重要であるという認識はありながらも、統一的あるいは共通の何ていうか理念の理解とか、あるいはその理念のもとで――その理念の共通の認識のもとでのさまざまな行動が起こり得てないということのために、小楠議員のいろいろお挙げになりましたようなさまざまな問題状況が出ておるというふうに思います。
     したがって、平成十一年には人づくり百年の計委員会から、種々の議論、検討を重ねた結果、先ほど御紹介いただいた、あいさつをする、歩く、話すという日常の立ち居振る舞いが子供の社会的な成熟のために持つ意義は明らかであるということをうたった上で、大人が家庭においてそれらを美しく実践することからしつけを始めるしつけの静岡方式をつくり出すことの提言が出されたわけであります。
     出されたにもかかわらず、これの普及啓発についてこれまでどのようなやり方でやってきたかというと、その理念やその出てきた背景について、できるだけ多くの方々に共通の認識を持って、本当に理解、納得できた方々からその周辺に輪を広げていってもらおうということで、人づくり推進員、これを委嘱をしてやってまいりました。その結果、先ほど御紹介いただきましたように、その推進員の人たちから、先ごろ静岡のしつけ方式についてもっと徹底すべきであると、そのために各方面、ネットワークもつくり大いに広げていくべきだと、県ももっとそこの点についてしっかりやってほしいと、そういう趣旨の御提言がございました。
     そこで、今後その人づくり推進員の方々と県と協働しながら、いろいろな分野に働きかけて、理想としては県民運動ですね――幅広い県民運動の展開にまでこれを盛り上げていきたいと考えて、いろいろな方策をこれから実践する考えでございます。ぜひまた御理解と御支援を賜りたいと思います。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長 (石橋康弘君)  藁科健康福祉部長。
            (健康福祉部長 藁科一仁君登壇)
    ○健康福祉部長 (藁科一仁君)  家庭にかかわる諸問題についてのうち、児童虐待についてお答えいたします。
     全国的に児童虐待相談件数が増加し虐待による死亡事例が相次いでおり、また本県においても相談件数が急増するなど、児童虐待の実態は深刻な状況であると認識しております。県では、これまで児童福祉司の増員等児童相談所の職員体制の充実のほか、市や町、警察及び学校等の関係機関と連携し虐待の予防、早期発見、保護等に取り組んできております。
     また、議員御指摘のとおり、本年一月国において児童相談所運営指針が改正され、児童相談所の虐待対応では四十八時間以内の安全確認が望ましいことや進行管理台帳を作成し定期的にチェックする仕組みの導入等がうたわれたところであります。このため県では、児童相談所職員、市町職員を対象とした虐待相談に的確に対応するための専門的な研修の実施や、休日、夜間の専任相談員の配置、専用車両の配置など児童相談所の体制を強化することとしておりますが、虐待相談件数や市や町の相談体制の状況などを踏まえながら、今後とも児童相談所の機能強化を図ってまいりたいと考えております。
    ○副議長 (石橋康弘君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  児童生徒にかかわる諸課題についてのうち、初めにコミュニケーション能力を高める取り組みについてお答えいたします。
     議員御指摘のように、子供たちにコミュニケーション能力を育成することは極めて重要であると考えております。各学校においては、従来からその重要性を十分認識しており、コミュニケーション能力を高めるべく、日常の授業や生活の中で子供たちが自分の考えや思い、意見を出し合う機会を意図的に設定したり、子供たち同士、教師と子供、さらには子供と地域の人と交流する場を設けたりするなどさまざまな教育活動を展開しております。
     県教育委員会は、これまでも聞く、読む、書く、話すなどのコミュニケーションの基本となる能力の育成を目指してきましたが、来年度から新たに国語力向上プロジェクトとして、小中学校が連携して教育課程の編成を工夫したり年間計画を見直したりするなど、一層のコミュニケーション能力の育成に取り組んでまいります。
     次に、体力の向上対策についてであります。
     本県では全国に先駆けた取り組みとして、すべての小中高等学校を対象とした体力テストを昭和四十四年から継続的に実施し、各学校がその結果をもとに具体的目標を持って取り組んできたこと等により、前田宮城教育大教授の分析によれば本県の児童生徒の体力が全国一となるなど大きな成果を上げてきました。
     しかし運動する時間の減少や活発に運動する子とそうでない子の二極化の進展等により、本県においても全国的な傾向とほぼ同様、児童生徒の体力の低下傾向が見られたので、平成十六年度からすべての小学校の学級を対象に縄跳びやドッジボールなどを使った体力アップコンテストしずおかを実施し、運動の日常化や体力の向上を図ってまいりました。これにより低下傾向にあった小学生のボールを投げる力などの能力が向上しているほか、先生方からはクラスのきずなが強くなり学級づくりに役立ったという報告も受けております。今後とも児童生徒のスポーツへの興味、関心を高め、体力向上対策の一層の充実に努めてまいります。
     次に、不就学者に対する取り組みについてであります。
     外国人の子供たちも、未来を担う地域の一員としてひとしく受け入れ、よき社会人となるよう指導していくことはこれからの日本にとって大変重要なことであり、不就学の子供たちの正確な数の把握は難しいものの、こうした子供たちへの学習支援が大切であると考えております。
     そこで、県教育委員会といたしましては、来年度から新たにモデル事業として六つの市を指定し、小中学校に在籍する外国人児童生徒に加え不就学等の子供たちも対象として、日本語指導を中心とした学習支援を行ってまいりたいと考えております。 今後とも多文化共生社会の実現という観点から、市や町の教育委員会やNPOなどの関係機関と連携して外国人の子供たちへのきめ細かな対応に一層努めてまいります。
     次に、青少年の飲酒、喫煙防止についてであります。
     成長期にある青少年の飲酒、喫煙は、心身へ悪影響を及ぼすだけでなく規範意識の低下や非行へ結びつくことから、青少年の健全育成を阻害する要因であると考えており、親が子供の飲酒、喫煙を容認しているという現状も家庭の教育力の低下とともに憂慮すべき状況であるととらえております。
     飲酒、喫煙の防止に向けては、社会のルールを守ることの大切さとあわせ、健康の面でも有害であることを子供たちに家庭や学校できちんと教えることが肝要であります。学校においては、保健体育などの教科の中で飲酒、喫煙の害についての教育を進めたり、児童生徒を対象とした薬学講座や保護者が参加する学校保健委員会で取り上げたりするなど、飲酒、喫煙防止教育に努めており、今後一層徹底してまいります。また地域の青少年の声かけ運動を初めとする青少年健全育成を総合的に推進するさまざまな活動の中で、飲酒、喫煙についても早期から芽を摘む取り組みを推進しておりますので、今後とも家庭や地域との連携を強化するとともに関係業界への広報・啓発活動を通じて、青少年の飲酒、喫煙防止の推進に努めてまいります。
    ○副議長 (石橋康弘君)  杉山商工労働部長。
            (商工労働部長 杉山栄一君登壇)
    ○商工労働部長 (杉山栄一君)  フリーター、ニートへの就業対策についてお答えいたします。
     雇用情勢が改善しているにもかかわらず若年層の失業率は他の年齢層に比べて高く、さらにはフリーターやニートと呼ばれる若者の数も高どまりしていることなどから、若者の就労支援対策は重要な課題と考えております。
     このため県では、総合的な若者の就労支援の拠点として県内三カ所に設置しているヤングジョブステーションにおいて、きめ細かな就職相談や職業紹介、職業人として必要な基礎能力を付与するための講座の開催など職業的自立に向けた総合的な支援を行っており、平成十六年六月の開設以来、本年一月までに千三百八十一人の若者の就職を実現させることができました。さらにニートの就労支援対策として、NPOの協力を得て合宿形式の就労支援セミナーや親を対象としたシンポジウムを開催しているところでありますが、来年度は新たにヤングジョブステーションの職員によるニート等を抱える家庭への訪問相談を実施することとしております。
     また、若年者の雇用の場を確保するためには企業の理解が不可欠でありますことから、引き続き静岡労働局と連携して求人開拓を行うとともに、労使のトップが参加する会議などさまざまな機会をとらえて企業に若者の雇用促進を働きかけるほか、来年度は企業に対してフリーターやニートと呼ばれる若者の職場体験についてのあっせんを積極的に行うこととしており、こうした取り組みを通じて企業の理解を促してまいりたいと考えております。
    ○副議長 (石橋康弘君)  白岩総務部長。
            (総務部長 白岩 俊君登壇)
    ○総務部長 (白岩 俊君)  青少年にかかわる部局の一元化についてお答えいたします。
     青少年に係る諸課題につきましては、学校教育、家庭の子育て支援、人間力の養成など多くの分野にわたりさまざまな側面からのアプローチがあることから、知事を本部長とする静岡県青少年対策本部や静岡県の人づくりの推進のための人づくり連絡会議を通じて、知事部局、教育委員会及び警察本部が連携した施策の実施を図れるよう努めてきたところです。
     今回の知事部局の組織改正では、部局間の連携、調整の強化のため関係部局を一つの部局に一元化したほか、事業実施部門の部に共通して管理局を設置し企画監という新たなスタッフ職を設けて常に全庁的な課題に対して明快な責任分担のもと、多角的な施策が実施できる体制を整備したところでありますが、議員からお話がありました青少年に係る部局の一元化につきましては、その検討の過程で議論もいたしました。知事部局、教育委員会及び警察本部の組織すべてにかかわることでありましたことから、なお結論に至らず引き続き検討していくこととし、当面は現行の青少年対策本部を中心に新たな全庁調整の仕組みを活用しながら静岡県全体が一層横の連携を図れるよう努めてまいりたいと考えております。
    ○副議長 (石橋康弘君)  これで小楠和男君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     二月二十二日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。

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