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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成22年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

池谷 晴一 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/21/2010

会派名:

平成21


質疑・質問事項:

1 地域主権改革について                      
2 県財政について                         
 (1) 九月補正予算                         
 (2) 今後の財政運営                        
3 静岡型事業仕分けについて                    
4 新しい公共について                       
 (1) 担い手となるNPO等のあり方                 
 (2) NPOに係る寄附金税制                    
5 富士山に係る諸課題について                   
 (1) 富士山世界文化遺産登録                    
 (2) 登山者の安全確保                       
 (3) マイカー規制                         
6 地域資源を活用した新たな観光振興施策について          
7 ハンセン病問題への対応について                 
8 後期高齢者医療制度と国民健康保険について            
9 食の安全への取り組みについて                  
 (1) 新たな「しずおか食の安全推進のためのアクションプラン」の策定                           
 (2) 静岡県食肉流通合理化計画                   
10 ものづくり振興条例について                   
11 静岡県の“みちづくり”の取り組みについて            
12 防災対策について                        
 (1) 自主防災組織の充実と各種台帳の整備              
 (2) 情報通信技術を活用した災害時情報システム           
13 公契約における公正労働の確保について              
14 教育行政について                        
 (1) 静岡県教育振興基本計画                    
 (2) バランスのとれた子供の育成方策                
 (3) 特別支援学校の今後の整備                   
15 特捜イージス、性犯罪被害者支援及び職員の綱紀粛正について



    ○議長(天野進吾君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百十三号から第百二十三号まで及び平成二十一年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、二十番 池谷晴一君。
           (二十番 池谷晴一君登壇 拍手)
    ○二十番(池谷晴一君) おはようございます。
     質問に先立ちまして、去る八月二十一日に御逝去された我が会派所属の同僚議員でもありました故岡本信也議員に対し、謹んで哀悼の意を表します。
     岡本様は四期十五年余にわたり県議会議員として御活躍をされ、特に教育分野では卓越した識見を発揮され県勢の発展に寄与されました。我々は岡本様の遺志を継ぎ、ふじのくに静岡県のさらなる発展に向け、全力を傾注してまいる所存でございます。岡本様の御冥福を心からお祈りいたします。安らかにお眠りください。
     また、九月八日の台風九号は東部地区に多くの被害をもたらしました。特に小山町におきましては住宅の全半壊のほか、道路、河川、農地、農業施設等公共土木施設が多大な被害を受け、被害額は現在のところ約百二十四億円に上っています。
     平成21及び建設委員会におきまして被災状況調査を行うとともに、被災され途方に暮れる皆様の切実な声を聞きました。また十五日には平成21が知事に対し緊急要望書を提出したところでありますが、迅速な災害復旧と同時に被災された皆様の生活再建につきましても、迅速、的確な対応を強く要望いたします。
     それでは、平成21を代表し当面する県政の諸課題につきまして、知事、関係部局長及び教育長並びに警察本部長に質問いたします。
     まず、地域主権改革について伺います。
     現在、国では地域主権改革に取り組んでおり、義務づけ・枠づけの見直し、基礎自治体への権限移譲、国の出先機関の抜本的な改革、そしてひもつき補助金の一括交付金化の四項目が特に重要な検討課題とされています。このうち国が法令で地方の事務を縛る義務づけ・枠づけの見直し、そして補完性の原則に基づく基礎自治体への権限移譲につきましては、部分的にではあるものの具体的な見直し条項及び移譲事務が示され、地域主権関連法案として国会に提出され、また地域主権戦略大綱として閣議決定されたところであります。
     国の出先機関の抜本的な改革では、さきに全国知事会がハローワークや直轄国道、河川を最重点分野として移管を求めることなどを内容とする報告書を政府に提出し、各府省が自己仕分けを行ったところであり、今後、内閣府の地域主権戦略会議において事務権限の地方移譲等の取り扱い方針や工程、スケジュールなどの検討が行われ、またひもつき補助金の一括交付金化については、予算編成過程を通じて内容を決定することとされております。
     さらに、今後の改革では地方税財源の充実確保、自治体間連携・道州制、緑の分権改革などに加え、議会審議の充実方策や長と議会の関係のあり方を含めた地方公共団体の基本構造についても検討することとされており、こうした一連の改革は住民本位の豊かな地域社会と真の民主主義の確立のために、喫緊かつ不可欠なものであると考えます。
     鳩山内閣におきましては、こうした地域主権改革を一丁目一番地の最重要課題として位置づけ、地域主権戦略会議の設置や地域主権関連法案の国会提出など一定の成果を上げましたが、今後さらに大胆な改革を実現していくためには強い政治のリーダーシップが必要と考えられる状況の中、現下の情勢は予断を許さないものとなっております。
     そこで、こうした諸情勢を踏まえ今後の地域主権改革に係る知事の所感を伺います。
     次に、県財政について伺います。
     まず、九月補正予算でありますが、一昨年のリーマンショックに端を発した世界的不況の波は日本経済に大きなダメージを与え、自動車関連産業を柱とした輸出中心型の本県経済にも大きな影響を及ぼしています。県内の有効求人倍率は十八カ月連続で全国平均を下回り、また円は八十円台前半まで急騰し政府・日銀が為替介入しましたが、この円高により三月決算で回復の兆しを見せていた企業の経常利益が再度落ち込むおそれも出てきました。このような厳しい経済状況の中、本県としても緊急的な対応を図る必要があると思いますが、今回の九月補正予算についてこれら諸情勢を勘案しどのような観点から編成したのか伺います。
     また、政府は去る八月三十日に雇用対策や消費促進などを柱とする追加経済対策の基本方針を策定し、九月十日の閣議において予備費を財源に九千百五十億円を投入、事業規模で九兆八千億円となる経済対策を決定いたしましたが、これを受け県として今後どのように対応するのかあわせて伺います。
     次に、今後の財政運営であります。
     平成二十一年度の県税収入決算額は四千百七十八億円余で、平成二十年度決算対比でマイナス千二百三十三億円余、率にしてマイナス約二三%となりました。また平成二十一年度末の県債残高も通常債で一兆九千六百九億円余、臨時財政対策債と病院債を合計すると二兆三千七百八十二億円余となり、通常債の県債残高については目標である二兆円の範囲内を維持し、財政健全化が確保されていることは認められますが、景気の動向、県税収入の先行きを考えると依然厳しい状況が続くことは間違いないところであります。
     さらに、活用可能な基金の額につきましては平成二十一年度決算後で約九十二億円程度であり、財政の中期試算において大幅な財源不足が見込まれる中、平成二十三年度当初予算の円滑、適正な編成を危惧するところであります。知事は本年二月定例会における知事提案説明において、「投資的経費、経常的経費にわたる事業の重点化や効率化、事業仕分けの結果を踏まえた見直しのほか、未利用財産の売却を初めとする歳入の確保などによる財源捻出を図りながら、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを県民の皆様とともに進めていく」と発言されましたが、今後の財政見通し及び国の概算要求の状況も踏まえた来年度当初予算編成に向けた知事の考えを伺います。
     次に、静岡型事業仕分けについて伺います。
     県は去る九月四日、五日の二日間、昨年度に引き続き二回目となる事業仕分けを実施しました。昨年度の事業仕分けでは、県の事業について初めて公開の場で県民や第三者から客観的な評価をいただき、その結果、本年度の当初予算において約三十億円の財源捻出が図られるなど、数多くの成果が得られたものと評価しております。
     今年度も昨年度と同様、外部の専門家や多くの県民に御参加いただき、県が実施している百三事業について仕分けが行われましたが、今年度は静岡型事業仕分けということで昨年度の事業仕分けにおける成果と課題を踏まえ、費用対効果になじまない文化、研究事業などを仕分けの対象外とするとともに、仕分け人に有識者を加え中長期的視点からも評価をいただくといった本県特有の工夫をして実施したと理解しております。その結果、「不要」十六件、「民間で実施」三件、「国・市町で実施」八件などの評価を受けたほか、議論の過程において事業に対するさまざまな意見や提言をいただいたということでありました。
     そこでまず、今年度の静岡型事業仕分けの結果に対して県はどのように評価しているのか伺います。私としては事業仕分けについて、「不要」、「民間で実施」といったそもそも論、「国で実施」、「市町で実施」といった役割分担論、「県で改善」などといった県におけるマネジメント論を一くくりで議論し、費用対効果のみをベースとして結論を出す手法には限界があると考えています。
     一方、経費の使い方を公開の場で検証し、いただいた意見を参考に仕事の見直しを行うといった事業仕分けの考え方については、知事の言われる開かれた県政の実現に向けたものであり、業務棚卸表と組み合わせるなど、今後も何らかの形で生かしていくべきではないかと考えます。
     そこで、これまで実施してきた事業仕分けの考え方を来年度以降、どのように県の行政経営に生かしていこうと考えておられるのか、知事の所見を伺います。
     次に、新しい公共について伺います。
     まず、担い手となるNPO等のあり方であります。
     これまで公共サービスは、行政が一方的に提供する立場、住民は単に供給される立場でありましたが、新しい公共では住民やNPO等の団体が公共サービスの提供者となり、行政は住民やNPO等団体に活動の場を提供し、また信頼して権限も移譲することが求められています。しかしながら権限はどこまで移譲するのか、委託か指定管理か、六月の三ヶ日青年の家におけるカッター転覆事故は記憶に新しいところですが、サービスに伴う責任の所在はどうとらえるのかなど新しい公共の実現に向けては多くの課題もあると考えます。
     一方、これにより行政側からすればコスト削減が図られ、住民側にとっては雇用が促進され、また生涯学習も推進されることになりますが、新しい公共においては住民や住民で組織されたNPO等が公のサービスを一般住民に提供するわけであり、その責任は重くスキルアップも必要で、また公平、透明性も求められると思います。
     新しい公共の担い手となるNPO等のあり方について、県の考えを伺います。
     次に、NPOに係る寄附金税制であります。
     新しい公共の中心となるNPOについては、現在、全国で四万団体を超え、静岡県においては本年九月一日現在、九百五十六団体が誕生しておりますが、多くのNPOが抱えている課題である活動資金の確保策について、アメリカにおいてはチャリティーなどによる寄附の文化が根づいており、税制とも連動して住民側がみずからの考えに沿ったNPOに寄附することができる体制が整っています。しかしながら日本におきましては、寄附に関する税制について恩恵を受ける認定NPOの壁が高く、国内でわずか百七十三団体、県内においては一団体しかありません。
     このような状況の中で地域において活動するNPOを支援するためには、認定NPOの認定基準の緩和を図ることや、認定NPO以外のNPOに対する寄附についても個人住民税の寄附金控除を認めるなど寄附優遇税制の拡充が求められ、国のみならず県、市町においてもNPOに係る寄附金税制の再設計が必要であると考えますが、所見と対応を伺います。
     次に、富士山に係る諸課題について伺います。
     まず、富士山世界文化遺産登録でありますが、本県及び山梨県は富士山の世界文化遺産の早期登録を実現するため、推薦書原案を本年七月末までに国へ提出すべく取り組んでまいりましたが、本県側の柿田川などが構成資産から外された一方、山梨県側の構成資産となった富士五湖について文化財指定に必要な同意取得が困難となり、また包括的保存管理計画の策定に当たって必要な文化財保護法のほか、自然公園法、森林法の適用について関係省庁との最終的な合意に至っていないことや、地元関係者の理解を得る作業に時間を要しているということから、期限である七月末までの文化庁への推薦書原案の提出を見送ることとなりました。これら諸点の調整、解決に今後も手間取るようなことがあれば遺産登録が不可能となる危惧があります。次回は一年後ということではありますが、遺産登録に係る県民の期待感は大きくダウンという感は否めません。
     この課題については静岡県・山梨県学術委員会の審議過程で挙がっていたものであり、さらに言えば構成資産の範囲を拡大したことに起因するとも考えられますが、今後どのように解決し来年の原案提出につなげるのか、またふもとの県東部市町には富士山に係るさまざまな権利を有している方がおられますが、生業、権利等と遺産登録に係る規制の両立などについて十分に理解されているのか伺います。
     次に、登山者の安全確保であります。
     今夏の県内各富士登山口からの登山者総数は十四万人を超え前年度比約一三%増となりましたが、遭難事故も相次ぎ県内で三十九件発生し、死者一人、負傷者十五人という報道もありました。
     富士山には静岡県側に三つ、山梨県側に一つ、計四つの登山道があります。開山は基本的にはそれぞれ毎年七月一日ですが、登山道の道路管理者である両県が残雪の状況や路面、誘導ロープさく、誘導看板、石積み等の調査と補修を行うとともに、山室の営業やトイレの状況などを総合調整し登山者が安全に登山できることを確認の上規制解除するため、残雪が多い年は静岡県側では七月一日から一、二週間おくれて登山道が開通します。
     一方、山梨県においては道路管理者としての規制解除に至る調整作業等は静岡県と同じスタンスであるものの、規制解除前に観光協会など関係団体が独自に雪かきを行い道路を通行可能な状況とするため、静岡県側よりも早期に登山が可能となると聞いています。しかしながら富士吉田ルートと須走ルートは八合目付近で合流しているため、結果、富士吉田ルートから登山した方が下山の際に間違えて須走ルートに入ると遭難が起こります。七月初めに外国人が相次いで遭難したのも下山ルートを間違えたものであります。
     登山道の開通については両県で協議していることは承知していますが、外国人を含み富士登山者は今後ますます増加することが考えられます。登山者の安全を確保するためには、外国人にもよくわかる看板、さく等の設置などの対策や登山道の規制解除方針の徹底、遵守について、山梨県や関係者との協議、調整を一層図ることが必要と考えますが県の考えと対応を伺います。
     次に、マイカー規制であります。
     富士登山にマイカーで訪れる方も多いため、富士宮口、須走口ではそれぞれの協議会においてマイカー規制を実施していますが、規制実施日が統一されていないため規制のない道路、駐車場へ車が集中する傾向があります。すると駐車場に入れない車が道路に違法駐車し、特にカーブや狭隘箇所に駐車した場合、バスや救急車両の通行に支障を生ずることがあります。
     マイカー規制につきましては全国的には尾瀬や上高地などで実施しており、それが当然のことと訪れる方々に理解されていると思います。富士登山に係る道路対策だけのとらえでなく、自然保護、環境保全などの観点からも、県が各市町、観光業者等との協議、調整を行い、例えば現在のマイカー規制を海の日以降の全週末に拡大するなど、検討する必要があると考えますが県の考えを伺います。
     次に、地域資源を活用した新たな観光振興施策について伺います。
     観光振興は国家戦略であり、また二十一世紀のリーディング産業でもあります。世界観光機関によれば、世界の国際観光客数は二〇〇五年の約八億人から二〇二〇年には約十六億人に倍増することが予測されています。これまでの観光は大衆による観光、大量・団体旅行型、物見遊山型が主でありましたが、国民の価値観の変化に伴い行動が団体から個、少人数へと変化し、観光に対する欲求も多様化、高度化しています。さらに中国人観光ビザ発給要件の緩和等により外国人観光客が一層増加する傾向もあり、日本、そして本県の観光を取り巻く環境は大きく変化しつつある状況にあります。
     この変化に対応するため、自然、温泉、農林水産物など豊かな資源を生かした体験の旅や健康増進、ウオーキング、学習の旅など体験型、交流型、着地型ニューツーリズム、いわゆる新しい観光施策の創設が求められており、同時に受け入れる観光地、地域の変化も求められていると考えます。
     この新たな観光施策についてそのキーワードは、体験、参加、交流、ゆっくり・のんびりなど今まで観光用とは考えられなかったもので、地域にとっては入り込み、宿泊だけのとらえ方ではなく、地域外の皆様方との交流や親睦が図られるとともに、将来のリピートにもつながるものとなることが想定されます。
     例えば国立中央青少年交流の家では、不登校や引きこもり、未就業などのニートの若者を対象に自立を支援するプログラムを開発、特徴ある研修を実施し、また小山町では富士スピードウェイでのレーシングカー体験、富士箱根トレイルロード踏破、そして農家グループとの協力で東京の小学生の農業体験など、地域の特性、特徴を生かしたさまざまなメニューが用意され、まさに地域の皆様の主導で地域資源を活用したニューツーリズムを実践しています。
     当県は、富士山、空港、温泉、健康、医療、スポーツなどをキーワードに、これらを組み合わせてストーリー化した旅・観光企画、ニューツーリズムのメッカとなることが可能であると思います。
     観光庁においては、スポーツと観光を組み合わせるスポーツ・ツーリズムの調査を行うこととし、ゴルフやスキーレッスンを組み込んだスポーツクリニックツアーなどの実証実験をこの秋から行うという報道もありました。地域の潜在的な資源を活用し観光客、観光事業者、地域の三者それぞれにとって効果的で、いわゆる三方一両得となる新しい観光振興施策について、県の取り組みを伺います。
     次に、ハンセン病問題への対応について伺います。
     御殿場市にはハンセン病回復者の皆様が入所する施設、国立駿河療養所があります。入所されている方は平成二十年五月一日現在で百十二人、平成二十一年五月一日現在で百五人、そして現在は九十三人と年を追うごとに減少しています。平成十三年五月の熊本地裁判決確定により国がハンセン病に係る施策の過ちを認めてから九年が経過しましたが、世界に類のない隔離政策により人権侵害を受けたハンセン病回復者の皆様の心の傷は今もいえません。
     このような中、昨年四月一日にハンセン病問題の解決の促進に関する法律、いわゆるハンセン病問題基本法が施行されました。ハンセン病回復者の皆様が心待ちにしていた法律ができたわけで、残された人生に光明が見えたと大変大きな期待を寄せましたが、皆様の期待にこたえる施策がいまだ構築されていません。本法律施行によりハンセン病問題への対応がどのように変化したのか、また今後どのような施策が展開され回復者の皆様が幸せを感じる老後を送れるのか、国の考え方もあわせ以下三点について県の考えを伺います。
     まず、法務省においては、新たな人権救済機関人権委員会を設置する方向が打ち出されたという報道がありました。国の誤った施策により人権侵害を受けた国民の救済は、最優先でなされるべきであると考えます。偏見、差別等を受けいまだ心の傷がいえない皆様に対する人権擁護への取り組みについて、例えば中学生用のパンフレットの活用度が低いということも聞いていますが、国の考えを踏まえ県としてどのように施策を展開していくのか、対応を伺います。
     そして、何よりも回復者の皆様が安心して豊かな生活を送れるための環境及び医療の整備が重要であり、早急な対応が望まれますが、当療養所は医療法上、医師が一・八三名不足しており、また療養所の規定では、医師は定員六名、看護師は定員六十二名となっているところを、現在、内科、外科、歯科各一名、計三名の医師と五十四名の看護師しか確保できておらず、当直等に支障を来している状況にあります。ハンセン病問題基本法によれば、まず国が必要な療養を行うものとされ、地方公共団体は国の施策に協力するよう努めるものとなっていますが、入所者から医師等確保について切実な訴えがある中、県として療養所における医師、看護師不足に対し当面どのように対応するのか伺います。
     また、駿河療養所の将来構想に係り御殿場市で検討委員会が立ち上がりました。委員には県職員も入っており、施設の将来のあり方や定期バスの運行等、将来構想案をまとめ本年三月に報告されましたが、療養所の将来構想について県としてどのように考え対応していかれるのか伺います。
     次に、後期高齢者医療制度と国民健康保険について伺います。
     厚労省は、八月二十日の高齢者医療制度改革会議において、後期高齢者医療制度廃止後の新制度について中間取りまとめを公表しました。それによりますと七十五歳以上の約八割が国保に、約二割が被用者保険に加入し、また現状の後期高齢者医療制度においては個人加入で保険料も個人負担であるものが国保となれば世帯単位へ、被用者保険では配偶者や子供に扶養される人は保険料の負担がなくなるなど制度が根本的に変わります。財政については、別勘定で七十五歳以上または六十五歳以上となり、将来的には全年齢で国保運営することが提言されています。
     このような状況の中、国民健康保険の現状を見てみますと、年金受給者世帯の割合が増加するとともに、近年の経済状況を反映し非正規労働者や失業者の加入等により保険料の所得割の基礎となる所得が伸び悩み、また収納率は低下傾向にあり滞納世帯割合も増加しています。このため賦課限度額のたび重なる引き上げや一般財源の追加投入、基金取り崩しなどにより何とかしのいでいる状況にあります。一方、循環器系やがん治療技術の進歩等、医療の高度化により医療費は増加の一途で、国民健康保険の運営は厳しさを増し、このままでは市町村国保は破綻すると言われています。
     この現状から見れば市町村国保がそのまま高齢者を受け入れることは不可能であり、広域連合、あるいは都道府県の運営も検討しなければならない状況にある中、国民健康保険制度の今後をどう見ておられるのか、そしてどのようにしていくべきなのか、後期高齢者医療制度改革が実施された場合も含め県の考えを伺います。
     次に、食の安全への取り組みについて伺います。
     まず、新たなしずおか食の安全推進のためのアクションプランの策定であります。
     県におきましては、生産から流通、消費に至る総合的な食品の安全確保を図るとともに消費者の信頼を確保するため、新総合計画の策定に合わせ本年度中に新たなしずおか食の安全推進のためのアクションプランを策定すると聞いています。
     平成十三年度におけるBSEやノロウイルス、O―157による食中毒の発生、そして今年度は口蹄疫の発生と続き、県民は食に対する不安や不信を募らせています。このような状況の中、まず現プランの進捗状況を伺うとともに、新プランについて、現計画の検証に基づきどのような点を修正、拡充し、三百八十万県民の食の安全・安心を推進していかれるのか伺います。
     次に、静岡県食肉流通合理化計画であります。
     平成十七年度に策定した県食肉流通合理化計画が本年で終了年を迎えます。本計画におきましては、県内四カ所の食肉センター施設の老朽化と稼働率低下が課題とされ、統廃合等による合理化、効率的で衛生的な処理施設整備の推進、食肉センター再編整備などが盛り込まれていましたが、計画終了年を迎える本年その検証結果を伺います。
     また、次年度から五年間の期間における食肉流通合理化計画を本年度策定すると聞いています。御殿場市の食肉センターが市財政圧迫を主な理由に本年三月に廃止され、富士市の岳南食肉センターが豚や馬を受け入れることとなりましたが、東部唯一のこの岳南食肉センター自体も昭和四十年の建築で、他の二施設、経済連小笠食肉センター昭和五十五年、浜松市食肉地方卸売市場昭和五十七年の建築とそれぞれ老朽化している中、どのような方針で計画を策定し、本県の食肉の安全性の確保と流通の合理化を促進していかれるのか伺います。
     次に、ものづくり振興条例について伺います。
     知事は、本年二月定例会の提案説明において、高度なものづくりの技術と農林水産物など本県が有する資源を最大限に活用しつつ、生産と消費を一体的にとらえ、ものづくりとものづかいによる本県の産業構造の転換を促進すると発言され、その実現の一つとして県内企業や関係団体、有識者十四名から成る“一級品”ものづくり委員会を組織し、ものづくり振興条例の制定を検討していると聞いています。
     本県は、日本の自動車産業を興し発展させた本田宗一郎氏や豊田佐吉氏を輩出し、現在の日本の産業、経済振興の基礎をつくった歴史を有し、社会を変革させる創造の土壌を持っていると思います。そして製造品出荷額は、愛知、神奈川に続き全国第三位をずっとキープしているものづくり県であり、ものづくりについてポテンシャルが高い地域であると言えます。
     このような本県において、人、わざ、物といった場の力を経営革新、六次産業化など新しい視点で活用するものづくりとものづかいにより産業の発展を促し、さらに環境や健康、医療、ロボットなどの成長分野へつなげ、本県経済の一層の発展と県民生活の向上を目指すことは大変重要な施策であると考えます。その柱となるものづくり振興条例について、理念と施策の基本方向について知事の考えを伺います。
     次に、静岡県の“みちづくり”の取り組みについて伺います。
     新聞報道によりますと、道路利用のニーズを示す将来の交通量予測について、二〇三〇年の交通量は二〇〇八年の予測値をさらに四・八%減少ということでありましたが、県内の道路は深刻な交通渋滞や人身交通事故、災害による通行どめなどが相変わらず発生し、その整備は質、量ともにいまだ不十分な状況にあります。少子高齢化社会の急速な進展や地球規模での環境問題の深刻化、さらに厳しい財政状況に加え、道路特定財源の一般財源化や維持費用の増大など道路を取り巻く社会情勢は大きく変化し、加えて依然として地域からは道路整備の強い要望があります。
     このような中、県におきましては平成二十年度に、おおむね十年間の施策や事業の選択と集中の基本的方向を示す道路ビジョンと、五年間に重点的に取り組む施策や主要事業箇所等を示す道路重点計画から成る静岡県のみちづくりを策定しました。
     そこで、本計画においてまず、快適に人やものが行き交う地域づくりを支える道路整備を基本理念とする道路ビジョンについて、その柱である選択と集中の方向性をどのように進めているのか伺います。
     次に、道路重点計画の中間年に当たる本年時点における本計画の進捗状況と課題、対応を伺います。
     そして、事業化に先立ち、地元や市町と事業効果や問題点を話し合い、事業着手から完成までのスピードアップを図るため新たに導入した事業着手準備制度について、その成果を伺います。
     次に、防災対策について伺います。
     まず、自主防災組織の充実と各種台帳の整備であります。
     防災先進県である本県は、自主防災組織の組織率についても全国トップクラスでありますが、平成二十一年度の自主防災組織実態調査におきましては、避難地や装備品等を記入した自主防災組織台帳については約五〇%、世帯構成員の属性や居場所等を記入した世帯台帳については約五七%、応急措置や救出救助に活用できる資格や技能を持った人材をまとめた人材台帳については約一二%、地域に在住する独居高齢者、障害のある方などを記入した災害時要援護者台帳については約三八%の作成率となっています。いざというときの初動災害対策を担い行政等関係機関の到着につなげる自主防災組織の充実のためには、これら各種の台帳を作成、整備し、いざというときに備えることが大変重要であると考えますが、進んでいない現状にあります。
     私は、その要因の一つとして個人情報の保護における過剰反応という点があると考えます。平成十七年四月に施行された個人情報保護法や行政機関個人情報保護法等の制度は、人格尊重の理念のもとあくまで保護と活用の二面の調整を図るものであり、市町と住民の間においては市町の条例により必要な情報提供が可能で、また住民同士の関係となる自主防災組織内においては、個人情報保護法や条例の適用がないと解釈していますが、社会全体としては個人情報保護を盾に情報提供を拒む風潮があると思います。特にその世帯にどのような方が何人いるのかという情報がなければ適切な対応ができず、また近所の医師、看護師等の資格を持った方に緊急対応をお願いする、あるいは耳が不自由な方、ひとり暮らしの寝たきりの方などへの適切な避難勧告、避難誘導もその情報がなければ不可能であります。
     先月には、住民基本台帳には記載があるものの、所在不明な高齢者の問題が大きく報道され話題となりましたが、地域コミュニティーの復活という観点からも、地域がつくるこれら台帳の有効性が再認識されたと言えると思います。そこで今後、これら台帳の作成、整備をどのように促進し自主防災組織の充実につなげていくのか、課題と対応を伺います。
     次に、情報通信技術を活用した災害時情報システムであります。
     昨年八月に発生した駿河湾を震源とする地震において、県は迅速に災害対策本部を立ち上げるとともに、職員の参集、市町などからの被害等の情報収集を円滑に行ったと評価されますが、想定される東海地震では職員の参集が困難となることが予想され、少人数でも迅速かつ的確な初動態勢をとることができるよう工夫が必要と指摘されています。
     東海地震等の大規模災害時において人命救助を有効に行える時間は、発災後七十二時間と言われており、その間に崩壊建築物等からの救出救助、負傷者への医療提供などを迅速かつ的確に実施し、同時に避難者に対する対応などさまざまな応急対策も開始していかなければなりません。
     このような同時多発の災害対策に少人数で的確に対応するため、近年、進歩の著しいGIS――電子地図を活用し、平時から道路やヘリポート、避難所、救護所などの災害応急対策に必要な情報を整備し、市町のみならず国や自衛隊、ライフライン関係機関等との情報共有を推進することは大きなメリットがあると考えます。また地上デジタル放送や携帯電話の普及に伴い、これら新たな情報媒体による県民への情報提供の有効性が高まっており、災害時の有効活用も検討すべきであると考えます。
     本九月補正予算に、情報通信技術を活用した災害時等広域連携強化事業費が計上されていますが、災害時情報システムへどのような機能を盛り込む計画であるのか、そして、事業実施に当たっての課題、整備スケジュールなど今後の対応を伺います。
     次に、公契約における公正労働の確保について伺います。
     昨今の厳しい経済状況を背景とした公共サービスの効率化やコストダウンの要請、受注競争の激化などの影響により、県の公共工事や委託事業等の発注においても低価格受注が増加しており、事業を請け負う企業においては、さまざまな点でのコストダウンや利益の圧縮など可能な限りの企業努力を行っていますが、このような状況の中、著しい低価格による受注の場合には、品質への影響はもとより下請業者やその労働者へのしわ寄せなどが懸念されるところであります。
     住民の税金を投入して施行する公共事業に従事する労働者の労働条件は発注者である公共機関が確保する責任があるというILOの考え方もある中、賃金ダウンや正規雇用から非正規雇用への転換、不十分な安全対策、解雇等、労働条件を悪化させ、あるいは下請、孫請業者へそのしわ寄せを行うなどの行為は許されないと考えます。公契約については、もとよりその事業経費が税金で賄われることから、より効率的かつ安価に遂行することを求められるところでありますが、他方、地方公共団体は公共サービスの実施に当たっては、労働者の適正な労働条件を確保する必要があると考えます。
     県におきましては、低入札価格調査制度等によるダンピング対策の強化や、価格と品質で総合的にすぐれた調達を目指す総合評価方式の拡大などの取り組みを進めていることは承知していますが、さらにそのような取り組みを強化しつつ、公正労働の確保についても十分な対応が求められると思います。
     公契約に係る県の最近の取り組み状況について伺います。また全国では野田市において公契約条例を制定し、公正労働の確保に向けての取り組みを進めていると聞いていますが、本県の今後の方向性について伺います。
     次に、教育行政について伺います。
     まず、静岡県教育振興基本計画であります。
     今年度末までの策定を目指している県教育振興基本計画につきまして、平成二十三年度からおおむね十年先を見通した基本構想と四年間に取り組むべき施策の方向を示した基本計画の素案が示されました。有徳の人の育成を基本目標にライフステージに応じた学びの場の充実を図るとともに、家庭、学校、地域、そして職場との連携を推進するということでありますが、この点につきましてはその重要性が指摘されて久しく、過去においてもさまざまな計画においても取り上げられている最重要課題であり、この課題につきまして過去の検証を含め現状における認識を伺います。
     また、義務教育段階における教育につきましては、その重点をどこに置くのか、またその実現のためには人的にも物的にも豊かな教育環境の整備が必要であると考えますが、具体的にどのようなタイムスケジュールで施策を構築し実現を図るのか、現時点における考えを伺います。
     次に、バランスのとれた子供の育成方策であります。
     全国学力テストが実施され、今さまざまな課題や意見が出ています。子供たちにとって学力向上は重要でありますが、学校卒業後のほうが人生は長いわけで、人間関係能力の形成も一方では重要課題であり、将来の社会生活の基礎を培う大変重要な子供の時代に、教育が学力向上だけに特化してよいのか疑問があります。
     昨年末に国立青少年教育振興機構が実施した調査結果によれば、子供時代に魚釣りをし、花を育て、昆虫をとり、友達と隠れんぼをし、地域の祭りに参加し、あるいは家の掃除を手伝った子供たちは、物事に対する意欲や人間関係能力、規範意識、職業意識が高いということであります。また各年代における遊びや体験が大人になってからの共生観や規範意識などと強く関係しており、その経験が豊富な人ほどやる気や生きがいを持っており、学歴や年収も高い傾向があるということでありました。
     子供たちの健全育成において体験活動が重要であることが調査結果で明らかになったわけであり、子供の発達段階に応じた適切かつ効果的な体験カリキュラムを樹立し、地域、家庭とともに実践することが必要と考えますが、学力向上と同時に社会的な適応能力、人間関係能力を高め、バランスのとれた子供たちを的確に育成する施策について伺います。
     次に、特別支援学校の今後の整備であります。
     特別支援学校につきましては、平成十八年度に策定した基本計画に基づき学校整備を順次進めるとともに、計画に示した以外の地域、例えば私の地元であります御殿場特別支援学校等においても、校舎増築を進めていただいている点は評価しております。しかしながら児童生徒の増加が続く特別支援学校の整備につきましては、多くの議員の質問に取り上げられるなどいまだ全県的な課題があり、さきの六月定例会における伊藤議員の質問に対し、教育長から基本計画に続く新たな計画の策定に取り組んでいるとの答弁がありました。
     そこで、新たな計画では全県的な課題にどう取り組むのか、その策定方針について伺います。
     また、我が会派で志太榛原地域への特別支援学校整備について繰り返し質問で取り上げてきた中、七月末には文教警察委員会が藤枝特別支援学校を視察し、厳しい教育環境の中で子供たちが学んでいることを改めて認識したとの報告を聞きました。教育長は志太榛原地域の特別支援学校整備について最重点課題であるとの認識を示しておられ、喫緊の課題であると考えますが具体的な対応について伺います。
     最後に、特捜イージス、性犯罪被害者支援及び職員の綱紀粛正について警察本部長に伺います。
     県警では、今春の組織改編により子ども・女性安全対策室――特捜イージスと街頭犯罪捜査係――特捜イーグルを発足させるとともに、昨年度発足させた鉄道警察隊特務係――特捜イエローをあわせ、県民を守る特捜三部隊を設置したと聞いています。中でも子供と女性をねらった犯罪を集中的に取り締まる特捜イージスは、痴漢や強制わいせつ、公然わいせつなどの性犯罪被疑者を多数摘発しているとその活躍を報道されています。性犯罪は一歩間違えば殺人などの重大事件につながりかねず、また被害者の心に大きな傷を残す卑劣な行為であり、性犯罪の発生は県民に大きな不安を与えるものであります。社会的弱者である子供、女性を守り、性犯罪を犯す者を徹底して取り締まることは極めて重要で、県警に寄せる県民の期待も大きいものと考えます。
     そこで、県警が誇る特捜イージスの活動内容及び設置の効果を改めて伺います。
     次に、これまで性犯罪により多くの被疑者が逮捕されておりますが、当然のことながらその陰には被害者も多く存在しています。こうした不幸にも犯罪に遭われ体や心に深い傷を受けた被害者に対しては、治療やカウンセリング等により事件に起因して生じるさまざまな障害を取り除くことが重要と考えます。こうした性犯罪被害者に対して県警ではどのような支援を行っているのか、支援施策について伺います。
     最後に、県警本部の課長補佐が電車内で女子高校生のスカートの中をビデオで隠し撮りをし、県迷惑防止条例違反で逮捕されるという信じがたい事件がありました。これを受け県民の信頼回復に向けた警察職員の綱紀粛正をどのように進めていかれるのか伺い、私の質問を終わります。(拍手)
    ○議長(天野進吾君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 池谷議員にお答え申し上げます。
     初めに、地域主権改革についてであります。
     地域主権改革というのは、明治維新以来、日本がその国力を上げるために東京にその力を結集してきた、その時代の百四十年間を振り返りますと、その功罪が明らかになって中央に集中することの弊害が明らかになったということから、これからは日本を一つの中心ではなくて多中心にしていくということから、地域が民意を十分に反映しながらそのあり方について自立的に決定し、地域の持っている資源や個性を生かすことができる方向というものが求められているものでございます。
     国のほうでは既に一九九五年――平成七年に地方分権推進法が成立いたしました。自民党政権下で成立したもので、鳩山政権で一丁目一番地になったのは別に党派による政策の違いということではなくて、この地域分権というのは日本の国が求めている共通の課題であるというふうに理解しております。この間、国と地方が対等・協力の関係に改められるための機関委任事務の廃止など大きな成果を上げた部分がありますが、一方で地方税財政改革や地方の事務執行に対する国の関与がまだ存在しておりまして、課題も多くあります。
     こうした中で、現在の政府が取り組んでいる地域主権改革では、去る六月に閣議決定されました地域主権戦略大綱におきまして、ひもつき補助金の一括交付金化や法令による義務づけ・枠づけの見直しなど地域の自立のための改革の道筋が示されました。その点は一定の評価ができるものと考えておりますが、補助金の一括交付金化を唱えた小沢さんに対して菅首相の側は、ややその点において腰が引けてたかというふうな印象もございます。
     大綱におきましては、地域主権改革の先にございます日本の国がどういうものであるのかが明確になっていません。政治主導で官僚の権限を政治家がしっかり実行するということ、また税源、これを地域に移すというようなことが言われておりますけれども、その後、徳川時代が三百諸侯から成っていたものを東京中心にして富国強兵を目指すと、そして廃藩置県をして中央集権の実を上げるといったようなことを踏まえた、それに対応したような国のビジョンが示されていないところがございます。県といたしましては、国政を預かる人々に対しまして、いわば地域主権のモデルをふじのくにとしてつくっていくのだということの御説明を機会のあるごとに申し述べてまいりたいと存じます。
     一方、県内におきましては、基礎自治体への権限移譲をさらに進めるふじのくに権限移譲推進計画を新たに策定しております。これは平成十年度から平成二十一年度までに、三年ごとに第一次から第四次の権限移譲推進計画を策定してまいったものでございます。こうした権限移譲は日本で一番を誇るものでございますが、しかし考えてみれば、例えば湖西の職員の方が御殿場の事情によく通暁されてるかどうか、あるいは小山町、御殿場の方々が南伊豆町の事情に通暁されてるかというとなかなか怪しいと。同じように国の方から見ると、我々の県は例えば富山県なり鹿児島県なり北海道のことについてよく知ってるかというとそれは怪しいと思います。そうしたことからこの県内におきましても、県の職員と市町の職員の方が交流をもっと密にいたしまして、県全体の中で各市町の占めている状況がよくわかるようにして、市町の実力を県の中でのバランスを考えながら上げていただく。その特性を伸ばしていただくようにしていってもらえるような、そういう人材をつくり上げてまいらねばなりません。
     三位一体、すなわち権限、財源、人材の移譲を進めるために新しい計画は今のところふじのくに権限移譲推進計画というふうにうたっておりますが、むしろふじのくに地域自立推進計画を策定いたしまして、国のモデルになるような小さなふじのくにという中における地域分権のあり方のモデルを志向してまいりたいというふうに考えております。
     次に、県財政についてのうち、まず九月補正予算についてでございます。
     九月補正予算につきましては、平成二十二年度当初予算を年間総合予算として編成しましたことから、その後の事情変化等によって必要となった義務的事業等に限って編成する方向で編成作業に入ったものでございます。
     しかし、有効求人倍率は徐々に回復の基調が見えてはまいりましたが、議員御指摘のとおり全国平均を下回りまだ〇・四九と、有効求人倍率が全国は〇・五三でしょうか、のように厳しい状況にございますので、その中でまた急激な円高が進行したということで、本県におきましては八月三十一日に経済産業政策会議を開催いたしまして、円高対策として地方が対応し得る中小企業対策などについて、必要な措置を機動的に講じていくことといたしました。
     これを受けまして九月補正予算には、公募方式による雇用創出事業の拡充、高校生の就職内定率の向上を目指す就職支援コーディネーターの設置などの雇用対策、中小企業の販路開拓支援、相談体制の充実などの円高対策を盛り込んだところでございます。このほかこの春の茶の凍霜害を踏まえました茶業経営対策などの危機管理対策、被災住宅の再建に対する支援などの災害対策、子育て支援の充実等にも対応してまいります。
     国の追加経済対策につきましては、県としても呼応するものにつきましてはスピード感を持って対応することが必要でございますので、内容が判明したものにつきましては補正予算を今議会に追加提案いたしまして、県内の雇用・経済状況を下支えしてまいりたいと思います。
     前後いたしますが、先日の台風九号に伴う大雨により小山町を中心に大きな被害を受けました。私も二度現地に入りまして、その折に池谷県議ともお目にかかったわけでございます。一方、土砂が流された結果、単に小山町という内陸だけではなくて、宇佐美、伊東、川奈などにおきましても流木被害が出ました。私はそちらにもきのう参りまして、宇佐美、伊東のほうはそれなりに流木などは一部散見される程度でございましたが、まだ川奈港におきましては流木が陸地に上げられていると。それだけでなくて、アシが目に見えない海底にたまっていると。それをダイバーが一生懸命引き上げて、それを赤い袋に入れてその処分を待っているという状況で、イセエビ漁ができないという状況がきのうの段階でもわかっております。こうした中で早期の復旧が必要でございますので、災害復旧費にかかわる予算につきましても今議会に追加提案をさせていただく予定でございます。
     次に、今後の財政運営についてでございます。
     当初予算時に作成いたしました財政の中期見通しにおける平成二十三年度の財源不足額は、ほぼ四百四十七億円から五百三十六億円と見込まれております。二十一年度決算後の活用可能基金は九十二億円にとどまり、財源不足額を補うには到底至らない状況でございます。また八月末に示されました国の平成二十三年度の地方財政収支の仮試算におきましては、来年度の地方税収入は本年度より若干伸びるものの、地方税を含む一般財源総額は二十二年度と同水準に据え置く方針となっておりまして、社会保障関係費等の義務的経費の増加が見込まれる中、厳しい予算編成になるものと考えております。
     一方、来年度は新しい総合計画のもとに富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの実現に向け、各種施策を着実に進めていく必要がございます。こうしたことから来年度当初予算編成に当たりましては、先ごろ実施いたしました事業仕分けの結果やふじのくに行財政革新戦略会議、国における議論を踏まえて政策的経費全般の見直しを進める中で、歳出のスリム化と歳入の確保についてあらゆる手法を駆使し、財源不足額の解消と新しい財源捻出に取り組んでまいります。
     次に、静岡型事業仕分けについてであります。
     今回の事業仕分けにつきましては、仕分け作業に参加された方々、また傍聴された方々の双方から、説明する職員、仕分け人をお願いいたしました県民委員とともに、レベルが上がったという評価をいただいております。昨年度よりも内容の濃い議論が行われたものというように、現在のところ理解しております。
     結果といたしましては、全体の八割を超える事業で何らかの改善の指摘があるという厳しいものでございました。この結果を真摯に受けとめまして、議論の過程でいただきましたさまざまな御意見、御提言について十分に検討し、特に不要とされた十六事業につきましては、県民の皆様にその後の見直しの方向性をわかりやすく説明してまいります。
     どういう方法でやるかということを考えておりますが、十六でございますので、しかも大半が教育関係であったということもございます。私も大変関心を持っておりまして、その不要事業についてどのように今、改善ないし処置をするかということについて、記者会見等を通じてその都度御説明申し上げまして、最終的に先生方の御議論も踏まえて当初予算に盛り込んでまいるというようにして、わかりやすくこの不要とされた事業についての我々の対応方針を御説明申し上げ、それを最終的に決断に持ってまいりたいというふうに思っております。
     また、当日は多くの方々が傍聴に訪れられましてマスコミにも大きく取り上げられました。県民の皆様に県の事業を知っていただいて、県政への参加意欲を、また参加意識を高める上で効果があったものと考えております。
     一方で、事業仕分けの進め方につきましては、論点の整理や議論の時間、さらには説明資料や説明方法など改善する余地も多いものと考えております。説明をするのは、議場におきましてはこういう部長さんなどがするわけですけれども、事業仕分けにおきましては実際に案を練っている最前線の課長さん、あるいはそのレベルの方々が議論をいたしますので、やはり議場とは違った緊迫感がございます。そうした中で、三十分のやりとりは適切に行われる場合もやや時間不足を感じられるときもございましたが、最終的に判定結果を仕分け人がコーディネーターによって手を挙げる場合、大体見ている方々の判断とそう変わらないという結果が出ております。
     判定人の結果がおかしいというようなことはあまりなかったように思います。それはマスコミがすべての、ほぼすべての事業仕分けに目を光らせておりますから、そういう点におきましても、もしもそうした議論の内容と判定の内容とがそごいたしますと、当然それに対する批判が出てくるでしょうけれども、必ずしもそういうものは見受けられなかったというふうに理解しておりますので、したがって来年は仕分け人と判定人を分けることも考えられる。それから事業によっては三十分を一気に一時間とは言わないまでも、舌足らずでしか説明できないような課長さんもいらっしゃいますので、そうしたことも勘案いたしましてもう少し時間を延長するなど、そしてまた事業もほぼ大きなものについては昨年、今年度といたしておりますので、もう少し丁寧にするという方法をも考えられる、すなわち改善の余地はまだあるというふうに考えております。
     このような成果と課題を踏まえまして、今後は職員が県民の皆様に直接説明する――私も含めてでございますけれども――そのような機会の拡大を図ることや、事業仕分けを含め事務事業の見直しの新しい方法について、行財政革新戦略会議などの御議論をいただいた上で、より一層の工夫を加えた取り組みを検討してまいります。
     次に、富士山にかかわる諸課題についてのうち、富士山世界文化遺産登録についてであります。
     議員御指摘の推薦書原案提出に当たって課題となっております富士五湖の文化財指定につきましては、山梨県におきまして八月に世界遺産推進課内に対外調整室が設置されました。体制を強化して、地権者などから同意取得作業の年内完了に向けて全力で取り組まれているとのことでございます。包括的保存管理計画の策定に当たっての関係省庁との合意につきましては、文化庁において自然公園法等の適用範囲や基準について、環境省や林野庁等と最終的な合意に向けた協議を行っているところでございます。
     この計画にかかわる地元関係者の理解につきましては、本県におきましては地元の市町、観光協会、登山組合、神社関係者等で組織する保存管理計画協力者部会を設置いたしまして、関係者の意見を計画に反映しておりまして、地元関係者の理解は得られているものと考えております。山梨県におきましても、富士五湖の文化財指定の同意取得作業等に合わせて地元関係者の理解を得られるように、本県でもし御協力できることがあれば積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
     さらに、県東部市町の富士山に関係した生業、権利等と登録にかかわる規制との両立につきましては、文化財保護法などによる既存の規制が基本であり、山小屋や林業等の生業や入り会いの権利等に影響を及ぼさないことを関係者に説明し、御理解をいただいております。引き続き関係市町と連携し情報を提供するなど、関係者の御理解を一層深めてまいりたいと思います。県といたしましては、山梨県や関係市町村、地元関係者との連携を密にして、来年の文化庁への推薦書原案提出に向け遺漏なきよう万全を期してまいる決意でございます。
     次に、地域資源を活用した新しい観光振興施策についてであります。
     観光の形態が議員御指摘のように団体旅行から個人旅行へと大きくシフトしております。自然環境や産業、文化などの地域資源を活用した新しいツーリズム、ニューツーリズムの創出が不可欠になっています。県ではそれぞれの地域の場の力を引き出して魅力を高め、それを人々に楽しんでいただく、人生を豊かにしていただくということができるように、そうしたことをマネージできる人材の育成やニューツーリズムの旅行商品化の支援などを行っているところでございます。
     例えば、これまで地元の魚でつくる押しずしづくりや芸妓さんのおけいこへの参加など、さまざまなプログラムから成る熱海温泉玉手箱、これも人気を呼んでるということでございます。また地域の五つの寺院が協力し、座禅や写経など僧侶の修行を体験する袋井の三日坊さんの旅のように、これまで観光と結びつけられなかった資源を活用した旅行商品も誕生しているわけであります。
     考えてみれば、スポーツもツーリズムになる、あるいは産業もツーリズムになると。それの最大のものが北京のオリンピックであり、あるいは上海万博であると。こうしたことはスポーツの祭典であると同時に世界じゅうの方々がそこに訪れ、あるいは魅力を感じて新しくまた訪れるきっかけにもなるということでございまして、こういう交流を通じて平和を築いていくという、そういう大きな使命もございます。
     そうしたことで、医療ツーリズム、あるいは食材を利用した食文化のツーリズム、B級グルメの全国コンテストというのも私はそれの一つだというふうに思いますし、本県にはモンゴル村というのがまかいの牧場にもございまして、お茶とバターをまぜたモンゴルのお茶だとかB級グルメになりそうな食品もあるのは御存じでしょうか。そのような日本で唯一のものもございまして、こうしたものを活用いたしますと、私は新しいものから古いものまで、本県の持っているいろいろな地域資源を活用して人々を呼び込むことができると。
     そのインフラ整備も今、着実に進みつつあるということでございますが、それにも増してやはり人々が自分たちの生活している地域というものについてよく知って、よく説明ができるだけの力を身につけて。これから二〇二〇年には十六億人になるというふうに予想されてる、日本におきましても二〇二〇年には二千万人とも三千万人とも言われるインバウンドのお客様を迎えようとしておりますし、本県におきましても二倍、三倍もお越しいただくような方々があっても全く不思議ではないというふうに思っております。そのためには先ほど御指摘ございました標識も、日本語とアルファベットと中国語とハングルというのはどこでも当たり前だというふうにするようなことも含めて、私は地域の方々がみずからのものが国際的に通用するのだという、そういう自信を持つためにしっかりと地域の勉強をしていただきたいと思っております。
     各地域が連携をいたしまして、魅力のある商品づくりや情報発信力を高めるための広範、広域的な組織づくりも支援してまいりたいと思っております。新しくつくられました体験型旅行の販売促進のための商談会を実施する予定でおります。時代に即応したニューツーリズムの振興に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
     次に、ものづくり振興条例についてであります。
     本県は豊かな水、大地等の資源に恵まれるとともに、東西大都市圏の中間的な位置にあることから、人、わざ、物の交流が活発で我が国有数の場の力を有し、これまでに進取の気質と報徳の精神を備えた多くの企業家が生まれてまいりました。ものづくりは、本県経済の発展と県民生活の向上に大きく寄与してまいったものでございます。
     しかしながら、現在、世界経済は新興国の経済成長や環境問題への対応など、新しい枠組みや価値観への転換期に当たっておりまして、ものづくりを取り巻く状況は大きく変化してきているものと認識しております。むしろ端的に言えば、日本だけがものづくりの圏でなくなっているということであります。中国もあるいは東南アジア諸地域も、その他アジア、インドを中心にした南アジアも、ものづくりを進められているということなのです。ですからものづくりだけが能ではないと思います。
     本県のものづくり産業が引き続き発展していくためには、ものづくりに携わる人々が地域のすぐれた人、わざ、物を新しい観点で組み合わせを変える、物の使い方を変えてみる、変えることがものづくりになります。プロデュースをするということは新しい結合をすることでございます。物の使い方について考える、従来の使い方しかないのだと思わない、新しい使い方が何かないかというように発想を転換していただくと。ものづくりとものづかいというものが一体的にならないと、既存のものづくりをしていくだけでは、将来先細りになりかねないという危機感を持っているものでございます。
     新しい価値を持つ商品やサービスを人々に提供していくことが、今ほど求められているときはありません。人々がものづかいの能力を高めて、それがものづくりの能力をさらに高めるという循環を生んでいくということが大切です。ものづくりとものづかいの両面ですぐれた人が育つと。目ききが育つことがとっても大切でございまして、これはこの方向に使えると、医療に使えると、必ずしもビークルだけではないといったような、そういう目ですね、こうした目ききが今求められています。こうした人の力、そして我々が持っているこの場の力を結びつけて経済の発展につなげてまいりたい。これが条例の目指すところでございます。
     施策の基本方向として新しい事業分野への進出は支援いたします。農工商連携、産学官連携など多様な連携の推進をしてまいります。六次産業化や経営革新の取り組みへの支援も行います。ものづくりとものづかいの能力を備えた人材の育成などにも取り組んでまいります。
     結合の仕方というのは物だけではなくて組織もそうであります。生産方法もそうであります。それから市場と生産地域とのこの組み合わせもそうでございます。生産の現場から最終的な消費地に至るまで、組み合わせを変えられるかどうか考えてみるということが大切であるというふうに思っておりまして、そういう思いがこの条例には込められております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○議長(天野進吾君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 新しい公共についてのうち、担い手となるNPO等のあり方についてお答えいたします。
     県では、NPOを新たな公共的サービスの担い手として位置づけており、NPO活動を市民が行う自由な社会貢献活動として、その自立性を損なわないよう側面的な支援に努めてまいりました。現在、県内には九百五十六のNPO法人があり、県、市町との協働や自主事業により、まちづくり、環境保全、子育て支援、障害者の自立支援、道路・河川等の美化などさまざまな活動を行っています。
     これまでも、県、市町ではNPO等への公共サービスの実施を委託する場合にあっては、事業契約において運営の透明性や事業の公平性の確保を求めてまいりました。今後は、新しい公共の担い手としてNPO等の活動領域が拡大しその役割も重要になってまいりますことから、県といたしましては、NPO等の社会的責任や活動のあり方を示すとともに、個々の団体の情報開示を促進し組織運営についての研修を充実するなど、NPO活動に対する一層の支援に努めてまいります。
    ○議長(天野進吾君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 新しい公共についてのうち、NPOに係る寄附金税制についてお答えをいたします。
     公益活動に係る税制につきましては、昨年十二月に閣議決定されました税制改正大綱で検討課題となりましたことから、国におきまして市民公益税制プロジェクト・チームが設置をされ、新しい公共に係る税制面の課題についての議論が行われ、その成果が本年四月に中間報告書としてまとめられております。
     この中間報告書におきましては、寄附を行った個人の所得税からの税額控除制度の導入や認定NPO法人の認定基準の見直しなどに加えまして、国の認定を受けていないNPO法人への寄附金につきましても、地方公共団体が条例に基づき指定することにより、個人住民税からの税額控除ができる制度の創設を掲げておりまして、これを受けてNPO法人に対する税制上の特例措置の拡充などが、内閣府の平成二十三年度税制改正要望に盛り込まれたところであります。
     県といたしましても、寄附金税制の拡充は公益活動の担い手として地域において活動するNPO法人の支援にもつながりますことから、今後の税制改正の動向を注視して適切に対応してまいりたいと考えております。
    ○議長(天野進吾君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 富士山に係る諸問題についてのうち、初めに登山者の安全確保についてお答えいたします。
     登山者の安全を確保するための標識類につきましては、これまでも道の分岐点を中心に設置してまいりましたが、さらにわかりやすく景観に配慮したものとするため、国、山梨・静岡両県及び関係団体で組織する富士山標識関係者連絡協議会による検討を踏まえ、昨年度、各登山道に試行的に設置し、その効果を検証した上で本年度から来年度にかけまして各道路管理者が四カ国語併記の標識類への更新を進めております。
     また、通行規制解除につきましては、道路管理者として残雪や登山道施設の設置・復旧の状況、山小屋やトイレの準備状況などを調査し、登山者の安全確保が十分に可能となってから行っております。本県側は、地形条件から残雪が遅くまで残りやすく解除時期がおくれることがあり、その場合には山梨県が必要な危険防止対策を実施することとしておりますが、具体的には八合目の下山ルート分岐点において静岡県側への誤進入を防止するため、標識や誘導ロープの設置等を実施しております。
     県といたしましては、今後も増加する見込みの登山者の安全の確保に向けて、山梨県との連携をこれまで以上に強化しながら、対策の確実な実施及び新たな課題の把握と改善に努めてまいります。
     次に、マイカー規制についてであります。
     マイカー規制の期間につきましては、富士宮口及び須走口のそれぞれの登山口において、毎年、国や県、市町、公安委員会、観光協会、交通事業者などから成る協議会が決定しており、富士宮口では平成六年の七日間から現在の十七日間に、須走口では平成十九年の三日間から現在の六日間に、規制日数をそれぞれ拡大してまいりました。
     こうした中、富士山の世界文化遺産登録に向けた機運の高まりや富士山静岡空港の開港などもあり、富士山を訪れる登山客や観光客が年々増加し、マイカー規制期間外の週末における交通混雑が激しくなっていることから、登山シーズン中の規制期間外の週末につきましても、ガードマンによる交通誘導を実施しております。
     環境保全や渋滞解消等の効果が期待できる規制期間のさらなる拡大につきましては、地域の観光産業への影響や実施費用などの課題もあることから、現在、各協議会におきまして対応策に関する意見交換を重ねているところであります。県といたしましては、各登山口の状況や他県の事例なども参考にしながら富士山周辺市町等関係者の意見を十分伺い、利用者の方々に御理解いただけるマイカー規制のあり方を検討してまいります。
     次に、静岡県の“みちづくり”の取り組みについてであります。
     道路ビジョンに示す選択と集中の具体的な取り組みといたしましては、新東名高速道路や富士山静岡空港へのアクセス道路及び金谷御前崎連絡道路等への予算の集中化並びに道路施設長寿命化緊急対策事業への今年度からの着手など、五つの重点施策ごとに重点箇所の選択と予算の集中化を進め、事業効果の早期発現に努めております。
     道路重点計画につきましては、十三の成果目標に対しまして、橋梁の耐震化や渋滞対策など大半が目標年度に向けて順調に進捗を見せている一方、地域の孤立を防止するための防災対策の進捗が十分でないなど、一部で厳しい財政状況の影響も生じることから、今後とも効率的な予算執行を図り着実な進捗に努めてまいります。
     また、事業着手準備制度につきましては、地域住民と課題や問題点を話し合うワークショップを昨年度は二十カ所、今年度は十五カ所実施し、着手準備の整った十カ所について事業着手したところであり、この中では住民と行政との相互信頼が醸成されるとともに、住民による自主的な地域活動への発展も見られるなどの成果が得られております。県といたしましては、静岡県のみちづくり計画や今後策定される新総合計画を踏まえ、選択と集中の観点から県民とともに地域を支える道路づくりを進めてまいります。
    ○議長(天野進吾君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) ハンセン病問題への対応についてお答えをいたします。
     いわゆるハンセン病問題基本法においては、国の隔離政策に起因したハンセン病問題の解決を図るため、国及び地方公共団体の責務を明確にすることにより、ハンセン病の患者であった方などの名誉を回復するとともに、福祉の増進等の措置を講ずることが求められております。
     本県におきましては、本年三月には人権ドラマ劇場「未来への虹」のテレビ放送を行ったほか、六月二十二日のらい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日に合わせ、県庁では初めてハンセン病パネル展を開催したところであります。県といたしましては、引き続きさまざまな機会をとらえ、教育委員会等とも連携しながらハンセン病への理解を深め人権意識を啓発するため、より効果的な啓発活動に取り組んでまいります。
     また、国立駿河療養所の医師不足についてでありますが、ハンセン病問題基本法では、国立ハンセン病療養所における医療及び介護に関する体制の整備については国の責務とされておりますことから、設置者である国に対して体制の確保を求めてまいりたいと考えております。なお県といたしましては、本県のホームページにおいても国立駿河療養所の医師募集について掲載することなどにより、引き続き医師確保等、国の施策に協力してまいります。
     国立駿河療養所の将来構想につきましては、御殿場市の将来構想検討委員会が取りまとめた構想案によれば、入所者の生活環境の保障を前提に施設整備などの案を示しながら、厚生労働省と協議の上、実現可能な活用法を探っていくというものであります。今年度は委員会が再度設置され、学校や地域との交流などハンセン病問題への理解を深める身近な取り組みを通じて構想案の具体化を進めると伺っております。
     県といたしましては、今後とも法の趣旨を踏まえ、国や地元である御殿場市等と連携、協力しつつ、ハンセン病患者であった方などの福祉の増進と生活の安定に向けて取り組んでまいります。
     次に、後期高齢者医療制度と国民健康保険についてであります。
     国民健康保険制度は、国民皆保険の基盤をなすものでありますが、制度上、高齢者と低所得者の集中が進み、医療費が増大していく中で保険料収入は伸び悩むという構造的な問題を抱えているため、財政運営は将来的にも厳しい状況にあると考えております。
     こうしたことから、これまでも国は安定的で持続可能な医療保険制度を構築するため、保険者を都道府県単位に再編統合する方針を示しており、今回の後期高齢者医療制度改革会議の中間取りまとめにおいても、保険財政の安定化、保険料負担の公平化等の観点から、国保の広域化が不可欠であるとしております。
     県といたしましても、現在の市町国保の財政安定化が重要であると考えておりますことから、まずは高額医療費の発生リスクに備え、市町国保間で財政調整を行う保険財政共同安定化事業の拡充や、保険料収納対策の共同実施などを内容とした支援方針を本年度策定いたします。あわせて単に都道府県単位の財政運営を行っても構造的な問題は解決いたしませんので、健康保険などの被用者保険と国民健康保険の一元化を実現するよう、引き続き国に働きかけてまいります。
     次に、食の安全への取り組みについてのうち、新たなしずおか食の安全推進のためのアクションプランの策定についてであります。
     本県では、平成十五年度からアクションプランに基づき、関係部局が連携し食品の安全に関する情報提供や製造から流通段階における監視指導の強化、試験検査の充実等に取り組んでおり、現行掲げた四十八の管理指標はほぼ達成できるものと考えております。新しいアクションプランでは、食品営業者の自主管理体制への支援や関係機関との連携強化を図るとともに、健康被害者数の約六割を占めるノロウイルス食中毒防止のため、注意報の新設や衛生管理マニュアルの作成指導等の対策を強化してまいります。
     また、県民の食の安全に対する信頼度の向上を図るためには、適時適切な情報の発信が重要でありますことから、食中毒の発生情報や添加物使用基準等の違反情報に加え、県内に流通する食品の検査合格情報等をより積極的に提供してまいります。今後、県民の皆様から御意見をいただきながらより実効性のあるプランを策定し、食の安全確保対策を推進してまいります。
    ○議長(天野進吾君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 食の安全への取り組みについてのうち、静岡県食肉流通合理化計画についてお答えいたします。
     まず初めに検証の結果でありますが、現在の計画では西部は浜松市食肉地方卸売市場と経済連小笠食肉センターの統合整備を進めることとしておりまして、県、浜松市、経済連を構成員とする西部地区食肉流通連絡会におきまして、設置場所、規模、必要とする施設について検討を進めておりますが、現時点では最終的な合意には至っていない状況です。東部につきましては、御殿場市食肉センターと岳南食肉センターの再編整備について検討を進めることとしておりますが、関係者の意見に隔たりがありまして具体的な検討作業には進んでおりません。
     次期計画の策定についてでありますが、関係の市町、生産者団体、食肉流通業者などから成ります検討会を東部と西部でこの十月にも開催し、今後の食肉流通のあり方及び近代的な食肉流通設備の整備につきまして広く意見を伺い、今年度末までに策定をすることとしております。県といたしましては、次期計画では本県の食肉の安全確保と流通合理化を図るため、従来のと殺、市場機能に高度な衛生的処理機能や食肉加工機能を備えた食肉センターの整備について、西部では二カ所の統合、東部では岳南食肉センターの将来方向、これを具体化するための方策を盛り込んだものとしてまいりたいと考えております。
    ○議長(天野進吾君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 防災対策についてのうち、初めに自主防災組織の充実と各種台帳の整備についてお答えいたします。
     県が昨年度実施いたしました自主防災組織実態調査では、世帯台帳の作成率は五六・九%で、過去の調査に比べると減少傾向にございますが、災害時要援護者台帳につきましては作成率は低いものの、平成十八年度調査時より一二・九ポイント増加し三八%となり徐々に整備が進んでおります。
     これら台帳のうち要援護者台帳につきましては、国の災害時要援護者の避難支援ガイドラインにおきまして、要援護者本人の同意を得ずに平常時から市町が保有する情報を自主防災組織、民生委員などの関係機関で共有する方式が示されておりますが、運用の根拠となります市町の個人情報保護条例の内容やその適用の範囲は市町の判断にゆだねられているのが実情でございます。
     こうしたことから、県といたしましては、これまでも市町に対しまして説明会を開催するなどし、要援護者の情報を自主防災組織にも提供できるよう運用の改善などを働きかけてまいりましたが、十分に成果が上がっていないのが実情でございますので、改めて市町に強く働きかけてまいります。
     また、作成率が減少している世帯台帳につきましては、従来から自主防災組織が整備を進めてまいりましたが、住民の個人情報保護の意識から作成が難しくなってきております。住民の方々の基本的な情報は市町が保有しておりますので、その情報を例えば東海地震等大規模災害発生時などの非常時に限定して自主防災組織に提供するといった工夫ができないか、市町に働きかけてまいります。
     さらに、人材台帳につきましては、本年八月に県が創設いたしましたふじのくに防災マイスターの認証取得者などの情報を、本人の同意を得た上で関係する市町や自主防災組織に提供するなどをしまして人材台帳の整備を進めてまいります。こうした各種台帳の整備は、自主防災組織にとって大きな負担となり自主防災組織の本来の活動を阻害する事態も懸念されますので、県と市町が連携して早急に改善に努めてまいります。
     次に、情報通信技術を活用した災害時情報システムについてでございます。
     発災初期におきましては、どこで何が起きているかといった情報を迅速に収集すると同時に、市町や自衛隊などの防災関係機関と県との間でこれらの情報を共有することが求められます。このため新たに整備する災害時情報システムでは、議員御指摘の道路やヘリポートなど発災初期の対策に重要な役割を担う四つのデータベースを静的情報として整備し、発災時には被災現場の写真や道路の通行の可否、施設の稼働状況などを動的情報として自動的に電子地図上へ表示し、関係機関の間でリアルタイムで情報を共有化することを目指しております。
     去る九月八日、台風九号により県東部の小山町を中心として豪雨に見舞われましたが、この豪雨に伴い自衛隊に災害派遣を要請する際に、県と小山町の間で情報が錯綜し被災箇所の特定にかなりの時間を要する事態が発生をいたしました。こうした事態にも今回整備する災害時情報システムを活用することで被災情報の可視化が可能となり、こうした錯綜を防ぐことができるものと考えております。またこれらのデータにつきましては一定の制限はございますが、最終的にはインターネットなどで情報を公開しまして、県民の皆様や報道機関へも提供してまいります。
     しかしながら、整備する電子地図上には、救護所で従事する医療従事者の氏名などの個人情報や被災現場の生の写真などが掲載されるため、どこまで公開しどのようにセキュリティーを確保するかが大きな課題となりますので、今後、詳細設計に取り組む中で解決を図ってまいります。なお本システムの整備スケジュールにつきましては、総務省の委託事業として本年度を含め三カ年をかけて整備していくこととなりますが、すべてのシステムの完成を待つことなく整備ができたところから順次活用を図ってまいります。
    ○議長(天野進吾君) 大繽o納局長。
           (出納局長 大縺@高君登壇)
    ○出納局長(大縺@高君) 公契約における公正労働の確保についてお答えいたします。
     まず、最近の取り組み状況でありますが、公共工事等のダンピング対策につきましては、平成二十一年度に工事の最低制限価格及び低入札調査基準価格を引き上げ、また今年度からは低入札工事における専任の技術者の一名増員配置の義務づけを行うとともに、予定価格一千万円以上の建設関連業務委託においても、低入札価格調査制度を試行的に導入するなど強化を図っております。また価格だけでなく技術力等も評価する総合評価方式につきましては、今年度、対象工事件数を拡大し予定価格一千万円以上の工事のうち最低限二割、三百件を上回ることを目標としているところであります。
     次に、労働者の基本的な労働条件や下請企業の取引条件は、労働基準法などの関係法令に基づいて保護されるものであり、それを超えるものについては労使や企業の当事者間で自主的に決定されることが基本であると認識しております。公契約条例は、こうした労働施策、下請施策のあり方に深くかかわることから、まずは国レベルでの立法措置上の問題として十分な議論、検討がなされるべきものと受けとめており、他の都道府県の動向や野田市での効果、課題にも注視しつつ対応してまいります。
    ○議長(天野進吾君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、初めに静岡県教育振興基本計画についてお答えいたします。
     施策展開の基本的な考え方として、縦の接続と横の連携ではぐくむことを掲げております。縦の接続につきましては、職場見学、インターンシップなどのキャリア教育を職場との連携を通して推進するなど、発達段階に応じた学びの場の充実を引き続き図ってまいります。また横の連携につきましては、ボランティアやスポーツ指導者など地域の人材情報を集めた人材バンクの活用を図る学校支援地域本部が二十六市町に二十九本部設置されるなど、家庭、学校、地域等の連携による取り組みが進みつつあり、さらなる促進に努めてまいります。
     義務教育段階における教育の重点についてでありますが、既に本県が取り組んでおります静岡式三十五人学級編制を、小中学校の全学年で今後の国の定数改善に関する動向を踏まえつつ実施するなど、児童生徒一人一人に対するきめ細かな指導・支援の一層の充実を図ってまいります。また徳のある人間性の育成や特別支援教育の充実などにつきましても、当面する四年間に取り組むべき施策を盛り込んだ教育振興基本計画の中で、工程表を示すなど実現に向け計画的に進めてまいります。
     次に、バランスのとれた子供の育成方策についてであります。
     議員御指摘のとおり、学力向上とともに人間関係を築く力などを育成するためにさまざまな教育活動を推進していくことは、子供たちが将来、社会生活を送る上で大切なことととらえております。とりわけ自然や地域の人とのかかわり合いの中で行われる体験活動は、その過程の中で出会う問題を解決する力、他者を思いやる心や感動する心、たくましく生きるための健康や体力などを培う上で欠くことのできない大切な教育活動であると考えております。あわせて子供たちの安全を確保しながら、そのような活動の機会を提供していくことが肝要であると考えております。
     こうした認識のもと、異年齢集団による共同生活を通して子供たちの生活体験を拡大し、責任感や忍耐力を身につけることをねらいとする通学合宿など、変化の激しい社会をたくましく生きていく力をはぐくむための多様な体験活動の機会を設けております。
     今後もこのような取り組みを通して、確かな知性をはぐくんでいくことに加え、豊かな感性、健やかな身体、すなわち心身のバランスのとれた子供の育成、ひいては個人として自立し、人とかかわり合いながら社会づくりに参画し行動する有徳の人の育成に努めてまいります。
     次に、特別支援学校の今後の整備についてであります。
     平成十八年度に策定しました基本計画に基づき特別支援学校の整備を進め、計画に掲げた五地域への学校整備はほぼ完了しております。現在策定中の新たな特別支援学校の施設整備に向けた計画では、基本計画に示すことのできなかった地域につきましても検討し、全県的な学校の配置、児童生徒の居住地や通学負担、各校の狭隘化、施設老朽化等の状況を精査し、これらの諸課題に対応した構想を示すこととしています。
     具体的には、在籍者数の増加が続く知的障害特別支援学校における学校の大規模化、施設狭隘化の解消や通学負担の軽減、さらには障害の重度・重複化や施設老朽化の進む肢体不自由特別支援学校への対応等につきまして、施設整備のスケジュールも含め年度内の策定に向けて現在検討中であります。
     中でも、大規模化、狭隘化と通学負担が特に厳しい状況にある志太・榛原地域につきましては、議員御指摘のとおり喫緊の課題であると認識しており、志太地区におきましては共生・共育も視野に入れた高等部の整備が、また榛原地域におきましては新たな学校整備が必要であると考えており、子供たちによりよい教育環境を提供できるよう、県有地の活用も含め具体的な設置場所の検討を進めてまいります。
    ○議長(天野進吾君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 三点御質問がございますので、順次お答え申し上げます。
     まず、特捜イージスの活動内容と設置効果についてお答えいたします。
     活動内容は、子供や女性を対象とする声かけ、つきまとい等について、行為者を特定し検挙または指導・警告措置を講ずる先制・予防的活動により、性犯罪等を未然に防止する専門的かつ継続的な捜査活動であります。本年四月から八月末までの五カ月間で、子供や女性に対するわいせつ事件や声かけ、つきまとい事案等、昨年と比較して二十八件増の六十八件を検挙または指導・警告しております。
     また、被害関係者からは特捜イージスの活動に安心感を覚えるなどの声が寄せられるなど、その活動が平穏な県民生活の確保に寄与しているものと認識しております。さらにこれらはメディアでも大きく報道される機会が多く、この種犯罪のいわば予備軍に対しまして大きな抑止力となっていると確信をしております。
     次に、警察における性犯罪被害者への支援施策であります。
     警察では、捜査の分野で被害者から担当警察官の性別希望を確認し、女性を希望した場合には女性捜査官による事情聴取などを行っているほか、事件認知時から捜査員とは別に指定された女性警察官を含む指定被害者支援要員により、被害者の手引きの交付による刑事手続等の説明、実況見分時や病院等への付き添い、診断書料や初回診察費用を県費で支給するなど、きめ細やかな支援を行うとともに、被害者の希望によりカウンセラー資格を有する警察職員によるカウンセリングを行って、精神的被害の軽減、回復に努めています。
     また、被害者の状況やニーズは個々さまざまである上、時間の経過によっても変化することから、幅広く継続的な支援が行われるよう民間のNPO法人静岡犯罪被害者支援センターなど、関係機関、団体とのネットワークの整備充実にも努めております。
     最後に、警察職員の綱紀粛正についてであります。
     県警が組織を挙げて非違事案防止対策を進めているさなか、県警本部の課長補佐が電車内で女子高生のスカート内を盗撮して逮捕される事件を起こしたことはまことに遺憾であり、被害者を初め県民の皆様に深くおわび申し上げます。幹部を含め職員一人一人が常に厳正な規律の保持に努めるよう、職員への職務倫理教養を初めきめ細かな身上把握、指導を徹底して再発防止を図り、県民の信頼回復に努めてまいります。
    ○議長(天野進吾君) これで池谷晴一君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩いたします。

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