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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

市川 秀之 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/02/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 令和における有徳の人づくりについて               
2 韓国との地域外交の推進について                 
3 中小企業の後継者不足に対する支援について            
4 ミカン産地の生産性向上について                 
5 静岡県立森林公園におけるアクセス手段の確保について


○議長(鈴木利幸君) 議事日程により、知事提出議案第一号から第五十号まで、第五十二号から第六十六号まで及び第六十八号から第七十四号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十一番 市川秀之君。
       (十一番 市川秀之君登壇 拍手)
○十一番(市川秀之君) おはようございます。私は浜松市浜北区選出の市川秀之と申します。初めて質問に立たせていただきます。
 質問に先立ちまして、今回の新型コロナウイルスの感染によりお亡くなりになりました方々にお悔やみを申し上げるとともに、発症し現在治療をされておられる方には心よりお見舞いを申し上げ早期の回復をお祈りいたします。
 県政の歴史を築いてきたこの議場とここに会する皆様方に敬意を表し、自民改革会議の所属議員として通告に従い一括質問方式にて知事、副知事及び関係部局長に当面する県政の課題について伺います。
 初めに、令和における有徳の人づくりについて伺います。
 議員になって初めての正月に富士山を望むため日本平を訪れました。ことしの正月は穏やかな天候に恵まれましたが、その日も快晴で富士山の凛とした美しい姿を望むことができました。富士山が世界の宝であることを実感するとともに、県議会議員として静岡県の発展に尽くす思いを改めて強くいたしました。
 さて、この日本平山頂には回廊状の日本平夢テラスが整備されており富士山、駿河湾、伊豆半島、南アルプスなど快適に展望することができ多くの人々が訪れる新しい名所となっております。私はそこで本県ゆかりの偉大な政治家と哲学者の名前が書かれた二つの石碑に出会いました。近年続けて他界された中曽根康弘先生と梅原猛先生であります。
 石に書かれた文字を一言一言かみしめてしばらくはお二人をしのび帰路につきましたが、この日は梅原先生の石碑に書かれた草木国土悉皆成仏という成語が頭から離れませんでした。このため梅原先生の著書であります「最澄と空海」という本を手にいたしました。この本で私は、草木国土悉皆成仏が天台本覚思想というもので、人間と同じように動物や虫、草や木、山や川などあらゆるものに生命が宿るという考え方であることや根底には自然をあがめ自然とともに生きる太古から脈々と続く日本人固有の文化や神道の八百万の神的な価値観があり、大陸から入ってきた仏教と日本古来の伝統が柔軟に融合したものであるということを知りました。
 一方、梅原先生はこの本の中で最澄が約千二百年前に書いた山家学生式を聖徳太子の十七条の憲法に匹敵するものだと言っています。すなわち十七条の憲法が千古にわたって変わらない政治理念であるのに対して、山家学生式は永久に変わることのない教育理念であるというのです。
 有名な国宝とは何物ぞで始まる六条式の序文で最澄は、国宝とは金銀の類ではなく人である、その人の中でも高い理想と深い思想を持ち同時に現実処理能力に裏づけられた強い行動力を持ち自分より他人の利益を優先する人だとしています。
 今世界は地球温暖化や武力紛争、貿易摩擦など持続可能な社会を構築する上でさまざまな危機や課題に直面していますが、私はこうした危機や課題を乗り越えるためには日本固有の文化である自然との共生を基盤として高い理想や深い思想と現実処理能力、自分の利益より他人の利益や国家のこと、さらには自分の国家より人類全体のことを優先する人材、すなわち国宝をたくさん育成することが必要だと考えます。
 最澄はこのような国宝を何人持つかによってその国の価値が決まるとまで言っています。こうした人材の育成を静岡県から日本全体へ、日本から世界へと広げていくことが世界をさまざまな危機から救うことになると考えます。
 山家学生式には宗教的な要素あるいは当時の政治的な背景が含まれていることは承知しておりますが教育理念そのものは純粋であり、比叡山からその後法然、親鶯、日蓮など多くの英才が輩出されてきたことはその正しさの証明であります。国宝とは何物ぞは時空を超え現代に生きる私たちへの最澄の問いかけのように思います。
 そこで、令和の時代になり一層世界情勢が厳しい局面を迎える中、改めて日本固有の文化や最澄の教育論に着目される時期に来ていると考えますが、静岡県内はもちろんのこと日本や世界で活躍する有徳の人づくりに静岡県としてどのように取り組んでいくのか、知事の考えを伺います。
 次に、韓国との地域外交の推進について伺います。
 日本と韓国の国家間の関係改善の糸口が見えない状態が続いております。一月十七日に日本政府観光局が発表した二〇一九年の訪日外国人の推計値では全体で三千百八十八万二千人の外国人が日本に訪れ、二〇一二年から続く過去最高を再び更新したということです。
 しかし、国別の数値では訪日外国人客数の多い上位二十カ国のうち韓国を除く十九カ国のいずれもが過去最高を記録したのに対して韓国は年間で約百九十五万人、二五・九%の減となっております。一方観光庁の訪日外国人消費動向調査の二〇一九年の速報によると訪日外国人が一年間に消費した金額は四兆八千億円余、前年比六・五%の増で訪日外国人数同様七年連続過去最高を更新しております。
 韓国につきましては、四千二百九億円の消費で前年と比べて千六百七十億円、二八・四%の減になっています。このように韓国は昨年来日客数、消費額ともに前年から大きく減少しましたが、それでも客数は中国に続いて二番目、消費額は中国、台湾に続いて三番目であり、この回復は我が国や静岡県の経済にとって喫緊の課題であると言えます。
 韓国との交流について九月定例会の公明党の代表質問に対して知事は、韓国との交流の窓口を閉ざすことなくお互いの信頼関係を醸成し、双方にとってメリットのある交流を進めていくことが重要という考えに揺るぐところはないと答弁されました。振り返って平成二十四年に尖閣諸島をめぐり日中間の国同士の関係が極めて悪化した折、本県と浙江省は友好提携三十周年記念事業を協力して実施しましたが、本県は大規模な交流団を派遣し親交を深めました。このことが浙江省はもとより中国政府からも高く評価され地域交流、地域外交の手本となりました。
 国と国との関係が険悪なときに地域間交流がその改善の糸口になる可能性があることはさきの浙江省との実績からも十分に考えられます。特に政治や経済から距離を置いた文化や学術、スポーツの分野が有効であることは論をまたないと思います。
 幸い本県は忠清南道との友好協定以外にもソウルに駐在員を派遣しており交流基盤が整っております。静岡県立大学と静岡文化芸術大学は、両学で合わせて韓国の五つの大学と大学間交流や部局間交流の協定を締結して学術をベースに交流を進めております。
 そこで、九月定例会での御答弁から大きく踏み出して韓国との地域外交について具体的な施策や事業を本県から展開すべき時期に来ていると考えますが、県の考えを伺います。
 次に、中小企業の後継者不足に対する支援について伺います。
 私は父が創業した家業に約三十年携わり七年前に父から事業を承継しました。私の場合父と私の間で早い段階から事業承継を意識していたため後継者問題はありませんでしたが、御子息が東京で就職した、あるいは社員の中で適切な人物がいないなどの理由で後継者が決まっていない経営者は私の身近にも大勢おります。
 静岡経済研究所の報告書によると、二〇一八年に県内で休廃業、解散した件数は七百四件で同年の倒産件数二百四十五件の約三倍となっています。倒産が景気によって変動するのに対して休廃業は横ばいで高水準が常態化しており、今後廃業、清算することになると考えているとした企業が事業活動を停止すると県内で最大五万人の雇用が失われるおそれがあると同研究所は推計しています。
 地域経済を支えている中小企業の消失は、雇用だけでなく技術やノウハウなどの経営資源を喪失し地域の産業、経済の弱体化につながっていくと考えられるため中小企業の事業承継は喫緊の課題であると言えます。このため国も都道府県に事業引き継ぎ支援センターを設置して特に身内に後継者がいない場合の第三者承継の成立に努めています。現在第三者承継は事業承継の六割を超すとも言われており、何より企業や地域経済の成長戦略の選択肢ともなり得ることから積極的に進めるべきであると考えます。
 その鍵となるのは人材と資金であります。第三者に事業を託すことは覚悟が要ることですので、まず何より大事なのは経営理念やビジョンを共有できる後継者にふさわしいと思える相手を探すことです。
 本県でも県が統括、取りまとめ機関となって平成三十年度には六千二百三十一件の事業承継診断を行い約六百件の相談を受けているということですが、事業承継に結びついたかどうかという視点に立ちますと残念ながら十分な成果は上がっているとは言えません。
 もう一つ、課題は資金です。仮にふさわしい相手を見つけることができたとしても次に課題となるのが承継時の資金に関することです。特に資金調達の際に経営者自身が保証人となる個人保証の引き継ぎには、中小企業庁によれば実に三から四割もの企業が課題であると回答しています。
 また、第三者承継では後継者に株を買い取ってもらうケースが一般的ですが、たとえ役員であっても自社株式の全てを買い取ることは困難です。このように第三者承継を促進していくためにはこれらの問題を解決していかなくてはなりません。
 そこで、県内中小企業の後継者不足の問題、ひいては事業承継における第三者承継について今後県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、ミカン産地の生産性向上について伺います。
 農林水産省が一月十五日に公表した平成三十年農業産出額及び生産農業所得によりますと、平成三十年の静岡県の農業産出額のうちミカンは二百四十九億円で全国第三位であります。さらに三ヶ日町農協の産出額は九十七億円で本県の産出額の約四割を占めております。まさに三ヶ日町は全国のミカンの産地のリーダーと言って過言ではないと思います。
 その三ヶ日町が現在高齢化の進展等により岐路に立っています。このまま対策を講じなければ十年後には生産者、栽培面積ともに一〇%以上の減になると三ヶ日町農協は危惧しています。
 私は先日同農協を訪問しミカンが収穫されて出荷されるまでの作業についてお話を伺いました。それによると、ミカンは収穫後一カ月程度各生産者の貯蔵庫で保存され熟成した後腐っている果実――腐果実を取り除き、その後ミカンとして出荷するものとジュースなど加工に回されるものの二種類に分類いたします。これを家庭選果といい、その作業は前日に行うことがルールであるため小規模農家の場合夜間まで作業が及ぶことがあるそうです。さらに選果場での作業には農家から年間延べ千三百人以上が出役されているという厳しい労働の実態があり、働き方改革が叫ばれる中それとはほど遠い現実の上にブランドが維持されていることを知りました。
 消費者の嗜好は多種多様化し安全・安心で高品質な農産物を求めるニーズは拡大しています。産地としてブランドを維持、発展させていくためには流通から販売まで見据えた対応が求められています。
 こうした課題に対処し生産面積や生産量を維持した持続可能な農業経営を実現しさらなる品質の向上を図るため、三ヶ日町農協は令和三年末の完成を目指して新たな選果場の建設を計画しています。計画では最新のAI技術を搭載することによりこれまでの外観センサーでは対応困難な生傷、軽微な腐敗、病虫害果の認識や判別を可能とするプラントシステムの構築を目指すとのことであります。これにより生産者は腐果実を取り除くだけの作業で選果場に持ち込むことが可能となります。また選果場の作業についても現状六十人体制が四十人程度でよくなるため各農家の出役が不要となり、よりミカンの生産に注力できるとのことであります。
 これが実現されれば省力化と品質管理の高度化などにより生産性革命と働き方改革が両立され、三ヶ日町という一産地にとどまらず県内はもとより県外へ、さらには他の品目、例えば浜北の柿、梨などへと波及し農業におけるイノベーションとなることが期待されます。
 富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりでは、果樹等の生産を拡大するため生産者や関係団体と連携して高度環境制御の導入による生産性の向上を促進すると述べられていますが、当然のことながらこれには多額の投資と新しいシステムの開発という困難を伴うことが考えられます。
 そこで、ミカン産地の生産性向上、具体的には選果施設の高度化に対する県の支援について伺います。
 最後に、静岡県立森林公園におけるアクセス手段の確保について伺います。
 県立森林公園は浜北森林公園という愛称で親しまれ、浜松市浜北区北部に一九六五年に開園して以来半世紀以上にわたって森林レクリエーション活動や自然学習の場として県民生活の向上に貢献してきました。近年の健康志向もあって週末には多くの人々がウオーキングなどを楽しむため来園し、中心付近の駐車場は早い時間から満車となっております。浜名湖ガーデンパークとの組み合わせにより海と山、都市と森林、花と緑というコントラストで県民生活に彩りや潤いを提供しております。自家用車を使えば浜松市の中心部から四十分程度の時間でどちらの公園も楽しめることから、まさに生活の中に溶け込んでいる公園と言うことができます。
 しかし、このように生活の一部である森林公園が一部の人々にとって遠い存在となりつつあります。それは自家用車を利用できない方々であります。特に近年は免許証を返納された高齢者が増加し、こうした方々の中には家族や友人など頼る者がいないため自力での来園が困難となっている方がいます。
 自家用車以外での交通手段、すなわち公共交通機関を使って森林公園を訪れるためには浜北コミュニティバスを利用することになります。最寄りのバス停は一週間にたった二日、一日二往復だけ運行される大平堀谷線の森林公園北口ですが、バードピアなど主要施設がある中心部までは約一・二キロメートルの距離があります。散策を楽しむ目的とはいえ高齢者等にとって片道一・二キロメートルの距離は大きな負担であり便数も極めて限られていることから、地域の高齢者から浜北森林公園に行けなくなって寂しいという声をよく耳にします。
 また、情操教育や非認知能力の向上に自然や森林の果たす役割が非常に高く評価されている中、未来を担う子供たち、特に感受性の高い中学生や高校生にも森林公園を多く利用してほしいものであります。運転免許証もしくはマイカーを持っていない若年層や免許証を返納した高齢者など、こうした交通弱者を切り捨てるのではなくできるだけ多くの人々に森林公園を楽しんでいただくよう環境を整備するのは設置者の責務であり利用促進にもつながると考えます。
 そこで、静岡県立森林公園におけるアクセス手段の確保について県の考え方を伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 市川議員におかれましては、お正月に日本平の夢テラスに行かれて富士山を仰がれました由、何よりのことでございました。そこで中曽根閣下と梅原先生の石碑をごらんになったと。中曽根先生は山梨県とともに静岡県が富士の国づくりをしていくというときの最高終身名誉顧問をお務めいただきました。そして梅原先生は本県の県政の最高顧問をお務めいただいた方でございます。それぞれ政治と文化の日本を代表する、戦後日本を代表する方でありますけれども、お二人はこの日本の世界へのプレゼンスを高めるというために国際日本文化研究センターというのを二人でおつくりになって、それは日本を学際的、国際的、総合的に研究する研究所として歩みを進んでまいりました。
 市川議員におかれましては、梅原先生の壮年期の作品である「最澄と空海」をお読みになった。講談社学術文庫でしょうか。これは壮年期の作品ですけれども先生、晩年に人類哲学という本を岩波新書で書かれております。そこでこの今、引用せられました草木国土悉皆成仏というのは日本がこの二十一世紀――環境と生命の世紀にあって人類に発することのできる哲学であると論じられております。それを受けまして梅原先生と対談をいたしました。そしてその本は日本精神の古層として出ましたけれども、そこで先生のお考えをつぶさに伺うことができたのでありますけれども、この日本精神の古層は梅原先生が生前期に御自身の名前が表紙に書かれて出版された最後の本になっております。この思想は彼の遺言であると私は思っております。
 さて、市川議員にお答えいたします。
 令和における有徳の人づくりについてであります。
 本県の目標は富国有徳の美しい“ふじのくに”づくりであります。富士の字は豊かな富を学徳のある士が支える形であります。有徳の人を育成する、それがふじのくにの教育の理念、人材育成の理念であります。
 令和の時代になりまして人口減少、環境問題など我が国を取り巻く情勢が厳しい局面を迎える中、本県が直面する課題を解決して持続可能な社会を実現していくため才と徳――学才あるいは技芸の才の才と徳を兼ね備えた才徳兼備の人づくりに取り組んでまいります。この才徳兼備の人づくりとはすぐれた知性と能力に加え自分の利益より他人の利益を優先する、人のため社会のために働く豊かな人間性を備えた人材の育成であります。
 議員は山家学生式を引かれました。そこに道心は国の宝であるというところで始まりますが、同時に言うだけの人は国の師であると。学者でありますね。それから不言実行。これは国の用をなす人であると。有言実行、よく言いよく行うというのが国の宝であるというように冒頭で書かれ、また六条式の第五条にもその旨が繰り返されております。
 私は長く不言実行こそ最も重要であると思っていたんですけれども、この学生式――山家学生式を改めて読めばまさに有言実行でなければならないということでありまして、特に市川先生、前任者は同じ選挙区で渥美先生ではなかったかと思いますけれども有言実行の立派な方でありました。私どもは特にその有言実行というのを心得なくちゃならないと、そういう社会の範にならなくてはならないのではないかというふうに思っております。
 さて、また論語に吾十五にして学に志すという言葉がございます。東京二〇二〇オリンピック卓球の日本代表候補となった伊藤美誠さんとか平野美宇さん、こういう方たちはもう既に十代でみずからの生きる道を目指されております。そうした早くから生きる道を目指す、そういうことができるように教育をしていくことが大切であろうとも存じます。
 このため、文武芸三道の鼎立の考えのもと知性を高める学習の充実はもとよりでありますが、技芸を磨く実学を奨励し一人一人の夢を実現することができる教育を進めてまいります。
 ラグビーワールドカップ二〇一九に続き本県を自転車競技の開催地とする東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックが開催されます。この好機を捉えてラグビー精神――ワンチーム、あるいはワン・フォー・オール、オール・フォーワン、このラグビー精神の継承のために体験授業の実施やオリンピック・パラリンピックの自転車競技への児童生徒の観戦招待などスポーツを通じた技芸を磨く人づくりを進めてまいります。
 スポーツは体育と同等というふうに誤解されておりますけれども、最近玉木正之さんがスポーツとは何ぞやと、これは知育も徳育も全て含んだものだと、すなわち身体を動かしながら心を鍛えていくとこれがスポーツであるというように言われておりますけれども、まさにオリンピック憲章はスポーツと文化と教育を融合するものと言っております。そういう観点から私どもはスポーツを通じた技芸を磨く人づくりを進めたいと考えております。
 また、来年度の総合教育会議では全ての子供たちを対象に個性を尊重しお一人お一人の才能を伸ばす教育、すなわち才能支援教育の充実について協議してまいります。さらにさまざまな分野の第一人者から御意見をいただく地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会に教育の専門家などで構成する才徳兼備の人づくり小委員会を設置いたします。そして施策提案機能の強化を図ることによりその成果を本県の人づくりに反映してまいります。
 今後とも、地域ぐるみ、社会総がかりで令和の時代のふじのくにの未来を担うまさに国の宝、私どもはその学生式を今日に生かした形で才徳兼備の人づくりに全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長のほうから御答弁を差し上げます。
○議長(鈴木利幸君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) ミカン産地の生産性向上についてお答えをいたします。
 農業者の高齢化や担い手の減少が見込まれる中、全国有数のミカン産地である本県が生産面積や生産量を維持した持続可能な農業経営を実現していくためには、議員御指摘のとおり生産者の家庭選果や選果場に出向いての役務の削減によってミカンの生産に注力できる体制づくりが重要であると考えております。また一戸当たりの世帯員数の減少などによる安全・安心で高品質なミカンを少量求める消費者ニーズの拡大や卸売市場法の改正に伴う取引形態の変化、あるいは量販店の取引量の増加など消費や流通の形態は大きく変化しており、これらに的確に対応していくことが求められております。
 こうした中、近年人工知能を活用したAI選別システムの開発が進みこれまで人の手に頼っていた生傷や浮き皮のあるミカンの選別作業の省人化と品質の安定化が可能となりつつあります。また卸売市場法の改正により商物分離という市場を通すという商流と物を運ぶ物流を分離して例えば選果場で包装、加工などをし、それを量販店へ直送できるようになるなど新たな流通経路の開拓が可能となってきております。
 このような状況においては、県は選果場の役割を単なる選果施設から流通加工を含む高度な集出荷施設に変えていく必要があると考えております。具体的には高度な集出荷施設としてAI選別システムによる選別精度の向上、少量パック詰め商品の量販店への直送による鮮度の向上、機能性表示等の付加価値情報の商品への表示、消費者ニーズに対応した品質保証とブランディングなど、このような機能を持つ集出荷施設とすることが必要だというふうに考えております。
 このため、強い農業・担い手づくり総合支援交付金による国の支援に加えて県独自の助成制度を創設することとし、来年度当初予算案に必要な経費を計上し本議会でお諮りしているところであります。
 このことによりまして生産者は選果に係る労力が削減され、これによって生み出された労働時間を生産規模の拡大につなげていくことが可能です。これによって産地の生産性の向上が図られます。
 もう一つ重要なことは、供給側である産地みずからが流通する農芸品の品質を管理し消費者に評価してもらえる付加価値は何かを考えそれを生み出し、それが生産者の所得向上につながるスマートバリューチェーンの構築が期待されます。
 県といたしましては、こうした先端技術を導入した集出荷施設の高度化に対する支援を充実させることによりミカンを初め産地の生産性と所得の向上につなげ競争力ある産地づくりを実現してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 掛澤地域外交担当部長。
       (地域外交担当部長 掛澤孝壽君登壇)
○地域外交担当部長(掛澤孝壽君) 韓国との地域外交の推進についてお答えいたします。
 日本と韓国の政府間の関係が厳しい中、議員御指摘のとおり本県は学術や文化分野を中心とした民間団体や青少年による草の根交流に力を入れております。友好協定を締結する忠清南道との間では本県の獣医師会が学術交流により良好な関係を築いているほか、文化分野では昨年四月磐田市の現代舞踊協会と忠清南道舒川郡の伝統芸術団との間で友好交流促進のための覚書を調印したところであります。
 特に、今年度からは将来の日韓関係を担う青少年の交流支援を進めております。韓国で日本料理を学ぶ又松情報大学学生の本県訪問や静岡産業大学、日本大学国際関係学部の学生による韓国訪問の支援を通じて事業に参加した学生が未来の朝鮮通信使となることを期待しております。
 さらに、令和二年度は朝鮮通信使記念茶会等で構築しましたネットワークを生かし日韓の一般市民が両国の課題を話し合う会議や日韓の若手経営者による交流会の本県開催に向けて各種団体と調整を進めております。
 県といたしましては、今後も日韓の一般市民による交流を積極的に推進することで韓国との友好的互恵・互助の精神に基づく地域外交を進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 中小企業の後継者不足に対する支援についてお答えをいたします。
 近年、中小企業の経営者の高齢化と後継者難は深刻さを増しており、人材、技術、設備を次代につなぐ事業承継の問題は喫緊の課題となっております。とりわけ親族内で事業を引き継ぐことのできない企業も多くその対応策が強く求められております。
 このため、国では昨年十二月に事業引き継ぎ支援センターの相談体制の強化や個人保証の二重取りの原則禁止、事業の選択と集中を促す補助金の創設などの支援策を第三者承継支援総合パッケージとして取りまとめたところであります。
 県におきましても、こうした国の政策と歩調を合わせ第三者承継の促進に注力していく方針であります。
 議員御指摘のとおり、第三者承継には後継者という人材と事業を引き継ぐ際の資金という二つの大きな問題が存在しております。
 このため、県ではまず人材の問題につきましては来年度から各商工団体が連携した後継者養成塾を開催してまいります。マネジメント力を身につけ経営者が安心して事業を託すことのできる後継者候補を養成し、各商工団体が広域で人材情報を共有することで地域を越えた後継者不在企業と後継者候補のマッチング機会をふやしてまいります。
 また、資金の面につきましては制度融資である事業承継資金を活用いたしまして株式取得資金等の円滑な資金調達の支援を充実させ融資期間を十年から十五年に延長することといたしました。
 さらに、後継者による個人保証の引き継ぎにつきましては来年度国が個人保証の解除に向けた事業承継特別保証制度を創設し金融機関との交渉に当たります。そこで助言に当たりますコーディネーターを全国に配置いたします。県も制度融資におきまして本保証制度の利用を可能とするほか、当該保証に係る国の信用保証料の軽減措置に上乗せをいたしまして企業負担を最大ゼロとする新しい助成制度を創設いたします。
 県といたしましては、後継者の人材育成と資金面での負担軽減を通じまして事業承継を行いやすい環境を整え、中小企業の有する貴重な経営資源を意欲ある経営者に引き継がれるよう親族内承継とともに第三者承継の取り組みをさらに強化してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 静岡県立森林公園におけるアクセス手段の確保についてお答えいたします。
 県立森林公園は、自然、体験、学ぶ、遊ぶの四つをテーマとしたエコミュージアムの森であり年間約八十万人の幅広い年齢層の方々に御利用いただいております。また現在施設の再整備を進めるとともに、ボランティアや企業の御協力もいただきながら魅力を高めているところであります。
 現状来園者の多くは自家用車でお越しいただいておりますが、自家用車を利用できない皆様にも御来園いただけるようまずはコミュニティーバスの時刻表や最寄りの駅からのタクシーの所要時間、料金の目安などの情報発信を充実してまいります。また県立森林公園で開催されるイベントにおきましては、主催者と調整し最寄り駅からの送迎を試行してまいります。加えて県、浜松市、地元自治会、指定管理者で組織する県立森林公園運営協議会を活用し利用者、ボランティア、交通事業者等の協力を得た送迎手法を研究してまいります。
 県といたしましては、運転免許証をお持ちでない方などこれまで以上に多様な方々に県立森林公園を御利用いただけるようさまざまなアクセス手段の確保に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 市川秀之君。
       (十一番 市川秀之君登壇)
○十一番(市川秀之君) それぞれ誠意のある御答弁をいただき、まことにありがとうございました。
 それでは、要望を一件だけ述べさせていただきます。
 ミカン産地の生産性向上についてであります。
 三ヶ日町がミカン産地としてこの地位を築き本県農業を牽引するようになるまでには、江戸中期から今日まで三百年に及ぶ歴史の中で栽培技術の研究や品質の統一化、かんきつ出荷組合の結成による効率化とブランド化など先人たちを含めた地域のたゆまぬ努力があり、その結晶であることを忘れてはならないと思います。三ヶ日町農協でお話を伺って、今回の選果場施設の新設には産地の生き残りをかけた強い決意を感じました。
 県にはぜひこの更新が円滑に進むよう積極的な御支援をお願いして、私の質問を終了いたします。ありがとうございました。
○議長(鈴木利幸君) これで市川秀之君の質問は終わりました。

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