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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成19年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渥美 泰一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/11/2007

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:

1 防災行政無線の高度化について                   
2 浜岡原発に対する県民の理解について                
3 環境行政について                         
 (1) 県産材の利用促進に向けた生産流通加工体制の整備         
 (2) 環境教育の推進                         
  ア 子供たちの森づくり体験学習                  
  イ 富士山静岡空港を生かした環境学習の拠点づくり         
4 耐震強度偽装の再発防止について                  
 (1) 確認検査業務の適正化                      
 (2) 建築士制度                           
5 国際化に向けての人づくりについて



    ○副議長(吉川雄二君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百五十三号から第百八十四号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、四十五番 渥美泰一君。
            (四十五番 渥美泰一君登壇 拍手)
    ○四十五番(渥美泰一君) おはようございます。
     私は自民党所属議員として当面する県政の諸課題につきまして質問いたします。
     日本の国を再生・活性化するためには、地方分権を一層進めて真の分権社会を構築していかなくてはならないとだれもが考えていることと思いますが、しかしながら、昨日の石川知事の議論でも国は本気で分権や道州制をやる気があるのかというふうにおっしゃっておりましたけども、昨今の国会議員等の言動を見ておりますと私もそのように感じざるを得ません。そうは言いましても、まずは当面のことをしっかりやっていかなくてはいけない、そのように思います。地方分権改革推進委員会が中間報告で示している行政を総合的に担える地方政府の確立、そのための地方税源の充実強化、地方交付税など一般財源をしっかり確保していく必要があると思います。
     石川知事におかれましては、このたび全国知事会の副会長として、知事は「大したことないよ」というようなことをおっしゃいますが、知事のこれまでの実績といい全国でも最も注目を浴びている石川知事でございますのでなお一層の御奮闘をお願いしたいというふうに思います。私ども県議会も、その責任をしっかりと果たしていかなくてはならないというふうに思うところでございます。
     初めに、防災行政無線の高度化について伺います。
     被災した住宅本体の建築費に対する国の支援法がさきの国会において唯一可決成立いたしました。これも本県がこの問題に国に率先して取り組み、また石川知事におかれましても国に対して積極的に働きかけてきたことの成果であると大いに評価いたしたいと思います。
     さて、防災対策では住宅の耐震化などの減災対策の着実な推進とともに、大規模な災害が発生したときの正確な被害情報の収集と避難指示などの迅速な情報伝達が、被害を抑える最も重要なことであります。災害時の情報については、通信技術の進展や観測網の整備により緊急地震速報がことしから本格運用された反面、三年前の新潟県中越地震のように大規模な災害時に、肝心な情報通信施設が被災し災害情報の収集や伝達、避難誘導などに多大な支障を来す事態も起きております。
     防災行政無線は災害発生直後にまず機能しなければならない重要設備であります。本県の状況を見ますと、緊急地震速報と連動することのできるデジタル無線を整備したのはわずか六市町にとどまっている状況であります。一方、テレビ放送の二〇一一年七月のデジタル化や県内二十七消防救急無線の一本化、共同化も進んでおりますし、市町村合併の進展による施設配備の見直しも必要になってきております。
     こうした中、総務省より防災行政無線通信のデジタル化への移行促進が通知され、市町村地域防災無線については平成二十三年五月までに、消防救急無線については平成二十八年五月までに、それぞれデジタル化への対応を迫られています。これらの施設整備には巨額の費用がかかることですし、期間にも私はそれほど余裕はないと思います。災害時における通信の確保という点で、防災行政無線の維持はもとより時代の趨勢を踏まえた通信の高度化が大変重要であると考えますが、その整備方針について県の御所見を伺います。
     次に、浜岡原発に対する県民の理解について伺います。
     浜岡原子力発電所を想定を超える東海地震が襲った場合、住民が大きな被害を受けるとして、市民団体が浜岡原発の運転差しとめを求めた訴訟では、十月二十六日静岡地方裁判所が耐震安全性は確保されているとして原告の請求を棄却、原発の即時停止を求めた仮処分申請も却下いたしました。判決の理由は、中部電力が過去の東海地震のデータをもとに、将来起き得る東海地震の最大規模をマグニチュード八・五とした想定は、十分な科学的根拠に基づくものである、また設計上の安全は十分に確保されており、地盤も堅固であるということであり、司法の観点からも浜岡原発の安全性が認められたものと考えます。浜岡原発ではさらに安全余裕を高めるため現在の一・五倍以上の耐震補強を行っているとのことであり、私はこれらのことを含め浜岡原発の耐震安全性についての正しい情報を県民に周知していくことが、住民の不安を解消する上でも重要なことと考えます。また今、浜岡原発四号機でのプルサーマル計画が問題と言われておりますが、そもそもプルサーマルを進めることと原発の地震対策は次元の異なる議論でありますし、プルサーマルの安全性はもちろんですが、日本のエネルギー事情や原発の役割、必要性、これらについてももっともっと県民に知ってもらう必要があると思います。
     また、ことし七月に発生した新潟県中越沖地震における柏崎刈羽原子力発電所の事故発生直後の報道は、かつてのチェルノブイリを想像させるほどのものでありました。しかし実際に漏れた放射能は自然界の放射能レベルにも全く届かないほどのごく少量であったとのこと、また設計基準の四倍を超えるいわゆる想定外の揺れに対しても、原子炉本体には重大な被害はなく安全に停止したとのことであります。にもかかわらず、あわてた柏崎市長が消防法に基づいて危険物施設の使用停止を命じたことや、風評被害により新潟県内の温泉はキャンセルが続出し、魚も売れなくなり経済への影響も甚大なものとなってしまいました。
     我が静岡県においても、過去に伊豆半島東方沖地震のときの教訓がありますように、原子力発電所の被災や事故が発生した場合の県の緊急対応体制や報道のあり方を確立し、それらについても県民に明らかにしておくことが大変重要であるというふうに思います。
     そこで、浜岡原発に対する住民の不安解消や原子力発電に対する正しい理解のために、県はどのように取り組まれるのか伺います。
     本日傍聴においでていただいた皆様には、この後浜岡原発、三時間かけて視察していただきますがしっかりと見てきていただきたいというふうに思います。
     次に、環境行政について伺います。
     初めに、県産材の利用促進に向けた生産流通加工体制の整備についてであります。
     昨今、地球規模での環境問題が大きくクローズアップされておりますが、わけても地球温暖化は人類の生存基盤にかかわる最も重要な問題であります。温暖化の要因とされる温室効果ガスの排出削減に、京都議定書目標達成計画のもと国民が一体となった取り組みが求められております。本県においてはストップ温暖化しずおか行動計画の策定や静岡県地球温暖化防止条例の施行により、二〇一〇年の温室効果ガス排出量を、基準年であります一九九〇年と比較して一二%削減を目指した取り組みを進めているところでありますが、これはなかなか容易ならぬことであります。
     ところで、京都議定書では森林による二酸化炭素の吸収量を温室効果ガス削減目標の達成手段として算入できるものとしており、我が国の算入の上限として基準年排出量比の三・八%に当たる千三百万炭素トンが認められました。ただし、吸収源として認められるのはあくまでも適切な森林経営が行われている森林のみでありますので、森林の多面的な機能を保全しつつ健全で活発な循環利用を図っていく必要があります。
     もう数年前になりますが、私は三重県のウッドピア松阪という施設を天竜森林組合、製材業者、県、市の職員の方々と一緒に視察いたしました。この施設は原木市場機能と製材や乾燥、プレカットなどの製品加工機能を集積し、三重県一帯の木材生産量を一手に担うことができる木材流通加工基地を目指したもので、当時としては先進的な取り組みであり大変感銘を受けました。以来私は、木材生産者と流通加工業者と住宅メーカー等が三位一体となって流域の山から年間に切り出されるべき木材の量を消化し切れるだけの一貫体制づくりの必要を訴えてきたところであります。
     最近では岐阜県や岡山県など全国十一カ所のモデル地域で、木材生産から流通加工まで一体的に合理化を進める新生産システムの取り組みが始まり、今後地域間の競争がより厳しさを増してくるものと思われます。本県においてはようやく本年三月にしずおか木材流通マスタープランが策定されましたが、地球温暖化を食いとめることにもつながる県産材の利用促進に向けた生産流通加工体制づくりに県の積極的な指導と支援が必要かと思います。具体的にどのような取り組みをしていかれるのか県のお考えを伺います。
     次に、環境教育の推進について二点伺います。
     まず、一点目は子供たちの森づくり体験学習についてであります。
     子供たちにとって自然との触れ合いを通じて自然への畏敬の念や生命のとうとさなどを学ぶことは、環境保全の大切さを理解するよい機会であるとともに子供たちの人格形成過程にとっても必要不可欠と考えます。一方、生活様式の変化や林業の低迷、それに伴う後継者不足などの影響から森林の多くは管理が行き届かず、荒廃が深刻化してきております。このため、所有者が整備できなくなった森林や、竹林などにより荒れてしまった里山は、昨年度から導入されたもりづくり県民税を財源とする森の力再生事業によって整備が進められることとなり、その成果には大いに期待するところであります。
     しかし整備した森林も、その後放置すれば再び荒廃してしまいます。森林と県民の共生に関する条例の基本理念にもうたわれているように、森林からもたらされる恵みは県民共有の財産であり、森林と共生していくことは私たちに課せられた責務でもあります。このような観点から、森林を初めとした自然環境を将来にわたって保全していくためには、まず子供のころから自然に親しみ、自然のすばらしさをもっと学び、すばらしい自然環境を次の世代に残していこうという不断の努力が必要と考えます。
     民間では、発展途上国を舞台にそれらの地域が自立していくための支援活動に取り組む財団法人オイスカが、インド、タイ、フィリピンを初め世界の各地で子供たちの参加による学校単位の新しい森づくり運動を展開しており大きな成果を上げております。その名も子供の森計画であります。学校の敷地や近くの山林に苗木を植え、その後の整備や管理も学校と地域が一体となって取り組むこの事業、平成三年からこれまで二十六の国や地域で延べ三千四百八十九校が参加しており、その面積は優に三千ヘクタールを超えているということであります。
     子供たちに自然との触れ合いによる環境教育を継続的に行っていくためには、この子供の森事業のように、身近にある地域の森林を教育の場として活用することが大変効果的であると私は考えます。「木を植えることは、人の心を美しくし美風をはぐくむ。それが国づくりの基礎となる」、江戸時代中期の改革者、上杉鷹山が藩政改革の柱として行った植林事業は今の時代にも通ずると思います。小学校ごとに県有林を利用したり学校に近い森林を借り受けるなどして、子供たちがPTAや地域のボランティアなどと一緒に植林や森林整備をしたり、木登りや虫とりなどをして遊ぶことができる体験学習の場として活用してはどうかと考えますが、教育長の御所見を伺います。
     二点目は、富士山静岡空港を生かした環境学習の拠点づくりについてであります。
     自然環境に恵まれた富士山静岡空港は、計画の段階から環境に配慮し「人と自然にやさしい静岡空港」を空港づくりのコンセプトに据え、積極的に取り組んでこられたと承知しており、空港周辺の貴重な動植物の保護保全、野生生物の生息空間の復元など里地里山の多様な自然を持続的に保全すべく努力してきたと評価いたします。
     私は、エコ空港を自称する富士山静岡空港のイメージを一層高めて特徴ある空港づくりを行っていくことは、空港の振興発展にも寄与するものであり、これまでの環境への取り組みを生かさない手はないと思います。中部国際空港セントレアでは、空港それ自体が観光スポットとなっているように、富士山静岡空港一帯を環境へのさまざまな取り組みを学ぶ場としてはどうかと提案したいと思います。
     例えば、旅客ターミナルビル――いよいよあす着工の運びというふうに伺っておりますけども、このターミナルビルは民間の経営であり効率性、経済性を理念として計画が進められていることは承知しておりますが、あえて提案させていただきます。建物の構造には思い切って木造を取り入れたい。県産材を利用した人と環境に優しく木の香り漂うやわらかな空間は、それだけでも美しくインパクトがあります。そして、ここは環境学習のさまざまな資料を展示した環境学習館と位置づけたい。また空港で使用するエネルギーはすべて太陽光、風力、バイオマス、コージェネなどの新エネルギーで賄うなど、環境への取り組みをアピールしたい。もちろん周囲の美しく整備された田畑や豊かな自然が守られた森林やビオトープも大いに活用したい。
     富士山静岡空港を生かした環境学習の拠点づくりについて、県の御所見を伺います。
     ところで、食品の不正表示を初め偽りがやたらと横行し、お金のためなら何でもありの全く情けない社会になってしまいました。このようなことでは日本の将来はどうなるのかと危惧されてなりません。
     次に、耐震強度偽装等の再発防止について伺います。
     まず確認検査業務の適正化についてであります。
     二年前耐震強度偽装の問題が発覚し姉歯建築士が逮捕されたときに、私はこの事件は建築士個人によるものではなく、恐らく建築主あるいは開発業者などの指示で行われたものと推測いたしました。ところが、そうではなく設計者個人の職業意識の欠如によるものであることが明らかになり、建築士の端くれでもある私としては、なおのことショックでありました。しかも、その後も同様の違反が数々摘発されております。
     これら偽装事件の背景を見てみると、建築をめぐる産業構造の多様化、複雑化あるいは建築技術の高度化と専門化などの進展によって設計監理業務の実態と法制度が乖離し、確認審査制度の形骸化など法制度が有効に機能しなくなっていたと専門家は指摘しておりますが、私も全く同感であります。さらには、業務の専門化により細分化されたため責任の所在が不明確になっていること、加えて景気の低迷等により市場が縮小し過当競争など職業倫理を脅かしかねない業務環境となっていることも無視できません。
     偽装事件後、早速再発防止に向けた法改正が行われ、指定構造計算適合性判定機関を新たに設け専門家により二重にチェックするなど審査業務の厳格化がなされた結果、必要以上に扱いが慎重になり過ぎたことが重なり、建築市場の大混乱を招く結果となったことは御案内のとおりであります。
     今回の法改正は余りにも短期間に行ってしまいましたけども、県としては今回のことに限らず、国からの方針をうのみにするのではなく、現場の実態に即したものかどうかをしっかりと見きわめることが必要であるというふうに思います。我々にも責任の一端があると思います。現在は適正な運用になりつつあると伺っておりますが、一日も早い混乱の解消を願うものであります。
     しかし、このような事件によって、民間活力の導入や行財政改革に決して後退があってはならないと思います。そのためには、確認検査業務の確かで効率的な運用の確立と検査機関に対する県の指導監督、これをしっかりと行い業務の一層の適正化を図る必要があると考えますが、県として今後どのように対処されるのか伺います。
     次に、建築士制度についてであります。
     今回、偽装事件の再発防止のために行われたこれらの建築関係法の改正は、審査の厳格化や罰則の強化など設計監理業務を行う建築士や検査機関に対する不信感を前提にした内容であり、いわゆる性善説を否定した改正であると言わざるを得ません。私は、二重チェックなどしなくても建物の構造などいわゆる単体規定は責任の所在がはっきりしていればよいことであり、設計施工の責任者がそれぞれ適正に対応すればよいことだと思っております。また姉歯建築士を初め事件を起こした人たちは建築士会にも事務所協会にも加入していませんでしたが、そうした団体への加入あるいは、万が一の場合に備えて損害賠償保険制度を義務づけることも必要かもしれません。
     本来、建築士に対する信頼というものは、建築士一人一人が社会的使命や責任のもとに職業倫理を遵守し専門職としての職責を果たすことによって確保されるべきであると私は思います。そのためには単に罰則規定の強化だけでなく、建築士自身の資質の向上や建築士会や建築士事務所協会など業界団体の責任と役割の強化を図るとともに、責任の所在も明確になるように建築士制度の再構築が必要であると思っております。
     県は、今後どのように建築士制度の改善や業界団体の指導育成に取り組んでいかれるのか伺います。
     次に、国際化に向けての人づくりについて伺います。
     今日、国際社会においては経済活動のグローバル化や情報技術の高度化が急速に進む中で、成長著しい中国経済に代表されるように、世界経済の成長の中心としてアジア地域の重要性が飛躍的に増しております。またアジア地域の互いの協力関係が進展し、かつてのアジアと日本という関係も、今やアジアの中の日本と言うべき関係へと変化しております。国においてはこうした状況を踏まえ、日本の将来像をアジアと世界のかけ橋となるべく近隣諸国とのきずなを強化し、ともに繁栄を共有するというアジア・ゲートウェイ構想を打ち出したところであります。
     最近における本県の取り組みを見ますと、上海事務所、シンガポール事務所に加え本年六月にはソウル事務所が新たに開設され、観光誘客を中心に現地での活動を始めていることや、中国浙江省との友好提携二十五周年事業を通じて両地域の医療、農業、学術など多分野にまたがるより実質的な交流の推進を図っているなど、東アジアを重視した国際戦略の方向が明らかになっていると思われます。平成二十一年三月の富士山静岡空港の開港を契機に中国、韓国、台湾を初めとする東アジア諸国との交流を一層意識した戦略を展開していくことが重要ではないでしょうか。
     振り返って我が国はかつて遣隋使や遣唐使などが中国から、あるいは西洋からすぐれた制度、技術など多くのことを学び、国家の礎を築いてきた歴史があります。今日、地球的規模での大交流の時代に生きる私たちは、さらに海外に出て触れ合い、学ぶ機会の創出に本腰を入れて取り組むべきではないかと感じております。
     さきの浙江省との友好提携二十五周年記念式典における県の浙江省派遣研修生、小倉光一君の日本語と中国語によるスピーチに、私は「彼らこそ今後、静岡県と浙江省とのかけ橋になる」と大変力強さを感じました。
     そこで、特に次代を担う青少年がこれまで以上にアジア諸国との交流を図り、文化や歴史、国民性などお互いの国のことをしっかりと理解し合えるよう長期間の交流ができる制度をもっと充実すべきではないか。また静岡県がこれからの国際事業を推進するためには、県の職員についても的確に対応できる若い有能な人材の育成、活用を計画的に進めることが必要であると思います。あるいはまた姉妹都市や姉妹校の交流など、地域の国際化のための人づくり事業に対する県独自の支援策があってもよいと思います。私は、このような真の国際交流ができる、両地域のかけ橋になれる人づくりこそが今後の本県の国際戦略の非常に重要なテーマであると考えておりますが、知事の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ○副議長(吉川雄二君) 石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事(石川嘉延君) 渥美議員にお答えをいたします。
     初めに、環境行政についてのうち、環境教育の推進についてであります。
     富士山静岡空港を生かした環境学習の拠点づくりについてでありますが、富士山静岡空港の建設に当たりましては、建設地にある里山の多様な自然環境、貴重な動植物の保全に積極的に努めてきたところであります。具体的には、専門家の提言や助言によりまして貴重な植物を工事区域から周囲部の森林へ移植したほか、ビオトープの整備による生息環境の保全や盛り土斜面の郷土種による緑化、人工林の除間伐による森林環境の機能向上などの環境保全対策を進めてまいりました。
     この結果、例えば最近サンコウチョウがあの近隣で随分たくさん飛来をしている。あるいはオオタカが順調に繁殖を続けているなどの成果があらわれてきております。これらを背景に、この助言や提言をしてくださいました専門家の間では公共事業をやる際の環境保全対策のモデルとも言っていいような状態になっていると。ぜひこれを今後とも大事にしていかなきゃいけないし、大いに全国にも知らせていきたいとこういうことを述べてくれております。
     また、旅客ターミナルビルの整備に当たりましていろいろ御提言もいただきましたが、目下、公的利活用スペースにおいて可能な限り人と環境に優しい県産材の活用を検討してもらっております。あと太陽光とか風力、その他もできる限りクリーンエネルギーの利活用についても要請をしその方向で検討してもらっておるところであります。さらに空港の隣接地域に生物多様性に富んだ身近な自然環境の再生、保全に取り組むための榛原ふるさとの森を整備をして、さまざまな環境学習プログラムを実施をしております。
     このような取り組みによりまして、空港周辺一帯は環境学習の拠点として大変適した地域になっていくと考えられますことから、地元NPOを初めとする地域の方々などと連携をしながら、空港見学に訪れた小学生を初めとして多くの県民の皆様に利用されるように、言うなれば渥美議員御提言の富士山静岡空港を生かした環境学習の拠点づくりに努めてまいる考えであります。
     次に、国際化に向けての人づくりについてであります。
     近年、中国を中心にした東アジアにおける経済成長が著しく、これに伴って我が国を含むこの地域が人・物・情報が行き交う大交流圏域を形成しつつあります。現在本県と東アジア諸国との関係は、静岡県と浙江省の二十五年にわたる交流の歴史を見ましても、これまでの官主導の交流から民主体の交流へと、質、量ともに大きく変わりつつあると受けとめておるところであります。この交流を末永く続けていくためには、何といっても人材育成が重要なテーマとなってきていることは、渥美議員の御指摘のとおりであります。
     加えまして、最近特に感じますことはアフリカそれも南部アフリカですね、南部アフリカの諸国が南部アフリカの共同機構をつくっておられまして、ここの大・公使の方々が入れかわりのように静岡県に来訪され、その都度私のところにも立ち寄っていろいろ懇談をして帰られます。そういう交流を通じて、特に本県への期待は本県が得意といたしますものづくりの分野での本県企業のそれらの地域への進出と言いましょうか、投資に加えまして、特に気候風土の状況からアフリカ南部の地域は従来から紅茶の一大生産地でありまして、そういう基盤を背景にして今後は緑茶の分野にも非常に興味関心が寄せられておるようで、その点で本県とのいろいろ連携強化を期待しながらやってきておるということが感じられます。
     また加えて北米、特にアメリカ合衆国の、これは州レベルでありますけども、例えば従来から直接間接いろいろ縁がありましたノースカロライナ州を初めアメリカ合衆国の南東部地域ですね、これらの地域はやはり日本企業の、特に静岡県関係の企業の向こうへの投資拡大、あわせて向こうの企業の日本それも外資系企業の進出が日本一と言われる静岡に着目して、向こうの企業の投資、これを活発化したいということで、いろいろな機会にこちらにアプローチがあります。
     そういうふうに考えてまいりますと、都道府県レベルとはいえ非常に外国との接点が広がってきていると。それに本県としてどのように対応していくべきなのかまだ模索中でありますけども、今後全方面と交流を拡大ってことは仮に不可能にしても、どこか重点を絞ってやる場合にかなりその面でのやはり人材の層を厚くしていく必要があるということも、昨今感じておるところでございます。
     民間企業においては、既に投資をした先へ従業員を派遣してるわけでありまして、当然地域住民としての立場も発生してまいりますから、社員をそういう面からきちんと研修したりあるいは外国人従業員を日本語教育に活用するとか、あるいは国際交流協会、NPOなどによるボランティア人材養成などに力を尽くすとか、そのような活動が活発化しつつあります。
     県におきましても、本年度から国際施策の立案ができる職員養成の目的で中国浙江省の政府関係機関に派遣をいたしまして、研修の意味をも兼ねて派遣を始めました。また韓国人を国際交流員として新たに県に受け入れるなど、人的交流の促進も図るように始めました。これからは官民協働で国際化に向けた人づくりが進められるように、環境整備に努めてまいりたいと考えております。
     県といたしましては、大交流時代を迎えた国際社会の一員として産業、文化など幅広い交流の形成、青少年の国際感覚を磨く機会の拡大など、各種団体等の協力もいただきながら複合的に施策を展開してまいらなければいけないと痛感し、いろいろこれから施策を充実していきたいと考えております。
     先ごろ、静岡大学の農学部の御出身で大学卒業後、外国の鉱物資源の開発関係に携わった中村繁夫さんという現在アドバンスト・マテリアルという会社の社長をやっておられる方のお話を、県の幹部職員会議に来ていただいて伺いました。卑俗な言い方をすると、日本最後の山師とあだ名がついてるそうでありますけども、世界じゅうの昨今注目を集めておりますレアメタル――希少金属ですね、希少鉱物これの開発関係については我が国の第一人者という評価を獲得されている方でありますけれども、この人の話なんかを聞いても、例えばこういう分野における人材をもっともっと獲得していかなければいけないということが強く感じられます。
     中国あたりの国家政策としてこの分野に大量の資金と人材を投入してやっている様子を見ますと、そういう話を伺いますと、そういう分野でも人材の育成、養成が急がれるし、そういうことを、もうごく一部の例でありまして、あらゆる分野でそういう国際的な場面で日本人が活躍できるような人材養成というのが急がれるということを痛感いたします。従来から海外との交流を幅広くやってきました本県も、日本の先頭に立ってそういうような役割を十分果たしていくことが必要であると。それこそ地方自治の精神に立った県政の展開ではないかという感じも強くしている昨今でございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(吉川雄二君) 藤原総務部長。
            (総務部長 藤原通孝君登壇)
    ○総務部長(藤原通孝君) 防災行政無線の高度化についてお答えいたします。
     防災行政無線は、地震等の災害情報あるいは気象情報などを各市や町、住民の方々に迅速かつ的確に一斉送信する役割や、県と市や町との情報の受伝達などを担っております。本県では防災行政無線の中核となる市町における同報無線の整備率につきましては、東海地震への備えということもありまして一〇〇%であって、これは全国一の水準となっておるところでございます。しかしながら議員御指摘のとおり、近年情報通信技術の著しい進展により通信・放送やあるいは携帯電話のデジタル化が進められておりまして、防災行政無線につきましても電波の有効利用や高度利用を促進する観点からデジタル化への移行が要請されております。
     こうした中で、県を初め市や町の防災行政無線をデジタル化し高度利用するためには、多額の財政支出を伴うことから特に財政基盤の弱い市や町につきましては整備が困難となり、災害情報などの受伝達に地域格差が生じることが危惧されます。このため県といたしましては、防災行政無線の高度化に係る財政措置の創設などにつきまして引き続き国に対しても強く要望するとともに、市や町とも連携して地域格差の生じることのないよう計画的に整備を進め、防災行政無線の高度化を図ってまいりたいと考えております。
     次に、浜岡原発に対する県民の理解についてであります。
     さきの新潟県中越沖地震では柏崎刈羽原子力発電所で安全確保の機能が効果を発揮し、原子炉は安全に停止いたしました。しかしながら、地震直後の変圧器の火災であるとかあるいは発電所等から住民への的確な情報提供がおくれたことなどから国民の不安が高まり、そのことが風評被害あるいは原子力発電所の耐震性などへの懸念に結びついているのではないかと受けとめております。
     こうした事態に的確に対処するためには、議員御指摘のように、本県といたしましても浜岡原子力発電所の被災や事故発生の際の緊急対応体制、あるいは報道、情報伝達のあり方につきまして再度検討しておくことは、早急に対処すべき課題であると認識をいたしております。このため県では、地元四市と共同いたしまして、こうした場合に県やあるいは市がとるべき対応について再確認を行いますとともに、そのさらなる充実を図るため検討を進めてまいります。また浜岡原子力発電所への県民の理解を深めるため、県ではこれまでも原子力に関する広報資料の配布や基礎講座の開催、環境放射線測定データの公表などの活動を実施しております。
     今後ともこうした活動を進めますとともに、県民の皆様が浜岡原子力発電所の耐震性あるいはプルサーマルなどの諸問題についての理解を深め、不安を解消できますよう情報公開の徹底あるいはシンポジウムの開催などを国や事業者に要請し、地元四市とも連携して県民の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。ぜひ、ごらんいただきました皆様方にもいろんな形での意見交換をしていただいて安心感の醸成につながれば何よりと考えております。
    ○副議長(吉川雄二君) 杉山産業部長。
            (産業部長 杉山栄一君登壇)
    ○産業部長(杉山栄一君) 環境行政についてのうち、県産材の利用促進に向けた生産流通加工体制の整備についてお答えいたします。
     県では、県産材の効率的な生産・流通・加工システムの構築を図るため、本年三月しずおか木材流通マスタープランを策定し、原木供給体制の整備、木材流通の合理化、木材加工の再編・整備などを一体的に進めることとしております。このマスタープランに基づき、本年六月に富士流域をモデル地域として、木材の大口需要に対応した原木生産の増大や原木流通の合理化、大型加工施設の整備の手法などについて検討するため、富士流域の森林組合や木材加工・流通業者、行政機関等が参加する研究会を設置したところであります。現在、専門家のアドバイスやコスト分析調査などを行っており、平成二十年度中を目途に具体策を取りまとめることとしております。
     今後は、この具体策の実現を図るため、高性能林業機械の導入や流通加工施設の整備に対する支援策について検討していくこととしております。またこうした川上から川下までの一体的な体制整備の取り組みが天竜流域など他の流域においても行われるよう、関係団体等に対し積極的に働きかけてまいります。
    ○副議長(吉川雄二君) 遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長(遠藤亮平君) 環境行政についてのうち、環境教育の推進についてお答えいたします。
     子供たちの森づくり体験学習についてでありますが、県内では子供たちが森の中で緑を守り緑を育てる活動に自主的に取り組む緑の少年団が六十八の地域や学校で組織され、約五千人の子供たちが年間を通して奉仕活動、野外体験等を実施しております。
     学校や地域が所有する森林を活用した取り組みとして、伊東市の小学校ではナラ、クヌギなどの葉や木の実を使った作品づくりや樹木探しのウオークラリーを行うなど自然に親しむ活動を取り入れており、また地域の方々の協力のもと、きこり体験を行い山の作業の意味や山林の大切さを学んでいる牧之原市の小学校もあります。その他の学校においても、遠足や自然教室などの機会に緑に触れ、木々が水をためて洪水を防いでいる機能を学ぶなど森林を教育の場とした環境学習への取り組みを工夫しながら行っております。
     今後も、議員御指摘の自然愛護や環境美化などに関する体験学習の場をより多くつくり、子供たちの自然への畏敬の念や命をとうとぶ心などを培っていきたいと考えております。
    ○副議長(吉川雄二君) 稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長(稲津成孝君) 耐震強度偽装の再発防止についてのうち、初めに確認検査業務の適正化についてお答えいたします。
     本県における指定確認検査機関は、現在知事指定の二機関と国土交通大臣指定の十三機関があり、これらの機関の指導監督権限はそれぞれの指定権者にあります。県はこれまで知事指定の二機関に対し指導監督を行ってまいりましたが、六月二十日に施行された改正建築基準法では、建築確認等の業務を管轄する県と特定行政庁に対し管轄権限の範囲内で指定確認検査機関への立入検査権限が付与されました。
     このため本県では知事指定の二機関に対し、改正法により強化された確認検査業務や検査員の数、業務体制の確認などを重点に随時立入指導を実施するとともに、その他の機関についても特定行政庁と連携を図りながら立入指導を実施していくこととしております。また厳格化が求められている確認検査業務につきましては、特定行政庁や指定確認検査機関等と協議会を設け、情報の共有や補正の方法、軽微な変更等の運用の統一を図り効率的な審査に努めてまいります。
     次に、建築士制度についてであります。
     昨年十二月に公布された改正建築士法では、建築士の資質向上を図るため建築士事務所の管理建築士や所属建築士に対する定期講習の義務づけのほか、建築士試験の受験資格の見直し、建築士や建築士事務所の登録等ができる指定登録法人制度の創設などが盛り込まれております。また建築士事務所協会が法定化されたことに伴い、協会の自主事業として苦情相談業務にも積極的に取り組むとともに建築士会や建築士事務所協会による各種研修会を実施することにより、業界団体の自律的な監督体制の確立が求められているところであります。
     県といたしましては、国の動きを注視しながら業界団体の中から指定登録法人を選定する方向で準備を進めるとともに、建築士や建築士事務所への立入検査等の充実強化により設計・工事監理業務の適正化に努めてまいります。
    ○副議長(吉川雄二君) これで渥美泰一君の質問は終わりました。

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