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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/03/2022

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 未来世代の利益を見据えた政策形成の在り方について
2 浜岡原子力発電所の再稼働について
3 リニア中央新幹線と南アルプスの自然環境の保全について
4 田代ダムの水利権更新について
5 カーボンニュートラルの実現に向けた主伐、再造林の促進について
6 有機農業をはじめとする農業分野での環境負荷低減の推進について


○議長(藪田宏行君) 再開に先立ち御報告いたします。
 説明者として難波静岡県理事が出席しておりますので御承知おき願います。

○議長(藪田宏行君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十五番 小長井由雄君。
       (六十五番 小長井由雄君登壇 拍手)
○六十五番(小長井由雄君) 私は、県政の諸課題について通告に従い知事、副知事並びに関係部局長に一括質問方式にて質問します。
 初めに、未来世代の利益を見据えた政策形成の在り方について伺います。
 県は、平成二十一年度から、現在行っている事業の必要性やその事業を本当に県が実施すべきかどうかについて外部の専門家や県民が議論し事業の見直しをしていく事業仕分けを国に先駆けて実施しました。その成果として多額の財源の捻出につながったことはもちろん、県の事業に対し県民の多くが関心を持ち理解を深める契機にもなったと評価しています。
 この事業仕分けはその後幾度かの進化を経て、現在は静岡県の新ビジョンの着実な推進を図るため無作為抽出により選ばれた県民が中心となって議論を行い施策改善の提案を頂くふじのくに士民協働施策レビューとして続いているものと認識しています。
 現在、静岡県は富国有徳のふじのくにづくりを掲げ計画が進みつつある事業もあります。しかしながら、これらの事業を実施する意思決定に当たっては現役世代の利益を重視するあまり未来世代の利益や将来発生するかもしれない不利益については十分に顧みられてこなかったのではないかと感じています。財政面から見ても本県の県債残高は総額で二兆八千億円まで膨らんでおり、現役世代の利便性にとらわれ未来世代にこれらの負担を背負わせてしまうことになっていることを危惧します。人口減少社会がこのまま継続すれば未来世代の負担はより大きくなり、将来彼らの自由な意思決定を阻害する要因にもなりかねません。
 財政面だけでなく、迅速に対応しなければ手後れになると危惧される気候変動問題は現役世代が未来世代への負の遺産を考慮することなく利便性を享受し続けたものであり、その結果未来世代への負担は非常に大きなものとなりました。現在県においても国の取組に呼応しながら様々な分野での脱炭素、カーボンニュートラルを推し進める事業が提示されていますが、事業を実施し成果を出していくには意識の転換や財政措置の転換など大きな努力が必要だと思います。
 持続可能な社会をつくっていくためには経済社会、環境、文化など様々な面において未来世代に不利益を残さないという視点を重視することが重要だと考えます。
 英国のウェールズが二〇一五年に制定した未来世代法は、政府や自治体などの公的機関が意思決定する際未来世代の利益が十分考慮されているかを検討するよう義務づけています。市民、若者が参加する第三者機関が未来世代に悪影響を及ぼすと判断すれば公的機関の決定を変えさせることも可能となっています。実際ウェールズでは未来世代法によって新たな高速道路の建設が中止になった例もあるということです。
 この未来世代法をそのまま取り入れることは難しいかもしれませんが、県においても施策の計画や大規模プロジェクトを実施するに当たって現役世代の得られる利益と将来負担を十分に考慮し、現役世代のニーズだけでなく未来世代にも十分配慮した意思決定を行っていくことが重要と考えます。
 例えば、一定の事業費を超えるプロジェクト等については実施に先立ち県民が参加する未来世代委員会というような第三者機関を設置しその適否を諮問することとするなど、未来世代の利益という観点から事業の妥当性をチェックするシステムの構築を検討すべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、浜岡原子力発電所の再稼働について伺います。
 東日本大震災により東京電力福島第一原発の一、二、三号機の核燃料がメルトダウンし建屋が爆発して大量の放射性物質が外部に放出された原発事故から十一年が経過しました。放射能に汚染された地域の自宅に戻れない避難者は二〇二一年三月時点で二万二千人にも及んでいます。安全神話に陥って悲惨な事態を防ぐことのできなかったことへの反省は決して忘れてはなりません。
 本年八月二十四日、政府は東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえてつくった原子力政策の方針を転換し原発の新増設や運転期間の延長の検討、さらに新たな再稼働を打ち出しました。これは昨年十月に改定したばかりのエネルギー基本計画で原発への依存度は可能な限り低減し原発に頼らない社会を目指すとした流れを覆すものです。
 政府は脱炭素や電力の安定供給のために原発の運転が必要だとしていますが、東電の株主訴訟判決で述べられているように原発で大量の放射性物質を拡散させる過酷事故が発生すると我が国そのものの崩壊にもつながりかねないという重大な危機を秘めています。
 南海トラフ巨大地震の震源域に当たる浜岡原発は二〇一一年五月に全面停止しました。その後中部電力は津波対策として総延長一・六キロ、海抜二十二メートルの防潮堤を建設し、津波が防潮堤を乗り越えた場合でも原子炉建屋の外壁に重さ四十トンの強化扉を取り付けるなどの対策を進めてきました。
 一方、今年五月札幌地方裁判所において北海道電力泊原発に対し津波に対する安全性の基準を満たしていないことを理由として運転差し止め命令の判決が出されました。この判決について川勝知事は、原発の安全性や運転の可否は発電所ごとに判断すべきもの、国に対して厳正な審査を求めるとともに中部電力に対して安全確保の徹底を求めていくとコメントしています。
 知事は、これまで一貫して使用済み核燃料の処理方法が確立されていないなどとして浜岡原発は再稼働できる状態ではないと答弁されてきました。浜岡原発の再稼働に向けた課題は津波対策や使用済み燃料の処理方法だけではありません。大地震と原発事故が複合的に発生した場合の避難計画の実効性や巨大地震の震源域にあることで直下型地震による直接の被害の危険も考えられます。放射性物質の拡散が予測できない中で地元をどこまでの範囲として同意を得ていくのかも問題です。
 また、ロシアのウクライナ侵攻で現実味を帯びているテロや武力攻撃による原子炉の破壊やシステムへのサイバー攻撃など様々な課題があります。
 いずれの課題に対しても納得できる状態でなければ再稼働すべきではないと考えますが、浜岡原発の再稼働についてどのように考えるのか伺います。
 次に、リニア中央新幹線と南アルプスの自然環境の保全について伺います。
 リニア中央新幹線は、工事による水がれ被害の発生と貴重な動植物などの生態系への悪影響と工事により大量に発生する残土の処分による自然環境への影響や災害の発生など多岐にわたり懸念されています。このリニア中央新幹線については国土交通省交通政策審議会陸上交通分科会中央新幹線小委員会で審議されました。二十回開催された委員会のうち環境調査については第九回中央新幹線小委員会において南アルプスルート、伊那谷ルートの自然環境への配慮という視点から僅かな時間でしたが審議されたものと理解しています。
 小委員会の委員で今回国交省の環境保全有識者会議の座長になった中村氏は、このときの委員会へ提出された資料について粗すぎる、戦略アセスというレベルでもないとして自然環境的に見てどちらがいいといったような議論は少々無理だと指摘しています。しかしそれにもかかわらず家田委員長は、環境という面から見てどっちが決定的に駄目だとかそういうことにはならないとすり替えています。
 また、他の委員は発言の冒頭全然よく分かっていないんですけどと断った上で、縦断的に考えたら消えてしまう話も随分あると発言しています。つまり地中にあるトンネルが地上の自然環境に影響するような内容を議論することは少ないという意味の発言だと思います。
 しかし、大規模工事により真上に広がる国内最大級の貴重な生態系が残されている南アルプス国立公園やユネスコエコパークにも登録されている地域への影響は避けられないと考えます。さらに、国交省の技術開発室長がこのエリアの自然環境への影響は極力トンネルで通過することにより極小化できるという報告になっているとJR東海の報告を一方的に受け入れる発言をしていることも問題です。
 この小委員会の構成メンバーには、自然環境の専門家は現在国の有識者会議で座長を務めている中村委員一人しかいないということです。事業の重要さから考えれば、勉強不足で恐縮とか全然よく分かっていないというように発言する委員によって審議されたことはあまりにも無謀ではないでしょうか。
 中央新幹線小委員会においてルートについての見解を出す審議がこのような形で行われたことが、路線決定過程における巨摩山地を回避し南アルプスを回避しない不透明さになっていると感じます。そしてその後のJR東海による環境影響評価における調査不足や県専門部会の意見等に対する六十四項目の回答ができなかったものや内容が不十分なものになっているのではないかと思います。
 本年六月から開始された国交省の環境保全に関する有識者会議は、気候変動対策として生物の多様性の保全や脱炭素の取組が世界各国に求められている中で、また南アルプスユネスコエコパークの登録更新時期を迎える中で極めて重要な会議となります。
 生態系など環境保全に関する我が国の環境行政を牽引する環境省は、国立公園特別地域も広がる南アルプスなどの環境を守っていくのが使命であります。しかも環境影響評価書で厳しい大臣意見を述べていることからもリニア問題への積極的な関与は避けられないはずです。
 県として環境省の積極的な関与を求めていくべきではないかと考えますが、見解を伺います。
 次に、田代ダムの水利権更新について伺います。
 南アルプス間ノ岳を起点とする全長百六十八キロの大井川には高低差を利用した流域十四か所のダムと十六か所の水力発電所が設置されています。このため発電用の大量取水による河川流量の減少が発生し、これまで地域住民による水返せ運動など流況改善に関する熱い取組が行われてきました。東京電力の田代川第二発電所の水利使用、いわゆる田代ダムの水利権については平成十七年の更新に合わせ流域市町から大井川に流水を取り戻そうとする強い声が上がり流域市町、国、県、発電事業者による議論が重ねられるなど地域一体となった運動が展開された経緯があります。
 本年三月には、県民生活の安定向上及び本県の経済社会の発展への寄与を目的として静岡県水循環保全条例が公布され七月に施行されました。今後大井川をはじめとする流域の健全な水循環を図るために流域水循環計画が策定されることから、豊かな水資源の恩恵を大切にしていこうとする本県の取組に期待しているところであります。
 一方、本年四月にリニア中央新幹線のトンネル工事に伴う湧水の県外流出対策としてJR東海から田代ダム取水抑制案が提案されました。この案の実現可能性についてはいまだ結論が出ていないものの、この提案をめぐり知事が水が戻ってくれればありがたいと述べたことはまさに大井川流域に暮らす住民の思いを代弁したものと言えます。
 このような状況下で田代ダムの水利権が令和七年十二月に更新時期を迎えると承知しています。
 そこで、三年後の水利権の更新に向けて県はどのように対応していくのか伺います。
 次に、カーボンニュートラルの実現に向けた主伐、再造林の促進について伺います。
 木材は森林が呼吸した炭素を貯蔵し、住宅資材などとして利用される間も貯蔵、固定されることから都市における第二の森づくりとして脱炭素への貢献が期待されます。
 この十年を振り返ると公共建築物木材利用促進法の改正、SDGsやパリ協定の採択、二〇五〇年カーボンニュートラルの宣言など木造建築には追い風が吹いたと言えます。
 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、様々な分野での二酸化炭素の排出削減や再生可能エネルギーの導入と併せ二酸化炭素を吸収、固定する森林吸収源対策が重要となります。
 県は、森林吸収源対策として間伐を促進していますが既に人工林の約九割が四十一年生を超えています。高齢級ほど樹木の成長が衰えていくことからこのままでは二酸化炭素の吸収量が減少していきます。森林の二酸化炭素の吸収量を高めるためには主伐、再造林を促進して高齢級に偏った森林の若返りを図るとともに利用適期に達している木材の利用拡大が有効となります。
 しかし、木材価格の低迷により主伐実施面積は長期的に減少しており近年では横ばいで推移しているものの、これを拡大するためには主伐、再造林の採算を高めていくなど森林所有者の主伐意識を高めていくことが重要です。
 令和七年度までの四年間を計画期間とする新たな静岡県森林共生基本計画では森林との共生によるカーボンニュートラルの実現を取組の方向の一つに掲げていますが、県はこの実現のために主伐、再造林の促進にどのように取り組んでいくのか伺います。
 さて、最近マスコミ等で森の力再生事業による森林所有者の意に反した手法による伐採が取り上げられています。今後こうしたことがないように県は原因を明らかにした上で再発防止策をしっかりと取っていただくように要望します。
 この報道の中ではこの伐採に起因する災害の発生を危惧していますが、このような報道が主伐、再造林の促進に影響を与えることを心配しています。木を切って収穫する林業そのものを誤解しており、主伐することが災害に結びつくものではないと考えますが、県の見解を伺います。
 最後に、有機農業をはじめとする農業分野での環境負荷低減の推進について伺います。
 農林水産省は、緑の食料システム戦略においてカーボンニュートラル等の環境負荷低減のイノベーションを推進するため農林水産業のゼロエミッション化の実現のほか化学農薬は五〇%、化学肥料も三〇%の削減を目指すとし、さらに有機農業の面積を農地面積の二五%に当たる百万ヘクタールに拡大するといった十四の目標を掲げました。この目標を達成していくため本年七月に緑の食料システム法が施行されたところです。
 EUにおいては、二〇二〇年五月に、ファーム トゥー フォーク、農場から食卓まで戦略を打ち出しており、昨年九月に開催された国連食糧システムサミットにおいて当時の菅総理大臣は、世界のよりよい食料システムの構築には生産性の向上と持続可能性の両立などが重要であることを強調するとともに、日本においては緑の食料システム戦略を通じ持続化と可能な食料システムの構築を進めていくと発言しています。
 化学農薬や化学肥料を使わない有機農業は、これらの資材の原料輸入や製造過程で必要な化学燃料の消費の削減につながるばかりでなく堆肥等の有機物を活用した土づくりを通じて土壌中への炭素貯蔵が図られ脱炭素化に貢献します。有機農業の取組を拡大するには、有機農業が脱炭素化を含め自然環境にどのように貢献するかを生産者や消費者に対してPRすることと相互理解の促進が必要です。そして個々の生産者や産地が中長期的視野で実践可能な取組を着実に進めていくことが大切だと考えます。
 私の地元大川地区では茶商と茶農家が連携し有機茶栽培への転換から輸出による新規事業開拓に取り組み始めており、その成果を期待しています。
 一方で、有機栽培に取り組んでいる農業者からは有機栽培への転換は生産面では天候に左右されやすく品質や生産量が安定しないことへのリスクの低減措置を考えてほしいという声があります。また消費面からは市場の創出が不可欠で見た目重視の流通関係者や消費者の理解が必要だと聞いています。有機栽培の推進には今後生産者、消費者、行政が一体となって協議、推進、連携する必要があると考えます。
 県は、有機農業をはじめとする農業分野での環境負荷低減の取組について、脱炭素化への貢献と持続可能な農業経営とを両立させるという観点から今後どのように推進していくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 小長井議員には骨のある御質問を頂きましてありがとうございました。
 私のほうからは、浜岡原子力発電所の再稼働についてお答えをいたします。
 東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故とその後の経過を見ますと、一たび過酷事故が起こりますとその影響は計り知れないものがあります。いまだに帰還困難区域が残っており、多くの方々が地元から離れた生活を余儀なくされている現実があります。それゆえ原子力発電所につきましては何よりも安全の確保が大前提であります。
 本県に立地する浜岡原子力発電所におきましては現在安全対策工事を実施中であります。また発電所直下を震源域に含むプレート間地震が発生した場合の安全性を含め原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査も継続中であります。
 さらに、現在のところ使用済み燃料の処理方法が確立されておりません。使用済み燃料プールの空き容量は現在一千八体分しかありません。三、四、五号機が仮に再稼働いたしますと新たに発生する使用済み燃料により僅か一、二年でプールが埋まってしまうということになります。こうした状況から浜岡原子力発電所は再稼働できる状況にはないという認識を持っておりましてその認識に変わりはありません。
 議員御懸念の原子力発電所の安全に関わる課題のうち武力攻撃につきましては、具体的な対策の検討を全国知事会を通じて国に要請しておりまして今後の国の対応を注視しているところであります。
 また、原子力災害の発生に備えた避難計画は再稼働の有無にかかわらず必要なものであります。原子力災害から周辺地域の皆様の安全を確保するために県及び関係十一市町は地震等との複合災害の発生も想定した広域避難計画を策定し、現在その実効性の向上に取り組んでいるところであります。
 我々といたしましては、県民の皆様の安全・安心のため引き続き国に対しては厳正な審査を求め、中部電力に対しましては徹底した安全確保を求めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(藪田宏行君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) 田代ダムの水利権更新についてお答えいたします。
 田代ダムの水利権につきましては、利水者である東京電力をはじめ国や県及び地元市町等を構成員とする大井川水利流量調整協議会において関係者の相互理解の上、取水量や取水に優先して放流される河川維持流量が合意され国土交通省が許可をしております。
 前回、平成二十七年の水利権更新は河川環境調査や河川維持流量の放流効果の検証結果などを基に同協議会でそれぞれの立場を尊重しつつ議論を重ね、それまでの河川維持流量を踏襲することで合意し更新に至ったものであります。県はその間、協議会の運営に当たり丁寧で活発な議論がなされ十分な理解の上で合意がなされるよう全力で取り組んでまいりました。
 令和七年十二月に期限を迎える次の水利権の更新に向け、これまで同様同協議会で大井川源流部の状況や地域の思いを共有することが大変重要と考えております。このためこれまでの議論や検証を確認するとともに、更新に当たり十分な調査や検討を要することが想定されますことから早い段階から関係者と密接に連携して科学的根拠に基づいた調整を行うなど計画的かつ丁寧に対応してまいります。
 一方、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題は令和七年の田代ダムの水利権更新とは切り離して議論するものであると認識しております。今後の議論の動向を踏まえ、田代ダムの水利権更新への影響が明らかになった場合は大井川水利流量調整協議会におきまして関係者から説明を求めるなど適切に対応してまいります。
 利水者や流域市町等の関係者の意見を丁寧に伺いながら、長い歴史の中で関係者の努力の積み重ねによって成り立っております大井川の水利用が将来にわたって持続可能となるよう取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 石川政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(石川英寛君) 未来世代の利益を見据えた政策形成の在り方についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、持続可能な発展をしていく社会を形成していくためには長期的視点に立って将来にわたる影響や利益を十分に検討した上で政策を形成することが重要であります。
 県では、様々な場において広く県民の皆様から御意見や御提案を伺い県の施策に反映することで短期的視点と長期的視点のバランスを取りながら政策の決定を行っております。具体的には県議会における御審議をはじめ外部有識者などで構成する審議会、パブリックコメントなどにおいて多様な御意見を頂くほか、総合計画審議会への若者枠の委員の参画や施策改善の方向性を議論するふじのくに士民協働施策レビューへの多くの若者の参加など政策形成過程における若者の参画も推進しております。
 また、将来の負担が増大することのないよう気候変動危機への対応や脱炭素・循環型社会の形成などに取り組むほか健全な財政運営のため新ビジョンにおいて通常債残高の上限一兆六千億円程度という目標を掲げるとともに、コロナ禍を踏まえた大規模な施設整備計画の総点検を行うなど常に事業の見直しを行っております。
 今後とも、議員御指摘の趣旨を踏まえこうした取組を継続する中で県民の皆様の御意見を積極的に取り入れながら長期的な視点を踏まえた政策形成に努めてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 難波静岡県理事。
○静岡県理事(難波喬司君) リニア中央新幹線と南アルプスの自然環境の保全についてお答えをいたします。
 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事における環境保全対策に関して環境大臣は、JR東海の環境影響評価書に対し二〇一四年六月に、これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない、当該地域の自然環境を保全することは我が国の環境行政の使命である、さらに環境保全について十全の取組を行うことが本事業の前提であるとの意見を国土交通大臣に提出しています。
 国土交通省は、二〇二〇年四月に有識者会議を設置し十三回にわたり水資源に関する議論を進め、昨年十二月に中間報告をまとめた中で環境保全に関する有識者会議を引き続き開催することとしていました。今年五月に国土交通省から県に対し六月に開催する旨の通知があったことから、県は環境省に対し環境保全に関する有識者会議の立ち上げに当たり強力なリーダーシップを発揮していただけるよう要望書を提出いたしました。
 結果として、環境省には国土交通省による有識者会議委員の選定に関わっていただいたと聞いておりますし有識者会議にオブザーバーという立場で参加、協力をされております。
 また、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事を進めるに当たっては環境省による南アルプス国立公園の自然公園法の許可が必要になると理解をしております。環境省に許可申請があった場合には本県に意見照会頂けることになっておりますので、関係者は県の専門部会等の議論に基づく本県からの意見を踏まえた適切な判断を行ってくださるものと認識をしております。
 生物多様性の保全や脱炭素の取組が世界的に求められる中、環境省の果たす役割はますます重要になってきております。環境省におかれては、国立公園でありユネスコエコパークである南アルプスの貴重な自然環境の保全に関しても環境行政の使命を果たしていただけるものと大いに期待をしており、リニア中央新幹線の環境影響に関し引き続き環境省の積極的な関与をお願いしてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) カーボンニュートラルの実現に向けた主伐、再造林の促進についてお答えいたします。
 人工林の急激な高齢化が進む中、森林のCO2の吸収量を高めるためには議員御指摘のとおり主伐、再造林を促進し森林の若返りを図ることが重要であります。
 県は、これまで林業の採算性を高め森林所有者の主伐意欲を喚起するため三次元点群データを解析した森林情報を基に主伐適地を抽出し、路網などの基盤整備や高性能林業機械の導入により生産コストの削減に取り組んでおります。加えてICTを活用した鹿の食害を軽減する遠隔監視システムの開発や成長が早く下刈りを省力化できるエリートツリーの導入促進などにより育林コストの削減を図ってまいります。
 また、主伐による災害への影響につきましては、主伐後も根株が土砂を抱え込むことで土砂の崩壊を防ぐ機能は維持されます。長期的には根株の腐食が進行しますが、再造林などにより機能が代替されるため主伐が直ちに災害に直結するものではないと考えております。
 県といたしましては、主伐、再造林を促進しカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
 次に、有機農業をはじめとする農業分野での環境負荷低減の推進についてであります。
 カーボンニュートラルの実現に向けて農業生産の環境負荷低減を促進するためには、環境に優しい有機農業について生産拡大と消費喚起の両面から施策を推進する必要があります。
 このため、県では昨年度有機農業推進計画を改定し有機栽培の生産拡大に向けて農林技術研究所等を通じて減肥、減農薬による栽培手法の研究開発や営農指導を強化するとともに、消費者への理解を深める食育イベントやシンポジウムなどを展開しております。特に海外市場のニーズが高く高値で取引される有機抹茶につきましては、輸出事業者と連携した有機てん茶の導入支援や天敵による防除技術等の研究開発を強化してまいります。
 また、本年八月には生産者、消費者、行政など十三組織で構成する有機農業に関する検討会を設置したところであり、生産から消費に至る様々な課題解決に向けて関係者が一体となって取組を進めてまいります。
 県といたしましては、農業分野での環境負荷低減の取組を推進し持続可能な農業の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 小長井由雄君。
       (六十五番 小長井由雄君登壇)
○六十五番(小長井由雄君) それでは持ち時間の範囲で要望させていただきたいと思います。
 現在、私たちは気候変動や貧困など将来にわたって様々な課題に直面しております。これらに取り組むために自分たちが下す決定がもたらす長期的な影響についてしっかりと考える必要があります。公共部門がこれを行うことを確実にするものとして、質問でも述べました第三者委員会を考えていっていただきたいなとそういうように思いますのでよろしくお願いしたいと思います。
 次に、浜岡原発の再稼働についてでございます。
 原子力規制委員会の更田委員長の退任前の会見発言です。安全神話は復活を許さない姿勢を貫くことができたと思うが緩んだら神話は復活する、将来もずっと注意が必要だと述べています。また規制基準に合格したことは安全性を保障したものではないと公式の席で発言をしております。
 先ほど述べた課題以外でも原発の老朽化、高経年化ということもあります。配管ケーブル、あるいはコンクリートなどは言うまでもありませんが中性子を浴びることによって圧力容器に使われている金属が金属としての性格を失うと全壊するというような問題もございます。どうぞ原発の再稼働等につきましては慎重に対応することをお願いしたいと思います。
 次に、リニア中央新幹線と南アルプスの自然環境の保全についてであります。
 これまでですね、エネルギーということは御答弁の中では今まではなかったと思いますが、今日はリニアがかなりのエネルギーを使うというのは御答弁もございました。リニア中央新幹線と南アルプスの自然環境の保全につきましては、厳しい大臣意見を出した環境省に代わって県の専門部会がJRとの対話を続けているといっても過言ではないと思います。将来に禍根を残すことがないような対応をしていただくことをお願いいたします。
 次に、田代ダムの水利権更新についてであります。
 三年後に迫っている水利権の更新に際しては流域水循環計画の策定において水質、水量の確保や自然環境の保全及び再生、水に関する文化を振興するなどが網羅されているものと考えます。大井川の健全な水循環に少しでも近づけるため流域水循環計画が重要になるものと考えます。この計画の策定に期待をさせていただきますのでよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、カーボンニュートラルの実現に向けた主伐、再造林の促進についてであります。
 これは質問とは少し外れますが、今回の台風十五号の被害を見ると流木による被害の拡大が見られます。このことから植林、育林、保育、間伐、主伐、このサイクルが適切に実施されていくことが重要だと改めて認識いたしました。ますます森林の適切な管理を推進していただけますようお願いを申し上げます。
 次に、有機農業をはじめとする農業分野での環境負荷低減の推進についてであります。
 日本では有機栽培を推進していくことは難しいと言われています。しかし農産物を海外へ輸出していこうとするなら相手国の農薬等の基準をクリアしなければなりませんし、またこれからは環境負荷低減への取組も問われてくるのではないかなと、そんなふうに考えます。このような様々な点から有機農業を推進していくことが必要であると考えますので有機栽培の拡大を進めていただくことを要望いたします。以上で質問を終わります。(拍手)
○議長(藪田宏行君) これで小長井由雄君の質問は終わりました。

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