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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成16年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

植田 徹 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/03/2004

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○議長 (水口俊太郎君)  ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、 知事提出議案第一号から第八十八号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 五十七番 植田 徹君。
            (五十七番 植田 徹君登壇 拍手)
    ○五十七番 (植田 徹君)  おはようございます。
     私は自由民主党の所属議員として、 知事、 関係部長並びに警察本部長にお伺いをいたします。
     私は再三にわたり、 みずからのライフワークでもある富士山について幾つかの提言をいたしてまいりましたが、 本年もまたこれまでと同様に残された懸案項目を中心に質問いたします。
     富士山は本県の象徴であると同時に日本を代表する山であり、 日本人の心のふるさとであります。 また日本のシンボルとして世界各国の人々にも広く知られた、 世界に冠たる名山であります。 私も富士山のふもとに生まれ育ち、 美しい富士山の姿に日々接して生活する者として格別の思いがございます。 私たちに安らぎや勇気を与え大きな恵みをもたらすかけがえのない霊峰富士が、 我が静岡県にあることは私たちの誇りであり、 豊かな自然環境や美しい景観を守り、 はぐくみ、 その恵みを後世に引き継ぐことが今を生きる私たちの責務であると思います。
     そこで初めに、 富士山ろくの環境問題のうち、 産業廃棄物の不法投棄対策について伺います。
     近年、 富士山ろくを中心とした産業廃棄物の不法投棄が後を絶たず周辺の環境が悪化しつつあり、 心を痛めているところであります。 不法投棄の形態も従来は原野や山林に安易に投棄するという単純なものでありましたが、 最近では高速道路や主要国道等を利用して深夜に運搬投棄し、 直ちに覆土するため発見がおくれるなど、 その手法が悪質巧妙化してきております。 最近では特に、 千葉県の石油精製業者から排出された硫酸ピッチが埼玉県の処理業者にたらい回しにされたあげく、 最終的には富士山ろくに大量に不法投棄された事件がありました。
     このような生活環境と人体に悪影響を及ぼすおそれのある多量の産業廃棄物の不法投棄には、 山ろくの一住民としても大きな怒りを感じておりましたが、 県当局の今までの地道な御努力により、 全量の硫酸ピッチが撤去されたことに対し、 住民を代表して厚くお礼を申し上げるところであります。 二度とこのような悪質きわまりない不法投棄から富士山ろく周辺を含む県土全体を守り、 良好な環境を維持、 創出するためには、 県民挙げて意識の高揚が必要であると考えます。
     さらに、 こうした状況を放置すれば、 さらなる不法投棄の誘発となるばかりでなく県民の廃棄物処理に対する不信感を増大させ、 循環型社会の形成にかかわる諸施策の遂行に大きな障害となりかねません。 このようなことから、 ますます悪質化、 深刻化しつつある産業廃棄物の不法投棄の未然防止、 早期発見等、 その撲滅のための対応について県の取り組みをお伺いいたします。
     次に、 地下水の水質保全対策について伺います。
     富士山は私たちの暮らしにたくさんの恵みをもたらしており、 特に地下水、 湧水の恩恵を多くの県民が得ておりますことは言うまでもありません。 富士山ろく全般の降雨量は東京都使用量の二分の一相当とも言われており、 かつて富士山測候所の所長をやっておられた藤村さんは、 霊峰富士のことを降った雨や雪を地下に蓄え、 山ろくに伏流水をもたらすことを表現して、 巨大なスポンジであると言っておられました。 何層にも重なり合った溶岩層と中腹や山ろくに広がる森林によって蓄えられた水が、 東洋一の湧水量を誇る柿田川や湧玉池、 白糸の滝を形成しております。
     このような豊富な地下水が古くから周囲の人々の生活用水、 農業用水などとして使われるとともに岳南地域の製紙産業を初めとした地域産業の礎となってまいりました。 しかしながら近年、 過剰なくみ上げなどによる地下水位の低下や塩水化現象、 また各種の工場等による汚染が大きくクローズアップされてまいりました。
     地下水位の低下や塩水化については、 企業努力により改善されてきたところでありますが、 水質について見てみますと県が毎年公表している資料によれば、 富士山周辺でも一部において有害物質の混入により環境基準を超過している地域が見られております。 地下水を上水道源として利用している本県といたしましては重要な問題であります。 安全・安心な生活を求める地域住民の貴重な飲み水として、 また祖先より受け継がれてきた大切な資源として、 その水質を保全し次世代に継承していくことは重要な課題であると思いますが、 県は今後、 富士山周辺の地下水の水質保全対策にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
     次に、 静岡空港開港に向けた観光振興及び産業振興についてお伺いをいたします。
     最初に、 観光振興についてであります。
     本県は平成十八年度の開港を目指し、 静岡空港の整備を進めておりますが、 依然として空港の是非論ばかりが論じられておりますが、 もはやその段階ではないと私は考えます。 現在の開港前進に向けて、 いかにその魅力を高め需要を喚起し今後の本県の発展につなげていくかという論議と行動がこれからは重要と考えます。
     その着眼点の一つとして、 観光振興が挙げられます。 世界観光機関によれば、 一九七〇年に一億五千九百万人であった全世界の外国旅行者数は、 二〇〇〇年には六億九千七百万人に増加し、 二〇一〇年には十億人、 二〇二〇年には十六億人になると予想されております。 地球規模での大交流は、 国や地域間の相互理解を促進し経済の活性化や文化の振興にも大きく貢献するだろうと言われております。  しかしながら、 我が国の現状を見ますと、 日本人の海外への旅行者数が約千六百万人であるのに対し日本への外国人旅行者数は約五百万人にとどまっており、 政府はこの格差是正を国家的課題として位置づけ、 当面二〇一〇年を目途に訪問外国人旅行者数を一千万人にすることを目標にビジット・ジャパン・キャンペーンを展開しております。 県としてもこれに呼応した積極的な対応が求められるところでありますが、 私は世界に向けて本県の魅力を発信し交流の拡大を図っていくとき、 空港と富士山が重要なポイントになると考えます。
     冒頭で述べたように、 富士山は日本の象徴として広く海外に知られており、 だれもが一度は見てみたい登ってみたいとあこがれる山であります。 その富士山の魅力、 イメージを最大限に生かそうと静岡空港の愛称を 「富士山空港」 にという声も聞こえてまいります。 美しく雄大な富士山に向けており立つ空港というイメージが広がれば大きな誘客効果が期待されます。 そのイメージを定着させ、 さらに需要拡大につなげていくためには、 本県を訪れた方が実際に富士山の魅力に接し、 期待にたがわずすばらしかったという印象を持たれるというのが重要であります。 このように効果的な観光誘客戦略を展開していけば、 本空港の利用度は大きく広がっていくのではないでしょうか。
     そこで、 静岡空港開港に向けて、 当局は富士山とその周辺の観光振興や国内外からの観光誘客に今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
     次に、 産業振興についてであります。
     経済のグローバル化が進み地球単一市場と言われる中、 県の調査によりますと平成十五年四月一日現在で三百四十一社の県内企業が千七十四カ所の事業所等を持ち、 海外でビジネスを展開していると聞いております。
     こうした中、 今日商談はインターネットによる事前の資料交換をベースに、 フェース・ツー・フェースの詰めが行われるなど、 格段にスピードが要求されていると言われており、 海外への高速移動手段として、 空港はビジネスにとって不可欠な産業インフラであると考えます。
     特に平成十四年の製造品出荷額が全国第三位となり、 多くの輸出関連産業が集積している本県におきましては、 製品や部品等の輸出入のための世界に直結する手段を手近に持つ必要があると考えます。 私は本県の産業インフラとして空港は非常に重要な意味を持つと思いますが、 お考えをお伺いいたします。
     次に、 静岡空港と富士山への交通アクセスについてお伺いいたします。
     富士地域は富士山があり、 前述のごとく観光振興や産業振興等で大きな可能性を持っています。 また、 その活用は一地域の課題にとどまらず、 県全域さらには我が国全体の課題でもあります。 富士山の活用を図り、 観光振興、 産業振興等を推進していくためには富士地域及び周辺地域の都市基盤の整備を進める必要があり、 山ろく全般の豊かな自然環境の保全や治水、 国土保全に配慮しながら、 交通基盤等の都市基盤を整備していくことが求められております。
     大交流の時代と言われる二十一世紀を迎え、 静岡空港の平成十八年度開港に向けた事業の推進など、 今、 県内の広域的な交通体系は新たな展開を迎えようとしております。 特に外国から直接静岡空港へ、 次に新幹線を利用して富士山ろくまで来るという多くの人々の希望と理想を充足するためには、 静岡空港への新幹線直下駅の設置がぜひとも必要であります。
     片や富士地域の交通体系を見てみますと、 道路については広域幹線道路を中心にこれらにアクセスする県道や都市計画道路が形成され、 その充実が図られています。 また鉄道については東海道新幹線、 東海道本線、 身延線及び岳南鉄道が東西南北の交通網を形成し、 多くの人々の交流基盤として重要な役割を担っております。
     しかしながら、 富士地域の表玄関である新富士駅と身延線は、 交通基盤の中心的な役割を担っているにもかかわらず接続していないため、 富士地域が本来持っている大きな可能性を秘めた資源や魅力が十分にその力を発揮されていない状況にあります。 こうしたことから静岡県の百年の計を画するとき、 静岡空港への新幹線新駅の設置及び新富士駅と身延線との接続について、 前述の観光振興、 産業の増幅について、 その経済効果ははかり知れないと推算するものであります。 事業費の財源の確保やJR東海との交渉など、 各般の課題も想定されますが、 県政の主要課題としてとらえていく必要があろうと考えるものであります。 知事の御所見を改めてお伺いをいたします。
     次に、 ファルマバレー創薬構想について伺います。
     富士市を初め富士山ろく一帯は、 医薬分野の研究所が多数立地しております。 国の予測によりますとバイオ産業の市場規模は、 二〇一〇年には二十五兆円にも拡大すると見込まれる一大産業になると予想されております。 こうした中、 薬をつくる創薬技術も革新期に入り医薬品産業が新成長分野として注目されておりますが、 新薬の開発競争は世界的な規模で激化しております。 医薬品の研究開発には長い歳月と巨額な開発費がかかりますが、 成功率は極めて低いと言われております。
     本県では文字どおり、 医薬品産業の集積に着目したファルマバレー構想が策定されており、 県内主要病院による臨床試験ネットワークが稼働するなど、 着実に構想推進が図られるとともに、 がんセンター研究所の整備などの重点事業も次第に目に見えるような形になっております。 私もファルマバレー構想の受け皿として、 市と商工会議所、 地元企業が一体となって協力していく 「ふじの山産業創造機構」 の設立を提案しております。
     さて、 県では新年度の予算の中におきまして県立大学を中核とし、 静岡発の薬の開発、 研究を行っていこうという創薬探索研究事業は、 これまでの本県施策において見たことのない新鮮な事業感覚を感じるものであります。 そこで、 この創薬探索研究事業については、 どのようなことを意図して構想されているものであるのか。 また本県産業にどのような効果を及ぼすことが期待されているのか、 あわせてお伺いをいたします。
     次に、 富士地域における茶業振興のための基盤整備について伺います。
     私は富士山を仰ぎ見るとき、 その前に広がる茶園と一体となった風景の美しさは、 本県が誇る貴重な財産の一つであり、 茶の生産活動とともにこの景色を保全し次世代に引き継いでいくことが、 我々に課せられた責務であると考えているところであります。
     しかしながら、 昨今の茶業を取り巻く状況を見ますと緑茶の多量の輸入もあり茶葉の低迷によって茶農家の経営は厳しくなっており、 さらに後継者不足も懸念されております。 このため県内の各茶産地では、 生き残りをかけて機械化管理体系への投資や新品種の積極的な導入に努め、 また茶園管理の共同化を初め、 生産から加工販売までを一元的な管理のもとに行う新たな地域茶業組織への再編に取り組んでおります。
     こうしたさまざまな取り組みの中でも、 乗用型茶園管理機などの積極的な導入とそれを促進する園地の整備や畝の方向の変更など、 改植とあわせた基盤整備が急務ではないかと考えております。 茶園管理の機械化が進んでいる鹿児島県では、 茶園のほとんどが平坦地であることから大型機械が効率よく利用され、 茶園面積の七〇%をカバーするほどに機械化が進んでいると伺っております。 反面、 本県の状況は、 傾斜十度以上の茶園が全体の三分の一を占めているといわれ、 生産現場の機械化は立ちおくれている状況にあり、 このことは品質の面では他県を大きくリードしている本県にとって最大の泣きどころとなっております。
     さて、 私の住んでいる富士地域は、 茶園の傾斜が比較的なだらかで乗用型機械などが導入しやすい条件にあり、 経営規模拡大を目指す農家にとって可能性の高い地域であると考えておりますが、 他の地域と同様、 極度に後継者の問題に悩んでいるところでもあり、 一方では新たな担い手として農事組合法人 「ピュアグリーン」 などの元気な経営体が生まれ、 大規模な経営を展開しつつあります。 また意欲的な農家が多様な品種をそろえ個性的な茶業を目指すなど、 品質の高い富士茶の生産に向けた産地化への取り組みが始まっております。
     こうした富士地域の取り組み状況の中で、 平成十五年度から大久保地区で区画整理を含めた基盤整備が始まりましたが、 今後生産性の高い営農環境を確立するために県はどのように基盤整備に取り組んでいこうとしているのかお伺いをいたします。
     次に、 PFIの導入について伺います。
     我が国では平成十一年に、 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、 いわゆるPFI法が制定され、 既に七十以上の自治体で導入が進められているところであります。 これは厳しい財政事情の中で、 民間の技術的、 経営的ノウハウを積極的に活用して、 効率的で質の高い行政サービスを達成することができると言われているからであります。
     私は本県でも行財政改革の足がかりとして積極的に取り組むつもりがないかと、 平成十四年二月議会におきましてPFIの導入への検討状況について質問をいたしました。 その後、 静岡県内の市町村では、 長泉町が一般廃棄物最終処分場の整備事業にPFIを導入し、 浜松市においてもPFIの導入が予定されていると報道されております。
     県では、 県立高等学校の再編整備事業において、 仮称西遠地区新構想高等学校をPFI方式により事業実施することで事務を進めており、 また中部運転免許センターの整備についても導入可能性調査を行い、 PFIの導入に向けて検討に入ったとのことであります。
     私は現在の厳しい財政状況のもと、 NPMの一環として民間の資金やノウハウ等を活用する手法の一つとしてPFI方式による事業を積極的に進めていく必要があると考えますが、 県ではPFI方式をどのようにとらえていくのか、 また今後ほかの事業でも取り組む予定があるのかお伺いをいたします。
     最後に、 富士市が職員として採用した警察OBを交番相談員として交番に配置する構想について、 警察本部長にお伺いいたします。
     この構想は、 先月二十五日に富士市議会で富士市長が安全で住みよいまちづくりに関する施政方針の中で打ち出したものであります。 今定例会に静岡県の防犯まちづくりを推進するための条例が上程されておりますが、 一足先に富士市では昨年の九月に犯罪から市民生活の安全を確保していく富士市生活安全条例が制定されております。
     これは富士市内の薬物乱用事件が後を絶たないほか、 暴力団の存在や少年非行などが市民に大きな不安を与えていることから、 これらの問題に市を挙げて積極的に取り組んでいくために制定されたものであります。 また条例とあわせて、 麻薬、 覚せい剤撲滅の都市宣言を行うなど、 富士市では今まさに安全な地域社会の実現に向けた取り組みが進められており、 一般市民にも生活の安全をみずからの手で確保していく機運が高まってきているところであります。
     この安全確保に関する機運の盛り上がりの中で最近特に要望が強くなっているのが、 「近くに交番があっても不在が多く、 気軽に警察に相談ができない」 という、 不在交番の解消を望む声であります。
     現在富士市内には、 交番が十三カ所あり、 このうちの四交番には既に警察OBが交番相談員として配置されております。 この交番相談員が配置されている交番は警察官がパトロール中でも、 昼間であれば、 いつ交番に行っても交番相談員が応対し相談に乗ってくれるために、 住民に非常に喜ばれております。 しかし県の厳しい財政状況の中で緊急に必要な警察官の増員はともかく、 県警察の非常勤職員である交番相談員の増員までは非常に困難な状況にあります。 このため富士市では交番相談員が配置されていない九カ所の交番に市で警察OBを独自に採用し、 交番相談員として配置する構想を打ち出したものであります。
     この実現には警察OBという警察実務に精通している人材の確保を初め市の職員を交番に配置し、 警察の職務に携わることができるかなどの課題があります。 しかし、 この構想の発端は言うまでもなく県民でもある富士市民の要望にこたえるものであり、 実現すれば全国で初めての先進的な事例となるものであります。 私は、 ただ改革や安全などという言葉を唱えるだけでなく、 この構想のように具体的に行動していくことが福祉向上の原点であり、 今まさに県民、 市民から行政に求められているものだと感じており、 ぜひ実現させたいと考えております。
     そこで、 この構想の早期実現を図るため県警としてどのように支援されるのか、 またその見通しについて警察本部長にお伺いをいたしまして、 私の質問を終わります。 ありがとうございました。 (拍手)
    ○議長 (水口俊太郎)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  植田徹議員にお答えいたします。
     初めに、 静岡空港の利用についてのうち、 観光振興についてであります。
     静岡空港開港により、 国内遠隔地はもとより海外から本県へのアクセスが飛躍的に向上することから、 国内外の人々が強くあこがれる富士山を最大限に活用して観光誘客を図ることが重要であると考えております。 このため県では、 富士山及びその周辺地域を一つの観光テーマパークとしてとらえ、 山梨県、 神奈川県と連携して、 歴史、 文化、 温泉などを結びつけた広域観光ルートの開発や国のビジット・ジャパン・キャンペーンとも連携した海外への宣伝活動などに取り組み、 外国人観光客の増大に努めているところであります。
     今後はこうした取り組みに加えて、 新たな市場として期待される国内遠隔地や海外、 特に中国への戦略的な誘客活動を展開するとともに、 外国人観光客の受け入れ態勢を整備するための支援を行うなど、 開港に焦点を合わせた具体的な取り組みを鋭意進めてまいります。
     次に、 産業振興についてであります。
     空港と産業振興の関係についてでありますが、 県の東部のある企業におきましては毎年千五百名程度を海外出張させていると聞いておりますが、 仮にこのうちの半分が静岡空港を利用すると成田空港利用の場合と比べて国内移動経費は約六百万円節減できるほか、 前泊に要する経費も削減できるなど、 コスト引き下げに大きく役立つものと考えます。 この前泊をする人が何人いるかよくわかりませんけれども、 仮の計算で海外出張の人の三分の一が前泊していると考えると、 それも三百万円程度と見込まれますので前泊経費を含めると九百万円ぐらいの節減効果も期待できるという数字も試算上は出てまいります。 また県西部のある企業の場合は、 年間海外出張者約四千二百人と聞いております。 この場合、 仮に半分の方が静岡空港へ来るとか三分の一来るということになった場合でも、 かれこれ一千万円近い、 やはり経費節減になるということが見込まれます。
     このように静岡空港が開港した場合に、 どこの路線が就航するかということもありますけれども、 逆に潜在的なニーズが相当あるということでもありますので、 今後路線とお客との相関関係でいろいろな数字が決まってまいりますけれども、 ポテンシャルというか潜在的な利便性、 経費削減効果というものは非常に大きいということが想定されます。
     また、 海外との物流におきましても、 スピードを求められる部品や半製品の輸出入に不可欠であることはもちろんでありますが、 本県に立地をしている外資系の企業の方々にあれこれ伺いますと、 もうかなり飛行機を利用して物を運んでいるということがうかがえます。 外資系の輸入衣料品カタログ販売事業者は商品を早く手にしたいという消費者の要求にこたえるために、 商品の半分が空輸であると言っております。 しかも、 この会社は本社は横浜にありますけれども、 物流センターを藤枝に設けております。
     したがって、 今後静岡空港が開港した場合に、 貨物便利用者としてこういう事業者が期待をされるところでありますし、 加えて空港貨物というと従来は付加価値の高いものが運ばれるというイメージが強かったわけでありますが――付加価値が高くて小さな物というイメージが高かったわけでありますけども、 本県内に立地をしておりますある超合金メーカーのお話によりますと、 本社はルクセンブルクにある会社だそうですが、 比重が十五ということで鉄の倍ぐらいの重量ですね、 こういう商品でも結局国内のユーザーに必要な部品を早く届ける必要があるということで、 航空便を利用しているということであります。 それが今は成田で通関をして静岡に運んでくるということでありますから、 これが静岡空港を活用できるということになれば、 これは大変またはかり知れない効果が出るということを言っておるわけでございます。
     そのように、 物流を考えた場合でも、 あるいは人の流れを考えた場合でも、 産業、 経済にもたらす効果は非常に大きいということがうかがえるわけでございます。 こういうことでございますので、 一日も早い開港を目指して努力をしていきたいと。 また潜在需要を顕在化するための努力も重ねていきたいと考えておるところでございます。
     それから、 静岡空港から富士山への交通アクセスの問題であります。
     静岡空港直下への新幹線新駅の設置につきましては、 植田議員もいろいろ力説されましたように大変効果のあるものと私も想像いたしますし、 新幹線新駅の設置を実現したいと願っておるわけでありますけれども、 現状においてはJR東海がこの問題については非常にかたくなな態度で、 その必要性を認めない状態でございます。 この段階で幾ら要望しても労多くして効少なしどころか、 効なしという感じがいたします。 ましてや余りそういう活動をいたしますと、 この空港が新幹線新駅なければ成り立たないという間違ったイメージを発信しかねない。 もともとこの空港は新幹線新駅ありき、 飛行場は新幹線新駅ありきでスタートしたわけではございませんし、 我々の今の需要予測もそういうことにはなっておりません。
     したがって、 私は何度も申し上げておるところでありますけれども、 鬼に金棒と言っているわけであります。 鬼は金棒がなくてもこわいわけでありますが、 金棒を持てばもっとこわいということですね。 静岡空港も新幹線新駅がなくても大したもんだと思うんですけれども、 それに駅ができれば大したことになるというふうに、 もっと大したことになると思うのでありますが、 思い込みの壁というのはいかんともしがたい。
     この点で、 私は最近、 将来に希望の持てるような現象を経験いたしました。 静岡県出身で、 我が国の経済界の論客として鳴らしておる方にこの前お目にかかったらですね、 「いや、 静岡空港の価値について意義について思い直しました」 というお話が出てまいりました。 なぜかというと、 きっかけは能登空港の開港によって、 能登空港と小松空港、 あるいは能登空港と富山空港、 これを利用する旅行動態が随分たくさん出てきて思いもかけなかったと。 これを東海道筋に置き直してみると、 静岡空港と成田、 羽田、 あるいは静岡空港と中部空港、 こういう間で能登地域におけるスケールよりはもっと大きいスケールで、 そういう旅行動態が発生し得るということをやっと気がついたというお話でありました。
     そういうことでありますので、 思い込みの壁は現象が起こらない場合はなかなか突破できませんけれども、 これを後づけするような、 ちゃんと理解できるような現象が起こってくると意外に簡単にこれが解消するということがわかりました。 まあ思い込みの壁でいろいろな活動をしてる方々が県内外に結構いらっしゃいますけれども、 こういう方々も空港を開港した場合にどのようにその壁が崩れるか、 楽しみなところでございます。
     いずれにしても、 そういうことで空港新駅の問題は――新幹線新駅の問題は、 そういうことでやってまいりたいと考えております。
     そこで、 新富士駅と身延線との接続の問題でありますが、 これまでにも県は富士市、 そして富士市の経済界の方々といろんなお話し合いや検討をしたこともございます。 その過程でいろんな案も検討されたというふうに承知をしておりますけれども、 いずれにしてもこの問題を実現するかどうかは、 まずは富士市がどのように考えてこれにどう対処するか、 その態度決定というか、 意思決定がまず先決であると思います。 富士市長さんにもそのような話をいろいろしておりますが、 最近伺いますとかなり前向きな意欲もあるというふうにも仄聞しております。 今後、 市とも協議をし連携してこの問題に当たっていきたいと考えておるところでございます。
     その他の御質問につきましては、 関係部長から御答弁申し上げます。
    ○議長 (水口俊太郎君)  花岡環境森林部長。
            (環境森林部長 花岡志郎君登壇)
    ○環境森林部長 (花岡志郎君)  富士山ろくの環境問題についてのうち、 初めに産業廃棄物の不法投棄対策についてお答えいたします。
     富士山ろくを中心にここ数年間の不法投棄対策の取り組みとして、 夜間パトロールやヘリコプターによる監視を強化したことから、 不法投棄件数は大幅な減少となっておりますが、 依然県外からの不法投棄は後を絶っておりません。 このため、 今年度から未然防止の徹底を図るため、 静岡県不法投棄撲滅対策本部を設け、 不法投棄一一〇番の開設による情報収集や深夜時間帯でのラジオスポットなどによる啓発活動のほか、 特に県境において夜間検問を実施し収集運搬車両に対する取り締まりを強化しているところであります。
     このような取り組みにより、 本年一月末までの産業廃棄物の不法投棄状況は、 件数、 量とも昨年と比較して激減しております。 来年度はさらに徹底した夜間検問を図るナンバープレート自動観測装置の導入や林道を介在した不法投棄を根絶するための車両進入防止さくの設置などを行い、 不法投棄の撲滅に向けて、 なお一層の努力をしたいと考えております。
     次に、 地下水の水質保全対策についてであります。
     地下水汚染につきましては、 昭和五十年代後半から全国でトリクロロエチレン等の有機塩素系化学物質による汚染が顕在化したことから、 平成元年の水質汚濁防止法の改正により、 地下水の水質監視が義務づけられたことを受け、 県では県内全域を十キロメートルのメッシュに分割し、 有害金属や有機塩素系化学物質などの二十四項目について監視を行ってまいりました。
     富士山周辺では、 これまで約百九十カ所で井戸水の調査を実施してきており、 十七カ所で複数の有機塩素系化学物質による汚染が確認されておりますが、 県や市の指導による汚染原因者の浄化対策により十一カ所により汚染が解消され、 飲み水には利用されていない残りの六カ所もおおむね改善傾向にあります。
     今後とも汚染されている箇所の早期解消に向けて、 浄化対策を強力に指導するとともに地下水は一たん汚染されるとその回復は大変困難でありますので、 現在は未規制となっている化学物質についても、 平成十四年度から施行された環境汚染物質排出移動登録制度を活用して、 事業所に対し取り扱い方法や自主監視の実施についての指導を行うなど、 地下水汚染の未然防止に一層努力してまいります。 ○議長 (水口俊太郎君)  川口健康福祉部長。
            (健康福祉部長 川口正俊君登壇)
    ○健康福祉部長 (川口正俊君)  ファルマバレー創薬構想についてお答えいたします。
     医薬品の開発は多くのプロセスから成っておりますが、 中でも治験と創薬探索は重要でありますことから、 昨年末には治験ネットワークを稼働させるととともに創薬探索についての検討を進めてまいりました。 この結果、 県立大学には創薬に結びつく専門技術が集積されており、 また研究成果も蓄積されておりますことから、 これらを生かし本年四月から県立大学に創薬探索センターを全国に先駆けて創設することといたしました。 これにより、 センターを核に他大学や研究機関などとの共同研究を進め、 画期的な新薬や製薬企業の取り組みが弱かった難病治療に資する薬などを開発できる体制が整うことになります。 また、 創薬に関し専門技術を有する人材の育成にも効果をもたらします。
     今後、 創薬探索センターを中心として展開する研究事業により、 新薬の候補化合物が生み出されれば、 この製品化に向けて新たなベンチャーの創出が期待され、 また県内に立地する製薬企業等との共同開発に向けた取り組みが大きく進展するなど、 本県の健康関連産業の振興に寄与するものと考えております。
    ○議長 (水口俊太郎君)  栗原農業水産部長。
            (農業水産部長 栗原 績君登壇)
    ○農業水産部長 (栗原 績君)  富士地域における茶業振興のための基盤整備についてお答えいたします。
     県内の茶園では、 乗用型管理機がこの二年間で五百台以上導入され県全体では千三百台を超えており、 富士地域においては近年比較的経営規模が大きく意欲的な農家を中心に六十台余が導入されてきております。
     富士のすそ野に広がる茶園は傾斜が比較的なだらかなものの、 乗用型管理機の導入を促進するためには、 区画が小さく所有が分散し段差も多い状況を解消することが必要であります。 このため県といたしましては、 これまで進めてきた農道や排水路、 畑地かんがい施設の整備に加え乗用型管理機の導入支援などのソフト事業とも連携を図りながら、 農地の集積や機械での作業が可能となるよう、 基盤整備に取り組んでおります。 富士地域が富士山を背景に美しい茶園の景観を保ちながら、 県内の有力な茶産地となるよう関係機関などと連携し、 高品質で生産性の高い営農環境の確立に向け、 基盤整備を推進してまいります。
    ○議長 (水口俊太郎君)  橋本総務部長。
            (総務部長 橋本嘉一君登壇)
    ○総務部長 (橋本嘉一君)  PFIの導入についてお答えいたします。
     PFIにつきましては、 民間の資金や経営技術ノウハウの活用により、 効率的で質の高いサービスと財政負担の軽減が期待できることから、 積極的な導入を考えております。
     平成十八年四月開校予定の西遠地区新構想高等学校 (仮称) につきましては、 今月二十二日に入札を行い、 本年九月議会に契約議案を上程できるように諸手続を進めてまいります。 また中部運転免許センター建てかえにつきましてもPFIの導入を予定しており、 年内には実施方針を公表したいと考えております。 さらに清水工業高等学校と静岡工業高等学校を再編整備する総合科学技術高等学校 (仮称)、 及び下田南高等学校と下田北高等学校を再編整備する下田地区新構想高等学校 (仮称) につきましても、 PFIの導入を視野に入れて準備を進めてまいります。
     PFIの導入に当たりましては、 従来の事業手法とPFI手法について、 事業期間全体にわたっての財政負担額、 期待されるサービス水準等を合理的に比較検証し、 メリットや課題等、 総合的に評価した上で個々の事業ごとに判断してまいりたいと考えております。
    ○議長 (水口俊太郎君)  水田警察本部長。
            (警察本部長 水田竜二君登壇)
    ○警察本部長 (水田竜二君)  富士市採用の警察OBによる交番相談員の配置についてお答えいたします。
     市採用の交番相談員構想につきましては、 富士市の方から提案があり、 県及び市役所担当者と検討を行ってきたところでございます。 このような自治体の首長からの申し入れは静岡市からもあり、 大変ありがたいことであると考えております。 今後は経費運用方法等が関係法令に抵触しないかなどについて、 さらに詰めの検討をしていきたいと考えております。
     なお、 空き交番の解消については静岡県警察緊急治安対策プログラムにも盛り込んでおりますが、 警察官の増員とあわせて交番相談員の増員についても検討を進めていきたいと考えておりますので、 これらとの調整も必要と認識しております。
    ○議長 (水口俊太郎君)  これで植田徹君の質問は終わりました。

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