本会議会議録
質問文書
平成28年12月静岡県議会定例会 質問
質問者: | 鳥澤 由克 議員 | |
質問分類 | 一般質問 | |
質問日: | 12/12/2016 | |
会派名: | 自民改革会議 | |
質疑・質問事項: | 1 地方創生に資する県から市町への権限移譲の推進について 2 アジア地域に向けた県産品の輸出促進について 3 災害廃棄物の処理に関する課題認識と処理体制の整備について 4 今後の道路整備の進め方について 5 食の安全・安心の確保について 6 利用しやすい多様な保育サービスの充実について 7 社会総がかりの高校教育について |
○出 席 議 員(六十九名)
○欠 席 議 員(な し)
○副議長(藪田宏行君) ただいまから会議を開きます。
議事日程により、知事提出議案第百三十六号から第百七十一号までを一括して議題とします。
質疑及び一般質問を行います。
通告により、十四番 鳥澤由克君。
(十四番 鳥澤由克君登壇 拍手)
○十四番(鳥澤由克君) おはようございます。元気な御声援をいただきましてありがとうございます。私は自民改革会議の所属議員として通告に従い一括質問方式で、知事、副知事及び関係部局長、教育長に当面する県政の諸課題についてお伺いをいたします。
初めに、地方創生に資する県から市町への権限移譲の推進について伺います。
県及び県内の全ての市町において、地方創生に向けた中長期的な展望を示す長期人口ビジョンと五年間の具体的な取り組みを掲げる地方版総合戦略を策定し、人口減少が進む中でも活力を持って地域があり続けられるようさまざまな取り組みを開始をいたしました。
一方で、十月一日現在の本県の推計人口は、前月比六百十三人減の三百六十八万六千九百四十五人と依然として人口減少に歯どめはかかっておりません。市町によっては日々の業務に忙殺され、本当に切迫した危機感を持って人口減少対策に取り組んでいるのか心配になるところもあり、取り組みのおくれが将来の地域の存続にボディーブローのように効いてくるのではないか、取り返しがつかないことになるのではないかと危惧を抱いているところです。
市町が地方創生を着実に推進するためには、主体的にみずからの将来を考え施策を実行することが必要であります。各市町がそれぞれの創意工夫によって取り組みを進めることができるよう県の側面的な支援が重要かつ必要不可欠ではないでしょうか。そのための施策の一つとして県から市町への権限移譲が非常に重要であります。基礎自治体である市町は自主性を高め住民に身近な行政を自立的かつ総合的に担うことで、それぞれの地域の特性に即した課題の解決を図ることができるようになるものと考えられます。
県では、平成十年度からの第一次権限移譲推進計画に始まりこれまで六次にわたる計画に基づいて県内市町への計画的な権限移譲が進められ、現在までの権限移譲法律数は十二年連続で日本一となっており権限移譲先進県とも言えます。一方で権限の移譲を受けることが市町への負担の押しつけにならないよう、県として市町の事務の実態や権限移譲の効果の把握、その後の支援を継続的に行っていく必要があるものと考えます。
こうした中、県では現在新たな権限移譲推進計画を策定中とのことでありますが、これまでの県から市町への権限移譲をどう評価しているのか、さらに今後どのように進めていくのか、県の所見を伺います。
次に、アジア地域に向けた県産品の輸出促進について伺います。
平成二十五年五月、日本人の伝統的な食文化として和食がユネスコ無形文化遺産に登録をされました。今や和食は健康的で理想的な食生活のスタイルであると世界的なブームになっております。こうした和食ブームを追い風に日本の農林水産物は世界でも高く評価され、農林水産物、食品の二〇一五年の輸出額は七千四百五十一億円と過去最高となり、国は二〇二〇年の輸出額の目標である一兆円を前倒しで達成することとしております。一方国内に目を転じますと少子高齢化と人口減少が進行しており、食に関する市場は今後縮小していくことが明らかであります。
こうした状況の中にあって我が県の農林水産業を引き続き振興していくために、私は、本県の多彩で高品質な農林水産物を富士山静岡空港や清水港など県の強みである整ったインフラを活用し、シンガポールや香港など近隣諸国の中で特に購買力の高いアジア地域に向けて戦略的に輸出促進していくことが必要であると考えます。みずからがつくった農林水産物が海外で評価され販路が拡大していくことは県内の産地、生産者にとって大きな励みとなり、後継者対策にもつながっていくものと考えます。
私は、アジア地域への輸出を促進するためには沖縄県の那覇空港を活用することが有力な手段ではないかと考えます。現在那覇空港は平成二十一年から国内各地から到着した食品などの荷物を翌日には新鮮な状態でシンガポールや香港などのアジア地域へ届けることを可能とするいわゆる国際ハブ機能を有しており、加えて何よりも富士山静岡空港の就航先となっています。私も那覇空港における航空物流システムと日本がこれから重点的に推進するアジア地域への輸出体制を実際に調査してまいりました。
そこで、県としてこれまでのアジア地域に向けた県産品の輸出促進の取り組みと今後の対応について所見を伺います。
次に、災害廃棄物の処理に関する課題認識と処理体制の整備について伺います。
御承知のとおり、去る十月二十一日に鳥取県中部を震源とした最大震度六弱の地震が発生し、鳥取県を中心に甚大な被害をこうむったことは記憶に新しいところであります。この地震では本年四月に発生した熊本地震と同様に住宅の損壊が大きく、壊れた家屋や家財道具などが大量に発生しており被災地における災害廃棄物の処理が進まないという課題が明らかになっております。
例えば、熊本地震では私が隣の鹿児島のホテルに滞在中に発災しその揺れを肌で感じたところでありますが、被災した家屋は一部損壊も含めれば約十八万棟にも及んでおり災害廃棄物の発生量は百九十五万トンと推計されております。地震発生後には地元自治体が仮置場を順次設置し災害廃棄物の受け入れを行いましたがその量は不足し、災害ごみを積んだ軽トラックなどが列をなす様子を報道などでごらんになられた方も多いと思います。また発生した廃棄物の処理に関しては熊本県内の七市町村が単独では処理し切れず熊本県へ処理を委託し、県が二次仮置場を設置、九月末から廃棄物の受け入れを開始したところであります。
廃棄物の発生量に対して仮置場や処理施設は不足しないかなど、熊本、鳥取の地震で明らかになった課題は東海地震や南海トラフ巨大地震に備える本県にとって早急に解決しなければならないものであります。さらに県の第四次地震被害想定によりますと三千万トンを超える災害廃棄物が発生すると想定されていることから、市町の枠を超えた広域的な処理体制の構築が必要と思われます。
そこで、今回の地震も踏まえ、災害廃棄物の処理に関する課題認識と処理体制の整備について、県の所見を伺います。
次に、今後の道路整備の進め方について伺います。
さきの東日本大震災や本年四月に発生した熊本地震は、南海トラフ巨大地震の発生が懸念される本県において災害に強い道路ネットワークが必要であると強く印象づけました。また近年頻発する局地的豪雨は山間地の集落を孤立させ、市街地では深刻な冠水被害を及ぼしており、県民生活に密着したきめ細やかな防災対策が重要性を増しています。
さらに、高齢者や児童、園児を巻き込む痛ましい交通事故が連日のように報道されており、安心して道路を利用できる交通安全対策も必要不可欠となっています。一方県内では新東名高速道路や東駿河湾環状道路といった高規格幹線道路の整備が進み、圏央道の開通もあって私の地元である県東部地域においてこれまで以上に他県ナンバーの車を多く見かけるようになりました。広域交流を加速させる道路整備の効果を実感しているところであります。
富士山と韮山反射炉が世界遺産に登録され、加えて芦ノ湖を源に発し悠久の時の流れを経ても今なお水の恩恵を与え続けている世界かんがい施設遺産の深良用水に加え、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技の開催が決まるなど県東部・伊豆地域では将来にわたって多くの人々を呼び込む明るい話題が続いており、こうしたチャンスを生かし今後も当地域が着実に発展していくためにも道路が重要な役割を果たすことになると考えます。
事実、県政に対する期待をあらわすように道路整備に対する地元要望は何よりも増して多く、道路の拡幅や交通安全対策、渋滞対策などその一つ一つが県民誰もが切に願っていることを県議会議員の一人として十分認識しているところです。しかしながら道路の整備に関する期待が大きい一方で高度経済成長期に整備された橋やトンネル等の老朽化が急速に進んでおり、道路予算に占める維持補修費の割合が年を追うごとにふえていくのではないかと予想をしています。
県の道路予算は今年度当初に約四百十六億円を計上しているものの、ピークであった平成七年度の約千四百五十億円に比べ三割を切るまでに落ち込んでいることから、このままでは新たな道路建設はおろか日常的な維持管理にまで影響が出てくるのではないかと大変憂慮しております。県としてはさまざまな諸課題に対応していかなければならないことは重々承知しております。財政が厳しい折には国からの補助金や交付金を可能な限り獲得することも必要ではありますが、それだけでは全てに対応していくことは難しいと考えます。
そこで、限られた予算の中、必要な道路の整備や保全をどのように進めていくのか、県の取り組みについて伺います。
次に、食の安全・安心の確保について伺います。
食の安全・安心を脅かす事件や事故は、これまでも数多く報告されており、焼き肉チェーン店や白菜の浅漬けを原因とする腸管出血性大腸菌O−157食中毒による死亡事例や牛肉等の食肉販売における偽装表示など後を絶たない状況にあります。静岡県内に関係した事例を見ても学校給食として提供された食パンによるノロウイルスや露店で提供された冷やしキュウリを原因とするO−157による大規模食中毒の発生、最近ではラーメンに異物が混入する事例など続いており、県民の方々は食に対する不安や不信を募らせています。
今年度県が行った県政世論調査の結果を見ますと、「県内で購入する食品の安全性についてどの程度信頼できると思うか」との問いに対しまして約六八%の方が「信頼できる」と回答しましたが、その一方で「どちらとも言えない」や「信頼できない」と答えた県民がいまだ約二七%という結果でありました。また県内に住まわれている県民の方々のみならず、近年の東アジアを中心としたインバウンドの増加を初めとして二〇一九年に開催されるラグビーワールドカップや翌二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックにおいては県内も競技会場となることが予定されていることから、今後も本県を訪れる方が以前にも増して増加することが予想をされます。
私は、誰もが憧れを抱く静岡県を目指す本県において、このような観光客も含めて全ての消費者が安心して県内産品を食べていただける環境づくりが必要であり、食品の安全性を確保する上で食品関係事業者の衛生レベルのさらなる向上が求められると考えます。
そこで、県では食品衛生対策や食品表示の適正化など食の安全を確保し、県民へ安心を提供するため、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、利用しやすい多様な保育サービスの充実について伺います。
私の住んでいる裾野市は工場が多く若者や子育ての方も多い町です。そういう町ですので働きながら子育てを頑張っている方もたくさん知っております。私はこうした方からお話を伺う機会が多いわけですが皆さん男女を問わずとてもお子さんを大事にし、我が子を愛し、健やかな成長を願っている方ばかりであります。だからこそ未来を担う子供と今子育てや仕事を頑張っている親御さんのために子育て家庭を温かく応援する社会をつくっていきたいといつも感じているところです。
折しもことしの六月二日、安倍内閣においてニッポン一億総活躍プランが閣議決定をされました。一億総活躍社会とは女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、そして子育て中であっても家庭で、職場で、地域で誰もが活躍できる社会と考えますが、こうした社会の実現のためにはさまざまな取り組みが必要であり、保育サービスの充実は欠かせないものの一つであります。
本県の保育サービスの量的状況を見ますと、平成二十八年四月一日現在県下に五百九十二の保育所と認定こども園が設置をされています。合わせて六万八百三人の定員に対して五万七千四百七十六人が利用しております。共働き世帯の増加などにより利用希望者が年々増加する中、県では市町と連携をして保育所の設置、既存施設の定員増、小規模保育事業所の設置などにより利用枠の確保に努めており、四月一日現在の保育所等利用待機児童数は昨年の七百八十人から四百四十九人と五年ぶりに減少しております。十分とは言えなくても一定の成果が出ていると評価をいたしますが、保育利用枠の拡大とともに、個々の状況に応じて誰もが利用しやすい多様な保育サービスの提供やそのサービスと子育て親子をつなぐ支援も子供たちの健やかな育ちのために欠かせないものと考えます。
例えば、やむを得ない残業やシフトの遅番などにより、時には通常の時間を超えて預かってもらわざるを得ないときも出てまいります。また子供が感染症などの病気にかかり保育所に行くことができないとき、こういうときぐらいは父親でも母親でも会社を休んで子供を見てあげる、それができることが理想ではありますが、仕事などによりどうしても休めないときに親にかわって保育士、看護師が子供の状態に合わせた適切な保育、看護をしてくれるサービスがあれば安心して就労できるのも事実です。そしてこうしたサービスを提供するだけでなく、支援を必要とする方がその情報を得られやすく使いやすいものとすることも非常に重要であると考えます。
そこで、全ての子供が健やかに成長するよう支援するため、利用しやすい多様な保育サービスの充実に県はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
最後に、社会総がかりの高校教育について伺います。
昨今の静岡県内の人口減少の問題、地方創生の議論の中で、将来地元で働き地域の後継者となる若者を育成する県立高校に対する期待は高まるばかりです。私の地元の県立裾野高等学校は総合学科としてビジネス系列や福祉介護系列を特色として地元の要請に応え幅広い教育を実践をしています。平成二十七年度の卒業生の進路状況を見ますと卒業生百八十七人のうち半数以上の九十八人が就職をしております。また同窓生の多くが進学しても地元に就職して活躍をしています。まさに地域の若者を育む高校として地域や地元企業の皆様からも注目を集めております。
しかし、こうした期待の一方で高校教育の現場では学習指導要領の改訂や入試制度の改革などの教育の変化に対応することに加え、社会から教育への要請が多様化していく中で教員が多忙化し対応に苦慮しているのも実態と聞いております。これからの高校教育には産学官が支援、協力していくことが不可欠ではないでしょうか。実際に昨年度から話題となっていた主権者教育では、全ての県立高校が自治体の選挙管理委員会との連携を深め同委員会による出前講座や支援を実施した結果、さきの参議院選挙では県立高等学校が八一・三%という高い投票率を上げることができたことは記憶に新しいところです。
さて、今年二月に静岡県総合教育会議により策定されたふじのくに「有徳の人」づくり大綱の中の有徳の人づくり宣言には、地域ぐるみ、社会総がかりの教育を実現しますとあります。この宣言は県立裾野高等学校のように高校卒業後すぐに地域社会に飛び立つ若者を育成する地域を支える高校や実学系の高校に大きく響く宣言だと思います。社会総がかりを具体的に考えますと産との連携ではインターンシップを初め企業の力を生かしたキャリア教育が考えられます。学との連携では大学との連携を強化し大学の資源を高校教育に活用していくこと、官との連携では地元の自治体との連携を進めることが考えられると思います。
そこで、県教育委員会として地域の後継者を育成する地域を支える高校や実学系の高校において、どのように社会総がかりの高校教育を推進していくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 鳥澤議員にお答えいたします。
アジア地域に向けた県産品の輸出促進についてであります。
議員御指摘のとおり、購買力の高まってきたアジア地域は巨大なマーケットでございます。したがいましてこれらアジア地域を対象に本県の農林水産物の輸出促進を図るためには、輸出する国々や都市のマーケットニーズを見きわめて市場が求める県産品を目ききして積極的に売り込んでいくことが必要であります。そのために事業者や人材に向けて仕組みをつくり上げることが重要であります。
議員におかれましては沖縄の貨物ハブ空港を御視察された由でございますが、私ももう平成二十二年から二度ばかりそのハブ空港を視察しております。そして平成二十二年の八月におきましては当時の知事でありました仲井眞さんと日本の防衛、防災につきまして意見交換をいたしました。その折に私は大井川の恵シャツを着て行ったんですが、彼は当然かりゆしを着ていたわけです。彼の着ていたのは数万円する高級品で、それがきっかけになりましてサムライ・シャツをつくっていくという決意をしたのを覚えております。
それと同時に平成二十三年八月十日に沖縄県物産公社の上里社長に面会をいたしました。そして私のほうから社長さんに――彼は元県の職員です――静岡県の多彩で高品質な農林水産物で沖縄県産品と競合しない、重ならない商品、例えばワサビ、メロン、イチゴ等々これを沖縄県産品が端境期になって輸出できないときにコンテナがあきます。その空間を埋め合わせる形で沖縄県産品と合わせて品ぞろえを多彩にする観点から海外で販売していただけないかと、実験的な取り組みなのでぜひ検討してほしいと言いました。実はおっしゃるとおり沖縄県をハブ空港として東アジア地域に日本各地から集められた食材がその日のうちに販売せられているわけであります。
そして、沖縄にはANAが毎日飛んでいるわけですが私どもは実はANAとこれを交渉いたしまして、そして必要とされたのは販売先は自分で確保しなさいということだったんです。ですから沖縄に物を持っていって向こうが運んでくれるというわけではないんですね。一方沖縄の物産公社というのは販路を持っております。その販路にうちの物産を持っていただくというこういう交渉に入ったわけでございます。そしたらその交渉が実りまして、それから一年半後の平成二十五年四月に沖縄物産公社に人を送り込みました。それが二年間落合君というのが働いてくれまして、その年のうちに「紅ほっぺ」を香港に八十九万六千円分輸出したわけであります。翌年にはそれが百万円台に上昇しました。そして昨年度はそれが五百五十万円台になりました。さらに平成二十五年度にはなかったシンガポールに対しまして二十六年度「紅ほっぺ」を二十万円分、平成二十七年度――昨年には八十八万円分を輸出していただいたとこういうわけで実績を確実に上げておりまして、二代目は長倉君といいます。まだ三十四歳です。お目にかかられたでしょうか。鳥澤県議は六十三歳、まだ三十歳も若い青年が実は沖縄物産公社におきましては係長になってるんです、その仕事が余りにもすばらしいということで。本来なら三十四歳ではうちでは一番下が主事ですがその上の主任等であります。その上に主査、さらに副班長というのがありますが今こちらでは係長というポストはありません。それが班長に当たります。そのこちらで班長に当たるものに沖縄物産公社でやっているということでございまして、実はしっかりと入り込んでおります。
そして、もちろんこれはANAとの交渉でベリー部、すなわちそのおなかの部分に荷物を運んでくださるということの契約ができた上でこれをやっているということでございます。この点に御理解やまた御視察いただきまして大変ありがたく思っている次第であります。
しかし、この食材というのは今や和食として世界的にも注目されております。これがおいしくって安全で形もよく品質もいいということですね。健康にかかわるということであります。一方その健康にかかわるものというのは医薬品や医療機器あるいは化粧品があります。医薬品、医療機器は日本の中で静岡県が日本一です。化粧品も日本一です。化粧品はここ二、三年日本一ですが医療機器につきましては平成二十一年から日本一です。医薬品と医療機器を合わせますと平成二十二年からずっと続けて日本一の生産額です。これは全体としては輸入超過なんです。しかしアジア市場はこれは物すごい勢いで拡大しております。資生堂やこちらでありますとシャンソンだとかポーラだとかございますけれどもそうしたものも含めまして、本県産のものをこれからアジア地域に売っていける余地は十分にあるということでございます。
このため、本年度商品企画や販路開拓などの専門家から成るマーケティング戦略本部を立ち上げまして本県独自のマーケティング戦略の策定に着手し、海外への販路拡大方策について議論しております。本部会議の中では県産品を販売するための新たな仕組みが論点となりました。委員の皆様からは例えばマーケットインの考え方に基づいて、すなわち市場の需要構造、消費構造をしっかり把握した上でそのニーズに沿った品ぞろえをしてそれらの商品の情報をうまくつなげる仕組みが必要であると、かなり専門的な御意見も頂戴しております。
このため県といたしましては、詰めの作業を進めていくマーケティング戦略に基づきまして県産品の輸出促進のための新たなプラットホームを形成し、アジア地域を中心とする海外への県産品の輸出拡大を推進してまいります。
その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(藪田宏行君) 難波副知事。
(副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 今後の道路整備の進め方についてお答えをいたします。
県内の道路は、深刻な交通渋滞や事故の発生、災害による通行どめの多発等多くの課題を抱える中、厳しい財政事情や老朽化施設の増加等も加わりこれまで以上に効果的、効率的な道路の整備と保全が課題になっております。
道路の整備につきましては、新東名の開通により強化が図られた東西軸に続きまして伊豆縦貫道、中部横断道、三遠南信道など整備がおくれている南北方向の高規格道路の建設が進められています。県では引き続き国や中日本高速道路株式会社に対し一日も早い開通を働きかけてまいります。それとともに関連するアクセス道路等の整備を進め、交通ネットワークの構築を進めてまいります。また地域経済や暮らしを支える道路の渋滞対策や通学路の交通の安全対策も大変重要であります。これもしっかり進めてまいります。
また、道路の保全につきましては橋梁の耐震化対策を進めるとともに、急速に進む施設の老朽化に備えて施設を長寿命化し、維持管理費の長期的な縮減と平準化を図る必要があります。このためこれまでのような損傷が大きくなってから大規模な修繕を行うという事後保全管理から予防保全管理に移行することといたしました。この予防保全管理では損傷の推移を適切に予測し、計画的な補修を行って長寿命化とそれからライフサイクルコストと言っておりますが供用期間全体の維持管理コストを下げる、これを進めてまいります。このため全国に先駆けて橋梁やトンネル、舗装について来年度から予防保全管理を行ってまいります。
また、建設業においても労働力不足が懸念されております。このため建設業を進めるに当たっては生産性の向上が重要な課題となっております。また自動運転など道路の利用技術も急速に進展をしてまいります。このため県では、道路の調査から建設、維持管理、利用に至る一連のプロセスにおいて、将来ICTを総合的に活用することが必要となることを見据えましてICTの積極的な導入に努めてまいります。
県といたしましては、新技術やICTなどの積極的な活用により効率化やコストの低減を図るとともに、必要な予算の確保に努め必要な道路整備と適切な維持管理を着実に進め、安全・安心の確保と利便性の向上に努めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 森政策企画部長。
(政策企画部長 森 貴志君登壇)
○政策企画部長(森 貴志君) 地方創生に資する県から市町への権限移譲の推進についてお答えします。
本県は、市町への権限移譲を積極的に推進した結果、移譲対象法律数は十二年連続日本一となっており、他県と比べ市町の自己決定権限が多く地方創生等の施策推進の自由度の向上が図られていると考えております。また県内市町からも事務処理の迅速化や地域の実情に即した対応が可能になったなどの効果を認めていただいていることから、住民サービスの向上が図られているものと評価しております。
一方で、県内市町から事務処理件数が少ないことによるノウハウの蓄積の困難さや専門知識を備えた人材の確保が難しいなどの課題が指摘されており、一部の市町ではこれ以上の移譲事務の受け入れは困難との意向を示すなど権限移譲先進県であるがゆえの課題も明らかになっています。
こうした課題を解消し、市町がみずからの政策立案、事業実施をより効果的に行うことができるよう、本年度全市町が参画する行政経営研究会において新たに権限移譲事務受け入れ体制の検討会を立ち上げ、市町が連携した事務の共同処理などの効率的な手法を初め県の相談体制や事務処理マニュアルの整備による市町の支援策の拡充などについて検討を進めているところであります。
このように市町の皆様の意向を十分に伺いながら検討を進め、本年度末をめどに新たな権限移譲推進計画を策定するとともに、計画策定後も事務処理の実態や権限移譲の効果の検証、改善を行い、より一層市町の自主性を高め地域課題の解決に取り組むことができるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 木くらし・環境部長。
(くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 災害廃棄物の処理に関する課題認識と処理体制の整備についてお答えいたします。
熊本地震を初め大規模災害における廃棄物の処理の課題として、仮置場の確保と住民への速やかな広報や市町の区域を超えた広域処理体制の平時からの整備などが必要であると認識しております。このため県では、広域処理の体制として県内を賀茂、東部、中部、西部の四つの地域に分け、それぞれに検討会を開催し仮置場の設置や住民への周知方法、ごみの分別ルール、各地域における自治体や民間の処理能力などの確認を行ってまいりました。
この検討会で確認した事項を受けまして、今月四日の地域防災訓練では県内で初めて掛川市、菊川市、そして衛生施設組合によります仮置場の設置運営の模擬訓練が実施されたところであります。また大規模な災害に伴う災害廃棄物の発生に備えまして、東日本大震災以降全国を八つのブロックに分けた廃棄物処理の広域支援体制の整備が進められております。本県の属します中部ブロックにおいては環境省中部地方環境事務所が中心となりまして人材や資機材の支援要請に関する情報伝達訓練が昨年度から行われております。
県といたしましては、市町が過去の災害の教訓を生かした実効性のある災害廃棄物処理計画を今年度中に策定できるよう支援するとともに、単独の市町では対応できない場合には市町間の相互援助や県が処理の事務委託を受けて対処するなどさまざまな災害に対応できる広域処理体制の整備を進めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 山口健康福祉部長。
(健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 食の安全・安心の確保についてお答えいたします。
県では、しずおか食の安全推進のためのアクションプランを策定し、関係部局が連携して県民の皆様へ安全で安心な食品が提供されるように取り組み、生産から流通、消費における食品の安全を確保することとしております。
食品の衛生対策につきましては、県内保健所において食品製造施設の衛生状態の監視指導の徹底や食品の抜き取り検査を厳格に実施するなど食品衛生の確保に取り組んでおります。調理や製造に携わる方々には食品の衛生管理や正しい手洗いについての講習会を年間百回以上実施するなどノロウイルスやO−157などによる食中毒の防止に努めているところであります。また食品等の衛生管理の国際標準であるハザード・アナライシス・アンド・クリティカル・コントロール・ポイント、いわゆるHACCPを食品製造施設に導入することを条例で規定し、食品関係事業者に対してより高いレベルの衛生管理を行うように指導するなど食品の安全性の一層の向上に努めているところであります。
食品表示の適正化につきましては、表示が適正であることを示す食の都ブランド適正表示マークを制定し、施設や食品に掲示することにより県産食品の信頼性を高めることといたしました。また食品表示責任者を養成し、食品の適性表示の徹底と食品表示の監視指導を強化充実するなど県内で生産される食品の信頼確保を図り、県民の皆様が安心して食品を購入できるようにしております。
今後とも、これら施策を通じて食中毒防止等の衛生対策や食品の適性表示の強化を図っていき、食の安全の確保に努め、県民だけでなく本県に来訪される方々にも安心を提供できるように取り組んでまいります
次に、利用しやすい多様な保育サービスの充実についてであります。
共働き家庭の増加や就労時間が多様化する中、全ての子供が健やかに成長できるようにするためには、さまざまな保育サービスを充実させ子育て家庭をしっかり支援していくことが大変重要であります。県ではこれまで待機児童ゼロを目指して市町との連携により受け入れ枠の拡大を強力に進め、本年度も保育所や認定こども園の整備などにより約三千三百人分の定員増を図り、希望する全ての子供が入所できるように子育て家庭を応援しております。
子育てをしている方々が求める多様な保育サービスについても推進してきた結果、延長保育を行う保育所や認定こども園は全体の七割以上となり、子供が病気のときや回復するまでを預かる病児保育や病後児保育は現在二十市町五十三カ所となるなど必要とされている適切で多様な保育サービスを提供できる施設が充実してきております。また低年齢児の年度途中からの入所に備え、必要となる保育士をあらかじめ雇うことができるように保育所や認定こども園に支援するなど施設の利便性の向上にも努め、多くの子育て家庭の職場復帰などの個別の事情に対応できるように努めております。
これらの保育サービスの一層の利用促進を図るためには利用者とサービスをつなぐ仕組みが必要となります。このため県では、支援を必要とする方に適切な保育サービスの情報を提供し、利用者の支援にきめ細かに対応する保育コンシェルジュを養成しております。コンシェルジュは現在県内三十一カ所に設置され、利用希望者の事情に適したサービスの案内や施設との調整をするなど保育サービスを利用しやすいものとしております。
県といたしましては、今後も市町と連携し待機児童の解消を図るとともに、子育て家庭が必要とする適切で利用しやすい保育サービスの提供に努めてまいります。多様な保育サービスを充実し、全ての子供が健やかに成長できる「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 木苗教育長。
(教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 社会総がかりの高校教育についてお答えいたします。
地域の高校や実学系の高校においては、社会総がかりの教育を推進していくためには議員御指摘のとおり地域の企業や大学等と連携したさまざまな施策を展開していくことが重要であると考えております。
多くの高校は、地元企業の協力をいただきインターンシップを実施しております。本年度は企業を初め多くの県民の皆様から寄附をいただいているグローバル人材育成基金を活用し、八月には県内企業の海外事業所で就労体験を行う海外インターンシップを実施いたしました。また本年十一月には県立熱海高校が地元観光業界からの協力を受け、高校生自身がホテル経営を行う熱海高校生ホテルという特徴的な取り組みを実施するなど大きな成果を上げております。
大学との連携につきましては、実学系の高校生が夏休みに県内の大学で講義や研究を体験するイノベーションチャレンジ事業の実施や大学教員を招いての授業も数多く実施しております。また県立裾野高校では地元自治体や地域団体と連携し、地域学として富士山をテーマに地元のハザードマップや土石流災害などの防災に関する学習を行っております。このほかにも伊豆半島ジオパークや地場産業などをテーマに多くの高校が自治体と連携して取り組みを実施しており、地域の特色に関する知識や郷土愛を育む効果を上げております。
今後とも、こうしたさまざまな関係機関や団体の協力を受け、社会総がかりの教育に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 鳥澤由克君。
(十四番 鳥澤由克君登壇)
○十四番(鳥澤由克君) それぞれに御答弁をいただきましてありがとうございます。
では、再質問を二つ、要望を三点ばかり申し上げます。
まず、要望でございますけれども、今後の道路整備の進め方についてでございますが、先ほど質問文書の中でも申し上げましたように県民の道路に関する要望は大変強くなっているところでございます。幹線道路の建設から渋滞対策、交通安全対策、生活道路の拡幅まで県民の期待は極めて高いということでございます。片や道路利用の安全性を確保する点でも老朽化対策などの道路保全にも取り組んでいただきたい。まさにこれは議会、そして執行される皆様との思いを一つにして安全・安心な県道の社会資本整備に進むということでございますので、よろしくお願いをしたいと思います。
二点目の要望でございますが、利用しやすい多様な保育サービスの充実についてでございます。
これは、待機児童を解消するための先ほどの施設、それで保育の人材確保、そして利用しやすい多様なサービスについての御答弁がありましたが、まさに三位一体での子育て体制を構築していくことが重要であると、まさに人口減少対策についてのキーポイントの一つだというふうに思っております。産み育てやすい、そしてまた環境を整備することによって特殊出生率の向上を目指す。まさにそのことは究極の目的であると同時に整備を必要とするところはそのところだというふうに思っておりますので、より御努力をいただきたいというふうに思っております。
要望事項の三点目ですが、社会総がかりの高校教育についてということで御要望いたします。
産学官と連携した施策、先ほど教育長より御答弁をいただきました。人口減少問題、地方創生を推進していく上で地域の若者を育成するということで効果的な取り組みであるためにも引き続きの取り組みを推進していく必要が私はあると思いますので、その点も教育委員会のほうからしっかりとした政策の中で実現をしていただきたいというふうに思っております。
では、再質問を二問お願いいたします。
まず一点目は、地方創生に資する県から市への権限移譲の推進についてでございます。
平成二十六年度に地方創生が始まりまして、二十七年には県と全ての市町で総合戦略が策定されたところでございますが、これからがいよいよ正念場で具体的な方策についていくという大事な年であるというふうに思っております。先ほど答弁がありましたように量的よりもやはり質のものを求めていく、まさに私はそのことをもう一度御答弁の覚悟のほどをお伺いをいたします。
これまでに移譲された事務の中には市町単位では事務量が極めて少ないものもあったということでございますので、より市町との権限移譲の中で考慮して双方にとって真にメリットのある権限移譲を進める必要があるので、まず量から質への日本一の転換を、量の日本一そして質の日本一を目指していただきたいというふうに思いますので、量から質、そのことをもう一度伺いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
最後の質問でございます。アジア地域に向けた県産品の輸出促進についてでございます。
農業者の一人とすると、種をまけば芽が出るかな、芽が出たら無事に伸びるかな、伸びたら実がなるかな。まさにその思いを込めた農産品がこれから社会に付加価値をつけて打って出るということでございますので、アジア地域、そのマーケティング戦略に基づいて輸出先や品物を絞り込んでいく、輸出促進を図ることはこれは大変有意義なことだと思いますが、さらに輸出に取り組む事業者が県産品を積極的に売り込んでいくための県の具体的な支援についてこれからはやはりJAS法、そして自然有機農法である国際基準をいかにして果たしていかなきゃならないということも大きな命題になってきますので、その点を加えて具体的な内容を再度お願いをいたします。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 森政策企画部長。
○政策企画部長(森 貴志君) 地方創生に資する県から市町への権限移譲の推進についての再質問にお答えいたします。
市町がみずから描く地方創生、これの実現のため、そしてまた市民、町民の皆様にとりましては行政サービスの向上のため、その権限移譲というのは非常に大切なものと思っております。そのためにやはり市民町民に身近なところに権限が移譲される、これが非常に重要なことだと思っておりますので権限移譲を進めて今量的なものを進めていくところでございますが、先生御指摘のとおり質的なものが非常に重要でございますので、市町の皆様の意向を十分に伺って事務処理の実態、それから権限移譲の効果の検証、それからまた改善を行っていってより一層市町の自主性を高めていって、市町の課題に解決できるような取り組みを今後とも進めてまいりますのでよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
○副議長(藪田宏行君) 篠原経済産業部長。
○経済産業部長(篠原清志君) 県産品の輸出促進についてお答えいたします。
マーケティング戦略の関係で、今議論している中では茶、ワサビ、温室メロン等に絞ってですね、計画をつくっていきたいというふうに考えております。特に今御質問がありましたようにお茶についてはアメリカやヨーロッパへ輸出する場合、有機認証茶あるいは残留農薬の問題がいろいろ大きな問題になっております。これらについて適切に対応して生産拡大、それから輸出促進を図っていきたいと思っています。
また、アジア地域につきましては各国の事情等ですね、あります。先ほど知事から答弁も申し上げましたように「紅ほっぺ」を中心に今市場開拓を図っております。来年一月早々にはシンガポールで――シンガポールでは女性が家庭であんまり料理をしないという習慣が、女性ばかりでなく男性もそうですけど料理をしないという習慣がございます。そういう中ではありますが現在所得水準が上がって家庭でホームパーティーをやるような話が出ていて若い女性が自分でスイーツとかをつくりたいという話があります。そういうものを受けて、地元の料理教室と連携して県産品のミカンとか「紅ほっぺ」を使ったスイーツをつくって、それをそのまま隣のスーパーで買えるような仕組みづくりをことしチャレンジするという予定で、そういうことで市場を見ながらいろんな形で対応していきたいと思っております。以上であります。
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