本会議会議録


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平成25年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

天野 一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/11/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 自然学習資料センターの整備と博物館構想について
2 リニア中央新幹線の環境影響評価に係る準備書について
3 公益財団法人静岡県文化財団の文化振興事業について
4 建設業における社会保険未加入対策について
5 静岡県の歴史・文化について
 (1) 公文書館
 (2) 歴史文化情報センター
 (3) 埋蔵文化財センター


○議長(中谷多加二君) これで三ッ谷金秋君の質問は終わりました。
 次に、六十二番 天野 一君。
       (六十二番 天野 一君登壇 拍手)
○六十二番(天野 一君) 私は自民改革会議所属議員として、通告に従い知事、関係部局長及び教育長にお伺いいたします。
 最初に、自然学習資料センターの整備と博物館構想について伺います。
 自然学習資料センターは、平成十五年度から自然史資料の収集保管と整理を開始し、近年では出前博物館など県民への教育普及にその活動の幅を広げておりますが、活動の拠点である旧中部健康福祉センター庵原分庁舎の老朽化、狭隘化に伴い来年度から静岡南高校跡地に移転することになりました。
 現在、防火設備やユニバーサル仕様などの工事のほか自然史資料の適切な保管環境を確保するための空調や遮光設備、県民への資料の展示や学習空間の整備など移転に伴う準備を進めていると伺っております。高校校舎の特性を生かした新しいセンターに生まれ変わることを大変楽しみにしております。
 しかし一方本県は、全国でも唯一の県立博物館空白県となっております。このため数年後には博物館への移行を目指し、本年度からふじのくに自然系博物館基本構想検討委員会を設置し、博物館のあり方や方向性についての検討を開始したと承知しております。施設としては現在整備中の施設で対応することが前提となると思いますが、新たな博物館は後発であるからこそ全国の博物館が抱えている課題、新たな博物館を取り巻く潮流などを踏まえてさすが静岡県と言われるような博物館とすべきであると思いますが、そのためには活動分野の新しさや人材面での充実などソフト面で特色あるものにしていくことが大事ではないかと思います。
 構想は今年度末を目途に策定するとのことでありますが、現時点での検討状況を踏まえ新たな博物館をどのような方針で整備していくつもりか、知事並びに関係当局にお伺いいたします。
 次に、リニア中央新幹線の環境影響評価に係る準備書について伺います。
 JR東海が東京から名古屋をわずか四十分で結ぼうと平成三十九年度の開業を目指しているリニア中央新幹線の本県ルートは、静岡市最北部にある南アルプスの稜線地下を約十一キロメートルのトンネルで突き抜けるもので、開業すればこの区間の走行時間は恐らく九十秒ぐらいと思われます。
 しかし、この二分に満たない走行時間のために県内に二カ所の非常口や掘削土を搬出する工事用トンネル、七カ所の残土処理場などが計画され、大規模な自然を改変することが予測されます。私が最も懸念することは、南アルプスの雄大な自然環境の保全に対するJR東海の認識であります。南アルプスは本質的に人間活動から離れた人が踏み込まない場所であり、だからこそ貴重な生態系がこれまで保たれてきたことに対して、JR東海は果たして環境保全に真摯に取り組んでいるのでしょうか。リニア中央新幹線の開通ばかりを優先し過ぎてはいないでしょうか。大いに疑問があります。
 JR東海がこれまで行った説明会や環境影響評価に係る準備書への意見募集に対して南アルプスの豊かで貴重な自然環境への関心の高まりを反映し、多くの声が寄せられました。例えば工事で搬出される約三百六十万立方メートルもの残土処理に伴う地形の改変は、希少動植物の生息、生態系環境への影響が指摘されます。ほかにも大井川流域での河川水量の減少、大規模な作業員の宿舎から生活排水が出ることによる水質変化、あるいはエコパークとの両立を危惧する声などさまざまな環境影響が懸念されていると言われております。
 大規模事業の実施には、そのために何かを犠牲にすることがあります。例えばJR東海で私が思い浮かべるのは、静岡市清水区名刹の清見寺であります。ここは境内をJR東海道本線が横切っております。今では江戸時代から日本でも有数の美しい名跡が惨たんたる状況であります。リニア中央新幹線のために南アルプスの豊かな自然の環境を犠牲にすることが後世に禍根を残すことにならないか、今の私たち世代に問われていると思います。
 JR東海の環境影響評価に係る準備書に対して、県では環境保全の見地から知事意見を来年三月二十五日までに述べるとのことでありますが、これからどのようにこの知事意見書を形成していくのかどのようにやっていくのか、お伺いいたします。
 次に、公益財団法人静岡県文化財団の文化振興事業について伺います。
 静岡県文化財団は、本県の文化芸術の振興を目的として昭和五十九年に設立されました。来年度に設立三十周年を迎えます。また平成十一年のグランシップ開館とともに、その管理を担いグランシップを会場にさまざまな自主企画を展開してきました。これも来年度で開館十五年目となり、文化財団としては区切りの年であります。来年度はグランシップがスレート安全対策工事に伴い休館するため、これまで展開してきた文化振興事業が十分に実施できないことが危惧されております。文化振興は、道路や建物のようなハードの整備と違い成果が目に見えにくいため、ともすると経済優先の観点から予算的にも後回しにされがちでありますが、文化や芸術は私たちの人格を形成する上で欠くことのできないものであります。質の高い事業を着実に継続していくことによって少しずつでも確実に人々の心に浸透し、文化水準の向上につながっていくものと考えます。
 このためにも私は文化財団がこれまでも育ててきた良質な文化振興事業を実施し、これまで以上に多くの人々に提供するとともに、県内市町とも連携し本県の文化向上に貢献してもらいたいと考えております。
 また、本県はアジア地域との交流を推進しておりますが、その際最も重要なのは心の交流すなわち文化的な交流でありますので、グランシップが海外との文化交流の拠点となることも期待しております。
 グランシップの休館する来年度は、文化財団にとって今後の展開を図る上で転機となる年と考えますが、県は文化財団が実施してきた文化振興事業をどのように評価し今後どう進めていくのか、お考えをお伺いいたします。
 次に、建設業における社会保険未加入対策について伺います。
 ことしは近年の地球温暖化の影響を受けているためか台風が非常に多く発生しました。先日伊豆大島では、多くの人命が失われるという大災害が起こりました。
 このようなとき災害発生の最前線で消防、自衛隊の人々とともに、建設業者の方々が道路の復旧や崩壊した土砂の撤去を先頭に立って行っている姿をテレビで見ました。改めて我々県民の命を守るために重要な役割を果たしていると再認識をいたしました。しかしながら建設業界を取り巻く環境は年々悪化し、低価格による過当競争と事業の需要と供給のバランスが完全に崩壊したことにより、建設業者数の縮減なくして回復の兆しは見えないとも言われております。
 全国の建設業就業者数を見てみますと平成四年の六百十九万人から平成二十三年には四百九十七万人となり、二〇%、百二十二万人が減少しております。その結果建設業への若年入職者は、平成四年の約五分の一となる五万二千人。さらに十年後には大半が引退すると思われる六十歳以上の建設技能労働者は全体の約一八%、五十二万人と言われております。一定能力を備えた技能労働者を育成するために、おおむね十年程度の時間を要することを考えると建設業界にとって若年技能労働者を入職、育成することは喫緊の課題であり、県内においても同様の現象が見られます。このまま若年入職者数が増加しない状況が続けば、現場で働く建設技能労働者が全く不足し必要な建設工事が適時にできなくなるという危機感を感じております。
 このような状況に鑑み、国土交通省は社会保険などの未加入は技能労働者の就労環境を悪化させ若年入職者が入りにくい一因となっているとして、社会保険加入を促進する対策を打ち出しました。しかし一方では法律上加入義務のある保険に加入していない企業がこうした必要経費を負担していないため、その分コストがかからず、その結果価格競争上有利というおかしなことが起こっております。
 また、私は社会保険未加入の問題を人権の視点からも考えてみたいと思います。正当な賃金水準や人間的な職場環境を用意することができない、そんな状況を目の当たりにすると私は、末端で働く建設業労働者の基本的人権が踏みにじられていると強く感じます。一方企業側から見れば潰れてしまえば元も子もない、背に腹はかえられないと低価格に仕事を受けることをよしとしています。しかしこうした企業の考えは誤りであります。なぜならこれでは人権無視の行為が経済の論理に優先するということになってしまうからであります。経済活動は人権のもとであるということをいま一度再認識する必要があると思います。
 社会保険未加入対策により技能労働者の処遇改善が進めば、若者が安心して建設業界へ入職できるのではないかと誰しも考えます。しかし公共工事の場合、現実は第一次下請企業までの指導に終わり実際に現場で汗をかく第二次、第三次の下請企業に対して十分な指導が行き届いておらず、このままでは絵に描いた餅いわゆるざる法になる可能性があります。
 県が発注する建設工事において、現場で働く個々人が適正な賃金水準や良好な労働条件のもとで働くことができる環境の整備が重要であると思われます。この労働環境改善の突破口ともなる社会保険未加入対策を県はどのように進めていくのか、県の考え方をお伺いいたします。
 最後に、静岡県の歴史・文化について伺います。
 本県は、ものづくり県として全国上位の発展を遂げてきました。しかし一方では文化発信の面では、さらなる努力が求められているのではないでしょうか。 若い世代の人たちに郷土に誇りを持たせる意味でも歴史・文化を理解し学習することが必要であると考えます。
 さて、静岡県県史編さん事業は昭和六十年から十三年をかけて取り組まれました。その一つの目的に東海大地震の危険が叫ばれ、大規模地震対策特別措置法に基づく強化指定地域としての取り組みの一環として、県内歴史遺産と資料の保存、公開が重要な課題となっていたところです。同時にこの事業の当初計画では、県史編さん事業終了後に県民に公開する資料館あるいは歴史・文化施設を整備することが、もう一つの重要な課題であったと記憶しております。しかしその後この計画は曖昧なまま推移し県史編さん事業終了後、県立図書館の一施設として県史編さん室を継続する静岡県歴史文化情報センターが小規模な形で設置され今日に至っております。歴史文化情報センターで資料を公開し、さらにその一部をインターネット上でも公開していますが、広く県民に知られるまでに至っておりません。また歴史的に価値がある公文書について平成二十一年度から歴史的文書閲覧室を設置して県民に公開しているほか、静岡県の歴史的文書ウエブサイト静岡県歴史的文書ホームページ展示館でその一部が紹介されていますが、歴史的文書の公開点数は少ない状況にあります。これらはそれぞれ評価すべきことでありますが、特に歴史資料保存と公開のあるべき原則から見ても極めて不十分なものであります。
 現在、自然系博物館については計画が具体化して進められておりますが、歴史的文化遺産を保存、公開するための歴史博物館構想についても、これをうやむやにすることなく県としては検討を続けることを強く要望したいと思います。
 また、今富士山の世界文化遺産登録を契機に富士宮市に富士山世界遺産センターを建設しようとしておりますが、私は富士山について学び研究しようとする多くの人々が本県の歴史・文化を学ぶ施設もない状態で果たして富士山の価値や魅力を本当に理解できるものかと、こちらも危惧しております。
 そこで、本県の歴史・文化に関係する施設について三点質問いたします。
 まず、公文書館についてお伺いします。
 全国的に公文書館を整備しているのは三十以上の都道府県に及んでおります。これに対して本県では、さきに申したように歴史的文書閲覧室において歴史的文書を公開しておりますが、十分とは言えません。私は本県においても公文書館が必要であると考えるものでありますが、それに向けて歴史的文書の保存や公開の一層の充実を図るなどさまざまな方策を講じていく必要があると考えますが、お考えをお伺いします。
 次に、歴史文化情報センターについてお伺いします。
 現在のセンターは平成八年前後までに収集した県史資料の公開にとどめられ、かつ資料のその後の体系的な収集や専門的な学芸員の配置もなされておらず、県民に広く生きた歴史資料に触れ文化意識を向上させるための展示や常設の公開施設とは言えない現状であります。
 前近代と近現代史に造詣のある複数の専門家や学芸員を配置し日常的な資料収集保存の体制を整備しつつ、将来県民に広く公開する展示、定期的なニュースレターや発掘史料の情報を含む広報などを行う考えがあるのか、お伺いをしたいと思います。
 最後に、本県における埋蔵文化財センターの役割について伺います。
 平成二十三年に設置された埋蔵文化財センターは、前身の静岡県埋蔵文化財調査研究所時代を含め埋蔵文化財の調査を通して、本県の文化財保護に多大な役割を果たしてきました。近年の空港建設や新東名建設事業に伴う発掘調査において貴重な遺物を出土し、その一部は文化庁が主催する発掘された日本列島展にも出品され、全国で巡回展示されたということであります。県内での発掘による出土品は、県の貴重な財産であり誇りでもあります。しかしその存在が多くの県民に知られているのかいささか疑問でありますし、貴重な出土文化財が県民に活用されるべく適切に管理されているかについても不安であります。私は子供を含め一般市民が埋蔵文化財に興味関心を抱くことは、広い教養と豊かな情操を育み、ふじのくにの徳のある人づくりにつながっていくと確信しております。県保有の出土文化財について、なお一層県民の目に触れる機会をふやすことで文化財への愛護の精神を育んでいく必要があると考えます。
 今後、埋蔵文化財センターが県民の関心を高めるため、どのように取り組みを進めていくお考えがあるか、知事並びに当局にお伺いして私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 天野一議員にお答えいたします。
 自然学習資料センターの整備と博物館構想についてであります。
 現在の静岡県自然学習資料センターは現施設が老朽化しておりまして、また狭隘でありますためにそれに対処するために静岡南高跡地に移転することとしておりまして、本年度校舎等の改修設計と改修工事を行い、二十六年夏ごろに移転するという予定でおります。
 そして、この新しい博物館の活動の方向性を検討するために今年度外部有識者による基本構想検討委員会を設置いたしました。委員長には東北大学大学院環境科学研究科教授でありかつ静岡県の補佐官をお務めいただいております安田喜憲先生になっていただき、副委員長には静岡県自然史博物館ネットワーク理事長の天岸先生――静大の名誉教授でありまた元静岡大学の学長先生でありますが、そしてまたさらに東大の研究博物館教授を務めておられております遠藤先生ほか合計十人の方々によりまして御検討いただきまして、年度内の基本構想策定に向けて精力的に検討を進めているということでございます。
 新しい博物館は、十年に及ぶ自然学習資料センターの地道な調査研究をベースとしながら本県の多彩な動植物等の分類学や生態学等の研究を基本としつつ、広く地球を眺め地球の生態環境と人間との歴史的なかかわりということを研究領域、学習領域にするという、仮称でございますけれどもふじのくに地球環境史ミュージアムとすることになっております。
 これからの時代には、これまでと違いまして議員御指摘のように本県の歴史・文化さらに地形、産業等々、全般的な知識をベースにして地域おこしをしていかねばなりません。そうした意味におきまして、これまでそれぞれの時代に柱となる学問というのがございました。聖一国師のときには仏教学です。江戸時代には儒学です。近年におきましてはいわゆる洋学だということでございますけれども、これからはそれぞれの日本人の地域に生きている方たちがみずからの大地に根差した学問をしていくことが大切であるということで、現在この検討中の博物館におきましても日本の宝であり、かつ世界の宝となった富士の名に恥じぬ、また富士山の姿に恥じない地域づくり、国づくりの実践の学を立てる一翼を担う全国に誇れる新しいタイプの博物館を目指すという、そういう方向性が現在出てきております。
 この新しい博物館は、現在計画中の富士山世界遺産センターはもとより伊豆半島ジオパークさらにユネスコに申請中の南アルプスエコパークなどの活動と連携し、お互いに支援し合う役割も期待されているということでございます。
 建物は、先ほども申しましたように学校の校舎を活用することでございますので、従前の博物館のように建物や展示に資源を充当するのではなく、高い専門知識を有する優秀なスタッフを募るということをベースにいたしまして、調査研究そして教育・啓蒙活動を充実させていくという方向性が今出されております。またNPOや県内大学など多様な主体との協働を重視しながら、県内のさまざまな施設を活用した出張型の展示あるいは出張講座を積極的に展開する、いわばソフトパワーを重視したものになるよう検討していただいているところであります。
 構想につきましては、今後さらに検討を加えて本県の誇る豊かで多様な自然をいわば日本のミニチュアとも言うべきこの自然をしっかり学び、それを通して日本を知り、地球環境を知るという、そしてそれを後世に継承していくという、そのような地球の中でのふじのくにについての知識を得てそれを体系的に説明できるような教育研究活動を展開することで地域を愛し、自然への畏敬の念を育み、地球環境の保全の一翼を担う博物館の具体化を図ってまいろうと考えております。
 次に、リニア中央新幹線の環境影響評価に係る準備書についてであります。
 リニア中央新幹線建設事業は、本県における全区間南アルプスをトンネルで横断する計画ですが、南アルプス地域内で大量の残土処理を行うなど地上部においても大規模な土地の改変等の工事が見込まれております。このため環境影響評価法に基づきまして、来年三月二十五日までに準備書に対する知事としての意見を述べるに当たりましては、JR東海が県民等からの意見をまとめた意見概要書の内容を勘案するとともに、県環境影響評価審査会の専門的見地からの御意見や静岡市長ほか関係各位の御意見を求めまして、事業が自然環境や生活環境に及ぼす影響等を広範囲に見きわめてまいる所存であります。
 南アルプスの豊かな自然は県民のみならず国民のかけがえのない財産でありますことから、静岡県環境影響評価条例に基づきまして、明年一月二十一日に環境アセスメント手続においては本県で初めてとなる公聴会を開催し広く皆様のお考えをお聞きすることとしております。
 私もこうしたことが問題になる前に既に現地に入りまして、畑薙のダムから二軒小屋まで行く道、御案内のようにそこはがたぴし道でしかし道がございます。なぜでしょうか。それは二軒小屋を建てるあるいはそのさらに上のほうにございます大井川の上流といいますか源流地域というところをごらんになれば、それ以前に相当の大きな工事がなされていたということですね。同時にまた大井川の水量の大半が――と申し上げたいと存じますけれども――山梨県側にとられています。ともあれそうした工事をするときに相当な自然破壊がなされたと。その自然破壊がなされた部分というのを見きわめる必要もあります。一見今は自然のごとくではございますけれども三十年も放っておきますれば、あたかも原生のままのように見えます。しかしその一部は相当に人間の手が入ったところがあるということでございます。
 そうしたところを見きわめつつ、同時に南アルプスがエコパークあるいは最終的には世界自然遺産となるに値すると考えておりますけれども、そうした場合には今度は逆に人が入る道を整備しなくちゃならないという課題が生まれます。それは白神山地においても、あるいはほとんど人の入る余地がないとも言われていた屋久島でも道路が整備され博物館が整備されビジターセンターが整備されているということと同じでございますので、そうした長期的な観点で自然と人間とが相協和して共存できるように、この工事につきましてはよほど注意して見なくてはならないと。いわゆる原理主義的な形で必ずしも環境影響評価に係る各市町の、各市町というか例えば静岡市の担当されている委員が本当に適切な方かどうかということもあわせて、我々は自分たちが一からで我々の子孫のためにやるわけですから、ですから人任せではなくて確信を持ってこれは後世に残せるというようなそうした環境評価をした上で限られた時間の中で全力を尽くして意見を申し上げるというふうにしたいと思います。
 ともあれこれらの手続を重ねて、将来にわたり南アルプスの貴重な自然環境が保全されるようJR東海に対しましては適切な対応を求めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(中谷多加二君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 公益財団法人静岡県文化財団の文化振興事業についてお答えをいたします。
 静岡県文化財団は、グランシップの指定管理者として音楽、演劇、ダンスや伝統芸能などの多彩な分野で子供たちへの芸術鑑賞機会の提供や県民参加による音楽の広場の開催など質の高い文化振興事業を実施してまいりました。また中国浙江交響楽団と県内オーケストラの共演や中国からの研修生受け入れなどに積極的に取り組み、海外との文化交流の拠点としても貢献してまいりました。こうした実績を踏まえ来年度の休館期間中も県民の皆様に鑑賞や参加の機会を提供するため、県内各地の文化施設や学校等でグランシップで定着している文化振興事業の開催を計画しております。
 文化財団は、県や市町と県民の皆様からの出資により設立された公益財団であり、県や市町と一体となって個性豊かな県民文化の振興を図ることを使命としております。今後も県内全域の皆様に上質な文化振興事業を提供するとともに、長年培った実績や人脈を生かして公立文化施設職員等の人材育成や県内各地で活動する文化団体の支援など文化を「ささえる」機能の充実について一層の取り組みを進めることで、文化力の向上に貢献してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 建設業における社会保険未加入対策についてお答えいたします。
 社会資本の維持管理や災害への対応を的確に行い、地域の安全・安心を守るためには必要な人材が確保され、建設業が持続的に発展していくことが重要であります。
 このため、県では建設業の許可申請や公共工事への入札の参加に必要な経営事項審査において社会保険の未加入企業に対する指導を行い、四カ月以内に加入が確認できない企業については日本年金機構などへの通報を行っており、昨年七月からは経営事項審査における減点を拡大をしております。
 また、県が発注する建設工事においては、公共工事設計労務単価を本年四月に引き上げるなど必要な社会保険加入経費を予定価格に適切に反映させるとともに、発注後に施工体制を確認する際においても下請業者も含めた社会保険の加入について指導しているところであります。
 一方建設団体におきましても、この九月末から元請・下請契約を締結する際に法定福利費を内訳として明示した標準見積書を活用するよう会員企業に要請しているところであります。
 県といたしましては、今後も建設業界と連携し現場で働く労働者の就業環境の向上や建設産業を担う人材の確保が促進されるよう建設企業が社会保険加入経費を適切に負担する環境の整備に努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 土屋経営管理部長。
       (経営管理部長 土屋優行君登壇)
○経営管理部長(土屋優行君) 静岡県の歴史・文化についてのうち、公文書館についてお答えいたします。
 歴史・文化資料として重要な公文書を適切に保存し県民の皆様がいつでも利用できるようにすることは、県の重要な文化施策の一つであると認識しております。
 このため県では、平成三年度から保存期間が満了して廃棄する公文書等から歴史・文化資料として重要な公文書を選別する作業を行うとともに、このうち主に昭和四十年度以前の公文書六百六十一簿冊、一万五百九件を歴史的文書に指定し歴史的文書閲覧室において公開しております。
 また、歴史文化情報センターと連動しまして県庁や県立中央図書館におきまして、「史料から見る静岡県の災害の歴史」や「書類から見た明治時代」をテーマに企画展示を行うなど県民の皆様に歴史的文書に親しんでいただくように努めております。
 今後とも、歴史的文書の指定・公開件数の拡充に努めるとともに、ホームページを活用したPRや企画展示等を積極的に進め歴史的文書の保存、公開を初めとした公文書館機能を一層充実させてまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 静岡県の歴史・文化についてのうち、まず歴史文化情報センターについてお答えいたします。
 歴史文化情報センターでは、県史編さん事業で収集しました十六万点に及ぶ資料の目録作成と画像データ化を進めており、現在目録作成はほぼ終了し、さらに公開の許諾を得ている資料二万五千点については画像データをインターネットで公開しております。歴史的文書担当施設でこうした画像データの公開を行っている都道府県は少なく、先進的な取り組みであると考え今後も公開点数の増加や利便性の向上を図ってまいります。
 また、収集した資料につきましては、県教育委員会の広報紙Eジャーナルや県立中央図書館だより文化の丘などを活用して広報しているほか、法務文書課と連携し県立中央図書館などで展示を行ってまいりました。さらに高校生等の歴史の授業で利用できる補助教材授業の種を初め、くずし字講座などのコンテンツを作成してインターネットに公開し、資料の活用に努めているところであります。
 今後とも県民の皆様が、静岡県の歴史・文化に対する関心と学習意欲をさらに高めていただけるよう歴史文化情報センター所蔵資料の活用と広報に努めてまいります。
 次に、埋蔵文化財センターについてであります。
 静岡県埋蔵文化財センターは、議員から御紹介のありました事業のほか体験教室や県民の日に実施するイベントフェスタ埋文において、小学生等に火起こしや勾玉づくりなど古代人の生活の一端に触れる機会を提供し、歴史への理解を深める機会を設けております。さらに今年度からは一般向けに考古学セミナーを開催し、高い専門性を求める県民の要望にも応えているところであります。
 また、県立中央図書館や県立美術館に隣接しているという立地条件を生かし美術館での歴史講座の開催、静岡県舞台芸術センター――SPAC製作による古代服の着用体験、ムセイオン静岡を構成する六機関共同のスタンプラリーの実施など他の機関と連携した取り組みを進めております。
 現在、出土文化財の保管庫は各地に分散しており出土文化財の適切な保管に懸念が生じたり県民の皆様からの公開の依頼に対し、十分応えられない状況も出てきたりしております。今後普及・公開事業をさらに充実し、広く子供から大人まで県民の皆様の関心を一層高めるためにも老朽化した埋蔵文化財センターの移転も含め、保管庫を集約し出土文化財の適正な管理を行うことを検討してまいります。以上であります。

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