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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

野澤 義雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/19/2012

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 憧れの対象となる「ふじのくに」の具体像について
2 県から市町への権限移譲について
3 高品質、高付加価値農産物の生産振興について
4 学校教育の充実について
 (1) 静岡式三十五人学級編制の課題
 (2) 職業系専門高校のあり方
5 人事委員会の報告について
 (1) 本県職員の給与水準
 (2) 子育て中の若年層の職員の勤務条件等に関する諸課題


○議長(小楠和男君) ただいまから会議を再開します。
 ここであらかじめ会議時間を延長します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十八番 野澤義雄君。
       (六十八番 野澤義雄君登壇 拍手)
○六十八番(野澤義雄君) 私は民主党・ふじのくに県議団所属議員として通告に従い、知事並びに関係部局長、教育長、人事委員会事務局長に伺います。
 初めに、憧れの対象となる「ふじのくに」の具体像について伺います。
 知事は、東洋文明は京都に息づき、西洋文明は東京に花開き、日本はそれら両者の文明を既に取り込み終わった、現在は西洋文明の受容に道を開き、それを終えた東京時代に見切りをつける時期にあると言われています。このポスト東京時代の実現に向け本県を初めとしたそれぞれの地方が東京の中央政府の従属的地位を脱するため、新しい形を模索しながら自立していくことの重要性を提起されております。
 京都に生まれ育ち東京や海外でも長らく活動された経験や知見をもって本県を見たとき、恐らくは私たちの思い描いているもの以上の本県の価値や可能性を見出し、知事の言う場の力を生かし他を引きつけ、憧れの対象となる日本の理想郷ふじのくにづくりに向けて邁進されていると認識をしています。いつも目の前にある富士山や当たり前のように食べている食材の豊富さが、実は本県が本来持っている魅力の一つであり、こうした資源を最大限発揮させながら地域の力を将来に向けて高めていくことは、極めて重要なことと考えます。
 一方で、経済・雇用情勢の先行きや地震・津波等の災害などに対する不安を感じている県民の割合は依然高どまりの状況にあります。そこで活力に満ちた安全・安心な県土の実現を図ることで県民の不安感を払拭し、希望に満ちた地域として他の地域を引きつけ憧れられる存在ともなり得ます。
 知事は、一つの国や地域が栄える要因は、かつては軍事力そして経済力、これからは憧れを持たれる存在の国や地域となることが重要だと力説しておられます。私の子供のころには、雑誌やテレビでかいま見る自家用車や電化製品に囲まれているアメリカの生活がまさに憧れでありました。貴重な歴史遺産や芸術文化に触れられるパリや印象派の画家たちが愛した南フランスの日常の風景など、多くの人々が憧れるフランスは世界一の観光大国ともなっています。
 知事は、自然環境や歴史・文化、産業構造などの本県の特性を生かして憧れの対象となる日本の理想郷ふじのくにの実現に向けてさまざまな取り組みを行っていますが、目指しているその先には、本県の人々はどのような意識を持ち合わせどのような生活様式や文化を持ちながら暮らしているのでしょうか。どのような産業構造や社会資本などを持ち合わせた静岡県の姿となるのでしょうか。ポスト東京文明といえば、言いかえれば静岡型の文明。それがどのような事柄をもって憧れの対象となるのか、知事の考えをお聞かせください。
 次に、県から市町への権限移譲について伺います。
 県では、地域の自立を進める観点から平成九年度に策定した第一次権限移譲推進計画以降、現在推進されているふじのくに権限移譲推進計画まで、五次にわたり策定した計画に基づき県独自の権限移譲を進めてきました。その結果、市町への移譲対象法律数は八年連続で日本一と聞いております。県から市町への権限移譲を進め、住民に身近な事務を住民に身近な自治体である市町が担うことにより、受付窓口がふえることで住民にとって利便性が向上したりまた市町の自己決定権が拡充することで地域に根差した独自の政策展開が可能となるなど、大きな効果が得られるものと承知しております。
 一例を挙げるならば、パスポートの申請、交付の窓口業務や農地転用等の許認可など住民サービスが格段に向上したことや、地域づくりに対して市町の独自性がより発揮できるようになったことなど一定の成果が得られているものもあり、私といたしましても基本的には今後も県から市町への権限移譲は積極的に進めていくべきであると考えております。
 一方では、平成十七年度から取り組まれた集中改革プランなどにより市町においても定員の削減が進められておりますが、少子高齢化の進行に対する取り組みや災害対策など行政需要は増大しており、限られた職員でますます複雑多様化する行政需要に応えようとしている実態もあるのではないでしょうか。このような状況の中で、市町において県から新たに受け入れる権限移譲事務を円滑に処理できるのかと懸念も生じるところであります。
 そこで、県としては、県から市町への権限移譲に伴うこうした課題をどのように認識し対応していくのか伺います。
 また、現在県内においては静岡・浜松両政令指定都市が自立性の高い都市経営を行うことを目指して、県を含めた三者のトップによる会合で意見交換を行ったり事務レベルの協議を行っていると伺っております。静岡・浜松両市は特別自治市構想を持っており、実現のためには最初に現行制度下における最大限の機能強化、二番目に特別自治市の法制化を図り、国、県及び基礎自治体の役割分担の見直しを行う。そして県の担っている業務の全てと国の担っている業務の一部を実施、最終段階では道州制など国の内政制度改革の中での基礎自治体としての位置づけと役割分担の三段階に整理して提言しています。
 その実現のためには、国における制度改正や県民及び特別自治市以外の自治体の理解が求められることなど、今後多くの議論を必要とする大きなテーマであることから一定の期間を要することが見込まれます。静岡・浜松両市は、まず第一段階の現行制度下での最大限の機能強化をしずおか型特別自治市実現に向けた取り組みの中で提案し権限移譲を進めようとしております。
 私は、この両市に対しましても積極的に県からの権限移譲を進めていくべきであると考えておりますが、県としては現行制度下における静岡・浜松両市への権限移譲にどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、高品質、高付加価値農産物の生産振興について伺います。
 県では、食材の王国である本県の場の力を生かした食の都づくりに平成二十二年度から取り組んでおります。これは、県内の農林水産業者やふじのくに食の都づくり仕事人などが連携したさまざまな取り組みを通じて、本県の多彩な食材を生かした魅力ある食文化を県内外に情報発信し、県内はもとより多くの人々に静岡県に訪れていただき豊富な農水産物やこれらを活用した料理や加工品を食べていただく、また買っていただくといった趣旨であると理解しております。
 私は先日三重県の松阪市を訪れる機会がありました。よく整備され、しかも落ちついたたたずまいの町並みの中に牛肉料理の店が並ぶ中で他県ナンバーの車も多く見られ、松阪牛を目指して訪れる人の多いのに感心しました。夕食にはその松阪牛を堪能しましたが、味といい食感といい今や世界的ブランドにまで発展した食材と料理に、大枚をはたいてもその価値はあると納得をしここは第一級の食の都であるとの思いをいたしました。
 私たちが入った店が松阪牛料理の開祖だという説明がありました。創業者は明治の初期に横浜で店を開いたものの、当初は全く相手にされなかったそうです。原因は農耕用に飼育した後の廃牛を用いたこととわかり、一念発起して品種改良や飼育の方法などを農家や関係機関の協力を得ながら研究開発することで特別品質の高い黒毛和牛を育成し、周辺には松阪牛の産地が形成されました。このような話を聞きながら、一つの食文化を形成するにはそれを支える生産者を初めとした関係の皆様の御苦労を再認識したところであります。
 豊かな食の文化を求め多くの人々が訪れて料理を味わい、農産物や加工品を買い求める姿を思い描いたとき、そこにはサービス業の発展と同時に農水産業の発展がありそのことがまさしく食の都づくりの狙いだろうと思います。そのためにも、食材の多さに加え高品質で付加価値の高い農産物を生産し安定的に供給していくことが大切であり、本県農業の発展の一つの道筋ではないだろうかと思います。
 私の地元浜松では、セルリー、バレイショ、タマネギ、ミカンなどを初め高品質な農産物を生産しており、生産者は品質、ブランド力を高めるため、松阪の取り組みにも負けないたゆまぬ努力をされております。「杉山」、「青島」、「寿太郎」、「興津」、「清見」、「はるみ」、これらは開発した人の名前や地名にちなんでつけられたミカンの品種ですが、県内で開発研究されいずれも全国に普及したものであります。これは関係者が高品質化に向けて努力してきた結果のあらわれであり、今後とも官民挙げての研究開発に向けての取り組みにも期待するところであります。
 一方で、農業者の高齢化が進行し担い手が減少する中、本県農業の活力を維持し将来にわたって食材の王国として質の高い農産物を生産供給していくことができるのか、危惧しているところであります。食の都づくりに当たり、その一方の柱である食材を生産する現場を大切にしなくてはなりません。しかも高品質で付加価値の高い農産物の生産供給体制を維持発展させることが成功の鍵となると考えます。そのための人材の育成や技術の開発の取り組みなどに対し、どのように支援していくのか伺います。
 次に、学校教育の充実のうち、静岡式三十五人学級編制の課題について伺います。
 知事マニフェストの一つである少人数学級の推進により計画的に進められてきた静岡式三十五人学級編制は、平成二十五年度には小学校三年生に拡充し計画の全てが完了すると聞いております。小学校一年生、二年生は国の施策により三十五人学級編制となっており、静岡県では一部の学校を除き、義務教育全ての学年において三十五人学級が実現します。理想の学校教育具現化委員会の提言にある三十人学級編制に向けて、大きく前進するものと期待しております。
 三十五人学級編制については、教師の目が届きやすく、子供自体も落ちつき、基本的な生活習慣や学習習慣が身につきやすいとおおむね高い評価がされていると感じています。しかし小学校一年生以外は全て国の加配定数を振りかえて三十五人学級編制としているため、授業の質を高めるために担任外として配置していた教員が減っているとのことです。いじめ問題一つとっても、学級や学年を超えて全体的に子供たちを見る立場の教員の必要性や、学校運営そのものにも影響が出ているとの声も聞こえてまいります。また担任以外の教員がいざとなったとき動ける態勢があったほうが、危機管理の面からも安心だろうと思われます。
 小学校三年生に三十五人学級を拡充するためには、現在活用している国の加配定数八百人に加えてさらに百人程度必要になると聞いております。そこで平成二十五年度、小学校三年生へ静岡式三十五人学級編制を拡充する際も国加配を学級担任に振りかえて実施するのでしょうか。私はしっかりと予算をつけて定数を確保する必要があると考えております。
 学級担任外の教員数削減に対して、県としてどのような支援策を考えているのか伺います。
 職業系専門高校のあり方について伺います。
 現在県西部地域において、二俣高校、天竜林業高校及び春野高校並びに引佐高校、気賀高校及び三ヶ日高校を再編整備する計画が進められております。この中には百年を超えるような伝統校が多く、地元にとっても極めて大きな存在であった高校がいとも簡単に再編整備されるのには、一抹の寂しさを感じています。
 一方で、少子化の波はこの地域にも無論押し寄せてきており、ある町の新生児が百人とすると新成人は二百人、私の年齢世代が四百人。ちなみに新生児と同じ百人の世代はというと、八十五歳の人たちだそうです。このような超少子社会にあっては、新生児たちが高校生になるころのことを視野に入れた適切な高校のあり方を考えながらの再編整備もやむなしとも思っております。
 さて、今回再編整備の対象となっている学校のうち三校は職業系専門学科を有していますが、これまで時代のニーズに対応し教育課程を見直したり先端技術を取り入れたりするなど、必要な教育環境を整備することにより地域や産業の発展に寄与する有為な人材を多数輩出してきた経緯があることから、その伝統を引き継ぎより充実した職業系専門学科の設置が望まれます。現在県内の職業系専門学科を設置している県立高校は三十一校ありますが、いずれも同様の目的や経緯を持ちながら職業人として求められる基本をしっかりと学ぶ環境の整備を目指していると思われます。
 そこで、職業系専門学科を有する高校では、時代のニーズに合った教育課程にするための取り組みや先端技術の取り入れをどのようにして行っていくのか伺います。
 また、近年では職業人として必要とされる知識や技能が一層高度化していることから、職業系専門課程からも高等教育機関への進学志向が高まっている状況もあります。高校から社会に巣立つことを希望する生徒には即戦力としての教育を、さらに学びたければ大学などへの推薦入学などの門戸を広げ進路の幅を広げることが、社会が求める有為な人材の育成につながり生徒にとっても魅力ある高校となると思いますが教育長の所見を伺います。
 次に、人事委員会の報告について伺います。
 最初に、本県職員の給与水準についてです。
 現在国家公務員の給与については、厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性から国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律に基づき、今年度から二年間平均七・八%が削減されております。
 同法附則第十二条では、「地方公務員の給与については、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする」とされています。職員の給与はこれまでも下がり続けており、ここ五年間の給与勧告を見ますと月例給の引き上げ改定はなく据え置きもしくは引き下げ改定が続いており、特別給につきましても平成二十年に年間四・五カ月分の支給月数であったものが現在は年間三・九五カ月分となっており、〇・五五カ月分下がっております。これによる職員給与への影響を見ますと、給与勧告時の資料によれば年収は行政職で平成二十年に六百六十七万円余であったものが六百二十六万円余と四十一万円ほど落ち込んでいます。今回の国の削減に呼応するような形でこれまで以上に地方公務員の給与水準が下がれば、職員の士気の低下や地方経済への悪影響も心配されます。
 十月の人事委員会の報告では、月例給については民間給与が職員給与を六十九円上回っており公民較差が小さいため改定は見送るとされました。その中で本県職員の給与水準について総務省が公表した平成二十三年地方公務員給与実態調査結果によれば、国家公務員と地方公務員の基本給である平均給料月額により算出したラスパイレス指数は、国を一〇〇・〇とした場合に本県は一〇三・四と全国一となっています。
 一方で、地域手当や扶養手当などの諸手当の額を合計した平成二十三年四月現在における平均給与月額について見ると、国が平均年齢四十二・三歳で三十九万七千七百二十三円、県が四十二・七歳で三十八万二千五百十四円となっており全国十五位となるとしています。給与水準について、なぜこのような違いが出るのか伺います。また人事委員会としてこのような差が生じている本県職員の給与水準について、どのように考えているのか伺います。
 子育て中の若年層の職員の勤務条件等に関する諸課題についてです。
 職員が、家庭生活や地域活動などみずからの生活と公務員としての職業生活を両立させ、使命感や充実感をもって仕事に臨むことのできるワーク・ライフ・バランスの推進は、優秀な人材を確保し質の高い行政を安定的、継続的に展開していく上で重要な課題であると言えます。とりわけ子育て中の職員につきましては住居や教育にかかる費用などの負担も大きいため、多忙な中でも子育てに要する負担の軽減やモチベーションが維持できるような勤務条件の整備や給与水準が必要と考えます。
 子育ての支援については、制度は充実してきているものの利用しにくいとの声が職員から数多く出されております。人事委員会報告の育児短時間勤務の利用者数を見ると、平成二十四年四月末で知事部局三十人、教育委員会十人、警察本部九人の合計四十九人。男性の育児休業取得者は合計で十三人にとどまっています。いま一度制度を点検しより利用しやすいものとしながら、子育て支援の勤務環境を県の職場でつくり上げ実践することで、行政が民間の牽引役となることが求められていると思います。
 以上申し上げましたが、職務に精励している職員の努力や実績に報いたり、またさらなる勤労意欲の向上などに向け勧告する立場である人事委員会として、子育て中の若年層の職員の給与水準や勤務条件に関する諸課題についてどのように考えているのか伺い、質問を終わります。(拍手)
○議長(小楠和男君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 野澤議員にお答えいたします。
 初めに、憧れの対象となる「ふじのくに」の具体像についてであります。
 憧れの対象となる国というのは、他を引きつける魅力すなわち求心力を持つ国でございます。それは国力によりますが、国力というのは力の体系、利益の体系、価値の体系、三つの体系を持たねばならぬと言われております。それぞれ軍事力、経済力、文化力ということが言えます。戦前におきましては、日本は軍事力に軸足を置き列強の一つに数えられることを目指しました。戦後は経済力に軸足を置き経済大国になることを目指したわけでございます。一方、物の豊かさと同時に心の豊かさを求める動きも強まりまして現在文化の力、文化力が軸足を置くべき対象となっていると存じます。
 ふじのくにづくりの基本理念は富国有徳です。これは富士山の姿が美しいように、美しい生き方をする。汚いことはしない。また「富士」という漢字に示されるように、物の豊かさと立派な人間になるという、物心ともに豊かなそうした地域になることを理想とするものでございます。
 何よりも人材が大事でございます。そのために私は日本を代表する有徳の人、こうした方々を御招聘申し上げ、その方々を通して県民の皆様の魅力が高まっていくようにすることを目指してまいりました。昔から都と言われるところには、政治、経済、文化、さまざまな面におきましてすぐれた人々が集うところでございます。
 本県は、そうした人々が引きつけられるに値する日本一を誇る食材に恵まれ、食の都と言うこともできます。また日本一のお茶の産地でもございますので、茶の都と言うこともできます。そして海と山の風景の画廊とも言われ、そうした豊かな生態系がさまざまな草花を育んでまさに花の都となる力もあります。そしてまた県土の三分の二が豊かな美しい美林に恵まれておりますので、森の都と言われることも夢ではありません。さらに日本一の日照時間がございますので、太陽の都というふうに形容することも可能でございます。こうした都ぶりを醸し出すような場の力がこの地域にはあると。それがふじのくにであるというふうに存じます。
 さらに、富士山静岡空港、駿河湾港、新幹線や新東名高速道路を初めとする高規格幹線道路網など、陸・海・空の交通インフラを生かしてまいらねばなりません。東日本大震災を踏まえまして、地域の防災・減災機能を高めて防災先進県としての誇りをさらに高める必要がございます。そしてまた既存産業の活性化や新産業の創出、県民生活の質の向上など有事の予防と平時の地域成長、経済成長が両立する内陸のフロンティアを拓く取り組みを進めることを通して、富士の国日本のふじのくに静岡、すなわち都ぶりを発揮するよう我が国をリードする地域づくりを推進してまいります。
 次に、高品質、高付加価値農産物の生産振興についてであります。
 静岡県では、全国一の日照時間、富士山、南アルプスに育まれた豊富で美しいきれいな水などの自然条件を生かし、多彩な農芸品を生産しております。
 議員のお地元の引佐あるいは三ヶ日などでは、農芸品としか形容のできないミカンが生産されております。お隣の中東遠、志太榛原におきましても同様でございます。さらに東側、さらに南側、伊豆半島におきましても、そうした農芸品とも言うべきものが園芸で栽培せられているということでございますので農芸の都、園芸の都とも言うべきそうした姿が全県下に見られるのであります。
 そうしたものの一つ、今が旬でございます「紅ほっぺ」は、民間の調査では全国で二年連続最も売れ筋のイチゴとして量販店や市場から高い評価が得られています。また養液栽培技術により生産される高糖度トマトは全国ブランドとして販売されております。また先ほど議員御指摘の近畿東海北陸地区の肉牛共進会におきまして、「遠州夢咲牛」が三年連続で最優秀賞を獲得しました。これは画期的なことで、本県の牛肉が名実ともに日本一であるということを明かしていると存じます。このことはもっと広く内外にPRしなければならないということを、この成績を聞きまして痛感しているところでございます。
 こうした高品質な産物を生産する産地を維持拡大していくためには、品種や技術を生かす人材の育成確保、とりわけ高い意欲を持って農業を志す若者の新規就農を支援することが極めて重要です。このためそうした若者を対象に、例えば伊豆の国市のミニトマトの産地で取り組まれている、高度な技術を持った先進的な農業者のもとで一年間農業技術を習得する実践的な研修がございますが、私はこの現場に行きまして実際成功を今おさめつつある青年に会いました。こうした試みはさらに普及させる必要があると存じます。
 また、県の支援により三ヶ日、とぴあ浜松など四カ所のミカン産地では、今年度糖度やきずを瞬時に判別する選果システムを導入し、これまで以上に安定した高品質のミカンの出荷が可能となり、首都圏市場での評価が一層高まることが期待されております。
 今後も県では、温室メロンあるいはイチゴなどにおきまして、味や香りなど高い品質を持つすぐれた品種の育成を行ってまいります。さらにバラ、トルコギキョウ、ガーベラ、菊、カーネーション等々花卉栽培も盛んでございますので、そうした花卉栽培における新品種の育成や日もち技術の開発を行うなど農産物の品質や付加価値の向上を図ってまいります。
 こうしたいわば農芸の都、園芸の都に向けた取り組みとあわせまして、まずは軌道に乗りつつある食の都づくりが重要でございます。まさに本日、東京でふじのくに食の都交流会が開催されています。来年二月にはふじのくに農芸品フェアが開催予定でございます。こうした試みを通して、県内外に高品質で付加価値の高い本県農産物いわゆる農芸品の魅力を情報発信して、ふじのくに食の都を実感していただけるように努めてまいりたいと存じます。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げますが、教育に関連いたしまして付言をいたします。
 教員の不足が目前に迫っておりますが、その不足をどうするかについての御懸念がございましたけれども、私は現行の行政に従事している先生を現場に戻すという方向性を追求してまいりたいと存じます。
 もう一つ、専門高校のあり方についても御指摘がございましたが、私はこれまで例えば田方の農業高等学校あるいは沼津高専などを訪問し生徒と意見交換をしながら、これからの時代は新しい実学が必要であるという思いを強くいたしました。こうした専門性を持った専門高校というものは、これまでどちらかというと重視されてきた普通高等学校よりも数が少のうございますけれども、これからは普通高等学校とともに専門高校を重視する方向に思い切り乗り出したいと。そうすることが議員御指摘のような専門性の高い人々を育て、即戦力がありかつ技術がある、そうした人間が新しい後進を育てるという好循環を生むことになるであろうというふうに思っております。以上でございます。
○議長(小楠和男君) 土屋経営管理部長。
       (経営管理部長 土屋優行君登壇)
○経営管理部長(土屋優行君) 県から市町への権限移譲についてお答えいたします。
 それぞれの地域が発展していくためには、基礎自治体である市町が権限移譲などを通じて自己決定権限を拡充し、住民に身近な行政を自立的かつ総合的に担っていく必要があることから、県では積極的な市町への権限移譲を推進しているところであります。
 一方、多様化する行政需要に限られた職員で対応を求められている市町の状況を鑑みますと、今後の権限移譲に当たっては受け入れ能力を勘案しながら市町と十分な協議を行うことが重要で、人事交流制度を活用した人的支援や近隣市町との事務の共同処理への支援などにより、円滑な権限移譲ができるように取り組んでまいります。
 また、しずおか型特別自治市の取り組みにつきましては、まずは現行制度下における積極的な権限移譲に向け県と両政令指定都市の双方において移譲事務の整理を行い、必要な条件やスケジュール等を調整した上で来年度の県・政令指定都市サミットにおいて移譲内容を決定し、平成二十六年度以降移譲を行うこととしております。
 現在県で行っている事務には、基礎自治体に移譲することが現行法令上困難な事務、あるいは広域的な事務など直ちに移譲することが適さない事務もございます。まずは事務の内容を精査し両政令指定都市の考え方もお伺いした上で、移譲できる事務については積極的に移譲を進めてまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 学校教育の充実についてのうち、初めに静岡式三十五人学級編制の課題についてお答えいたします。
 本年度、静岡式三十五人学級編制の対象となった小学校四年生の保護者からは、「子供が学校が楽しいと言っています。毎日笑顔で登校してくれるので、見送る親としては何よりだと思っています」といった声も聞かれ、少人数学級の成果を実感しているところであります。
 一方、議員からも御指摘がありましたように、少人数学級の拡充とともに、授業の充実を図るため配置しています担任外の教員は年々減少してきております。文部科学省は、今後五年間で義務教育九カ年全てを三十五人以下学級にするという新たな教職員定数改善計画案をこの九月に策定し、これを概算要求に盛り込んでおります。県教育委員会といたしましては、この計画の実現に向け国に対して強く働きかけていくとともに、その動向を注視してまいります。
 このような中、平成二十五年度の静岡式三十五人学級編制につきましては、国の加配定数の活用により小学校三年生へ拡充することを考えております。本年度は、少人数学級推進のため加配教員が減少した学校に対しては八十四人の非常勤講師を配置し、学校運営が安定的になされるよう努めているところであります。
 県教育委員会といたしましては、こうした非常勤講師配置の効果や学校の実情などを踏まえ、来年度の静岡式三十五人学級編制の完成に向けた支援策を検討してまいります。
 次に、職業系専門高校のあり方についてであります。
 本県の職業系専門高校におきましては、これまで職業に関連の深い専門的な知識、技能を身につけさせるとともに、時代のニーズに応じた能力や態度を育てる実践的な学習活動を展開してまいりました。平成二十七年度に開校する予定の引佐地区新構想高校におきましても、農工商の連携による六次産業化に対応した学習活動の実施を検討しているところであります。
 今後は、急速な技術革新や情報化等の社会の変化を踏まえ高度な知識や技術に触れる機会を提供するため、大学での講義や研究の体験、企業での現場実習等の拡充に努めてまいります。
 また、専門高校からの進学志向が高まる中、多様な進路希望に対応できる教育課程を編成した学科や、大学進学を主たる目的とした学科の設置などに取り組んでまいりました。加えてものづくり等の体験的な学習活動を一層充実させることにより学習意欲や専門分野への興味関心を高め、推薦入学、AO入試制度や専門高校生枠を生かした進学指導を行ってきたところであります。
 今後もこのような取り組みの推進を図るとともに、時代のニーズに的確に対応するため職業系専門高校のあり方について検討を進め、本県の次代の産業を担う実践的な職業人の育成に努めてまいります。以上であります。
○議長(小楠和男君) 杉田人事委員会事務局長。
       (人事委員会事務局長 杉田勇三君登壇)
○人事委員会事務局長(杉田勇三君) 人事委員会の報告についてのうち、初めに本県職員の給与水準についてお答えいたします。
 給与水準をあらわす指標の一つとして総務省が公表しているラスパイレス指数は、国家公務員と地方公務員の基本給である平均給料月額のみを比較したものでありますが、平均給与月額はこの基本給に毎月決まって支給される地域手当や扶養手当等の諸手当を含めた合計額であります。
 本県の給与構造は給与全体に占める基本給の割合が高いため、ラスパイレス指数は全国第一位となっておりますが、諸手当を含めた平均給与月額は全国第十五位となっております。これは地域手当の支給率が大きく影響しており、本県は県内一律三%であるのに対し東京都が一八%、神奈川県が一〇%、愛知県が六・五%など本県より高い支給率としている都府県があることによるものであります。
 本委員会は、毎年企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の民間事業所を対象にした職種別民間給与実態調査を実施し、毎月決まって支給される給与について、本県職員給与と民間給与との正確な比較をもとに民間の給与水準と均衡するよう勧告を行っており、本県職員の給与水準については民間事業所の給与の実態を反映した適切な給与水準が確保されているものと考えております。
 次に、子育て中の若年層の職員の勤務条件等に関する諸課題についてであります。
 本県職員の給与水準につきましては、全体として民間の給与水準と均衡が図られているものの、年齢層別に見ますと若年層では民間給与が職員の給与を上回っているため、これまでも引き上げ改定の際には若年層を中心に引き上げ改定を行い、引き下げ改定の際には若年層を据え置くよう若年層の給与差の実態に配慮して勧告してきたところであります。
 また、勤務条件につきましては、看護休暇の取得要件の緩和や育児休業制度の充実等が図られてきたところでありますが、育児短時間勤務などの制度が十分利用されていない状況にあることから、ワーク・ライフ・バランスの一層の推進が図られるよう任命権者において職場全体の意識改革や業務分担の見直しを行うなど、制度を利用しやすい職場環境の醸成に取り組む必要がある旨を報告したところであります。
 本委員会といたしましては、今後とも中立的、専門的な第三者機関として職員の給与、勤務時間その他の勤務条件につきまして民間給与の実態を反映させるとともに、職員の士気高揚につながる勤務条件の改善につきまして調査研究に努めてまいります。以上であります。

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