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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成19年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中田 次城 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/21/2007

会派名:

平成21


質疑・質問事項:

1 がん対策と県立静岡がんセンターの運営について           
 (1) 県立静岡がんセンター開設五年目の所感              
 (2) 地域がん診療連携拠点病院の空白地域への対応           
 (3) 全床開棟の見通しと医療従事者の確保               
 (4) がん治癒率 (五年相対生存率) の向上への取り組み         
2 温泉資源の活用及び保全について                  
 (1) ファルマバレープロジェクトにおける伊豆半島及び伊東市の温泉資源の必要性及び活用法                  
 (2) スコリア採取事業の温泉源への影響                
  ア スコリア採取事業の許可に係る温泉資源への影響の認識                              
  イ 今後の温泉資源の保全対策                   
3 NPO法人認証等の権限の移譲について



    ○議長(佐野康輔君) これで藪田宏行君の質問は終わりました。
     次に、七番 中田次城君。
            (七番 中田次城君登壇 拍手)
    ○七番(中田次城君) 皆さん、こんにちは。私はこの四月に初当選をさせていただきました新人で、伊東市選出の中田次城と申します。
     このたび、我が会派平成21の先輩議員並びに同僚議員の皆様の御好意によりまして、改選後初めての本六月定例会におきまして一般質問をさせていただく機会をいただきました。何分にも経験不足でありますが、石川知事並びに関係部局長に対しまして伊東市民の思いをできる限り届けていきたく、心を込めまして以下大きく三点につきましてお伺いをさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
     まず初めに、がん対策と県立静岡がんセンターの運営についてお伺いをいたします。
     国民の三人に一人はがんで死亡するという状況の中で、全国どこでも質の高いがん治療を受けられる体制の整備を目指すため本年四月よりがん対策基本法が施行されました。がん対策基本法は、国と地方自治体や医療関係者らの役割と責任を明確にした上で、大きく分けて、一つ、がん予防と早期発見の推進、二つ、がん医療の標準化の促進、三つ、がんに関する研究の促進の三本の柱で構成をされています。そして、まず国に具体的な目標や達成の時期を定めた基本計画の策定を義務づけており、これを受けて都道府県もそれぞれの地域の実情に応じた促進計画を策定し五年ごとに見直すこととされております。
     静岡県のがん対策は、「世界の寿命は静岡県が延ばします」とのキャッチフレーズにもありますように、県立静岡がんセンターの開院とその充実により全国的に見ましてもかなりの努力をされてきていると私自身は感じております。
     県立静岡がんセンターは県の肝いりで平成十四年に開院して以来約五年がたちますが、一貫して患者重視の理念を掲げて病院づくりを進め、陽子線治療などの最新鋭の治療設備から国内最大規模の緩和ケア病棟までを有する完結型のがん専門病院として、平成十八年度実績で延べ入院患者数が十六万六千人余、延べ外来患者数が二十万一千人余となっております。県立静岡がんセンターの当初の利用者予測を大きく上回るこの実態は、がんで悩み苦しむ患者の皆さんのこのがんセンターへの期待のあらわれと考えられます。また週刊誌などで二年連続して全国がん治療の実力病院ランキング第一位の高い評価を受けていることも、同じ静岡県に暮らす住民の一人といたしまして大変頼もしく感じております。
     そこでまず、開設五年目を迎えている県立静岡がんセンターに対しまして、知事はどのような所感をお持ちなのかをお伺いしたいと思います。
     次に、このすばらしい理念と実績を持ち合わせています県立静岡がんセンターのさらなる充実を願いながら、以下三点がん対策及び県立静岡がんセンターについてお伺いをいたします。
     一点目といたしまして、地域がん診療連携拠点病院空白地域への対応についてお伺いをいたします。
     厚生労働省は、平成十八年二月一日付で都道府県知事に対しがん医療水準の均てん化を図ることを目標として、都道府県内に一カ所都道府県がん診療連携拠点病院を整備すること、及び地域医療計画における二次医療圏内に一カ所程度地域がん診療連携拠点病院を整備することを求めています。すなわち各都道府県ごとに一カ所がん対策の中核病院を定めた上でさらに複数の地域がん診療連携拠点病院の指定をし、それぞれ連携を図りながらがん治療に対応できるネットワーク化を図っていくことがねらいであります。
     地域がん診療連携拠点病院の指定方法は都道府県が推薦する医療機関を第三者によって構成される検討会で協議し厚生労働大臣が指定をするものですが、現在全国に二百八十六カ所の医療機関が指定をされています。静岡県内を見てみますと県立静岡がんセンターが中核病院の役割を担い、県立総合病院を初め九施設が地域がん診療連携拠点病院として指定をされています。県内には八つの二次医療圏がありますが、残念ながら中東遠圏域、富士圏域、熱海伊東圏域、賀茂圏域の四つの圏域では空白地域となっております。
     もちろん、指定を受けるための要件も診療機能、診療従事者、医療施設などの項目で基準がありますので、どうしても都市部周辺の一定規模以上の医療機関に偏りがちな傾向も見られます。二次医療圏内に一カ所程度という国の方針が現実にはなかなか実態に合っていないのかもしれませんが、がん医療の地域格差を縮小しその均てん化を図っていくことはとても大切なことであり、県としてはこれら空白地域への対応を今後どのようにしていくつもりなのかをお伺いいたします。
     二点目は、県立静岡がんセンターの全床開棟の見通しの時期とそれに関連する医療従事者の確保対策につきましてお伺いをいたします。
     県民を初め多くの患者の皆様から高い評価と熱い期待を受けている県立静岡がんセンターは、一刻も早い全床開棟が望まれています。本年六月一日現在の県立静岡がんセンターの稼働病床数は五百五十七床で全床開棟時に対しまして約九〇%であり、常勤医師数は百十三名で約八四%、看護師数は四百七十四名で約九一%となっております。いずれもあともう少しの充実が必要であると考えますが、一方で医師及び看護師の退職者の数が毎年少しずつではありますが増加傾向にあるのも若干気にかかるところであります。
     また、五年後には一日平均千人以上の外来患者数を見込まれる中、医師及び看護師の確保は県立静岡がんセンターにとりまして待ったなしの最重要課題のようにも思います。本年度から院内保育所を年中無休で三百六十五日運営するなどの改善も進んでいると承知はしておりますが、今後の医師及び看護師の確保対策と全床開棟の時期をどのようにお見通しなされてますでしょうかお伺いをさせていただきます。
     三点目といたしまして、がん治癒率いわゆる五年相対生存率の向上への取り組みについてお伺いをいたします。
     がん患者の治癒率の全国平均が約四〇%程度と推測されている中、県立静岡がんセンターの目標とするがん治癒率は二〇一〇年に六五%以上、二〇一五年には七〇%以上であることが、平成十六年二月議会で当時のがんセンター局長より答弁がされております。この大きな目標を達成していくために県立静岡がんセンターにはがんセンター研究所が併設されており、診断機器の開発等による病院の診療支援はもとより、手術、放射線治療、化学療法、免疫細胞療法の開発など他のがん医療施設よりすぐれた研究が進められていると認識をしております。
     がん患者やその家族の立場に立って考えるとき、がん治癒率向上のために不断の研究を続けている静岡がんセンターの取り組みはがんと戦うために必要な強い忍耐力と勇気を与えてくれるでしょう。治癒率向上のための取り組みの現状についてお伺いをさせていただきます。
     続きまして、温泉資源の活用及び保全についてお伺いをいたします。
     まず第一点目といたしまして、ファルマバレープロジェクトにおける伊豆半島及び伊東市の温泉資源の必要性及び活用法についてお伺いをいたします。
     ファルマバレープロジェクトは、世界一の健康長寿県の形成を最終的な目的とし、医療、健康をキーワードに県東部を中心に医療産業からウエルネスまでに広がる健康関連産業の振興と集積を図るプロジェクトであります。同じ県東部に位置する伊豆半島は、そのプロジェクトを推進していく上で主にウエルネスの部分を担う大事な役目を負っていると考えております。
     日本を代表する観光地である伊豆半島は、私が今さら申し上げるまでもなく海あり山あり温泉ありの抜群の自然環境に囲まれております。ちなみに私の地元である伊東市は年間約七百万人の来遊客が訪れる国際観光温泉文化都市であります。城ヶ崎海岸、一碧湖、小室山や大室山などの自然を生かした観光スポットは現在でも大変人気がありますし、それらの大自然を舞台にしましたイベントも数多く繰り広げられております。自然体験型イベントは参加者一人一人が自然との一体感を感じることによって身も心もリフレッシュされていくものです。そして、それら大自然に加えて温泉という観光資源がさらにそのリフレッシュ効果を高めていくことができます。
     伊東温泉は別府、熱海とともに日本三大温泉場の一つに数えられ、豊富な温泉湧出量は全国第五位を誇っております。この温泉により伊東、熱海を初め伊豆半島は古くから湯治場として栄え、関東近県はもとより全国からの来遊客を受け入れることのできる観光地として発展し続けることができました。そしてその地域の持つ特殊性を具体的な政策やプロジェクトの中で生かしていこうということから、ファルマバレープロジェクトにつながっているのだと私は認識しております。
     数年前までは単に観光的な見地からの自然であり温泉であったわけですが、現在では健康的な見地からの自然であり温泉であることが積極的に展開される時代となりました。医学や技術がどんなに発達したとしても決して治すことのできない病気もあるでしょうし、またどんな治療をしてみても決して治せることのなかった病も、すばらしい大自然の中に身を置きながらゆったりとした時間を過ごすことによって、身も心もいやされて健康を取り戻していくこともあるかもしれません。
     私は、さきに質問をいたしましたがんセンターの充実を初めこのファルマバレープロジェクトを私なりに理解をし、そして評価させていただくのは、県東部のそれぞれの地域のそれぞれの特性を生かしながら連携を持った中でこのプロジェクトが推進されているからであります。そして伊豆半島や私の住む伊東市の一番の役目は恵まれた温泉を有効利用させた施策の推進であります。
     県は、今後とも本プロジェクトを推進していく中で伊豆半島及び伊東市の温泉の必要性をどのように認識し、どのように活用していこうと考えておられるのかお伺いをいたします。
     次に、スコリア採取事業の温泉源に与える影響についてお伺いをいたします。
     この質問は、平成十五年十二月十二日付で既に森林法の開発許可がおりてしまっております民間事業者による私有地におけるスコリア採取事業によって、伊東市の温泉源に大きな影響が出るおそれがあると不安を抱いている多くの伊東市民の思いを石川知事に届けなければならないという思いで質問をさせていただきます。
     まず、これまでの経過につきまして若干説明をさせていただきたいと思いますが、当該地は伊東市鎌田の通称馬場の平と呼ばれている山間部の丘陵地であります。この地域は伊東市民の心のふるさととしてなれ親しんだ場所であるばかりでなく、伊東市の生命線である水道水源や温泉資源を涵養する重要な地域であると言われております。
     しかしながら、この土地を取得されました民間事業者が昭和四十六年ごろからスコリア採取を開始し、六十年までに四回に分けて約三十五万立米――十トンダンプにして約五万台分が採取されてまいりました。もちろん事業者にしてみれば自己所有の土地の土砂採取でありますから、他からとやかく言われる筋合いの話ではないかもしれません。
     しかし、地質学の専門家の指摘では、スコリアは降った雨水を地下にゆっくり浸透させるスポンジのような役割を担っているため、それが採取されてなくなることによって雨水が地表を流れ落ち地下に浸透しにくくなると言われております。その結果として地下の水道水源や温泉源が涵養されにくくなり、さまざまな影響が出てくることが心配されております。近隣の井戸の水位低下や湧水の減少などが確認されているほか、伊東市街地における温泉総湧出量が減少していることにも影響している可能性があります。
     伊東温泉組合で毎年調査をされている昭和三十一年から平成十六年までの伊東市街地における温泉の総湧出量及び湧出源泉の本数の資料を見てみますと、昭和三十年代から四十年代半ばまでは総湧出量も湧出源泉の数も微増ではありますが推移しておりました。スコリア採取の始まる昭和四十年代半ば以降から、ともに緩やかではありますが、右肩下がりになっております。しかし何分にも地面の下の世界のことであり確かなことは言えません。源泉の口数の減少も経済的な要因によるものもあるでしょうし、すべてがスコリア採取の影響だと言えないことも承知をしております。
     しかしながら、この状況を不安に思う伊東市民や関係者は多く、これまでに伊東商工会議所会頭を幹事代表とする伊東市馬場の平の環境を守る連絡協議会を立ち上げ、伊東市民約一万二千名の署名を添えて伊東市長並びに静岡県知事に対し数回にわたり陳情をしてまいりました。
     伊東市議会では平成十七年九月二十六日の観光建設委員会におきまして、伊東温泉の枯渇を引き起こすおそれがある馬場の平のスコリア採取問題について抜本的解決を求める請願を全会一致で採択し、附帯決議で請願を提出した連絡協議会に対しまして用地取得を視野に全市的な運動を呼び起こし財源確保などの努力をすることを求めています。また県知事、当局に対しましては、平成十六年九月三十日及び平成十八年一月二十日そして本年六月八日の計三回にわたりまして陳情がなされております。
     またこの間、伊東温泉組合及び関係する諸団体が事業者に対しましてスコリア採取差しとめの民事調停を三島簡易裁判所に申し立てをしております。以来現在まで四回の調停が開かれていると承知をしております。以上がこれまでの経緯であります。
     今回、スコリアが採取される予定の量はさきに申し述べました過去十五年間で採取されました合計量三十五万立米をはるかに超える六十万立米ものスコリア採取と承知しております。温泉源に与える影響も大変気になるところです。
     私たち伊東市民にとりまして、市街地の温泉旅館の温泉や地元のお年寄りでにぎわっている地域の銭湯の温泉が枯渇するようなことは当然のこととしてあってはならないことであり、事前にできる限りの対策をとっていかねばならないと考えます。スコリア採取が温泉源に与える影響がどれだけあるのかは明言できないわけですが、しかし一方で影響がないとも言い切れない現状の中さまざまな専門家の意見や客観的データをより慎重に検証する中で、温泉資源の保全に努めていく必要性を強く強く感じるものであります。
     そこでお伺いさせていただきますが、平成十五年十二月に林地開発の許可をおろされる際に温泉資源への影響について県としてどのような認識をされておられたのかをお伺いいたします。
     また、県はこの馬場の平の温泉資源の保全について今後どのように対応していくお考えがあるのか、あるいはないのかをお伺いさせていただきます。
     次に、NPO法人認証等の権限の移譲についてお伺いをいたします。
     特定非営利活動促進法いわゆるNPO法が平成十年十二月に施行されて以来、八年半が経過いたしました。この間、全国では本年四月末現在三万一千余のNPO法人が認証を受けており、社会に果たす役割や期待がいかに大きなものであるかということが推測されるところであります。
     NPO法人の認証件数は全国では平成十五年度以降毎年五千件程度となっています。本県では平成十四年度以降毎年度百を超える法人が着実に増加してきており、県下のNPO法人は本年五月末現在で累計六百八十二法人となっており、本県は全国で十一番目にランクをされております。主なNPOの活動分野は、社会教育の推進、保健・医療・福祉の増進、まちづくりの推進、子供の健全育成となっており、こうした分野でのNPOの果たす役割は大変大きくなっていると聞いております。またNPO法により市民活動団体が法人格を取得することにより、社会的に認知をされ、その活動が活性化されることはまことに喜ばしいことであります。
     さて、県はこれまでも平成十七年四月静岡市に、本年四月には浜松市にそれぞれ政令指定都市となった市に対してNPO法人の認証等の事務権限の移譲を行ってまいりました。住民に身近な行政事務は市町が当たり、県は広域的かつ市町ができ得ないものを対応することになると思いますが、県は権限移譲の推進により行政事務の効率化を一層図っていく必要があると考えております。
     そこで、NPO法人認証等の権限移譲により県下のNPO法人を初めとする市民活動団体の活動がますます活発化することが期待されるところですが、県から政令指定都市へ権限移譲した内容はどのようなものなのかお伺いをいたします。
     また、県から政令指定都市への権限移譲によりNPO法人や市民活動団体との距離が近くなるなど密接な連携が期待されるところでありますが、NPO法人や市民活動団体にとってどのような効果が期待されるのかお伺いいたします。
     さらに、今後県下の他の市町へこのような権限移譲を拡大していく考えはないのかをお伺いいたしまして、ひとまず私の壇上からの質問を終わりにいたします。ありがとうございました。 (拍手)
    ○議長(佐野康輔君) 石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事(石川嘉延君) 中田議員にお答えをいたします。
     初めに、がん対策と県立静岡がんセンターの運営についてのうち、県立静岡がんセンター開設五年目の所感についてであります。
     がんセンターの設立に当たりましては、がん克服が二十一世紀の県民的課題と考え、本県がん対策の中核を担う高度がん専門医療機関として将来のあるべきがん医療を先取りした形で整備したものであります。この結果開設後五年足らずの短い期間ではありますが、患者さんの視点を重視する基本理念の実現によって、予想を上回る多くの患者さんが受診されるとともに患者さんを初めさまざまな方面から高い評価を受けております。
     とりわけ、ことし四月施行のがん対策基本法に基づくがん診療連携拠点病院として必要とされる専門的な診療と研修体制、緩和医療や相談支援機能などについては設立時に我が国最高水準のものが盛り込み済みであります。特に拠点病院の指定要件の一つであります相談支援センターは静岡がんセンターのがんよろず相談、これがモデルになったというふうに承知をしております。
     今後とも県内の地域がん診療連携拠点病院との連携強化を図ることによって、本県がん医療水準の向上に資することはもとより、患者に尽くす世界トップレベルのがんセンターを目指して診療や研究機能の強化に努めてまいりたいと考えております。あわせてこの県立がんセンターの高い医療機能、診断機能、これが我が国のがん診療あるいはそれをサポートするさまざまな医療関係産業ですね、これとの連携強化によって、東部地区を中心として本県に医療関係産業の集積を図る中核機能を果たすことを期待をしているわけであります。
     あわせてさらに、幅広く健康産業という視点までとらえて本県に健康産業を集積しようと、こういうことでファルマバレープロジェクトも推進中であります。これにつきましても開院五年を経て、ようやくその兆しといいましょうか、少しずつその成果もあらわれつつあります。
     これはがんセンターのすぐ背後地にオリンパスが拠点の事業所を開設をしてもう開業しておりますし、実は昨日も日本を代表するような医療器械、分析器械のメーカーの社長さんが、がんセンターを初めとしてファルマバレープロジェクトについての現地視察をされ、私のところについでにお立ち寄りいただいていろいろ感想を伺ったり、意見交換もしたわけでありますけども。大変この本県が推進をしておりますファルマバレープロジェクト、特にがんセンターの中に研究所を設け、そこが研究機能を発揮すると同時にあわせてさまざまな産学官の連携を実現するためのコーディネーターを配置をしてさまざまな研究開発が推進しやすくしているということですね。こういう体制そしてその体制のもとに大変意欲的な研究プロジェクトが進行してるとそういう様子についても大変印象深くして帰られまして、今後自分のところもファルマバレーセンターを介してがんセンターやその他のいろんな機関との共同研究も展開をしたいということを申して帰られました。
     このように、がん治療そのもので県民に貢献をすると同時に地域全体へ産業振興という観点からもこのがんセンターが中核的な機能を果たしていきつつあると。やっとそのオリンパスという我が国を代表するような内視鏡部分でのトップメーカーが事業所をつくったということで、ファルマバレープロジェクトというのは、そういう効果がやっと出たかと、県民の皆様にも実感していただくようなことになりましたけども、今後そのようなことが次々起こってくることを期待をしてるところでございます。
     次に、温泉資源の活用及び保全についてのうち、ファルマバレープロジェクトにおける伊豆半島及び伊東市の温泉資源の必要性及び活用法についてであります。
     ファルマバレープロジェクトにつきましては、これまでの実績を踏まえ一層の研究開発の促進と県民の健康増進、健康産業の振興・集積を実現するために、去る三月三十日に第二次戦略計画を策定し公表したところであります。この計画では、伊東市を含む伊豆地域の恵まれた観光資源を生かしたかかりつけ湯の魅力の向上など地域の主体的な取り組みを支援し、ウエルネスの視点による観光産業の活性化を図る市町との協働によるまちづくりを柱の一つとしております。
     これまでにも伊豆全域でのウエルネス産業の創出、地域振興を目指した伊豆ブランドの創生を図ってまいったところでありますが、伊東市における健康をテーマとする温泉や文化を生かした滞在型観光プログラムの開発などの先進的な取り組みも出始めております。こうしたことを通じて世界一の健康長寿県の形成を目指し、住む人も訪れる人も快適と感じることができる特色ある豊かな地域としての発展が実感できるように、発展が実現できるようにプロジェクトの一層の推進に取り組んでまいります。
     その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(佐野康輔君) 藁科厚生部長。
            (厚生部長 藁科一仁君登壇)
    ○厚生部長(藁科一仁君) がん対策と県立静岡がんセンターの運営についてのうち、地域がん診療連携拠点病院の空白地域への対応についてお答えいたします。
     県は、県民がどの地域においてもがんの標準的な専門医療が受けられるがん医療の均てん化を図るため、平成十八年度までに県立静岡がんセンターを県がん診療連携拠点病院として、また県立総合病院や順天堂静岡病院など九つの病院を地域がん診療連携拠点病院として推薦し、国の指定を受けたところであります。地域の拠点病院については、がん診療の実績のうち主要ながんの症例数、チームによる緩和医療の提供や相談体制の整備、院内がん登録の実施などの指定要件を満たしたところを地域における検討会からの意見も踏まえて推薦したものであります。
     県全体では地域がん診療連携拠点病院の確保が困難なところが四圏域あり、当面隣接圏域の拠点病院で対応することとしておりますが、未指定の圏域におきましては患者の受療動向を踏まえ地域のがん医療体制の充実を検討してまいりたいと考えております。
     次に、温泉資源の活用及び保全についてのうち、スコリア採取事業の温泉源への影響についてであります。
     今後の温泉資源の保全対策についてでありますが、温泉法では掘削等を知事の許可とし、これを受けて県の要綱等では温泉保護地域を指定し新規掘削を規制するなど、その保全に努めているところであります。
     伊東市馬場の平につきましては昭和三十五年から温泉保護地域に指定しており、原則として新たな温泉掘削を認めないこととしております。また昭和四十三年から県が毎年実施している調査では伊東市の利用源泉の平均湯量や平均温度に大きな変化は現在のところ見られておりませんが、今後ともこの調査結果を注視し適正な温泉の管理に努めてまいります。
    ○議長(佐野康輔君) 小野寺がんセンター局長。
            (がんセンター局長 小野寺恭敬君登壇)
    ○がんセンター局長(小野寺恭敬君) がん対策と県立静岡がんセンターの運営についてのうち、初めに全床開棟の見通しと医療従事者の確保についてお答えをいたします。
     静岡がんセンターにおきましては、従前より医療従事者確保を最優先課題として取り組んでまいりました。とりわけ看護師につきましては、全国的な看護師不足という状況の中、段階的開棟に向け県外養成施設への働きかけや試験回数、会場の増加等の採用活動強化に取り組んだ結果、昨年度までの三年間では採用者数は増加をしております。これにより急性期病院にふさわしい手厚い看護体制が確保され昨年度導入された七対一の看護配置基準も達成をいたしました。
     しかしながら、昨年から全国的に獲得競争がさらに激化をし、今後の看護師確保は一層厳しい状況になっております。このため院内にプロジェクトチームを設置し、がん看護への関心を高めるための夏季集中セミナーの開催や高度専門医療機関としての活動を紹介する看護師募集用DVDの作成と活用など工夫を凝らした看護師確保対策を推進しております。
     また、医師につきましては後期研修を終え一定の経験を積んだ多くの若手医師をレジデントとして積極的に受け入れ、がん専門医として養成をすることにより優秀な人材の確保を図ってまいります。さらに離職防止対策も重要なことから、二十四時間保育、学童保育など院内保育所の充実や良質な職員住宅の確保などの医療従事者の定着率を高める就労環境の整備にも力を入れております。今後は県内全体の人材充足状況も見きわめつつ、看護師確保の状況に応じて増床に取り組んでまいります。
     次に、がん治癒率の向上への取り組みについてであります。
     がんの治癒率向上のためには、まず第一に早期発見、早期治療が重要であり、病状、病態に適した治療法が受けられる体制が必要となります。静岡がんセンターにおきましては我が国トップレベルの医療技術者により適切な診断と治療が可能な体制となっており、治療面においては最新の抗がん剤や陽子線治療、また手術と放射線治療の組み合わせなどによる集学的治療など先進的治療技術を行っております。さらに研究所においてはがんの早期発見のための遺伝子診断や新しい治療法である免疫療法の開発等を行っておりますが、こうした成果が臨床に生かされるようになるとがん治癒率の向上に結びつくものと考えております。
     今後は、早期発見に向けた県内の検診充実のための人材養成と啓発活動や他病院との連携など現在がんセンターの疾病管理センターが担う総合的ながん対策をさらに充実することにより、がんセンターの診断や治療が必要な方が早期に紹介されることにつながり、治癒率の向上に貢献するものと考えております。
    ○議長(佐野康輔君) 衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長(衛門久明君) 温泉資源活用及び保全についてのうち、スコリア採取事業の温泉源への影響についてお答えいたします。
     スコリア採取事業の許可に係る温泉資源への影響の認識についてでありますが、森林法の規定では一ヘクタールを超える開発許可の申請については、市町村長や都道府県森林審議会の意見を聞いた上で対象森林が現に有している災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全の機能に支障を来すおそれがない場合、許可しなければならないことになっております。
     この中で水の確保に関する許可基準は、開発する森林区域で現に利用されている飲用水やかんがい用水への著しい支障を来すか否かを判断することとされており、温泉源に関することは森林法の範疇にはないと認識しておりますが、本件につきましては伊東市長や静岡県森林審議会の意見を踏まえ井戸水の水位観測等の条件を付して許可したものであります。
     今後とも、地元伊東市とも連絡を密にし適正な開発が行われるよう定期的な査察等を通じ、事業者を指導監督してまいります。
    ○議長(佐野康輔君) 稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長(稲津成孝君) NPO法人認証等の権限の移譲についてお答えいたします。
     県では全国で初めてNPO法人に係る認証等の権限を政令指定都市に移譲することとし、平成十七年四月に静岡市へ、さらに本年四月に浜松市へ移譲したところであります。移譲した内容は政令指定都市に事務所を置くNPO法人の設立や定款変更等の認証、事業報告書や役員変更届等の受付、立入検査等の知事が有する一連の権限であります。
     権限移譲により期待される効果といたしましては、市民にとって身近な市がNPO法人の設立を初め各種申請や届け出等の窓口となることにより市民の利便性が向上すること、NPO法人や市民活動団体と市との交流の機会が増すことにより地域の課題解決に向けた協働の取り組みや市民参画によるまちづくりが進むことなどが考えられます。
     県内の他の市や町への権限移譲につきましては、移譲による効果が期待されます一方事務の負担増などの課題もありますことから、今後市や町等の意向を十分踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
    ○議長(佐野康輔君) 七番 中田次城君。
            (七番 中田次城君登壇)
    ○七番(中田次城君) がんセンターとNPO法人のことはよくわかりました。頑張っていただきたいと思います。
     それで温泉資源のことにつきまして再び質問させていただきたいと思いますが、まず一点確認させていただきたいのは、厚生部長の今の答弁を聞いておりますと、伊東市街地における温泉の湧出量そのものがですね一向に変化がないのではないのかというふうに、聞いてる方が聞くとそういう認識を持つわけですね。
     しかし現実にですね、昭和四十六年から平成十九年まで伊東温泉組合の資料に基づきますと二万九千六百五十八立方あったものが二万二千九百八十四立方、六千六百七十四立方年間の市街地における湧出量が減ってるんですね。これは県だって把握してると思うんですよ。温泉の源泉の数も三百六十九本から二百四十六本、マイナス百二十三本になってるわけですね。ですから一つの温泉の源泉からわき出るものは八十というふうに規制をされてますから一定の数字で出てるかもしれませんが、伊東市内の市街地からあふれ出る温泉の数そのものは減ってるんですね、ここをきっちりまずどうなのかっていうことを再度御答弁いただきたいなと思います。
     それとですね、今の温泉の源泉が減っていく、百二十三本減ってるわけですけれども、その百二十三本減るときに廃止届というものを出すわけです。その廃止届にはそれぞれ理由がありまして、どういう理由で廃止されてるのかということを私や温泉組合の皆さんとちょっと拾い上げてみました。全部で百二十三本のうちその理由が百三十四届け出がありました。ダブってるものがあるんだと思います。しかし温泉の湧出が不可のものが六十三件、温泉の温度の低下のものが十八件、この二つを足してもう既に六〇%以上、これに配管が埋没をしたり枯渇のため宅地に変換しなきゃならない、この数の三十二件を加えますと合計でですね八四%のものが温泉の枯渇や温度の低下によってこれが廃止をせざるを得なくなったと。これはやっぱり温泉源に大きな影響がある一つの私はあらわれだと思います。
     そこで知事にお伺いしたいのはですね、私は石川知事御自身がですね、スコリアの採取事業そのものがファルマバレーを推進していく上でも温泉が必要だということは一緒の私は理解だと思います。
     でもこの温泉というものを守っていくためにスコリアの事業というものが与える影響というのが非常にあるのではないのかという思いを伊東市民多くの人は持ってるわけですけども、知事はどういうふうにその辺を思ってらっしゃるのか、これは知事の御意見として所感をぜひお聞きしたいと思います。
     それとその前提の中でですね、例えばこれから県が、今まで県は地元と業者との間に入ってうまく話をしましょうとこういうことを県は指導してきてくれました。しかし温泉を守っていくんだという観点で県は県の立場として温泉についてのですね、やっぱり基本的にやはりこの温泉組合の資料もそうですけれども、それ以外にですね、温泉を守っていくためにもっと違った形での仲介に入ったり、業者と話をしたり、伊東市と話をしたり、そういう姿勢を私は持つことも大事なことだと思うんです。温泉を守ってファルマバレーを推進していくということで考えると。その点についてですね、どのような御見解や考えがあるのか、これをお伺いさせていただきたいと思います。以上でございます。
    ○議長(佐野康輔君) 藁科厚生部長。
            (厚生部長 藁科一仁君登壇)
    ○厚生部長(藁科一仁君) 温泉資源の関係で湧出量の減について再度答弁ということでございます。
     私ども厚生部におきましては、先ほど温泉実態調査をしているというお話をいたしました。この調査におきましては、伊東市の源泉はすべて機械で揚げてるという意味で総揚湯量、これが調査対象となっております。先ほど申し上げました中で調査をやっている時点――一九七〇年、これの総揚湯量が三万八百七十四リットル、毎分ですね、これが私どもの持ってるデータで平成十四年度――二〇〇二年のデータがございます。二万三千百十四リットルこういうのがデータで出ております。
     これは先ほど御質問の中にありますように源泉数の増等を加味いたしますと、一利用源泉当たりの平均の揚湯量は一九七〇年の段階は八十一・七リットル、毎分です。それから平成十四年度の場合は九十・三というふうに一割増しという状況でございます。そういう意味で現時点では温泉利用面での支障は見られないとそんなふうに理解しているところでございます。
     なお、温泉のかかりつけ湯の関係でファルマバレーはそのかかりつけ湯構想、これを推進しているところでございますので、伊東市のいろいろな事業これにつきまして御協力もいただいているところでございます。今後ともかかりつけ湯の振興等につきまして推進してまいる所存でございます。
    ○議長(佐野康輔君) これで中田次城君の質問は終わりました。
     ここで、議事の都合により休憩します。
     再開は二時五十分とします。

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