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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成13年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渥美 泰一 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/27/2001

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○議長 (伊東伊佐美君)  質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 十七番 渥美泰一君。
            (十七番 渥美泰一君登壇 拍手)
    ○十七番 (渥美泰一君)  おはようございます。 二十一世紀がスタートし、 最初の年度の初めての議会で、 自民党を代表して質問させていただくことの責任の重さを感じております。
     今や人気絶頂の小泉内閣が繰り出す聖域なき構造改革。 たとえお互いに痛みを伴おうとも、 今やらなくてはならない改革と国民の多くはわかっているが、 どれだけ我慢ができるか。 超少子・高齢時代を支える真の分権型社会構築に向けての自己改革。 後退を補って余りある協働  コラボレーション社会を標榜し、 知事並びに環境部長、 教育長、 警察本部長に質問いたします。
     初めに、 知事の政治姿勢について伺います。
     知事は就任以来二期八年間、 郷土静岡県の発展のため、 「論より実践」、 最近は 「論も実践も」 をモットーに、 県政が抱える幅広い、 かつ県民生活に直結するすべての分野に常に全力投球で立ち向かわれてまいりました。 その評価は、 ある雑誌の 「日本を変える知事」 ランキングでは総合第六位であります。 その中で最近よく話題にされる住民満足度は第二位と分析され、 情報公開では第五位という評価でありました。 事実、 インターネットを活用した知事トーク掲載の 「ようこそ知事室へ」 や知事あてのメールへの対応など、 IT時代を先取りした政策。 また昨年度、 県内各地で開催し、 延べ四千人の県民が参加した移動知事室や県政モニターと知事が話し合う会など、 常に県民の生の声を聞き、 開かれた県政運営に努められておられることは、 我が党としても大いに認めるところであり評価するものであります。
     このようなことを知事は県民だよりなどにより、 わかりやすい形でもっと県民に対し積極的に広報すべきと思います。 それにより、 県政が県民にとってより身近なものになりますでしょうし、 これは大変大事なことではないでしょうか。 また、 知事は全国に先駆けて行政改革室を設けるなど、 思い切った行財政改革を進められました。 その結果、 静岡県は全国一行革が進んでいる県と言っても過言でないと評価するところであります。
     ところで、 知事は静岡県で生まれ育ち、 その後東京に出られましたが、 本県に二回も勤務され、 知事八年間と人生の半分以上を静岡県で暮らす、 まさに静岡県をこよなく愛する静岡県人と自他とも認めるところであると思います。 我が党としては過去八年間の実績を高く評価するとともに、 二十一世紀の静岡県を導くリーダーとしてふさわしいと三期目の知事選に向けて御推薦申し上げたところであります。
     静岡県の将来を考えたとき、 東京中心の考え方に左右されることなく、 今まで県民が守り育てたものを真の静岡県人がさらに磨いてこそ、 将来の発展があると思います。 今まで多くの県民の声を聞き、 さまざまな改革の種をまき、 ここまで静岡県を育ててきた知事が、 これからどのような方法で県民とともに二十一世紀の県土づくりに取り組まれるのか、 その政治姿勢をお伺いいたします。
     次に、 財政問題のうち、 まず本県経済の見通しについて伺います。
     我が国経済は内閣府の発表によりますと、 二〇〇一年一月から三月期の国内総生産  GDPが前期比〇・二%減と二期ぶりにマイナス成長となりました。 またIT関連製品の生産の落ち込みや、 個人消費の不振、 三百万人を超える失業者がなかなか減らないことなど、 先行きへの不安材料が多く見られるところであります。 こうした中、 国は、 日本経済の再生に向けて不良債権の最終処理など、 経済、 財政の構造改革を進めるとしておりますが、 今後の経済成長に対しての懸念も広がっております。 本県におきましても、 こうした動向を踏まえ、 的確な対応を図っていくことが重要であると考えますが、 知事は本県経済をどのように認識し見通されているのか、 お伺いいたします。
     次に、 財政健全化計画の見通しについて伺います。
     バブル経済崩壊後の国の経済対策により、 地方財政制度のもとで減税、 財政出動などに地方公共団体が協力することとされ、 結果、 全国の地方自治体において財政が大変苦しい状況となりました。 特に東京、 大阪、 愛知、 神奈川などが赤字決算となる危機的な状況に陥っております。
     本県においては、 県議会と知事との理解協力のもとで、 いち早く財政健全化計画を策定し、 財政構造改革に取り組んできたものと認識しております。 既に平成九年度のサマーレビューにおいて、 主要プロジェクトの見直しを実施した上で、 平成十二年度当初予算においては、 聖域なき見直しを実施し、 歳出面では投資的経費の大幅な削減、 歳入面では県債に依存しない財務体質への転換を図り、 さらに補助金のカットや職員や我々議員を含め給与カットを行うなど、 痛みを伴う財政構造改革を断行してきたところであります。
     知事は本年二月県議会での答弁に続いて、 先日の所信表明において、 平成十二年度決算で大幅な剰余金が生じたことにより、 健全化計画最終年度の平成十六年度の不足額相当が解消され、 県債残高や経常収支比率など十分目標を達成できる見込みとなるなど、 県の財政健全化計画は予定より一年早く完了するようなペースで進みつつある確信を得たと説明されました。 しかしながら、 この六月の月例経済報告で初めて 「悪化しつつある」 と表現するなど、 景気の基調判断は下方修正されており、 さらに、 国は公共事業の見直し、 地方交付税の減額などの財政構造改革を進めるとしており、 地方財政を取り巻く経済や諸制度の先行きに対する不透明感が高まっております。
     このような財政状況を踏まえたときに、 再び平成十二年度のときのような痛みを伴う歳出削減が予測されるかどうか。 また、 国においては、 国債発行額を三十兆以内にするとしており、 交付税の減額に伴う臨時財政対策債を発行することにはならないか。 県債残高を二兆円程度とする健全化計画の見通しについて、 改めてお伺いいたします。
     次に、 市町村合併への取り組みについて伺います。
     二十一世紀の分権型社会においては、 国と地方の関係を見直し、 地方自治体がみずからの判断と財源により、 住民にとって魅力ある地域づくりを行っていくことが重要であると考えます。 また、 国及び地方の長期債務の残高が今年度末には約六百六十六兆円となる見通しなど、 極めて厳しい財政状況の中で、 地方自治体がこれまでのように国に依存した財政運営を行っていくことが困難になっております。
     このような状況の中で政府は、 昨年十二月一日に行政改革大綱を閣議決定し、 地方分権の推進や少子・高齢化の進展など、 市町村を取り巻く情勢が大きく変化している中にあって、 基礎的自治体である市町村の行政サービスを維持向上させ、 また行政としての規模の拡大や効率化を図るという観点から、 千を目標とした自主的な市町村合併を推進し、 行財政基盤を強化するという方針を示しました。 さらに、 昨日閣議決定された経済財政運営の基本方針の中で、 自立し得る自治体を確立するため、 市町村合併や広域行政をより強力に促進し、 めどを立て、 速やかな市町村の再編を促すという考え方を示しました。
     また地方財政制度の見直しに当たっては、 これまでの自治体の人口規模により地方交付税の配分で、 小規模な市町村に割り増しを行っている、 いわゆる段階補正の見直しが課題となっております。 合併特例法に基づく優遇措置や合併補助金や特別交付税などの財政支援措置という穏やかな合併促進策から、 地方交付税の見直しといういわばむちを使った積極策に転じてきたと受け取れます。
     よりよい分権型社会の実現に向けて、 県は平成九年より広域行政推進研究会を設置し、 本県における市町村の広域行政、 合併に関する研究、 検討を重ねる中で、 地域的一体性の観点から四つの合併パターンも例示されてきたと承知しておりますが、 さらに具体的検討に入るべきときが来ていると考えますが、 今後どのように取り組んでいくのか。 また地方交付税の見直しについてどのように考えるのか、 知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、 地震対策の推進について伺います。
     初めに、 第三次地震被害想定への対応についてであります。
     この五月に発表された県の第三次地震被害想定では、 前回の二次被害想定と比べますと、 県西部地域を中心に想定震度が従来より一段階高い震度六弱から震度七の地域が拡大するなど、 東海地震に対する見方を大きく変えなければならないということが判明いたしました。 特に今回は地震発生の時点を幾つかのパターンに分けて想定するという新たな試みも行われましたが、 その内容を見てみますと、 東海地震が仮に阪神・淡路大震災同様、 予知なく早朝に発生した場合は、 従来の同じく予知なしの昼どきの場合と比べ、 死者数約二千六百人に対し約五千九百人と二倍以上、 また重傷者は九千三百人が一万九千人へと著しい増加となっております。 的確に予知できた場合であっても、 死者は従来の三百八十人が千五百人とおよそ四倍と見込まれるなど、 その内容は極めて厳しいものとなっております。
     今回の県の発表を県民一人一人が地震に関する正確な状況を共有し、 防災に対する関心を一層高めていく貴重な機会にしていかなくてはなりません。 そして県民みずからが率先して地震対策を進めていくことが重要であります。
     去る四月の県中部で起きた地震で震度五を体験した地域もありましたが、 揺れていた間、 どのような行動をとったらよいか、 とっさの判断ができなかった人がほとんどであったとのことであります。 予想される震度六や震度七が果たしてどのようなもので、 そのとき何を考え、 何ができるのか。 また、 ふだんから何をしておかなくてはいけないのか。 実際にその揺れを体験しておくことも必要ではないかと思います。
     また、 今回の第三次被害想定における死傷者の大半は、 建物の倒壊が原因とのことであります。 少なからず阪神・淡路大震災のデータが反映されたものと推察いたしますが、 住宅の倒壊による被害を極力少なくしようと県が本年度実施するプロジェクト 「TOUKAI−0」 のより着実な推進が急務であります。 この被害想定を新たな地震対策の目標として設定し、 少しでも被害を食いとめることが、 行政に課せられた責務であると思います。 阪神・淡路大震災直後、 直ちに地震対策三百日アクションプログラムを策定し、 全国に先駆けた防災対策を推進してきた本県ですが、 今回の被害想定の見直しを受けて、 今後どのように防災対策を講じていくのか、 知事の考えをお伺いいたします。
     次に、 自主防災組織の活性化について伺います。
     本県の地域防災活動の核となる自主防災組織は、 結成率九九・九%と高い数値になっておりますが、 その実態は決してよしとは言いがたく、 各地の自主防災組織の現状を見ますと、 個人の危機意識や役割の認識不足による訓練のマンネリ化や防災活動の停滞などさまざまな問題を抱えており、 これでいざというときに役に立つのだろうかと懸念されます。
     自主防災組織の役割の第一は、 初期消火と被災者の救出にあります。 近隣組織による初期消火体制と、 だれがだれの安全を確認し救出するか、 できる限り身近な単位での人命救助の体制づくりが求められます。 私は、 十戸ないし二十戸、 つまり班単位ぐらいの組織が必要と考えます。 そして自主防災組織をより活性化する上で、 今後はリーダー養成をするとともに、 彼らの活動を促進させる新たな取り組みが必要であると考えます。 みずからの地域は皆で守る。 大災害時に大きな力となるであろう、 いや、 ならなくてはならない自主防災組織の活性化のために、 県は今後どのような方策を実施していくのか、 知事のお考えを伺います。
     次に、 静岡空港について伺います。
     知事から、 静岡空港の建設の是非を問う住民投票条例の制定について、 本会議に提案がなされました。 県議会としてもこれに真剣にこたえていく必要があると考えます。 昭和六十二年十二月、 県議会において建設予定地決定以来十三年、 運輸省の設置許可以来五年が経過している静岡空港。 石川知事は平成五年に知事就任以来、 一貫して、 静岡空港は本県の将来の発展と県民福祉の向上に欠かすことができない社会資本であるとの認識のもと、 反対地権者のもとにも幾度となく足を運ばれ説得に当たるなど、 まさに不退転の決意で臨んでこられたと承知しております。 我が党としても知事の方針を理解し、 議会と知事が車の両輪となって推進してきたところであります。
     現在なお本体部分で三名の地権者の賛同が得られないものの、 全事業費の六〇%、 一千百億円余の巨費を投じ、 既に同意書を提出いただいたほぼすべての地権者の用地買収を終え、 本体部で九六・四%の用地を取得し、 本体工事も本年度末で二五%の進捗に達しようとしております。 これまでの地元地権者を初め関係方々の並々ならぬ御労苦に対し、 深甚なる敬意と心からのねぎらいの意を表するものであります。
     そこで、 これまでの経過と現状を考えたとき、 知事がなぜ今になって住民投票に賛意を示されたのか、 また空港建設に対する不退転の決意に変わりはないか、 改めて真意をお伺いいたします。
     次に県はこれまで空港建設に反対の地権者との交渉に相当の精力を傾注してきたと推察いたしますが、 一方で静岡県にとっての空港の必要性、 利便性、 採算性や経済波及効果等を県民に広く知らせることを怠ってきた嫌いはなかったかどうか、 知事の御所見を伺います。 また、 今後は空港を生かした県づくりビジョンを早急に策定し、 県民にわかりやすく示すことが重要であると考えますが、 この点につきましても御所見を伺います。
     最後に、 今回の住民投票条例は、 県民に空港建設の趣旨、 意義を十分理解された上での投票ができるかどうかが大きな問題であると思います。 この点については我々議員も十分に役割を担っていかなければならないことですが、 県民の総意が反映された住民投票の実施について、 知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、 男女共同参画社会の実現についてであります。
     私事ですが十数年前、 地元浜北市において、 「浜北のかおり、 女性が描くまち」 というタイトルで、 女性パネラーによるシンポジウムを開いたことがあります。 道路や河川などの基盤整備、 福祉行政や生涯学習、 自然との共生など女性の視点だとどんなまちづくりができるんだろうという趣旨でした。 企画した我々男性にとって、 彼女らの意見は新鮮でなかなか興味深いものでありました。 今ある街並みを大切にしたいとか、 あるいは今日のユニバーサルデザインに通ずるような意見が多かったことを記憶しております。
     私は、 まさに二十一世紀は個人が主役の時代だと思っております。 自立した、 個性を持った男女一人一人が、 家庭や地域、 職場など多様な場所で活躍するそんな時代だと考えており、 男女共同参画社会基本法で言う、 男女が対等な構成員として、 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、 もって男女が均等に利益を享受することができ、 ともに責任を担う男女共同参画の推進こそ、 二十一世紀をより豊かな時代に導くものと思います。
     この基本法の制定後今日まで、 国においては、 いわゆるドメスチック・バイオレンスやストーカーから被害者を保護する法律が制定されたり、 ライフスタイルの選択に影響が大きい税制や社会保障制度の調査、 見直しが開始されており、 また都道府県の段階でも一都一道六県で男女共同参画条例が制定されるなど、 その取り組みが加速されているようです。
     知事は、 住む人も訪れる人も快適を実感してもらえる地域をつくろうということで、 「快適空間静岡の創造」 目指して、 さまざまな施策に取り組んでおられます。 私は、 男女の人権が最大限に尊重される真の男女共同参画社会の実現は、 快適空間実現の重大な要素であると考えておりますが、 今回県が提案している条例の制定を、 今後さらなる男女共同参画推進のため、 どのように生かしていくのか伺います。 また、 これまで本県の男女共同参画推進に支障となっている職場や地域社会の問題に、 具体的にどう取り組んでいくのかお伺いいたします。
     次に、 環境問題への取り組みについてであります。
     二十世紀において、 私たちの社会は、 科学技術の進歩や生産方式の革新などに伴い飛躍的な発展を遂げ、 かつてない豊かさや利便さを手に入れてまいりました。 しかしその一方、 そうした社会経済活動による環境への影響がさまざまな場面であらわれ、 極めて深刻な状況になっております。 こうした状況について、 昨年十二月に策定された国の新環境基本計画におきましては、 その冒頭で、 このままでは将来の世代に健全で恵み豊かな環境を継承していくことは困難であると指摘しているところであります。
     これらの環境問題を根本的に解決し、 私たちの社会を環境と共生した持続可能なものとしていくためには、 これまでの経済社会システムや私たちのライフスタイルを根源から見直し、 循環を基調とした社会を構築することが必要なことは明白であります。
     国においても、 こうした認識のもと、 昨年六月、 循環型社会形成推進基本法を制定するなど、 循環型社会の構築に向けた取り組みを本格的に開始したところであり、 平成十三年版の環境白書においても、 持続可能な簡素で質を重視する循環型社会をイメージする 「環わの国」 日本の実現を目指した基本戦略を明らかにしております。
     申し上げるまでもなく、 こうした取り組みを成功させるためには、 行政のみならず、 県民やNPO、 事業者などすべての主体が自主的に環境保全のため行動するとともに、 それぞれが有機的に連携して取り組んでいくことが不可欠であります。 折しも本県では、 環境に関する総合的、 長期的な方針として平成九年に定めた静岡県環境基本計画の改定作業を昨年度から行っていると聞いておりますが、 国の動きも踏まえ、 今後の環境問題への取り組みについて知事の基本的な認識をお伺いいたします。
     次に、 二十一世紀にふさわしい保健・医療・福祉について伺います。
     少子・高齢化が進行する中で、 年金、 医療、 福祉等、 我が国の社会保障制度は現在大きな転換期を迎えております。 かげりを見せているとはいえ、 世界有数の経済力、 高い賃金水準、 豊かな消費生活、 高い貯蓄率を誇る我が国で、 若い世代を含めた多くの人々が高齢期の生活に不安を抱いております。 その背景には、 生活の安定、 生活の保障という、 いわば社会的セーフティーネットの役割を果たしている社会保障制度の将来に対して不安を感じている人が多いからにほかなりません。 将来に不安がある間は、 消費の拡大はおろか自己防衛的にならざるを得ないわけで、 今日のデフレ経済の大きな要因の一つにもなっていると言われております。
     社会保障制度のあり方については、 年金の支給水準、 支給開始年齢の問題や、 負担がふえ続ける老人医療を独立させた新たな医療保険制度の創設等、 制度と負担のあり方について基本的な問題が国で議論されております。 しかし私は、 医療、 介護、 子育て支援などの各分野においては、 地方自治体の先駆的な取り組みと工夫により、 お年寄りから子供まで、 だれもが安心して暮らしていける環境を整えることが可能ではないかと考えます。
     新潟県の大和町、 広島県の御調町、 秋田県の鷹巣町などでは、 それらの町を中心とする広域のエリアにおいて、 公的病院を中核とし、 保健福祉センターや老人保健施設、 特別養護老人ホーム、 訪問看護ステーションなどの保健・医療・福祉施設を総合的に備えた地域包括ケアシステムを構築し、 予防と治療と福祉が一体化し、 地域の人々が安心して暮らしていける体制を地域施策の基本にし、 高い評価を受けております。 私も広島県の御調町については視察してまいりましたが、 これらの地域では、 住民が大変安心にして魅力的に感じており、 他の地域から移り住む人もあらわれている状況であります。
     そこで、 今後、 地域における創意工夫が求められる地方の時代を迎える中で、 知事が言われる安全・安心の 「快適空間静岡」 の実現のため、 まさに二十一世紀にふさわしい保健・医療・福祉の実現に向けて、 静岡県としても積極的に取り組む必要があると考えますが、 県は現在先駆的と言えるような取り組みができているのかどうか。 また将来にわたって安心して暮らしていける地域づくりに向けて、 どのような方向で地域を導き、 施策展開を図っていくのか、 知事の所見をお伺いいたします。
     次に、 中心市街地商店街の活性化についてであります。
     最近の個人消費の状況は、 家電リサイクル法施行前の三月ごろには一時的に駆け込み需要も見られましたが、 その後は回復感に乏しく極めて低調であります。 こうした個人消費の低迷は大型店立地にもあらわれており、 最近では全国的に見ても大幅に減少しております。 しかし、 かといってこれにより既存の商店街からの客離れに歯どめがかかったわけではありません。 むしろ街の顔である中心市街地商店街の衰退は進む一方であります。 本県においても、 このまま手をこまねいていると、 単に商店街の衰退にとどまらず、 市街地そのものが衰退し、 県内各地域が魅力のない地域に陥ってしまう懸念があります。 近年、 こうした商店街を活性化させようという取り組みは各地で見られますが、 実態としては、 取り組みの進んでいる地域、 遅れている地域、 その格差は大きくまちまちであります。
     国が昨年の十一月に公表した商店街実態調査によりますと、 商店街にとって何が問題かということについては、 魅力ある店舗が少ないが七二・八%と最も多いのですが、 活性化に向けての商業者の参加意識が薄いが六五%もあり、 商業者自身も危機意識を相当感じていることは確かであります。 そうであれば、 この危機意識を次にどう行動に結びつけるかが問われるのであり、 市町村の行政やコーディネーター役の商工会、 商工会議所などの役割が大変重要になってまいります。 そして行政、 商業者等おのおのの立場でリーダー役となる人材が特に重要であると思います。
     全国的なこうした状況にかんがみ、 中心市街地活性化法が三年前に施行され、 同法による基本計画の策定、 計画推進役となるまちづくり組織、 いわゆるTMOの設立といったスキームが定められました。 今後はこのTMOの推進が中心市街地の活性化に大きな意味を持ってきます。
     そこでお尋ねします。 まず本県における中心市街地活性化基本計画の策定状況及びTMOの設立状況はどのようになっているのか。 また、 県としてこの基本計画が策定されていない、 あるいは策定されているがTMOが策定されていない市町村に対する支援を含め、 活性化の取り組みを促進するための効果的な支援をどのように行っていくのかお伺いいたします。
     次に、 農産物の輸入急増に伴う県の対応について伺います。
     本県は、 温暖で恵まれた気候や東西大消費地のほぼ中央に位置する地理的条件に加え、 すぐれた先人の知恵と努力、 高度な栽培技術などにより、 特色のある多種多様な野菜を生産しております。 例えば農業粗生産額全国第一位の温室メロンを初め、 トマト、 イチゴ等、 数多くの上位品目を数える全国でも有数の施設園芸県として発展してきました。 そのほかにも、 本県で全国に先駆けて栽培が始まった中国野菜のチンゲンサイ、 全国で一番早い時期に出荷される白タマネギを初め、 レタス、 セルリー、 パセリ等の産地が形成され、 野菜全体の粗生産額においても全国第八位と高い地位を誇っております。  しかしながら、 近年の輸入農産物の急増による価格低迷の影響で、 本県の生産農家の経営は極めて深刻な状況にあり、 経営意欲の減退を招いております。 昨年十二月県議会におきましても一般セーフガード発動要請の意見書を採択し、 国に対して強く要請したところであります。
     このような状況に対し、 政府は、 本年四月二十三日、 近年輸入の増加が著しいネギ、 生シイタケ、 畳表の三品目に対し、 一般セーフガードの暫定発動に踏み切りました。 今回の措置は、 輸入急増による農業経営への影響を軽減するための措置として歓迎すべきものだと考えますが、 あくまでも暫定発動であるため、 本発動されなければ、 十一月八日までのわずか二〇〇日間の猶予しかありません。 また、 そもそも今回のセーフガードは緊急避難的な措置であり、 抜本的な改革にならないことは明らかであります。
     一方、 国においては、 このたびの農業の構造改革の中で、 全農家を対象とした一律農政からの脱却が打ち出されたところであります。 本県としても、 特徴ある本県の野菜産地が脆弱化することなく、 さらに発展していくための将来的対策を講じる必要があると考えます。 そこで、 県としてはセーフガード発動期間内にどのような対応ができるのか、 また産地強化のために短期的、 長期的にどのような対策を講じていくのかお伺いいたします。
     次に、 公共事業について伺います。
     まず公共事業の進め方についてであります。
     最近、 大型の事業を中心に、 公共事業の是非をめぐる議論が全国各地で活発化しており、 マスコミでもしばしば報道されております。 公共事業は地域の発展や住民生活の向上に不可欠な社会資本を整備するものであり、 必要な公共事業を着実に推進できるか否かに地域の将来が大きくかかっております。 こうしたことを考えますと、 公共事業に関する議論が活発化すること自体は歓迎すべきでありますが、 公共事業は何が何でも悪いといった極論まで飛び出すような風潮には、 深い危惧を覚えるものであります。
     無論、 従来の公共事業のあり方を全く問題なしとするものではありません。 特に事業計画がどのように決まったかわからない、 事業のメリット、 デメリットが十分知らされていない、 発注の過程が不透明であるといった、 事業の進め方に対する県民の疑問、 批判には率直に耳を傾け、 速やかに改善していくことが望まれます。
     県当局におかれては、 太田川ダムの見直しや松崎町の那賀川水門の建設問題に、 関係者の意見を最大限尊重するとの方針で対処されるとともに、 先ごろは公共事業の実施予定箇所の公表に踏み切るなど、 各種情報の公表にも努めてこれらました。 本県の公共事業の入札・契約に関する情報の公開度は四十七都道府県中第二位であるとの評価も、 最近の専門紙上に出ております。 私もこうした県の取り組みを高く評価するものでありますが、 先ほど申し上げましたような憂慮すべき風潮も見られる昨今において、 地域に必要な事業が着実に推進されるようにするためには、 関係住民の一層の理解と協力を得られるようにしていくことが大切だと考えます。 そこで、 今後公共事業をどのように進めようとされるのか、 知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、 道路特定財源制度の見直しについて伺います。
     道路特定財源制度は、 道路整備に要する財源を安定的に確保するため、 昭和二十九年に創設されたもので、 受益者負担の考え方に基づいて、 自動車の利用者に道路整備に要する財源の負担を求める制度であります。 平成十三年度には国、 地方合わせて五兆八千七百億円余の道路特定財源税収が道路関係予算に充てられているところであります。 本県においても平成十二年度の道路投資にかかる県負担額千二十三億円の四八・六%に当たる四百九十七億円が、 県の収入としての道路特定財源によるものであり、 このほかにも国庫補助金や交付金としてこの財源が充てられております。 まさに道路特定財源は道路整備の促進に重要な役割を果たしており、 不可欠の制度として定着しているところであります。
     この道路特定財源制度につきまして、 昨日閣議決定された経済財政運営の基本方針の中で、 分野別の配分などに硬直性をもたらしているとして、 その仕組み自体の見直しが明記されたのであります。
     しかしながら、 本県の道路整備の状況を見ると、 第二東名自動車道などの高規格幹線道路を初め、 県土の南北を結ぶ道路の整備、 生活関連道路の整備、 交通渋滞の緩和、 さらに平成九年のサマーレビューにより先送りとなってしまっている第二東名アクセス道路の早期着手など、 行うべき道路整備事業は多岐多様に及んでおります。 そして、 その整備にはまだ多額の費用を要することから、 安定的な財源の確保がまだまだ必要であります。 国の基本方針では地方への税源移譲も言われてきておりますが、 今回のこの道路特定財源制度の見直しについて御所見をお伺いいたします。
     次に、 二十一世紀を担う人づくりについて伺います。
     いつの時代にあっても、 教育、 人づくりは最重要課題であります。 特に時代の大きな転換期を迎えた今日では、 なおのことその重大さを痛感いたします。 そこで本日は、 幾多の教育課題の中から、 二点について県の取り組みを伺います。
     初めに、 中高一貫教育の推進についてであります。
     今日、 我が国においては、 バブル崩壊後の経済的停滞や国際化、 情報化の進行による急速な社会経済環境の変化の中で、 社会には漠然とした不安感や閉塞感が漂っております。 こうした歴史的な転換期、 変革期における混迷を乗り越えていくためにも、 一人一人の個性や能力、 適性が十分生かされ、 新たな道を切り開く創造性に富む人材を育成することができる教育システムの整備が強く望まれます。  このような中で、 県教育委員会は、 平成十四年度から、 浜松地区と川根地区において中高一貫教育を実施することとしております。 両地区での中高一貫教育の実施は、 いわば本県教育改革の推進力となるものであり、 大いに期待しているところであります。 特に浜松地区での実践は、 県立高等学校に県立中学校を併置し一貫教育を行う新しい試みであり、 県民の関心も非常に高いものがあると感じております。 また、 川根地区における実践は、 いわゆる中山間地域において地域の教育力を存分に生かした教育を展開するという大変時宜を得たものであり、 こちらの方にも大いに注目しているところであります。
     そこでまず、 浜松地区で中高一貫教育をする県立浜松西高等学校及び併設される中学校においては、 具体的にどのような教育理念で学校づくりをしようとしているのか、 また県立中学校の募集人員、 通学区域、 さらには入学者決定の方法はどうなるのか伺います。 次に、 川根地区で実施する中高一貫教育においては、 川根高校と川根三町内の中学校の間で具体的にどのような教育活動を連携して行っていくのか伺います。
     最後に、 本県における中高一貫教育の将来的な拡充計画についてはどのように考えておられるのか、 教育長にお伺いします。
     次に、 開かれた学校づくりの推進についてであります。
     つい先ごろの大阪池田小学校での殺傷事件は、 余りにもショッキングでした。 犠牲になられた子供たちや先生方、 その御家族には誠にお気の毒で言葉もありませんが、 この事件により現在取り組まれている開かれた学校づくりが後ろ向きにならないように、 特に安全管理を含めたよりよい対策が検討されることを期待するところであります。
     さて、 いじめや暴力、 不登校、 学級崩壊、 青少年の問題行動等、 これらさまざまな問題の解決のためには、 いつも言われるように、 学校、 家庭、 地域の連携を密にし、 保護者や地域に開かれた学校づくりを推進することが重要であります。 私自身、 現在中学校のPTA役員を務めており、 このことの大変重要性をひしひしと感じているところであります。 そして連携をより強めて行く上で、 学校が地域における教育活動の核となり、 連携の具体的方策を学校から地域、 保護者に向けて積極的に展開していくことが必要であるとも感じております。 そのためには、 現在すべての学校に設置されることになっている学校と地域との連絡調整役としての生涯学習担当やPTAの役割が大変重要であると考えます。 そこで、 開かれた学校づくりに向けて、 今後さらに学校、 家庭、 地域の連携を推進するための取り組み方策及び生涯学習担当やPTAの役割をどのようにとらえているのか、 教育長にお伺いいたします。
     最後に警察行政について伺います。
     警察本部長は、 県民の期待にこたえ信頼を回復するために、 ことしを改革元年と位置づけて取り組んでいると伺っております。 この六月には警察活動に関し、 地域代表者の方々の意見を聞く警察署協議会が発足したほか、 公安委員会への苦情申し立て制度も始まり、 これらは開かれた警察づくりの第一歩と大いに期待しているところであります。 一方、 最近の犯罪情勢は、 刃物等の凶器を使用してコンビニやサラ金業者を狙う強盗事件や、 公共機関である学校や役場のパソコンなど手当たり次第に盗む手荒で大がかりな窃盗事件が発生するなど、 質、 量ともに悪化しているのが実態であります。
     私の地元浜北市では、 昨年は住民に大きな不安を感じさせる連続放火事件が発生し、 警察は捜査本部を設置し、 日夜大量の捜査員を投入し、 懸命の捜査を続けていただいております。 そして、 これに呼応するように、 地元住民の皆さんが独自に夜間パトロールなどの地域安全活動に活発に取り組んだところであります。 この結果、 いまだ犯人検挙には至りませんが、 放火事件の発生は激減し、 住民の不安も薄らいできている状況にあります。 さらには、 屋外での犯罪発生が減少し、 交通死亡事故ゼロが続くなどの副次的な効果もあらわれているということであります。 私の地元のことではありますが、 この活動に取り組まれた住民の皆さんの並々ならぬ御努力に敬意を表するところであります。
     こうした活動は、 まさに警察と住民によるコラボレーション  協働の典型ではないでしょうか。 二十一世紀を展望したとき、 これからの警察活動は今まで以上に、 県民の要望するところを的確に把握し県民の期待にこたえていくとともに、 地域と連携した警察活動を進めていくことが重要ではないかと感じます。
     そこで、 警察本部長にお伺いいたします。 まず、 六月に発足した警察署協議会や苦情申し立て制度を運用するにあたり、 どのように県民の要望を把握して、 県民の期待にこたえていくか、 また、 浜北市における連続放火事件などの教訓を踏まえ、 今後、 地域と連携した警察活動をどのように展開していかれるのか、 本部長の御所見をお伺いし、 私の代表質問を終わります。 (拍手)

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