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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/24/2012

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1) 中部電力浜岡原子力発電所の再稼動の是非を問う県民投票条例
 (2) 本県への影響が懸念されるオスプレイの配備
2 災害対策について
 (1) 第四次地震被害想定の策定方針と総合防災訓練の検証
 (2) 富士山火山防災対策
 (3) 中小企業のBCP策定支援
3 浜岡原子力発電所の安全対策について
4 富士山をめぐる諸課題について
 (1) 富士山世界文化遺産登録の推進
 (2) 登山者の安全確保対策
5 内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進について
 (1) 構想の早期実現
 (2) ふじのくに食の都大路の展開
6 エネルギー政策について
 (1) 新エネルギー等の導入促進
 (2) 海洋エネルギーの導入
7 富士山静岡空港の利活用促進について
8 自殺対策について
9 障害者就労施設等からの物品調達の推進について
10 静岡茶の戦略について
11 いじめ対策について
12 県警における津波対策を踏まえた警察施設の移転、建てかえについて



    ○副議長(大石哲司君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、三十五番 小長井由雄君。
           (三十五番 小長井由雄君登壇 拍手)
    ○三十五番(小長井由雄君) 私は民主党・ふじのくに県議団を代表して、当面する県政の諸課題について知事、関係部局長、教育長、警察本部長に伺います。
     まず、知事の政治姿勢のうち、中部電力浜岡原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票条例について伺います。
     市民団体原発県民投票静岡の方々が、五月以降県内市町において集めた条例制定に向けた署名活動は、有効署名者十六万五千人を超える県民の方々の署名に結実しました。この十六万余という署名は法定の必要署名数の約三倍であり、多くの県民の皆さんがこの問題に対し関心があることが示されました。
     知事は、先日の提案理由の中で、県民一人一人がみずからの意思を表明する機会を逸してしまうことは妥当ではありませんと述べられ、投票実施に向け賛意を正式に表明されました。知事は条例制定請求を受け付け以降十六万余の署名は非常に重たいものであることを主張されてきました。またこれまで都道府県レベルでは沖縄県でしか実現されていないという現状を踏まえ、住民投票制度そのものが機能しないことに対する疑問も述べられてきました。
     一方で、県当局からも示されているように県民投票に要するコストは十三億円程度に上り、県民の意思の酌み方として県民投票を行うことが最も妥当な方法なのかという声もあります。知事は十六万余の署名をどのように重く受けとめ、この県民投票の実現に向けて賛意を表明したのか伺います。
     次に、本県への影響が懸念されるオスプレイの配備についてであります。
     去る六月下旬、米国から我が国に対し米海兵隊の最新型航空機オスプレイを沖縄県普天間飛行場へ配備するとの正式な通報があり、これを受けて七月下旬十二機のオスプレイが山口県の岩国飛行場に陸揚げされました。これに先立ち六月上旬に明らかにされた米側の環境影響調査報告書では、本県のキャンプ富士においても飛行訓練を行う想定で調査が行われ、その結果重大な環境問題は生じないと確認されたと聞いております。
     しかしながら、オスプレイは開発段階から墜落事故が相次ぎ、最近でもモロッコや米国フロリダ州で墜落事故を起こしたことから、沖縄県など関係自治体ではこうした事態を深く憂慮し、その安全性に対して大きな懸念を抱いております。一方で米国は環境への影響等を懸念する住民の意見を受け、ハワイ州の二空港において計画していたオスプレイの訓練を断念したとの報道もありました。
     こうした中、日米両国はオスプレイの配備に向けて、二件の墜落事故に関する分析評価を含めさまざまな角度から検討を重ねてきましたが、先日日本政府から、オスプレイの安全性が確認できたため国内での飛行運用を開始させるとの宣言が出されました。私は政府がもっとオスプレイ関係の情報を積極的に提供するとともに、これまで以上に丁寧な対応を行わないと関係自治体や住民の理解を得ることは困難ではないかと考えます。今後オスプレイが正式に配備され本格的に訓練が開始されれば、本県においても大きな影響をもたらすことになると危惧されますが、知事はどのように考えているのか伺います。
     次に、災害対策についてのうち、第四次地震被害想定の策定方針と総合防災訓練の検証についてであります。
     先月二十九日、内閣府の南海トラフ巨大地震の被害想定が発表されました。最悪のケースでは全国で三十四万六千人、本県では十一万人余の人的被害が出るという衝撃的なものでした。昭和五十一年八月東京大学の石橋克彦氏が東海地震説を地震予知連絡会において発表して以来、三十五年にわたり東海地震が迫っていると言われ続けてきた静岡県民にとっても想像を超える数字であります。
     今回の発表は、三月三十一日の内閣府の発表もそうであったように数字ばかりがひとり歩きして、発生し得る最大クラスの地震・津波であること、次に発生する地震を予測したものではないこと、発生頻度は極めて低いことなどのメッセージが正確に伝わっていないのではないかと感じています。
     今後県では、今回内閣府が公表した推計値やデータをもとに第四次地震被害想定を策定するとのことでありますが、県民にある程度の危機感を持たせつつも誤解を与えないような市町と連携したきめの細かい広報が大切であると思います。
     そこで、県はどのような方針で第四次地震被害想定を策定し、県民にわかりやすく説明していくお考えなのか伺います。また国の被害想定の発表が当初六月末に発表される予定でしたが、実際には八月末となるなど県の第四次地震被害想定の作業にも影響が出ているものと思いますが、スケジュールに変更はないのかあわせて伺います。
     一方、今回の発表直後の九月二日に南海トラフの巨大地震を想定した県総合防災訓練が実施されました。この訓練の中で富士山静岡空港を国の基幹的広域防災拠点として位置づけ、その能力を検証する訓練を実施したとのことでありますが、その結果について課題と今後の取り組みを伺います。
     次に、富士山火山防災対策についてであります。
     昨年の東日本大震災以降、東海地震は東南海・南海地震と三連動で起きるという前提で被害想定が示されるようになり、本県の地震対策も新たな局面を迎えることになりました。さらに三連動地震に加え、富士山の火山活動も連動するのではないかという指摘もされております。
     ことし二月の県議会に、我が会派の四本議員も富士山の噴火を懸念する質問をされ、当局も新たに策定する県の第四次地震被害想定に富士山が噴火した場合の被害想定を盛り込む方針であるとの答弁がありました。その後去る六月に本県と山梨県、神奈川県、国の機関が中心となり、富士山火山防災対策協議会が設置されました。この協議会では避難計画の策定や防災訓練の実施など各種の事業方針が承認されたとのことであります。これまで富士山についての火山防災対策は主体がはっきりせずやや印象が薄かっただけに、今回の協議会の発足は大きな前進だと思います。安心に向け周辺住民も大いに期待を寄せていることと思われます。
     そこで、改めてお聞きしますが、富士山火山防災対策協議会として今後どのような具体的施策や事業を展開していくのか、県の考えを伺います。
     次に、中小企業のBCP策定支援についてであります。
     東日本大震災では、沿岸部に立地する企業の多くが津波により壊滅的な被害を受け、三陸の水産加工関連事業者などはいまだに本格的な復興に至っていない状況にあります。本県の一部の有力な企業においては沿岸部の工場や生産機能の一部を高台へ移すという動きも報じられておりますが、大多数の中小企業は移転先の用地確保や移転のための資金手当て、従業員の通勤の問題など直ちに生産拠点を高台に移すことは困難な事情を抱えています。このような状況下、中小企業では被災後に人的、物的被害をいかに軽減し、中核的な事業をできるだけ早期に再開できるかなどの対応策をあらかじめ決めておく防災計画やBCPの策定が求められています。
     本県においては、他県に先駆けて中小企業でも容易にBCPが策定できるモデルプランを県がみずからつくり策定を促進するとともに、助言できる専門家の養成や安価な費用で専門家の指導を受けることができる専門家派遣制度を静岡県産業振興財団や中小企業団体中央会などが実施するなど、中小企業のBCP策定の支援制度が充実しているものと認識しています。今回の事態を受けて、津波対策を含めたBCPの見直しや今後BCPを策定しようとする中小企業への支援策のなお一層の充実が急務であると考えます。
     そこで、中小企業のBCP策定の取り組みに対し、県はどのように支援しようと考えているのか伺います。
     次に、浜岡原子力発電所の安全対策についてであります。
     浜岡原発は、想定東海地震の震源域に位置しかつ地震の発生が極めて切迫しているとして、昨年五月に国の要請を受け停止されました。その後中部電力は、防潮堤の建設や非常用発電機の高所設置、防水扉の改修などさまざまな対策を実施しております。しかし巨大地震が浜岡原発を襲えば使用済み核燃料が冷却不能に陥り、メルトダウン、水素爆発等が発生し広域に及ぶ放射能汚染を引き起こす危険があることは、福島第一原発事故で見るとおりであります。知事は浜岡原発の安全確保の点から、使用済み核燃料の適切な処理、処分や津波対策が不十分であること、オフサイトセンターの設置の問題があることなどについても言及された上で、安全性の検証には妥協のない姿勢を示されております。
     しかし、八月二十九日の内閣府の発表では、南海トラフ巨大地震に襲われる浜岡原発付近の想定される震度は七で津波の最大値を十九メートルと想定しています。これまでの想定の震度六強、最大津波高約七メートルを大きく上回る数値が発表されました。建設時四百五十ガルの耐震応力で設計され、その後東海地震には耐えられないとして廃炉になった二号機の使用済み燃料プールは、現在でも燃料冷却中であります。二号機の安全性についての県の見解を伺います。
     また、沖合からの冷却水の取水は相良層岩盤を掘削し建設したものですが、地震による津波、隆起、沈降で沖合の取水塔及び取水トンネルの崩壊や損傷などにより取水不能になることも危惧されます。この安全性について県の見解を伺います。
     さらに、昨年五月五号機の停止時に復水器と原子炉に大量の海水が流入するという事故が発生し、一年四カ月を経過しました。この問題について私は昨年六月の議会で取り上げましたが、最新の検査で塩害のため機器を貫通する穴があいていることが判明しました。最新の技術・材料でつくられている原発が炉水を循環させての脱塩処理を続けているにもかかわらず、短期間で機器を貫通する穴があいてしまったことは驚きです。原子炉に海水が流入した浜岡五号機の安全性について県の見解を伺います。
     加えて、中部電力はリプレース計画を公表した際、一、二号機廃炉、使用済み燃料の乾式貯蔵施設の建設を公表していました。県民の安全確保の責任からも浜岡原発敷地内の高所に乾式貯蔵施設の建設を急ぐよう申し入れるべきだと思いますが、県の考えを伺います。
     次に、富士山をめぐる諸課題についてのうち、富士山世界文化遺産登録の推進についてであります。
     去る八月二十九日から九月五日には、ユネスコの諮問機関であるイコモスの現地調査が行われたところであります。ここまでの道のりを考えますと、平成十七年に富士山の世界文化遺産登録への動きが具体化し、平成十九年一月に富士山が世界遺産暫定リストに登載、平成二十三年七月には登録推薦書原案が静岡・山梨両県から文化庁に提出されました。そして本年一月にはいよいよ正式な推薦書が日本政府からユネスコ世界遺産センターへ提出され、今回のイコモスの現地調査を迎えたところであります。登録に向けた動きが具体化してからここまでに至る関係の皆様の御努力には敬意を表する次第であります。現地調査を終え、今後は来年五月ごろに行われるイコモスの評価結果の勧告を待つことになるとのことですが、登録実現に向けて大きく踏み出せることを願ってやみません。
     さて、今回の現地調査においては保存管理の状況を中心に調査が行われたと伺っております。これは法的な保護措置はさることながら、国民や県民一人一人がどのように富士山を守っていくのかという意味でもあると思います。私は、富士山を守っていくということは決して国や県、市町村といった行政だけでなし得ることではないと考えております。
     そこで、現地調査の終了を踏まえ、平成二十五年の登録実現に向けて今後どのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、登山者の安全確保対策についてであります。
     富士山を後世に継承していくためには、しっかりとした保存管理をしていくことはもとより富士山をめぐる諸課題について本県と山梨県が一体となって取り組むことが必要であると思います。具体的には富士山頂周辺の県境問題、夏季のマイカー規制や駐車場整備、ごみやし尿などの環境対策、さらには周辺の電線や電柱、屋外広告物等に係る景観問題、遭難への対応など登山者の安全確保対策などが挙げられるほか、協力金など富士山を守る仕組みづくりも大きな課題であると考えます。これらの課題は、将来的には静岡・山梨両県にわたる富士山条例のような形も視野に取り組むべきものと考えます。
     特に、登山者の遭難防止などの安全確保については平成七年までは年間十件以下だった遭難件数が平成二十三年には四十七件に激増していることから、早急に対応しなければいけない課題であります。夏山時期の登山者数はここ数年三十万人を超えております。この中には外国人も多く、十分な装備を持たない登山者や、山小屋に宿泊せずに夜通し登山し御来光を見てそのまま下山するいわゆる弾丸ツアーと言われる無理な登山があり、遭難の一因ともなっています。また夏山以外の時期においても無謀登山者やスキーヤーが見られ、遭難救助の要請も実際にあり地元警察も大いに苦慮していると伺っております。
     こうしたことを背景に、関係機関で組織する静岡県山岳遭難防止対策協議会の各支部からは、登山者の届け出の義務化を柱とする条例制定について会長である知事宛てに要望書を提出されております。富士山世界文化遺産登録を控え今後ますます富士山を訪れる方の増加が見込まれる中、喫緊の課題である登山者の安全確保対策について、条例の制定も含めどのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。
     次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進についてのうち、構想の早期実現についてであります。
     知事が、内陸のフロンティアを拓く取り組みについてその考え方を提唱されてから一年がたとうとしています。その間さまざまな場面で内陸のフロンティアという言葉が聞かれるようになり、県民や民間企業などの関心は大変高いものとなっています。これは東日本大震災や新東名の県内開通という本県を取り巻く大きな環境の中で、まさに時宜を得た考え方であったからだと思います。
     県では、昨年度庁内に推進会議を設置し知事が本部長として陣頭指揮をとる推進体制を構築したほか、地域づくりの主体である市町との連携を図るために知事みずからが全市町に参加を呼びかけ、本年四月に県と全市町とで組織する県と市町との企画政策会議を立ち上げました。そしてその会議の中で相互に連携を図りながら、今般取り組みの全体構想を策定されたと聞いています。本構想には、安全・安心で魅力ある県土ふじのくにの実現という基本理念や基本目標のほか、目標達成のために県や市町が取り組む施策の方向性について整理してあります。
     今後、さきの内閣府の南海トラフ巨大地震に関する被害想定を踏まえ、構想に盛り込んだ施策をいかに早期に具体化し実現していくかがこれからの県の大きな役割であり、市町からも大きな期待がされていると考えます。地域づくりを進めるに当たっては、市町を初め民間企業や団体、そして地域住民といったさまざまな関係者と連携を強化することが必要であり、取り組みも多岐にわたることからいかに戦略的に展開していくかが重要だと認識しています。
     そこで県は、今後全体構想に盛り込んだ取り組みをどのように推進していこうと考えているのか、その方針について伺うとともに、その推進手段として今月末に国に対して申請を行う方針を明らかにしてきた総合特別区域法に基づく特区の提案内容について伺います。
     次に、ふじのくに食の都大路の展開についてであります。
     四月十四日に開通した新東名高速道路の七カ所のサービスエリア、パーキングエリアの商業施設は、開通後三カ月で来場者が約一千三百万人となっており、わずか三カ月で本県の人口の三倍を超える人々が訪れるというにぎわいを本県にもたらしております。県ではこの驚異的な集客効果を利用して、七月中旬から農業者が農芸品等を販売する食の都ふじのくにマルシェを新東名のSA、PAで新たに始め、非常に好評だと伺っております。丹精込めてつくった農産物や加工品を試食や試飲を行いながら直接消費者に紹介するこのような取り組みは、消費者のニーズにマッチした商品開発や生産振興につながるものと期待されます。
     また、新東名高速道路開通後インターチェンジ周辺の観光施設への来場者数も増加しており、これはSA、PAを訪れた人がインターチェンジで降り、周辺地域を周遊するという動きであると考えられます。新東名高速道路の開通効果が確実にあらわれてきており、その効果を一時的なものに終わらせないための展開が求められます。
     知事は、六月の本会議において新東名高速道路を初めとする五つの高規格幹線道路を食の都の都大路になぞらえ、SA、PAなどを拠点として、「産地や直売所の散策モデルを策定するとともに、ふじのくに食の都づくり仕事人や地域の食文化を紹介するなど地域の魅力を最大限情報発信していく」と答弁されております。
     今後は、インターチェンジやSA、PAを拠点として大路から周辺部へ展開していくことが求められると考えますが、食の都大路について具体的にどのように進めていこうと考えているのか伺います。
     次に、エネルギー政策についてのうち、新エネルギー等の導入促進についてであります。
     東日本大震災以降、原子力発電にかわるエネルギーとして新エネルギー導入の必要性が大いに高まっているところであります。県では日本一の日照環境など本県の地域特性を生かし、太陽光発電を初めとする新エネルギーの導入に積極的に取り組んでおります。昨年度新たに県単独の補助制度を創設した結果、住宅用太陽光発電設備の導入件数が大幅に増加するなど具体的な成果もあらわれていることから、県の取り組みに対しては一定の評価ができるものと考えております。
     ところで、現在県が目指す平成三十二年度における新エネルギー等の導入目標は、昨年三月に策定したふじのくに新エネルギー等導入倍増プランに掲げる導入率一〇%であります。県ではこの目標の早期達成を目指していますが、その進捗状況をエネルギーごとに見ますと、太陽光発電については八年前倒しでの達成が見込まれる一方で、天然ガスコージェネレーションや中小水力など目標を達成するためにはより一層推進を要するものも見られる状況にあります。
     昨年三月以降、エネルギーを取り巻く状況は大きく変化しつつありますが、県は新エネルギー等導入倍増プランの進捗状況についてどのように評価しているのか、また国においてもエネルギー政策の見直しが進められる中、今後どのように新エネルギー等の導入促進に取り組んでいくのか、県の御所見を伺います。
     次に、海洋エネルギーの導入についてであります。
     我が国は、領海と排他的経済水域を合わせた面積が世界第六位となる海洋大国であり、海岸線に打ち寄せる波の潜在的な発電能力は、原子力発電所の数十基分に相当するとの試算もあることから、海洋エネルギーも大きな可能性を秘めていると考えられます。政府は去る五月二十五日に総合海洋政策本部の会合を開催し、海洋エネルギーの早期実用化や活用のための環境整備が我が国のエネルギー政策上重要な課題であると位置づけ、来年度中に実証実験の海域となる実証フィールドを選定することなどを盛り込んだ今後の取り組み方針を決定したところであります。
     海洋エネルギーの開発はヨーロッパを中心に進められており、スコットランドのオークニー諸島にある欧州海洋エネルギーセンターには世界中の企業が集まって実証実験に取り組んでおります。またイギリスでは、洋上風力発電の研究開発を国家プロジェクトとして展開しております。先月知事はハワイ州との間でクリーンエネルギーの導入を推進するための覚書を締結したとのことでありますが、ハワイ州においても海洋エネルギーの導入が進んでいるのではないかと考えます。
     こうした中、去る九月十二日、県を初め西駿河湾地域の沿岸自治体である牧之原市、御前崎市、吉田町、さらには地元漁協や学識経験者も参加して、海洋エネルギーの可能性等を検討するための勉強会が開催されたとのことであります。約五百キロに及ぶ海岸線を有する本県においても、全国や世界におくれることなく恵まれた海洋資源を活用してエネルギーの地産地消を目指していく必要があると考えます。
     そこで、県は海洋エネルギーの導入についてどのように考えているのか伺います。
     次に、富士山静岡空港の利活用促進についてであります。
     開港四年目となる富士山静岡空港は、平成二十三年三月の東日本大震災による需要減少の影響を受けながらも、ことし三月の台北線新規就航、六月の上海線の武漢延伸を実現しました。最近の利用状況は八月の搭乗率は開港以来最高となる八〇・五%、利用者数は約四万七千五百人と増加し、震災前の水準を回復しつつあります。一般に空港が発展していくためには、定期便の利用促進による搭乗者の増加を基礎とする増便や機材の大型化、チャーター便の積み重ねによる新規路線の開設等が必要とされておりますが、さきに挙げた新規路線の開設に加え十月下旬からの福岡線、鹿児島線における増便や札幌線の機材大型化は、関係機関の取り組みが成果を上げたものだと思います。
     一方、ことしは我が国で誕生したLCC三社が八月までに運航を始め新たな需要を開拓するなど、航空機を利用する出張や旅行等をめぐる環境が大きく変化していく時期に当たっており、富士山静岡空港の将来的な戦略を考える際には、このような最新の事情を含めさまざまな要因を検討していく必要があると考えます。
     富士山静岡空港の今後の発展を考えたとき、これまでの取り組みをさらに重点化、効率化するとともに、ポテンシャルを顕在化させるためのより効果的な施策を実施することで、積極的に航空会社等に対して働きかけを行うべきと考えますが、この点についての県の考え方を伺います。
     次に、自殺対策についてであります。
     平成二十三年の人口動態調査によれば、全国の自殺者数は二万八千八百九十六人で前年比二・二%減、本県は自殺者数八百三十二人で前年比二・六%減と、減少率は全国を多少上回っているものの、平成二十二年、二十三年の本県の自殺死亡率は過去の自殺死亡率を上回る憂慮すべき状況となっております。
     本県では、自殺の主な原因と言われる鬱病の早期発見、早期治療のため、働き盛りの中高年を対象に、睡眠キャンペーンと紹介システムによる富士モデル事業を全県に展開するなど全国に先駆けた自殺対策に取り組んでおり、これは大変評価されていると聞いております。
     しかし、年間の自殺者数は毎年七百人台から八百人台と高どまりしており、目に見える成果に結びついておりません。内閣府の実施した自殺に関する成人の意識調査では、自殺を考えた経験がある者は年齢別では二十代が最も多く、全国的に若者の自殺者数もふえており、中高年層だけではなく若年層の自殺対策にも力を入れていくべきではないかと思います。
     また、国では、先月末に自殺総合対策大綱の見直しを行い、一人一人がかけがえのない個人として尊重され誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すこととしており、地域レベルの実践的な取り組みを中心とする自殺対策へ転換を図る必要があると指摘しております。
     そこで、県はこのような自殺の現状、国の大綱の見直し等を受けて、今後どのようにして自殺対策に取り組むのか伺います。
     次に、障害者就労施設等からの物品調達の推進についてであります。
     障害のある人の働く施設や事業所では、企業から受注する部品製造等の下請業務や草刈り、清掃等の作業のほか、パンや木工品、エコバッグ等の自主製品の製造販売から生じる収益を障害のある人に工賃として配分をしております。工賃は障害のある人が自立して生活をするための経済的基盤であり、作業所への発注を拡大することは障害のある人の自立を支えることにつながっております。
     しかし、依然として厳しい経済情勢のもとでは民間企業からの今以上の発注拡大は難しく、工賃水準を上げていくことは容易ではありません。実際昨年度まで都道府県で取り組まれた工賃倍増の実績は、本県に限らず軒並み厳しい結果であったと聞いております。このような状況の中、県や市町は率先して作業所へ業務を発注したり物品を購入し、障害のある人の作業所を支えていくべきものと考えます。
     先般、障害者就労施設等が供給する物品を優先的に調達するとともに、国や独立行政法人等の責務と定めた障害者優先調達推進法が国会で成立し、来年四月一日から施行されることになりました。
     そこで、県としてこの機会を生かし、今後どのように県や市町からの発注を拡大しそれを踏まえて工賃水準の向上につなげていくのか、その方針を伺います。
     次に、静岡茶の戦略についてであります。
     本県のお茶の歴史は、八百年前に聖一国師が中国から静岡にお茶を持ち込んだのが始めとされていますが、聖一国師が最先端の学問を学んだ浙江省の杭州市は、現在茶の都と呼ばれていると伺っております。杭州市は単に銘茶の産地であるだけでなく、文化を初めとして茶にかかわる多彩ですぐれた資源がそろい、名実ともに茶の都杭州市と呼ばれるにふさわしい品位を備えているとのことであります。
     一方、本県は生産、流通とも日本一の茶どころではありますが、茶の都という視点では静岡茶の源流とも言える杭州市から学ぶべき点が多いと思います。またお茶と並んで本県を象徴するものといえば富士山であり、既に大正時代に「山は富士 お茶は静岡 日本一」という標語が誕生していたように、富士山とお茶はまことに関係の深い一対のものであると言えます。しかしこれまでの茶業界の取り組みを顧みたとき、県民にとっては富士山が当たり前であるがゆえに富士山というすばらしい財産を十分生かし切れていないのではないかと思います。
     先般、国が初めて健康寿命を公表し、本県の女性が全国一位、男性が全国二位となり、週刊誌でも大きく取り上げられました。静岡県民の健康長寿の理由として、お茶をたくさん飲むこと、農水産物の生産品目数が二百十九品目と全国一位で地場食材が豊富であることなどが紹介され、静岡茶のPRにとっては明るい材料と言えます。お茶のマーケティングの専門家は、静岡のお茶でなくお茶がある静岡をアピールすることが重要だと指摘しています。
     本県茶業が価格低迷や風評被害等から脱却し再生するためには、お茶にかかわる生産、文化、学術研究、観光などのさまざまな資源の潜在力を最大限に生かし、需要拡大を図っていくことが重要だと思います。このような状況を踏まえ、県はどのように本県茶業の戦略を展開し茶の都づくりに取り組むのか、御所見を伺います。
     次に、いじめ対策についてであります。
     いじめを苦に命を絶つ事件が大きく取り沙汰されています。いじめの問題は今までも何度となく取り上げられ、そのたびに対策も講じられてきました。それでも繰り返される背景にはいじめ問題に対する対応の難しさがあると思われます。しかし若者のとうとい命が奪われてしまう事態が生じていることは、重大なこととして受けとめる必要があります。的確な実態の把握、教育委員会の積極的な支援体制や必要に応じた第三者機関の設置等対策の検討が求められていますが、いじめ問題の対応について教育長としての基本的な姿勢を伺います。
     いじめ問題については、発達段階の過程において小中学校での丁寧な対応が必要です。未然に防ぐ手だてを講じることはもちろん、一人一人の子供の変化に早く気づき速やかに対応していくことが求められることから、その有効な手だてとしてスクールカウンセラーの活用と養護教諭の配置拡大・充実について伺います。
     現在、静岡県における小中学校のスクールカウンセラーは中学校区を基本に配置されています。しかし子供の抱える悩みや課題は増加、多様化しており、現状の勤務時間では足りないといった声が聞かれます。子供の不安や悩みの解決に長期的、継続的なアドバイスをするためには、実情に合ったスクールカウンセラーの配置拡大が必要であると考えます。また県立高等学校におけるスクールカウンセラーについても、学校からの配置要請が多いにもかかわらず平成十八年度以降十校にしか配置されておりません。思春期の生徒が抱える諸問題に対応するスクールカウンセラーの配置校拡大が急務であると考えます。
     スクールカウンセラーが役割を果たす中で注目しなければならないのは養護教諭の存在です。養護教諭は子供たちが個別に本音で話しやすい存在であるため、身体的なケアにとどまらず心のケアまでも行なっています。養護教諭とスクールカウンセラーとの連携がいじめや不登校傾向などの兆候の早期発見、早期対応につながっていると聞いています。
     しかしながら、養護教諭の職務は多岐にわたり、子供たちの不安や悩みに十分対応するための時間が確保できない状況にあります。児童生徒の心の安定やいじめ問題等の諸問題に対し早期に的確な対応をするために、スクールカウンセラーの配置拡大や養護教諭が心のケアを十分にできる体制づくりが必要だと考えます。教育長の御所見を伺います。
     最後に、県警における津波対策を踏まえた警察施設の移転、建てかえについて伺います。
     県警は、ことし三月に内閣府の有識者会議が公表した津波予測に基づき、沿岸地域に建つ警察署の移転を含めた警察署再編整備計画の見直し方針を既に固めたと一部新聞が伝えていました。昨年三月に東北地方を襲った大地震により、岩手県や宮城県の沿岸地域にある複数の警察署が大津波にのみ込まれ警察機能が完全に麻痺した反省教訓に立てば、この見直しに向けた県警の迅速な対応は当然のことと理解しています。
     私は、これにあわせて警察署以外の施設についても、津波被害の危険度が高いものについては同様の対策を早期に講じる必要があると考えます。特にことし七月私が文教警察委員会の一員として視察した県警航空隊の基地は、海岸からわずか約三キロメートルで海抜七メートルの場所に位置することから、大地震がもし予知されることなく突然発生すれば、離陸までに二十分程度の時間を要すると聞いている県警ヘリは、基地を飛び立つ間もなく津波に飲み込まれてしまう可能性が非常に高い状況でありました。
     現在二機あるこの県警ヘリは、県内の治安維持活動のみならず山岳遭難者の救出活動等で活躍していることは周知のとおりです。大地震があすにも発生するかもしれない本県では、震災時多くの被災者の救出や行方不明者の捜索等に当たる災害救助のかなめとしての期待も大きく、みすみす津波被害でこの貴重な県警ヘリを失うことがないよう航空隊の基地を一日でも早く安全な場所に移転する必要があると考えます。
     そこで、これまでに内閣府から公表された津波被害予測等を踏まえ、県警はこの航空隊基地を含めた警察施設の移転、建てかえについて今後どのように取り組んでいくのか、本部長の御所見を伺い、ひとまず質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(大石哲司君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 小長井議員にお答えいたします。
     初めに、私の政治姿勢についてのうち、中部電力浜岡原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票条例についてであります。
     原子力発電所の稼働に関する住民投票条例につきましては、ことし大阪市と東京都で制定請求されましたが、いずれも否決されております。本県では五月十三日から二カ月間にわたり署名活動が行われ、請求に必要な法定署名数を大きく超える三倍近い有効署名が集まりました。大阪の場合には法定署名数の一・三倍、東京の場合には一・五倍でございます。
     私は、浜岡原子力発電所につきましては、従来から安全性が確保されない限り再稼働はあり得ず、まだその安全だという条件が整っていないと再三にわたり申し上げてまいりました。オフサイトセンターの立地が実効性を持たないこと、使用済み核燃料の処理方法が定まっておらず早晩行き詰まること、さらに先ほど議員の御指摘のような五号機における海水の圧力容器の中への流入があり、その原因についてもまだ明確な御説明になっていないとも思っております。こうした御説明を申し上げ、かつ署名活動がなされているときには特にそういう姿勢についても強調して申し上げてきたわけでございます。
     しかし、六月末から七月にかけて急速に署名数が多くなりまして、やはりこれらの説明にも増して県民投票を通じて再稼働の是非についてみずからの意思を表明し、その結果を県政に直接反映させたいという多くの県民の方々がいるということをこの署名数が示しているということでございます。
     県民投票につきましては、多額の費用のかかること、市町の協力が得られなければ実現が難しいこと、制定が請求された条例案には問題が多く修正が必要なことなど幾つかの課題のあることは十分に承知しております。しかし署名されました多くの県民の皆様のお気持ちをしっかり受けとめて、その意思を表明する機会を逸してしまうことは妥当ではないと考えています。そこで賛意を表明することにしたわけでございます。
     この条例案は修正点が数多くございます。これを条例案が提出されてすぐに精査いたしまして、法務技術上の観点から自治局のほうでその問題点を洗い出ししていただき、そして皆様方の判断に供するように指示をいたしまして数日のうちにそれが発表されました。そうした中で、修正は必要ない、実行可能だと。あまつさえ公開討論をしろというような筋違いの発言がございまして、最後まで実行可能だというふうに強弁、豪語されておられたのはまことに遺憾でございます。全員ではなくて代表がですね。そうした中で私は先生方に完璧に近い条例案になるように修正、改善していただいて、この条例案を通していただくようにお願いをしております。よろしくお願いします。
     次に、災害対策についてのうち、第四次地震被害想定の策定方針と総合防災訓練の検証についてであります。
     県の第四次地震被害想定につきましては、発生し得る最大クラスの地震・津波と過去に繰り返し発生して大被害をもたらしている地震・津波の二つのレベルの地震・津波について、国が南海トラフの巨大地震について行った被害想定との整合を図りながら、県独自のデータを追加し市町単位での被害を想定してまいります。
     被害想定結果の説明に際しましては、議員御指摘のとおり想定の前提条件が正確に伝わらない懸念があります。そのため市町と連携し丁寧にわかりやすく説明することはもとより、二つのレベルの地震・津波による被害想定を並べて示すなど県民の皆様の御理解が得られやすいように工夫をいたします。県のホームページにおきまして、県民の皆様が電子地図上でいつでも確認することのできるような対応もしてまいります。
     第四次地震被害想定は、国が想定に使用した地震や津波の断層モデルなどの基本的なデータをできる限り速やかに入手し、予定どおり来年六月ごろに県防災会議で公表してまいります。しかしそれに先んじまして、来年二月ごろには中間報告を行いたいと考えております。
     ことしの県の総合防災訓練におきましては、富士山静岡空港におきまして、基幹的広域防災拠点としての能力を検証するため、緊急物資の中継・分配基地、広域医療搬送拠点、応援部隊のベースキャンプ、原子力災害支援センターなどを空港の内陸側に設置いたしまして、自衛隊などとともに在日米陸軍と海兵隊が参加して実践的な訓練を実施いたしました。自衛隊は東日本の大震災の指揮をとられた君塚陸幕長御自身が来られて指揮をなさった。視察をされました。防衛副大臣も御視察いただきました。この訓練を通しまして、二十ヘクタールに及ぶ広大な面積や陸・海・空の主要交通を活用できる立地条件の優位性に加え、物資、医療、応援部隊の進出拠点などを一カ所に集約することによる運用面での有効性が改めて確認できたというふうに思っています。
     先週末には、国連大学と国際交通安全学会の共同主催によるシンポジウムに招かれまして、二日間にわたって行われた国際シンポでございますが、その中におきましても静岡空港の基幹的な広域防災拠点としての役割を図示しながらお示しを申し上げ、広く御理解をいただいた次第でございます。
     一方、事態への速やかな対応能力と総合的な防災拠点としての機能をさらに高めていく上で、各拠点や応援部隊間の横の連携の必要性を認識したところでもございます。今後連携を強化する仕組みを構築してまいろうと考えております。
     次に、富士山をめぐる諸課題についてのうち、富士山世界文化遺産登録の推進についてであります。
     本県では、ことし三月に策定した静岡県行動計画に基づきまして、構成資産の整備や景観の改善など全庁を挙げて富士山の保存管理に取り組むとともに、イコモスの現地調査には文化庁、山梨県、関係市町村等と連携をいたしまして万全の体制をもって対応いたしました。今回の調査により来年の六月の登録に向けて大きく前進したものと確信しております。現地調査は構成資産の保存管理状況について確認すること、これが主眼に実施されました。特に保存管理における地域住民の役割分担について調査員の御関心が非常に高うございました。行政と県民が一体となった取り組みの必要性を再確認した次第でございます。
     富士山周辺の神社などの構成資産は、古来より長きにわたって大切に守られてまいりました。去る八月十一日に実施された世界遺産登録に向けた富士山クリーン大作戦では環境大臣も御参加になり、四つの登山口で一斉に清掃活動が行われ、県内外から三千五百人を超える皆様に御参加をいただくなど富士山の保全に対する関心が高まっています。
     県といたしましては、今後も引き続き出前講座や富士山への思いを込めたメッセージの募集活動などを通じて世界文化遺産登録についての関心を高めてまいります。さらに三千六百を超える団体や事業所から成る富士山世界文化遺産両県県民会議の会員による清掃や植樹などの自主的な活動の輪を一層広げてまいる所存です。
     世界文化遺産に登録することは、行政だけでなく国民や県民一人一人が、富士山を人類共通の財産として誇りと責任を持って後世に継承することを世界に約束するものであります。平成二十五年の登録実現に向けて官民一体となった取り組みを進めてまいります。
     次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進についてのうち、ふじのくに食の都大路の展開についてであります。
     本県には、新東名高速道路を初めとする県土を東西南北に結ぶ五つの高規格幹線道路がございます。これをふじのくに五街道と名づけ、新東名を北大路、現東名を南大路、伊豆縦貫道を東大路、中部横断道を中大路、三遠南信道を西大路と位置づけまして、それぞれの周辺地域の特色を生かした食の都大路づくりを進めてまいります。
     まず、北大路の新東名におきましては、開通効果を一時的なものに終わらせないよう――終わるとは思いませんが――秋以降においてもとりたての農芸品や加工食品等を提供・販売するふじのくにマルシェや軽トラ市をSA、PAで開催いたします。さらに周辺の産地を散策できるマップを作成し、ウオーキングイベントを開催してまいります。一千八百万人を超えた模様です。直接金子社長から聞きました。一千三百万人が三カ月、もう一千八百万人を超えております。新東名や現東名のSA、PAのレストランや販売店と地域の生産者や加工食品の製造業者との商談会を開催して本県が誇る食材や土産品の取り扱いをふやし、SA、PAを食の都の情報発信基地としてまいります。
     さらに、こうした新東名――北大路のにぎわいを他の四つの大路に広げていくため、食の都大路のロゴマークを作成してPRするとともに、大路ごとにふじのくに食の都づくり仕事人や地域の食材に関する情報を掲載したマップを作成してまいります。そして県内はもとより首都圏、中京圏などへ配布して、五つの大路の魅力を伝えてまいります。こうした取り組みを積み重ねながら、新東名のSA、PAのにぎわいを食の都大路を通じて点から線へ、さらに大路ごとに仕事人や農芸品などの食の情報を発信することによって線から面へと広げ、食の都づくりを一層進めてまいります。
     これからは、食の都大路を東に向かって下る、食の都大路を西に向かって下るという言い方も恐らく少しずつではありますけれども出てくると存じます。今までは東京に向かって上ると言ってきたわけですが、東に下る、名古屋に下るというようにあたかも富士山が東西に向かって広野を広げておりますように、両方に下っていくというそのような強い自覚を、都としての自覚を持てるように東海道新時代をこの食の都大路を通して開いてまいりたいと考えております。
     次に、エネルギー政策についてのうち、新エネルギー等の導入促進についてであります。
     昨年三月に策定したふじのくに新エネルギー等導入倍増プランでは、平成三十二年度までに新エネルギー等の導入率を一〇%以上に倍増することを目標としております。県では、この目標をできる限り前倒しして達成するよう導入を加速するための取り組みを進めています。
     進捗状況は、暫定値ではございますけれども平成二十三年度末で六・四%となり、目標達成に向けて着実な推進が図られています。特に重点施策として推進する太陽光発電は、導入目標が十年後に三十万キロワットということでございましたが、これを八年前倒しして今年度中に達成できる見込みでございます。大きな成果が見られているところでございます。
     一方で、議員御指摘の小水力発電や天然ガスコージェネレーションにつきましては、現状では導入量が目標の五〇%にとどまっております。小水力発電につきましては導入に関する技術や手続などのガイドラインが年内には策定できますので、今後官民一体となった導入促進が図られていくものと期待しています。また天然ガスコージェネレーションにつきましては、去る八月三日、富士・富士宮地域の関係者の皆様とともに、分散型エネルギーシステム活用推進協議会を設立いたしました。地域内でエネルギーを有効活用する仕組みづくりを進め導入を促進してまいります。
     一方、国ではこれまでのエネルギー政策をゼロベースで見直し、大規模水力発電等を含めた再生可能エネルギーの比率を高める新しいエネルギー基本計画を策定する予定であると承知しております。県におきましても東日本大震災後の電力需給の逼迫や節電等の動向を踏まえ、再生可能エネルギーの中長期的な導入目標や需要を踏まえた自給率見通しを定めてまいります。災害に強く安全・安心で持続可能な分散自立型のエネルギー体系への転換によるエネルギーの地産地消をより一層推進してまいります。
     次に、富士山静岡空港の利活用促進についてであります。
     富士山静岡空港は、平成二十二年度の外国人出入国者数が全国の空港で八位、地方管理空港では国内トップとなりました。県議会の皆様を初めとする関係の方々の御協力によって、台北線、武漢線が開設されるなど航空ネットワークも充実してまいりました。総合計画に掲げる年間利用者数七十万人という目標を達成するには、積極的な利用促進策を講じ搭乗率を向上させることで、航空会社に増便や機材の大型化、新規就航など路線の充実を促し、利便性の向上がさらに利用者を増加させるという好循環を実現することが重要です。一方、中国、アジアが世界経済を牽引する中で、経済のグローバル化や航空会社の乗り入れ等に関する規制を撤廃するオープンスカイの進展、LCCの新規就航などの環境の変化を背景とした新しい航空需要に的確に対応して、利用者や航空会社に選ばれる空港となるよう努める必要がございます。
     国内線におきましては、引き続きビジネス利用や教育旅行など底がたい需要をもとに、年間を通して安定的な利用者数を確保し、機材の大型化や増便など路線の充実を図ってまいります。国際線におきましては海外からのインバウンドを増加させることで増便を図るとともに、チャーター便の実績の積み上げなどによる新規路線の実現を目指してまいります。さらに県民の皆様が利用しやすいダイヤや提供座席数の増加など、富士山静岡空港の潜在的な需要を顕在化させる航空会社の取り組みについて支援の方策を検討してまいります。
     今月七日には、私自身がアシアナ航空と大韓航空の本社を訪問し、両社の経営陣との間で路線の充実の必要性について認識が一致したところでございます。観光公社の社長はこのときに合わせて会見いたしまして、大変交流が深まりまして近日中に静岡県を御訪問になるというニュースが入りました。
     今後とも、こうしたトップセールスや重点的な施策の推進により、富士山静岡空港を静岡県のポテンシャルにふさわしい空港に飛躍させるように取り組んでまいります。
     来年からは、空港の一元管理ということで県の責任が大きくなります。現在のところはインバウンド、アウトバウンド等の利用促進策にいわばソフトの面で取り組んでいるわけでございますけれども、今回一番スポットにボーディングブリッジを設置いたしました。これが大変に喜ばれています。一番スポット、二番スポットに二つボーディングブリッジができたわけです。これまでは一つしかなかったので、雨天あるいは天候の悪いときには大変御不便を外国人の方におかけしていたわけでございます。こうしたハード面での施設の充実というのは、説明する必要がありませんのですぐわかります。
     ですから、今国際線が非常に人気がございますので、国際線が国内線と分けて乗降できるようなそういうことも考える時期に来ているかと存じます。現在の空港ビルは国内線、国際線二つのチェックする場所が近接しておりまして、非常に非合理的な人の動きを誘発しております。場合によっては危険というふうに言ってもいいと存じます。ですから国内線用のターミナルビルも視野に入るということでございます。さらにゼロ番スポットのところは芝生になっていて全く使えません。ですからこの方面も考えねばなりません。
     それから、いずれ先ほどの基幹的広域防災拠点とのかかわりで関係者各位の認識の一致したところでは、新幹線というのが東日本大震災の場合でも数秒前に地震計の揺れを感知してすっととまったということで、当時十台近くが走っていたそうですが全て自動的にとまったそうでございます。そうしたことから新幹線というものの活用を空港とのかかわりで考えるということも、防災の観点からも視野に入れるべきときが来ているということでございます。
     次に、静岡茶の戦略についてでございます。
     本年六月に浙江省で開催しました静岡県・浙江省二〇一二緑茶博覧会に出席しました折に、世界文化遺産で有名な杭州市周辺の西湖、径山寺、茶葉研究所、龍井村などを訪問しました。その中で、式典におきまして副省長が杭州は茶の都と言われており、これを確認しましたところ、それは古くからの言葉だということだったわけです。先ほど申しました西湖のみならず径山寺や茶葉研究所、龍井村などこの一帯が世界文化遺産になっているのだと。それは、茶の都としての杭州市を文化遺産として認めてもらう運動として進めたものだということまで聞いたわけでございます。
     茶の都とは、産業、文化などの茶に関するすぐれた資源が豊富にあるとともに、それらが融合した魅力的な場であるということでございます。まさに本県がその規定どおりの土地柄であるということでございます。約八百年前に聖一国師がお茶を本県にお持ち帰りになって以来、茶の栽培に適した気象条件、先人から引き継がれたたくみのわざなどによりまして日本一の茶産地、茶消費地を築き上げた静岡は、まさに「山は富士 お茶は静岡 日本一」は言うまでもありませんが、茶の都であると改めて認識を新たにしたわけでございます。
     本県には、例えば富士市の岩本山から見える富士山と茶園のすばらしい景観があります。静岡市には静岡茶の祖と言われる聖一国師の像や記念碑、袋井市の油山寺には茶祖栄西禅師の像がございます。まことに茶の都にふさわしいさまざまな資源が存在しております。西は浜松から東は御殿場に至るまで、お茶のない静岡県はございません。
     最近、掛川市周辺の茶園では、ススキやササなどを毎年刈り取って茶園に敷く伝統的農法が生物の多様性が確保されていることから注目されまして、国連大学の副学長ほか関係者が視察に来られました。世界農業遺産としての申請も検討されているところでございます。そこで先週末、私は国連大学の副学長であるこの視察をされたリーダーであった武内先生並びに農水省の農業世界遺産担当者と直接お目にかかりまして、世界農業遺産になり得る条件を強く訴えてまいりました。
     さらに、空の玄関の富士山静岡空港がございます牧之原地域には日本一の茶園が広がっています。そして茶の文化施設、県茶業研究センター、国、民間の研究機関、製茶機械メーカーが集積しております。御前崎から川根へと南北に縦断する道は、まさに茶の都大路――ティーロードと呼ぶにふさわしく、茶の都しずおかの一つの核となる地域であると考えられます。今後これら静岡の茶に関する豊富な資源をきめ細かく調査し、有識者の御意見を踏まえ、茶の都をキーワードとした静岡茶のブランドイメージを構築してまいりたい。龍井茶なら杭州市に行きなさいと。緑茶、煎茶なら静岡にいらっしゃいと。どちらも茶の都、楕円の二つの焦点のようなものでございます。お互いにそうして差別化をしながら引き立て合いたいと考えております。来年は第五回世界お茶まつりが開催される年でございます。関係団体と一丸となって、国内外に誇れるよう茶の都づくりに全力を挙げて取り組んでまいります。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(大石哲司君) 伊熊くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
    ○くらし・環境部長(伊熊元則君) 知事の政治姿勢についてのうち、本県への影響が懸念されるオスプレイの配備についてお答えいたします。
     米国政府は、老朽化が著しいヘリコプターCH―46の後継機種としてオスプレイを沖縄に配備することとしておりますが、オスプレイは性能が格段に向上した一方で開発段階から事故が多発し、さらに配備後は日本国内の広範囲で低空飛行訓練が行われるということが判明したため、全国各地から配備反対の声が上がっております。
     こうした中、全国知事会や米軍基地が所在する十四都道県で構成する渉外知事会、さらには県内の基地所在八市町による県基地連絡協議会では、国に対してオスプレイの安全性や事故原因、飛行訓練による住民への影響等についての詳細な説明及び関係自治体の意向を尊重した対応を強く要請したところでございます。
     国は、日米合同委員会において最低安全高度以上での飛行や人口密集地域等の上空での飛行回避などを盛り込んだ安全確保策が合意されたことを受け、国内におけるオスプレイの飛行運用を認めました。県といたしましては、日米間の合意事項を踏まえ、実際にキャンプ富士で飛行訓練を行う場合の具体的な運用ルールやこれに伴い生じる地元負担などについて、国の責任において地元自治体や住民に丁寧に説明し理解を得るよう、関係自治体等と連携し引き続き要請してまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 小川危機管理監。
           (危機管理監 小川英雄君登壇)
    ○危機管理監(小川英雄君) 災害対策についてのうち、富士山火山防災対策についてお答えいたします。
     これまでの富士山の火山防災対策は、国が主体となりました平成十六年度噴火危険区域を示したハザードマップを作成しました。また平成十九年度には、火山活動の状況に応じた防災対策を示した噴火警戒レベルの導入を進めてまいりました。
     富士山が噴火した場合には、被害や影響が広域に及び居住地以外の市町村や他県への広域避難を考慮する必要がありますことから、静岡・山梨・神奈川の三県と関係機関から成る富士山火山防災対策協議会を六月八日に設立し、富士山噴火に備えた広域的な防災対策に取り組むことといたしました。
     具体的には、今年度には、いつ、誰が、どこから、どこへ、どのようにを明確にした実践的な広域避難計画を作成いたしますとともに、山梨県で総合図上訓練が実施をされますのでその成果をこの計画に反映し、あわせて富士山の噴火に対処できるよう防災担当職員のスキルの維持、向上を図る研修テキストを作成してまいります。
     また、来年度には山梨県と調整をしながら地域防災計画の見直しを行うとともに、現地対策本部の体制あるいは設置場所などを検討するほか、三県の市町村職員を対象とした専門研修を実施してまいります。また三年目となる平成二十六年度には、この二年間の取り組みの集大成としまして三県合同の火山防災訓練を実施する予定であります。
     次に、浜岡原子力発電所の安全対策についてであります。
     廃止措置中の二号機につきましては、中部電力がことしの三月に使用済み燃料プールを含みます安全上重要な施設につきまして、建設当時の基準地震動四百五十ガルを大幅に上回る新耐震基準に基づく基準地震動八百ガルでの評価を行い、耐震安全性を確認し国に報告いたしました。その後八月に国は二号機の使用済み燃料プールに多数の燃料が貯蔵されていることから、三、四、五号機で既に自主的に実施をしております目標地震動と同じ千ガルとした耐震安全性向上に取り組むよう求めたところであり、これを受けまして中部電力は十月までに千ガルでの耐震性の評価を実施し、その結果により必要な対策を行うこととしております。
     沖合取水の安全性につきましては、浜岡原子力発電所の海水取水トンネルは岩盤を掘削し建設したものであり、沖合に建設した取水塔は一万トン近い構造物を岩盤に根入れした頑強な構造物であります。しかし安全性を確保する上で海水冷却は大変重要な要素でありますことから、中部電力においては、内閣府が八月に公表しました南海トラフの巨大地震による津波高あるいは地震動などに対する安全性への再評価の実施について、現在検討しているところであります。
     昨年五月の停止操作中に海水が流入した五号機につきましては、現在中部電力が原子炉内や燃料の点検を行いますとともに、国においても有識者による意見聴取会が設けられ、中部電力が実施する点検方法や点検結果について評価を行っているところであります。
     平成二十年十二月に、リプレース計画の一つとして中部電力が発表した使用済み燃料の乾式貯蔵施設につきましては、設計のための基準地震動の設定あるいは福島第一原子力発電所事故を踏まえた津波対策などの課題がありまして進捗が見られない状況であると承知をしておりますけれども、使用済み燃料の貯蔵は重要な課題と考えておりますので、中部電力に乾式貯蔵施設の計画を進めるように求めてまいります。
     県といたしましては、浜岡原子力発電所の安全性がさらに向上するよう国に対しましては厳正な審査、評価を求めてまいりますとともに、中部電力に対しては徹底した情報公開と安全対策を求めてまいります。あわせて静岡県防災・原子力学術会議を中心に二重、三重のチェックを行い、科学的な観点から安全性を検証してまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 災害対策についてのうち、中小企業のBCP策定支援についてお答えいたします。
     東日本大震災や本年三月末の内閣府の津波最大高等の発表によりまして、本県中小企業においてBCPの策定や見直しの機運が高まってきております。県産業振興財団が実施しております企業へのアドバイスを行う専門家派遣の回数は、昨年度の年間三十五回から本年度は現時点で百回を上回る状況になっております。このため県では、九月補正予算におきまして産業振興財団が行う専門家派遣事業を百回分拡充するとともに、新たに津波や液状化などの広域災害に対応したBCP策定実践講座を県内四カ所で開催する経費をお諮りしているところでございます。
     また、本年六月にはBCP策定の促進を目的とした静岡県BCP普及研究会を改めて組織しなおしまして、産学官が連携して静岡県BCP研究会を立ち上げました。企業防災に関する情報交換や学術研究を行う交流の場を設けることで、より実効性の高いBCPの策定を目指すこととしております。
     県といたしましては、この研究会を初めBCP策定支援に積極的に取り組んでいる商工団体等と連携をしながら、県内中小企業におけるBCP策定の支援を一層強化してまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 下山文化・観光部長。
           (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
    ○文化・観光部長(下山晃司君) 富士山をめぐる諸課題についてのうち、登山者の安全確保対策についてお答えいたします。
     県では、これまで案内標識の統一化や富士登山ナビゲーターの配置、登山の初心者や外国人向けの啓発ビデオの作成などに加え、遭難事故の状況などを旅行会社に説明する富士山ガイダンスを開催するなど富士山を訪れる方が安全で快適に登山できるよう対策を講じてまいりました。しかしながら遭難事故はことしの夏も多発し、昨年と比べ件数では三十四件と三件減少したものの、遭難者数は四十一人と三人増加しており、登山者の安全確保についてさらに踏み込んだ対策が早急に必要であると認識しております。
     このため、本年七月に関係各課で構成する富士登山安全対策会議を立ち上げ富士登山の安全確保に係るさらなる対策について協議するとともに、条例制定も含む登山届のルール化の手法についても検討しております。また八月には登山情報の入手先などを把握するため、県内の各登山道の五合目においてアンケート調査も実施したところであります。
     今後は、対策会議やアンケート調査の結果も踏まえ登山者への情報提供の一層の強化を図るとともに、装備が不十分な登山者に対する指導の徹底や登山届提出のルール化についても、富士山周辺市町や山梨県等の関係者と連携しながら実効性がある仕組みを構築してまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 伊藤静岡県理事。
           (静岡県理事 伊藤秀治君登壇)
    ○静岡県理事(伊藤秀治君) 内陸のフロンティアを拓く取り組みの推進についてのうち、構想の早期実現についてお答えいたします。
     内陸のフロンティアを拓く取り組みで目指す安全・安心で魅力あるふじのくにの実現のためには、行政だけでなく地域で活動する県民、企業の皆様など多様な主体の参加、協働が不可欠であります。このため構想の策定に当たりましては、市町の皆様から地域が抱える課題や期待、御意見を伺い反映に努めるとともに、地域での取り組み機運の高まりを受けまして防災対策や物流施設の立地基準の緩和、新東名の集客力を生かした食の都づくりなど、構想の策定を待つことなく取り組みを進めております。
     構想に盛り込んだ施策につきましては、防災・減災対策を最優先に食の都大路の展開や新東名の開通効果を生かした物流機能の強化などによる新しい産業の創出・集積、新しいライフスタイルの実現の場の創出に向けて、数値目標も設けながら着実かつ戦略的に推進してまいります。
     また、国の規制の特例措置等を活用して構想に掲げた取り組みの促進を図るため、今月末には内閣府に総合特区の指定申請を行ってまいります。申請では、有事を念頭に地域づくりを進めることが平時における自立した活力ある地域づくりにつながることに着目いたしまして、物資の供給拠点の創出や食料の域内自給力を充実させる農林水産業の活性化などを図ってまいります。あわせて分散自立型エネルギーの構築など防災拠点の機能を強化し、新しい産業の創出につなげてまいります。
     現在、二十五事業、三十三項目にわたる規制緩和や財政支援などの特例措置を国に求めていく予定であります。その中で土地利用規制につきましては、国との一括事前協議制度の創設による迅速な調整を求め事業の速やかな実現を図ってまいります。今後とも国の制度等を活用しつつ、市町、住民、企業の皆様と一体となって構想に掲げる取り組みを着実に推進し、安全・安心で魅力ある地域づくりが早期に実現するよう努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 出野知事戦略監。
           (知事戦略監 出野 勉君登壇)
    ○知事戦略監(出野 勉君) エネルギー政策についてのうち、海洋エネルギーの導入についてお答えいたします。
     海洋資源に恵まれた本県は、波力発電や洋上風力を初めとする海洋エネルギー開発の先進地域となり得る高い可能性を有しております。一方その利活用につきましては技術開発や環境整備が不可欠であり、まずは積極的な情報収集や漁業関係者との合意形成等に取り組む必要があります。このため先月二十六日に長崎で開催された海洋再生可能エネルギーフォーラムに参加し、国の取り組み方針や研究機関によるポテンシャル調査の状況、全国の自治体の取り組みなどについて積極的に情報収集したところであります。先月クリーンエネルギーの導入を推進するための覚書を締結したハワイ州も最先端の海洋温度差発電や波力発電などの技術実証プロジェクトを推進しております。そこで近々同州を担当者が訪問し、先進的な研究開発等の動向や課題について確認してまいりたいと考えております。
     また、今月十二日には牧之原市、御前崎市、吉田町や地元の漁業協同組合、学識経験者とともに勉強会を設置、開催いたしました。会議では、政府の海洋再生可能エネルギー利用促進助言会議のメンバーでもある東京大学の木下教授や県内で波力発電の研究を進めている東海大学の田中教授から国内外の動向や研究開発の状況について御報告いただき、地元の関係者とともに現状認識を深めたところであります。
     今後、関係漁業協同組合や他の海域利用者の御理解を得ながら、国が公募を予定している実証実験のための海域を提供するいわゆる実証フィールドに選定されることを目指し、海洋エネルギーの活用に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 自殺対策についてお答えをいたします。
     本県では、これまで働き盛りの中高年男性を中心とした自殺対策を推進してまいりましたが、依然として自殺者数は高どまりにあり、また最近では若年層の自殺者数も増加の傾向にあるなど深刻な状況にあると受けとめております。こうしたことから県では、中高年男性だけではなく全世代を対象とした自殺対策を推進することとし、本年度から身近で悩んでいる人に気づき必要な支援につなげるゲートキーパーの養成に重点的に取り組んでおります。
     このゲートキーパーは、身近な相談相手として、お客様と触れ合うことの多い理容業などのサービス業の方や一般県民の方を初めさまざまな相談機関の専門家などを対象として、平成二十八年度までに三万人の養成を目指しています。また保健所単位で開催される情報交換会等を通じまして相談機関のネットワーク化を図り、悩んでいる人を的確な相談機関につなげていくシステムを早期につくり上げていきたいと考えております。
     これらに加えまして、法律、労働、医療、教育などさまざまな分野の関係者で構成する自殺対策連絡協議会におきまして、今後の自殺対策の基本的な方向と具体的な取り組みについて幅広い御議論と御提言をいただき、本年度中に仮称ではありますが、静岡県自殺対策行動計画を策定することとしております。
     この計画の策定に当たりましては、ゲートキーパーの養成に加え自殺の実態の調査、分析や若年層対策としての雇用の確保、教育委員会と連携したいじめ問題への対応についても盛り込むことなど総合的な計画としてまいりたいと考えております。今後とも関係機関と一丸となりまして、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してまいります。
     次に、障害者就労施設等からの物品調達の推進についてであります。
     平成二十三年度における県及び市町からの発注実績額は約一億五千二百万円、施設で働く障害者の工賃支払い総額の一三・二%を占めています。昨今の厳しい経済情勢の中、県や市町からの発注は障害者就労施設にとって重要かつ安定的な収入源となっており、今後一層拡大していくことが重要になっています。
     しかしながら、就労施設においては受注に対応できる物品の種類の少なさや納期の不確定さがあること、また県市町へのPRの不足とともに、依然として意識が低いことなど課題も少なくありません。このため県では、複数事業所の作業分担による生産量増加の体制づくりなどを支援するとともに、障害者働く幸せ創出センターを受発注の仲介窓口として庁内各部局や出先機関、市町への積極的な働きかけを行うなど発注の拡大に取り組んでいるところであります。
     このような中、来年度から施行される障害者優先調達推進法では、県や市町においても施設からの物品等の調達の推進を図るための方針を策定し、計画的に発注を進め調達実績を公表すること等が定められました。県といたしましては、これを契機に新たに庁内連絡会を設置し全庁協力して発注を拡大するとともに、市町や障害者就労施設に対し同法の周知に努め双方に役立つ物品や業務内容に関する情報をきめ細かく提供することを通じまして受発注の拡大を促すことにより、障害のある方が地域で自立生活を営むことができるよう工賃水準の向上につなげてまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) いじめ対策についてお答えいたします。
     いじめは、どこにでも誰にでも起こり得るものではありますが、絶対に許さないという信念のもとオール静岡として全力で取り組んでいくことが重要であると考えております。このため八月に全市町教育長研修会においていじめ対策について御協議をいただき、さらに九月には県、市町教育委員長・教育長による代表者会を開催し、子供みずからがいじめについて考える機会の設定やいじめ対応マニュアルの作成・活用等の対策を早急に行うこととしました。
     また、スクールカウンセラー及び養護教諭の役割は、議員御指摘のとおりますます重要となっております。スクールカウンセラーにつきましては、文部科学省において今月五日に、いじめ、学校安全等に関する総合的な取組方針を策定しスクールカウンセラーの配置拡大等について検討しておりますので、県教育委員会といたしましてもその動向を注視しながら配置や活用等について検討してまいります。
     養護教諭につきましては、現在実施しております複数配置校の養護教諭が近隣校をサポートするための兼務事業を拡大するなど、他校との協力関係を強化することや業務の精選を行う中で多忙化解消を図ることにより、スクールカウンセラーとより効果的に連携し子供の心をケアできる学校体制づくりに努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 津波対策を踏まえた警察施設の移転、建てかえについての御質問に対しお答えいたします。
     警察施設は、地域の治安維持活動の拠点であるとともに、災害時には地域住民の避難・救助活動を行う防災拠点として非常に重要な役割を担うものであります。県警察では、東日本大震災の発生以降従前の県の第三次地震被害想定や過日公表された内閣が示した南海トラフ地震の推定津波高を踏まえ、海岸からの距離や警察施設の建築年度、耐震補強工事の状況等多角的なデータをもとに移転、建てかえが必要と考えられる警察施設の選定を行ってまいりました。その結果、現段階においては伊豆半島南部地域の松崎警察署、下田警察署や県西部方面の湖西警察署、細江警察署など複数の警察施設が津波による浸水被害の危険が高く、移転、建てかえの優先順位が高いものと判断しております。
     特に松崎警察署は、海岸の直近に位置していることに加え県下で唯一署員が五十人以下と体制も脆弱であり、下田警察署にあっても津波浸水被害が予想されていることから、両署の相互補完機能を高め伊豆半島南部地域の災害治安対策を確実なものとすべく統廃合が必要であると判断し、平成二十五年四月松崎警察署を下田警察署に統合する準備作業を進めております。現在は下田警察署は警察官百四人、松崎警察署は三十六人であります。合計百四十でありますが、これで伊豆半島南部地域の治安維持に当たっておりますが、統合後も現在と同程度の体制を維持することを検討しております。
     また、警察航空隊にあっても、被災状況の早期把握や被災者の救出・救助活動などヘリコプターによる初期の活動が極めて重要であり、警察活動に必要不可欠な機能を有しております。一方で航空隊は現施設が海岸から比較的近距離に位置していることなどから、災害発生時にその機能が損なわれることなく迅速に活動できるよう、既に県当局等と大規模災害時等における静岡空港の施設使用及び燃料提供に関する覚書を締結し相互の協力体制を構築したところであり、さらに県の第四次地震被害想定等を踏まえつつ航空隊の移転についても検討していく所存でございます。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 三十五番 小長井由雄君。
           (三十五番 小長井由雄君登壇)
    ○三十五番(小長井由雄君) 何点か再質問させていただきます。
     まず、オスプレイの配備についてでございますが、お答えをいただきましたが米国ハワイ州におきましては環境への影響を懸念する住民の声を受けて訓練を断念したというようなこともございます。静岡県としてもしっかり対応していく必要があるのではないかと思いますが、その点についてもう一度お伺いをさせていただきたいと思います。
     二点目でございます。浜岡原子力発電所の安全対策につきまして何点か県の見解をお伺いいたしました。それらにつきましては今後静岡県の原子力防災会議等の議論の議題になるのかなというふうに考えるわけでございますが、その辺のところもお考えをお聞かせいただきたいと思います。
     それから三点目でございます。自殺対策についてでございます。
     ゲートキーパーを平成二十八年までに三万人ということでございました。そして計画をつくる中で実際の調査分析も行うということでございますが、ゲートキーパー三万人というと静岡県下かなりの数になると思います。その人たちからもらえる情報によって自殺の傾向というようなものがわかるのではないかなと。自殺については地域性とかそういった傾向もあるというようなお話を聞いておりますので、ゲートキーパーにも実態の調査とか分析とかそういった面の役割も期待ができるのではないかと思いますが、その辺についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
     それから、いじめの問題でございます。
     スクールカウンセラーとか養護教諭、大変重要になっているというような認識を教育長からお伺いをいたしました。スクールカウンセラーにつきましては中学校で週一回、小学校では月一回ぐらいしか来ないというような状況になっていると思います。そしてまた一昨年に比べて、昨年は勤務時間も減っているというようなことも聞いております。必要なときに必要な相談ができるということでスクールカウンセラー、養護教諭の必要性というのは非常に高いと思うんですけれども、これから増員をしなければいけないと。単独でも県で独自にやる必要があると考えますが、もう一度その辺のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
     それからお茶につきましては、知事から非常に力強いお話をいただいております。大変、昨年からの風評被害によって茶業界は大変な苦労をしておりますが……
    ○副議長(大石哲司君) 小長井議員、時間です。
    ○三十五番(小長井由雄君) ぜひ新しい視点で茶の都づくりに専心していただきたいと、そんなふうに思います。
    ○副議長(大石哲司君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) オスプレイについての再質問にお答えいたします。
     オスプレイは、県議御指摘のように八月にハワイのカネオヘ基地にMV―22が二十数機配備されるという中で、モロカイ島のカラウパパ空港それからハワイ島のウポル空港、ここでの訓練が住民の反対によってやめるというようにお決めになったわけです。ですから普天間基地についてはまさに人口密集地ですから、そこで訓練をするということになればこれはハワイでやっていることと首尾一貫しません。ですから御指摘のとおりだと思います。もし訓練をするのであれば沖縄には普天間基地ほか三十四ほどの基地関連施設がございます。二千ヘクタール以上のキャンプ・シュワブとかあるいは五千ヘクタールもあるキャンプ・ハンセンとかございます。そうしたところを使って海上で訓練をするという方法もあるはずで、どうして日本政府は普天間にこだわるのかということはまことに普天間の住民の方々、それから安全に対する懸念に対して首尾一貫しないというふうに思っておりまして、私はそうした代案を持って、オスプレイについては政府は臨むべきではないかという考えを持っております。
     浜岡原子力発電所の安全対策についての再質問についてお答えいたします。
     これは現在、既に昨年の三月以前から防災・原子力学術会議を立ち上げておりますが、そこに原子力分科会がございます。さらに津波対策分科会がございます。そして一番最近では原子力経済性等検証専門部会というのを立ち上げました。こうした委員会は全て浜岡原子力発電所を対象にして研究会をしていただいております。ですから例えば経済性についての委員会も、これは中部電力の財務諸表等を出していただいてそして中部電力の方々に御説明をいただくという形で、オープンな形で浜岡原子力発電所についての安全委員会を立ち上げているということでございますので、それのこれまでの検討結果、また今後の検討課題など御注目を賜って、広く多くの方々に今の浜岡原発の状況がどうなっているのか、専門家の意見はこれはわかりやすい言葉で議論していただいておりますし、必ずしも専門家同士が意見が一致するわけではありません。そうしたものをよく見聞きしていただいて、浜岡原子力発電所の現状についての知見を深めていただきたいと願っている次第でございます。以上でございます。
    ○副議長(大石哲司君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 自殺対策について、ゲートキーパーが地域の自殺の動向の分析等に使えるのではないかという御提案でございます。
     ゲートキーパーは、今のところ二つの種類といいますか二段階考えておりまして、ごく一般的な県民の方と相談機関の専門家の方の両方を今スタートしています。ある意味ではこのゲートキーパーというのが非常に一般の方にとっては重くなってしまう状況もあるかと思いますので、当面はなるべく現在の県の自殺の状況を知っていただくということと、ゲートキーパーの役割について幅広く県民の方に知っていただいて相談機関へつなげていただくというのを一般の県民の方にはお願いをしたいと思います。ただ先生のおっしゃったとおり二十八年度までに三万人養成を目指しておりますので、そういう方が県下にいらっしゃるとなるといろんな情報はそこからいただけることはできるかと思いますので、将来的には地域地域の要因を現在よりもより細かく調査分析はできるものと考えております。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) スクールカウンセラーについて、大変ありがたいお言葉をいただきまして本当にありがとうございます。
     現在、スクールカウンセラーは全校に配置しておりますけども、先ほど議員からも御指摘ありましたように非常に配置の時間数が少ないという中で、国が三分の一を補助し県が三分の二という中でやっております。先ほど御紹介しました取り組み方針の中で、全国的には小学校が約千五百人、中学校が二千百人の増員ということで文部科学省のほうは予定をしておりますので、これが認められればかなりの人数が本県にも配置できるのかなというふうに思っております。ただこれもあくまでも現在の概算要求でございますので、十分な配置がなされなかった場合には県単独でということも私たち十分考えたいと思いますけれども、そのときにはぜひ熱い御支援をまたよろしくお願いしたいと思います。以上であります。
    ○副議長(大石哲司君) これで小長井由雄君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     九月二十五日午後一時会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。

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