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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成14年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渥美 泰一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/01/2002

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○副議長 (西原茂樹君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、 十九番 渥美泰一さん。
            (十九番 渥美泰一君登壇 拍手)
    ○十九番 (渥美泰一君)  午後の大変気持ちのいい時間帯でございます。 昨日は小泉改造内閣が発足しました。 景気回復を初め課題山積ですが、 しっかりと閣僚の方々には腰を据えてこの難局打開に取り組んでいただくことを願いつつ、 当面する県政の諸課題について、 知事並びに関係部長及び教育長に質問いたします。
     初めに、 地方分権の推進についてのうち、 知事の基本姿勢について伺います。
     今、 我が国は大きな変革を求められておりますが、 残念ながら中央の力では国を変えるのは難しく、 私は地方から日本を変えていく以外にないと思っております。 そのためには地方分権の一層の推進が必要と考えます。 しかし、 地方分権一括法が施行されてはや二年半が過ぎましたが、 地方分権が進んだという実感は得られません。 それは、 国が地域づくりに関する権限や財源を地方に移譲する具体的な作業を怠っているからだと思います。 しかも、 国は本当に分権をやる気があるのかという疑心暗鬼が、 肝心な地方行政や地域住民の考え方の変革にブレーキとなってしまっている感さえあります。 それは逆に地方の甘えでもあると言えるかもしれません。
      「地方分権は三ゲン」 などと言って、 権限、 財源に加えて人間、 つまり人材が地方には備わっていないと言うが冗談じゃない、 地方にだって人材はおります。 地方では地域住民と向き合って、 地域の実情を踏まえた施策を立派に展開しております。 私は、 血の通った柔軟性のあるそうした本来求められる仕事ぶりは、 明らかに地方の方がすぐれていると思っています。 権限も財源もやるから思うようにやってみろということになれば、 大いに地方は頑張れるんです。 必ず地域は活性化すると思いますがいかがでしょう。
     去る七月、 岩手、 宮城、 三重、 和歌山、 福岡の各県知事と榊原慶応大学教授や奥田日本経団連会長など、 学者、 経済界の有識者による地方分権研究会なる組織が発足しました。 教育、 環境・公共事業、 福祉医療、 産業、 税財政制度の五分野について現行制度の問題点を把握し、 来年春を目途に改革案を提案するとともに、 それぞれの地域で可能なものから実践していく旨発表されました。 私はこのような動きがさらに拡大し、 国を突き動かす力になることを大いに期待しております。
     石川知事におかれましては、 地方分権改革の先駆者として自他ともに認めるところであると思いますが、 こうした動きをどう受けとめておられるかまずお伺いします。
     また、 地方分権を推進する上で、 知事が提案している徴税一元化構想や政令県構想など、 我が国の統治機構のあり方についても、 この静岡県から議論を巻き起こしていったらいかがでしょう。 分権推進に向けた国への働きかけをどのように行っていくのか、 知事の御所見を伺います。
     次に、 市町村合併に対する県の対応についてであります。
     地方分権を推進する上で、 その受け皿となる市町村の行財政基盤を強化するために、 市町村合併は避けて通れない課題であります。 国では合併特例法の改正や合併支援プランの策定などの支援策を充実させており、 この結果、 全国のそして本県でも約八割の市町村が合併の検討を行っております。 県は、 市町村合併はそれぞれの地域の住民及び市町村が自主的、 主体的に考えるべきであり、 県としては側面から支援はしていくが口は出さないとの立場をとってきました。 確かに基本的にはそのとおりですが、 しかし果たしてそれだけでよいのか。 合併は住民サービスや産業活動など県や県民生活に大きな影響を及ぼすことであります。 にもかかわらず、 ややもすると市町村の首長や議会など特定の人たちの偏った考え方などによって左右されることも考えられます。
     県は、 これまで市町村の地域的一体性の状況や規模のあり方などについての調査研究を行ってきました。 県としては、 こうした合併に関するさまざまな客観情勢を積極的に県民に提供するなどして、 合併に対する関係住民の的確な判断に資する必要があると思いますが、 知事の御所見をお伺いします。
     次に、 浜名湖花博についてのうち花卉園芸産業の振興策についてであります。
      「花・緑・水〜新たな暮らしの創造〜」 をテーマに開催される静岡国際園芸博覧会浜名湖花博まで、 ここ県庁本館前の電光掲示板にも記されているとおりあと五百五十五日となりました。 本日から前売り券の発売も始まりました。 先日、 我が党の花の王国静岡推進議連で会場建設地を視察しました。 展望塔の建設を初め樹木の植栽など着々と準備が進んでいるのを目にし、 この浜名湖花博が自然と共生した心豊かな暮らしを提案する場となるとともに、 本県花卉園芸とその関連産業の振興につながってほしいと強く感じたところであります。
     平成十二年度の花の粗生産額を見ますと、 静岡県は愛知、 千葉に次いで全国第三位と全国でも有数の花の生産県でありますが、 近年の景気の低迷などにより生産は伸び悩んでおり、 この花博を契機に新たな振興を図る必要があると考えます。
     ことし五月、 オランダで開催されておりますフロリアード二〇〇二を視察しました。 十年に一度開催されるこの博覧会は、 民間企業であるオランダ園芸家協会と開催地であるハールレマミーア市から成る財団が主催しており、 まさに園芸家や園芸生産者などの関係者のための国際見本市という感じでありました。 その関係者による説明からも、 園芸産業の振興という目標が明確に伝わってきたのが大変印象的でありました。
     昨年吉田町で開催されましたしずおか緑・花・祭では、 県内の鉢物生産者などにより設立された静岡県花と緑生産者協議会が会場を飾る花材の供給に活躍し、 その花の品質のすばらしさが来場者から高く評価されたところでもあります。 そして、 再来年の浜名湖花博に向けましても、 この生産者協議会を中心に県内の生産者が花博会場で使用される花材の大部分を供給することとなっていると聞いていますが、 現在の取り組み状況はどうなのか。 また、 私の地元浜北市は植木園芸の生産が全国的にも有名でありますが、 積極的参加が期待される県内の植木生産者のかかわりはどうなっているのか。 そして県は、 この浜名湖花博を今後の花卉園芸産業の振興にどのように生かしつなげていくのか伺います。
     次に、 浜名湖花博へのボランティアの参加と育成についてであります。  
     しずおか緑・花・祭は、 目標を大きく上回る約六十万人の来場者を得て大きな成功をおさめました。 この緑・花・祭におきましては、 さまざまな場面でボランティアを初め住民との協働がスムーズに機能し、 花と緑に関心を持つ多くの関係者が一体となって取り組み、 そのことが大きな成果を生み出したものと考えます。 さらに、 緑・花・祭終了後も、 NPO法人しずかちゃんによる吉田公園の管理運営への参画などにつながっているとも聞いております。
     こうした成果を踏まえますと、 浜名湖花博におきましても多くの県民が参加する多様な協働を実現させることが、 博覧会を成功に導く重要な要素であると思います。 また、 浜名湖花博と同様の規模で開催された淡路花博におきましては、 運営面での参画を中心に延べ二万五千人余のボランティアが活躍したとも聞いております。
     こうしたことから、 県では既に準備段階からボランティアリーダーの育成や樹木の育ての親制度など、 さまざまな県民参加の試みを実施していることは承知しておりますが、 今後は会場運営などさまざまな場面においてボランティアへの積極的な参加を呼びかけ、 活動の機会を幅広く提供していくことも大変重要であると思います。 そしてまた、 こうした体験が終了後においては、 花博跡地を利用するガーデンパークを初め、 地域の公園管理や街路の花壇の手入れなどにも地域住民の協働が実現し、 花と緑にあふれた潤いのあるまちづくりの推進につながっていくことを期待するものであります。 協働による県民総参加の花博を目指し、 ボランティアの参加や育成にどのように取り組んでいく考えか伺います。
     次に、 地震対策について、 人命の安全という観点から二点質問します。
     初めに、 既存住宅の耐震化の促進についてであります。
     早いもので、 あの阪神・淡路大震災から七年余りが経過しましたが、 約五万棟の住宅が壊れ、 六千四百人余の方々が亡くなられたことは、 いまだ強い記憶として残っているところではないでしょうか。 その亡くなられた方々のうち約八割が倒れた建物の下敷きになったこと、 また、 五十四件の同時多発火災も倒壊した建物に起因したことなどを見るにつけても、 いかに建物被害を最小限にするかが重要であるかを痛感いたします。
     昨年五月発表された本県の第三次地震被害想定では、 家屋の三棟に一棟が大被害を受け、 大破が予想される家屋は実に十九万二千棟、 約三万人もの人が建物等の下敷きや生き埋めになると試算されています。 このように阪神・淡路大震災と同様な大被害が予想されることは、 二十六年間これまで実施してきた地震対策が、 人命の安全を確保するという一番重要な観点から見ると、 効果的に行われてきたのか疑問を持つものであります。
     既存住宅の耐震化は、 死傷者を減らすことはもとより、 地震の発災後における避難路の確保、 救出活動、 死傷者の搬送、 避難生活支援、 医療救護体制など、 多くの災害対策の軽減にもつながる極めて重要なものであります。 そのため県が新しい地震対策アクションプログラム二〇〇一において、 建物被害を最小限にとどめる 「減災」 を目標として、 耐震補強や建てかえの支援制度を中心にプロジェクト 「TOUKAI−0」 を進めていることは評価するところでありますが、 前に述べたように予想される死傷者等の人的災害が深刻化をしていることを踏まえますと、 既存住宅の耐震化は待ったなしで一層促進すべきと考えます。
     そのためには、 現行の支援制度をもっと利用しやすい制度に、 例えば補強に対して現行の三十万円が適当なのかどうか、 あるいは建てかえに対する助成が住宅金融公庫の融資を条件としていることや、 助成金額も現行程度のことでいいかなど、 さらに改善と拡充を図る必要があると思います。
     同時に、 昨日我が党の代表質問でも住宅の耐震診断の実績が上がっていないという指摘がありましたが、 何と言っても県民に対する啓発、 今行われているテレビコマーシャルはなかなかよくできているとは思いますが、 いかに住宅の耐震化が重要かを訴え、 全県民が一体となって取り組む県民運動にしていくことが必要と考えます。 地震から人命を守り被害を最小限にすべく、 既存住宅の耐震化への県の取り組みを伺います。
     次に、 医療搬送に関する広域支援体制についてであります。
     第三次地震被害想定においては、 予想される東海地震の死傷者は最大十一万人に上り、 重傷者については最大一万八千人余りと阪神・淡路の二倍以上となっています。 県内の医療施設についてもライフラインの途絶等による医療機能の低下が予想され、 大量の重傷者の治療をどうするのかが大きな課題であると考えます。
     一方、 国においては東海地震の想定震源域の見直しが行われ、 地震防災対策強化地域は大幅に拡大いたしました。 現在の県の医療救護計画においては、 重傷者の医療救護は県内対応を基本として、 県内だけでは対応困難と判断された場合には、 国や協定都県に対し医師の派遣や重傷者の受け入れを要請することとなっております。 しかし、 今回の強化地域の拡大により、 東海地震発生の際には、 現在協定を結んでいる周辺の県でも甚大な被害が予想され本県への応援は期待できず、 さらに県内の医療機関の医療機能の低下が予想されることから、 大量の重傷者を強化地域外の医療機関に搬送し治療する広域的な体制の構築が必要と考えます。
     県は本年一月に、 日本救急医療財団と航空機による医療搬送業務等の協力に関する協定を結び、 災害時には四、 五十機の民間ヘリが集結することになっているということですが、 とても十分とは言えません。
     知事は本議会の冒頭の提案説明で県の地震防災体制の見直しを行う旨述べられましたが、 東京都、 神奈川県、 千葉県、 埼玉県の南関東地域では、 南関東地域直下の地震対策に対する大綱に基づき、 国の主導のもとに広域医療救護搬送活動アクションプランが定められていると聞き及んでおります。 我が県も、 切迫する東海地震に備え、 このような医療搬送に関する広域支援体制の構築を早急に図るべきと考えますが、 県の取り組みを伺います。
     次に、 光技術関連産業集積促進特区についてであります。
     六月二十五日の閣議において政府が打ち出した、 特定地域に新たな産業が集積し地域の活性化にもつながる構造改革特区構想。 昨日の我が党の代表質問にもありましたけれども、 この構想は、 進展の遅い分野の規制改革を地域の自発性を尊重する形で進めるもので、 政府は、 具体的な制度設計の検討を行うため、 先ほど地方公共団体等から構造改革特区の提案を募集したところであります。 この結果、 九月五日現在で全国二百四十九の地方公共団体、 民間企業等から四百二十六件もの提案があり、 この構想に対する期待の高さがうかがわれるところであります。
     本県からも県提案として四つの提案がなされており、 いずれも地域の特性を生かした構想であり、 すべての構想が指定を受けられるように期待するものであります。 先日の新聞報道では、 今回のこの県の提案に対し国から否定的な回答があり、 県は即座に国に対し再検討を求めたとありますが、 今後とも県のそうした積極的な取り組みを望むものであります。
     この四つの提案のうち西部地域の光技術関連産業集積促進特区については、 これまでも産・学・官連携による共同研究開発を進めるための地域結集型共同研究事業や知的クラスター創成事業が国から指定されるなど、 光技術産業の集積の形成に向けて事業が着実に進められており、 今回の構造改革特区により一層の産業の集積の促進が図られることを期待するものであります。 しかし、 この構造改革特区は、 あくまでも規制改革を通じた新たな産業の集積を目指すものであり、 どの程度の効果があるかいまだ不透明であります。
     そもそも地域において産業の集積を図っていくためには、 シリコンバレーの事例を見るまでもなく、 大学からの技術移転などを通じて特許や研究開発成果が民間に移転され、 そうしたシーズのもとに創業や企業立地が進められていくこと、 いわゆるすそ野を広げるということが必要であります。 また、 これまで産業の集積を形成してきた既存の企業が、 この長引く景気の低迷や国際競争の激化により倒産や廃業の危機に瀕しておりますが、 こうした企業が新分野進出により厳しい競争に勝ち残っていくこともこれまた必要であります。
     そこで、 西部地域において光技術関連産業などの産業の集積を促進するために、 どのようにして創業やベンチャー企業の育成を図っていこうとしているのか、 また、 中小企業の新分野への進出を支援していこうとしているのかお伺いいたします。
     次に、 教育行政についてのうち、 完全学校週五日制への対応についてお伺いします。
     本年度から、 ゆとりの中で学校、 家庭、 地域が連携しながら子供たちに生きる力をはぐくむ完全学校週五日制がスタートしました。 県議会においては、 その趣旨を生かすため、 また、 その円滑な実施に向けた条件整備の必要性等について議論が重ねられてきたところであります。
     学校が休みとなる土曜日の子供たちの過ごし方については、 保護者の声として、 目的もなくだらだらと過ごすのではとの心配が指摘されていましたが、 実際にどうなったのか。 教育委員会が本年七月に県下の小中学生を対象に土曜日午前中の過ごし方を調査したところ、 一人で過ごしたがつまらなかった、 いわゆるだらだらと過ごしたは小学生で五%、 中学生で六%と、 事前の保護者の不安については懸念されたほどではないと判断することができますが、 一方で最も多かったのは、 小学生で家庭で過ごしたが四七%とまずまず納得できますが、 中学生では部活動への参加が実に五四%となっております。 これでは、 学校での学習の時間が部活動に変わっただけとも言えます。 大会の前などは土曜日の午後も日曜日も部活をやっていることもあります。 私は決して部活動を否定するものではありませんが、 この学校五日制には、 中学生の部活動参加と休養日や家庭地域での活動時間とのバランスについての配慮、 子供の活動機会の充実に向けた総合型地域スポーツクラブや、 希薄と言われている教職員の社会参加などの具体的な推進も大いに期待するところであります。
     改めて申し上げるまでもありませんが、 学校週五日制の趣旨は、 家庭や地域社会での生活時間の比重を高めることにより子供たちの主体性をはぐくみ、 また、 家庭や地域が子供の育成へのかかわりを深めることにあります。 こういった趣旨が生かされるように、 学校教育のみならず社会全体のシステムを見直す好機にすべきと考えますが、 教育長のお考えをお伺いいたします。
     次に、 新学習指導要領における新学力観について伺います。
     小中学校では、 本年度から学習内容の三割削減となる新学習指導要領による学習が始まっておりますが、 本当に学力は低下しないかとか、 ゆとり教育は緩みにつながるのではないか、 総合的な学習の時間は本当に必要かなど、 新聞等のメディア報道がなされ読むに事欠きません。
     文部科学省はこうした国民やメディアの学力低下論に押され、 学力向上のための各種の施策、 手だてを打ってきているように思われます。 その一つとして、 ことし一月には遠山敦子文部科学大臣が、 確かな学力の向上のための二〇〇二アピール、 いわゆる 「学びのすすめ」 を発表し、 その中で発展的な学習、 補充的な学習や宿題の必要性を改めて強調する事態となりました。 そして八月には、 発展的な学習や補充的な学習のための教師用指導資料を公表したところであります。
     また、 新学習指導要領は最低基準であり、 できる子にはそれ以上教えていいと強調し、 発展的な学習の勧めともとれる言動をとり始めました。 私はこのようなことで学校現場としてはどう対応するのだろうとの思いで、 先日、 近くの中学校を訪ねた折校長先生に伺ってみました。 やはりどの学校もこのことについては少なからず戸惑いを感じているようです。
     このように文部科学省が学力について揺らいでいるのでは、 これからの日本の教育そのものが危うくなるのではないかと思うのであります。 こうしたことからも教育も地方分権の考えを取り入れ、 もっと本県独自の教育を進めるべきではないでしょうか。
     そこで、 県として新学習指導要領における新学力観をどう評価しているのか。 そして、 ゆとり教育をよしとするならば、 それをどのように推進させていくのか教育長にお伺いいたしまして、 私の一般質問を終わります。 ありがとうございました。 (拍手)
    ○副議長 (西原茂樹君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  渥美議員にお答えをいたします。  
     地方分権についてのうち、 私の基本姿勢についてであります。
     地方分権をより確かなものにするためには権限の移譲も大事でございますが、 それ以上に財源の移譲が非常に私はポイントを握っているというふうに考えて、 これまでもそのような見解をいろいろな場で述べ、 また、 国にもその立場から財源移譲についての実現を要請してまいりました。
     先ごろ、 和歌山、 福岡、 三重その他合計五県の知事を中心として、 地方分権推進の観点から改革案を提案し可能なものから実践するということを表明されましたが、 私も共感はいたしますものの、 もうそんなこと言っている間にどんどんやったらどうかと、 やることいっぱいあるじゃないかと、 本県でもいっぱいやってきているよと、 そういう思いでございます。 私は 「論より実践」 ということをモットーにしてまいっておりますが、 これまでにも静岡県が単独である意味では実験的に取り組み、 それが国の方で認知をするところになって全国ベースの政策として取り上げたものがたくさんございます。
     つい最近もこの五県知事の中の和歌山の知事が道路の構造令があるのはおかしいと、 それで地方の道路の整備を縛っていると。 例えば中山間地へ行けば、 何も全部二車線道路ですべてを整備しなくても、 交通円滑化のためにところどころ二車線になっていれば、 すれ違い箇所が確保されればいいじゃないかと、 そういう道路も認めるようにこれから働きかけると言っていましたけれども、 静岡県は実はもう昨年から特に中山間地を中心として、 交通円滑化事業ということでそういう事業に取り組んでおるわけであります。 その結果、 実は来年度の国土交通省の予算要求の中に、 今まではそのような事業は地方の単独事業で行われておったわけでありますけれども、 国も大変効果のある事業だということで、 補助事業として取り上げるという新しい要求が出ているわけであります。
     そういうように言っていくことも大事でありますけれども、 やれることはどんどん実行しその効果を実証して、 それで政府に援助を頼むなり制度の改正を要請すると、 そういうことも必要ではないかと思うのであります。 そのほかいろいろ例を挙げれば、 極端に言うときりがないぐらい実はいろいろ本県で先行的に取り組んで、 それが国策として全国に取り上げられたというものはたくさんございます。 いろいろ議論をし制度設計することも大事でありますけれども、 その論、 あるいはその議論の正当性なり実効性、 これを証明する実践も非常に重要だと思うのであります。 説得力のあるものであれば国もその門戸を開く部分もございます。 他方、 幾ら言ってもなかなか聞いてもらえないものもありますので、 論も実践も両方必要だというのが最近の私の印象でございます。
     来年四月に合併をいたします静岡、 清水につきましても、 合併の曉には、 政令指定都市の申請をすれば政令指定都市として認めようということが総務省の方から正式に示されております。 これもこの静岡、 清水の合併の動向を踏まえて、 私を初め関係者が総務省の方に規制緩和を働きかけたために実現を見たわけでありまして、 これが実は全国各地に大きな波紋を呼び、 今日では新潟とか岡山とか熊本とかさらにそれを上回る数の地域で、 政令指定都市を目指す合併の動きを誘発しているということで、 本県のこのような活動、 あるいはその成果が非常に高く評価をされている、 そういうこともございます。
     また、 本県独自の施策として、 第二次に当たりまして県の権限を市町村に移譲することに取り組んでまいりました。 その際に、 ただ権限を市町村にお渡しするだけではなくて、 最低限それに伴って必要とする経費も県は手当てをしなきゃいけないということでお渡しをしてまいっております。 こういうことも、 みずからの範囲内でできることもどんどんやってみるというようなことも進めているところでございます。
     今後ともそのような我々の実際の活動を踏まえて、 現在、 第二十七次の地方制度調査会などにおいて、 都道府県及び市町村のあり方や税財政のあり方などについて審議が行われているところでございます。 今後ともそういう場を中心にいたしまして、 地方分権推進に向けた実行可能なといいますか、 単に実行可能だと言うと大した効果はあるまいと思われるといけませんけれども、 本当に効果があって、 なおかつ具体的に取り組みやすいような具体的な政策提言ですね、 こういうものを中心に積極的に活動してまいりたいと考えております。
     次に、 光技術関連産業集積促進特区の問題でございます。
     渥美議員に御紹介いただきましたように本県四つの特区構想を国に提案しておりますし、 それについてほとんど目下のところはゼロ回答というような残念な反応しか出てきておりませんけれども、 今後あきらめずに、 我々のお願いしております四特区について、 実現に向けてさらに具体的な中身の説明もしながら働きかけていきたいと思っております。
     その中で、 浜北市もその重要な一環になります光技術関連産業集積促進特区の問題でございますが、 これは現在、 文部科学省の二つの大型の研究助成もいただきながら、 小規模ながら大出力のレーザー研究と、 それから光と電子――オプトエレクトロニクスと言うようでありますけれども――光と電子技術を合体したような分野についての研究が、 それと音ですか、 その分野についての研究が進展をしております。 その大型研究開発助成が認められました背景には、 この浜松地域にこれからの新しい産業として期待される光関連の技術がたくさん集積をしているということが背景にあって認められたわけでございます。
     今後、 この大型研究開発を成功に導くように、 関係者にも大いに奮闘していただくと同時に、 県においてもさまざまな新しい事業を立ち上げる際の支援事業、 これを積極的に適用して光産業が花開くようにいたしたい。 言うなれば、 フォトンバレーがそこに形成されるように努力をしていきたいと思っております。
     もう既に一部の企業の中には、 浜松ホトニクスのような世界に冠たるような非常に高い先進的な技術を持って活躍しているところもありますと同時に、 それほど先進性がないかもしれませんけれども、 既存の技術、 例えば発光ダイオードなどをうまく利用して、 その用途の拡大、 応用技術の開発、 こういう面で大変企業的に見ても業績を上げている会社も出てまいっております。 今後そういう意味で非常に楽しみなところでございますので、 今後ともできる限りの支援をしていきたいと考えております。
     なお、 その他の御質問につきましては、 関係部長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長 (西原茂樹君)  望月総務部長。
            (総務部長 望月圭二君登壇)
    ○総務部長 (望月圭二君)  地方分権の推進についてのうち、 市町村合併に対する県の対応についてお答えをいたします。
     市町村合併の検討に当たり住民への適切な情報提供は非常に重要でありますことから、 県ではこれまでも合併に関する情報を新聞広告や県民だより等により提供するとともに、 市町村に対してもそれぞれの地域における合併に関する情報を積極的に住民に提供するよう働きかけてまいりました。
     特に、 広域行政推進研究会で行った県内市町村の地域的一体性に関する調査研究及び市町村の規模のあり方に関する調査研究の結果につきましては、 調査の成果をもとに平成十二年十一月に市町村合併推進要綱を策定するとともに、 その概要をパンフレットとして取りまとめ、 講演会やシンポジウム、 研修会や住民説明会などあらゆる機会を通じて、 市町村や住民に対して情報提供を行ってまいりました。
     合併特例法の期限である平成十七年三月まであと二年半となり、 県内各地で合併への取り組みが今後一層活発化することと思われますので、 県といたしましては、 それぞれの地域での検討が迅速かつ適切に行われるよう的確な情報提供を行ってまいりたいと考えております。  
    ○副議長 (西原茂樹君)  栗原農業水産部長。
            (農業水産部長 栗原 績君登壇)
    ○農業水産部長 (栗原 績君)  浜名湖花博についてのうち、 花卉園芸産業の振興策についてお答えいたします。
     浜名湖花博の会場を飾る花五百万株については、 静岡県花と緑生産者協議会がしずおか緑・花・祭のノウハウを生かし、 早い時期から養生が必要な宿根草などの生産に取り組んでいるところであり、 良質な花が供給できるよう県も協議会と連携して、 適切な栽培管理などの巡回指導に努めております。 また、 県内の植木生産者は、 花博の会場内にコンテナ栽培の生け垣を新しい樹木を使って生産するほか、 地元の特産であるイヌマキ、 クロマツの名木の展示やツゲの木を刈り込んだトピアリーの製作に取りかかっております。
     県といたしましては、 この花博を活用して生産者と一緒に本県産の花卉、 植木のすばらしさのPRや新たな利用法を提案し消費拡大を図るとともに、 会場内に展示される各種最先端技術の生産現場への普及促進や花博で培われた生産力を生かして有望な新品目の産地化を進めるなど、 全国をリードする花卉園芸県としての確固たる地位を確立してまいりたいと考えております。
    ○副議長 (西原茂樹君)  福山企画部長。
            (企画部長 福山嗣朗君登壇)
    ○企画部長 (福山嗣朗君)  浜名湖花博についてのうち、 ボランティアの参加と育成についてお答えいたします。
     浜名湖花博は県民総参加の博覧会を目指していることから、 高齢者や障害のある人のサポート、 観客誘導、 花がら摘み、 場内清掃などさまざまな分野で多くの県民の皆様にボランティアとして活動していただきたいと考えております。 このためボランティアの参加については、 昨年のしずおか緑・花・祭での経験などを踏まえ、 今後、 地元市町村や関係団体とも連携し、 例えば県民だより、 市町村の広報、 インターネットなどを活用して幅広く県民の皆様に呼びかけてまいりたいと考えております。
     また、 ボランティアの育成については、 花博についての必要な知識の習得はもとより、 花博後も花と緑のまちづくりにつながるようにすることが大切であります。 こうしたことから、 業務内容に応じた専門的知識を習得する講義方式の研修を実施することだけでなく、 ボランティアグループによる現場でのワークショップの開催や庭づくり体験活動の実践などを支援してまいりたいと考えております。
    ○副議長 (西原茂樹君)  佐藤都市住宅部長。
            (都市住宅部長 佐藤侃二君登壇)
    ○都市住宅部長 (佐藤侃二君)  地震対策についてのうち、 既存住宅の耐震化の促進についてお答えいたします。
     既存木造住宅の耐震化につきましては、 広く県民に対しテレビ・ラジオ番組、 県民だより、 市町村の広報などいろいろなチャンネルを通じてPRをしております。 各地域には県・市町村の職員による住民と直接意見交換ができる出前講座を通じ、 各家庭には耐震診断補強相談士の訪問診断により、 耐震化の必要について強く訴えております。 また、 安心して補強工事等を頼める民間の設計者や施工者を住宅直し隊として養成しており、 官民上げて耐震化に取り組んでおります。 今後は市町村、 県、 民間団体、 住宅直し隊とが一体となった組織をつくるなど協働の輪を広げ、 既存住宅の耐震化を県民に積極的に働きかけるよう努めてまいります。
     なお、 耐震補強補助制度や建てかえ支援制度の改善につきましては、 制度の活用状況や県民意識の把握に努めながら検討してまいりたいと考えております。
    ○副議長 (西原茂樹君)  健康福祉部長。
            (健康福祉部長 木本陽三君登壇)
    ○健康福祉部長 (木本陽三君)  地震対策についてのうち、 医療搬送に関する広域支援体制についてお答えいたします。
     東海地震の第三次地震被害想定を踏まえ、 本年六月の静岡県防災会議において医療救護活動の基本方針として、 重傷患者の被災地外への広域搬送を静岡県地域防災計画地震対策編に位置づけたところであります。 重傷患者の受け入れ先につきましては、 広域災害・救急医療情報システムにより全国的な患者受け入れ体制が整っておりますことから、 これを活用し重傷患者の広域搬送を想定した情報伝達訓練や医療関係者を対象としたトリアージの実地訓練を行うなど、 切迫感を持って東海地震に備えているところであります。 この広域搬送には、 既に確保している民間のヘリコプターや消防防災ヘリのほか自衛隊機による長距離搬送が不可欠でありますことから、 現在、 防災局と連携し関係省庁と協議を行っているところであります。
     今後ともより実践的な訓練を重ね、 医療救護体制の確立に努めてまいります。
    ○副議長 (西原茂樹君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  教育行政についてのうち、 初めに完全学校週五日制への対応についてお答えをいたします。
     完全学校週五日制においては、 一人一人の子供が主体的に活動していく力を身につけるとともに、 家庭や地域社会が触れ合いの場や学習の場として活性化していくことが重要であります。 県教育委員会といたしましては、 地域社会の学習環境の整備が重要であると考え、 例えば小中学生を対象に体験的に学ぶことができるふじのくにゆうゆうクラブを開設するとともに、 子供を地域全体で育てる小学校区を単位とした新たな地域コミュニティづくりへの支援なども強化をしております。
     また各市町村においても、 公民館や児童館での講座開設や図書館での読み聞かせ活動の実施などを行っており、 そのような取り組みの成果からも、 従前から懸念されてきたいわゆる受け皿の不足といった問題はそれほど生じていないと認識をしております。 今後とも子供の土曜日の過ごし方について実態把握に努めるとともに、 市町村や各種団体等とも連携を図りながら家庭や地域社会における体験活動や学習活動の充実に努力してまいる所存であります。
     次に、 ゆとり教育の推進についてであります。
     新学習指導要領における教育内容の厳選や授業時間数の削減により学力低下への心配が指摘されておりますが、 ゆとりの中で繰り返し学習することにより、 まず基礎基本を確実に身につけるとともに、 総合的な学習の時間などを通して主体的に課題を見つけ解決する力や、 みずから学び、 考え、 正しい判断ができる力としての確かな学力を育成することが重要であると考えております。
     このため、 県教育委員会といたしましては、 教員研修の充実などにより教職員の指導力の向上に努めるとともに、 少人数指導や複数の教師による指導など個に応じた指導方法の改善充実に取り組んでいるところであります。 さらに今後は、 県内外の有識者から幅広く意見をお伺いするとともに、 県民的な議論を深めながら、 静岡県としての確かな学力の内容や確かな学力を育成するための方策等について検討し実施に移すなど、 地方分権の時代にふさわしい本県独自の新たな取り組みについても具体化を図ってまいりたいと考えております。
    ○副議長 (西原茂樹君)  これで渥美泰一さんの質問は終わりました。

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