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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成17年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

池谷 晴一 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/22/2005

会派名:

KEN−MIN


質疑・質問事項:


○副議長 (中澤通訓君)  ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 九番 池谷晴一君。
        (九番 池谷晴一君登壇 拍手)
○九番 (池谷晴一君)  まず、 先月三日の県警ヘリコプター墜落事故で殉職されました五人の警察職員の皆様の本県警察行政に対する御功績に対しまして、 心から敬意を表しますとともに御冥福をお祈りいたします。 このような事故が二度と起こらないよう、 原因究明と徹底した再発防止策の構築を強く求めるものであります。 また、 四月二十五日に発生しましたJR福知山線の脱線事故により犠牲となられました皆様に対し哀悼の意を表しますとともに、 負傷された皆様が一日も早く完治されますことを御祈念申し上げます。
 それでは会派KEN―MINを代表し当面する県政の諸課題につきまして、 知事及び関係部長並びに教育長に質問いたします。
 まず、 知事の政治姿勢についてでありますが、 初めに、 四期目に挑戦する知事の基本姿勢について伺います。
 私ども会派はこの二年間、 県議会議員として県民の意見が県行政に反映されるよう、 本会議での質問や知事要望などを行い、 それを通して知事の行政手法、 行政運営を見てまいりました。 職員の不祥事などの問題もありましたが、 厳しい財政状況の中、 財政の健全化や職員定数の削減など行財政改革に計画的に取り組むとともに、 産業の活性化や競争力を高める施策の推進に努め、 製造品出荷額が全国第三位、 一人当たりの県民所得も全国第三位に浮上したほか、 地域社会の持続的発展にとって不可欠な雇用面においても一定の実績を認め、 知事の行政手法と行政運営に対して評価するものであります。
 しかしながら、 これからの行政運営において残された課題も山積しております。 政令市の誕生、 市町村合併による基礎的自治体の広域化に伴う諸課題、 そして知事の提案されている政令県構想を視野に入れた県の行政組織機構の大胆な改革も不可避であります。 また建設途上にある静岡空港や太田川ダムなどプロジェクトの課題、 さらに将来の生活に不安を抱く多くの県民の声を耳にしますが、 若者対策をどう進めるのかという点も現在の重要な地域課題であります。
 このように県政運営は引き続き大変厳しい状況にあり、 そのかじ取りには、 トップリーダーとしてプロの行政手腕、 行政能力が求められます。 石川知事には諸課題の解決に向け、 英断をもって 「画竜点睛を欠く」 ことのない施策の実現を期待いたします。 これまでの三期十二年を振り返るとともに、 四期目に向けて静岡県づくりにどのように取り組まれるのか、 知事の基本姿勢について伺います。
 次に、 外交摩擦と国際交流について伺います。
小泉首相の靖国参拝あるいは竹島、 教科書問題等々により、 中国や韓国など諸外国との外交摩擦が続いています。 特に中国におきましては四月に大規模な反日デモが起こり、 進出している静岡県内企業の経済活動への影響が危惧され、 また人命や財産にまで危害が及ぶことが懸念されたところであります。 さらに、 全国的に見ますと高校生の海外修学旅行の取りやめなどが報道され、 文化、 スポーツ等の交流にも影響が心配されております。 一方、 県内におきましては目立った動きはありませんが、 国内におきましても中国総領事館や大使館などに対しての嫌がらせ行為が起こっており、 両国の国民感情が悪化しているとの指摘もあります。
 政府間における外交正常化も容易に改善される見通しがなく、 外交摩擦が続いていく見込みという状況の中、 今後、 中国浙江省を初めとする近隣諸国との交流について、 どのような基本姿勢で対応されるのか知事に伺います。
 次に、 憲法改正について伺います。
 本年四月に衆参両院の憲法調査会が五年間の議論を経て最終報告書を提出しました。 第九条の問題、 そして自衛隊、 安全保障、 国際貢献、 環境、 人権、 教育等々、 現憲法、 そして日本が抱えるさまざまな課題が議論されたと聞いておりますが、 全国知事会におきましても憲法改正に係る特別委員会を設置し、 国と地方の役割分担や基礎的自治体と広域自治体の規定など、 地方自治問題が議論されるようであります。 この特別委員会に知事が入られるかどうか不明でありますが、 現時点における憲法改正に係る知事の基本的なお考えを伺います。
 次に、 指定管理者制度について伺います。
 平成十五年六月の地方自治法の改正により、 多くの公の施設で指定管理者制度を導入することとなりました。 本制度の目的は住民サービスの向上と行政コストの縮減などであり、 公の施設の設置目的に対応し、 より低いコストで県民が利用しやすく特徴ある施設として、 利用促進を図ることであります。
 本年二月に、 文化芸術振興議員連盟の議員で、 指定管理者制度を導入している石川県金沢市の芸術村を視察研修しましたが、 ここはいわゆる高級な芸術文化の提供を目指すものではなく、 市民がみずから練習し、 あるいは制作、 参加する芸術文化活動の振興と、 演劇や音楽、 舞踊などの鑑賞、 練習成果の発表を基本方針としており、 年中無休、 二十四時間利用可能で、 利用に係る規則は指定管理者の手づくりであり、 責任はすべて指定管理者が負うこととして管理運営しておりました。 若者に一番喜ばれるのは深夜から朝までの時間帯の利用であり、 また開館後八年間、 落書きや盗難、 あるいは他人に迷惑をかけるような行為などは一切起こっていないとの話を聞きました。
 当県におきましては現在、 富士山こどもの国など数カ所の施設で指定管理者制度を導入し、 また多くの市町においても導入しあるいは導入を検討しておりますが、 指定管理者制度を導入しても、 利用する県民にとって利用しやすい形態で利用率が上がるようなものとならなければ、 従前の管理受託者から単に指定管理者に管理主体が変更しただけで意味がありません。
 県民は、 民間のノウハウ導入により今までの公共の管理から脱却し、 使いやすく身近な真に県民のニーズを満たす施設に生まれ変わることを期待しております。 指定管理者制度では、 管理委託から管理代行へ転換することにより、 施設使用許可などの行政処分的な行為や施設利用料金徴収などを民間事業者等が行い、 経営に責任を持つ公の施設となります。
 指定管理者制度の導入により、 県民サービス体制がどのように変わり、 県民の利用利便性がどのように高まってきているのか伺います。 さらに、 制度導入の効果を一層高めるために、 それぞれの施設にどのような成果を期待しておられるのか、 県の基本的な考え方を民間事業者等にも県民にも広く理解してもらうことが極めて重要であると考えますが、 県としてどのように対応していかれるのか、 お考えを伺います。
 また、 指定管理者制度を導入する施設には、 これまでその運営にボランティアがかかわっていたものがあります。 ボランティアの中には、 指定管理者制度導入に伴い企業などが管理者になった場合、 企業の営利活動に関与してしまうというような趣旨から、 運営に参画することに違和感を感じている方々もあるようです。 しかしながら、 ボランティア活動は社会参画による自己表現、 生涯学習という側面も持っており、 また指定管理者である企業などが管理する施設であっても、 ボランティアの参画により、 運営の工夫や合理化、 経費の軽減化などを図ることができれば、 その受益は施設の利用者である県民に還元されることとなります。 ボランティアの受け入れについては指定管理者が決定することとなります。 ボランティアの意向を尊重しつつ積極的な対応を期待するところでありますが、 指定管理者制度とボランティアに対する御所見と対応を伺います。
 次に、 少子化対策についてでありますが、 日本は世界の中で超少子化国と言われるようになりました。 人口動態統計では、 合計特殊出生率が一九四七年は四・五四であったものが、 一九七五年以降二・〇を割り続け、 二〇〇三年、 二〇〇四年とも一・二九となり、 このまま推移すれば二〇〇七年に人口が減少し始め、 二〇五〇年には総人口が一億人程度となると言われております。 また総務省が発表した、 本年四月一日現在の十五歳未満の推計人口は昨年よりも十五万人少なく、 二十四年間連続で減少、 総人口に占める割合も過去最低という数値となりました。
 四半世紀連続して子供の人口が減少しているということについては、 少子化対策に係る国の施策のおくれを指摘せざるを得ないと考えるところであります。 これは子供たちを産み、 育てる施策構築の重要性を軽視してきた結果であり、 また人口構成比率のバランスを考えずに、 的確な未来予測に基づく対応を行ってこなかった結果であるとも言えると思います。
 一方では、 人口の増加による大量生産、 大量消費、 CO2 など温室効果ガスの増加に伴い環境破壊を招くよりも、 人口減少により、 住宅問題や交通問題の解消ができ、 余裕のある生活、 環境に優しい社会の構築が図られ、 社会にゆとりが生まれ、 本当の豊かさを実感、 実現できるのではないかという考えもあり、 次代に対応した施策の樹立も必要であると思いますが、 少子高齢化は年金や医療など社会保障制度の崩壊や経済衰退など社会に深刻な影響を及ぼすことは明らかであります。
 五十年後を見据え、 若年者の子育てを社会が支えるため、 安定就労や所得保障、 経済支援等を含む総合的な保障制度の構築、 教育制度改革、 企業の意識、 構造改革などが早急に必要と考えるものであります。 また、 時々出生率が向上した自治体の報道がありますが、 この課題については、 各自治体がそれぞれのアイデアを出して行うという性格のものではなく、 国の宝、 財産である子供の増加を図り、 国の存続を図るという国家の基幹に係ることでありますので、 国が率先して施策を構築し積極的に取り組まなければならないとも考えるところであります。
 少子化対策につきましては、 我々会派の質問で繰り返し取り上げ、 また過去多くの先生方も質問されておりますので、 課題を三点に絞って伺います。
 まず、 少子化対策に係る国と地方の役割分担について知事の御所見を伺います。
 次に、 保育所への入所待機児童が発生している状況の中、 認可保育施設よりも規制が緩やかであり、 地域において子育て支援の重要な役割を担っている認可外保育施設への支援策について伺います。
 次に、 子育て家庭において、 一般的に収入が低く子育て環境が厳しい母子家庭や、 日常生活において子育てが大変な父子家庭への自立支援策について伺います。
 次に、 富士山をめぐる諸課題についてでありますが、 標高三千七百七十六メートル、 日本の最高峰富士山は、 優雅かつ崇高で気品あふれる典型的なコニーデ火山として世界に知れ渡っています。 そして、 そのふもとに暮らす我々は、 富士山に育つ木々や草原、 地下水などさまざまな自然の機能による恩恵を直接受け、 さらに観光や企業活動などにおいても富士山の恵みを享受し生活しております。 しかし今、 このかけがえのない富士山と静岡県とのかかわりの中で、 幾つかの課題が浮かび上がっております。 そこで三点伺います。
 まず、 世界遺産登録についてであります。
 富士山をユネスコの世界遺産に登録しようと、 静岡県知事及び山梨県知事、 そして中曽根元首相など政財界が中心となって、 富士山を世界遺産にする国民会議が本年四月に設立され、 NPOとしての活動が始まったと聞いております。 二、 三年後に世界遺産推薦の候補となる暫定リスト登録をし、 五年後に世界遺産、 文化遺産登録を目指すということであります。 登録されると、 国は恒久的に保存していく義務を持ち、 定期的な保全調査なども行われ富士山の環境保全が図られるほか、 観光振興や世界への情報発信など大きなメリットが想定されます。
 現在、 世界遺産登録は七百八十八件、 日本では姫路城や白神山地など十二件であります。 世界遺産は全世界的に見て顕著で普遍的な重要性を有すもの、 全世界的に重要な価値を有するものということであり、 富士山はまさしく登録の価値を有していると思うところであります。 しかしながら一方、 富士山のふもとを見てみますと、 静岡県側には東富士演習場や米海兵隊キャンプ富士、 そして山梨県側には北富士演習場が存在し、 また霊峰富士の山頂を目指す多くの登山客や入会権利者もいます。
 富士山の世界遺産登録につきましては、 駿河湾の深層部から山頂までが富士山であり、 登録エリアはどこまでが適当か、 あるいは演習はどのように行うのか、 入山はできるのかというような多くの課題も存在していると思うところであります。 知事はこのNPOの顧問になったと聞いていますが、 富士山世界遺産登録の意義をどうとらえ、 そしてどんな点に期待しておられるのか伺うとともに、 現時点で見込まれる環境保全策、 規制されることとなる行為をどうとらえておられるのか伺います。
 次に、 富士山測候所についてであります。
 昭和十一年に富士山頂に建設された富士山測候所は、 昭和三十九年の富士山レーダー設置に伴い、 日本における気象観測の中枢として重要な役割を担ってきました。 富士山測候所御殿場基地事務所から気象庁の職員が山頂に登頂し、 交代勤務による常勤体制をしいて気象観測業務を続けてきましたが、 近年、 気象衛星の導入、 自動観測システムの稼働によりその本来業務は終焉し、 平成十三年にレーダードームが撤去され、 昨年十月についに富士山測候所は無人化されることとなりました。
 気象庁におきましては、 本県や山梨県、 そして関係機関と測候所施設の活用について協議、 検討していると聞いておりますが、 本施設は気象観測施設として本来の役割はなくなったものの、 地球温暖化現象の観測や大気汚染観測など自然科学、 環境科学等の分野において、 日本最高峰に存在する貴重な研究施設としての活用が期待されております。
 さらに、 例えば日本最高峰からの映像を日本全国に発信し、 また現在建設中の静岡空港は富士山空港のネーミングも検討されている中、 新設空港ロビーに富士山頂からのテレビ生放映なども、 日本、 そして世界の注目を集めることは必至であると思います。 日本唯一のかけがえのない貴重な施設である富士山測候所の有効活用について県の考え方を伺います。
 次に、 富士山ナンバーについてであります。
 国の自動車登録番号標示に係る規制緩和の動きを受け、 自動車のナンバープレートにいわゆる御当地ナンバー導入について、 全国二十地域から要望が出ました。 当県におきましては、 伊豆ナンバー及び富士山ナンバー創設について地元からの要望を受け、 先月十二日に国土交通大臣に対し導入の要望書提出がなされ、 また山梨県知事との連名による要望書の提出もなされたと聞いております。
 御当地ナンバーにつきましては、 地域コミュニティーの醸成、 郷土愛の育成、 地域情報発信、 まちづくり推進など、 地域振興、 活性化に果たす役割は多大であります。 富士山ナンバーにつきましては、 本年二月に関係四市二町の市町長、 議会議長を初め自治会や商工会議所、 商工会、 観光協会、 青年会議所などの代表者により、 富士山ナンバー創設促進協議会が設立され、 また四月に県知事に対し創設要望書の提出が行われたところでありますが、 当地域における登録自動車台数は約二十七万台で、 国土交通省の示す基準十万台を大きく超えており、 十分要件を満たすものとなっておりますが、 一方、 さまざまな課題もあると聞いております。 地元住民のアンケートでも約八〇%が賛成している状況にあり、 伊豆ナンバーとともに富士山ナンバー創設についても積極的な支援を願うものであります。 県の対応、 考え方について伺います。
 次に、 JRとのかかわりについて伺います。
 昭和六十二年に旧国鉄が完全民営化されてから十八年が経過します。 この間、 JR各社の努力により健全経営の確保が図られ、 平成十五年度の純利益はJR東海、 東日本、 西日本の三社を合計して二千億円を超える黒字を計上するまでになり、 大変喜ばしいと思うところであります。
 しかしながら一方では、 国鉄改革の趣旨は単に黒字を増加するということだけでなく、 公共交通機関としての安全性、 利便性の向上、 サービスの向上という点も有していたと考えられます。 言いかえれば過去の歴史を踏まえ単に利益を追求する営利企業でなく、 地域の実情、 要望に沿い、 地域の振興に寄与するための運営、 利用者の立場に立った経営という側面も有していたと思うところであります。
 さきのJR西日本における列車脱線事故の原因はまだ調査中でありますが、 報道によれば、 おくれた時間を取り戻すためにカーブでの減速を怠ったのではないかとされております。 企業において経営の向上を目指すことは当然でありますが、 それがために人命にかかわる安全対策をなおざりにしてよいわけはありません。 比較すれば、 従業員、 そして顧客の安全確保の方が重いと感ずるものであります。
 また、 地域振興という点からは、 JR御殿場線の御殿場駅と神奈川県松田駅、 そして国府津駅間の列車運行本数が、 沼津―御殿場間の本数よりも極めて少ないという課題が解決されておりません。 当地域は首都圏とのつながりが強い地域であり、 東京、 神奈川方面へ通勤、 通学する者も多く、 あるいは東京、 神奈川方面から当地域に通学通勤し、 そして富士登山、 観光、 買い物、 最近では自動車レース見物に訪れる方々も多くなっています。
 このため静岡、 神奈川両県の十三の自治体においては、 繰り返し利便性の向上についてJR東海や国土交通省などに対し陳情活動を行い、 さらに民間の活動という点においても、 御殿場市及び小山町で、 それぞれ自治会や商工会、 観光協会など多くの団体をメンバーとした増発推進のための民間組織が誕生し、 官民協働体制が構築され活動しております。
 一方、 静岡空港開港に伴う新幹線新駅の設置についても、 県、 市町、 そして県民の期待は大変大きいものであり、 地域振興に不可欠であると考えるところでありますが、 いまだ進展しておりません。 少子・高齢化そして環境問題等を考えるとき、 これから公共交通機関であるJRの果たす役割は多大であります。
 また、 JR、 航空機など交通機関に係る事故、 災害などへの対応で、 真っ先に出動し救助救援活動等を行うのは常に地元の警察、 消防、 救急隊、 あるいは消防団、 そして自治体であります。 もう少し自治体、 地域を向いた企業活動を期待するのは私だけではないのではないかと考えるところであります。
 JRの安全性と利便性向上、 そして地域振興に対する県のかかわりについて、 御所見と対応を知事に伺います。
 次に、 地球温暖化対策についてでありますが、 国民の多くが地球温暖化など深刻な環境問題に危機感を持っている中、 本年二月十六日の京都議定書発効を受け、 政府は京都議定書目標達成計画を策定しました。 これは官民が一体となって温室効果ガスの削減を目指すもので、 公共交通機関の利用や低公害自動車の普及、 建築物の省エネなどのほか、 家庭においては住宅の断熱化や高効率給湯器などの普及が対策として盛り込まれました。 一方、 環境税や国内排出量取引制度については検討課題として先送りされたところであります。
 本県におきましては、 平成十四年に新ふじのくにアジェンダ21を策定し、 また、 昨年は地球温暖化防止活動推進センターを立ち上げて、 温暖化対策を積極的に進めているものの、 県内の温室効果ガス排出量は平成十四年実績で、 京都議定書の基準年である平成二年度に比べ五・七%の増となっています。 県民調査結果によると、 県民の八割以上が地球温暖化を認識しているものの、 エアコンやパソコンなどの家電製品の保有台数は大幅に増加し、 快適な生活を送るための生活様式の変化は、 端的には地球温暖化を進めることとなっている状況にあります。
 本年度見直し作業に入っている新ふじのくにアジェンダ21は、 平成二十二年度までに温室効果ガスを平成二年度比六%削減するという計画であり、 目標値達成のためには、 ある程度県民の協力をいただくことを視野に条例制定を行うことも検討せざるを得ないと考えますが、 国の動き及び新ふじのくにアジェンダ21の見直しの要点並びに条例制定の方向性について伺います。
 また、 ISO取得企業のほか、 例えば使い捨て用品をサービスしないホテルや、 レジ袋を有料としているスーパーなど一面リスクを負いながら事業展開している企業の話題も聞きますが、 これら環境に優しいアイデアを活用している事業所支援も有効な施策であると考えます。 県のお考えと対応を伺います。
 次に、 四月十五、 十六日にワシントンで開催されたG7で、 石油以外の代替エネルギーの開発、 普及を促すことが声明に盛り込まれました。 これを受け、 地球温暖化防止のためのバイオマス、 風力、 太陽光、 燃料電池等に関連する新エネルギー産業への支援について、 県のお考えと対応を伺います。
 次に、 健康福祉行政についてのうち、 まず保健・医療・福祉の連携充実策について伺います。
 日本における国民皆保険制度の中、 増大する医療費、 介護費をいかに抑制するかということを考えるとき、 要は健康で長生きできる人をいかに多くするかということに行き着きます。 健康で長生きができれば、 本人はもとより家族にとっても幸せであり、 また社会にとっても保障制度の健全化が図れると思うものであります。
 まず、 健康を維持するためのさまざまな取り組みを各人が行い、 不幸にして病気になってしまったときにはすぐに医者にかかる。 治ったらまた健康づくりに精を出すという社会ができ上がればすばらしいと思います。 いわば保健と医療のキャッチボールで生きていくことができる社会形成が理想であると思います。 さらに健康診断を保険適用としたり、 あるいは健康づくりに係る費用の保険適用などを図り、 保健活動と健康診断、 適切な保健指導等をうまくシステム化することにより、 医療費、 介護費の抑制と健康で長寿な社会構築が図れると考えるところであります。
 県におきましては、 日本一の健康長寿県を目指し健康を県施策遂行の一つのキーワードとしておりますが、 日本においては、 保健、 いわゆる健康を保つという点に対する施策構築がおくれ、 予算投下も少ないと言わざるを得ません。 保健部門を重視した政策の展開も必要ではないかと考えます。 例えば具体的な話をすれば、 お年寄りが骨折したり病気になったらすぐに保健師が居宅へ行き、 今後の復帰について相談、 指導するというような制度が確立できれば寝たきりを予防できます。 また専業主婦に対する健康診断の義務づけや診断後の事後指導を保健師が行うというような制度も有効であります。
 このように、 保健師の有効配置により効率的な保健活動を行うことは、 即効果が上がる方策であると思いますが、 そのためには、 保健師等のマンパワーの確保、 育成が大変重要であり、 地域で働く保健師等を増加するとともに、 これら人材を保健分野に多く配置するような施策も必要と考えるものであります。 県の御所見と対応を伺います。
 次に、 北駿地域におけるファルマバレー構想とのかかわりについてでありますが、 県東部地区は長泉町にある県立静岡がんセンターを中心にファルマバレー構想の中心的エリアとなっていますが、 この構想においても健康増進はテーマの一つとなっており、 その一環として、 伊豆地区については温泉  かかりつけ湯を利用したウエルネスクラスターの形成が進められています。
 一方、 長泉町から東側、 北駿地域は日本一ゴルフ場が多い地区であります。 また日本有数の自動車レース場があり、 モータースポーツのメッカとなっており、 さらに富士山周辺と箱根外輪山は格好のウオーキング、 ハイキングエリアであります。 加えて市営の馬術競技場においては全国規模の大会なども開催され、 乗馬クラブやテニスクラブも多く、 総合型の大規模スポーツクラブなどもあり、 最近、 当地域にJOCナショナルトレセン構想が挙がっているという報道もありました。 日本の中心、 富士山のふもとという絶好のロケーションを有した当地域は、 スポーツ交流ゾーンとして大変恵まれており、 さらに、 いわゆるSKY広域圏構想の中心にあり、 神奈川県、 そして山梨県との交流促進が期待されている地域でもあります。
 そこで、 この地域をファルマバレー構想とのかかわりの中で、 スポーツ、 県際交流を中心としたウエルネスゾーンとして、 伊豆のウエルネスクラスターとともに事業推進することは大変有効と考えますが県の御所見を伺います。
 次に、 国民健康保険制度改革への対応についてでありますが、 三位一体の改革に伴う国庫補助金の見直しに係る 「国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法の一部を改正する法律」 が、 本年四月一日に施行となり、 本年度から国民健康保険の国庫負担の一部が都道府県負担に切りかえられることとなりました。 具体的には、 療養給付費国庫負担金四〇%が三六%に、 国の財政調整交付金一〇%が九%となり、 かわりに県の財政調整交付金五%が新設されたところであります。 さらに次年度以降は、 国の療養給付費負担金は三四%になるとともに県の財政調整交付金は七%に増加することとなります。
 これは、 国が持っていた市町村国保間の財政調整機能の一部を都道府県に移譲することにより、 医療費の適正化や保険運営の広域化などに向け都道府県の役割の強化を図るという趣旨であると思いますが、 言いかえますと今まで市町村国保に対し主体的な役割を担ってこなかった県に対し、 市町村国保への財政調整交付金の交付を行うことを通して主体的な取り組みが期待されるようになったとも考えられます。 本制度改革に対しどのような基本姿勢で対応されるのか、 また本制度改革による市町村国保への影響緩和をどのようになされるのか県の対応を伺います。
 次に、 農業行政についてでありますが、 まず都市的地域の農業政策について伺います。
 都市及びその周辺で営まれている農業は都市住民に新鮮で安全な農産物を供給するとともに、 その農地はヒートアイランド現象を抑制したり、 災害時の緊急避難地としての役割や雨水の調整、 水源涵養などの役割、 住民に安らぎを与える景観形成など環境保全、 防災上における有益性が見直され、 適正な保全管理について全国で注目されております。
 また、 市街地の小中学校にとりましては、 環境学習の場、 食農教育の場としても重要な役割を担っています。 しかしながら、 都市的地域の農業は農薬や肥料、 臭気などの問題により、 周辺住民との摩擦を生ずることも多く、 農業を営む環境に恵まれているとは必ずしも言えません。 いわば肩身を狭くし細々と農業を行っている農業従事者も多いと思います。
 また、 都市的地域には、 農業後継者がいない、 農業を行うのに非効率である、 収益が上がらないなどさまざまな要因により耕作放棄地が多く存在しており、 これらを減少させ、 あるいは有効活用するとともに、 耕作放棄地となってしまうことを防いでいく施策も重要であります。
 このような状況の中で、 これまでの都市的地域の農業政策について見てみますと、 平成十一年に制定された食料・農業・農村基本法において、 市民農園の整備や都市部における農業生産なども条文化されてはいるものの、 基本的には意欲的な担い手が多数いる農村部に政策的支援が集中しており、 都市部の農業については、 消費地に近いメリットを生かした農業が農家の主体性に基づいて展開されてはいるものの、 積極的な政策展開は図られていないという感があります。
 都市部の農業の持つさまざまな役割を考えると、 住民のニーズに的確にこたえ、 また農地の持つ有益性に配慮した都市農業政策の確立が必要と考えますが、 今後、 都市的な地域における農業政策をどのように展開していくのか御所見と対応を伺います。
 次に、 東部地域の食肉センターについて伺います。
 食肉センターは、 BSE対策等食品の安全性の確保、 畜産物のブランド化の推進などを図るため重要な施設であります。 東部地区におきましては過去三施設ありましたが、 平成十三年度末に東部食肉センターが閉鎖され、 現在、 御殿場、 岳南の二つの食肉センターが稼働している状況となっています。 しかしながら、 当該施設はいずれも建設後三十五年余を経過し老朽化が激しく、 さらに処理頭数の減少などにより施設設置自治体は赤字経営に悩んでいます。
 このため、 平成十年度に県及び関係市町村、 関係団体により静岡県食肉流通合理化計画を策定し、 県西部に二カ所、 東部三施設を一カ所に再編整備を進めるとの整備目標が決定され、 これにより、 東部地区において検討が加えられましたが、 さまざまな問題により市町村相互の意見調整が難航し、 遅々として進まず現在に至っています。 その後、 BSEの我が国での発生を契機に県民の食に対する安全・安心の認識が高まり、 食肉センターの重要性が増加している状況にあります。
 この問題につきましては、 他の議員の皆様からも本施設整備の重要性にかんがみ、 一般質問等に取り上げられたほか、 県知事及び県議会議長に対して、 東部地区内の市町長、 議会議長から整備促進に係る陳情、 要望が繰り返しなされてきたところでもあります。 東部地域の食肉センターは地区内自治体を包括する広域的かつ緊急の課題であります。 早急な整備が望まれる中、 県の考え方、 そして対応を伺います。
 次に、 高規格幹線道路ネットワークの早期構築について伺います。
 我が国の道路交通の要衝である現東名高速自動車道と第二東名自動車道は、 県東部地域で国道百三十八号、 東富士五湖道路を経由し、 中央高速自動車道に接続しています。 さきの新潟中越地震で高速道路ネットワークの必要性を再認識したところであり、 予想される東海地震、 神奈川県西部地震における迂回ルートの確保のため、 さらには箱根、 富士五湖との国際観光や産業交流を促進するSKY広域圏構想を支えるものとして、 現東名と第二東名、 そして中央高速を高規格幹線道路で有機的に結ぶことは喫緊の課題であると考えます。 またこれは静岡空港の利用促進という点においても本県の発展に大きく貢献するものと考えています。
 しかしながら、 現東名の六車線化については昨年度完成し、 第二東名については御殿場ジャンクション以西の整備が急ピッチで進められており、 さらに中央高速自動車道と連絡する東富士五湖道路も整備が完了しているものの、 現東名と第二東名、 そして中央高速を結ぶ国道百三十八号については、 東富士五湖道路須走インターチェンジと第二東名自動車道の御殿場インターチェンジ予定地付近を結ぶ区間が未整備となっています。 このためこの区間の一日も早い整備を図り、 高規格の道路ネットワークの早期構築が求められていますが、 これについては第二東名御殿場ジャンクション以東と整合した整備が必要であると聞いております。
 第二東名自動車道については、 御殿場ジャンクションから神奈川県秦野市までの間三十三キロメートルが平成十年十二月に整備計画に格上げされましたが、 それ以降進展がなく施行命令さえ出されていない状況であり、 事業着手の見通しが立っていません。 国においては、 道路関係四公団民営化四法の施行に伴い高速道路整備の新たな仕組みづくりの検討が進められており、 本年十月には道路公団を東日本、 中日本、 西日本に分割した民営化会社が高速道路の整備を実施していくと聞いていますが、 果たして滞りなく進められるのか一抹の不安を抱くところであります。 今後の第二東名御殿場ジャンクションから秦野インターチェンジまでの区間の整備見通しについて伺います。
 次に、 プロジェクト 「TOUKAI―0」 の推進について伺います。  
 新潟、 福岡における大地震、 スマトラ大地震など昨年から大地震が相次いでいます。 また本年は阪神・淡路大震災から十年目の節目の年でもあります。 この震災においては建物の倒壊十万四千九百棟、 死者六千四百三十名という被害がありましたが、 この死者のうち建物の倒壊や家具の転倒などによる圧死、 窒息死が約八四%、 十五分以内の死亡者は実に九二%でありました。 大震災による死者数の軽減は、 建築物等の倒壊をいかに防ぐかということが第一であることは明らかであります。
 そこで国においては、 住宅の耐震化率を今後十年間で九〇%にするなどの目標を掲げ、 住宅の耐震化に積極的に乗り出しましたが、 本県においては、 プロジェクト 「TOUKAI―0」 を全国に先駆けて展開し、 無料耐震診断や補強計画の作成、 補強工事、 さらに住宅の建てかえに係る利子補給制度などを創設して住宅の耐震化に積極的に取り組んでおり、 評価するものであります。
 しかしながら、 耐震補強の助成制度の活用実績は大幅に伸びているものの、 耐震診断の結果に基づく住宅補強計画の作成や耐震補強工事についての実績は、 平成十六年度までにそれぞれ三千棟前後であり、 もう一歩の感は否めません。 また専門家による耐震診断については、 平成十六年度までの四カ年で約三万七千棟の実績ということであり、 これについても県の努力は認めるもののまだまだという感があります。  
 一方、 ブロック塀等の倒壊についても、 倒壊による死傷者数の軽減、 あるいは道路交通妨害の防止など、 その倒壊防止対策が重要であるため、 撤去や改善についての補助制度が構築されていますが、 ブロック塀等耐震化促進事業及びわが家の専門家診断事業に対する補助制度は本年度をもって終了すると聞いています。 耐震診断は耐震化の第一歩であり、 またブロック塀の安全対策についても引き続き取り組んでいく必要があると考えますが、 今後プロジェクト 「TOUKAI―0」 をどのように推進していくのか県の御所見を伺います。
 最後に、 教育行政について教育長に伺います。
 総合的な学習の時間と生きる力の育成についてでありますが、 昨年末のOECDの国際学力調査において、 日本の子供たちの理科や算数の学力が低下しているということから、 脱ゆとり教育への転換が文部科学省において話題にされ、 実際、 文部科学大臣が 「ゆとり教育の導入は拙速過ぎた」 という謝罪を行ったとの報道がありましたが、 学力低下の原因がゆとり教育にあるという点について、 明確な因果関係は不明であると思います。
 本来ゆとり教育は、 ゆとりの時間の中で子供たちにみずから学び、 考え、 調べる力をつけ、 自主性を高めるなど、 生きる力をはぐくむものであります。 特に義務教育期の子供たちにとっては基礎基本を習熟することがまず第一であり、 そしてこれを自由に活用し展開できるようになる能力を身につけることが、 子供たちの将来にとって大変重要であると思います。
 茨城県美野里町においては、 社会福祉協議会の協力を得て中学生の総合学習の時間に土日の実践活動を加え、 三級のホームヘルパー資格を取得する制度ができたと聞いています。 これは中学生にとっては、 総合学習の成果が目に見える形であらわれるということとともに、 親、 そしておじいさん、 おばあさんなど家族の介護ができるようになること、 お年寄りや障害のある方をいたわる心が醸成でき、 そして介護予防の考えが身につくなど人生にとって大変有意義なことであります。 と同時に、 人に優しい福祉社会形成にとっても意義あることであると思います。 さらに例えば総合学習の時間は、 地域の人たちや社会教育の指導者が担当し、 学校の先生方の負担を軽減、 ゆとりを生むという制度もよいのではないかと思います。
 また、 高等学校の生徒たちの場合、 同様な試みが学校部活動の中でも可能であると思います。 例えばボランティア部を設立し、 資格を取得して福祉施設で定期的に活動したり、 あるいは文化部活動においても資格取得を図り、 また運動部においては審判員資格を取得して地域が行う大会の審判を受け持ったり主催者に協力するなど、 学校における部活動と社会教育との協働体制の構築により、 子供たちと地域が直接かかわることができるようになります。 総合学習は、 子供たちの人格形成を図ることができるとともに社会貢献を可能とし、 また今、 不十分と言われている地域が子供たちを見守りそして育てる制度としても有効であると思います。
 総合的な学習の時間と生きる力の育成について、 教育長の御所見を伺い私の質問を終わります。 ありがとうございました。 (拍手)
○副議長 (中澤通訓君)  ここであらかじめ会議時間を延長します。
 石川知事。
        (知事 石川嘉延君登壇)
○知事 (石川嘉延君)  池谷議員にお答えいたします。
 初めに、 私の政治姿勢についてのうち、 四期目に挑戦する基本姿勢についてであります。
 私は郷土静岡県のため、 県政における多岐にわたる課題に対し総力を挙げて対応してまいりました。 その結果静岡県の元気力が発揮され、 池谷議員御指摘のように製造品出荷額、 企業立地件数、 県民所得、 雇用などの全国順位が着実に向上するなど一定の成果を得ることができたものと思います。
 一方、 これから予測される人口減少を伴う急速な少子高齢化は、 我が国はもとより世界の歴史を見ても経験したことのないような急激な減少であり、 これに対してはこれまでの施策を着実に進めるとともに、 さらに加えて今までの制度を前提としないような全く新しい考え方で対応する必要もあり、 県民の皆様とともにさまざまな課題や新たな施策に取り組んでいく必要性を痛感しております。 四期目の挑戦に際しましては、 県民の皆様と一緒になって、 大きな目標として安全・安心、 くらし満足度など十の日本一を目指すことを発表したところでございます。  
 ここまで来た静岡県の豊かさをこれからも維持発展させていくために、 ともに頑張りたいと考えておりますので、 県議会の皆様、 そして県民の皆様にはぜひ御理解を賜りますようにお願いを申し上げる次第であります。
 次に、 憲法改正についてであります。
 憲法改正についてのうち、 特に地方自治に関する点でありますけれども、 地域住民に大きな影響を与える問題でありますので、 その条文としての必要性も含めて相当慎重にこれは検討していただく必要があると思います。
 一方、 本県といたしましては、 国、 地方を通じて最適な内政の機構を再配置、 再構築する内政構造改革の実現を提案いたしておりまして、 この際、 この提案を含めた広範な議論をしていただくことを期待しているところであります。 なお今後は、 憲法と個別の法律のどちらで規定するのが適切であるかという視点も持ちながら、 議論の経過を注意深く見守って、 必要があればその時点時点で積極的に意見を述べる、 あるいはその議論に参画してまいりたいと考えております。
 なお、 全国知事会の特別委員会には参画をする予定でございます。 ただし私の任期もことしの七月末まででありますので、 当面はそういうことでありますが、 引き続き県政を担うことができればその次の期もそのようなことでやってまいりたいと考えております。
 次に、 少子化対策についてのうち、 国と地方の役割分担についてであります。
 平成十五年七月に成立した少子化社会対策基本法と次世代育成支援対策推進法を受けまして、 国、 県、 市町村と企業が一体となって少子化対策に取り組むこととなりました。 これによりますと、 国は企画や制度化、 必要な財源確保などを行う、 市町村は適切な保育サービスを提供する、 県はそのために必要な指導助言と広域的な調整を行う、 そういうことになりました。
 しかし、 こういう体制で臨むにしても、 ほぼ三十年間続いてまいりました少子化の流れを押し返すためには池谷議員御指摘のとおり、 若年者の子育てを社会が支えるということがまずは不可欠、 大前提にしなければいけないんじゃないかと思います。 したがって、 保育を初めとする児童福祉、 医療、 教育、 雇用等の幅広い分野できめ細かい対策が必要になってくると考えます。
 このため、 国においては税制など子育て家庭に対する経済的支援の一層の充実を図り、 県においては企業や県民の皆様のお力をかりながら、 地域の実態に即したきめ細かな施策立案の役割と責任を担い、 さらにこれらの施策を市町村と一体となって実践することが求められていると考えております。
 次に、 富士山をめぐる諸課題についてのうち、 まず世界遺産登録についてであります。
 富士山が世界文化遺産に登録されますことは、 観光振興や世界への情報発信につながることはもちろんでありますけれども、 富士山の美しい景観や文化を守り人類共通の宝物として将来の世代に引き継がれていくとともに、 環境保全のシンボルとなることや人間としてのモラルを育成する人づくりの原点となるという意味合いもあると考えます。 まさに私が常日ごろ申し上げている 「富国有徳 創知協働」 の地域づくりの考え方が、 富士山をキーワードとして国民共通の目標となるきっかけになるものとも期待をしております。
 登録に当たりましては、 現在、 文化遺産としての申請をするという発想のもとに、 直接登録されます場合には、 中核になる核心地域とこの地域を保護する緩衝地帯の設定が必要になるということでありますので、 これらについて、 地域の設定とそれから適切な長期的立法措置、 規制措置や伝統的手法等により、 より確実な保護管理が担保されるということが必要になってまいります。
 現在、 富士山は文化財保護法に基づく特別名勝の指定を受けておりますし、 自然公園法に基づく富士箱根伊豆国立公園として指定をされており規制を受けておりますことから、 これらの指定区域内については登録要件が担保されると考えられますが、 富士宮市の富士山本宮浅間大社が追加されるということになりますと、 核心地域、 緩衝地帯の設定の仕方によっては、 さらに広範囲の保護保全対策が必要となってまいります。
 このため、 県といたしましては、 周辺市町や山梨県との合意形成を図ってまいりますとともに、 富士山を世界遺産にする国民会議や国と連携し、 世界文化遺産の登録に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。 そのためのまず最初の手順としては、 先ごろ国民会議における関係者の打ち合わせの結果、 本県と山梨県が、 まずは文部科学省、 文化庁に世界遺産登録について希望してるという意思表明をすることが肝要であるということが確認をされましたので、 近々のうちに、 山梨県と静岡県両方で、 まずそういう行動を起こしたいと考えております。
 加えて、 文化庁の方から、 平成十七、 十八両年度にわたって、 特別名勝としての富士山の保全管理計画、 これをきちんと立てるべく、 助成金をいただいて作業に取り組むことになりました。 これができ上がりますと、 先ほどの富士山遺産登録に際して必要になる保護管理の方策が、 これで打ち立てられるということになりますので、 まずその作業をきちんとできるだけ早く完了することも肝要であると考えておりますので、 まずそういう方面から直ちに行動を起こしていくことにしておるところでございます。 加えて県民、 国民の幅広いこれへの関心と協力と賛同をいただきながら、 進めていきたいと考えているところでございます。
 次に、 JRとのかかわりについてであります。
 鉄道交通については、 通勤や通学などの生活交通手段としての役割はもとより、 高齢社会の進展や地球環境問題への対応、 また、 まちづくりの観点からも重要な役割を果たしております。 このため県では従来から市町村や地元経済界と連携して、 在来線の充実や新幹線の停車の問題、 乗り継ぎの利便性向上などJRや中小民営鉄道各社に対してさまざまな要望活動を行ってきたところであります。
 一方、 これまで県民の皆様とともに幅広い視野で鉄道問題を考える機会が少なかったという反省に基づきまして、 まず先月十九日に鉄道利用者や観光業界など幅広い分野の方々の参加による鉄道交通タウンミーティングを開催をいたしました。 初めての試みであったわけでありますが、 鉄道の利便性向上や鉄道と地域が連携したまちづくりへの取り組みなどについて活発な意見交換が行われ、 あわせて鉄道問題の専門家から貴重な、 有益な御提言もいただきました。 これに勇気づけられまして、 さきの十九日のタウンミーティングは静岡で行いましたが、 今月三十日には東部地区で同様の趣旨のタウンミーティングを開催をすることとしております。
 今後このような機会をできるだけ各地域頻繁に設けて、 県全体としての課題についての認識の共有化の形成を図りまして効果的な要望活動につなげるとともに、 鉄道各社と協働して利便性や安全性の向上、 地域振興に努めてまいりたいと考えております。
 次に、 地球温暖化対策についてのうち、 新エネルギー産業への支援についてであります。
 風力や太陽光、 バイオマスや燃料電池などの新エネルギーは、 幅広い産業が関係するとともに、 新たな市場や雇用が期待される分野であると認識をしております。 このため県では、 新エネルギー導入促進を目的にしずおか新エネルギー導入協働会議を設置して、 多数の企業や産業団体にも参画をいただいて、 利用技術等の最新情報や参加企業等との交流機会の提供などを行ってまいりました。
 その一環ともなりますが、 先ごろ浜松市において、 新エネルギーの国際会議を誘致をいたしまして三日間にわたって開催いたしましたが、 その際あわせて見本展示会を開催いたしましたところ、 国内外から五十社十団体、 計六十の関係者からの出展がありました。 会場におきましては各企業等がそれぞれの取り組みを積極的にアピールしている姿を拝見し、 これからはエネルギー関連産業の創出や新技術開発等に加えて、 その取り組みを広く県民等に周知させる機会の提供も重要になってくると痛感をいたしましたので、 今後積極的にこういう面にも力を注いでいきたいと考えております。
 県といたしましては、 情報交換や展示の場の設定に努めることに加えて、 県の試験研究機関や県内大学との連携を図り新エネルギー産業を支援してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては関係部長、 教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長 (中澤通訓君)  大村生活・文化部長。
        (生活・文化部長 大村義政君登壇)
○生活・文化部長 (大村義政君)  知事の政治姿勢についてのうち、 外交摩擦と国際交流についてお答えいたします。
 本県と中国浙江省とは、 昭和五十七年の友好提携締結以来、 教育、 文化から産業に至るまでさまざまな分野で交流を重ね、 最近は中国の経済発展に伴い、 より密度の濃い経済交流を展開しており、 韓国済州道ちぇじゅどとの交流も平成十二年に実務合意書を取り交わして以来、 市民レベルの交流を中心に着実に進展してきております。 このように長年にわたって幅広い交流を重ねてきた結果、 確かな信頼関係が築かれていることから、 反日活動の影響をほとんど受けることなく友好交流事業は当初の計画どおり進んでおります。
 八月下旬に本県で開催されます第六回静岡世界少年サッカー大会につきましても、 浙江省及び済州道とも選抜チームの派遣に向けて準備を進めているところであります。 今後もこのような交流の経過や成果を踏まえ、 県主催の交流に加えて民間・市民レベルの国際交流もさらに進展するよう積極的な情報提供や交流の橋渡しに努めてまいる考えであります。
○副議長 (中澤通訓君)  橋本総務部長。
        (総務部長 橋本嘉一君登壇)
○総務部長 (橋本嘉一君)  指定管理者制度についてお答えいたします。
 指定管理者制度は民間事業者等の積極的な活用によるサービスの向上と経費の削減をねらいとするものですが、 今年度よりこの制度を導入している富士山こどもの国では、 マウンテンバイクの試乗やスポーツチャンバラの体験など子供も大人も楽しめる新しいイベントや広報の充実により、 五月末までの二カ月間の入園が五万八千人を超え過去五年間で最高の実績を上げております。
 また、 指定管理者に期待する成果や達成すべき水準などについては募集要項に明示し、 ホームページや広報誌等を通じて周知することにより、 さまざまな経営能力を持つ幅広い団体の参加が得られ、 創意工夫による最もすぐれた提案を導入することが可能になりますし、 利用者である県民の皆様の理解と協力も得られるものと考えております。
 指定管理者制度とボランティアとの関係についてでありますが、 これからの地域における住民サービスは行政のみが担うものではなく、 ボランティアなどの住民、 コミュニティー組織、 NPOその他民間セクターとも協働し相互に連携するという視点がますます重要になってきております。 指定管理者の選定に当たりましても、 管理者の裁量に過度の制約を加えることは避けなければなりませんが、 例えば審査項目の一つとして、 ボランティアや地域の人材を積極的に活用する提案が評価されるようにするなど、 いろいろ工夫したいと考えております。
○副議長 (中澤通訓君)  川口健康福祉部長。
        (健康福祉部長 川口正俊君登壇)
○健康福祉部長 (川口正俊君)  少子化対策についてのうち、 初めに認可外保育施設への支援策についてお答えいたします。
 待機児童の発生や認可保育所では対応していない時間帯における保育など、 増大、 多様化する保育ニーズに応じたサービスを提供している認可外保育施設は、 地域の重要な保育資源と考えております。
 県といたしましては認可外保育施設は、 よりすぐれた環境で保育が実施できるよう認可保育所への移行を第一に考え、 認可外保育施設認可移行促進事業等により支援を行い、 平成十四年度から三年間で八カ所が認可保育所へ移行したところであります。 また本県独自の支援策として、 病院内、 事業所内保育施設を除き良質な保育サービスが確保されている施設には、 乳幼児保育、 障害児保育、 緊急・リフレッシュ保育など民間認可保育所とほぼ同様の事業について多様な保育推進事業費助成により支援を行うとともに年二回の研修会を開催し、 保育従事者の資質向上に努めております。
 今後とも認可外保育施設について、 児童の処遇に適正を欠くことがないよう厳正な指導監督を行うとともに財政的支援にも努めてまいります。
 次に、 母子家庭、 父子家庭への自立支援策についてであります。
 近年、 離婚による母子家庭が増加する中、 雇用情勢や生活環境など母子家庭や父子家庭をめぐる状況は以前にも増して厳しくなっており、 経済的自立や子供の健やかな成長への支援の充実が求められております。 特に母子家庭への施策は、 これまで児童扶養手当等を中心とする支援でありましたが、 生活の安定を図るためには自立に向けた就業を中心とした総合的な支援が必要となっております。
 このため本県では、 経済的支援、 保育サービスや家庭へのヘルパー派遣事業に加え、 就職に必要な技能向上のための訓練講座受講等への助成制度を創設したほか、 昨年六月には子育てや生活相談だけでなく無料職業紹介を行う母子家庭等就業・自立支援センターを設置し、 一貫した相談体制を整備したところであります。
 今後は、 本年三月に策定した静岡県母子家庭等自立促進計画に基づく総合的な施策を、 ハローワークを初め市町村や関係団体とも連携を図りながら着実に実施し、 一人親家庭の皆様が安定した生活を営むことができるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、 健康福祉行政についてのうち、 まず保健・医療・福祉の連携充実策についてお答えいたします。
 県民の健康づくりにつきましては、 自分の健康は自分で守る、 地域でそれを支え合うとの考え方のもとに、 しずおか健康創造21アクションプランに基づき、 市町村や関係団体と連携し取り組んでいるところであります。 高齢化の進展に伴う要介護者の増加や生活様式の変化による生活習慣病の増加などの時代背景により、 保健師は地域保健活動の中核的な担い手として従来にも増して幅広い分野の活動をすることを求められております。 特に近年は介護予防や児童虐待への対応、 あるいは災害時の健康支援など従来からの健診や健康教育の範囲を超えて広範囲に活動しており、 本年四月における県内の保健師の数は十年前に比べると約一・四倍の八百九十八人となっております。
 県といたしましては、 保健師が地域ニーズに応じて的確に活動できるよう、 経験年数別、 課題別の研修を各健康福祉センター及び総合健康センターにおいて実施しているところであり、 今後とも保健・医療・福祉の連携に立った健康づくりに貢献できる人材の確保、 育成を図り県民の健康づくりを推進してまいります。
 次に、 北駿地域におけるファルマバレー構想とのかかわりについてであります。
 ファルマバレー構想は研究開発と医療の質の向上、 新産業の創出、 ウエルネスの視点でのまちづくりを戦略として取り組んでおり、 ウエルネスについてはスポーツや温泉、 食材などの資源を生かしたネットワークづくりや科学的手法に基づく健康づくりを推進しております。 中でもスポーツ分野は青少年から高齢者までの体力や歩行能力向上のために重要でありますことから、 県総合健康センターを拠点に健康筋力づくり推進事業を実施し顕著な成果が見られております。 北駿地域は既存施設等スポーツ資源も豊富で、 地域住民の方々にとってのみならず首都圏から見ても大いに魅力的な地域であり、 高い可能性を備えていると考えております。
 今後、 圏域の市や町において健康スポーツに関するさまざまな事業展開が図られると思われますので、 そうした中でファルマバレー構想との相乗効果が高められるよう市町村や関係団体と連携を図ってまいります。
 次に、 国民健康保険制度改革への対応についてであります。
 市町村国保の運営は医療費が増加の一途をたどる中、 無職者や低所得者の加入割合が高いことなどから保険料の確保は年々厳しさを増し、 一般会計から多額の繰り入れを行わなければ運営が困難な状況にあり、 保険財政の安定が重要な課題となっております。 このような中、 本年度から三位一体改革の一環として都道府県財政調整交付金が導入されることになり、 その配分方法について国から近々参考としてのガイドラインが示される予定であります。
 県といたしましては、 市町村国保の厳しい財政状況を勘案した場合、 財政の安定が何より重要であると考えております。 このため、 国保財政の安定を図ることを基本姿勢に、 県財政調整交付金の配分方法を検討することとしております。 検討に当たりましては国庫負担の削減が新たな市町村負担にならないよう、 市町村の意見を十分踏まえた上で国のガイドラインも参考にし、 市町村の国保事業の安定的な運営に配慮してまいりたいと考えております。
○副議長 (中澤通訓君)  花森企画部長。
        (企画部長 花森憲一君登壇)
○企画部長 (花森憲一君)  富士山をめぐる諸課題についてのうち、 初めに富士山測候所についてお答えいたします。
 県では、 有人観測が終了した富士山測候所施設にいち早く着目し、 気象庁が主催する検討委員会に出席してその有効活用を提案してきたところであります。 その結果本年三月の中間取りまとめでは、 本県及び山梨県の共同提案による極地高所研究拠点としての活用を検討していくことになりました。 大気化学や高地医学、 植物生態学といった高所研究の成果は、 我が国はもとより世界に貢献できるものと期待されております。 こうしたことから県といたしましては、 本年四月に国家プロジェクトとして有効活用されるよう関係省庁へ提案、 要望しているところであり、 今後とも山梨県と連携をしながらあらゆる機会を通じて国に対して働きかけてまいります。
 次に、 富士山ナンバーについてであります。  
 富士山地域では近年、 富士山測候所の活用、 富士山の世界遺産の登録の動き、 世界ジャンボリーの誘致など我が国の象徴であります富士山を生かしたさまざまな取り組みがなされてきており、 富士山ナンバーの導入は意義のある取り組みと受けとめております。 このため県では、 ナンバー導入に向けた地元各界各層の熱意を重く受けとめるとともに、 国が定めました要件との適合などを確認した上で、 去る五月十二日、 国土交通大臣に対して県内四市二町の区域への富士山ナンバー導入の要望書を提出したところであります。
 一方、 富士山は静岡県と山梨県にまたがる地名であり円滑な導入には両県の協調が不可欠であることから、 山梨県との調整を進め両県知事連名による要望をあわせて行ったところであります。 地域ナンバーについては、 全国の二十の地域から導入に関する要望が提出され厳しい競争が予想されていますが、 富士山ナンバーは伊豆ナンバーとともに本県単独でも要綱に定める基準を十分満たしており、 国においてもそれぞれが注目されておりますので、 こうした点を踏まえ引き続き国に対して導入を働きかけてまいります。
○副議長 (中澤通訓君)  府川環境森林部長。
        (環境森林部長 府川博明君登壇)
○環境森林部長 (府川博明君)  地球温暖化対策についてのうち、 初めに新ふじのくにアジェンダ21の見直し及び条例制定の方向性についてお答えいたします。
 国においては、 京都議定書目標達成計画を受け、 産業分野については地球温暖化対策推進法の改正による温室効果ガスの算定、 報告、 公表制度の導入、 一般家庭に向けては世帯ごとの具体的な電力、 ガス、 石油などのエネルギー消費量の目安の提示など、 自主的、 規制的、 経済的手法等の多様な政策手段を動員して、 地球温暖化対策を総合的に進めることとしております。
 新ふじのくにアジェンダ21の見直しにおいてはこれらの動向も踏まえ、 県民が一体となって具体的な数値目標を明確にした上で、 わかりやすく実効性のある取り組みとなることを主眼に見直し作業を進めることとしており、 条例制定の必要性もこの見直し作業の中で検討することとしております。
 次に、 ISO取得企業等への支援についてであります。
 本県における二酸化炭素排出量のうち、 産業やオフィス業務といった事業活動に伴う排出が約六割を占めております。 このためISO取得事業者に対しては、 工場等の新増設時の事前協議を免除しておりますほか、 県庁への物品等の納入事業者の選定に当たり優先して考慮することとしております。
 今後は、 簡易版ISOと言われるエコアクション21取得事業者に対しても同様に支援措置を適用し、 事業者が自主的に温暖化対策に取り組むよう誘導してまいりたいと考えております。 また事業所における環境に優しいアイデアの実践につきましては、 県内全域にそうした取り組みを広げていきたいと考えておりますので、 事例の発掘、 紹介、 優秀な取り組みに対する表彰などその仕組みづくりを検討してまいります。
○副議長 (中澤通訓君)  北村農業水産部長。
        (農業水産部長 北村正平君登壇)
○農業水産部長 (北村正平君)  農業行政についてのうち、 初めに都市的地域の農業政策についてお答えいたします。
 本県の都市及びその周辺地域の農業については、 混住化に伴う生産環境の悪化や地域共同活動の低下、 政令指定都市誕生に伴う農業経営の継続への不安などの課題が顕著になってきております。 こうしたことから県といたしましては、 都市農業の持つ役割に対する都市住民と農業者との共通認識を醸成し、 都市の発展と調和した農業振興を図ることが大変重要であると考えております。
 このため、 農地や農業用水等の資源を地域住民で管理する体制づくりを初めとして、 元気な地域づくり交付金等の活用による都市住民の農業体験の充実や簡易な基盤の整備、 遊休農地の効果的利用などを地域住民や関係機関と協働しつつ進めてまいります。 こうした取り組みにより、 今後とも都市農業が新鮮で安全な農産物を供給するとともに、 生産活動を通じて防災や景観の保全、 あるいはゆとりある快適な生活空間の提供などの多面的機能を発揮するよう努めてまいります。
 次に、 東部地域の食肉センターについてであります。
 食肉センターは、 本県畜産業の健全な発展と消費者に安全で安心な食肉を供給するという使命を有していることから、 県では平成十年度に市町村などの施設設置者及び食肉関係者の合意のもとで静岡県食肉流通合理化計画を策定しております。 この計画に基づく県東部地域の食肉センターの統合につきましては、 地元市町や食肉関係者などが協議を進めてまいりましたが、 現在までのところ具体的な意見の集約は見られておりません。
 県といたしましては本年度、 牛や豚の生産・流通状況を分析し、 平成二十二年度を目標として県計画を見直すこととしており、 各地域の意向に基づき食肉センターの整備方針などの策定作業を進めてまいります。 この中で、 県東部地域の合意形成ができるような協議会の設置と具体的な地域計画の策定を支援してまいりたいと考えております。
○副議長 (中澤通訓君)  古川土木部長。
        (土木部長 古川博一君登壇)
○土木部長 (古川博一君)  高規格幹線道路ネットワークの早期構築についてお答えいたします。
 本県にとりまして、 高規格幹線道路ネットワークのかなめとなります第二東名自動車道の全線の早期供用と、 あわせて中央自動車道との間の規格の高い国道百三十八号バイパスで連結することは、 地域の活性化や災害時の備えの観点から大変重要であると考えております。
 御質問の第二東名御殿場ジャンクションから秦野インターチェンジまでの未着手区間につきましては、 県内区間の約十八キロメーターについて、 地元の協力として本県が中心線測量を実施し、 また日本道路公団では全区間について環境調査を実施するなど、 早期の事業化に向けての準備を積極的に進めているところであります。
 日本道路公団の分割民営化に伴い今後の高速道路整備については、 国土交通大臣が民営化会社との協議を経て会社設立の日から四カ月以内に、 現在建設中及び整備計画決定済みの道路のうちから整備する路線と会社を指定することとなります。 このため県といたしましては、 神奈川県や沿線市町と一体となり、 未着手区間について整備する路線としての指定と早期整備を国や民営化会社に強く働きかけてまいります。
○副議長 (中澤通訓君)  村松都市住宅部長。
        (都市住宅部長 村松靖則君登壇)
○都市住宅部長 (村松靖則君)  プロジェクト 「TOUKAI―0」 の推進についてお答えいたします。
 耐震診断は耐震補強の前提となりますことから、 一人でも多くの皆様に受診していただけるように努めているところであります。 まだ診断を受けていない木造住宅の所有者の皆様には、 七月に強化月間を設けキャンペーンを行うほか、 ブロック塀については建築防災週間等において個別巡回指導を行うなど一層の安全対策に取り組んでまいります。
 また、 さきに開催されました国の中央防災会議におきましては、 東海地震等における被害軽減に向けまして、 住宅の耐震化向上のための具体的な数値目標が打ち出されるとともに県内各市や民間団体等からも事業継続の要望がなされております。 県といたしましては、 国からの住宅耐震化等の地域目標策定の要請、 県民、 市町村の御意見やこれまでの助成制度活用の実績等を踏まえ、 事業の継続に向けまして総合的に検討していくとともに、 市町村、 民間団体等と一体となってプロジェクト 「TOUKAI―0」 のさらなる推進に積極的に取り組んでまいります。
○副議長 (中澤通訓君)  鈴木教育長。
        (教育長 鈴木善彦君登壇)
○教育長 (鈴木善彦君)  教育行政についてお答えいたします。
 総合的な学習の時間と生きる力の育成についてでありますが、 総合的な学習の時間は、 各学校が創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開し、 ゆとりの中で生きる力をはぐくむために設置されたものであり、 みずから学びみずから考える力をはぐくむとともに、 自己の生き方を考えさせる有効な時間であるととらえております。
 昨年度、 小学校で九八%、 中学校で八九%の学校が総合的な学習の時間に教育活動支援として地域の方々に参画していただいており、 小学校においては地域に根づいた遊びや史跡めぐりなど、 中学校においては伝統芸能や地域の産業などについて学習支援を受けるなど、 学校と地域が一体となって子供を育てる有効な機会となっております。 また高等学校においても、 多くの学校において地域の支援を幅広く得て、 勤労体験や福祉体験の学習などに取り組んでおります。
 今後とも、 各学校において実践された成果を広く共有しながら、 子供たちの生きる力をはぐくむための総合的な学習の時間となるよう、 改善充実に努めてまいりたいと考えております。
○副議長 (中澤通訓君)  これで池谷晴一君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 六月二十三日午後一時、 会議を開き、 質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会いたします。

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