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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成16年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

多家 一彦 議員

質問分類

代表質問

質問日:

03/01/2004

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○議長 (水口俊太郎君)  質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 四十六番 多家一彦君。
            (四十六番 多家一彦君登壇 拍手)
    ○四十六番 (多家一彦君)  おはようございます。 改めまして、 議長、 知事の胸に花博を歓迎するコサージュがつけられております。 ぜひ、 しかと、 きょうが初めてだと議場では思いますので見ておいてほしいと思います。
     私は自由民主党を代表して、 当面する県政の諸課題について質問をいたします。
     戦後の復興期から成熟の時を経て、 今、 我が国は大きく変革の時期にあります。 地方分権が着実に進み、 三位一体の改革のもと、 市町村の合併に向けての動きが県内においても急激に進んでおります。 こうした中で、 国、 県、 市町村の関係も大きく変わろうとしていると思うのであります。 住民に最も身近な市町村が、 みずからの知恵と力を発揮する地方自治が進展する中で、 これからの県行政が担うべき役割、 果たすべき責務はどうあるべきなのか、 大きく問われているところでもあります。 まさに、 県という行政体の真価が問われる正念場の時期にあると言えるのではないでしょうか。
     こうした中で、 これからの本県の進む道にある諸課題について、 知事の政治姿勢を伺うとともに、 関係部長、 教育長、 警察本部長にそれらの課題への取り組みについて、 伺ってまいりたいと思います。  初めに、 知事の政治姿勢のうち、 県の将来像について伺います。
     我が国では、 今、 地方のあり方が大きく問われております。 今後、 市町村合併が進展し、 さらには三位一体改革の行方等によっては、 都道府県、 市町村間の生き残りをかけた地域間競争が一層激しくなってくることが想定されます。 そのような地域間競争を、 静岡県は果たして勝ち残ることができるのでしょうか。 中には東京だけのひとり勝ちとの声も聞かれますが、 私は全国で十都府県程度は勝ち残れるだろうと感じております。
     今の日本は、 北は北海道から南は九州、 沖縄まで、 全国どこでも蛇口をひねれば水が出るし、 スイッチを押せば電気がともる生活環境に恵まれた国であります。 しかし今後進むべき道を誤れば、 日本国内においても十分な行政サービスを受けられず、 みずから道を切り開き、 明かりをともし、 水をくみ上げなければならないという事態にもなりかねません。
     静岡県はどこに向かっているのでしょうか。 今、 静岡県はミレーの落ち穂拾いのような晩秋のたそがれのときにあるのか、 陽春の薄明かりに当たるのか、 県民はそれもわからず日々の生活を送っているのであります。 現在の経済情勢、 あるいは国、 地方を通じた毎年の多額の財政赤字を考えると、 今後、 大きく予算が伸びていくことは到底望めません。 私は現状維持でも勝ち残れるように、 本県に力をつけていく必要があると考えているところであります。
     石川知事は、 政令県構想なども掲げ我が国の地方自治をリードする気概を示されておりますが、 静岡県の将来像をどのようにとらえられ、 そして今後のかじ取りをどうされようとしているのか率直なお考えを伺います。
     次に、 平成十六年度当初予算編成について伺います。
     最初に、 予算編成の考え方であります。
     本県経済は設備投資が回復を維持し、 輸出や生産が緩やかに改善している中で雇用環境も改善傾向にあると言われています。 しかしながら、 個人消費は横ばいの状態にあり、 多くの中小企業においては景気回復を享受できないでいるというのが実感であります。
     このような地域経済の現状に加えて、 切迫する東海地震への対応、 少子・高齢化社会への対応、 未来に向けた基盤づくりなど石川県政に求められる課題は多岐にわたります。 一方で市町村合併や三位一体の改革により、 地方行政の枠組みや財政構造の変化など地方自治体を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。 このような時代の変換点において、 知事は県政の基本理念としている富国有徳の実現のため、 どのような考えのもとに予算編成をされたのかまず伺います。
     次に、 三位一体の改革への対応です。
      「地方でできることは地方で」 のスローガンのもと、 小泉内閣が進める国と地方の財政改革である三位一体の改革は、 平成十六年度が改革元年となりました。 国は、 一兆三百億円の国庫補助負担金の廃止・縮小に加え、 一兆二千億円の地方交付税、 さらには地方交付税の代替である臨時財政対策債は、 一兆七千億円の大幅削減が行われました。 一方で税源移譲に関しましては、 所得譲与税の創設など五千八百億円にとどまったところであります。 このため、 予想を上回る大幅な地方財源の削減額であったことに加え、 内容が示されたのが年明けだったこともあり、 財源不足から予算編成をやり直す自治体、 また県税の空積みをして体裁を整えた自治体もあったと報じられております。
     この三位一体の改革は平成十六年度が初年度であり、 平成十七、 十八年度へと継続されていく予定であります。 地方自治体においては、 健全財政を確保するためたゆまぬ行革努力を続けていくことはもちろん必要ですが、 一方で投資的経費などこれ以上の歳出削減は限界にまで来ているのではないかとも思われます。
     そこで、 本県の平成十六年度当初予算編成における三位一体の改革への対応と、 今後の三位一体の改革の進展に対して、 どのように対応していくのか知事の御所見を伺います。
     次に、 市町村合併について伺います。
     現行の合併特例法の期限が一年後に迫る中、 県内各地で市町村合併に関する議論が重ねられております。 まずは、 関係される方々の地域の、 将来を見据えた取り組みに敬意を表したいと思います。
     地方分権が進展し市町村合併も進む中で、 広域自治体としての県のあり方について議論すべき時期に来ております。 国の地方制度調査会においても都道府県のあり方が議論されておりますが、 現行制度においても、 県として時代の変化を踏まえた行政改革を実現し、 高い行財政能力を発揮していくための取り組みを率先して進めていかなければならないものと考えております。
     こうした中、 県は出先機関の再編を今年度の行政経営会議の課題として、 本年四月に合併する御前崎町と浜岡町に関係する出先機関については、 合併を支援する観点から両町の合併と同時期に所管区域を暫定的に見直すという方針を昨年十一月に決定し、 それに沿って体制の見直しを進めています。
     市町村合併により、 来年四月には県内の市町村数は現在のおおむね半数程度になること、 また静岡市が県並みの権限を持つ政令指定都市に移行することが見通されることなど、 これまでの県と市町村の関係に変化が起きてまいります。 加えて、 地方財政について三位一体の改革を推進するという国の方針が掲げられる中で、 市町村のみならず県の組織体制についても一段と簡素、 効率化を進めていくことが必要になるものと考えます。
     このような状況を踏まえ、 県行政センター、 土木事務所などの出先機関について見直しを行うことが必要と思いますが、 どのように見直しを進めていくのか知事にお尋ねします。
     こうした見直しは、 知事部局にとどまらず教育委員会や警察本部についても言えるのではないかと思います。 教育委員会においては政令市の成立により、 教員人事を初めとするさまざまな事務が移管されますし、 警察本部においても行政区域の変更により、 警察署や交番、 駐在所の管轄や配置についても見直しが必要となるのではないかと思います。 市町村合併に伴う組織の見直しについて、 教育長、 警察本部長の御所見をあわせて伺うものであります。
     次に、 市町村への支援についてであります。
     現在、 県内の合併協議の中で、 合併後の市町村の建設計画の策定や合併協定項目にかかわる協議が進められております。 市町村建設計画は合併市町村のまちづくりのマスタープランとなる計画であり、 その中には合併市町村建設の基本方針や合併市町村建設の根幹となる市町村事業や県事業も盛り込まれることとなります。 その際に、 特に県に対して強い要望があるのは、 合併する市町村を結ぶ県道等の道路の整備であります。 厳しい財政事情の中、 県の道路関係予算も縮小する状況において、 新たな事業を展開するのは困難であることは重々承知していますが、 各市町村の合併協議が正念場を迎える今だからこそ県が要望にこたえる必要があると考えます。
     もう一点、 合併協議において課題となるのは電算システムの統合であります。 電算システムの統合は、 膨大な費用を要するとともに合併前に実施する必要があることから、 国でも特別地方交付税で経費の二分の一を措置することとしていますが、 それだけでは不十分であり、 県としても積極的に支援をしていく必要があると考えます。
     そこで、 県は各地域の合併協議で生じているこれらの課題に対して、 市町村をどのように支援していくのか知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、 地震対策について伺います。
     初めに、 地震財特法の延長についてであります。
     昨年は、 国の中央防災会議において東海地震対策大綱、 そして東南海・南海地震対策大綱が策定されるなど、 本県に甚大な被害を及ぼす巨大地震に関する政府の防災対策の基本方針が示されたところであります。 これらの大綱においては、 被害軽減のため避難対策の確立や地域における災害対応力の強化のほか、 公共施設の耐震化、 津波防災施設や避難地・避難路の整備、 消防や救助資機材の整備等の推進が定められております。
     本県では、 昭和五十五年度からいわゆる地震財特法に基づく地震対策緊急整備事業を、 さらに平成八年度からは地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業により地震防災施設の整備を推進してきておりますが、 これらの地震対策事業は現在どのような進捗状況になっているのかまず伺います。  また、 時限立法である地震財特法に基づく地震対策緊急整備事業については、 これまでに同法が四回延長され、 現在トータルで二十五カ年の事業計画に基づき推進してきておりますが、 この地震財特法は来年度末の平成十七年三月には期限切れになると承知しております。 東海地震の切迫性がますます高まる中、 県民の生命身体の安全を確保するためには、 引き続き地震対策事業を強く推進する必要があると考えますが、 地震財特法の延長に向けての今後の取り組みについて知事の御所見を伺います。  地震対策の二点目は、 プロジェクト 「TOUKAI−0」 の推進についてであります。
     県は、 全国に先駆けて市町村と連携して住宅の耐震化プロジェクト 「TOUKAI−0」 を立ち上げ、 早いもので三年がたとうとしています。
     これまでの実施状況を見ますと、 先行した耐震診断が約三万棟に対し、 耐震補強工事は制度開始二カ年でようやく千棟が見込まれるところまで来たと伺っておりますが、 耐震診断の実施の割には補強工事につながっていないと感じています。 東海地震の切迫性が指摘されている中、 県民の命を守る住宅の耐震化を地震対策の最重要課題として、 より一層積極的に推進することが大切であります。
     とりわけ、 高齢者や身体に障害のある方などは、 地震時にとっさの避難行動がとれません。 阪神・淡路大震災でも死者の多くが高齢者等であることを思い起こすと、 これら災害時に要援護者への対策を強化することが重要であると考えます。 また専門家による耐震診断で 「やや危険」 と診断され、 補強が必要とのアドバイスを受けたものの、 工事の実施を迷っている人もいると聞いております。 一人でも多くの県民の命を救うことの重要性を考えたとき、 これらの住宅にも補強を促す支援が必要であると思います。
     そこで、 住宅の耐震化を一層促進するため、 プロジェクト 「TOUKAI−0」 の制度を拡充することが急務と考えますが知事の御所見を伺います。
     次に、 少子化社会対策について伺います。
     現在我が国では、 経済成長に伴う所得向上や医療技術の進歩により、 他の先進国とは比較にならないほどの速いテンポで少子・高齢化が進行しています。 二〇〇二年一月の国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、 我が国の総人口は二〇〇六年に一億二千七百七十四万人でピークに達した後、 減少は避けられないとされております。 人口の減少は社会保障を中心とする公的部門の財政状況の悪化を招くと思われますが、 さらにこの推計を人口の年齢別構成で見ますと、 現役世代約三・六人で一人の高齢者を支える現在の状況が、 二〇二五年には約一・九人で一人、 二〇五〇年には約一・四人で一人を支える状況になると予測されています。 このとおり推移すれば、 社会保障費負担の世代間格差が広がり、 現役世代の労働意欲を低下させ、 経済成長を阻害するという悪循環に陥ることも懸念されます。
     国は、 次世代育成支援対策推進法等に基づき、 地方公共団体や民間企業と連携し、 少子化の流れを変えることを目指していますが、 現時点での出生率の動向は将来の人口構造を決定づけることから、 人口減少による労働力人口の低下は不可避であると思われます。
     昨年十一月に発表されました経済財政白書では、 人口減少のもとにおける経済成長の見込みに関して悲観論と楽観論から議論されていますが、 楽観的な見通しに近づくには、 減少する生産年齢人口の雇用確保や地域の経済産業対策を効果的に推進することが必要です。 今、 私たちに求められることは、 人口減少により労働力が減少してもできる限り経済成長を維持し、 人口減による将来の悪循環の発生を防ぐための取り組みを長期的な展望を持って開始することであります。
     県では平成十六年度に、 組織の強化を含め総合的な少子化対策を推進するとのことでありますが、 この取り組みについて知事の御所見をお伺いします。
     次に、 静岡空港に関し、 まず事業再評価の見通しと今後のスケジュールについて伺います。
     静岡空港の事業再評価については、 現在国において審査が行われ、 本年度末までには結論が示されるとのことでありますが、 現時点での国の審査状況はどうなっているのか、 また国における補助金継続の方針の見通しはどうなのかをお伺いいたします。
     また、 国は一般空港予算として個別空港ごとの予算額を明示しておらず、 再評価についても審査中であるなど国の動向が不透明な中、 平成十六年度当初予算案には空港本体部整備にかかわる予算として三十五億円が上程されておりますが、 その計上の考え方と開港時期に影響は生じないのか知事の御所見を伺います。
     次に、 空港への地元の思いと期待についてであります。
     静岡空港については、 強固に反対する本来地権者四世帯の方々との用地問題が膠着状態となる中、 このままでは最終的には土地収用の法的手続によらざるを得ない状況になってきています。 しかし考えてみますと、 万感の思いをもって父祖伝来の土地を提供していただいた大多数の地権者の皆さんを初め、 地域の方々は、 当初、 農業経営の継続など将来の生活にかかわる問題や自然、 生活環境の変化などへの不安が非常に大きかったと思うのであります。
     このため、 県では地元市町と協力しながら、 代替農地の確保を初め地権者の皆さんの生活上の不安を解消するための取り組み、 自然環境の保全対策などを懸命に実施してきたわけですが、 それが地元の方々の不安を解消し、 その期待にこたえ得るものであったかは非常に重要なことであると考えます。  そこで、 県の施策に対して、 実際に地権者を初め地元の方々がどのように受けとめ評価をされているのか、 また、 さらに進んで地元の方々が空港開港に向け、 どのような期待を持っているのかお伺いいたします。
     次に、 防犯まちづくりの推進について伺います。
     現在、 治安の悪化が全国的に大きな社会問題となっています。 昨年の刑法犯認知件数は全国で約二百七十九万件と件数では八年ぶりに減少しましたが、 殺人、 強盗、 放火などの凶悪犯罪は増加しており、 警察庁では治安は依然として深刻な状況としています。 国では昨年、 今後五年間で治安の危機的状況を脱することを目標とした犯罪に強い社会の実現のための行動計画を決定し、 世界一安全な国、 日本の復活を目指しています。
     本県においては、 国に先駆け、 防犯まちづくり行動計画を策定し県民会議を立ち上げるとともに、 今議会に防犯まちづくり条例を上程するなど県民との協働による防犯対策に行政がいち早く着手しており、 このことは現下の治安情勢に的確に対応しようとするものであると一応の評価はしております。  しかしながら、 私の住んでいる地域では、 既に何年も前から防犯協会が中心となって地域住民を巻き込んだ自主的防犯活動が活発に行われており、 今回、 県がこれらの住民活動とは別に、 新たに条例に基づく防犯活動や自主防犯組織の整備を自治会や町内会に求めるのであれば、 それはまさに屋上屋を重ねることになってしまうのではないかと懸念しております。
     そこで、 これら既存の自主的防犯活動と県が進める防犯まちづくりの施策をどのように整合させていくつもりなのかお考えを伺います。
     また、 今回提案された防犯まちづくり条例には、 県民や事業者に対する防犯上の努力規定が随所に盛り込まれていますが、 県民や事業者の努力による自主的取り組みを期待するだけでは、 なかなか防犯効果が上がらないのではないかと思います。 条例の実効を上げ防犯まちづくりを効果的に推進するためには、 県や警察による積極的な支援が必要であると考えますが知事の御所見を伺います。
     次に、 自然環境を生かした情報発信について伺います。
     山を愛する私にとって、 昨年、 世界自然遺産に推薦できる候補地の検討地域十七カ所のうちの二カ所に本県の山岳が選ばれたことは大変うれしいことでございました。 一つは御承知のとおり富士山であり、 もう一つは南アルプスであります。 どちらも国立公園に指定されており、 自然環境の保護に力を入れてきたところであります。
     特に南アルプスは氷河期時代から高山としてそびえ立ち、 高山植物約三百五十種が生育し、 植物分布の上からも重要な場所であります。 また絶滅が危惧され、 種の保存法でも保護されているライチョウ等が生息し、 全国に五カ所しか指定されていないうちの一つである大井川源流部原生自然環境保全地域を有するなど、 学術的見地からは富士山以上に価値があるともいわれています。
     どちらも、 最終的な世界自然遺産候補地の決定には至りませんでしたが、 県はこの貴重な自然環境の情報を的確に国内外に十分発信しているのかどうかと、 ふと感じたところであります。
     ところで、 世界自然遺産に指定されている白神山地では、 指定された後に内外の観光客が訪れるようになり、 観光施設や土産物店などができ新たな雇用も生み出される一方で、 来訪者が増加したことにより、 ごみや交通量も増大し、 また観光客が地表を覆う腐葉土やコケを踏みつけ、 中には根がむき出しになった木もあるなど自然破壊の進行も危惧されているようであります。
     そんな中、 環境省は新しいタイプのエコツーリズム推進事業に乗り出し、 自然環境に十分配慮しながら自然との触れ合いを進め、 地域経済を盛り立てていく考えであると聞いています。 これまでのエコツーリズムは、 貴重な野生生物や原生的な自然環境のみを対象としていましたが、 里地里山と呼ばれる身近な自然にも目を向け、 農業体験や環境教育を目的とする修学旅行、 植林や里山管理などの環境保全活動にも枠を広げ、 さらにそれを地域振興につなげようというねらいがあるようです。 こうした考えは、 既に本県の奥大井・南アルプスマウンテンパーク構想の中で、 自然環境保全と活用の仕組みづくりとして検討されており、 その実践を期待するものであります。
     私は人間が自然を改変せざるを得ない存在である以上、 改変すなわち開発によって得られる利益とそれによって失われる価値の調和点を考えつつ、 本県の豊かな自然環境を後世に引き継いでいく責務があると考えます。 そのためにも、 本県の持つすぐれた風景や植物を初めとした野生生物の情報を積極的に発信する必要があると考えますが県の御所見を伺います。
     次に、 石川知事が当初予算において、 四Kの一つとして特に力を入れられた健康福祉行政について何点かお伺いします。
     初めに、 乳幼児等の医療費助成制度についてであります。
     我が党では、 さきの十二月定例会本会議において、 須藤議員から乳幼児医療費助成の拡大に対し県民から極めて大きな要望があることを訴え所見を伺ったところでありますが、 県当局は、 制度拡大の必要性については一定の理解を示したものの、 大きな財政負担を伴うことに対し二の足を踏んでいるように思われました。
     確かに、 財政状況が非常に厳しいことは承知しておりますが、 しかしながら、 そのような中であっても、 県民生活に身近で将来の本県の発展に不可欠な施策については積極的に打って出る施策の重点化が必要であり、 活力に満ちた郷土づくりのためにもなると信じております。
     乳幼児医療費助成については、 今年度のすべての定例会において、 我が党を初め各会派からその拡大を求める意見が出されておりますが、 今回の当初予算案を見ますと、 制度拡大を見込んだ事業費にはなっていないようであります。 県当局は、 平成十六年度の戦略展開知事方針書において少子化対策を重要な政策テーマと位置づけておりますが、 その具体化を図る意味でも乳幼児医療費助成の拡大は、 ぜひとも早期に対応すべきであると考えております。
     また、 同じ県単独医療費助成制度である重度障害者医療費における助成対象の拡大や母子家庭等医療費助成制度における利便性の向上などについても、 制度間のバランスを図る観点から検討が必要であると思われます。
     私はこの際、 県民からの強い要望を受けとめて、 助成対象の拡大や支給方法の改善に県が踏み出すことを強く期待します。 また厳しい財政事情のもとでこれらの改善を行うためには、 県単独医療費助成制度について医療保険や介護保険とのバランスも踏まえて制度内容を見直すことが必要であると考えます。
     そこで、 乳幼児医療費等、 県単独の医療費助成制度の改善、 見直しについてどのように考えるのか知事の御所見を伺います。
     次に、 高齢者の在宅介護施策の充実についてであります。
     我が国の平均寿命は着実に伸び続け、 今や長寿化の進行は世界一の水準となり人生八十年時代が自然なものとして受けとめられています。 こうした中、 だれもが健康長寿を全うしたいと願っているのは言うまでもありませんが、 同時に寝たきりや痴呆になることへの不安を胸に抱かない人は少ないのではないでしょうか。 また介護が必要になった場合には、 家族になるべく負担をかけずに安心してサービスを受けることができ、 できる限り住みなれた家や地域で生活を続けていきたいと多くの人が望むのは当然のことと思います。
     介護保険制度は、 こうした人々の切実な願いにこたえるため、 高齢者介護を社会が連帯して支える総合システムとして平成十二年度に新たに創設され、 既に四年が過ぎようとしています。 この間、 関係の皆さまのたゆまない努力によって制度は着実に定着し、 サービスの利用も順調に伸びていると聞いております。
     しかし、 一方で特別養護老人ホームについては入所申込者が急増しており、 これに応じて施設整備の推進を望む声は強く、 県においてもこうしたニーズにこたえ、 特養の整備を積極的に進める考えだと聞いております。
     私も施設整備の重要性は理解しておりますし、 県の対応も評価したいと考えております。 しかし、 ここで言っておきたいのは、 施設整備を重視する余り、 在宅重視の理念を置き去りにしてはならないということであります。 そして、 在宅サービスの充実を図り介護の負担を軽減することが高齢者介護施策の基本であり、 また財政上の観点からも好ましいことであると私は考えております。
     そこで、 介護保険のこれまでの実績を踏まえて、 在宅介護施策の充実に向けて県としては今後どのように施策展開していくお考えかを伺います。
     次に、 地域における保健師の役割についてであります。
     平成九年に施行された地域保健法により、 それまでの保健師の役割であった住民に身近で直接的な保健サービスは市町村保健師の役割となり、 県の保健師は専門的で広域的な保健サービスを担うこととなりました。
     現在、 急速な高齢化に伴う疾病構造の変化により生活習慣病が増加していますが、 我々の生活習慣を見直し、 健康の保持増進と病気にならないようにするための環境整備に重点を置くという一次予防の視点での施策が重視されています。 また少子化、 核家族化が進展する中で、 児童虐待など深刻な問題への対応を含めた次世代への育成支援対策やストレスケア対策の重要性が増しています。
     厚生労働省の平成十四年度調査によりますと、 児童相談所における児童虐待相談処理件数は二万三千七百三十八件に上り、 平成十年度の児童虐待相談処理件数六千九百三十二件の三倍強になっています。 これは平成十二年度に児童虐待の防止等に関する法律が成立し、 広報啓発などの対策に積極的に取り組んだことにより、 相談、 通告が促進されたことなどが考えられると思います。 さらに大規模災害などに対する健康危機管理への県民の意識の高揚、 SARSや結核、 O157等による集団感染症の発生等総合的な健康施策が必要となってきています。
     住民の健康の保持増進を目的とする基礎的な役割を果たす市町村の保健師と広域的で専門的な健康課題への対応を担う県保健師の活動は、 時代の要請とともにその活動のあり方も変わるべきだと考えております。
     そこで、 新しい地域保健活動の展開がますます重要なものとなってきている中、 その地域保健対策の主要な担い手である保健師の活動のあり方について県としての考え方を伺います。
     次に、 産業力を強化するためのインフラ整備について伺います。
     最近の本県企業の活動状況を見てみますと、 それぞれ非常に頑張って経営しているものの、 経済のグローバル化による厳しい価格競争などにより、 売り上げの減少や企業収益の悪化などに直面している企業が多いように感じられます。
     このように厳しい状況に置かれている企業が円滑な生産活動をしていくには、 その活動の基礎となる工業用水などの資源が安定的に供給されていくことが必要でありますが、 現状では地下水のくみ上げ量や表流水の減少などにより、 事業活動に十分な水が供給されていない地域が生じております。
     また、 環境問題の高まりの中で、 平成十二年には循環型社会形成推進基本法により、 すべての企業者に廃棄物処理の義務が課せられました。 県内の廃棄物処分場の状況を見ますと必ずしも十分な処理容量が用意されておらず、 産業廃棄物の処理問題は本県で企業活動を行う上での大きな課題であり負担ともなっているところであります。
     さらに、 地球単一市場が進む中で、 国際競争に打ち勝てるスピーディーなビジネス展開や効率的な物流を実現していくためには不可欠な道路、 港、 空港などの産業インフラの整備を進めるとともに、 今後とも着実な企業の生産活動を支えるために必要なこれらの社会的コストの引き下げを図っていくことが必要となってきております。
     こうした中で、 厳しい経営状況にある県内企業にとってのさまざまな負担の軽減を図り、 企業活動を活発にし、 本県全体の産業力を元気にしていくためには、 工業用水や産業廃棄物処理施設、 道路、 港、 空港などのいわゆる産業インフラの整備が必要不可欠であると考えますが県としての考えを伺います。
     また、 産業インフラの整備を行うに当たって、 県としてどのような施策を講じていこうとしているのかをあわせて伺います。
     次に、 本県の農業振興について伺います。
     農業は、 人の命を支える食料を供給するという人類の生存の上で最も基本的な役割を担っているとともに、 その活動を通じて、 県土保全や水資源の涵養など人々の暮らしや地域の環境を守る役割も果たしております。 しかし近年の本県の状況を見ますと、 担い手の減少や高齢化により、 品質の低下や生産量が減少する産地や管理できない農地もふえて、 農地の荒廃のみならず景観や県土保全機能の低下を招きかねない集落も出てまいりました。 また海外からの農産物の輸入増加等による影響や昨年の長雨冷夏などに見られるような気象不順のため、 生産者の生産への不安も大きくなっているところであります。
     このような中、 国におきましては、 農政の基本指針であります食料・農業・農村基本計画の見直しを進めているところであります。 既に米政策の抜本的改革が平成十六年度から行われるとともに、 農業委員会組織や農業改良普及制度などの農政を推進する上でのかぎとなる組織や制度の見直しが行われております。
     相次ぐBSEや鳥インフルエンザの発生で、 食の安全・安心問題を契機に県民の農業そのものに対する関心も高まっておりますが、 農政を推進していく上で、 今は大変重要な時期であると考えます。 このため、 我が自民党では現在、 本県農業者が今こそ元気にならねばとの観点に立って条例制定を検討しているところであります。 このようなことを踏まえながら、 県として今後どのように本県農業の振興を図っていくのか伺います。
     次に、 土木行政について伺います。
     初めに、 高速道路の整備の見通しについてであります。
     これからの国土政策は、 地方の個性や多様性を生かした特色ある地域づくりを目指すことが重要であり、 これを実現するためには、 都市と地方の連携をより深める社会資本である高速道路の整備が必要不可欠であります。 また本県においては、 全県を挙げて地震対策を進めているところでもあることから、 地震発生後の緊急輸送路として期待される第二東名自動車道や中部横断自動車道の整備が切望されているところであります。
     高速道路の整備の見直しについては、 一昨年の道路関係四公団民営化推進委員会の設置以来、 約二年間にわたり地方の声や実情を無視するかのような議論が続き、 一時は第二東名自動車道の建設凍結が話題になるなど大変な危機感を覚えました。 こうした中、 昨年末に政府与党協議会において、 道路関係四公団民営化の基本的枠組みが決定するなど、 ようやく高速道路整備の制度改革の方向性が見えてきたのではないかと考えます。
     今、 道路関係四公団民営化関連法案が今国会へ提出されようとするなど、 今後の高速道路の整備を左右する大切な時期に来ていると思われます。 本県にとって大変重要である第二東名自動車道及び中部横断自動車道の整備の見通しについて伺います。
     次に、 港湾の保安対策への取り組みについてであります。
     平成十三年九月にアメリカで発生した同時多発テロ事件以来、 人と物の交流拠点であり、 世界に開かれた窓口である港湾においても、 テロへの確実な対策が求められております。 平成十四年十二月に国際海事機関において海上人命安全条約が改正され、 国際貨物船等が使用する世界各国の港湾は、 この改正条約の発効日である平成十六年七月一日までに間に合うように、 テロ事件を未然に防ぐための保安対策を講じることが義務づけられました。
     本県は、 清水港を初め、 田子の浦港、 御前崎港と国際貿易を活発に行う港湾を抱え、 オートバイや自動車の輸出など国際貿易の取扱貨物量は三港合わせて年間千三百万トンに達しており、 これらの港湾は、 ものづくり県である静岡県を支える重要な基盤となっております。
     このような中で、 保安対策への対応が不十分であれば、 港湾の安全や県民の安全確保に影響を与えることも予想されるほか、 本県港湾に対する世界各国からの信頼が損なわれることになります。 特にアメリカは、 保安対策が十分ではない港湾からの船舶の入港を拒否することもあり得ると聞いており、 本県の貿易への影響も憂慮されるところであります。 港湾の保安対策の実施は、 今後、 港湾に対する評価を左右する重要なポイントとなるものと考えておりますが、 保安対策の実施に対する県の取り組みを伺います。
     次に、 中学校一年生支援プログラムについてお伺いします。
     本県においては、 従来から児童生徒一人一人に応じたきめ細かなチームティーチングや習熟度に応じた少人数指導を行い、 成果を上げていることは承知しております。 一方で、 小中学校における発達段階をかんがみますと、 中学校一年生の時期は、 小学校では一人の先生が授業を受け持つ担任制であったものが授業ごとに先生が変わる教科制に変更されることや、 思春期による心の不安定期に当たることなど、 不登校の急増、 学力面の不安増大など大きなターニングポイントとなっております。
     その対応策として県教育委員会では、 学習面、 生活面において大きな発展期に当たる中学校一年生への支援を一層充実するために、 新たな取り組みとして中学校一年生支援プログラムを計画していると承知しております。 その中で、 従来の少人数指導の充実とともに、 学級の弾力化による少人数学級の導入が可能になるとのことであります。 この弾力化については、 あくまでも学校が主体となって、 子供や地域の状況を勘案した上で少人数指導あるいは少人数学級を選択できるとも聞いております。
     しかしながら、 私は子供の心の安定や学力向上の観点から見れば、 少人数指導や少人数学級が効果的であるのはわかりますが、 社会性や人間性の醸成という観点から見れば、 ある程度多人数集団による練り合いの場も必要ではないかと考えております。 また中学校一年生を支援するという観点からは、 ほかにもさまざまな施策があり、 これらを総合的に推し進めることが重要であると考えます。
     そこで、 本県における中学校一年生支援プログラムの考え方と、 今後の見通しについて教育長の見解をお伺いいたします。
     最後に、 静岡県警察緊急治安対策プログラムについて警察本部長に伺います。
     県内の治安情勢は、 一昨年、 刑法犯認知件数は過去最悪を記録し、 凶悪犯罪や悪質な交通事故が多発するなど憂慮すべき治安情勢下にあります。
     県警では、 平成十五年を治安回復元年と位置づけ、 急増する街頭犯罪、 凶悪化している少年犯罪、 来日外国人犯罪等の抑止、 検挙に努めた結果、 刑法犯認知件数は前年比マイナス七百三十三件の六万二千二百七十五件と、 急増傾向にあった犯罪の発生を減少に転じさせるとともに検挙件数も検挙率も増加するという結果でありました。 しかし侵入窃盗や殺人、 強盗などの凶悪犯罪は依然として増加しており、 交通事故死者数は三百人以下であったものの増加数は全国一という不名誉な記録となるなど、 治安に対する県民の不安は一層増大いたしております。
     水田警察本部長は、 四年ぶりに行われた県警の年頭の視閲式やその後に行われた県下警察署長会議において 「組織を挙げて取り組んだ街頭犯罪対策で犯罪の総数は減少」 と昨年までの活動に一定の成果を示しつつ 「増加した強盗や忍び込みなどの犯罪が体感治安を悪化」 との認識を示しております。 治安回復のため、 平成十三年度から三年間で五百二十人の警察官が増員され、 さらに平成十六年度も八十五人の警察官の増員が内示され、 今定例会にも関係条例が上程されておりますが、 警察官の増員だけで治安が回復するわけではありません。
     昨年十二月、 犯罪対策閣僚会議は犯罪に強い社会の実現のための行動計画を策定し、 「犯罪の増加傾向に歯どめをかけ、 国民の治安に対する信頼回復を目指す」 と表明しております。 県警では、 警察庁が示した緊急治安対策プログラムを踏まえ、 県警版緊急治安対策プログラム――いわゆる県警マニフェスト――を策定し、 今後の業務運営の大きな柱の一つと説明しています。
    ○議長 (水口俊太郎君)  多家一彦君時間です。
    ○四十六番 (多家一彦君)  そこで、 今回策定した静岡県警察緊急治安対策プログラムをどのように実現していくのか警察本部長の所見を伺いまして、 私の質問を終わります。 (拍手)
    ○議長 (水口俊太郎君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  多家一彦議員にお答えをいたします。
     初めに、 私の政治姿勢についてのうち、 県の将来像についてであります。
     本県は、 先人のたゆまぬ努力により、 今日、 全国でも指折りの雄県としての地歩を占めるに至っております。 この豊かさをさらに発展させ将来に引き継ぐとともに、 高い志を持ってその豊かさを有意義に生かしていこうという挑戦を、 目下行っているところであります。
     現在、 国、 地方を問わず、 財政は依然厳しい状況にありますものの、 本県はこれまでの取り組みや県民の皆様の御努力により、 最新の統計資料によりますと製造品出荷額等が全国第三位、 企業立地件数が全国第一位、 これらを背景に県民一人当たりの県民所得が全国第四位、 失業率は低い方から第五位となるなど、 ものづくり県としての実力を遺憾なく発揮し、 よい結果を獲得しております。
     また、 JCRという格付会社がことし一月に発表した市場公募債の発行団体の格付においては、 公募債発行二十九団体の約半数が評価を下げる中で、 本県は依然最上位のダブルAプラスを堅持し、 昨年夏のもう一つ別のR&Iという格付会社の評価に引き続き、 財政運営に対しても高い評価をいただいているところであります。
     今後、 多家議員御指摘の、 地域間競争がさらに本格化していく中で、 政令県構想など国と市町村の間に立つ新たな広域自治体のあり方を提唱し、 時代をリードする気概を持つとともに、 豊かな自然環境や全国有数の技術力、 経済力などの本県の強みを生かして、 健康福祉や教育、 人づくりの充実を初めとする四K立県の推進や静岡空港の整備、 ファルマバレー構想の推進などを通じて、 本県の魅力に一層の磨きをかけ、 有徳の志を持った感性豊かな人々が活躍する、 真に豊かで活力に満ちた、 世界に誇り得る富国有徳の魅力あるしずおかの実現を目指してまいります。
     次に、 平成十六年度当初予算編成についてのうち、 まず予算編成の考え方についてであります。
     平成十六年度当初予算は、 国における地方税財政の三位一体改革により、 地方交付税等が大幅に削減されるなど大変厳しい財政環境下での編成となりました。 県といたしましては、 富国有徳の魅力あるしずおかを実現するため、 全国で初めて本格的な新公共経営手法を導入し、 自民党からの御提言も踏まえながら、 県民ニーズの高い環境、 健康、 教育、 交流の四つのKと産業基盤の強化に重点化するなど県民満足度の向上への挑戦を徹底して、 成果を重視する予算として編成いたしました。
     予算案の内容ですが、 陸・海・空にまたがる交流基盤整備や確かな学力の育成など未来を開く人づくりを初め、 子育て支援対策や地域保健福祉対策、 東海地震対策など安心と安全の社会づくりを進めるとともに、 健康産業集積構想の推進や新規立地企業への助成など元気な産業づくりと雇用対策の強化を図り、 地域経済の再生と産業の活性化に積極的に取り組むこととしております。 また市町村合併支援のための重点道路整備や有料道路無料化、 合併特別交付金など市町村合併への支援強化、 行財政構造の改革に向けた的確な対応を図ってまいりたいと考えております。
     次に、 三位一体改革への対応についてであります。 平成十六年度当初予算におきましては、 国庫補助負担金の廃止、 縮減に伴い所得譲与税と税源移譲予定特例交付金が創設をされ、 引き続き本県が主体となって実施する必要のある事業は所要額を計上するとともに、 財源措置のない事業についても、 県行政を推進する上で真に必要と認められる事業は県単独で実施することといたしました。
     一方、 地方交付税とその振りかえである臨時財政対策債については、 総額が大幅に削減をされましたが、 今年度の県税の増収見込みや経費の節減などの財政運営により基金を確保することができましたことから、 十六年度当初予算においては、 これらの基金を活用することにより、 財政健全化債の発行を行うことなく財源不足の解消を図ったところであります。
     今後、 平成十七、 十八年度も引き続き三位一体の改革が実施されることとなりますが、 本県としては新公共経営手法を活用し効率的で県民満足度の高い行政サービスを提供する一方で、 徹底した行財政改革に取り組み行政のスリム化を進めてまいります。
     さらに、 真に県民に必要な行政サービスを地方がみずからの責任で選択できる行財政システムの確立のために、 国に対しては、 基幹税である所得税、 消費税による税源移譲を実施するとともに、 交付税の改革に当たっては、 行政サービス水準と財源保障とのバランスを踏まえて、 基本方針を明確化した上で五年程度の中期的な見通しに立って進めることを強く働きかけてまいる考えであります。
     次に、 市町村合併についてのうち、 まず県組織の見直しについてであります。
     市町村合併の進展や政令指定都市の誕生、 これらに伴って、 県の役割も、 あるいは県の出先機関の管轄区域も改正が迫られることになります。 現在、 行政経営会議において、 平成十七年度にこれらに向けた対応がきちんと図れるように、 出先機関の管轄区域の見直し等作業を進めているところでございます。 検討に当たりましては、 現行の行政サービスや防災機能を基本的に低下させることのないように十分配慮しながら、 ことしの夏ごろまでには見直しの基本的な方針をまとめて、 県議会や市町村等関係の皆様にもお示しをし、 御意見を伺いながら内容を固めていきたいと考えております。 ということでありますので、 よろしくお願いしたいと思います。
     次に、 市町村への支援についてであります。 合併市町村を結ぶ県管理道路の整備につきましては、 合併協議が進んでいる県内各地域から多くの要望が寄せられていることを踏まえまして、 従来の道路整備事業に加えて、 新たに今後五年間で二百五十億円程度の事業費を投入して道路整備を図る必要があるという考えに立ちまして、 県単独の合併支援重点道路整備事業を創設することとし、 平成十六年度当初予算におきましては三十億円をお諮りしているところでございます。
     また、 四月に誕生する伊豆市におきましては、 旧町間を連結する有料道路――船原トンネル及び西伊豆スカイラインについて、 この夏には順次無料化を実施するべく手続を進めることとしております。 これらの事業の推進によりまして、 合併市町の一体性の速やかな実現を図っていきたいと考えております。
     電算システムの統合経費への支援につきましても、 市町村合併特別交付金制度の改正を行いまして市町村議会の合併議決を条件として、 合併前にも交付できるようにいたす考えであります。
     今後とも、 市町村の合併協議が円滑に進むよう、 市町村のニーズを踏まえて積極的に支援をしてまいります。
     次に、 地震対策についてのうち、 まず、 地震財特法の延長であります。
     地震対策事業の進捗状況でありますけれども、 地震財特法に基づく地震対策緊急整備事業の進捗率は、 昭和五十五年度から平成十六年度までの二十五年間の計画事業費総額七千七百七十四億円に対して、 平成十五年度末で進捗率は九三・八%の見込みであります。
     一方、 阪神・淡路大震災を契機に制定されました地震防災対策特別措置法というものがありまして、 これに基づく地震防災緊急事業も本県は取り込んで実施をしているところでございます。 平成八年度から十七年度までの十年間の計画事業費二千七百十一億円に対して、 平成十五年度末で七四・四%に達する見込みであります。
     このうち、 地震財特法は施行から二十四年間、 本県の地震対策の推進に大きく寄与してまいりましたけれども、 来年度末で五回目の期限切れを迎えることになります。 しかしながら、 先ほど申し上げましたように、 現行の計画期間内では達成できそうもないという見通しもあります上に、 国の東海地震対策大綱や東海地震緊急対策方針を踏まえますと、 今後整備すべき公共施設の耐震化であるとか、 消防施設の整備など残事業も見込まれておりますことから、 地震財特法を延長し、 より一層対策の前進を図る必要があると考えております。
     そこで、 本県といたしましては、 県議会の御支援もいただきながら、 県内市町村や関連する強化地域の関係七都県と連携を図って、 国に対して強く延長の要望をしてまいりたいと思います。
     次に、 プロジェクト 「TOUKAI−0」 の推進についてであります。 耐震補強助成につきましては、 二月二十五日現在、 昨年度の三倍に当たる七百七十三件の申し込みがあります。 しかし目標からするとまだまだの感がございます。 目標は四けたにしたいという目標でありましたけれども、 いまだしという感じでございます。
     県では、 これまでシンポジウムや講演会、 テレビコマーシャルなどさまざまな形で耐震補強の必要性を県民の皆様に呼びかけてまいりました。 また建築関係団体によって推進協議会が設立をされ、 会員による相談会の開催など耐震補強への独自の取り組みも見られるようになりました。 このような中で、 県民の皆様や関係団体から補助対象の拡大や高齢者世帯への上乗せ助成等について、 多くの意見、 要望が寄せられました。 そこで、 現在の補助対象である大破や倒壊の危険性がある住宅に加えまして、 やや危険な耐震評点一・〇未満の住宅も対象とするとともに、 新たに高齢者や身体に障害のある方などの世帯には、 市町村と協調して、 おのおの十万円、 計二十万円の割り増し助成を設けることといたしました。
     住宅の耐震化は、 阪神・淡路大震災の貴重な教訓からも、 東海地震における人命被害を防ぐ意味で最も有効な手段であると考えます。 地震発生後の早期復旧、 復興を図る上でも重要でもありますことから、 今後ともこの制度が県民に一層活用されるよう市町村と一体となって積極的に推進をしてまいります。 市町村においても、 高齢者以外の一般世帯への上乗せ補助をする団体もちらほら出てまいりました。 こういう動きの拡大も期待しているところでございます。
     次に、 少子化対策についてであります。
     少子化の原因となっている、 晩婚化による未婚率の上昇や夫婦の出生力の低下などは、 国民一人一人の生き方に深くかかわる事柄であることから、 この対策に当たっては、 国、 地方ともども、 現実を直視し、 将来を見据えた本格的な取り組みが不可欠であると認識をしております。 このため県といたしましても、 仕事と子育ての両立支援、 保育サービスの充実や生活環境の整備など少子化の流れを変えることを念頭に置いた施策を一層強化し、 子供を安心して産み育てることができる環境を整備してまいる考えであります。
     しかしながら、 こうした対策を講じていく一方で、 近い将来の人口減少は避けられない情勢でありますことから、 少子化社会において懸念される諸問題の影響をできる限り緩和する必要も生じてまいります。 したがって、 多家議員御指摘の経済問題への対応としては、 地域経済の活性化のほか、 女性の就業支援、 あるいは高齢者の就業延長など地域における健全な雇用環境の確保に努めてまいります。  少子化をめぐる対策は、 産業や教育など幅広い分野における対応が求められるところであります。 そこで企画部に新設をいたします少子化対策スタッフを中心に、 少子・高齢化対策特別委員会の提言を踏まえ、 県庁全体で総合的な取り組みを進めることとしております。 また来年度は、 次世代育成支援対策推進法によりまして、 市町村並びに従業員が三百人を超える企業においても行動計画の策定が義務づけられることになりました。 県といたしましても、 それらと連携を図って数値目標の設定など実効性のある行動計画の策定に取り組んでまいります。
     次に、 静岡空港についてのうち、 まず事業再評価の見通しと今後のスケジュールであります。
     事業再評価につきましては、 国土交通省においてこれまで三回の検討委員会の航空部会が開催されております。 この部会では、 県から事業評価監視委員会の意見に対する取り組み状況などの報告を受けるとともに、 航空会社、 有識者等からヒアリングを行い、 静岡空港について全国的な航空ネットワークの視点等から審査を行ったところであります。 今後、 国土交通省では今月末に最終の部会を開催し、 その後省議に諮った上で最終的な決定をすると伺っております。 これまでの部会におきます審議状況などを踏まえますと、 国土交通省において補助金継続の判断をしていただけるものと期待をしております。
     また、 空港本体部に係る来年度の当初予算につきましては、 国の予算の厳しい状況を踏まえ、 平成十八年度の開港を念頭に必要となる額を厳しく精査し、 計上するとの考え方によるものであり、 現時点においては開港時期に影響を生じないものと考えております。
     次に、 地元の思いと期待についてであります。
     空港建設に当たりましては、 地元の皆様の農業経営を中心とした将来の生活にかかわる問題や自然環境の変化への不安などに対応し、 県では大規模農地開発事業の実施や農業機械化への助成、 自然生活環境の保全対策等に精力的かつ継続的に取り組んできたところでございます。 その結果、 地元の皆様から農地開発による省力化の実現や次代を担う農業後継者の輩出、 地域住民の環境意識の向上など、 さまざまな観点から多くの肯定的な意見が寄せられております。
     例えば、 農地開発によって乗用型が導入できる茶園の整備によって省力化が図られると同時に、 高齢化、 担い手不足で茶業の先行きが不透明であったけれども、 地域が生き生きしてきたと。 規模拡大によって息子が就農したとか、 あるいは空港への土地の提供を契機に息子が希望していた施設園芸に経営転換することができたなど、 そのために息子が意欲的に農業に従事し、 将来が楽しみであるというような声も出ております。
     また、 乗用型機械の導入は、 当該地域の茶の生産に大変プラスの効果が出てまいっております。 これは茶工場の再編整備とも相まって、 再編前の平成十三年と再編後の十五年を比較いたしますと、 大体平均で一割ぐらい荒茶の販売価格がアップしております。 ちなみに、 静岡茶市場のこの二年間の平均取引額には単価に差がなかったにもかかわらず、 この地域においては茶園整備と茶工場の再編によりまして、 取引高が一割程度アップするというような成果も出てきておりまして、 大変農家の方々も意欲的に今後に向けて取り組む機運が高まっておるところでございます。
     また、 環境の問題などにつきましても、 環境巡視員をお願いしている方からは、 一時聞かれなくなったカジカガエルの美しい鳴き声が再び聞かれるようになってうれしいとか、 地元調査のおかげで、 地元の人も知らなかった貴重なものまで見つけてくれてありがたかったと、 地域の人の関心も高まってきたなどの効果も出ております。 そのように、 いずれにしてもこの空港関連事業による成果も上がりつつあるところでございます。
     また一方で、 地元の皆様の間では、 空港を核とした地域づくりに取り組むことによって、 国内外との交流の拡大や地域振興などさまざまな効果を発揮するなど、 開港に向けた期待が高まっております。 こういう中で、 地域の皆様が主体となって、 経済人を中心に具体的な地域振興に関するアイデアを取りまとめる動きが出てきたり、 広く住民が参加する形で静岡空港一番機へ乗る会が設立され、 既に千名を超える方が加入するなどに加えて、 その方々が国内外へのポートセールスを行うなど積極的な動きも出てきておるところでございます。 さらに二週間ほど前でしたか、 地元において女性の方々が中心となった空港の早期開港を目指すための組織も結成され、 あちらこちらへアピールを開始をされたところでございます。
     県といたしましては、 今後ともこうした評価や期待に沿うように、 農業対策などの関連事業を含めて着実に空港整備を進めてまいりたいと考えております。
     なお、 今月二十八日に、 日本航空――JAL――と全日空――ANA――が成田から浙江省の蕭山空港へ一日一便、 週五日、 定期便を就航させることになりました。 この機会に、 せっかくであるから私と県議会議長に一番機に乗ってほしいという要請が現在来ております。 日程を調整して、 それにこたえて私も行ってきたいと思いますが、 ダイヤを見ましたら行ってこようと思うと日帰りできるような状態でございます。 ただし、 静岡空港ができておればの話であります。
     残念なことに、 朝九時半発の便でありますので、 どうしても前泊をせざるを得ませんが、 今後浙江省におけます経済発展が相当な勢いで見込まれております。 人口は四千七百万人の浙江省であります。 これは台湾の人口が二千二百万人ぐらいでありますから、 それよりはるかに大きい二・何倍の人口の浙江省、 一省だけで考えても、 物すごい人口を抱えた地域が、 すごい勢いで経済発展をしてまいっておりますから、 向こうからも日本にいろんな理由で渡航したいという人もあります。 こちらからも向こうへ行く必要や要望も出てまいります。 したがって、 そういうことを考えますと、 この浙江省一省とってみても、 大変静岡空港にとっては、 非常に今回の就航は意味あることだと、 積極的に協力をして今後につなげたいと考えておるところでございます。
     次に、 防犯まちづくりの推進についてであります。
     防犯まちづくりは、 住民相互が見守り合い、 助け合う地域の力で犯罪の起きにくいまちづくりを進めるものであって、 治安の確保のためには、 地道ではありますが最も効果的で確実な方法であると考えております。
     多家議員御指摘のように、 もう既にそのような組織はいっぱいあるじゃないかと、 議員の地元の地域でもそういう活動が活発に行われてるというお話でございました。 私もそのとおり、 そういう地域もあることは承知をしておりますし、 今回の防犯まちづくり条例によって屋上屋の組織をまたつくろうということではございません。 全県見回すと必ずしもそのような活動が活発だとも言えない地域もありますし、 あるいはまた、 そういう防犯を直接目的としなくてもさまざまな地域活動を行っている団体がたくさんございます。
     したがって、 この防犯まちづくり条例では、 改めてそういう各種の地域活動を行っている団体にも防犯という観点、 それも地域で連携して防犯活動を行う、 あるいは防犯の視点を地域活動の中に加えていただくというようなことを呼びかけるきっかけにしたいと、 そういう意図もあるわけでございますので御理解をいただきたいと思います。
     また、 条例の制定以外に、 十六年度当初予算におきましても、 地域ぐるみの防犯活動への助成や県営住宅の防犯対策、 スーパー防犯灯の整備などに要する経費を計上いたしまして、 県民の皆様との協働による防犯まちづくりに本腰を入れて取り組んでまいる考えでございます。
     次に、 健康福祉行政についてのうち、 乳幼児等の医療費助成についてであります。
     乳幼児等に対する県単独の医療費助成制度の充実改善につきましては、 かねてより乳幼児の保護者を初め、 県内の各方面からも強く要望が出されてまいりました。 県民福祉の向上と少子化対策の重要な柱の一つであるとの観点から、 何とか実現をさせたいと考えましたが、 一方で財政負担の問題、 他の福祉制度とのバランス、 受益と負担のあり方など、 いろいろ検討をしなければならない課題もありましたが積極的に検討してまいりました。 その結果、 今度ようやく次のような結論に至りました。
     まず、 乳幼児の医療費助成については、 通院についても就学前までを対象とし、 また入院日数の制限も撤廃する。 ただし、 子供が三人以上いる世帯に配慮しながら所得制限を導入する。 次に、 重度障害者への医療費助成については、 内部障害三級の方を対象に加える。 そして、 六十五歳以上で新たに重度障害になった方の入院について、 他の社会保険制度との均衡も考慮した上で所得制限の範囲を見直す。 さらに支払い方法については利便性の高い自動償還払い方式とする。
     とまあ、 こういう結論に至ったわけでありますが、 これらに基づいて制度改正をいたしますに当たりましては、 市町村における導入準備や医療機関との調整が必要となりますことから、 新年度早々からの実現には至りませんでした。 しかし今後、 鋭意作業を進めまして、 ことし十二月一日から実施したいと考えておるところでございます。
     次に、 土木行政についてのうち、 高速道路の整備の見通しについてであります。
     本県内の第二東名自動車道及び中部横断自動車道は、 昨年末の政府与党協議会や国土開発幹線自動車道建設会議を経て、 引き続き有料道路方式で整備されることになりました。 一方、 来年度の政府予算案を見ますと、 おおむね本年度と同額の高速道路整備費が確保されております。 したがって、 引き続き第二東名を初めとする高速道路の整備が着実に進められることが期待できるわけであります。 これらは県議会を初め、 県民の皆様の御支援や第二東名自動車道建設促進期成同盟会等関係団体の活動を通して地方の意見を国へ発信し続けていただいた成果であると、 感謝をしているところであります。  県といたしましては、 今後の高速道路整備の新たな枠組みを具体的に定める道路関係四公団民営化関係法案の具体的な内容や国会での審議の動向を注視しながら、 高速道路整備が現在の整備スピードを落とすことなく進められるように、 他県との連携を一層強化し、 建設促進に向けて的確な対応を図ってまいりたいと考えております。
     なお、 その他の御質問につきましては、 関係部長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長 (水口俊太郎君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  知事の政治姿勢についてのうち、 市町村合併についてお答えいたします。
     県組織の見直しについてでありますが、 市町村合併による規模の拡大や行財政基盤の強化に伴い市町村教育委員会につきましても、 その行政能力の一層の向上が期待されます。 また政令指定都市移行に伴い、 議員御指摘のとおり、 採用、 異動、 休職、 懲戒等の教員人事事務を初め、 スクールカウンセラー配置に関する事務等が移譲されるなど、 教育行政を取り巻く状況は大きく変化するものと認識をしております。 県教育委員会といたしましても、 こうした状況に的確に対応して、 組織の簡素化、 効率化を基本に教育事務所等の組織及び業務の見直し、 適正化を検討し、 実効性ある教育行政体制づくりを進めてまいりたいと考えております。
     次に、 中学校一年生支援プログラムについてであります。
     県教育委員会といたしましては、 児童生徒の発達段階に応じ、 きめ細かな指導の充実を図ってきたところであります。 今回、 学習面、 生活面において大きな発展期に当たる中学校一年生への支援を充実させるため、 一定規模以上、 具体的には三学級以上かつ一学級の平均人数が三十五人を超える場合において、 従来の少人数指導の一層の充実、 あるいは学級編制の弾力化による一学級三十五人以下の編制を選択的に実施できるよう考えております。
     この選択に当たっては、 議員御指摘のとおり、 社会性や人間性の醸成という観点から多様な集団による切磋琢磨も必要と考えておりますので、 子供の実態や学校の状況等を十分勘案して学校長が判断することとしております。 また同時に中学校一年生を支援するという観点から、 面接週間の定期的導入など心身両面にわたるきめ細かな指導や学校行事、 部活動等における集団指導等の施策を総合的に進めてまいりたいと考えております。
     今後とも、 これらの施策の教育効果等を検証しながら、 大切な時期にある中学校一年生の支援に一層努めてまいりたいと考えております。
    ○議長 (水口俊太郎君)  水田警察本部長。
            (警察本部長 水田竜二君登壇)
    ○警察本部長 (水田竜二君)  初めに、 市町村合併に伴う組織の見直しについてお答えいたします。
     社会情勢の変化等に伴い、 県内各地域の治安状況も変動しており、 これに的確に対応していくため、 警察力の充実強化や適正な配分の見地から、 警察署、 交番等の管轄や配置見直しが必要な時期を迎えており、 見直しに当たりましては市町村合併への対応も重要な検討要素であると考えております。
     特に、 警察署の管轄や配置の見直し等につきましては、 県民生活にも直接影響を与える重要な案件でありますことから、 県警察といたしましては、 合併特例法の期限となる平成十六年度末時点における県内の市町村合併の全体像をよく見きわめた上で、 地域住民の利便性、 警察業務の能率性、 自治体との連携、 さらには県下警察署全体の配置バランス等を総合的に勘案し、 また地元の要望等も踏まえ、 県下警察署全体の再編計画をまとめることとしております。
     次に、 静岡県警察緊急治安対策プログラムについてお答えします。
     静岡県警察緊急治安対策プログラムは、 現下の厳しい治安情勢に対処し犯罪の増加基調に歯どめをかけ県民の安全と安心を確保するため、 本県警察として今後三年程度を目途に、 緊急かつ重点的に取り組むべき治安対策を総合的に取りまとめたものであり、 議員御指摘のとおり、 県警察の今後の業務運営の柱と考えており、 その内容につきましては部内周知と教養の徹底を図ったところでございます。  本プログラム記載の対策につきましては、 今後組織体制の整備、 制度の構築、 各種施策の推進等への取り組みと第一線現場における警察諸活動を通じ、 また随時、 成果の検証等を行いながら、 実現を目指してまいる所存でございます。
     また、 本プログラムは政府が策定した犯罪に強い社会の実現のための行動計画や静岡県が策定した防犯まちづくり行動計画とも連動するものと考えており、 その推進に際しましては、 県警察による治安回復に向けた不断の努力はもとより、 自治体、 住民組織を初めといたします関係機関、 団体との連携強化にこれまで以上に配意してまいります。
    ○議長 (水口俊太郎君)  花岡環境森林部長。
            (環境森林部長 花岡志郎君登壇)
    ○環境森林部長 (花岡志郎君)  自然環境を生かした情報発信についてお答えします。
     自然景観や野生生物などの情報を発信することは、 県民の自然環境保全に対する意識を向上させるとともに、 自発的活動を促す効果も大きいものと考えております。 このため、 これまで行ってきた環境学習データバンクによる情報提供に加え、 本年四月からは県内の野生生物の実態を記載した県版レッドデータブックを広く書店で販売することとしております。
     さらに、 映像情報は自然の豊かさをより直接的に伝えるだけでなく、 受け手の感性に訴えかけ自然への関心を喚起する効果があるので、 富士山の立体ハイビジョン映像を国内外の人々が集う浜名湖花博の会場で上映し、 花博後は県庁展望ロビーで常設上映することとしております。
     また、 来年度には南アルプスや天城山などを素材に、 多様な生物をはぐくむ豊かな自然の映像化にも取り組んでまいりたいと考えております。
     今後とも、 自然環境との共存の大切さや、 県民一人一人の保全活動への参加を促すような情報提供のあり方を一層工夫しながら積極的な情報発信に努め、 本県の自然環境を継承してまいります。
    ○議長 (水口俊太郎君)  川口健康福祉部長。
            (健康福祉部長 川口正俊君登壇)
    ○健康福祉部長 (川口正俊君)  健康福祉行政についてのうち、 初めに高齢者の在宅介護施策の充実についてお答えいたします。
     本県では、 高齢者ができる限り自宅で自立生活が送れるよう、 在宅サービスを基本とし、 利用者ニーズに対応した在宅及び施設サービスの充実に努めてまいりました。 その結果、 主たる在宅サービスの訪問介護、 通所介護、 短期入所の利用回数等は、 介護保険制度の施行前と比較すると二倍から三倍に伸びております。 平成十九年度を目標年次とする第三次高齢者プランにおいては、 サービス提供基盤の整備と質の高いサービスの確保に重点を置いているところであり、 本年度はデイサービスセンター、 ショートステイ等について計画目標を上回る整備を行うとともに、 介護支援専門員や訪問介護員の研修を拡充いたしました。
     さらに、 来年度は新たに痴呆性高齢者を地域で見守り、 支援するネットワークづくり、 中山間地域での移動手段の確保や交流の場づくりなどを行うこととしております。 今後も高齢者の自立生活を支援するため、 引き続き各種介護保険サービスの充実を図るとともに、 高齢者を地域で支え合う施策を積極的に推進してまいります。
     次に、 地域における保健師の役割についてであります。
     近年、 住民に身近な保健サービスは、 市町村を実施主体とする制度改正が行われてまいりました。 この結果、 母子保健等の業務はその大部分を市町村の保健師が担当しております。 一方、 対応困難なケースが多い精神障害や発達障害等の業務については、 現在も主に県の保健師がサービスを担っています。 加えて児童虐待防止、 自殺予防や引きこもり対策、 また介護保険関係者への技術支援など新しい課題にも取り組んでおります。 これからの健康づくりで重要なことは、 保健・医療・福祉の分野を越えて広く教育や労働衛生などの連携協働を推進することであります。
     県の保健師は、 こうした連携協働の核としてネットワークに参画し、 専門的知識、 経験を活用した調整役としての役割が期待されております。 したがいまして、 こうした期待にこたえていくことを基本に、 新しいニーズに的確に対応した地域保健活動を推進していきたいと考えております。
    ○議長 (水口俊太郎君)  谷商工労働部長。
            (商工労働部長 谷 和実君登壇)
    ○商工労働部長 (谷 和実君)  産業力強化のためのインフラ整備についてお答えいたします。
     グローバル経済が進む中で、 本県産業が厳しい国際競争に打ち勝ち、 さらなる発展を遂げるためには、 将来にわたって生産活動に必要な工業用水などの資源が安定的に供給され、 企業活動によって生じた産業廃棄物等が円滑に処理されていくことが不可欠であり、 またこれらの供給や処理に要するコストをできるだけ低くすることが求められます。
     このため、 県といたしましては、 平成十六年度に、 工業用水や産業廃棄物処理施設などの産業インフラの整備のあり方につきまして、 産業立地の動向や工業用水や廃棄物処理施設の需要見込み、 企業の具体的なニーズなどを踏まえた基礎的調査を実施し、 その結果をこれらの産業インフラの将来にわたる整備に役立ててまいりたいと考えております。
     また、 世界が単一市場化している現在、 国の内外とのスピーディーなビジネス展開や、 部品や製品などの迅速で安定した物流を支える道路、 港湾、 空港は非常に貴重な産業インフラであると受けとめておりますので、 静岡空港や第二東名自動車道などにつきましても、 その活用について企業へのPRなどに力を注いでいくとともに、 一日も早い整備が実現できるよう関係部局と協力してまいりたいと考えております。
    ○議長 (水口俊太郎君)  栗原農業水産部長。
            (農業水産部長 栗原 績君登壇)
    ○農業水産部長 (栗原 績君)  本県の農業振興についてお答えいたします。
     本県は、 お茶や温室メロンなど全国に誇る高品質な農産物を多数生産しておりますが、 近年、 農業を取り巻く状況は大きく変化しております。 現在、 県においては農林水産業新世紀ビジョン第二次実施計画を策定中でありますが、 この中では、 国の農政改革も踏まえながら、 今後の農業の中心となるビジネス経営体の育成や他産業からの就業促進による担い手の確保に重点的に取り組むとともに、 高品質、 高付加価値による農産物のブランド化、 高性能機械の導入や基盤整備による低コスト化、 空港を視野に入れた海外進出などにより本県農業の優位性の確保を図ってまいりたいと考えております。
     なお、 本年度、 県では関係団体等と連携し、 高品質な本県農水産物をアジアを中心にテストマーケティングすることに取り組んでまいりましたが、 先ごろロシアから県経済連に緑茶の引き合いがあり、 先月輸出したところであり、 さらに新年度、 国に輸出を支援する仮称輸出促進室が新設されることとなってまいりました。
     また、 食の安全性が問われている中、 トレーサビリティーシステムの導入促進や農薬の適正使用の徹底などにより、 食の安全・安心の確保に一層努めるとともに、 食農学習の推進や学校給食への地元食材の利用促進など、 点から面への視点に立った地産地消運動の推進により、 地元農産物の消費拡大を図ってまいります。
     さらに、 本県の豊かな里の資源を活用した都市と農村の交流や定住の促進による中山間地域の活性化、 バイオマス利活用やエコファーマーの支援による環境に配慮した農業の確立など関係団体などと連携し、 地域の特色を生かした農業の振興に取り組んでまいります。
    ○議長 (水口俊太郎君)  櫻井土木部長。
            (土木部長 櫻井克信君登壇)
    ○土木部長 (櫻井克信君)  土木行政についてのうち、 港湾の保安対策への取り組みについてお答えいたします。
     改正された海上人命安全条約に基づきまして、 輸出入貨物を取り扱う埠頭や外航客船が利用する埠頭の管理者は、 保安対策を講ずる区域を定め、 フェンスや監視カメラなどの保安設備を整備するとともに、 これらの設備の整備状況や計画、 整備状況に対応した出入り管理や監視の方法、 その実施体制などを網羅した保安規程を策定し、 国の承認を得ることなどが求められております。
     県といたしましては、 基本的な保安設備でありますフェンス、 ゲートの整備を本年六月末までに完了し、 七月一日からは保安規程に基づく対象区域の管理、 監視を実施してまいります。 また、 より高度な保安機能を確保するための監視カメラ、 照明装置などについては、 平成十六年度完了を目途に整備することとしております。 さらに保安対策の実効性を向上させるため、 関係する行政機関や港湾関連事業者などで構成する協議会を今月中に各港湾に組織するなど、 国際港湾としてより安心していただけますよう保安対策に万全を期してまいります。
    ○議長 (水口俊太郎君)  これで多家一彦君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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